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第2回審議会摘録

ページ番号4184

2007年11月8日

京都市都心部のまちなみ保全・再生に係る審議会 第2回審議会摘録

○日時:平成13年4月9日(月) 午後4時~6時30分
○場所:京都ロイヤルホテル 2階「青雲」の間
○出席者
  座長 青山 吉隆(京都大学大学院教授)
      淺井 國勝(京都商工会議所議員)
      鵜飼 泉道(市民委員)
      岡村 周一(京都大学大学院法学研究科教授)
      栗山 裕子((社)京都府建築士会常任理事)
      小浦 久子(大阪大学大学院工学研究科助教授)
      櫻田 佳正(市民委員)
      高田 光雄(京都大学大学院工学研究科助教授)
      西嶋 直和(市民委員)
      平田 陽子(光華女子大学短期大学部助教授)
      増井 正哉(奈良女子大学助教授)
      宗田 好史(京都府立大学助教授)
      吉村 彰彦(日本不動産研究所京都支所長)
      リム ボン(立命館大学助教授)
      若林 靖永(京都大学大学院経済学研究科助教授)

  以上15名(50音順,敬称略)

 

1 開会
(事務局から挨拶)

2 議事
(1) 資料-2 「京都市都心部のまちなみ保全・再生に係る審議会について」の説明
(事務局から説明)

(2) 資料-3 「職住共存地区整備ガイドプランの概要」の説明
(事務局から説明)

(3) 審議


(委員)
○資料2の対象地区,設置期間,施策検討の柱,提言についてはどうか。
○提言は,当面と長期と2ついるということでよいか。

(事務局)
○はいそうです。

(委員)
○13年度末までに提言を出すということだが,14年度というのは何のためにあるのか。

(事務局)
○提言が出た後,一旦地域住民の意見を聞く予定をしている。その上で必要に応じて審議会を開くことも考えている。

(委員)
○都心が対象地域ということで,その位置がパンフレットにもあるが,京都のまちなみとして特性あるまち,私達やいろいろな外の人が歩いていいと感じる,例えば西陣,祇園などが入っていないのは,対象地域の範囲が狭いと思う。もちろん田の字地区は重要なのでここから水紋のように波及していくことが想定されるとしても,職住という点から考えても,西陣や祇園などの特性あるまちもあるのに,対象地域の範囲が狭い。
○地域を限定しなければやりにくいという側面はあるにしても,もう少し広い面と,西陣地区や東山地区などの特性のある所を幾つかターゲットにして,まちを歩く時にも特色が分かり合えるような見方というのを,この審議会の中でもしていけたらと思う。
○田の字の想定をされた時期と,今のスピード感のある人の動きの時期と,かなり違うのではないかと思うのです。京都のまちは狭いので,京都のまちを見る時に西陣行ってから東山まわって祇園に行って下がるということができる。歩くというルートも関連づけたような考え方ができないかと思う。
○この対象地域が決まった経緯を教えて欲しい。

(事務局)
○商業地域で容積率も400%という京都市の中でも一番中心となる地域であり,京町家なども多く,都心としての土地利用もかなり変化が早いということで,特にこの都心部の問題点に焦点を絞って,課題を整理していく必要があると考えて指定をした。
○必ずしもこのエリアのみを考えているというわけではなく,最も問題が顕在化しているこのエリアをモデルとして施策を検討し,必要に応じて周辺地域に反映できる部分は反映していくという形での検討をお願いしたい。

(委員)
○他の地域を別な審議会のような場で考えるということはないのか。

(事務局)
○例えば西陣などの他の地域で審議会を別に設けることは,今のところ考えていない。

(委員)
○まちというのは建築的な仕事の面からいうと用途の網掛けは重要だが,市民として町を歩く時は,ここは容積が400%だとかいうことは考えない。まちはずっと連続し,通りを通り抜けられるというのがまちの良さである。都市計画として考える時は網をかけるという平面的な感覚というのは必要だし,容積が景観にも用途にも影響するというのは承知の上だが,京都のまちを考えるというのは,特性のあるまち,生きている景観や活動が連続していくことがまちの成り立ちだという気がしており,それを区分けする考え方が少し腑に落ちない。別の特性のある地域を取り出すような考え方ができればと思う。
○容積を考える時には,あんこの部分というのははみ出してしまっていて,何があんこなのかという思いがある。地域ごとに自分の所はあんこだと思っているだろうし,私達も用途地域の地図を見る時は,防火地域があるとかいう見方をするけれども,仕事以外ではそういう見方はしない。流動的な時代にあって,形の区分けをしていると,なかなかこの枠から出られないのではと常々思う。ここにはここという特性のようなそういったものを連携していくような考え方ができないかと思ったので,それを裏付けたものがこれだという説明が欲しかった。

