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産寧坂伝統的建造物群保存地区保存計画

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2008年1月7日

 

昭和51年7月1日京都市告示第69号
京都市教育委員会告示第1号

 

1 保存地区の保存に関する基本計画

 

(1) 発祥と沿革
 東山山麓に位置する当該地区一帯は,京都の東郊として早くから開けたところで,平安京以前からの歴史が重畳し,今も多くの歴史的遺産を有している。
 当地区は,当初,清水寺,法観寺,祇園社などの門前町としてはじまったが,江戸時代中期以降は,これらの社寺を巡る道に沿って市街地が形成され,さらに明治・大正時代の市街地の拡大をみて,今日に至っている。
 なお,現在の道に沿って建ち並ぶ茶店や伝統工芸品を商う店は,近世の名所巡りの系譜をひくものとみることができる。
 また,石塀小路一帯は,明治時代末期から大正時代初期にかけて,貸家経営を目的とする宅地開発が行われて,今日に至っている。当地区の景観は,下河原通と高台寺北門通を結ぶ路地(石塀小路)に特徴があり,連続する石畳や石塀,石垣は,当初の様式を保つ和風住宅群と共に大正時代初期の町並みの面影をよく残し,京都市内でも独特の空間となっている。
(2)現況及び保存に関する基本的な考え方
 当地区は,八坂ノ塔(法観寺),高台寺などの由緒ある社寺建築物,産寧坂,二年坂の石段と折れ曲がった石畳の坂道,そしてこの道に沿って建ち並ぶ江戸時代末期から大正時代にかけての町家などが一体となってすぐれた歴史的風致を形成している。当地区内の建造物のうち伝統的建造物は,約65パーセントであり,江戸時代から明治時代にかけての建築であるむしこ造り町家,明治時代の本2階建町家,主として大正時代の変形町家,茶室建築の手法を取り入れた数寄屋風建築,道に面して門と塀のある和風邸宅,石塀小路において主として大正時代に建てられた石塀小路町家の6種類に大別される。そして,これらの建築物の1階部分を伝統工芸品を売る店舗にしているところも多く,それぞれに風趣のある伝統的な店構えをみせている。これらの特色ある建築物等は,主として同種類ごとに,又は他の種類とまじりあって群を構成し,それぞれに京町家の伝統を生かしながら趣の異なった特性を示している。
 建築物等の修理,修景,復旧等については,当地区の伝統的建造物群の特性に応じて行い,併せて,良好な都市環境の整備を図る。
(3) 概要
 当地区において,伝統的建造物群の特性を維持していると認められる約65パーセントの建造物を伝統的建造物と定める。
 伝統的建造物については,主として外観を維持するため修理を実施し,伝統的建造物以外の建造物については,当地区の伝統的建造物の特性と調和するよう修景を実施する。そのほか,当地区の保存のため必要な施設及び設備並びに環境の整備を行うとともに地 区の保存のために必要と認められるときは,建築物等の修理,修景等に要する経費の一部について補助金交付規則により補助する。

 

2 保存地区内における「伝統的建造物」及び「伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するために特に必要と認められる物件」の認定

 

(1) 伝統的建造物
 伝統的様式の外観を持つもので,伝統的建造物群の特性を維持していると認められるもの。(図-1,表-1)

 

(2) 伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するために特に必要と認められる物件
産寧坂並びに二年坂の石段及び石畳,樹木,樹林,庭園樹林,石標,石灯籠,石垣(図-2,表-2)

 

3 保存地区内における建築物等の保存整備計画

 

