スマートフォン表示用の情報をスキップ

門川市長記者会見(2017年8月31日)

ページ番号225119

2023年4月12日

市長記者会見(2017年8月31日)

「明治150年・京都の奇跡プロジェクト」の推進について

 本日は,来年迎える明治150年の節目に際し,明治期の,私たちの先人の偉大な足跡やまちづくりの精神を,市民の皆様と共に再確認し,今と未来に活かす,「明治150年・京都の奇跡プロジェクト」の推進について,御報告します。

 今年は,今から150年前,二条城を舞台に大政奉還が行われた年に当たります。そして,この大政奉還の翌年,我が国は明治に改元し,近代国家への歩みを踏み出しました。しかし,京都にとっては困難な時代の幕開けでした。当時,京都は,明治維新で都の地位を失い,人口の3分の1が減少,約34万人から約23万人となる深刻な人口減少に直面しました。

 社会経済へのダメージは甚大で,京都は都市衰退の危機にひんしました。この,歴史上,京都の最大の危機ともいえる状況に際し,京都の町衆は,自分たちの手の及ばない都市の栄枯盛衰の運命としてあきらめ,時代の転換の激しい流れに京都の未来を委ねることはしませんでした。

 まさに「自分ごと,みんなごと」として危機感を共有し,自ら行動を起こしました。変化を恐れず,むしろ先取りする進取の気概と挑戦心,あるいは海外のものを積極的に取り入れ,独自に進化させるグローバルな視野と柔軟な創造性を持ち,京都のまちを挙げて困難に立ち向かいました。悲観するのはなく,立ち向かう楽観主義,行動する楽観主義であります。

 そして,5年後,10年後も見通せない状況の中,京都の人々は,100年後,200年後の未来を見据え,「まちづくりは人づくりから」と地域で力を合わせ,お金も出し合って,全国初となる64の番組小学校を創設し,そして,同じく我が国最初の芸術大学や工業高校を開校しました。

 また,京都の近代化を牽引した琵琶湖疏水や日本初の事業用水力発電所の建設,市電の開業など,先進的な取組に次々と挑戦しました。未来を担う人を育て,文化とものづくりの力を磨き,そして産業を興す,それらによって,今日に続く京都発展の礎を,この京都最大の危機の時代に築きました。

 本市が進める「明治150年・京都の奇跡プロジェクト」は,来年迎える明治150年に際し,国が進める全国的な取組とも連動しつつ,独自に,京都の先人による危機克服の歩み,その意義や誇りを見直そうというものです。

 しかし,それは,単に昔を懐古するだけの取組や,過去の時代を美化しようとするものではありません。明治期の都市存亡の危機に際し,京都は,市民ぐるみで困難に立ち向かい,100年先を見据えて人を育て,文化を創造し,産業を振興させ,まさに今で言う強靭な“レジリエンス”によって,「奇跡」とも言われる驚異の復興を遂げ,未来を切り拓いてきました。今日,人口減少の急激な進行や,社会・経済状況の不透明感の高まりなど,明治期と重なる状況に直面し,混迷する国内・世界情勢の中,そんな京都にこそ,今日の様々な課題を解決し,未来を展望するための人々の英知や志,まちづくりの哲学が息づいていると確信しています。その意味で,明治以降の京都の歩みを再確認することで,そこから見えてくるものは,すぎ去った「過去の風景」ではなく「未来へのビジョン」であると思います。

 この観点から,明治以降150年の京都の歩みにしっかりと光を当て直し,今を生きる私たちが,京都の強みやまちづくりの精神を改めて共有すること,同時に,未来を担う若者たちに,なぜこの厳しい時代に京都で全国初の小学校や芸術大学,工業高校ができたのか,なぜ琵琶湖疏水が建設されたのか,なぜ全国初の市電が走ったのか,そうしたことを知り,今日の様々な課題解決の知恵や教訓を得る契機としてもらい,これからの京都,日本の在り方を考えてもらうことも今回のプロジェクトの大きな意義であると考えています。

 それでは,今回の取組の説明をさせていただきます。大きく2点ありまして, 1点目は,「市民が主役の『明治150年イヤー』の推進」,2点目は,「来年1月からの明治150年・前半期の主な事業計画・概要案」についてでございます。

