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門川市長臨時記者会見(2018年1月26日)

ページ番号231539

2023年4月12日

平成30年度予算案の概要

 平成30年度予算案については,現在編成作業の大詰めを迎えているところですが,予算額も固まってまいりましたので,本日はその概要を御説明します。 はじめに,予算編成に当たっての,私の考え方を申し上げます。

 今年は,明治150年,そして,京都が,近代における真の自治権を獲得してから120周年,さらには,京都が都市の理念として掲げた「世界文化自由都市宣言」から40周年に当たる,まさに節目の年であります。

 150年前,千年を超えて続いた都の地位を事実上失い,人口が3分の2に激減するという,文字どおり都市存亡の危機の中で,先人達は,「京都をこのまま衰退させてはならない」と立ち上がり,直ちに行動を起こしました。

 全国初の64の番組小学校創設,全国初の芸術大学,工業高校の創設により,人づくり,文化芸術を基軸としたものづくりに尽力いたしました。さらに,琵琶湖疏水や,日本初となる水力発電所,市電の開業など,先進的な取組に次々と挑戦し,今に至る京都の礎を築きました。

 そして,40年前,市会の議決を得て,「世界文化自由都市」を宣言して以来,これをあらゆる政策の最上位の都市理念として,「優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市」の実現に向け,文化を基軸とした都市経営を推進してまいりました。

 今,世界各地で紛争が絶えず,我が国周辺でも国際的な緊張が高まり,格差や環境破壊等の問題も深刻です。こうした今だからこそ,先人達の志と偉業に学び,文化を基軸に,人づくり,観光,福祉,まちづくり,あらゆる政策分野を融合して,京都の持つ潜在力を最大限に引き出す機会である,私はそのように考えております。

 この機を捉え,30年度は,厳しい財政状況の中にあっても決して守りに入ることなく,京都の未来のための先行投資を積極的に推進いたします。

 徹底した行財政改革の断行により財源を捻出し,市民生活の安心安全,全国トップレベルの福祉,教育,子育て支援にしっかりと予算を確保すると同時に,「文化力」をはじめとする京都の強みを最大限に活かした成長戦略,宿泊税を財源とした,市民,観光客,観光事業者,すべてのひとの満足度を高める「住んでよし,訪れてよし」のまちづくりなど,京都の今と未来に真に必要な施策を展開してまいります。

 これらにより,30年度予算は,京プラン実施計画第2ステージに掲げる307の施策,この全てを着実に前進させる「未来を展望し挑戦する予算」として編成いたしました。

 それでは,30年度に推進する具体的な施策の内容につきまして御説明いたします。

 施策の推進に当たっては,縦割りを排し,あらゆる融合・連携を徹底しながら,ここに掲げる重点課題にしっかりと対応するとともに,宿泊税を財源に「住んでよし,訪れてよし」のまちづくりを加速させてまいります。

 まずは,「日本の“こころの創生”を牽引する『世界の文化首都・京都』の実現」です。文化庁の機能を強化した上での全面的な京都移転を見据え,文化を基軸に,産業・観光・福祉・まちづくり,そして教育・ひとづくりといった,あらゆる政策分野を融合し,京都の潜在力を余すところなく発揮してまいります。世界中で格差,紛争,環境破壊などの問題が絶えない中,文化による世界との交流と平和の実現を追及する「世界文化自由都市宣言」の理念を,改めて広く共有することの重要性が高まっていると痛感しています。

 40周年の節目を機に,宣言の普遍的かつ今日的な意義や,世界文化自由都市・京都の使命等について,市民の皆様と共有し,文化を基軸としたまちづくりの更なる進化と,文化による日本,世界への貢献につなげてまいります。

 そして今年は,明治改元から150年となる「明治150年イヤー」であります。さらに,明治31年に市制特例を撤廃させ,京都市役所を開庁し,市民による市民のためのまちづくりが可能となってから120年目に当たります。市民の皆様とともに,明治維新で都市存亡の危機に立たされた先人たちが成し遂げた偉業に学び,文化・教育・人づくり・観光・伝統産業・まちづくりの振興など,あらゆる政策分野を融合し,京都の今と未来に活かすための様々な事業を展開いたします。

