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共同記者会見(2015年8月6日)

ページ番号187042

2023年4月12日

京都市と京都大学との国際学術都市としての魅力向上に関する連携協定の締結について

 この度,京都市では,京都大学と下記のとおり,協定を締結し,本市の世界文化自由都市宣言にもある,平和のもとでの世界の方々との自由な学術・文化交流をさらに促進させ,京都の活性化と発展に取り組んでまいりますので,お知らせします。

 これは,世界有数の大学のまちとしての特性を活かし,悠久の歴史に育まれた文化と景観が息づく山紫水明の「国際学術都市」「世界があこがれる観光都市」の実現を目指し,国際学会・国際会議の誘致や,将来の観光を創造・牽引する担い手の育成などを官学連携で取り組み,京都の学術文化振興,地域社会の活性化,観光振興等に繋げていくものです。

 また,本協定をきっかけの一つとして,京都大学山極総長が掲げる「京都アカデミア構想」の実現に向けて,両者が連携して取組を進めます。

協定締結式

日時  平成27年8月6日木曜日 午後3時30分~午後4時

会場  京都市役所 第一応接室

出席者 京都市   門川 大作 市長

    京都大学  山極 壽一 総長

次第  開会・出席者紹介

    協定書署名・記念撮影

    門川市長あいさつ

    山極総長あいさつ

    質疑応答

京都市 門川市長挨拶

 本日は,京都大学の山極壽一総長にお越し頂き,国際学術都市としての魅力向上に関する連携協定を締結させていただきました。山極総長はじめ,京大関係者の皆様に敬意を表し,御礼申し上げます。

 この協定は,悠久の歴史に育まれた文化と景観,素晴らしい自然が息づく山紫水明の「国際学術都市」「世界があこがれる観光都市」,世界有数の大学のまちとしての特性を活かして,国際学会・国際会議の誘致や,将来の観光を創造・牽引する担い手の育成などを京都大学と京都市が連携して取り組み,京都の学術文化の振興,さらには地域社会の活性化,観光振興,ひいては世界の人々の幸せや平和に貢献していくものであります。

 具体的には,大きく4点でございます。

 1点目は,両者が連携して,国際学会・国際会議の誘致及び開催促進,会議の成功に向けてサポートすることであります。

 日本の奥深い心を感じるまち京都において,多くの国際会議が開催されることは,世界に貢献できる京都の役割でもあります。また,都市格の向上等にしっかりとつながっていくと考えております。

 京都での国際会議は,昨年,過去最高の203件を記録致しましたが,まだまだ開催できる余地はあります。また,京都での国際会議の開催は,主催者から,「想定した参加者よりも大幅に多かった」,「非常に有意義な会議になり,成功した」という評価を頂きます。こうした評価につなげるには,主催者等へのきめ細やかなサポートも重要であります。京都で国際会議が開催され,私が挨拶等で参加させていただく際や誘致活動で携わる際,京都大学の存在感の大きさを実感します。京都大学の関係者が関与されていない国際会議は京都で開催されたことがなかったといっても過言ではないと言えます。そのような意味で,京都大学と京都市は,より一層連携を深めていきたいと思います。具体的には,京都市の「MICE誘致強化事業」における新たな助成金制度を活用した京都大学への支援,更には京都大学内に国際学会・国際会議の開催を支援する相談窓口の開設に向けて検討を始めます。

 2点目は,両者で留学生誘致のプロモーションを強化することであります。

 京都で学ばれた留学生に世界に向けて京都の魅力を発信していただく,文化・経済活動の場で,京都の架け橋となって活躍いただく,グローバル化が進展する中で,これほど大事なことはありません。また,国際的な大学間競争が激化する中で,京都大学と京都市が連携して留学生誘致に向けた取組みを強化していくということは,極めて重要であります。

 そのため,京都市が海外で実施する観光プロモーション等にあわせて,京都大学への留学生誘致を行い,平成29年度までに市内留学生1万人という目標に向けた取組みを更に加速させていきたいと考えております。

 先月,パリで開催された欧州最大の日本文化の博覧会「ジャパン・エキスポ2015」において,京都市のブースで京都大学の留学生誘致を試行的に実施しており,手応えを感じております。