 まず1つ目の「市民が主役の『明治150年イヤー』の推進」でございます。今回の取組を進める上で欠かせない視点として,明治期の京都復興策がそうであったように,行政主導ではなく,「市民ぐるみ,市民との協働」という視点です。市民の皆さんや企業,大学等との協働を進め,共に「明治150年」に向けた取組の機運を高めていきたいと考えており,4つの推進策を実施いたします。

 まず,「みんなでつくる『明治150年・京都のキセキ』ポータルサイトの開設」です。本プロジェクトの趣旨や,明治期の京都のまちづくりの足跡等について情報発信するとともに,行政からの一方的な発信ではなく,市民の方々から明治ゆかりの写真やコメントを募り,随時掲載していくなど,市民の皆様と共につくり,発信してまいります。

 このサイトは,明日,9月1日から開設いたします。パワーポイントの右側にトップページのイメージを掲げておりますが,明治時代のその日にあった出来事を,毎日更新しながら紹介するコーナーや,市民から投稿いただいた写真のフォトギャラリー,あるいは,明治生まれの方の,子どもの頃の思い出や,昔の京都のまちや暮らしの様子を,御本人や,伝え聞いた御家族の方から伺った,インタビュー記事等を発信してまいります。

 次に,2番目の,市民の皆様からの写真とコメントの募集,「古いアルバムに眠る,地域に残る,“明治とその後の京都”再発見!」です。募集する写真とコメントは3種類です。1つ目は,「明治時代の頃のものと思われる写真と,写真にまつわる思い出等のコメント」です。2つ目は,「大正から昭和の頃の日常風景。例えば,その頃の京都のまちかどのスナップ写真や,日々の暮らしの中のひとコマなど,京都における懐かしい日常風景の写真とコメント」です。3つ目は,「今も京都のまちなかや地域に残る明治ゆかりの場所や明治期から続けられている地域の行事などの写真と,撮影のきっかけ等のコメント」です。募集期間は,明日9月1日から来年の1月末までです。

 なお,3つの募集の種類ごとに特に興味深い写真とコメントを,5組ずつ,合計15組選び,表彰と副賞をお送りします。京都は大きな戦災にあっていないため,まだ古い写真等が残っているのではないかと思います。それらの写真をしっかりと残していくということにおいても,意義を感じております。ぜひ,古いアルバムの中から,あるいは京都のまち中で,「明治からの京都」を探し,応募いただきたいと思います。

 次に,3番目の「市民,企業,大学等からの事業募集,『みんなで進める明治150年プロジェクト』です。今年9月から,明治150年の来年の年末までに,市民グループや地域,企業,NPO,大学等において実施される,明治150年に関連する事業を募集します。応募いただいた事業は,明治150年・ポータルサイトに掲載し発信するなど,広報面の支援や連携を行ってまいります。

 最後に,4番目の「民間企業等との連携による『明治150年』の周知」です。これまで先行的な取組を進める中で,株式会社セブン-イレブン・ジャパンから,本市の取組に賛同し,協力の申入れを頂きました。今後,京都市内及び京都府下のセブン-イレブンの店舗において,本プロジェクトに関する各種情報を,店内へのポスター掲示等によって,広く発信していただく予定です。また,「京都における明治150年」に関連した商品の開発・販売等も検討いただいております。さらに,このほかにも,様々な企業,大学等と各種連携を図るとともに,明治期の京都の激動と飛躍の歴史を産業・経済面で牽引された,京都の経済界と,本プロジェクト全体について連携を図り,共々に,明治150年イヤーを,京都のまちを挙げた多彩なものにしていきたいと思います。

 次に,報告の大きな2つ目の事項,「来年1月からの明治150年・前半期の主な事業計画・概要案」についてでございます。「京都の奇跡プロジェクト」の本格実施第1弾の主な事業として,1月から9月頃まで,8つの事業の展開を計画しております。

 まず,明治150年イヤーが始まる来年1月にキックオフ事業として,「明治の京都を知る」というコンセプトで,『みんなで体感!明治の京都~まち,ひと,くらし,文化~』」を開催します。会場は複数の候補場所で現在調整中ですが,できれば明治時代,京都復興のための内国勧業博覧会が開催された,明治ゆかりの,岡崎地域の会場などで開催したいと考えています。