 次に,「文化によるひとづくり」です。京都の,日本の文化を将来に伝えていくためには,優れた伝統や文化の担い手となる「ひとづくり」が何よりも大切であります。そのために,文化庁とも連携し,伝統芸能の継承に向けた取組や,文化芸術の力を様々な社会課題の解決につなげる取組を行うとともに,次代を担う子供たちが,伝統文化など「ほんもの」の文化芸術に触れることのできる機会を充実いたします。さらに,障害のある方々が,文化芸術に触れ,創り出すことのできる場を充実する取組も展開してまいります。

 「文化によるまちづくり」も強力に推進するため,京都ならではの個性豊かで洗練された景観・文化の象徴である京町家を,将来世代に継承していく取組を充実・強化してまいります。「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」に基づき,保全・継承に係る助成制度の創設・拡充,流通・活用機会の確保,京町家の価値の共有,そして,これらの取組の効果を高める施策の4つの柱に沿って,積極的に取り組んでまいります。

 また,京都の歴史や文化を象徴する建物や庭園を公募により選ぶ“京都を彩る建物や庭園”制度について,認定や選定を行った未指定文化財等への助成制度を充実することで,保存・活用及び公開を促進してまいります。

 今年は,京都市がパリ市と友情盟約を締結してから60年目の記念すべき年でもございます。これを契機に,本市とパリ市との間で文化や観光面での交流を行うとともに,「京もの」の新たな市場開拓を支援するなど,伝統産業の振興につなげてまいります。また,障害者芸術の活性化においても,パリ市と本市の障害者芸術を一堂に集めた作品展を開催します。京都の伝統文化を支え,市民の生活文化に脈々と息づく伝統産業の更なる振興については,他にも様々な施策を展開いたします。伝統産業の魅力を発信する拠点である「京都伝統産業ふれあい館」のリニューアルや,伝統産業製品を活用した京都ならではのMICEブランド力の強化に取り組んでまいります。

 また,世界遺産・二条城については,文化財の保存と活用のモデルとなることを目指し,その価値と魅力を,活かし,高め,将来にわたって受け継いでいかなければなりません。有識者からなる「二条城の価値を活かし未来を創造する会」の提案を踏まえ,石垣景観の整備やガイドブックの作成に取り組んでまいります。

 次に,「京都の強みを最大限に活かした地域経済の更なる活性化」です。私の市長就任後,国とも歩調を合わせて全力で取り組んできた経済政策は,確実に成果を上げています。雇用情勢は,有効求人倍率が高水準で推移するなど大幅に改善しているとともに,好調なインバウンド需要や企業の生産活動に牽引され,京都経済は緩やかに拡大が続いております。

 一方,中小企業の働き方改革の実践や担い手不足の解消,事業承継への対応,更には,日本の文化を支えてきた伝統産業やまちの賑わいを創出してきた商業の活性化などの喫緊の課題にしっかり取り組む必要があります。京都市中小企業未来力会議では,多様な業種の若手経営者等が集まり,非常に活発な議論が行われています。未来力会議における「現場の声」を反映した実効性ある取組を推進し,中小企業の活性化・担い手確保にしっかりと繋げてまいります。

 こうした取組をはじめ,京都の持つ強みを最大限に活かした経済活性化策を強力に推進することで,現在の景気回復の効果を市内の隅々に行き渡らせ,市民所得の向上,更には,担税力の強化を実現いたします。

 まず,未来の京都の成長・発展を支える学術研究・先端産業用地の創出です。来年度は,京都の未来を牽引する産業集積のあり方や用地創出に向けた具体的な手法の検討等を行います。京都の持つ強みを活かした新事業の創出では,健康・医療分野のビッグデータを活用した新事業の創出に取り組みます。

 重要となるのが「京都ならではの働き方改革」の推進であります。モデルとなる企業の創出や,先進事例の周知,企業が「働き方改革」を実践していくための仕組みづくりなど,市内中小企業の取組を後押しするとともに,「真のワーク・ライフ・バランス」の実現に向けた全市的な気運を更に高めてまいります。さらに,多様で個性的な商業の振興を図るため,若手商業者の創業・成長を支援いたします。

