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門川市長臨時記者会見(2016年2月10日)

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2023年4月12日

平成28年度予算案の概要

 本日は,来年度予算案の概要について御説明申し上げます。

 この度の選挙で,多くの皆様の御支援・御支持をいただきました。その中で,政策で選んだという方が多かったとのお声も聞いております。私は,「暮らしに安心」,「豊かさ実感」,「未来に責任」,この3点を市民の皆様に訴え,この実現のために,具体的な133の公約を,市民の皆様へお約束をしてまいりました。

 そして,徹底して,市民参加のもとに作りました「はばたけ未来へ!京プラン」では,議会の同意決議をいただき,今年度,その前期5箇年を終えます。来年度からスタートする後期実施計画については,現在パブリックコメントを終えておりますが,この中に,私の市民の皆様への133のお約束の全てを盛り込ませていただきます。そして,来年度予算案につきましては,スピード感を持って実行していきます。

 着手するものは,直ちに事業費を予算計上していく。また,検討が必要なものについては,調査費を措置する。さらに予算措置を要しないものについては,直ちに,具体化へ向けての検討に着手する。そうした姿勢で予算編成にあたりました。

【予算の基本姿勢,重視した視点】

 まず,予算の基本姿勢を2点申し上げます。

 1点目は,「京都創生」を市民の皆様の参加と協働により推進していきます。人々に豊かさを感じていただき,安心安全に暮らせるまちづくり,さらに,「人口減少社会」の克服に挑戦する予算であります。

 2点目は京プラン後期実施計画の初年度として,また,三期目のスタートの年として,力強いスタートを切っていきたいと思います。

 この基本姿勢のもと,特に4つの点を重視しました。

 1点目は,地域経済の活性化と安定した雇用の創出です。景気は全体的に回復基調が続いております。京都においては,中小企業の倒産件数はこの10年余りで過去最少になり,有効求人倍率は1.49(平成27年12月)となり,関西で一番求人が多くなっています。このように前進していますが,市民の皆様が豊かさを実感するまでには至っていません。また,観光客の増を京都経済の活性化と,市民の皆様の豊かさの実感につなげていく必要があります。そのため,京都の知恵と強みを活かした成長戦略を推進し,京都経済の更なる活性化と好循環,安定した雇用の創出,そして,市民生活の豊かさにしっかりとつないでいきます。

 2点目は,市民のいのちと暮らしを守り,子育て環境を充実することであります。お年寄りや障害のある方の福祉を充実させ,さらに,防災・減災対策を加速します。そして,市民ぐるみで世界一安心安全なまちづくりを推進してまいります。

 同時に,「京都で子育てして良かった」,「京都で学んで良かった」と実感できる全国トップ水準の子育て環境,教育環境の一層の充実を図ってまいります。

 3点目は,日本の「こころの創生」を牽引する「世界の文化首都・京都」の実現へ向けての取組であります。京都の誇る文化・芸術,環境にやさしい循環型社会,歩くまち・京都など,京都ならではの魅力の創出であります。

 4点目は,参加と協働による地域の個性と活力あふれるまちづくりです。市民の皆様お一人おひとりが“みんなごと”として,自分たちの地域,また,自分たちの関わりのある業界,その振興のために取り組み,それを行政がバックアップする仕組を構築し,市民が主役のまちづくりを進めてまいります。

 本市では,現在,京プランのもと,国に先駆けまして人口減少社会への対応に積極的に取り組んできました。人口は5年連続で転入者が転出者を上回る「転入超過」となっております。 

 そして,平成22年度の京プラン策定時には,人口は減少すると推定していましたが,今回の国勢調査の速報では,逆に人口はわずかではありますが,5年前に比べて増加となりました。

 そうした流れをしっかりと本流の流れにしていくことが大事であります。来年度も,今申し上げました4点を力強く推進していきます。予算の作成にあたりまして,そこを重視しました。住んでいてよかった,子育てしてよかった,いつまでも高齢者の方が住み続けたい,また,訪ねたい,移住したい。そんなまちづくりを進めてまいりたいと思います。