 内容は,市民ぐるみの小学校の創設,琵琶湖疏水の建設など,歴史に残る先進的な取組とそのプロセスや当時の市民生活や文化について語るシンポジウムを開催するとともに,明治期の京都のまちや暮らしを振り返る写真展を行いたいと思っています。また,このシンポジウムの開催に合わせて,関西電力さんの全面協力の下,明治24年に,日本初の事業用水力発電所として開業した,蹴上発電所の特別見学会を開催する予定をしております。実はこの発電所は,京都市電気局のものでしたが,戦時中の電力統制令によって,関西電力に統合されました。そのため,現在も京都市は関西電力の株をわずかに持っています。現在も水力発電所として残っていることは偉大なことであります。

 さらに,「明治の京都を旅する」という取組趣旨で,京都市観光協会と連携し,幕末・明治維新ゆかりのコースや京都の近代化の足跡をたどる,ウォーキングツアー等を盛り込んだ「明治150年記念『京の冬の旅』キャンペーン」を,1月1日から3月21日まで実施します。また,2月からは,「明治を区民ぐるみで振り返る」取組として,各区役所・支所で連携・分担し,毎月リレー形式で,各地域の明治期のまちづくり等の足跡を振り返る事業を,12月まで連続して開催してまいります。また,「明治からの京都を食で感じる」というコンセプトで,2月に,約200店の食の有名店が参加し,京都の冬の味覚を堪能いただく,「京都レストランウインタースペシャル」において,今回,「明治150年記念」として,明治以降の京都の食にちなんだ取組を企画いただきます。同時に,「京の食文化ミュージアムあじわい館」において,明治150年に関連する料理教室等を実施いたします。

 さらに,「明治の京都を発信する」取組として,毎年この時期に行う「京あるきin東京」の開催に合わせ,首都圏の方々に,明治期の京都のまちづくりの精神等を語り,発信する「京都講座~明治維新 その時,京都は」を開催します。

 次に,3月ですが,「明治の京都を着る」というコンセプトで,「明治のピンチをチャンスに!西陣織・近代化の軌跡」展を開催します。西陣織は,明治維新で高級織物の需要者層を大幅に失い,危機に陥りながら,ピンチを飛躍のチャンスとし,海外の技術の積極的導入等により近代化を大胆に進め,危機を克服し,発展を遂げてきました。その西陣織の近代化の足跡を紹介し,それを通じて,伝統の技と最先端の技術の融合により発展してきた京都のものづくりの知恵と強みを再確認いただく展示を,西陣織工業組合をはじめ,オール京都で実施いたします。西陣織会館の近くの京都市考古資料館,この建物は,かつて現在の西陣織会館が出来る前の旧・西陣織物館でしたが,その貴賓室であった3階部分を特別公開し,当時がしのばれるような,きものの展示や,明治時代に考案された,気軽に楽しめる茶道の体験等の催しを企画して参ります

 次に,来年4月以降の予定です。まず,「明治の京都策を体感する」というコンセプトで,「京都策」を代表する近代化産業遺産,琵琶湖疏水における催しを, 4月頃,疏水沿いの桜の見頃の時期に実施します。琵琶湖疏水において,かつて船運が盛んだったことを踏まえ,平成27年から,「琵琶湖疏水通船」を復活する事業を試行的に実施してきましたが,明治150年に合わせて,本格復活いたします。さらに,琵琶湖疏水記念館において,今回初めての取組になりますが,4月の一定期間,疏水に面したテラスで,水道水を活用した珈琲などを提供し,桜の時期の疏水の景色を眺め,先人の偉業に思いを馳せていただく「琵琶湖疏水カフェ」を開催します。