 3点目は,観光分野の担い手,人材の育成について更に連携を強化します。

 観光は,総合的な文化産業であり,また平和産業でもあります。これらの担い手を連携して育てていくことであります。これまでから「京都観光経営学講座」を開催してきましたが,これらをより充実させていきます。そして,観光経営・観光産業のマネジメントを行う人材を京都大学と連携して育んでいく,このようなことに取り組んでまいります。

 京都大学が「京都の各地域の課題を解決する」ことを目指して,COCOLO域事業を進めておられますが,市民と外国人観光客を結ぶプロジェクト,これらの取組みにも本市が連携を深めたいと考えております。

 4点目は,京都大学の卒業生が京都市内で実施される同窓会等の開催を本市が支援することであります。

 日本のみならず,世界各地,多様な分野で活躍される京都大学の卒業生の方々が,世代を超えて様々なテーマで京都に集まられ,市内で同窓会等を開催していただく際に,支援させていただくものであります。具体的には,同窓会の記念に参加者に配布される「伝統産業製品の記念品」等に係る経費を京都市が上限30万円まで支援します。両者がこの制度を周知していくものであります。

 以上でございます。

 なお,今回の協定は,山極総長が掲げられる「京都アカデミア構想」の実現に向けた取組みをスタートさせるものであります。今後,「京都アカデミア構想」が具体化していくタイミングで,順次進化させていきたいと考えております。

 京都大学は,世界の文化首都を目指す京都にとって最高のパートナーであります。これまでの様々な連携を更に深めてまいりたいと思います。

 改めてこの度の連携に至ったご尽力に敬意を表し,共々に頑張って参りたいと思います。よろしくお願いします。

 

京都大学 山極総長挨拶

 京都大学では,この度,京都市と国際学術都市としての魅力向上に関する連携協定を締結いたしました。門川市長はじめ,関係者の皆様に心から御礼申し上げます。

 ご承知のとおり,私は京都大学が歩む指針として,WINDOW構想を立ち上げております。大学を社会や世界へ通じる窓として位置づけ,有能な学生や若い研究者の能力を高め,それぞれの活躍の場へと送り出す役割を大学全体の共通のミッションとして,位置づけたいと思ったからです。その窓にちなんで「WINDOW」という標語を作り,一文字目のWから,最後のWまでの6文字にそれぞれ意味をもたせるようにしております。中でも特に3番目のNと4番目のDが今回の協定と深く関係がございますので,それをご説明申し上げます。

 3番目のNは,Natural and Nobleを意味します。京都大学は三方を山に囲まれた千年の都に位置し,自然の景観に恵まれ,高い水準の文化と歴史に包まれた環境にあります。昔から京都大学の研究者は,これらの豊かな環境のもとで自然と触れ合い,多くの新しい発想を育んできました。これまでに9人のノーベル賞,2人のフィールズ賞をはじめとする多くの世界的な賞の受賞者を輩出し,西田哲学,霊長類学など世界に類のない新しい発想や学問を生み出してきました。これも世界の,こうした京都の環境によるところが大きいと考えています。また,京都の市民も京都大学の学生に古くから親しみ,ときには教育的な配慮をもって接してきました。京都大学の学生の高い品格や倫理観は京都の自然と社会的環境によって醸成されてきたように思います。今後もこの伝統を受け継ぎながら,新しい時代に適合しつつ,それを先導するような精神を培っていきたいと考えております。具体的な計画として,自然に学び,京都の文化的・歴史的遺産と触れる機会を増やしながら,高い品格や高潔な態度を身につけられるよう,魅力あるカリキュラムや快適な環境の構築を心がけてまいります。

 さらに4番目のDは,Diverse and Dynamicを意味します。グローバル化時代の到来により,現代は多様な文化が入り混じって共存することが必要になりました。これまで強みを発揮してきた日本の均質性は,国際競争が激化する現代では時として,創造力を弱め,イノベーションの育成を阻んでいると言われています。京都大学は多様な文化や考え方に対して,常にオープンで自由に学べる場でなければならないと思います。一方,急速な時代の流れに左右されることなく,自分の存在をきちんと見つめ,悠久の歴史の中に自分を正しく位置づけて,堂々と振る舞うことも重要であります。京都大学はその躍動を保証する静謐な学問の場を提供したいと思っております。具体的な計画として,京大らしさの継承と発展を図るために,京都を丸ごと大学のキャンパスと見なして,地域・社会と共生していく,「京都大学キャンパス計画」を推進し,行政,経済界,他大学との連携強化による国際化を推進します。様々な国から留学生と外国人教員,研究者をさらに受入れ,国際的な多様性と活力を高めていきます。