【予算規模】

 具体的なことを申し上げていきます。2ページを御覧ください。

 こうした視点で編成した予算の規模は,一般会計で7,277億円,特別会計,公営企業会計を含めた全会計で1兆6,508億円であります。

 中小企業融資制度預託金につきましては,企業の資金ニーズに応じた予算としており,この要素を除くと,一般会計は実質13億円の増となっています。

 生活保護費は自立支援の取組,毎年1,000人を越える方が就労等に結び付けるなどの取組により減少していますが,子育て支援や障害者・高齢者の方の福祉に必要な予算はしっかりと増額確保しています。

 また,厳しい財政状況の下,市債残高を縮減しつつ,防災・老朽化対策や保育所等の整備に必要な予算についても増額いたしました。

【予算の柱と主な新規・充実事業の概要】

 3ページを御覧ください。

 次に,重要政策の推進でございます。「経済・雇用」,「安心安全・福祉・子育て」,「世界の文化首都・京都」,「参加と協働のまちづくり」の予算の四本柱に沿って御説明申し上げます。

(柱1 経済・雇用)

 4ページを御覧ください。

 1つ目の柱は,「京都の知恵や強みを最大限に活かした地域経済の活性化と安定した雇用の創出」であります。京都経済を一層活性化していくためには,京都における,経済の好循環を市内中小企業はじめ,市民生活に行き渡らせていくことが不可欠です。

 中小企業や地場産業,市民の皆様が確かな豊かさを実感できるよう,観光や産業,大学,行政の連携,伝統産業といった京都の知恵と強みを最大限に活かした成長戦略を推進し,産業の振興と経済の好循環を促すとともに,雇用と市民所得の増加を図ってまいります。

 次に,中小企業の持続的な発展支援として,人手不足に悩んでおられる中小企業と京都の若者・大学生のマッチングを進め,企業の成長を支える担い手を確保するため,企業の魅力発信力・情報発信力を強化する取組などを支援してまいります。

 合わせて,望まない非正規雇用の正規化など,安定雇用,雇用の質の向上を図るため,国,京都府とも連携し,京都ならではの働き方の改革を推進します。

 また,新たに中小企業振興会議を創設し,中小企業の経営者の代表も参画いただき,中小企業,零細企業の活性化のために,成長戦略並びに下支えなど,何が重要であるか議論し,条例化による手法も含めた実効性のある振興策を検討し,実施してまいります。

 民間活力を最大限に活かして京都の成長を促していくために,久我・羽束師工業専用地域をはじめ,市街地内の未活用の土地について,新たな産業用地としての活用に向けた具体的な方策を検討し,地元企業の事業拡大や企業誘致を推進します。

 観光は大変好調でありますが,その効果を京都経済全体に波及させ,雇用の創出,さらに,伝統産業などの活性化につなげ,訪れる人にも住む人にも,また,産業の担い手の方々も,満足度の高いまちを実現することが極めて重要であり,また,京都の力を合わせればできることだと思います。

 観光協会を中心に観光団体と行政が一体となって,京都観光を総合的に担う新しい推進体制「京都市版DMO」を構築し,データ分析に基づき,経営の視点で戦略的に更なる誘客と観光消費額の増加を図ってまいります。

 5ページを御覧ください。

 京都市独自の認定通訳ガイドについては,この1月に第一期の研修受講生が決定しました。定員の10倍を越える申込があり,皆様の関心の高さにうれしい悲鳴をあげています。

 来年度は,京都の伝統産業などの専門研修を経て,第一期の通訳ガイドが誕生します。旅行業者等とのマッチングを支援する人財バンクの仕組みをつくることにより,活躍の場を提供し,雇用の創出と所得の向上を図るとともに,外国人向けビジネスの拡大や伝統産業の振興,担い手の育成などにしっかりつなげていきます。

(柱2 安心安全・子育て)

 6ページを御覧ください。

 2つ目の柱は,「市民のいのちと暮らしを守り,子育て環境を充実」することであります。

 ますます少子高齢化の進展が見込まれる中,市民の皆様が年齢を重ねられても,住み慣れた地域で健康で自立した日常生活を送られ,地域の支え手としても活躍できる「健康長寿のまち・京都」をつくることが極めて重要であります。