 最後に,「明治からの京都の歩みをたどる」というコンセプトで,四条通の地下道で開催を予定する,「明治150年記念・みんなの写真展~四条地下タイムトンネル~」について紹介します。四条通地下道の中央部分,概ね御幸町通から高倉通までの約300mにわたる区間で,明治から大正,昭和を経て今日に至る,京都のまちの移り変わりや人々の様子,暮らしの情景,産業の在り方等を,市民等からお寄せいただいた写真で時代順に,歩きながら鑑賞いただく写真展を企画し,開催します。地下道の所有者であり,明治40年に設立された阪急電鉄の御理解と御協力の下,来年5月から,4~5箇月間にわたって開催することを計画しております。

 これら,「来年1月からの明治150年・前半期の各種事業」の実施に際しては,今年度当初予算による既定の事業を活かし,創意工夫して創造的に展開するほか,1月のキックオフ事業,3月の西陣織の事業,5月以降の四条通地下道の事業について,経費は現在とりまとめ中ですが,精査の上,9月補正予算を市会に提案し,承認いただいた上で実施してまいりたいと考えております。

 また,本日御報告した取組全体について,文化庁地域文化創生本部と連携を図りながら,進めてまいります。明治から今日までの京都の150年の足跡を辿りながら,その足跡が,引き続き,100年,200年後の輝く京都の未来に続くようにしていく,その契機となる取組にしてまいりたいと考えております。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(「明治150年・京都の奇跡プロジェクト」の推進について)

記者 

 明治時代の一連の京都の産業振興により,京都が復活することが出来たということは非常に意義深いものであるが,150年後の今日においてアピールしていくなかでどのようなことが重要であると考えていますか。

 

市長

 一つは,行政主導ではなく,市民が危機感を共有し,そして明確な目標のもとに行動されたことです。竈金の精神ということを,私は京都市の教育改革の時に言いました。明治の初めに,まち存亡の危機の時に,まず学校を作る,子どもさえ立派に育てば未来は明るいということで,竈の数ごとにお金を出し合う。そして,学校銀行を作り学校運営を行いました。このようなことを京都市民の知恵でやられました。

 当時は身分制が残っており厳しい時代であったかもしれませんが,その中で,子どもを地域の宝として,皆が等しく学ぶことが出来る学校を作りました。これらは行政主導でありません。現在,このままでは人口減少により日本のまちの半分が消滅する,経験したことのない人口減少が始まっています。しかし,京都は150年前にもっと危機的な人口減少を経験しており,その時に何をしたか。人を育て,文化を大事にする,そしてそれを基盤に経済を活性化する。これをみんなごととしてやりました。これが,最大の学ぶべきところではないかと思います。

 その後,琵琶湖疏水や市電。特に市電を通すために,京都のまちの細い道を全部広げました。今の都市計画の根本は明治期に出来たといっても過言ではありません。

 

 

記者

 今後,一連の事業予算を市会に提案されるということであるが,全体を通しての予算規模はどのくらいでしょうか。

 

市長

 まだ未確定であります。行政主導でなく,市民力,地域力を生かして取り組んでいく事業でありますので,それほど巨額の経費が必要となる事業ではありません。

 また,内閣府からも京都の取組に期待していただいておりますので,しっかりと応えていきたいと思います。京都における明治2年の番組小学校の創設の後,明治5年に小学校令が発せられ,全国に約2万の学校が出来ました。日本中が危機感のもとに,京都をモデルにして小学校を作られました。そういう意味でも,大政奉還の150年から明治150年,しっかりとした取組にしていきたいと思います。

 

 

記者

 市民から資料が集まる中には貴重なものが見つかる可能性もあると思いますが,それらについては,本プロジェクト終了後はどうするのですか。また,市に関係する施設を掘り起こせば,貴重な資料等が発見される可能性もあると思いますが,それらについてどうお考えですか。

 

市長

 おっしゃるとおりです。価値が認識されないままに,放棄されていくという危ない状況であると思います。この明治150年の事業は,明治期の有形・無形の貴重な遺産をしっかりと確認し,残すべきものは残していくという機会にしていきたいと思っています。四条通地下道における「明治150年記念みんなの写真展~四条地下タイムトンネル~」を見ていただいて,「これに似たものであれば家にあるよ。」となるように取り組んでいきます。出来れば区役所や学区単位でやっていきたいです。

 

報告案件以外に関する質疑

(概算要求について)