 このように,先端の科学研究の分野において,日本をリードする研究教育機関であるだけでなく,西田哲学をはじめとする人文科学研究においても,長い伝統のある京都大学にとって,これらの伝統を継承し,最先端の研究を推進するための指針であるWINDOW構想の実現には,今回の協定による京都市の国際学術都市としての魅力向上が必要であることから,協定締結を契機に御都市との連携強化に努めていく所存でございます。

 先ほど,門川市長からご紹介のあった「京都アカデミア構想」というのは,現在,京都市,京都府,そして京都商工会議所の三者の連携及び京都大学だけではないアカデミックな機関,様々な京都の大学が連携をして,学術を中心に京都の文化,歴史の深みを更に継承できるよう,国際的な利用が可能なように深めていくという計画であります。今からきちんとした案をつくっていこうと考えているところです。その土台には大学コンソーシアム京都,また「京都ビジョン2040」など既に計画が始動しているものが土台になっております。こうした計画をもとに更にステップを高めるため,学術がそのプラットホームになれる形にして,これから推進していきたいと考えておりますので,どうかご理解いただきますようお願いします。

 以上,あいさつとさせていただきます。

質疑応答

記者
 国際会議等の支援窓口は,いつ頃を目途に開設されるのでしょうか。

市長
 できるだけ早期に開設していきたいと思っております。

記者
 直近で留学生誘致などの観光プロモーションをされる予定はありますでしょうか。

総長
 4月から京都大学にハイデルベルク大学のオフィスができました。京都大学はロンドン,ハイデルベルク,タイに拠点を持っております。この拠点を利用しながら,研究者交流や学生交流を進めていますので,今後も拠点を利用し,色々な交流をつくっていきたいと思っております。

市長
 京都市もパリからドバイに至るまで,10カ所の海外拠点を持っています。また9つの姉妹都市,5つのパートナーシティとの連携も活かしていきたいと思っています。

記者
 協定締結の先にある「京都アカデミア構想」というのは,いつ頃できるのでしょうか。また,連携するという枠組みなのか,京都市や京都府から人を出し合って,場所を確保するなど,実態があるものなのでしょうか。

総長
 国立大学では,第三期中期目標地域計画に向けて,概算要求を出しているところであります。大学の機能強化において色々な枠組みがこれから変わります。その一つのキーワードが「連携」であります。大学間,大学の様々な施設が連携して,教育,研究,社会貢献を行うことが望まれているので,その一環として,まずは,京都市や京都府にお願いしております。また,大学は企業が求める人材育成にも貢献しなければならないと考えます。企業とも対話しながら,相互交流を図り,色々な拠点をキャンパスの内外で,京都の中につくっていこうとしています。その素案づくりをしていこうというのが,最初の発想であります。まだ,委員会もできておりませんが,拠点や人を出していくかどうかについてもこれから話し合っていきます。すでに,大学コンソーシアムはお金,人を出して,京都市が母体となり,大きく動き出しています。これをもとに,どのような構想を重ねられるかが,これからの正念場であると思っております。これから仕組みづくりを行っていこうというところであります。

記者
 このタイミングで協定を締結することになったきっかけはあるのでしょうか。

総長
 数年前,京都大学は京都市動物園に研究者を派遣し,動物園を教育と学問の場にする取組を始め,京都大学野生動物研究センターができました。既に京都市は,「研究センター」としての発展系とつくっています。それに応じて今度は,京都府の植物園,京都市水族館の三者が連携して学習や研究の場にしようと,今年,連携協定を結びました。そうした連携が近年の大きな傾向であります。京都が一丸となって,独立していた施設を結びつけて,それを連携させ,統一的に運営し,市民や府民の方々,観光客に使っていただこうということを始めています。今回の連携もその一環と考えていただければよいかと思います。

市長
 どちらかというと,部分の協定,部分の事業だったが,非常に国際学術都市としての魅力向上という大きなコンセプトのもとに協定を結び,具体的な事業に落とし込んでいくということを始めたと言ってもよいと思います。根本が,総長のアカデミア構想も含めて,京都学をきちんとやっていこうということと,京都市が市民ぐるみで取り組んできた取組みとの方向性が全く一緒であり,協定を結ぶ運びとなりました。

