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門川市長記者会見(2015年11月4日)

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2018年11月30日

市長記者会見(2015年11月4日)

歴史都市京都における密集市街地対策の推進について

(冒頭のあいさつ)

 本日は,密集市街地において,地域と行政が一丸となって進めてまいりました防災まちづくりの輪を,全市に広げるための一つのツールとして,「防災まちづくりのすすめ」の冊子を発行しましたので,御報告します。
 また,密集市街地において災害に強いまちを実現するため,これまで進めてきた,全国のモデルとなる京都ならではの地域力を活かした取組状況や今後の展開について,併せて御報告します。

(取組の背景)

 戦災の大過を免れることができた京都市には,都心部を中心に細街路や古くからの木造住宅が集まる密集市街地が多くあります。
 それらの地域には,風情ある京都らしい町並みや,伝統的なコミュニティが息づき,豊かな生活の場であり続けています。
 しかし,細街路や密集市街地は,ひとたび大きな地震が起これば,避難や救助に支障を来たすとともに,火災時には延焼拡大の恐れがございます。防災上の課題を有しております。
 京都市は戦後,昭和30年には年間750件を超える火災が発生する日本の大都市で最も火災の多い都市でありました。それが,昨年は230件と3分の1以下になり,現在では,全国の大都市で,最も火災発生件数が少ない都市になりました。地域をあげた自主防災会,消防団,自治会,そして京都市の総合行政の取組の成果であると実感しております。
 この間,京都市が進めてきた密集市街地等における取組では,京都らしい伝統,風情,コミュニティを大切にしつつ,市民が安心安全に住み続けられる災害に強いまちを実現するために,意欲を持って取組をしようという11の学区を「優先地区」に選定しました。防災まちづくりを積極的に進める中で,歴史都市京都ならではの地域力を活かした取組が前進しています。
 現在,日本中に多くの密集市街地がございますが,地域コミュニティの力を活かしながら,歴史的な町並みや風情に配慮して住みやすいまちを作っていくという京都独自の取組は,全国に例がなく,国においても全国のモデルとして高い評価をいただいております。

(「防災まちづくりのすすめ」の発行について)

 防災まちづくりや個々の細街路の安全向上を進めていくには,市民や地域,事業者の方々の意識や取組が不可欠です。
 そこで,この度,京都市が11の「優先地区」を中心に進めてきた,防災まちづくりや密集市街地対策の取組の輪を,より一層深化させ,全市に広げていくため,「防災まちづくりのすすめ」を発行させていただきました。多くの方に知っていただき,実践の輪に入っていただきたいという願いがあります。
 市民の皆様に対して,これまで地域と行政が一丸となって進めてきた,京都市ならではの地域コミュニティを活かした取組を,「いえ・みち・まち」の安全を高めるための取組の事例として,紹介させていただく内容となっています。

(これまでの取組状況)

 資料の別紙2を御覧ください。
 平成23年2月に,日本の建築における大御所として御活躍されており,京都市建築審査会の会長を務めていただいた巽和夫先生から,密集市街地・細街路対策をより一層踏み込んで取り組んでいくべきであるという御提言をいただきました。
 都市計画局,建設局,消防局はもちろんのこと,全局のトップが集まり,京都市全体で真正面からこの問題に取り組んでいくことになりました。
 これを受けまして,本市では,平成24年7月に「歴史都市京都における密集市街地対策等の取組方針」及び「京都市細街路対策指針」を策定して以降,様々な取組を進めてきました。
 平成26年には,路地の雰囲気を守りながら建替え等を可能にする全国にも例のない道路指定制度を創設するとともに,空き家対策と密集市街地・細街路対策とを一体的に進め,空き家を資産として活かしていく旨を定めた全国でも先駆的な「空き家対策条例」を施行しました。
 本年4月には,「密集市街地・細街路における防災まちづくり推進制度」を創設し,防災まちづくりに取り組む地域住民の方々を様々な形で支援する環境を整えたところであります。
 制度の概要は,別紙3にまとめております。非常に複雑な制度でありますので,お読みいただき,疑問な点はお尋ねいただきたいと思います。

 別紙4を御覧ください。
 現在,京都市内には,国の基準による密集市街地が70地区あります。この中から,先ほども申しましたとおり,率先して防災まちづくりを進める意向を示された11の地区を「優先的に防災まちづくりを進める地区」として選定し,モデル地区として,地域の方々と行政の連携による防災まちづくりを行ってまいりました。
 何度も町内会,自治会,自主防災会等で議論していただき,地域の方々が主体的に,自分たちのまちの歴史と風情を大切にしながら,安心安全で快適な住空間を作っていこうという尊い取組であります。
 私もいくつかの地区において意見交換をさせていただきましたが,「優先地区」のうち8つの地区では現在,地域の方々の熱意によりまして,組織づくりや,防災上の課題を確認する防災まち歩きの実施,住民参加による意見交換会の開催,防災マップの作成など,空き家対策とも連携しながら,具体的な活動が進められております。