(委員)
○私も似たような思いを持っている。調和のとれたまちなみをどう再生・保全するかには全く賛成だが,建築指導や特に景観行政の面では,東山界わいとか,鴨川沿いなどで成果を上げており,西陣の界わいも今度新しく範囲に指定されるようになっている。景観行政の方から守られるエリアを同じような再生・保全を基調とした都心にしたいと思うが,都心と他の地域が違うという一番大きな理由が容積率であり商業用途である。一般の方達は用途地域を知らなければ,なぜ京都の田の字地区で京町家がうまく守れなくて,どんどんマンションが建つのだろうという認識をすると思う。我々も一般に考えるとそうだが…。現実にはこの都心だけが問題になっていて,他の所では既存の制度を用いた施策でまちを歩き回れるというような京都のまちなみをつくりたいと考えているわけだから,都心を特に重点的に審議するということに関しては,もともと調和がとれてないものを調和する方向へ戻すという意見の方向に進んでいると思う。

(委員)
○事務局から何か補足はあるか。

(事務局)
○資料6の2ページに景観の各種指定の制度の説明がある。祇園の辺りは新橋辺りを中心に伝統的建造物群保存地区に指定されているし,歴史的景観保全修景地区についても祇園南や祇園縄手が指定されている。界わい景観整備地区は三条通や上賀茂郷,伏見南浜が指定されている。最近の動きとして,西陣地区などで界わい景観整備地区指定の動きがある。祇園や西陣などは地域の特性もあるが,地区指定の手続き中で,美観風致審議会で議論される。全てについて議論をするのは大変であるため,祇園や他の制度で議論されている西陣などについては,議論の中に出てくるのは結構であるが,細かいデータ等を調査したり検討することは,他の制度での議論に委ねるということで,職住共存地区についての議論をして欲しい。

(委員)
○そういうことで,この地区が最重要地区ということで,この審議会では議論をしていくということである。

(委員)
○そういう経過があるのであれば,分かります。

(委員)
○折に触れて,他の地域のことも話題に出してもらえればと思うが,そこまで目配りできないと思う。

(委員)
○施策検討の柱で取るべき規制と誘導の方策について検討すると,2ページ目の第2段階から第3段階にかけて詳しくプロセスが書いてあるが,施策検討②には,その際に調和を基調としたまちなみとはどのようなものであるかについて,市民や国民の共通認識・理解を得る取組を行うこととしたい,とある。これは大変重要なことだと考えている。
○第2段階から第3段階でより具体的な目標像と施策を検討するというプロセスがあるが,これと並行して市民や国民の共通認識・理解を得る取組を行えないかということを考えていきたい,というのが提言である。この審議会でも大勢の市民に傍聴してもらい,審議会終了後には意見をもらう機会もあるが,より広く,調査を通じて市民の意見を聞いてもいいし,市民参加型のフォーラム等の開催も考えられる。何か市民の合意形成・共通認識の形成に向けた取組を第3段階の一つの流れとして考えることを審議会に提案したいと思う。

(委員)
○市民の合意形成・共通認識の形成に向けた取組はどこで行う予定しているのか。

(事務局)
○第三段階の中で市民の意見や理解を聞かねばならない機会が出てくると考えているが,時期・方法については事務局で引き続き検討させて欲しい。指摘された取り組みは今後十分行っていきたいと考えている。

(委員)
○資料2の第三段階の所に合意形成を加えるように修正をしてもらう。
○資料3についてだが,先行して職住共存地区ガイドプランというものが出来上がっているわけで,我々もこれを踏まえて考えていかなければいけない。
○18学区のうちの1学区だけが始まったということだが,3年かけてガイドプランを作成し,その後3年経っているので,少し遅いように思うが。

(事務局)
○18学区には,まちづくりに対して温度差がある。18学区のうち委員に出ている2学区はまちづくり委員会ができ,事前にまちづくり委員会でいろいろと議論されて,今回の地区計画という形で出ている。それ以外についても,まだこういう形で方針はまとまっていないが,地域としては3学区で方針作成のために努力をしている。

(委員)
○ガイドプランができて実行に動き出すのが遅いが,一番遅れている原因は何ですか。

(事務局)
○ガイドプランを発表して,学区単位で取り組んでいるが,まちづくりに対する思いの温度差を縮めて18学区一斉に入るということはなかなか難しいのが事実である。その中で先進部分,そしてその次の部分という形で,順次やっていきたいと考えている。
○修徳学区のプロセスには,他の地域の方々も多く注目しており,その他の地域に入ったら,こういうことを積極的にしていきたいという地域の声も出てきているので,できるだけ進めていきたいと思う。ここに当事者が委員でいるので,その辺の苦労話を聞かせていただければありがたいと思う。

(委員)
○平成10年に「まちづくり委員会を作ってください」という要請が市からあった。その時には「委員会を開いて何をそこで決めていったらいいのか」ということから始まったと思う。今この冊子が出たが,きっかけになったのは,我々の修徳小学校跡地に建設中の複合の福祉会館,それから街区公園をつくることだった。それらをまちのシンボルとして,どうしたら活用できるか,活性化できるかという点からまちづくりの核に入ったような気がする。それがなかったら学区内が一つになってアンケート調査の76.3%の回収率はいまだになかったと思う。
○街区公園をつくるに当たり,コンサルタントや京都市の方々から非常にはっぱをかけられた。ワークショップ方式で,地区の住民と行政が一緒になって公園をつくりあげていくということで取り組んだ。我々がつきあっていく公園でもあるし,真剣投球できたと思う。最終的に修徳学区の地区計画案が承認されたが,それに先立って市からいい提案を頂戴して,地域からも提案に対し,「ここは違う」「こういう方向性でやって欲しい」という協議を重ねてこういう取組ができたように思う。

