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門川市長記者会見(2015年7月30日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2015年7月30日)

平成26年度決算概況について(速報値)

 本日は,平成26年度の決算の数字の大枠が固まりましたので,概況をお知らせします。今後,決算の分析を行い,9月市会に歳入歳出決算を報告します。

最初に,26年度の決算のポイントについて概略を申し上げます。はばたけ未来へ京プランに掲げた政策の推進と財政健全化の取組を両立させて着実に推進しました。そのポイントは5点です。

 まず1点目は,全会計,一般会計ともに実質収支の黒字を維持・拡大できました。黒字額は,全会計で340億円程度に,一般会計で21億円になっています。

 2点目は,市税,国民健康保険料,介護保険料,市営住宅家賃の徴収率が,過去最高を達成しました。

 3点目は,昨年3月に大幅な増車をして,利便性の向上,歩くまち京都・公共交通優先の取組を推進し,市バスの1日当たりの旅客数が,前年度から1万5千人と大幅に増え,一般会計からの任意補助金ゼロの自立経営を実現しました。

 4点目は,地下鉄の1日当たり旅客数も前年度から1万1千人と大幅に増え,1日当たりの経常赤字については,経営健全化計画策定前の18年度は4,600万円もありましたが,これまでの間,現金収支の黒字幅を広げ,200万円にまで縮小しました。

 5点目は,全会計・一般会計ともに,臨時財政対策債を除いた,本市が返済に責任を負う実質市債残高を着実に縮減しました。このように,京都市の財政は着実に健全化していますが,公債償還基金の取崩しなどによる「特別の財源対策」に依存せざるを得ない厳しい状況からは依然として脱しておりません。今回の決算で決して気を緩めることなく,今一度,市役所と市民の皆様が危機感を共有し,政策の推進と財政健全化を両立していかなければならないと考えています。詳細は後ほど御説明します。続いて,ただ今申し上げた内容について,データを示しながら御説明します。

 まず,全会計の連結実質収支についてです。グラフに示しているとおり,本市の連結実質収支は,財政健全化法における指標の公表が開始された19年度以来,赤字が続いていましたが,23年度で初めて黒字化を果たし,以降黒字を維持・拡大し,26年度は,一般会計の実質収支黒字に加え,公営企業の収支改善などにより,340億円程度の黒字となっています。

 次に,一般会計の収支についてです。予算編成段階で,福祉,子育て支援,教育,産業の活性化,安心・安全の取組を推進するとともに,総人件費の削減12億円や事業見直し40億円など,徹底した行財政改革を推進しました。加えて,市税徴収率が過去最高の97.9%となったことや,予算執行における経費節減の徹底などにより,実質収支は21億円の黒字になりました。

 市長就任早々の20年度は,100年に一度と言われるリーマンショックを受け,過去最大の赤字となりましたが,22年度に黒字化し,以降黒字基調を維持しています。

 それでは,今回の決算に至った要因について説明します。まずは,歳入の根幹を成す市税,地方交付税等の一般財源収入の状況についてです。

 近年の一般財源収入は,平成12年度のピーク時の4,205億円から340億円以上減少し,回復していない状況にあります。このうち,26年度の市税収入については,景気の回復傾向に加え,徴収率の向上もあって,前年度から77億円の増となりました。しかし,依然リーマンショック前の水準である20年度の2,664億円を143億円下回っています。

 昨年4月から消費税率が8%に引き上げられ,本市に交付される地方消費税交付金もこれにより,30億円増加しています。この増加分は,全て社会保障の維持と充実のために活用しております。

 また,地方交付税と臨時財政対策債の合計である実質的な地方交付税は,市税等の増に伴い,前年度から63億円の減となっております。地方交付税については,度重なる削減により,必要額が確保されていません。これについては,後ほど詳しく御説明します。

 次に,市税などの徴収率についてです。歳入の確保はもとより,市民負担の公平性確保のため,市民の皆様の御理解を得て,全庁を挙げ,特に区長を先頭に区役所と本庁が連携し,一丸となって市税等の徴収率向上に取り組んでまいりました。

