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門川市長記者懇談会(2015年5月7日)

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2023年4月12日

市長記者懇談会(2015年5月7日)

(大阪都構想(特別区設置)について)

記者

 全国的に話題になっている大阪都構想の住民投票について,どのような意見をお持ちか。

市長

 大阪のことは,大阪の方が徹底して議論され,賢明な判断をしていただきたいと願っています。大阪都構想に関する意見を質問される機会が増えてきましたが,京都市長としての意見を申し上げるのは相応しくないと考えております。

 大阪都構想の提案自体が,二重行政を打破することが目的であると聞いております。50年前,旧5大市は特別市を作ろうとしていましたが,政令によって指定するという曖昧な結論に至ったため,二重行政にならざるを得ない,制度的な課題がございます。しかし,京都市と京都府では,二重行政の解消を目指して,公開の場で知事と市長が議論するとともに,私が市長になってから幹部同士のテーマ別の協議会も立ち上げ,こちらも公開の場で議論するなど,大きな成果を上げております。

 例えば,中小企業融資制度は京都市と京都府が一体で行っています。さらには,京都市,京都府,京都商工会議所が一体となって中小企業の経営支援を行う体制も整えております。先日オープンした動物愛護センターについても,府市一体の運営を行うこととし,日本一,さらには世界に冠たる動物愛護センターに生まれ変わり,市民の皆様にも喜んでいただいております。

 また,観光案内所も府市一体化しました。京都市と京都府が京都駅に別々に作っていたため,二重行政だと批判を受けましたが,一体化することになりました。さらに,衛生環境研究所も共同整備するための設計を始めます。計量検査所や消防学校の一体化も議論しております。エネルギー政策についても,京都市と京都府,そして経済界が共同で京都産業エコ・エネルギー推進機構を立ち上げました。施設から政策の一体化まで,強力に進めています。山田知事とも基礎自治体重視で合意に達しておりますので,これらの取組をさらに加速させていきたいと考えております。

 既に,京都市会でも議論されておりますが,京都市内にある京都市と京都府の類似施設を全部リストアップして,一体化の可能性,一体化できなくても連携した運営を目指しています。今年度から市営住宅と府営住宅の申込相談をいずれの窓口でも行うことにしました。できることをどんどんやっていくことが大事だと思っております。

 

 

(大阪都構想(特別区設置)が京都に与える影響について)

記者

 大阪都が実現した場合,京都に与える影響はどのように考えているか。

市長

 二重行政打破に向けた取組が加速するのであれば,いい意味での刺激を受けるので,山田知事と行財政改革を徹底して進めていくことになると考えています。それ以外に,周辺都市に対して,制度的な影響を与えるというものではないと認識しています。

 

 

記者

 京都と大阪の違いは何か。

市長

 京都市と大阪市では,市民一人当たりの年間の税金が7万円違います。147万人の人口規模で考えると,毎年1千億円以上も京都市は税収が少ない状況になります。しかし,京都では,厳しい財政状況の下で,いかに効率的な仕事をするかを徹底的に議論してきた結果,今の効率的な府市連携に繋がっていると思います。

 また,市バスの運営については,平成14年当時,年間50億円の赤字でした。今や黒字化し,さらには増発していくことも考えられるようになりました。これは,議会と住民の厳しい議論を受け止めてきた先人達が改革してきた積み上げと思っています。決して大阪を批判するつもりはありませんが,他都市よりも住民自治の意識が非常に高いまちだなと思いますね。

 さらに,職員の意識も大きく変わってきたと感じています。例えば,京都市の衛生環境研究所は,誇り高きスタッフが全国トップレベルの仕事をしてきた歴史があります。10年,20年前ならば,京都府の隣の土地に移転して,一緒に建て替えることを誇り高きスタッフは心良しとしなかったと思います。しかし,今は,そうした意識はありません。最も効率的な運営をしようと考えているのです。これは市会と市民を含めた議論を行いながら,現場の意識も改革してきた結果です。これからも全国のモデルとなるような取組を進めていきたいと思います。

 

(地下鉄の延伸について)

記者

 地下鉄の延伸について,市長は京都府の支援が無いと発言している。この件について,大阪を参考にするところはあるか。

市長

 以前,近鉄の会長が,是非とも大阪の地下鉄に乗り入れさせて欲しいと要望されました。京都では,近鉄は国際会議場まで乗り入れると同時に,京都市の地下鉄が奈良まで乗り入れているので,参考にしていただきたいと提案されていました。さらに,京阪が京都市の地下鉄に乗り入れている話も出まして,ここまで上手くいっている事例は無いと言っていただきました。大阪を参考にするのではなく,京都を参考にしていただければと思っています。