 このため,幅広い市民団体,企業,医療関係団体,大学等が参画する「健康長寿のまち・京都市民会議」が立ち上がりました。同会議と連携しまして,日々の健康づくり活動を「見える化」する健康ポイント事業など,市民ぐるみの健康づくりを推進してまいります。

 この他にも,食育の推進,スポーツ振興,高齢者の活躍の場づくり,関連産業の市場拡大など,あらゆる分野で総合的に健康長寿のまちづくりを進めてまいります。

 また,犯罪件数をピーク時の3分の1以下にすることを目指し,京都ならではの地域力,それを支えていただいている方々の人間力を最大限発揮し,「世界一安心安全 笑顔でやさしさあふれる おもてなしのまち京都」を一層推進してまいります。

 区役所が中心となって,区民の皆様,京都府警察等と連携して取り組む,この「世界一安心安全・おもてなしのまち京都 市民ぐるみ推進運動」ですが,大きく成果を上げてきております。その先行行政区として,右京区・伏見区で取り組んでいただいておりまして,毎年2行政区ずつ増やしていくというプランでありましたが,来年度は,全ての行政区で市民ぐるみで推進してまいります。

 7ページを御覧ください。

 地震への備えとしまして,これまでから厳しい財政状況の中でも,災害時の都市機能を確保するため,橋りょうの耐震補強など,最優先で取り組んでまいりました。

 橋りょうの耐震補強・老朽化修繕については,東日本大震災直後に,侃々諤々の議論をしてプランを作った結果,計画策定から5年以内に,51橋の対策を完了させることとしています。来年度予算においても,2割増となる49億円を確保し,より一層の対策を強化してまいります。

 この他,現在大好評の「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業」では,まちの大工さん,左官屋さん等々に関わっていただき,同時にそうした方々の仕事の創出にもつながっています。この事業に加え,密集市街地の防火対策と併せた補助の上乗せを行うなど,住宅の耐震化対策を充実します。

 近年,台風や局地的豪雨等により浸水リスクが増大している中,雨に強いまちづくり推進事業として,50億円を計上しております。浸水被害から市民のいのちと財産を守るハード・ソフト両面の取組を推進していきます。

 8ページを御覧ください。

 子育て環境,教育環境の充実についても,これまでから多くの財源を振り向け,例えば,2年続けて保育所の「待機児童ゼロ」を実現する,また,中身的にも全国トップレベルの維持と更なる向上を図るとともに,幼稚園の協力もいただいてきました。

 来年度においても,保育所等の整備に24億円を超える予算を計上し,4月には過去2番目に多い881人の受入枠を増やし,「待機児童ゼロ」の継続と保育所に入りやすい環境づくり,また,京都にはすばらしい幼稚園がありますので,そこでの保育機能の充実を進めてまいります。

 保育の量だけでなく,質も更に向上させます。京都市では,これまでから国基準を上回る保育士の配置を行っており,1歳児においては,例えば,国基準の6人の子どもに対し1人の保育士を,5人に引き上げています。年齢ごとに様々な引き上げ等をしていますが,来年度から新たに,運動機能の向上や自我の芽生えなど,発達の著しい1歳児の中でも月齢の低い子どもについて,子ども4人に対して保育士1人の配置により,保育が実施できるよう,1億円の予算を計上しております。ゼロ歳の時は育児休業を取られて,1歳で保育所に入っておられる方が多くいらっしゃいます。1歳の前半は,成長段階で非常に大事な時期であります。ニーズに合わせまして,きめ細かい取組を行ってまいります。