 表にありますとおり,市税,国民健康保険料,介護保険料,市営住宅家賃の徴収率は過去最高を達成しました。いずれも昨年度の過去最高を更新しております。また,保育所保育料も過去最高となった25年度と同水準で,99%を超える高い徴収率を維持しております。

 表の右の方に,過去最も徴収率が低かった時期との比較を示しております。単年度でどれだけの増収効果があったかをお示ししています。特に市税については,かつて平成6年度は指定都市最下位でもありましたが,前市長の時代から現在に至るまで努力を重ね,指定都市トップ水準に達し,その増収効果は単年度で154億円となるなど,京都市の財政健全化に大きな効果をもたらし,福祉や教育の充実などの財源として寄与していると考えております。

 次に,財政健全化のために全職員の協力を得ながら,最大限の努力を行った職員数・人件費の削減についてです。社会福祉や防災・安全等,必要な部署には必要な人員をしっかりと配置する。とりわけ,生活保護のケースワーカーや区役所における安心・安全の取組に関する部署については,しっかりと人員を配置しています。その一方,業務の効率化や「民間にできることは民間に」を基本とした委託化・民営化などにより,少ない人数で効率的な仕事ができるメリハリのある職員体制を構築し,職員数の適正化を推進しました。

 私の市長就任以降,この8年間で職員数については,2,965人削減,人件費は単年度で335億円削減しました。その結果,27年度の職員数は13,188人で,ピーク時,昭和55年度の20,095人と3分の2の体制となっています。

 次に,市バス,地下鉄についてです。市民の皆様の御理解と御協力によりまして,観光振興の取組や公共交通優先のまちづくりが浸透したことにより,両事業とも旅客数が大幅に増加し,経営健全化は着実に進んでいます。

 まず,市バスについてですが,一般会計に頼らない自立経営を実現しました。昨年3月に実施した,路線・ダイヤを大幅に拡充する新運転計画等,モビリティマネジメントの向上など徹底的に市民目線に立った利便性の向上の取組が効果を上げ,26年度の1日当たり旅客数は,左上の表にあるとおり,前年度から1万5千人と近年にない大幅な増客を実現し,34万1千人となりました。過去5年間では約3万人の増となっています。

 この結果,一般会計からの任意補助金4億6千万円を全額執行抑制したうえで,24億円の経常黒字を確保しました。かつては20億円を超える一般会計からの補助もございました。14年度は,50億円もの赤字を計上していましたが,これを最後に,15年度以降は黒字を継続できる状況となっております。これにより,ピーク時の17年度には144億円あった累積資金不足も,全て解消できました。バス事業の経営が全国的に厳しい状況ではありますが,今後も,一層の経営の効率化を図るとともに,お客様に喜んでいただけるよう,更なる利便性の向上に努めてまいります。

 次に,地下鉄についてです。1日当たり旅客数について,25年度は,同志社大学の今出川キャンパスへの移転の効果もあって前年度から9千人の増となりました。

 26年度はそうした大きな要因がない中で,あらゆる取組を行い,また,歩くまち京都,公共交通優先の取組が着実に浸透してきた効果により,前年度から1万1千人の大幅増,35万9千人となりました。過去5年間では,約3万2千人の増で,経営健全化計画の10年間で5万人,30年度の目標37万5千人まで,あと1万6千人となっています。

 この結果,経営健全化の鍵となる現金収支の黒字は過去最大の81億円となり,経常損益の赤字も9億円にまで縮小しました。1日当たりの赤字額については,18年度は4,600万円だったものを,26年度決算ではおよそ20分の1にまで縮小し,200万円となっています。

 なお,経営の健全度を表す資金不足比率は,経営健全化基準の20%を下回る14.8%まで改善しましたが,これは,一般会計からの多額の経営健全化出資金を繰り入れた上での比率でございます。この繰入れなしで,27年度以降継続して20%を下回る経営状態には,まだ改善していないため,その見通しが立つまで,経営健全化団体として,計画を推進いたします。