 大阪市とも連携しながら,関空から南海,大阪地下鉄,阪急を使って,1,200円で四条河原町まで来ることができます。こうした連携は,大いにやっていきたいですね。

 大阪市の地下鉄は,年間約100億円の黒字で,市バスが大赤字。京都市の地下鉄は,ようやく烏丸線が採算を取れるようになってきましたが,東西線は非常に厳しい状況が続いています。しかし,私が市長に就任した当時は,一日4,600万円の赤字でしたが,駅の民間委託をするなどの改革を進め,10分の1以下の1日400万円になりました。

記者

 民営化すれば延伸が進むわけではないのか。

市長

 進みません。民営化については,市長就任時に,有識者会議を立ち上げて議論いただきました。借金も含めて民間が持ってくれればいいわけですが,電気代や減価償却は民営化になっても変わりません。乗客数を増やすことが大事なので,6年前に,一日5万人増客する方針を立てました。お陰様で,1年目3千人,2年目4千人,3年目5千人,そして4年目が9千人増えました。これは,同志社大学が戻ってきた効果が半分です。そして,最終的な整理はまだですが,昨年は大きな施設ができていないにも関わらず,1万人を超えました。通勤定期が5~6千人増えています。これは,歩くまち京都,公共交通優先のまちづくりを市民の皆様に御理解いただいた結果だと感じております。

 

(特別自治市について)

記者

 大阪で都構想が実現すると,市長が以前言われていた特別自治市を目指す機運を再度高めていくことにつながるか。

 

市長

 京都市は,政令指定都市制度ができる以前から,一貫して特別自治市制度を求めてきました。政令指定都市20市のうち,16~17市が特別自治市を求めており,その研究会も作っています。制度改革には様々なメリットデメリットがありますので,判断は慎重にすべきだと思いますが,目指していきたいと思います。

 この間,どんどん政令指定都市に権限移譲が行われています。例えば,3年前にNPO法人の認証や認定の権限が移譲されました。また,障害のある方の福祉施設等の設置認可,指導監督,薬局などの関係も指導も含めて移譲されてきました。移譲されたものだけで1万数千件あります。それだけ財政負担も多く,財政負担が伴っていないことは国に要望しています。

 また,京都市立小・中学校でありながら,給与は都道府県が支払うという仕組みになっておりましたが,これもようやく法律が改正されて,政令指定都市が支払うよう変わってきました。

 国の改革として第30次地方行政制度審議会の答申で,行政サービスを可能な限り基礎自治体,特に政令指定都市が提供するようにという勧告が出ています。従って,行政サービスの多くを実施していけば,かなり特別自治市に似たものになってくると思います。後は,府県が設置しなければならない施設との協働・連携運営,あるいは,政策立案の共同化,こういうことが課題になってくるのではないかと思います。

 

(四条通のGW期間中の渋滞状況等について)

記者

 四条通のGW期間中の渋滞状況を調査されていると聞いているが,今回の渋滞状況をどのように考えるか。また,今後の対策は考えているか。

 

市長

 後ほど詳細は資料でも御説明します。

 市民の皆さん,全国の皆さんにマイカーの流入抑制を徹底してお願いしました。そして,市バスのバス停も一部変更しました。さらには,お客様の誘導等を市の職員が休日返上で取り組みました。その結果,昨年と比べて極端な渋滞はありませんでした。これを教訓に一層何を成すべきか考え,しっかりと取り組んでいきたいです。

 ただ,依然として,四条通に流入してくる車の半分以上が他府県ナンバーという状況でした。京都市民の方々にはずいぶん理解していただき,マイカーで乗り入れないということが徹底されてきたと思いますが,他府県ナンバーが非常に目立っていました。

 流入抑制等の広報,具体的な工事中の規制の在り方等,いろんな御意見をいただいておりますので,これらを踏まえてより一層,人と公共交通に優しい四条通になるように取り組んでいきたいと思っています。

 

(四条通に流入する他府県ナンバーへの広報について)

記者

 ほかの府県へのPRは何か考えているか。

 

市長

 立て看板を100箇所設置,パークアンドライドの広報,サービスエリアでの啓発,ラジオ等,できる広報は全てやるということで取り組んでおります。また,カーナビ4社から四条通を主要道路から外すことに承諾をいただきました。工事の完成とともに効果を上げてくれると思っています。

 

(四条通の迂回路となる細街路等の周辺道路の状況について)

記者

 5日,6日に流入する車が多かったということだが,細街路や周辺の道路への流入はどうか。

 

市長

 生活に支障が及ぶほどの細街路への流入は起こってはいません。例えば高島屋から出られる車が四条通を曲がらずに御池通まで出ていただくよう,迂回案内を徹底しています。細街路に入っていくということが大きな問題になっていないと認識しています。

 

(四条通の現状を踏まえ,東大路通の歩道拡幅計画について)