 別紙5を御覧ください。
 モデル地区として活動4年目となる東山区六原学区及び上京区仁和学区では,これまでの活動の取りまとめとして,今後の活動の指針やまちの将来像を示した「防災まちづくり計画」が策定されました。
 本市では,本年6月にこの2つの学区に対しまして,「防災まちづくり推進制度」に基づく,全国初となる組織及び計画の認定を行ったところです。
 その他,翔鸞学区及び朱雀第二学区,紫野学区,朱雀第一学区,柏野学区,正親学区でも,地域の実情に応じた具体的な取組が進められています。
 さらに来年度からは,上京区出水学区,聚楽学区及び右京区御室学区でも取組が開始されます。
 こうした優先地区での取組を全市に展開し,災害に強いまち京都を実現するため,京都市では,その他の密集市街地でも優先地区同様の防災まちづくりの取組を進めていただけるよう,今年度から,防災まちづくりの専門家を派遣する制度を実施しています。
 その第一号として上京区成逸学区で,本年5月から,防災まちづくり専門家派遣制度を活用した取組が始まりました。

 別紙6を御覧ください。
 その他,細街路対策事業や防災まちづくり推進事業などの各種助成事業を活用した地域主体の取組が実を結んできております。
 中でも,まちなかコモンズの事例は,老朽化した危険な空き家を除却し,跡地を地域の防災ひろばとして整備したもので,空き家の跡地活用を位置付けた,先進的な事例でございます。
 また,トンネル路地には情緒がございますが,これが崩れてしまいますと,トンネル路地の奥にある袋路では身動きできない状態になります。このような路地の風情を残しながら,耐震・防火改修を行い,安全性を高めることで,京都の町並みを守る取組を実現してまいりました。

(今後の取組)

 こうした地域の方々と行政の連携による防災まちづくりを進めるため,本日お知らせしました「防災まちづくりのすすめ」をはじめ,地域の主体的取組や先進事例を紹介した情報誌「ろじマチ通信」などを活用しながら,今後とも,市全体に取組が広がっていくよう全力を尽くしてまいります。
 また,市民の皆様と路地の魅力を一緒に考え,発信していくことで,路地の価値を高めるとともに,各種制度を活用した改善方法を分かりやすく紹介するガイドブックの発行等を通して,市民や事業者の方々による路地の保全・再生の取組を進めてまいります。
 さらに,狭あいな袋路が集中するなど,細街路ごとの対策では十分ではなく,地域全体の面として考えていかなければ,安全性の向上が難しい密集市街地もございます。これらの地域で,抜本的な再生・改善を図るために,京都ならではの方策のあり方を,地域の代表や事業者,専門家の方々との連携により,また,今日までの取組の上に立って検討を進めていきたいと思います。
 今後とも,自分たちのまちは自分たちで守る,自分たちで創造していくという,京都の住民の皆様の力,人間力そして地域力をしっかりと活かし,専門家と行政が一丸となって,京都のまちの風情を守るとともに,快適な住環境を創造していく取組にまい進します。
 京都市が進める先進的な取組が国においても期待されているところでありますので,主体となって取り組まれてきた市民の皆様に敬意を表すとともに,より一層強めていきたいと思っています。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(歴史都市京都における密集市街地対策の推進について)

記者
  「ろじマチ通信」を活用して,密集市街地対策の取組を全市に広げていくことに加え,市民に対して,もっと強い働き掛けが必要ではないか。京都のまちは,一旦火が出てしまうと燃え広がってしまう。そうした面のフォローは,考えていないのか。