 次に,中小企業の担い手確保に向けて,観光関連産業をはじめとする市内中小企業の情報・魅力を,学生や求職者に発信するとともに,事業者の円滑な事業承継を支援してまいります。さらに,京北地域の活性化に向けて,農業事業者が行う経営力強化・担い手確保の取組を支援し,京北地域への移住・定住を促進してまいります。

 観光は引き続き好調ですが,同時に,観光と市民生活の調和を図っていく,そして観光の質を高めていく,こういったことがこれまで以上に重要であります。

 新たに導入する宿泊税を財源に,京都に住む方,そして京都を訪れる方,すべての方々の満足度向上につながる取組を強力に展開いたします。観光地等の混雑緩和は喫緊の課題であります。「手ぶら観光」の普及促進や観光地の分散化,朝観光,夜観光の推進により,解消を図ってまいります。また,おもてなし環境を更に向上させるため,観光地や公園のトイレリニューアルなどを推進してまいります。

 宿泊税の導入には関係事業者の皆様の協力が不可欠であり,旅館をはじめとする宿泊施設の経営力強化に向けた支援等を実施いたします。また,全庁を挙げて,違法な「民泊」の根絶,「民泊」の適正化に全力で取り組んでまいります。

 3つ目の重点課題は「市民のいのちと暮らしを守り,子育て・教育環境を一層充実」です。子育て環境の充実については,これまでから,厳しい財政状況の中にあっても多くの財源を振り向け,4年連続で国基準による「待機児童ゼロ」を実現しました。これは,人口100万人以上の都市では唯一であり,全国トップ水準の取組を続けてまいりました。30年度においても,「量」,そして「質」の両面での保育環境の向上を着実に推進いたします。

 本年4月には,過去最大となる1,234人の受入枠を増やします。さらに,31年度以降に向け,まずは363人分の受入枠を拡大する予算として15億4千万円を計上し,整備を進めてまいります。また,質の高い保育を支える担い手の確保についてもしっかりと取り組んでまいります。

 こうした取組に加えまして,多様化する保育ニーズへの対応も進めてまいります。

日常生活を営むために医療を要する状態にある児童,いわゆる「医療的ケア児」については,保育士での対応が困難なケースがございます。国の支援策としては,対象となる施設数が限られるモデル事業の実施にとどまっておりますが,本市では,独自財源を投入し,「医療的ケア児」の受入に当たって看護師を配置する保育所に対して助成を行ってまいります。

 また,病児・病後児保育,一時預かり保育についても,実施箇所の拡充を図ってまいります。教育環境の充実については,「教育」と「文化」で未来を切り拓き,今日の京都の礎を築いてきた先人の知恵に学び,まちづくりの礎となる教育,ひとづくりにしっかりと取り組んでまいります。

 来年度は,新たな増収容対策・老朽化対策に向けた計画策定に着手するとともに,小中一貫教育校の整備,地域の皆様,保護者の皆様とともに進める学校統合についても,これまでの取組の成果をしっかりと結実させるよう,着実に推進してまいります。

また,新しい普通科系高校,及び新しい定時制単独高校についても引き続き,整備を推進いたします。教員が子どもたちに向き合う時間を確保するため,教員の「学校における働き方改革」は非常に重要であります。あらゆる取組によって,これを強力に推進いたします。

 次に,年齢を重ねた方や障害を抱える方など,すべての人がいきいきと暮らせる まちづくりにも取り組んでまいります。これまで,一部の地域を対象にモデル実施してきた障害のある方の休日・夜間相談受付について,対象を全市に拡大するなど,支援を充実いたします。また,新たに策定する「第7期京都市民長寿すこやかプラン」に基づき,介護基盤等整備を着実に進めるなど,「健康長寿のまち・京都」の実現に向けたまちづくりに取り組んでまいります。

 次に,危機への備えに万全を期し,市民の安心・安全を守るため,防災・減災対策や既存インフラ設備の老朽化対策を推進します。これまでから,厳しい財政状況の中でも災害時の都市機能を確保するため,橋りょうの耐震補強などに最優先で取り組んでまいりました。橋りょうについては,「いのちを守る橋りょう健全化プログラム」に基づき,一層の対策を進めてまいります。