記者

 四条通の現状を踏まえて,東大路通の歩道拡幅計画の時期を見直すなどの考えはあるか。

 

市長

 平成14年に地域の方々から歩行者空間を考えてほしいという要望をいただきました。無電柱化の問題もありますが,四条通よりも歩くのが厳しい箇所もあり,狭いところは歩道75cmという箇所もある。仕方なく車道を歩いておられることもあり,強い要望をいただいております。この間,歩行空間創出推進会議を組織し,地域の住民の皆さんと京都市とで議論を重ねてきました。今年も2回,3回と会議を行いながら,あるべき姿の素案を作ることになっています。四条通のことも教訓にしながら,多くの意見を聞き取り組んでいきたいと思っています。

 そもそも東大路通は歩道がなかった道です。真ん中に電車が走り,四条通よりもなお細い道で,多くのお年寄りの方々が住まれている地域です。あの空間を歩く人に優しく,また幹線道路としての機能も果たすという調和がとれた空間となるよう,地域の皆さんの参画のもと,築き上げていきたいと思っています。

 四条通も9年前に御要望をいただきました。そして,8年前に大規模な社会実験を行い,8年かけて荷捌き場をどうするか等,1つ1つ丁寧に丁寧に合意形成を図り,着工し,時間をかけてやってきていますので,東大路通も当然すぐにできるということではございません。

 

(パートナーシップ条例について)

記者

 渋谷区でパートナーシップ条例が成立された。性的少数者への支援制度として,京都で同性愛の方の結婚式をお寺で挙げるなどの動きが進んでいるが,行政として渋谷区の制度を市長はどのように見ているか。また,京都市はどのような取組を検討されているのか。

 

市長

 多様な価値観を認め合ってより良く生きていく,これは都市の理念である世界文化自由都市宣言に掲げられています。これは国際化との関係が大きいですが,都市は理想を必要とします。京都のまちの理想とは,世界文化自由都市であり,宗教や政治体制,民族等,あらゆる違いを超えて京都に自由に集い,新たな文化を創造し,世界の人々の幸せと平和のために貢献する。これが京都市の最高の理念である。このように40年前に宣言しているわけですが,その宣言を持ち出すまでもなく,あらゆる方々の多様な意見を認め合う,これが都市の理想だと思います。ただ,法制度としてどういうことをするのかという話は,市民的なもっともっと深い議論がいると思いますし,現時点において,京都市に対する要望等は公式に来ておりません。議会での議論も深まっておりません。全国的な状況も把握しながら,冒頭に言いました多様な価値観を認め合うというまちの姿勢は貫いていきたい。法制度についてどうするのかというのはもっと議論の深まりが必要だと思います。

 

(ドローンの対策について)

記者

 ドローンが官邸に落ちてから,姫路城でも対策を取ったり,大阪市では公園で飛ばすことを禁止するなど,様々な自治体が対策に取り組んでいる。京都は世界を代表する観光都市であり,多くの寺社仏閣があるが,市として検討している対策はあるか。

 

市長

 ほかの都市の状況等も踏まえ,京都府とも協議しながら,独自の取組を行う必要があるのか,国の動きを待つのが良いのか等現在研究しています。

 

(パラソフィア京都現代芸術祭2015について)

市長

 連休中,京都は文化・芸術で大賑わいでして,お陰様で京都市美術館をはじめとするパラソフィアの会場に多くの方々にお越しいただき,来場者数は25万9000人となりました。当初は休日の寒さや雨等の天候の影響もあり来場数があまり伸びませんでしたが,首都圏や外国でも非常に高い評価をいただき,たくさんの方にお越しいただきました。中身の評価と同時に入場者数25万人という目標を達成したという数字も評価の対象になりますので,多くの方々にお越しいただけたことは良かったと思います。9日,10日の土日も含めて,より多くの方にお越しいただければと思います。

 また,「京都グラフィ」を市役所前広場でも行っていますが,私は15箇所全会場を巡り,改めて感動しています。世界の写真家の初公開作品も含め,町家やお寺,堀川御池ギャラリー等も魅力的な作品であふれています。これを目的に京都に来られた外国の方もおられるようで,静かな新しい流れを感じています。

 また,6回目となる「観〇光 KANHIKARI ART EXPO 2015」も素晴らしかったです。御寺泉涌寺,東本願寺渉成園,高台寺等でお寺を会場に芸術家が絵を描き,造形を創るという現代アート展です。京都と鎌倉で開催されています。渉成園の睡蓮がきれいに咲き,その建物に上がれば,建物に調和したいろんな絵画や彫刻,工芸品を見ることができます。これも続けていくことが非常に大事だと思いました。単にお寺や神社を拝観するだけでなく,そこに芸術家,工芸作家が様々な仕掛けを行うことで,大変な価値のあるものができているなと思いました。

 

 

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