(1) 建築物等の保存整備にあったては,次に掲げる当地区の伝統的建造物群の特性に応じて行う。
特 性
 八坂ノ塔,高台寺などの由緒ある社寺建造物,江戸時代末期から大正時代にかけての京町家等,それぞれに工夫のこらされた建造物が,産寧坂,二年坂の石段,折れ曲がった石畳の坂道,緑と土塀に囲まれた道などに沿って建ち並び,全体として京都らしい伝統的なたたずまいを示している。これらの伝統的建造物群も外観のまとまり,地形の変化などにより五つの区域に分けることができる。
ア 産寧坂から二年坂までの区域は,1階部分を店舗とするむしこ造り町家や本2階建町家が軒をつらね,門と塀のある和風住宅が点在している。
イ 二年坂から石段を降りて京都神社までの区域は,数寄屋風の変形町家が多く軒をつらねている。
ウ 二年坂から八坂ノ塔を経て高台寺表門までの地区は,むしこ造り町家,本2階建町家,和風邸宅,社寺建造物などが八坂ノ塔を中心に混在している。
エ 高台寺表門から円山公園までの区域は,高台寺塔頭群とその土塀が緑の中につらなり,数寄屋風の茶店や門と塀のある和風邸宅が建ち並んでいる。
オ 石塀小路に面する区域は,石畳の路地に沿って,前庭と連続する石塀や屋根小壁付板塀などを持つ2階建ての和風住宅が建ち並んでいる。
(2) 保存整備計画
ア 伝統的建造物については,主としてその外観を維持するため,表3に定める基準により修理を実施する。ただし,基準に規定のないものについては,その建造物固有の様式に従い修理を実施する。
イ 伝統的建造物以外の建造物については,当地区の伝統的建造物群の特性と調和するように表3に定める基準に準じて修景を実施する。

 

4 保存地区内における建築物等及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件に係る助成措置等

 

建造物等の修理,修景,復旧及び管理に要する経費の助成については,市長が定める。

 

5 保存地区の保存のために必要な管理に関する施設及び設備並びに環境の整備

 

(1) 当地区の要所に伝統的建造物群保存地区であることがわかる標識又は説明板を設置する。
(2) 当地区の防災面の向上を期するため,必要箇所に防火水そうなどの消防水利その他消防活動上必要な設備を整備し,火災感知器などの消防用設備を設置する。

図-1・表-1
伝統的建造物
(位置を示す 図1,個別の情報 表1は共に省略)


図-2・表-2  

伝統的建造物群と一体をなす環境を保持するため特に必要と認められる物件
(位置を示す 図2,個別の情報 表2は共に省略)

表3
1 建築物の外観の様式,材料及び色彩等の基準

 

建築物の外観の様式,材料及び色彩等の基準
様                式 材  料 色彩等
名称 構 造 屋根及び庇 壁    面
むしこ造り町家住居様式
木造真壁造りで中2階とし,平入り形式とする。
(1)屋根は切妻で日本瓦ぶきとし,屋根軒裏は,垂木及び野地板をみせる。
(2)庇は,日本瓦ぶきとし,庇軒裏は,野地板をみせ,幕掛けを付ける。
(1)壁は,しっくい塗壁又はプラスタ-塗壁とする。
(2)1階は,出格子又は平格子,引き込み格子戸,腰竪羽目板張り及び戸袋によって構成する。
(3)2階は,むしこ窓を付ける。
(1)柱は檜とし,その見掛り木部は1等上小節材とする。
(2)造作部は木とし,その見掛り部は,1等上小節材以上の品質のものとする。
(3)犬走りは,洗出し砂利仕上げその他これに類する仕上げとする。
木部は,べんがら塗り,生地仕上げその他これらに類する仕上げの色彩とする。
むしこ造り町家飾窓付店舗様式
同上
同上
(1)壁は,しっくい塗壁又はプラスタ-塗壁とする。
(2)1階は,町家風飾窓及び腰高ガラス引違戸によって構成する。
(3)2階は,むしこ窓を付ける。
同上
同上
むしこ造り土間店舗様式
同上
同上
(1)壁は,しっくい塗壁又はプラスタ-塗壁とする。
(2)1階は,格子雨戸又は腰高ガラス引違戸によって構成する。
(3)2階は,むしこ窓を付ける。
同上
同上
平家建町家飾窓付店舗様式
木造真壁造りで下屋付平家建とし,平入り形式とする。
(1)屋根は切妻で日本瓦ぶきとし,屋根軒裏は垂木及び野地板をみせる。
(2)小屋根は,日本瓦ぶきとし,小屋根軒裏は,野地板をみせ,幕掛けを付ける。
(1)壁は,しっくい塗壁又はプラスタ-塗壁とする。
(2)町家風飾窓及び腰高ガラス引違戸によって構成する。
同上
同上
平家建
町家土
間店舗
様式
同上
同上
(1)壁は,しっくい塗壁又はプラスタ-塗壁とする。
(2)格子雨戸又は腰高ガラス引違戸によって構成する。
同上
同上
本2階
建町家
住居様
木造真壁造りで2階建とし,平入り形式とする。
(1)屋根は,切妻で日本瓦ぶきとし,屋根軒裏は垂木及び野地板をみせる。
(2)庇は,日本瓦ぶきとし,庇軒裏は,野地板をみせ,幕掛けを付ける。
(1)壁は,京壁とする。
(2)1階は,出格子又は平格子,引込み格子戸,腰下見板張り及び戸袋によって構成する。
(3)2階は,出格子窓又は平格子窓及び長押によって構成する。
同上
同上
本2階建町家飾窓付店舗様式
同上
同上
(1)壁は,京壁とする。
(2)1階は,町家風飾窓及び腰高ガラス引違戸によって構成する。
(3)2階は,出格子窓又は平格子窓及び長押によって構成する。
同上
同上
本2階
建町家
土間店
舗様式
同上
同上
(1)壁は京壁とする。
(2)1階は,格子雨戸又は腰高ガラス引違戸によって構成する。
(3)2階は,出格子窓又は平格子窓及び長押によって構成する。
同上
同上
変形町家住居様式
木造真壁造りで2階建とする。
(1)屋根は,入母屋で日本瓦ぶきとし,屋根軒裏は,垂木及び野地板をみせる。
(2)庇は,日本瓦ぶきとし,庇軒裏は,野地板をみせる。
(1)壁は京壁とする。
(2)1階は下地窓及び引違格子戸によって構成する。
(3)2階は,下地窓塗込め窓わく又はむしこ窓並びに腰高ガラス窓及び手すりによって構成する。
同上
木部は,生地仕上げとする。
変形町家飾窓付店舗様式
同上
(1)屋根は,入母屋で日本瓦ぶきとし,屋根軒裏は,垂木及び野地板をみせる。
(2)庇は日本瓦ぶきとし,庇軒裏は,垂木及び野地板をみせる。
(1)壁は京壁とする。
(2)1階は数寄屋風飾窓,腰高ガラス引違戸及び腰竹張り又は杉板張りによって構成する。
(3)2階は,下地窓,腰高ガラス窓,手すり及び数寄屋風戸袋によって構成する。
同上
同上
数寄屋
風飾窓
付店舗
様式
木造真壁造りで平屋建とする。
(1)屋根は,切妻又は入母屋で日本瓦ぶきとする。
(2)庇は,銅板ぶきとし,庇軒裏は,化粧軒裏とする。
(1)壁は聚楽壁とする。
(2)数寄屋風飾窓,ガラス格子引違戸又は腰高ガラス格子引違戸,下地窓又は下地欄間および腰竹張り又は腰杉皮張りによって構成する。
柱及び飾窓は,みがき丸太とし,造作部は木とし,その見掛り部は,1等以上小節材以上の品質のものとする。
 