 また,全ての子どもたちに放課後の居場所をつくるに当たって,重症心身障害児を主な対象とする放課後等デイサービスの設置が十分に進んでいない状況が課題となっています。

 このため,政令指定都市で初となる,重症心身障害児の受入人数に応じた運営補助を創設し,受入枠を拡大していきます。

 教育環境の充実についても新たに11億円を超える予算を計上し,着実にプランを進めてまいります。未来の「ものづくり」,「まちづくり」の担い手を育成する京都工学院高校がいよいよ4月に開校します。各界から多くの期待をいただいております。これに続く更なる市立高校の改革として,新しい定時制単独高校や塔南高校の移転・再編による新しい普通科系高校の創設に着手します。

(柱3 世界の文化首都・京都)

 9ページを御覧ください。

 3つ目の柱は,『世界の文化首都・京都』を目指した取組です。

 文化芸術都市,環境にやさしい循環型社会,歩くまち京都など,京都ならではの魅力の向上による世界の文化首都京都の実現であります。

 京都が誇る文化力の一層の向上とともに,国内外への魅力発信,次世代の担い手育成を推進し,日本の「こころの創生」を牽引してまいります。

 今年は,江戸時代に「奇想の画家」として京都で活躍された絵師,伊藤若冲の生誕300年でございます。若冲ゆかりの方々としっかりと連携し,京都市美術館での記念展覧会をはじめ,その魅力を国内外に発信する多彩な事業を展開いたします。また,伊藤若冲は,錦市場の青物問屋に生まれられ,その主人として,自ら奔走して400年の歴史を誇る錦市場の存続の危機を救った人物としても知られています。そこで,これを契機に,商店街や伝統産業界が実施する若冲を題材とした販売促進事業などを支援し,相乗効果による商店街や伝統産業の振興を図ってまいります。

 伊藤若冲は日本でも近年大きく評価されていますが,外国での評価も非常に高いすばらしい絵師であります。これを京都の伝統産業,商店街の活性化に存分に活かしていきたいと思います。

 また,若冲以外にも今後,東京オリンピック・パラリンピックなどの開催を契機に,京都文化フェアをはじめ,多彩な国際的フェスティバルや記念事業を展開することを通じて,京都の文化力,さらに,京都の都市格を向上させてまいります。

 「大学のまち京都・学生のまち京都」は,京都の誇りであり,強みとなる大きな要素の一つであります。大学や学生がそれぞれ持たれる力を活かして,大学を挙げて地域との連携を推進する取組を支援し,学生さんが地域と連携し,学ばれる機会を創出します。今までは,ゼミ単位であった取組について,大学を挙げて京都市と連携していくものに進化させていきます。

 また,市民・事業者の皆様とともに,ピーク時からの「ごみ半減以下」の実現に向けて取組を進めております。食品ロスとレジ袋の大幅な削減に重点的に取り組み,ごみになるものを作らない,買わない「リデュース」と繰り返し使う「リユース」の,いわゆる2Rの促進をしっかりと強化してまいります。

 10ページを御覧ください。

 公共交通優先の歩いて楽しいまちづくりを引き続き強化してまいります。地元の皆様,関係者の皆様の御協力により,「歩くまち・京都」のシンボルプロジェクトのひとつとして,今,工事を行っている京都駅南口駅前広場ですが,来月にプレオープンいたします。

 引き続き,サンクンガーデンの整備などを進めまして,12月には全ての施設が完成いたします。50年来の京都の懸案でありましたが,公共交通の乗継利便性の向上や歩行空間の創出により,京都の玄関口にふさわしい駅前広場として生まれ変わります。なお,八条通の交通に支障がないよう,送迎ゾーンの案内誘導の予算も含めて計上しており,対策に万全を期してまいります。

(柱4 参加と協働)

 11ページを御覧ください。

 4つ目の柱は,「参加と協働による地域の個性と活力あふれるまちづくり」です。

 この選挙戦を通じて,多くの方々とお会いし,様々な声を直接お伺いしました。熱く力強い応援の声,更なる取組への期待の声,ときに厳しい御意見もお聞かせいただきました。そうした中で,市民の皆様のまちづくりへの熱い思いにも直接触れまして,改めて京都の地域力,人間力に感激の毎日でございました。