(委員)
○大きなハードのプロジェクトがあったというのがきっかけになったのか。

(委員)
○施設と街区公園の建設の予定が出てから始まった。

(委員)
○地域協働型地区計画の活用という手法が,職住共存地区ガイドプランの一番大きな実行力,アクションになるが,これがどのくらい効果があるかということを一度この審議会で討論しないと調和を基調としたまちなみの保全・再生に取るべき規制と施策が検討できない。もちろん地域協働型地区計画は地域の住民の意向を大切にしないといけないが,現に職住共存地区内で高層マンションが急速に建ち続けていくスピードを考えると協働型地区計画という手法だけでは京都のまちなみが壊れてしまうのではないかという危惧をもっている。さらに厳しい規制を掛けるなり,或いは地域協働型地区計画を誘導するような方策などで,中低層の調和の取れたまちなみをダイレクトに誘導するような施策を検討するということが,この審議会の重要な課題であると確認したいと思う。

(委員)
○審議の流れから次回の審議会では,職住共存地区ガイドプランにおける目標像の確認,その実現に向けた課題の整理,施策の方向性,或いは合意形成や共通認識などを審議したい。これらについていきなり審議会で取り上げるのは難しいので,作業部会の方で検討をお願いします。

(4) 休憩

(5) 資料-4 「職住共存地区における近年の建築動向」の説明
(事務局から説明)

(6) 審議

(青山委員)
○このような現状ですが,一番の問題は何か。

(委員)
○このデータからみると,事務所の場合にはそんなに高層のビルは建っていない。共同住宅は7階建て以上のものである。セットバックすることによって道路斜線が緩和されるため,高い建物を建てようとすると,どうしても前をセットバックすることになる。道路斜線の緩和が始まる前は,高い建物は建ってなかったと思う。セットバックして建てると,敷地の奥が詰まる。京都では奥に空地があるのが伝統的な空間構造なので,空地の位置が変わると,街区全体でみたときに,環境が変わってしまうのが問題だと思う。建築高もあると思うが,空地環境をどう考えるかも課題である。

(委員)
○セットバックすることによって,道路上の圧迫感はなくなったわけですよね。

(委員)
○道路斜線の緩和というのは,セットバックすると道路の反対側で,セットバックした分と同じだけが道路とみなされるため,斜線が緩和され,高い建物が建てられるようになった。それまでは,道路幅員が比較的狭かったので,高い建物は建たなかった。

(委員)
○マンションのセットバックとか建築の高さとか,建築の専門的なことや行政の指導の問題よりも大事だと思うのは,共同住宅やオフィスビルを建てなければならないという個人の経済的な事情,それによってそういうものが建てられていくということ。また,代替わりする時に相続税を払えないから市にお願いして建てていただいて,土地は提供するといったようなこともあると聞いている。まず行政があってまちができているのではなく,市民の生活,経済状態というものが前提となってまちが形成されていると考えている。そこにコントロールが加わって,その結果として京都市のまちなみなり,景観がうまくなればいいと思う。京都市民の生活を守るために都市景観もまちなみも存在すべきであるとみているので,セットバックがどうとか高さがどうとかは,建築学的専門的な話は分からないが,それは行政の指導なり,先生方の見解を十分に汲んでやってもらえたらいいと思う。やはり市民生活,経済活動というものを重視していただきたいと思う。特にこの都心部というのは,繁栄する京都の象徴であるからそれなくしてこの田の字地域をいきいきとしたまちづくりはできないと思う。

(委員)
○今の意見はこの審議会の核心の部分である。土地の所有者と京町家,まちと市場メカニズムによる需要,マンション需要,それらにかかってくる法規制,そのすべてが絡んできているのが今の現状である。

(委員)
○私も14年ほど前に父を亡くして,400坪ほど持っていた土地を,庭をつぶして,住宅を建て,敷地の中に店舗を作った。今はそれを会社に貸している。それでなんとか固定資産税を支払っているという事情がある。そうしないと土地を手放さなくてはいけないという事情がある。

(委員)
○今の話で感じたのだが,土地が手放されてデベロッパーが開発しているマンションは,だいたい高層になっている。所有者が,自分で何らかの形で使っている場合と,流動して外部資本で更新される場合では,まちなみや環境に対する考え方など,ずいぶん状況が違うのではないか。

(委員)
○今の説明は確認申請上分かることだけが整理されている。いろいろな推測は可能だが,どのような事情で中高層建築が建設されたということは,確認申請上のデータだけからでは分からないので,そういう議論をするためには,確認申請上の物的なデータと権利関係に係わるデータをつき合わせた上で,客観的な議論をすべきではないかと思う。ある程度は市の方で調べられているのではないかと思うが,例えば,ここでいう個人とはどういう個人なのか,今まで住んできた個人なのか,それとは無関係な個人なのかということなど,物的な条件と権利関係との関係について今分かっていることがあれば,補足説明をして欲しい。