 地下鉄事業は,ピーク時に5,000億円近くあった企業債等の残高を,4,067億円まで削減してはいるものの,依然として多額の企業債を抱えており,全国一厳しい経営状況に変わりありません。引き続き,経営健全化計画に掲げた5万人増客という目標の達成に向け,市民の皆様の御理解の下,徹底したコスト削減や利便性の向上,公共交通優先のまちづくりの推進,地下鉄沿線地域の活性化など,あらゆる努力を重ねていく必要があります。

 次に,水道事業・公共下水道事業についてです。収支を左右する水需要は,節水型社会の定着により減少傾向が続いていますが,職員数の削減など,効率的な事業運営により,右下の表にありますとおり,経常損益は黒字を確保できました。

 なお,地方公営企業会計制度の見直しに伴い,全職員が一斉に退職した場合に必要となる退職金の総額を引き当てる退職給付引当金などを特別損失として計上したため,純損益は水道事業で5億円の赤字,公共下水道事業で11億円の黒字となっています。

 水需要の減少傾向が続く厳しい経営環境ではありますが,今後も,中期経営プランに基づき,更なる経営の効率化・財政基盤の強化を図るとともに,プランに掲げる事業を着実に推進し,引き続き,安全・安心で市民の皆様に信頼される水道事業・公共下水道事業を推進してまいります。

 次に,本市が実質的に返済に責任を負う市債残高についてです。「子や孫の世代にこれ以上借金を増やしてはならない」という私の信念の下,平成21年の市長就任後直ちに設置した財政改革有識者会議において,公開の下,徹底的に議論いただき,その提言に基づき,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除く実質市債残高について,京プラン実施計画で目標を定め,縮減に取り組んでまいりました。

 具体的には,「15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少する中,1人当たりの残高を増加させない」ために,縮減目標を「22年度末から27年度までの5年間で5%以上,金額に換算して,全会計で1,000億円以上,一般会計で500億円以上縮減する」と設定しました。

 この目標については25年度決算で達成し,26年度決算では更に残高を縮減しました。22年度から26年度までの縮減実績は,全会計で1,457億円,一般会計で736億円となり,生産年齢人口1人当たりの残高も着実に縮減しています。

 次に,臨時財政対策債の状況をお示ししています。臨時財政対策債は,地方交付税の代わりに国が臨時的に行う措置であり,機械的に配分するものであります。本市において発行額をコントロールできず,平成22年度からは,その算定方式が人口規模に応じた方式から財政力指数に応じた方式に変更されています。本市財政は指定都市の中でも財政基盤が弱く,厳しい状況にあるものの,一般市町村と比べると財政力指数が高いことから,この算定方式の変更を受け,グラフにありますように,近年,臨時財政対策債の残高が大幅に増えています。

 市債は,財政状況の良い自治体で発行した方が利率は低く,現に京都市の発行する市債は利率が非常に低く,人気のある市債になっております。しかし,こういったことを一方的に行われると非常に困ります。臨時財政対策債の累増は他の指定都市同様,地方財政制度の大きな課題であり,市会においても意見書が採択され,国に提出されています。本市としては,こうしたことを踏まえ,臨時財政対策債の廃止と地方交付税の必要額の確保を国に強く要望しているところです。

 なお,臨時財政対策債の元利償還に対する地方交付税措置については,全国一律の基準で算定されております。その償還方法は3年据置27年償還で,本市の一般的な償還方法である5年据置25年償還とは異なっています。

 本市の市債は,償還計画に基づき確実に償還しており,償還に支障をきたすことは一切ありませんが,先ほど申し上げた償還方法の違いにより,グラフの臨時財政対策債の残高のうち,後年度に地方交付税以外の市税で償還することとなる額があります。

 資料の右側の表に,これらの額をお示ししていますが,臨時財政対策債を除く市債の残高に,これらを加えても,全会計で1,352億円縮減,一般会計で631億円縮減と,縮減目標は達成できています。