 今後も,市民の皆様の御意見をしっかりとお聞きし,政策の理念をしっかりとお伝えする取組を進めてまいります。同時に,伝える,伝えられるという関係を越えまして,市民の皆様と京都市が,まちづくりを「自分ごと」「みんなごと」と捉えていただき,共に汗する「共汗」で実行していく,実現していく取組が大事であると思います。

 そこで,市民の皆様が主体的に取り組む提案を募集し,みんなで実現する「京都創生・お宝バンク」の対象を拡大し,提案の実現に向けまして,本市がコーディネートやサポートをしっかりと行う仕組みを構築し,“みんなごと”のまちづくりを推進してまいります。

 人口減少の課題の克服に向けまして,国内外から訪れ,学び,住み,交流する人の流れを生み出すため,市民・地域の皆様と連携して,京都市への移住の支援にも取り組んでまいります。とりわけ,北部山間地域への移住を促進するため,空き家を活用し,移住を検討している方に滞在してもらう住宅を整備するほか,移住促進の取組を実施する地域団体への支援も行ってまいります。

 12ページを御覧ください。

 京都ならではの地域力を活かした区民によるまちづくりを支えるための,区民提案・共汗型まちづくり支援事業でございます。区民の皆様が自発的,自主的に企画運営し,実行していただく取組ですが,この間,大変盛り上がりができてきました。

 来年度は,このうち「区民提案型」の予算を4年前の制度創設時と比べて2倍まで増額するとともに,誰もが集い,仲間と一緒に自由な発想で主体的にまちづくりに取り組む「まちづくりカフェ事業」を全区で実施し,地域力の一層の強化を図ってまいります。

【財政構造改革の推進】

 13ページを御覧ください。

 重点施策をしっかりと推進する一方で,これを支える財政の構造改革も徹底して取り組んでまいります。税制改正等の影響で法人市民税の減収が見込まれるなど,来年度の一般財源収入が0.4%の微増となる一方で,引き続く社会福祉関連経費の増加に加えまして,南部クリーンセンター建替え,

新庁舎整備をはじめとする必要不可欠な防災・老朽化対策,あるいは,土地取得特別会計への繰出金の増加などにより財政需要が拡大し,極めて厳しい予算編成となりました。

 これを受けて,財政構造改革を徹底して推進することで,財源を捻出しております。

 まず,123人の職員削減により人件費をさらに10億円削減しました。事業見直し等については,徹底したコスト削減などの内部努力により,前年度の25億円を上回る31億円の財源を捻出しました。地下鉄,市バスの経営健全化を推進し,大きな成果を挙げております。一般会計からの繰出金を10億円削減するなど,まさに全庁を挙げた取組を推進して,財源の確保を図ってまいりました。

 資産有効活用等による30億円の財源確保も合わせると,その財源捻出額は81億円に上ります。このほか,政策的新規・充実事業や大規模投資事業について,全市的観点から必要性や緊急性を精査のうえ,事業の優先順位や事業・規模の精査を行い,財政負担の圧縮・平準化を図りました。

 財政需要の拡大により,公債償還基金の取崩しなどによる特別の財源対策は,前年度より増えておりますが,ただ今申し上げました財政構造改革の取組を推進し,100億円以下に抑制しております。

 15ページを御覧ください。

 国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除く実質市債残高の状況であります。防災・老朽化対策や保育所整備等を着実に進める一方で,将来世代に過度な負担を先送りしないという観点は,私が一番重視してきた点ですが,市債発行額を適切に管理し,実質市債残高を前年度から全会計で128億円,一般会計で5億円減らすこととしています。

 16ページを御覧ください。

 公営企業も含めた連結ベースでの財政健全化も強力に推進します。特に,地下鉄事業は旅客数を着実に増やし,5万人増客の目標である37万5千人の達成が目前となっています。1日当たりの経常赤字額も,18年度の4,600万円から100万円まで大幅に縮小する見込みであります。

 17ページを御覧ください。

 直近の景気動向や国の地方財政対策を踏まえて,来年度予算編成と併せまして,京プラン後期実施計画期(平成28~32年度)の中期財政収支見通しと財政の取組目標を検討し,とりまとめました。