市長
 冒頭で申し上げましたとおり,火災件数が全国の大都市の半分になっております。これはハード面の取組よりも,ソフト面の取組が成果に表れています。一例を挙げると,自動火災警報装置の設置件数が全国トップ水準にあります。これは,火災件数の減少の大きな要因と考えております。また,京都市内には密集市街地が多いため,一度に12の消防隊が出動して,火災現場の周りを取り囲んで延焼を防いできました。しかし,初期消火が大事ということで,500リットルの水を積んで細街路に入り,消火活動を行う独自の消防自動車を開発しました。こうした取組が延焼拡大の防止に繋がっています。
 道路を5メートル以上にすれば,火災の予防に繋がるかもしれませんが,まちの風情が無くなってしまいます。京都のまちの風情,コミュニティを維持しながら,火災に強いまちを実現するため,地域に即した取組を実施しています。袋路になっている地域では,ブロック塀にドアを付けて,2方向で逃げてもらえるようにすることなども重要だと思います。
 バブル経済の時には,いわゆる再生屋さんが来て,用地買収して,まちを壊して,そこに大きなマンションが建ちました。京都は,そこにお住まいの方の力を生かしながら,安心安全とまちの風情を両立させたい。新しい建材,燃えない木造の開発も進んできました。そうした最先端の建材,建築の手法なども総合的に取り入れていきたいと思います。

小笠原副市長
 補足ですが,沿道に面している全ての地権者合意が必要なので,地域の皆様の御理解が必要になります。普段から,区役所や消防署が地域に入って,危険であるということを認識していただくという作業を行っています。

(密集市街地対策等の全市拡大及び助成制度の拡充について)

記者
 今後,優先地区での取組を全市展開するうえで,どういう課題がありますか?また,地域の主体的な取組ということですが,助成制度の拡充というのは具体的に何かお考えですか?

市長 
 地域の方々の主体的な取組については,コミュニティ活性化を一生懸命取り組んでいます。安心安全のまちづくりにおいて,近年,非常に災害に対する危機感が意識されるようになりました。地域の行動と行政とが融合,共同して進めていくことが大事であります。まず我々は理屈を言うのでなく,成功事例を作りたいと思い取り組んでまいりました。この2~3年に多くの成功事例が出てきました。それらをしっかりと広報して,この取組の輪に多く参画していただきたいと思っています。助成制度については,まだ知っていただけておりません。まずは使っていただき,そのうえで,充実すべきものについては充実してまいりたい。
 ありがたいことに,空き家対策を中心に「地域の空き家相談員」が200名を超えました。不動産関係者や建築関係者や設計者等がボランティアで一生懸命地域の住民と一緒に細街路や空き家の問題を考えて行動しようとされています。結果として経営にいずれは反映するわけですが,まずは損得を度外視してやろうという取組が進んでいます。そうした力を信頼してより一層力入れてまいりたい。
 また,今の取組は,線とか小さな面単位で町内会が一生懸命取り組んでいただいています。しかし,もう少し広い面で考えていく必要があるという提案もあります。これについては検討中であります。もう少し面で考えて住民の移住も含めて,そして集合住宅の住民が主体的に建てていかれ,そして道路を貫いていく。こうした新しい手法も住民主体となって検討していくべきであり,研究課題としてより踏み込んだ取組が大事ですので,それらと関連させてまいります。

報告案件以外の質疑

(四条通歩道拡幅工事の終了について)

記者
 四条通歩道拡幅工事が10月末で終了予定であったが,10月31日には工事は完成したのか。また,記念式典などの開催は予定されているのか?

市長 
 多くの御理解と御支援のもと,10月末で完成しました。11月15日に式典を予定しております。多く方々の御理解と御支援に改めて感謝申し上げます。

記者
 秋の観光シーズンに備えて渋滞対策に対する意気込みと今の段階での具体的な取組はありますか。

市長
 大きな懸案の一つでした髙島屋前も,信号機をつけて南進させる取組を11月2日から,府警の御英断で実現しました。大きな結果が出ていると思っています。
 また,パークアンドライドが郊外等の関係者の御理解でさらに台数が増えております。徹底して啓発・周知しさらに力を入れてまいります。
 さらに府警からは,円滑に車が流れるよう信号機の精度についても,最新の知恵を活かして取り組まれるという決意をお聞かせいただいています。何よりも都心部に車が流入して来ないよう啓発をより徹底してまいりたい。
 三条通の制限速度が20キロになり,3つの信号も外されました。先日も非常にゆっくりと車が通過していました。中心部は歩くまち京都・公共交通優先でという取組が地域の皆様の御理解のもとに着実に進展しています。
 ただ,比較的スムーズに流れるようになり,バスの運行時間も昨年とほぼ変わらないようになってきていますが,緊張感をもってなお流入抑制の啓発等を徹底してまいります。

(COP21について)