 また,次のページのグラフでお示ししているとおり,臨時財政対策債の残高は増加しておりますが,これを含めても,全会計の市債残高は横ばいで推移しています。

 ここまで御説明したとおり,本市財政は着実に財政健全化の道を歩んでいますが,決して安心できる状況ではございません。

 本市財政の厳しい現状を具体的に4点申し上げます。

 1点目は,ぜい弱な財政基盤です。本市は,納税者の割合や市民1人当たりの家屋の面積が少ないことなどから,指定都市の中で市民1人当たりの市税収入が少ない状況にあります。大阪市と比較しますと,本市の面積は大阪市の約4倍で,市域の面積に応じて消防・防災をはじめとした本市で行うサービスの量は多く,橋りょうだけ見ても,大阪市は800橋,京都市は2900橋あります。そうした財政負担が非常に多いもとで,市民1人当たりの市税収入は約7万4千円下回っており,京都市の人口147万人で換算すると約1,086億円も少ないことになります。

 2点目は,地方交付税等の削減です。本市は市税収入が少ない分,地方交付税の必要額確保が重要です。しかしながら,地方交付税と臨時財政対策債の合計は,ピーク時の15年度から,318億円の減と,この間の市税の増179億円を大きく上回る削減になっています。

 また,地方交付税と臨時財政対策債の内訳を見ると,近年は臨時財政対策債が占める割合が増加し,26年度は46%とほぼ半分に至っております。これらについて,国に対してしっかり要望していくことが大事だと思っています。

 3点目は,現行の地方税財政制度が,大都市の責任・権限に応じたものとなっていないことです。政令指定都市制度は,暫定的なものとして制定されております。そして「事務配分の特例」として,道府県に代わって,国道・府道を管理するなど,指定都市ならではの責任・権限を担っております。

 例を挙げると,京都市内の道路の99%,府道の全てと国道の7割を含めて京都市が管理しています。橋りょうについても,同様,府道・国道含めて,市内約2,900橋の97%を京都市が管理しています。桂川は国が管理していますが,その上に架かる渡月橋は京都市が管理しており,橋脚にからまる流木等の管理も京都市の責任となっております。

 ところが,この大都市特例事務に対応する税制上の措置は極めて不十分なものとなっています。26年度予算に基づく概算では,本市の大都市特例事務に係る経費は170億円,一方,これに対応する税制上の措置済額は51億円で,措置不足額は,実に119億円は京都市が負担している。これが京都市の財政を圧迫しています。

 4点目は,社会福祉関連経費の増加傾向です。京都の福祉をしっかりと守っていく大事なことであります。グラフでお示ししているとおり,市税と一般財源収入がピーク時から大幅に減少し,近年は下げ止まったまま回復していない状況が続く一方,全国共通の課題として,高齢化の進展等により社会福祉関連経費は右肩上がりで増加し,20年前の2倍以上となっています。

 こうした厳しい状況の中でも,明るい展望も開けつつあります。例えば,景観や文化芸術など様々な都市格を向上させるあらゆる取組が結実し,昨年の観光消費額は過去最高を更新,7,626億円となりました。更に,平成32年に1兆円を目指してまいります。観光において魅力のある都市は,「そこに投資したい」,「そこに住みたい」という思いにつながり,世界的に広がっていきます。そうなるよう取組を進めてまいります。

 企業立地促進助成については,14年度の制度創設以降,100件を指定し,今年度過去最高になろうというところです。

 かつて,市バスや地下鉄は大変な経営状況でしたが,今では大きく改善しております。市民の皆さんと共に汗する「共汗」で進める事業が着実に前進していますので,そうした取組に未来への希望を見出していきたいと思っています。

 現在,産業や観光の取組が直ちに税収につながってきていませんが,将来必ず税収につながってくると考えております。

 そして,早く特別の財源対策から脱却し,人口減少社会克服への挑戦,京都創生の取組をオール京都で進めてまいりたいと思います。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(地下鉄事業の黒字化に向けた取組について)