和風邸
宅様式
木造真壁造りで平屋建又は2階建とする。
(1)屋根は,入母屋で日本瓦ぶきとし,屋根軒裏は,垂木及び野地板をみせる。
(2)庇は,日本瓦ぶきとし,庇軒裏は,垂木及び野地板をみせる。
(1)壁は,京壁とする。
(2)1階は,ガラス格子引違戸又は腰高ガラス引違戸下地窓又は下地欄間及び腰杉板張り又は腰杉皮張りによって構成する。
(3)2階は,下地欄間,腰高ガラス窓,手すり,数寄屋風戸袋及び腰杉板張りによって構成する。
(1)柱は,檜とし,その見掛り部は,1等上小節材とする。
(2)造作部は木とし,その見掛り部は,1等上小節材以上の品質のものとする。
(3)犬走りは,洗出し砂利仕上げその他これに類する仕上げとする。
同上
石塀小路町家住居様式
木造真壁造りで本2階建とする。石塀,石垣,前庭を持ち,突出下屋を持つものもある。
(1)大屋根は,切妻,入母屋又はその複合型とする。日本瓦ぶきとし,軒裏は,垂木及び化粧野地板をみせる。
(2)すだれ掛けを付け,すだれを掛る。
(3)下屋庇は,日本瓦ぶきとし,庇軒裏は,垂木及び化粧野地板をみせる。
(1)壁は,聚楽壁又はこれに準ずるもの及び杉板張り又は杉皮張りで構成する。
(2)1階の開口部は,下地窓及び引違戸で構成する。
(3)2階の開口部は,下地窓及び腰壁付又ははきだし引違戸とし,手すり又は持ち出し手すり付きとする。
(1)造作部は,檜,杉又はこれに準じる材とする。
(2)木部の見掛り部は,上小節材以上の品質のものとする。
(3)ガラスは,着色されたもの以外とする。
木部は,生地仕上げ又は古色仕上げとする。
石塀小路和風邸宅様式
木造真壁造りで本2階建とする。石塀,屋根小壁付板塀又は土塗塀を持つ。
同上
同上
同上
同上