総長
 市長がおっしゃられた京都学は,今非常に人気を呼んでいます。最近は,あしなが育英会がヨーロッパやアメリカから留学生を呼び,京都で修業させるという取組を行っていますが,これも京都学が中心に座っています。ヨーロッパやアメリカから来た学生達が,様々な京都の歴史や文化を学んでいます。京都の評判も高められ,京都大学の学術の評判も高められるという二重の効果をもっているのではないかと思っています。

記者
 MICE開催誘致に関して,支援窓口の支援内容はどのようなものでしょうか。

市長
 国際会議は,開催予定地についての情報をいかに早くキャッチするかが一番大事であります。今年開催されている国際会議においても,5年越しで誘致してきています。学術会議のメンバーである先生が,「今回はヨーロッパを離れて別の場所で開催する」,あるいは「三大陸順番に開催しているが,3年に一回,または5年後にはアジアで開催される可能性がある」など,知っておられることをきちんと京都市の観光MICE推進室と京都大学が情報を共有して,そこからいかに働きかけていくかが大事であります。そして京都大学や京都市には,京都で国際会議を成功させてきたノウハウがたくさん蓄積されており,さらに磨きをかけております。これらの擦り合わせをしていくことが大事であります。会議のテーマに応じて,どのような支援ができるのか,文化庁や文部科学省,政府機関,様々なところとも連携を深めます。このようなことを京都市と京都大学が協力することにより,誘致から会議の成功,さらに学術都市としての魅力向上に大きな影響を与えると考えます。

総長
 京都大学には,様々な研究者がいます。研究者は世界中に計り知れない数のコミュニティをもっております。毎年,国際会議が開かれていますが,京都は,希望が多い場所です。ただし,京都大学は研究者コミュニティの情報はもっているが,京都でどのように開催できるのかという情報はもっておりません。2010年に京大で国際会議を開催した際,来られた人たちをどこに泊めるのか,どこを案内するのか,あるいはどういうアトラクションをやるのか,実施するうえで,非常に苦労しました。一番喜ばれたことは,バンケットで声明を行ったことでした。全く見た事がなかった人たちが,国に持ち帰って評判を高めてくれました。声明の海外公演が増えたといいます。このように京都の魅力を伝える窓口として国際学会は重要であります。それを情報共有等連携して行うことで,大きな可能性が開けると思います。

市長
 雅楽が世界最古のオーケストラであると感動されるように,鏡開き,テープカット,くす玉割りが素晴らしいとか家族が楽しんでいただけるプログラムが組めます。

記者
 GENIUS TABLEに関しての期待感を教えていただけますでしょうか。

総長
 外国から来られた人が,自分の言葉で京都の魅力を語り,学術と京都の文化や歴史遺産を結びつけるということは非常に重要であります。発表する人にとっては,自分の発表の場が与えられ,そういったものを市民や外国から来た人に伝えることができる機会となります。単なる観光宣伝ではなく,きちんと学術や自分が学習したことに基づいて,京都を分析し,それを伝えるメディアになるという場所であります。観光という資源の中に,学術という重みをつけることによって,さらにリピーターが増えると確信しています。「京都を見るだけでなく学びたい」という人たちが海外にも日本にも増えてくると思っております。この試みはこれから大きなキーワードになると思います。

市長
 観光は総合文化産業であると言いましたが,文化芸術から歴史,地理,宗教,さらに伝統産業から先端産業,あまりにも幅広く,奥深いものであります。観光の観は世界観の「観」であり,人生観の「観」であります。このような深みのある観光,これを求めているのが京都であり,それに答えられるのが京都であります。その一方で,世界には観光を担い,牽引する人を育てる学部を置いている大学がありますが,日本では非常に少ない状況であります。このような現状で,京都大学と京都市が,幅広い京都の文化人,観光に従事される方々と連携して,様々な観光のマネジメントやコンシェルジュを育てる取組みをこの間進めてきました。それを一層進化させていこうということであり,期待しております。日本のものづくりは労働生産性が高く,先進国のトップであります。一方,観光をはじめとしたサービスは,労働生産性は先進国の半分という評価もあります。どれだけ観光の労働生産性を高め,誇りをもって,トップの方々が観光に誘致していかれるかが,これからの京都はもとに,日本のために大きな役割を果たせるのではないかと思います。観光を基幹産業にしていこうというときに,京都大学とさらなる連携を深めた取組みを進めていきたいと思います。

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