 また,災害発生時の緊急輸送を円滑かつ確実に行うため,落石・斜面崩壊等の災害を未然に防止する工事を行うほか,水災害への備えとして,普通河川緊急対策や排水機場の老朽化修繕を計画的に推進いたします。さらに,民間保育所等の社会福祉施設の耐震化についても,引き続き取り組んでまいります。スポーツ・文化施設については,大規模施設の改修・整備を着実に進めるとともに,計画的に維持・修繕を実施してまいります。

 4つ目の重点課題は,「参加と協働による地域の個性と活力あふれるまちづくり」です。これまでから,あらゆる施策・事業について,市民・地域の皆様の御意見をしっかりとお聞きし,市民が主役の市政を進めてまいりました。来年度も,徹底した市民参加のもと,地域の個性を活かしたまちづくりを推進してまいります。

 まず,きめ細やかな市民サービスの向上のため,区役所の窓口改革を推進し,その一環として,住民票などの各種証明書のコンビニ交付を30年度後半に スタートいたします。北部山間地域については,自ら現地に居住して,地域住民と連携しながら活性化に取り組む,北部山間かがやき隊員を2名増員するなどにより移住・定住を促進してまいります。「歩くまち・京都」の推進といたしましては,東大路通の歩行者分散化の新たな取組として,景観舗装等により,魅力ある道路を整備し,回遊性を向上させるほか,桃山駅などにおけるバリアフリー化を推進します。また,今後,交通機関の混雑緩和策などを検討するため,携帯電話位置情報などのビッグデータを活用した交通流動実態調査を実施いたします。

 ここからは,政策の垣根を超えて展開する,宿泊税を財源とした事業の全体像について,考え方を申し上げます。宿泊税は,財政が厳しいから入洛客に御負担いただくという単純な考え方で導入したものでは決してありません。これまで,市民の税金を用いて様々な受け入れ環境の整備を実施してきましたが,それを観光客の皆様にも一定の御負担いただこうというものです。市民の皆様にとって住みよい京都を目指すと同時に,入洛客の方々にも満足度の高い,50年後,100年後も「日本に京都があって良かった」と実感していただける,より魅力的な京都を目指す。そのために,この貴重な財源を活用して,京都が国際文化観光都市として更なる飛躍を遂げるための環境整備を強力に展開してまいります。

 平成30年度予算における具体的な使途につきましては,こうした考えのもと,「市民,入洛客,観光に関わる事業者」の皆様が宿泊税導入効果を実感できる取組を,全庁を挙げて検討・議論してまいりました。

 1点目は「混雑対策」。これまでから,季節,時間,場所の3つの集中の打破に取り組んでまいりました。季節の集中については,効果が表れてきております。約13年前の11月と1,2月の観光客数の差は,3.6倍でしたが,現在では1.5倍まで縮まりました。しかし,時間の集中については,依然として午後から夕方に集中しており,場所の集中についても,観光客の方が訪れた場所をSNS等で拡散することも関係しているのか,集中が加速されている状況であります。そのため,朝観光,夜観光のさらなる推進,様々な魅力ある地域の発掘,そして,市バス等の公共交通機関の混雑を緩和し,市民・入洛客の快適性を向上させるための取組を推進してまいります。

 2点目は「民泊対策」。違法・不適切な民泊については徹底的に指導し,市民生活の安心・安全を確保してまいります。

 3点目は「宿泊事業者支援」。宿泊税の導入にあたっては,宿泊事業者の協力が不可欠であります。旅館をはじめとする宿泊事業者への負担軽減策や経営強化に向けた支援策をしっかりと行ってまいります。

 4点目は「受入環境の整備」。外国人をはじめとする観光客等の増加に着実に対応できるよう環境整備を行うことで,市民生活の満足度も高めてまいります。

 そして,5点目は「京都ならではの文化振興・美しい景観の保全」。千年を超える歴史が育んできた京都の伝統文化,伝統産業,そしてこれらが織りなす景観。こうした京都ならではの魅力の担い手を育み,次の世代にしっかりと引き継ぎながら,京都の文化力や都市の品格,魅力を一層向上させる施策を推進してまいります。