 

表3
2 門の様式,材料及び色彩等の基準

 

門の様式,材料及び色彩等の基準
様式 材  料 色彩等
名称
構造
屋根及び下屋庇 壁  面 床  面
透かし欄間付腕木門
木造で出桁を持つ。
日本瓦ぶきとし,軒裏は,小丸太垂木と化粧野地板をみせる。
(1)透かし欄間は,ひねり横格子とする。
(2)そで壁は,杉板張りとし,腰石にのせ
る。
踏み面は石又は豆砂利洗出しとし,段端は石とする。
(1)木部は,檜杉又はこれに準ずる材とし,見掛り部は,上小節材以上 の品質とする。
(2)石は,花崗岩とする。
(1)木部は,生地仕上げとする。
(2)石は,荒ずり仕上げとする。
小壁付腕木門
同上
日本瓦ぶきとし,軒裏は,猿頬大面取垂木と化粧野地板をみせる。
(1)小壁は,聚楽壁又はこれに準ずるものとし,腰石にのせる。
(2)そで壁は,聚楽壁又はこれに準ずるものとし,腰石にのせる。
同上
同上
同上
数寄屋風腕木門
同上
日本瓦ぶきとし,軒裏は,小丸太垂木と化粧野地板をみせ,腰ふき檜皮ぶきとする。
そで壁は,杉皮張りとする。
同上
同上
柱は出節丸太とすること。
同上

 

表3
3 塀及び垣の様式,材料及び色彩等の基準

 

塀及び垣の様式,材料及び色彩等の基準
様          式 材  料 色彩等
  名 称 構 造 屋 根 壁 面
屋根小
壁付和
風板塀
木造真壁造りとする。
勾配屋根を付け,日本瓦ぶきとする。
小壁は,京壁とし,腰長押を付け,その下部は,竪羽目板張とする。
見掛り木部は,1等上小節材以上の品質のものとする。
木部は,生地仕上げとする。
屋根欄
間付和
風板塀
同上
同上
腰長押付け,その上は,飾欄間とし,その下部は,竪羽目板張りとする。
同上
同上
和風塗
同上
同上
壁は,京壁,しっくい塗壁又はプラスタ・塗壁とし,幅木は木製とする。
同上
同上
土塀
練り塀又はコンクリ-ト・ブロック造りとする。
同上
壁は,しっくい塗壁又はプラスタ・塗壁とする。(仕上がりの厚さは,30センチメ-トル以上とする。)
 
 
屋根小
壁付石
塀板塀
木造真壁造りとする。
日本瓦ぶきとする。
(1)小壁は,聚楽壁又はこれに準じるものとし,腰長押を付け,竪羽目板張りとする
(2)板塀は,腰石又は石積にのせる。
(1)木部は,檜,杉又はこれに準じる材とし,見掛り部は,上小節材以上の品質とする。
(2)石は,花崗岩とする。
(1)木部は,生地仕上げ又は古色仕上げとする。
(2)石は,荒ずり仕上げとする。
石塀
切石布積とし,天端に葛石をのせる。
 
 
(1)切石は,石英斑岩又はこれに準じるものとする。
(2)葛石は,花崗岩とする。
(1)切石は,割り肌仕上げとする。
(2)葛石は,荒ずり仕上げとする。
土塗壁
木造真壁造りとする。
日本瓦ぶきとする。
聚楽壁又はこれに準じるものとする。
木部は,檜,杉又はこれに準ずる材とし,見掛り部は,上小節材以上の品質のものとする。
木部は,生地仕上げ又は古色仕上げとする。
木竹垣
四つ目垣,建仁寺垣その他これらに類する京風の木竹垣とする。
 
 
木又は竹とする。
 
生け垣
和風の生け垣
 
 
あらかし,うばめがし,かなめもち,さざんか,まさきなどの和風の樹種とする。
 
石垣
玉石乱積とする。
石垣上に四つ目垣又は鉄製忍び返しを取り付ける。
粒径100 ~200 ミリメ-トル程度の玉石とする。
 
 

お問い合わせ先

京都市 都市計画局都市景観部景観政策課

電話:(1)075-222-3397,(2)075-222-3474

ファックス:(1)075-222-3472,(2)075-213-0461