記者

 文化庁の平成30年度の概算要求について,総額が今年度に対して2割増となっており,その中で文化庁地域文化創生本部に係る概算要求については,今年の26億円から65億円とかなり大きな増額となっています。この中には文化財の観光活用,いわゆる文化芸術の発信なども組み込まれていると思いますが,市長としてどう評価していますか。

 

市長

 現在,京都,中国の長沙市,韓国の大邱広域市が連携しながら文化事業に取り組んでいます。一方で非常に厳しい問題があります。東京で政治的な激論があっても,「京都を中心に世界とつながろう」,これが文化庁京都移転の一つの意義でもあろうかと思います。 

 そういう意味で,今回の概算要求ですが,20%増となる対前年比209億円ということで,文化芸術基本法が制定され,文化資源を活かし,文化的社会的経済的価値をはぐくむ文化政策への転換,新文化庁,文化立国の意欲をしっかり示していただいている要求だと思います。

 そして,来年が文化庁創設50周年になります。さらに,来年1月からの通常国会に文科省設置法の改正法案が提出され,新文化庁が位置付けられます。そういう意味で非常に大事な来年度の予算編成であり,また新文化庁への飛躍であります。

 もう一つ,京都の地域文化創生本部関連予算が約26億円から約65億円と大幅に増額の予算要求になっております。京都に本庁をという方針決定がされたスタートの予算要求にふさわしいと思います。特に,新規事業として「共生社会実現のための芸術文化振興事業」や「地域活性化のためのマネジメント人材移住・定住促進事業」など,文化庁の移転が地方創生の象徴であることをしっかりと踏まえていただいていると思います。また,この概算要求がしっかりと認められるように国会での議論を含めて要望していきたいと思います。

 

記者

 地域文化創生本部が4月にできて半年弱ぐらいになると思いますが,少し市民にとってはその存在を認識しにくいと思うのですが,その点についてはいかがでしょうか。

 

市長

 見えているという人もいます。例えば,松坂事務局長はじめ,スタッフの方々と色々な場面で会います。例えば,大学の理事評議員の学長,副学長とのミーティングに出席,プレゼンいただき,文化と大学政策という議論を公開の場で行われ,それから学生祭典のメンバーとの懇談会が開催されました。そのように色んな文化事業に出席されてアピールされています。

 松坂事務局長にお聞きすると,東京都庁や地元の長と話し合い,文化行政を考えることは今までなく,東京の大学,学生と話し合うこともなかった。また,文化庁の職員が地元の祭りに参画することは一切なかった。それが,経済界の人と文化庁の職員が話し合って,文化行政に活かすということになり,京都に来て,スタッフの中に大学や自治体,産業界からも参画していただき,文化行政が変わっていくということを仰っています。なかなかマスコミに見えていないというのは残念です。

 

 

 

(IR構想について)

記者

 カジノを含めた統合型リゾート(IR)の整備推進について,カジノについて経済効果が期待される一方でギャンブル依存なども指摘されています。関西では大阪が手を挙げていますが,市長として(IR)カジノ誘致について御意見を聞かせてください。

 

市長

 「どこででもできることは一番安くできる所でする」というのがグローバル化社会での経済の法則だと言われています。こういうグローバル化社会の時代,その地域でしかできない,その地域の歴史性,文化性,人間力を活かした取組をすることが大事です。観光もそうだと思います。同時に,「美しい日本」というのはそれぞれの市民の生き方が美しいことだと思います。そういう日本に,ギャンブルで経済を活性化しよう,ギャンブルで世界から尊敬される国になろうというのはなかなか似合わないと思います。余程慎重な議論がいると思います。したがって,京都でカジノ誘致をする考えは全くありません。

 

 

(民泊対策について)

記者

 民泊対策について,国との関係も含めて,具体的な進展はいかがですか。

 

市長

 住宅宿泊事業法が制定されたが,その法律の解釈権は政府にあり,条例を制定した場合に,それが法律の範囲内かどうか争われたときには,その最終的な判断は裁判所が行います。どのような条例を制定できるかは,政令省の規定が重要であります。そのため,緊急要望に国土交通省,厚生労働省の事務次官,さらに観光庁の次長に直接会って,また関係幹部職員の方に説明をしてきました。