(事務局)
○それに関しては分かっていない。実際に一つ一つ調べて示すことは可能であるが,個人情報の問題があり,資料として提出するには問題があるのではと考えている。また実際にどういったメカニズムで,例えば相続していったことをモデルケースとして示すことは可能だと思うが,具体的にこうだからこうであるというようなことはなかなか示し難い。仮にどのような人が利用するにしても,誰だからどうだという議論よりもむしろ最終的に誰が使っても同様にいい関係を保てるような方向の義論をして欲しいと思う。

(委員)
○個人情報をなかなか出せないということだが,この調査の中で所有関係別,分譲がどのくらいで,賃貸がどうだという程度の話だったら分かると思う。一戸当たりの専有面積も分かればこの5年間でどのように推移してきたかということは大体分かると思う。

(事務局)
○分譲・賃貸については,ある程度調べている。ただ,正確でないところがあるため,今回はこの資料を出している。専有面積についても,調べることは可能と思うので,資料の方を精査したいと思う。
○資料の精度について座長とも相談した上で次回資料として示すことができるものについては,提出したいと思う。

(委員)
○建築の方に戻るが,セットバックの問題とか,街区の中に立っていて,隣の京町家に影響を与えているということだが,敷地のどういう所にどう建っているかとか,どれだけの大きさか,どれだけセットバックしているか,どれだけの高さがあるか,というのはいろいろな情報が入ってきて具体的に目で見て分かることだが,一つの中高層の建物が例えばまちなみの連続性にどんな影響を与えているか,高い所から見ても京都は美しいわけですが,眺望的な景観に対してどんな影響が出ているか,或いは中高層でもこういう工夫をしているからまちのスカイラインの問題などは結構クリアーしている部分があるとか,逆に少しまちに新しいイメージを持っているとか,個別の建物の形態とか隣地の形状とか,大きな建物が袋路に面している場合,大きな屋敷で裏に土蔵が建っている場合とか,街区や環境に与える影響は,それぞれ個別に違う。田の字型といってもいろいろな宅地割があり,例えば正方形ブロック切りの所もあるし,それ以外の短冊状のブロックがある。それによって,また立地環境によって,この中高層の建物が周りに与える影響はかなり違ってくると思う。立地との関係のデータとか,セットバックの程度による影響だとか,環境的なレベルのデータを研究・調査している方が持っていたり,行政が持っていたりするのか。これから中層のまちづくりを目指すと言っても,その街区の特性とか,街区の中にどういう影響があるかということを考える上で,今建っている大きな建築物がどう具体的に近隣の宅地に影響を与えているかを,ある程度スタディしてみる必要があると思う。

(事務局)
○まずセットバックの状況が市街地に与える影響についての評価という視点でとりまとめたデータはない。おそらく今の意見のように幾つかモデルケース的なものを見ながら審議会の中で議論したり,スタディする内容ではないかとう。実感として見るために,次回までの5月に町歩きを先生方にお願いしたいと思っている。その中で,幾つか類型などを指摘してもらい,その中で,作業部会の中などで,一緒に検討していければと考えている。

(委員)
○これから,建築指導行政,景観行政についても説明があるので,その中で事務局の方で触れてもらえればと思う。先程の中で一番重要だと思うのは,地主の方の相続税など個人的な経済事情もあるし,市場の事情もあるし,かといって景観の破壊もある。こういったものが絡んでいる。この辺りが重要なテーマだと思う。

(委員)
○例えば100円パーキングが今いっぱいある。どうしても土地が活かせない,でも遊休地にしておくと市から遊休地税をかけられる。それで100円パーキングで逃げている事情をよく聞く。

(委員)
○具体的な細かい意見はまた後程にして,ここでは大筋を決めたいと思う。そういう意味で経済の先生も法律の先生もいるので,まず経済について何かないか。

(委員)
○経済と言ってもマーケティングや商業をやっているので,土地を利用する際に,土地の所有者がどういう基準で考えているかということそのものは実際に調べて勉強しないとここでどうだということを言えないが,この点は課題だと思っている。
○法定容積の限度いっぱいを使って建てている物件が多いようだ。このことから利用者側の開発意向としては,経済的に見て高ければ高いほどいいわけではなく,最適な高さというものがあるのだろうが,現状ではもっと高いものを建てたいが,規制されているから限度いっぱいでいこうということになっているとみることができる。経済的な意味での全く規制がない条件下であれば,実はもっと高いものを建てたいというように思っている可能性すらある,と感じる。実際は分からないが…。その辺りの土地利用者の事情がおそらくあると推測できる。それよりももっと低いところが選択されているなら,もう少しいろいろな事情で低いものを,となるのだが,"いっぱい"という言葉からは,経済の方からのものとぶつかっているのかなという印象を持つ。もちろん,このことは社会的に見て望ましいことかどうか,いいとか悪いとかの話ではない。