 ただいま御説明いたしました施策を盛り込んだ30年度予算の規模は,特別会計,公営企業会計も含めた全会計で1兆7,157億円,一般会計で7,845億円となります。一般会計は,南部クリーンセンターの建替えなど大規模改修,美術館の再整備など未来への先行投資,こういった公共事業が進捗することにより,対前年比で176億円の増となりました。

 また,私が市長に就任した当時,多額の累積赤字を抱えていた国民健康保険事業でございますが,これまでの徴収率向上や医療費適正化の取組に加え,国の財政支援の拡充もあって収支改善が進み,30年度は,一人当たり2.2%の保険料引き下げを実施いたします。これは,27年度に2.5%引き下げて以来の大きな引き下げとなります。そして,京都市財政最大の課題であった地下鉄事業については,計画から1年前倒しで経営健全化団体から脱却する見通しです。

 次に,一般財源収入の状況でございます。来年度は,市民税個人分が7年連続の増収,固定資産税は6年連続増収と,堅調な伸びが見込まれるとともに,昨年度は大きく落ち込んだ市民税法人分も,来年度予算では増収となる見込みです。また,宿泊税の収入額を19億円見込んでおります。

 このように市税収入が大きく伸びることなどから,一般財源収入総額では,前年度から73億円の増を見込んでおります。しかしながら,一般財源収入のピークであった平成12年度との比較で申しますと,国のいわゆる「三位一体の改革」以降,地方交付税等が,市税収入の増加を大きく上回って削減されており,ピーク時の4,205億円から300億円以上も減少した状況が10年以上も続くという,非常に厳しい財政状況となっております。

 このように厳しい状況が続く中,昨年11月にお示しした来年度の収支見通しでは,実に350億円もの収支不足が見込まれました。そうした中にあっても,決して縮小一辺倒になることなく,現下の課題にしっかりと対応するとともに,未来を見据えた施策を進めていく。同時に,将来世代の負担を可能な限り縮減する。そのために,徹底した事業見直しをはじめ,収支不足の改善に取り組みました。

 まず,財政構造改革の断行であります。179人の職員数削減などによる人件費23億円の削減,あらゆる政策分野における事業見直しや財源確保の徹底,資産の有効活用の推進によりまして,121億円の財政効果を生み出しました。

 また,一般財源収入については,昨年11月の見込から,法人市民税など市税収入の見込みが改善したことなどにより,48億円の増となりました。これらの結果,収支不足額は223億円改善して,30年度当初予算における収支不足額は127億円となり,平成29年度予算における収支不足147億円からは20億円縮減することができました。

 全国トップ水準の福祉や子育て・教育支援,そして市民の安心・安全をしっかりと守り,京都の未来に繋げていく先行投資を推進するため,この財源不足127億円については,行政改革の取組により将来の財政負担が軽減される額の範囲内で活用することができる,行政改革推進債の発行や,公債償還基金取崩しによる「特別の財源対策」を講じてまいります。

 最後に,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除く実質市債残高の状況です。全会計では,実質市債残高を前年度から178億円減らし,1兆6,898億円となる見込みです。市長就任当時2兆円近くあった残高を,この10年で3,000億円以上,15%縮減することができました。一般会計についても,新規の借り入れ550億円については返済額595億円を下回るよう抑制しております。「特別の財源対策」である公債償還基金の取崩しを実質市債残高の増として取り扱っていることから,これを含めると前年度末残高から26億円の増となっておりますが,この10年では1,000億円近く縮減しております。

 今後とも将来世代の負担を可能な限り軽減するため,市債発行額の抑制に努めるとともに,成長戦略と財政構造改革を一体的に推進し,「特別の財源対策」の縮減を目指してまいります。

 御説明は以上です。来年度予算案に盛り込んだ取組について,2月市会に提案し,御審議いただくことになりますが,スピード感を持って着実に実践し,未来をしっかりと見据えながら,市民の皆様が安心・豊かさを実感できるまちづくりを進めてまいります。

質疑応答

(平成30年度予算について)

記者

 厳しい財政状況の中で,特に市長がこだわった事業や苦労された点などはありますか?