 例えば,住宅宿泊事業においては,ネット事業者や仲介事業者が一番大きな影響を与えますので,仲介事業者は絶対に適法なものしか登録しないような制度となるよう,国に取り組んでもらわなければならないと考えます。

決められた営業日数を超えればサイト上から非表示とされ,新たな申込・入金できないといったシステムを仲介事業者に徹底することでトラブルは減らせます。

 次に,住宅宿泊事業者が自治体に届け出る際に近隣にきちっと説明したことを明確に示す書面を提出してもらう。また管理者の24時間常駐,もし常駐できない場合は,今はコンピューターのICTによる本人確認や,何人泊まっているかをセンサーで確認できる仕組みが既にできていますので,それらを義務付け,しっかりと管理できるということを登録の際にしっかり確認する。あるいは,たとえ常駐していなくても直ちに駆けつけられるということが重要です。

 火災・衛生など,現在の旅館業法に基づく規定というのは必要最小限の命と暮らしを守るための仕組みであります。旅館業と住宅宿泊事業とで規制の態様に大きな差がないよう具体的に国に示し,要望しております。今,大事な時だと思っています。

 旅館・ホテル事業者と賃貸住宅の空き家を抱えている事業者との利害の対立のような受け止め方をされている方がいますが,決してそうではありません。集合住宅でのオートロック機能が意味をなさない,あるいは夜中に人が出入りし,騒音で住居としての価値が下がるなど,住宅の価値そのものを落としてしまうので,全力で取り組んでいきたいと思います。決して住宅宿泊事業すべてを否定するものではありません。外国から京都のサマーセミナーに来られたり,マンションに1か月程度滞在されることは良いことだと思いますし,本来の姿を求めながらしっかりと対応していきたいと思います。

 

 

記者

 どちらかと言うと市長はマンションでの民泊について否定的な意見をされているかと思いますが,マンションを使った民泊について改めて見解をお聞かせください。

 

市長

 本来の住宅宿泊事業というのはホストがおられます。旅館業法,主として宿泊事業の類と住宅の中間ですね。これはホストがいて,離れや2階,あるいはマンションの1部屋をお使いくださいということであります。したがって,そのホストがおられて,そして近隣にもきちっと了解を得られ,管理組合等でそれを認めていくということはありえるわけです。

 今,問題になっているのは,家主不在型であります。集合住宅でもその管理組合の合意のもと,1階は民泊に,改修費をみんなで稼ぎましょう,耐震補強もやっていきましょう,ということはありえます。どういう形があるかはこれからまた国の方針も含めて見ていきたいと思います。

 昨年7月に民泊通報・相談窓口を設置し,また,この4月からは衛生部門の集約化を図り,18人の専任体制のもと苦情・相談を受け,対応してきました。しっかりと旅館業法に基づき簡易宿所として昨年度に許可を受けて営業されているのが813件と増えています。そうした色々な事象を含め,緊急の対応をしてきましたが,来月には,外部有識者による検討会議を立ち上げ,今後の民泊対策についての意見をいただき,それを条例制定に活かしていきたいと思っています。

 法令に基づいてそして持続可能な観光宿泊者にとっても地域住民にとっても観光立国日本と,非常に有意義な取組にしていただけるようにしてほしいと思います。

 

 

記者

 外部有識者の検討会議についてですが,どのようなことを議論されるのか,また成果をどのように京都市として活かしていくのかをもう少し詳しく。

 

市長

 民泊という概念は非常に曖昧でした。住宅宿泊事業法ができ,そして政令省令の素案が来月くらいに提示されていくと思いますので,概念がはっきりしてきます。その中で,京都が大切にしてきた観光客と市民,とりわけ周辺住民の安心・安全の確保やおもてなし,そして持続可能な京都ならではの観光の振興,ビジットジャパンに貢献していけるということも踏まえて,京都の観光の理念と今回の住宅宿泊事業をどのように京都で調和していくのかということを我々は国に要望しましたので,有識者の意見をしっかりと聞き,条例に反映させていきたいと思います。

 

 

このページに対してご意見をお聞かせください

このページは役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

お寄せいただいたご意見は、今後のホームページ運営の参考とします。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

フッターナビゲーション