(委員)
○市場メカニズムに任せておくと,もっと高くなってしまうということか。

(委員)
○この限度いっぱいという言葉からはそう解釈できると思う。

(委員)
○もっとデータは必要になるか。

(委員)
○実際に実験をするわけにはいかない。個別に実際の土地オーナーが高さを決める際に何を基準にしたか,ということで限度いっぱい建てて土地の高度利用を考えたということであれば,この規制がなければより高いところにシフトした可能性が高いということだ。これらについては,オーナーや開発者の意向を調査確認するだけで多少は見えてくることだと思う。

(7) 資料-5 「文化財保護行政について」の説明
(事務局から説明)

(8) 資料-6 「都市景観行政について」の説明
(事務局から説明)

(9) 質疑

(委員)
○屋外広告物条例の問題だが,私は東山区の方で事業をしていて,屋外広告物を一つ持っている。「12年末までに訂正して下さい」ということで,その認可を受けたが,従来あった看板は5㎡程度のものだった。12年末限りでそれを撤去して,「13年から1㎡以内の広告物にして下さい」という指導だった。1㎡では私共の目的を達成できないので,「1㎡の広告物を複数建てるのはいいか」と聞けば,検討の結果,これは窓口での検討だと思うが,結局複数の看板の許可を受けた。指導の内容を検分すると,一つ一つが独立した看板ということが条件で,大きな看板1枚はだめだが,小さい看板が別々に立っているのはよい,という解釈になる。例えばそこに看板を立てるスペースがあれば,私共が1㎡の看板で我慢すれば,他社がまた別々の看板を1㎡以内での申請で,いっぱいそこに1㎡以内の看板を建てていく可能性がある。これは美観的に見ても大きな看板が一つ立っている方が良いと思うが。1㎡未満のものが複数建っていくことに対して,何個まで許可されるかは聞かなかったが,それは非常に私的な問題なので,美観地域を守るという観点から,これは指導の理念をはっきりした方がいいと思う。むしろその場所では看板は絶対にだめだということであれば,我々は広告をあきらめるが…。そこに広告物がなかったら,後ろにある非常に古い家が見えないし,看板がちょうど塀の代わりになって風を防いでいるから助かっていると言っている。その辺の見解はどうか。
○美観の問題の中に電柱と電線の問題がないが,京都は非常に多くの電線がある。これについてのいわゆる行政の取組として,審議会で提言していかなくてはならない一つではと思うが…。
○資料の中に京町家の絵が描いてある。共通しているのは必ず格子窓がある。これは伝統的な形式ということで,行政の指導の中では縦の線を入れられるわけだが,中に居る者からすると檻である。火事や地震で逃げ出そうとした時この檻が障害になって脱出できない。つまり人命尊重という立場から言えば,中に人が居るとした時,美観的には良いかもしれないが,最悪の表現をすれば,中で焼け死ぬ人が出る可能性があるという点では,美観が第1かもしれないが,指導の折りに,中から蹴ったら外れる格子にする,等の指導を追加すれば,守られるという気がする。美しい建築物には必ず格子窓が描いてある。観光で来る人は中に住んだことはないので,外から見てきれいだなぁと言って,まるで檻の外から中に住んでいる者を見るような感じで,見て通っている。

(事務局)
○3点目だが,イメージ図で左端に京町家の絵を描いているが,美観地区の制限内容はその京町家の横からが制限である。京町家と共存するように家屋を考えて下さいということで,格子窓を付けて下さいとかそういう内容は入れていない。窓なしの絵があるが,この部分が美観地区の制限である。
○電柱・電線だが,先程,制度の一覧表を見てもらったが,その中で拠点整備,歴史的景観保全修景地区とか,界わい景観整備地区,伝建地区などの拠点整備の地区指定をしている所から順次進めている。

(委員)
○地元の賛同が得られないとなかなかできないことである。

(事務局)
○拠点的な景観整備の地区指定ができる地区はかなり住民の方々も景観に対する意識が高いので,意外とまとまる。
○広告の方だが,建物に付いている広告と,置かれる広告物がある。いずれにしても1個当たり何㎡で,総量何㎡までという規制があるので,10でも20でもいいということにはならない。

(10) 資料-7 「建築指導行政について」の説明
(事務局から説明)

(11) 審議

(委員)
○地区計画の中に,中低層基調ということが出てくるが,中低層とはどういったものとして理解をしたらいいのか。

(事務局)
○建築物の高さの関係で高層,中層,低層という言葉が使われるが,はっきりした定義というものはないが,大体今までの取り扱いの感覚の中では,5階程度までを中層という位置づけをして運用していたこともある。6階を越えると,今はバリアフリーとかいろいろな問題があるが,エレベーターの設置が加えられ,大体それ以上を高層という位置づけをしていたことがある。この場合は地区計画なので,地域の中で具体的に何階というようなものを定めてもよいかと思う。