 

市長

 京都の計り知れない強みである文化力や歴史力などを活かしきり,文化,教育,人づくりなどを実行して魅力ある「住んでよし,訪ねてよし」というまちづくりをしていきたいです。今年は,明治維新から150年,京都が自治権を獲得してから120年,世界文化自由都市宣言から40年。文化庁の全面移転などを踏まえ,文化による人づくりや教育で未来の京都を展望していく。文化と中小企業の活性化やまちづくり,福祉の融合を徹底してできた時に,京都の未来がさらに拓けていくと確信しています。なお,宿泊税の収入額を19億円と見込んでいますが,議論を踏まえて制定いただいた宿泊税を有効に活かすことを考えていきたいです。

 

記者

 平成30年度も公債償還基金の取り崩しをするということですが,改めて財政状況が厳しい中で投資型経費を増やしていくといことについて,市民への説明など踏まえてどのようにお考えでしょうか?

 

市長

 一つ一つの事業を厳しい財政の中で総点検しています。例えば,今年大きく予算が増えたのは,横大路のクリーンセンターです。市民生活を守るために必要不可欠な事業です。また,美術館も建設後90年経ちましたので,民間のネーミングライツの資金も含めてしっかりと回収することによって,京都経済の活性化につなげていきたいです。そして,あらゆる視点から,将来の糧になる,世界の文化首都になっていくように予算を組んでおります。明治の初め,食べていくことも困難な時代に,先人たちは芸術大学や小学校を作られました。それらに倣って,保育所や小中学校,高校の教育条件の制定をしっかりと進めることが未来を拓いていくと思います。

 

記者

 宿泊税を財源にした予算編成を組まれていると思いますが,宿泊税の使途の透明化,費用対効果など,明確にすべきという市民,納税者,議会の声に対していかがしょうか。

 

市長

 宿泊税は貴重な財源として丁寧な議論のもとに導入することが決まったものです。市民の皆様,納税者の皆様,また宿泊事業者の皆様にきっちりと使い方も含めて御説明し,また,その効果も実感していただけるようなものにしなければならない中で,徹底して精査し,予算編成をさせていただきました。

 

 

記者

 宿泊税について,全ての納税者に御理解いただけるということでしょうか。

 

市長

 これほど大きな新しい税金ですので,様々な所で説明をさせていただいており,多くの方に御理解いただいています。「よく導入を決定されました。」と,激励のお言葉もいただいています。皆様からのより魅力ある京都を作ってほしいという願いを実感していますので,頑張ってまいります。

 

 

記者

 宿泊税を導入することで,どういった効果を実感できると思いますか?

 

市長

 宿泊税だけで取り組むわけではありませんが,観光の分散化による混雑緩和があります。京都市内の中心部の全てのお寺や神社が観光客で混雑しているというわけではありません。そうしたことをしっかりと御案内し,その魅力を感じていただくことが重要であり,観光客や市民,観光事業者,また社寺にとってもプラスになるような取組を推進してまいります。

 

 

記者

 今回の予算では,世界の文化首都を目指す予算ということですが,観光都市としては今回の予算をどのようにお考えですか。

 

市長

 昨年,イギリスの人気旅行雑誌「ワンダーラスト」という権威ある雑誌で京都が満足度世界1位に選ばれました。アメリカの旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」に次いでの1位です。このことはあまり知られていないですが,知っている方から「すごいことだね。」と仰っていています。こうした魅力を持続可能なものにしていき,多くの方々に感じていただけることが大事だと思います。

 例えば,分析を重ねた結果,京都は食文化が最高の魅力の一つでありますが,多くの観光客がその文化の魅力を実感されているかというと,たどりついていないと思います。世界中の方々が,いつ,どういう場面に出会っても,景観,文化,食,そしておもてなしから,京都は魅力にあふれていると感じていただけるような,満足度が世界トップ水準の観光都市として,継承されていくまちを目指していきたいと思います。

記者会見資料

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