 今後5年間で目指すべき姿は2点です。

 1点目は,特別の財源対策についてであります。厳しい財政状況の中にあっても,将来にわたり全国トップ水準の福祉や子育て支援,教育をしっかり維持・向上させ,市民の皆様の生活の安心安全をしっかりと守っていくためには,特別の財源対策に頼らなくても必要な財源を賄える持続可能な財政運営の確立が欠かせません。

 このため,来年度以降,都市の成長戦略の更なる推進による税収増などの担税力の強化,そして,地方交付税の必要額確保などを国へしっかりと要望していきます。そして,一般財源収入の増加を図るとともに,歳出の構造改革を加速することにより,特別の財源対策を概ね100億円に抑え,平成32年度には脱却を目指してまいります。

 2点目は,実質市債残高についてです。「子どもや孫の世代にこれ以上借金を増やしてはならない」という信念のもとに,平成32年度の生産年齢人口1人当たりの残高を京プラン前の水準から増加させないよう,縮減させてまいります。

 この目指すべき姿を実現するために,歳入歳出の主要な4分野ごとに毎年度の予算編成の目標を立て,着実に達成していきます。

 18ページを御覧ください。

 現在の施策・制度が継続されることを前提にした試算です。現時点での中期財政収支見通しは,次のページのとおりでありますが,中期財政収支見通しについては,毎年の予算編成に併せて更新することとしております。

 今後,人件費の削減などの目標を着実に達成することはもとより,市税をはじめとする,更なる財源確保や投資的経費の精査など歳入・歳出全般に渡る取組を加速させることにより,各年度の特別の財源対策を目標の概ね100億円以下に抑えるとともに,平成32年度の13億円の特別の財源対策からも脱却することを目指してまいります。

 結びになりますが,この選挙を通じまして,府市協調,国との連携,さらに,オール京都での取組がいかに重要であるか,改めて実感いたしました。

 京都府とは,これまでから,二重行政,縦割行政の打破に向けまして,あらゆる政策の融合を進めてまいりました。全国一,取組が進んでいる,政令市と府県であると評価されております。

 来年度は,計量検査所の一本化,将来的な一本化を含めた,消防学校の一部訓練の共同実施,衛生研究所の共同化に向けた整備を進めてまいります。

 また,京都の未来のため,日本や関西の未来のために,文化庁誘致,北陸新幹線の京都駅誘致などもオール京都で連携して取り組んでまいります。

 御説明は以上です。来年度予算案に盛り込んだ取組について,2月市会に提案し,御審議いただく予定でございますが,スピード感を持って着実に実践し,京都の今と未来に責任を持ってまいりたいと思います。

質疑応答

(公約の予算への反映について)

記者
 予算に反映している選挙公約は何割あるのか。また,観光新税に関係する項目は予算に入っているのか。

市長
 133の公約は,市民の皆様へのお約束ですので,スピード感を持って実行してまいります。そのための予算編成については,選挙中も夜に報告をいただきながら取り組み,3期目の初年度に,9割の事業に着手できる予算になっております。
 
 なお,公約の中には予算を必要としないものもあります。例えば,新たな税負担のあり方については,極力予算を掛けずに,市民の皆さんと検討するための会議を作ります。

(京都版DMOについて)

記者
 京都版DMOについて,京都府も同様の事業を予定しているが,観光案内所は京都府と共同化できたとしても,その他の面での府市協調は難しいのではないか。

市長
 京都版DMOにつきましては,京都市観光協会が中心となり,京都市も連携を深めながら,交通,宿泊,大学など様々な団体と京都ならではの組織をつくっていきたいと思います。

 なお,京都府は,京都府域全体を対象にした取組を展開されると思いますので,そうした取組との連携も大事だと思っております。

(財政状況について)

記者
 特別の財源対策の脱却に向けての考え方は。

市長
 脱却に向けての考え方は3点ございます。
 
 1点目は,成長戦略の推進です。企業が豊かになっても,そのほとんどの税収は国と府に入ります。京都市の税収のほとんどは市民税と固定資産税で,木造住宅は古くなるほど固定資産税が減少します。その木造住宅を大切にするのが京都市であります。経済を活性化し,市民生活を豊かにすることで,市の税収を増やしていく取組を進めてまいります。
 