(委員)
○今日説明があったように,文化財,都市景観,建築指導行政など,様々な規制や条例があるわけで,我々審議会として必要な知識が共有できたことになるが,これだけ条例や規制があっても,職住共存地区ガイドプランのような目標はなかなか達成できていない。建築の動向や文化財,マンションの写真を見ても,ガイドプランそのものの目標とは違った形で進んでいっている。

(委員)
○文化財の指定について感じたのだが,指定を受けた一つ一つの建物も素晴らしいと思うが,指定に特徴がある。文化財指定を受けているものを見ると,いわゆる洋館建築と呼ばれるものだが,ここで議論されているはずの職住共存地区のまちなみ保全と異にする建物が多い。これは一体何であったのかということをもう一度考えてみる必要があると思う。一つ一つの建物で見た時には面白いものも多いし,興味もあるが,現実に文化財指定を受けているものでもまちなみや町を歩いている時に違和感のある建物もある。それなのに共通していることは,すべて「住」が存在しない建物である。そこに何らかの職は営まれたとしても,個人の職ではなく,集団として職が営まれていたわけで,少なくともそこに住は存在していない。これらの建物が建ったのは,明治以降から大正にかけて,ないしは昭和の初めだったと思う。その時代に京都で何が起こっていたのか,そして今建物としての文化財価値は認めるが,まちなみとか京都の中で見た時に,いったいこれは何を意味しているのか。この件に関しては,京都のまちなみや景観を考える中で,あまり議論されなかった部分である。職住共存という形でまちなみの保存ないし,再生というのは何を意味しているのか。再生とはどこに戻そうとしているのか。何を変えようとしているのか。京町家とは違うものが価値を持って認められている。少なくとも文化財としての価値を持っていることは市が認めているわけなので,その辺りのことも一歩踏み込んだ形で議論されればと思う。

(委員)
○非常におもしろい意見である。

(委員)
○文化財というものをどう考えるかという話だと思うが…。一つは,まちの中に一つ特異なものがあること,まちの中に皆と同じじゃないものが一つあるということも大事な魅力であるので,それが文化財という考え方は大切である。古いものが大事ということから,美しいものが大事ということになり,だんだんと文化財の概念が広がっていって,皆が大事にするものが文化財であるということに広がりを持ってきている。京都の中に,キリスト教の教会とか,三条通にある近代建築が存在していることは,皆もおそらく価値を認めており,それは確かに大事なことだと思う。
○それをどう評価するかはいろいろあり,一つは文化財という考え方,もう一つは景観に貢献しているという考え方がある。景観に貢献しているという考え方はまた2つに分かれ,一つはまちなみの景観,つまり周囲の京町家の中のモデルになるような京町家があるという考え方のものがある。もう一つは京町家が連続している中で際立ってまちのシンボルになるとかそういうすごく多様なものがあるということは認めなくてはいけない。それもまた次のご提案でどう評価するかということは非常に難しい問題で,職住共存のこの田の字型の地区の中には,いろんなものがあるということである。その中に近代建築もあるし,現代建築も,木造もある。これは大事なことで,これからも町家的な街区構成ということになると均質なまちなみを目指していくのか,例えば,瓦屋根がずっと並んでいるまちなみ,ある程度スカイラインが揃ったまちなみを想定しがちだが,そこに例えば三条通の近代建築のように真四角だが,ボリューム感が押さえられていてデザインの密度が高いものがあって,というのも非常にこれからの目標像を考えていく上で是非盛り込んで行かなくてはならない点だと思う。新しい建物が建っていく時にも,そういうものを懐深く,例えばこの通りに対して,異質なものだが非常に景観に貢献するものをどう扱うかということも議論を深めていかなければと思う。まさにこの文化財を見ると,街区の中でキリスト教の木造の教会,杉本先生の立派な京町家が集中しているところは地図を見ても非常に大事なことだと思う。
○文化財のカテゴリーの中で,庭園とか文化財環境保全地区という環境レベルの文化財的な考え方があって,これは意外と京都市が持っているメニューの中で,もっと大事なメニューで,京町家の庭や寺の庭,それから建物1つを指定すると,その周りは文化財を取り巻く環境としてある程度テリトリーとして,規制をかける制度を持っている。これは今のところ田の字型ではないと思うが,こういうものの運用も考えて欲しいと思う。

(委員)
○文化財の中で誰も住んでいないということが出ましたが,その点はどうか。

(委員)
○職住共存の中で何も全部住んでいなくてはいけないということはないと思う。まちの中には住んでいる建物があれば,住んでいない建物もあるという解釈でいいと思う。ただ,住んでる方の文化財がこの中で見ると極端に少ないのはその通りだと思う。逆に言うと残したいと思っている方が京町家を,再生という言葉は敢えて避けるが,そこをもう1度作り直して商売していきたいと思っている方にとって,文化財の指定の敷居が高いということがこれで分かると思う。