記者
 月末にパリでCOP21が開幕されるが,市長の御感想は。

市長
 ドイツ政府並びに総領事館が,COP3発祥の地,京都で国際シンポジウムを開催したいとの希望で,昨日「日独温暖化防止シンポジウム」が京都国際会館で行われ,ドイツはもとより,全国から熱心な方々が参加されました。
 原発に依存せずに経済性を高めて,エネルギーの循環,CO2の削減に取り組む提案がございましたが,ドイツならではの提案だと感じました。
 京都市では,皆様の御協力もあり,2010年時点の数値を基準に2020年までに15%の省エネを実現するという目標について,現在9%まで達成しています。また,再生可能エネルギー導入量を3倍にする目標についても,1.5倍まで達成しています。この取組は引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 省エネ・創エネなどに注目が集まりますが,ごみの削減,公共交通優先のまちづくりといった取組も地球環境に大きな影響を与えています。今年の10月からは,ごみ半減を目指す,「しまつのこころ条例」を施行するなど様々な取組を進めています。
 また,取組を行うのは行政だけではありません。「びっくり!エコ100選」では,学生中心で取り組んでいただいておりますが,市民の皆さんをはじめ京都のいたるところで取り組みを進めていくことが大事だと思っております。
 私自身,今回のCOP21には参加できませんが,COP21において京都の取組をしっかりとアピールするとともに,「京都議定書からパリ議定書の誕生へ」というメッセージを発していきたいと思っております。

記者
 政府目標は消極的だと批判されているが,政府目標よりも高い目標を掲げている京都市から政府に対して意見は出さないのか。

市長
 国家間の協議は利害と利害の対立でありまして,私がCOP15に参加したときにも,駆け引きの場だということを実感しました。一方,自治体の首長が集まる会議は,国の対立を超えて,それぞれの都市の成功事例を共有し,取り組もうとするものであります。
 全人口の5割が都市に住んでおり,2050年までに7割になると言われています。都市に暮らす住民が環境に大きな負荷をかけており,環境に配慮した都市計画やライフスタイル,産業の在り方を追求することが大事だと思います。
 したがって,私たちは国と国との対立の間に入るのではなく,都市と都市との連携の中で取組を進めていきたいと思います。

記者 
 国内都市のイクレイ加盟数が伸び悩んでいる中で,都市間連携の具体的な取組は考えているのか。

市長
 イクレイにおいては加盟する際に費用がかかることもあり,加盟数が増えていないのも事実です。一方で,政令指定都市が集まり,再生可能エネルギー等を議論する会議を興し,成功事例を共有しながら前進する取組も進んでいます。また,近畿の市長会や会長をしております世界歴史都市会議においても,環境問題を重要テーマとして取り上げています。
 東アジアにおいては,中国は瀋陽以外の都市はイクレイに加盟されておりませんが,様々な都市が交流を進める中で環境問題に取り組んでいくことが大事だと思います。韓国やモンゴルは熱心に環境問題に取り組んでいますし,そうしたところで取組の輪を広げていくことも大事だと思います。
 なお,メルケル首相が環境大臣としてCOP3に参加され,成功に貢献されましたが,その10周年として京都に来られたときに,「DO YOU KYOTO?」という言葉を使われ,「京都という都市の名前が世界で動詞になっています。『環境にいいことしていますか?』という意味で使われています。」とお聞きしました。今回もメルケル首相から「DO YOU KYOTO?」に言及したメッセージをいただきました。熱意の表れであると思いますし,それに応えていかなければならないとも思います。

(民泊について)

記者
 先週,大阪府が民泊ビジネスに関する条例が可決されたが,京都市で同様の条例を考えているのか。

市長
 大阪府では可決されましたが,大阪市ではまだ可決されておりません。京都観光の要は,「安心・安全の確保」,「近隣住民の生活環境の確保」だと思っております。したがって,そういった点が担保できる取組でなければなりませんので,今年度は徹底した実態調査を行ってまいります。

(市長選に向けた立候補表明について)

記者
 先日,連合京都からも要請があり,要請の数も多くなってきたが,市長選についての現時点での市長のお考えは。 

市長
 多くの方々から,市長就任以降の施策や実績に高い評価をいただいており,連合京都を含め多方面から出馬要請をちょうだいしているところです。ありがたいことであります。
 京都府中小企業団体中央会等々からの要請もいただいておりますが,徹底した住民,働く人々の視点に立った政策を評価いただいているからこそと思います。
 私自身,こうした要請をしっかりと受け止め,市会与党並びに立石会長を先頭とされる,「未来の京都をつくる会」等と相談させていただきながら,しかるべき時期に私の考えを述べていきたいと考えています。
 まずは,4年前の選挙で市民の皆様とお約束した政策をしっかりと実現していくために引き続き,誠心誠意取り組んでまいりたいと思います。

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