 2点目は,中小企業振興の推進です。京都の強みを活かしてできた企業が,企業の規模が大きくなると京都から出て行ってしまいます。また,京都に進出したいと思いながらも土地がなく,断念されるケースもございます。
 京都には,工業地域に指定されながらも,使われていない地域もございます。そういった地域を活用するとともに,京都の強みを深堀りして,京都企業の発展に取り組み,稼ぐ中小企業づくりを進めてまいります。

 3点目は,国に対して地方財政の確立を求めていくことです。例えば,観光地の道路やトイレはすべて京都市が管理しておりますが,税収には反映されません。国においても,「京都は観光で賑わっているから財政も豊か」と思われている方も多く,京都の実情を説明すると驚かれます。国に対して,しっかりと京都の実情を訴え,きめ細かい地方交付税の改革を迫ってまいります。

(財政構造改革について)

記者
 市民1人当たりの市税収入が少ないなど,京都市の財政構造上,経済の活性化だけでは抜本的な財政改革は難しいと考えている。市長は3期目の4年間で財政構造を抜本的に変えていく考えはあるか。

市長
 財政に関する見通しは財政部門の担当者が現行制度を基に作成しております。担当者が出した数字を,私の思いで変えるとおかしくなってしまいます。担当者の作成した数字をもとに,これをスタートとして,様々な取組を行い,財政構造改革を進めていきます。市長就任時は,市バス,地下鉄の赤字が深刻な状況でした。そこで,まずは行政が増客対策に取り組み,その取組を市民の皆さんに訴え,協力を得る取組を行いました。その結果,短期間にこれだけ経営が改善された例は他にないとの評価をいただいております。
 
 また,市民の皆さんに御負担,御協力いただき,ごみを徹底的に減らしましたが,ごみの減量によって,年間106億円の財源の確保につながりました。
 
 行政が正面から取り組み,市民の皆さんにも頑張っていただく。また,中小企業や伝統産業を元気にして,人口増加につなげていく取組を,総合的に進めていくことが財政の健全化にもつながると思います。

(中小企業振興及び人員削減について)

記者
 職員の削減について,具体的にどの部署を削減されるのか。また,削減によって業務に支障はないのか。

市長
 人員削減については,京プランにおいて,「10年間で1400人削減,前期で600人削減する。」という目標を掲げ,取組を進めてまいりました。職員の協力のもと,目標を超える削減を行い,削減した人件費を,福祉や安全対策に使っています。
 
 京プランの後期では,一般会計で800人の削減を見込んでおります。ただし,削減と言いましても,生活保護のケースワーカーや安心・安全の部門など,人員が必要な部署には増員を行っています。したがって,最初からどの部署で何人削減するということではなく,それぞれの職場の実態をしっかり把握し,必要なところには必要な人員を確保しながら,より効率的,効果的に業務を行ってまいります。また,民間にできることは民間にしていただくなど,あらゆる取組を進めて目標達成を目指します。

記者
 中小企業振興会議について,業種によって企業の事情が異なると思うが,業種を超えた全体的な振興を目指しているのか。

市長
 中小企業の状況ですが,業種によって異なるわけではありません。最近までは,業種ごとに好不況の差があったと聞いておりますが,予約が取れない料理屋さんがある一方で,伝統ある料理屋さんが暖簾を降ろされるなど,現在では,同じ業種の中で格差が生まれています。
 
 この格差は,企業が新たな成長戦略を模索しているかどうかが関係していると思います。インバウンドを取り込めているか,大学や先端企業と連携した挑戦ができているかなど様々な要素があります。
 
 京都には,観光,大学,先端企業,匠の技,素晴らしい感性など様々な潜在能力があります。それらを融合して,また,あらゆる知恵,人間力,文化力を活かして,従前型の中小企業振興ではない取組を,中小企業団体,専門家,市民の代表と一体となって取り組んでまいります。

記者会見資料

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