(委員)
○住んでない文化財のことで感じたが,先日委員会を開き,マンションに住んでいる方の意見で,あるマンションの話があって,それに反対している方々が旗をたくさん出している。そのマンションに住んでいる方が,早くあの旗を降ろして欲しいと。どういうことかと言うと,京都の町中でこの高い建物に住んでいる,それを皆が反対していると。一歩表に出たら,皆に白い目で見られているような気がしてならないと。これは本当に地域生活を進めていく上で,マンションに住んでいる方々の気持ちも汲み取りながら話を進めているが,現実として,それよりも早いスピードでマンションが建ち,一気にそこに住む人々が増えるという現状を地域の者として,地域性が今まで田の字地区の中で自負している部分は,他の地域よりも地域活動がより優れ,また地域全体で子供達を見ていこうという気持ちがあるわけである。
○平成10年にガイドプランが出てきて,我々の地区は,学校の統廃合の問題,跡地利用の問題があった。だから,新しいまちづくりといっても皆の気持ちには学校という思いが強い。そこから抜け出すことができなかったというのが現状である。そういう中で,マンションがたくさん建ってきた。そのマンションに住んでいる方と早く連携を取っていけるような体制を作りたいというのが,我々のまちづくりの気持ちである。箱ものがどうであるとか,まちなみがどうであるというのはそこに住んだ人間が作っていくわけだから,当然京都らしい京都の都心部に住んでいるという誇りを持ってもらうためには,我々もより良い地域活動をしていかなければならないと思っている。そういうところも十分に考慮しながら話し合いを進めていって欲しい。

(委員)
○再生についてはどうか。

(委員)
○再生とは何かという時に,再生というからにはかつてモデルとなるものがあったということで,それはどういうことかというと京都が最も栄えた時期というのは都であった時期である。おそらく京都はこの100年間ぐらいは全然大した努力をしていなかったと思う。つまり京都ブランドというのはこの100年,それ以前に作られたもので,ほとんど成立している。都として京都という都市空間が特別優れているというわけではなくて,京都に行けば,最高の学問ができるとか,最高の呉服屋さんがあるとか,つまり最高のものが集まっていた京都の力と言うか,活力と言うか,そういうものがもう1度復興するかどうかと私自身は理解している。それがかつてと同じ形ではなくて,新しくベンチャービジネスもそうだと思うし,まちなみも重要な一つの形態的な要素だと思っている。
○提案であるが,職住共存地区を考える時のスタートラインとしてガイドプランが提示していることは,こういったことをしようということだけを言っていて,具体的な施策が何もない。我々は具体的な施策について何らかの提案をしていかなくてはいけないが,資料を基にそれぞれの意見を毎回発言できるのが一人当たり3分程度では,なかなか施策の提言はできないと思う。建築や都市計画の専門家だけではなく,いろんなジャンル,いろんな問題意識を持っている委員がいるので,別に強制ではなくて,こういうことを提言してみたいと思っている委員は,例えばA4判1,2枚で出してもらい,出たものについて審議をするということがあってもいいと思う。作業部会としてではなく,一委員として思う。今日までは勉強会だったが,次回以降はそういう議論ができればと思うがどうか。

(委員)
○今回までは発言の時間が全部で1時間もない。共通の意識を持つということでそうだったが,次回に向けて,何か問題提起をできるならば,事務局にお願いしたいと思う。

(委員)
○再生という概念についてだが,長い目で見て,経済的な面も含めて,中世,近世以来の過去の京都の繁栄との対比の中で再生を考えるという視点は確かに重要だろう。ただ,この審議会の設置主旨に照らし合わせて,直接的には一体何が問題なのかを考えると,もう少し別の概念整理ができそうである。例えば,都心部でのマンション建設が物的な環境に多大な影響を与え,それをどうするかということが大きな課題だが,従来のマンション建設は,それだけではなくて,地域社会に対して甚大な社会的影響を与えてきたことも見逃せない。マンションが建つと紛争が起こる。紛争が起こることによって地域社会の中でいろんな亀裂が起こるというようなこともよくある。マンションが建って周辺の物的環境がどうなるのかということだけではなく,マンションが建つという現象が地域社会全体の社会的機能,まちの自律性や自己マネジメント能力を壊していくということが現実にあちこちで起こっている。ここが職住共存地区問題の一番大事で難しいところだと思う。さらに,この社会的影響は,直接的には,建築物が建つという物理的な事柄によって起こるわけだが,問題は建設時だけでは終わらない。建ってからも皆が苦労するわけで,マンションの居住者と古くからの住民の関係など,様々な地域社会の人間関係にかかわる問題が継続してずっと起こっている。こうした問題発生の仕組みをもう少しきっちりと捉え直して,地域社会そのものの力が弱まっていくことを何とか食い止めて,逆に地域社会の自律性や自己マネジメント能力を再び蘇らせる,という,これが再生の本質的な意義ではないかと思う。環境そのものをもちろん再生するということは,それに関連して,或いは直接的には重要かもしれないが,地域社会が持っている基本的な能力を何とか現代的な社会環境の中で再生して,持続性のあるシステムを作っていくという,大きな目標の中で議論を行わなければならないと思う。

(委員)
○職住共存地区整備ガイドプランを議論の出発点とすることについては了解したが,この資料に書かれている「定住」について確認したい。定住が基本とは思うが,都心部の問題は流動性が低下している点にもあると思う。例えば高齢化の進展や職の内容が変わるときに,町家の利用がうまく次に繋がっていかないとか,或いは売ることになってしまうとかいうのも,流動性の低下の現象といえる。人も,職も,土地利用も,建物の空間利用もそうだが,うまく繋いでいく,動かしていくこと,地域のマネージメントとともいえると思うが,このような認識はこれまでどのように議論がされたのか確認をしたい。空間も住むことも働くことも,いかにうまく流動させながら常に元気であり続けられるかという議論はこれまであったのか。

(委員)
○5,6年前の経緯になるが,資料3の2ページに活力を支えていく循環の構図というのがあるが,この議論をかなりやった。職に関しても伝統産業が家業から職業に変わるような新しいビジネスの形ができている。これも受け入れなくてはいけない。都心の経済的活力を得るためには,そういう新しいビジネスのタイプを確立させよう,と。また住民に関しても,住まい続けたい,定住したいという方がいる限り,それを支援することは言うまでもない。当時中京区の人口は急激に減少する大きな流れの中にあったので,一定の住み替え,新しい住民の方に入って来てもらうようなサイクルを作ろうとした。その中で,京町家を重視した定住促進の部分とまちなみに調和したような新しい住宅を作っていくことで,新しい住民を受け入れるということを踏まえた,住み替えを含む循環の構図のサイクルを,何とか良好な循環を取り戻す,この循環こそが再生であるという議論をした上で住宅のタイプも考えた。ただ,その時の議論は,地域社会の能力にかなり期待をした。健全な地域社会の能力によって,一定の共存というか,共生のルールが地域社会でできるだろうと。それが協働型地域,協働型地区計画に繋がるであろうと。幾つかの所ではそういう地区計画を作っていた。また学区単位でなくても建築協定を作ったり,地区計画の準備をしたり,様々な努力をしている住民はいる。しかし,ここ数年マンションの建設が激しく,今の現行法規の中では,地域に次から次へと争いを起こしてしまう状況があって,この厳しい現実があるが故に,地域社会の能力が発揮できない。地域社会の能力を引き出すような,或いは地域の協働化を促進するために,職住共存地区のガイドプランに加えて何か施策が必要であるというのが今日の議論の課題として次回に引き継がれると思う。
○いろいろと資料の説明を受けたが,文化財の分野にはあまり過大な期待をしない方がいいと思う。文化財行政というのは基本的に所有者管理が原則であり,かつ文化財の指定・登録に関しては所有者の同意が必要であるというところに,文化財制度の弱点があって,現に職住共存地区の中には,市の方からは文化財に指定したいという申し出を受けていながらもそれを断っている方,もちろん登録をして欲しいという方もいるが,断るようないろいろな事情があって,なかなか文化財制度を使うということは難しくなっている。さらに資料5の(4)のところに市街地における文化財の問題点があるが,現時点ではこんなに少ない数の文化財しか指定・登録してないが,それにもかかわらず,その数少ないものすら守れないような制度になっているということをかなり真剣に考える必要があると思う。
○景観行政の建造物の修景をもう少し触れないかとか,建築指導行政の中で建築基準法による特別用途地域を・・とか我々に対してかなり誘導的な説明があったが,この部分を強化していくと施策なり新しい制度なりができるのではないかと思う。何かこの辺で少し絞るべき点を言っていかないと,地域社会に,マンションの住民と建築協定を作って京町家を守ろうという両者の所に行って新しいルールを作ろうと言っても,なかなか時間がかかると思う。一旦対立が起こっているわけだし,ますますこれから対立の原因になるようなマンションが建ち続けるのだから,それをなんとか早く食い止めて,地域の合意形成が取れる所まで支援するような施策とは何かということだと思う。その辺に議論を絞っていかないといけないと思う。

(委員)
○再生というキーワードを提示していただいて本質的な議論ができたかと思う。今の議論を聞いていると,単に建物を再生するわけではなく,景観だけの問題でもなく,マンション住民を含めてコミュニティを再生し,経済的には賑わいを作らないといけないだろうし,新しい環境を作り出していかないといけない。再生という意味は,なかなか一言では定義できないものだが,これだけでも非常に広い概念のような気がする。それをやっていく道具立てとして今まで我々が勉強してきたのだが,道具立てだけではどうも不完全らしい。では何があるのか,ということが我々に問われている課題だと思うが,なかなか難しそうである。これからは皆に知恵を絞ってもらわなくてはいけないと思う。

3 次回の日程調整

(事務局より連絡)
○次回の第3回審議会の開催は6月13日水曜日,午後4時から6時半まで京都ロイヤルホテルで予定をしている。
○事務局主催の町歩きをしたいと思っている。日時は5月19日土曜日1時から4時半までで行いたいと思う。コース等の詳細については,事務局で検討して先生方にお知らせする。

4 閉会

お問い合わせ先

京都市 都市計画局まち再生・創造推進室

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ファックス:075-222-3478

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