記者
 地下鉄事業の黒字化を今後どう進めていくのか。

市長
 地下鉄事業ですが,10年間の経営健全化計画の前半期において,5%値上げの実施が議会でも議決され,国に承認されています。しかし,おかげさまで増客が計画以上に進んでおり,駅ナカビジネスも,市長就任当初の収入は5,000万円だったのが,現在では8億円にまで達するなど,好調を維持しています。そうした状況を国に対しても説明し,前半期に5%の値上げをしなければなりませんでしたが,現在据え置くことができる状況になっています。
 今後もしっかりと経営状況の推移を見るとともに徹底したコスト削減,更なる増客を図っていかなければなりません。
 市長就任の時に,一番頭を痛めたのは,1日4,600万円の赤字でした。「これは京都市の借金ですが,市民の皆さんの借金でもあります。皆さんに地下鉄を御利用いただくことで皆さんの財産になります。」と市民の皆さんに訴えてきました。10年間で5万人の増客という目標は,本当に実現できるのかと思うほど大きな目標でしたが,その目標も見えてきた。未来への展望が見えてきたと考えています。市民の民さまに感謝するとともに,より一層努力してまいります。
 また,様々な設備の更新等について,新たな補助制度を創設するよう国に対して求めていきたいと思っています。国の政策は,鉄道よりも高速道路に偏重しているという意見もあります。これからは,国が地下鉄も含めた鉄道に力を入れてもらいたいと思います。

(市税徴収率の今後の取組について)

記者
 市税徴収率について,更なる改善に向けた方策はあるか。

市長
 市税の徴収率は,政令市指定都市の中でも第3位とトップ水準になりました。1位は名古屋市,2位は横浜市ですが,両市とも多くの従業員を抱える大企業が多く,当然特別徴収になりますので,徴収環境は整っています。
 一方,京都市は,中小・零細企業のまちですので,非常に徴収環境は厳しく,20年前,徴収率は政令市の中で最低でした。納税を猶予・免除する様々な制度を適用して,公正に納税いただく取組を進め,現在は,同じ条件の都市と比べると,圧倒的に京都市の納税状況が良くなってきています。
 納税状況が改善していることについては,市民の皆さんに感謝するとともに,区長を筆頭に頑張っていただいている区役所にも感謝し,より一層努力してまいりたいと思っています。
 先日,省庁の方々と話をしましたが,「京都市は市税徴収率が全国で最悪」というような固定観念を持っておられましたが,京都市の劇的な変化に感動しておられました。昨年,国民健康保険料の徴収率が,平成20年度の後期高齢者医療制度創設以降,過去最高になり,27年度には昭和36年度の制度が始まって以来初めて,すべての保険料率を引き下げ,1人当たり2.5%保険料を下げております。市民の皆さんに頑張っていただいた結果を還元することができていると思いますし,市税徴収率の向上についても,教育や福祉,安心・安全の取組に還元できていると思っております。

(決算を受けての今後の政策について)

記者
 今回の決算を受けて,今後どのように政策を進めていくか。

市長
 政策を推進することで,京都を魅力ある都市にしていきます。住みたい,投資したい,働きたい,訪ねたい,こういうまちにすることで,担税力が向上します。そのための取組を着実に進めていきたいと考えています。今は,種をまき,芽が出だしたというような時期ではないかと思います。
 同時に,この間,大幅な職員数の削減を行い,民間にできることは民間に委託する等の取組を進めています。今後も,更なる行財政改革,効率的な行政運営を両立させていくことが大事であると考えています。
 観光は非常に順調であります。本日も日銀の政策委員の方と懇談してきましたが,懇談会の冒頭に,トラベル・アンド・レジャー誌で,京都市が世界一の人気都市になったと仰っていただいております。
 観光客の利便性を向上させるための本市の政策としては,例えば,観光客用のトイレや道路整備等が挙げられますが,これらは京都市の負担で行われます。一方で,観光消費を支える企業が負担する税のほとんどは国税あるいは府税です。京都市の法人市民税は,税収の1割程度であり,現在の観光消費が京都市の財政に寄与している状態とは言えません。
 京都の中小零細企業では,今年,これも商工会議所の方が仰ってましたけど,従業員の給料を上げられたのが,42~43%という状況であると言われています。大企業ですと,すぐに従業員の給料のアップにつながる例も多いかと思いますが,中小零細企業が多い京都のまちでは,投資を行い,そして,元気な京都になってきていますが,これが京都市の税収に反映されるには少し時間がかかります。
 先ほども申し上げましたが,税収に占める割合の少ない法人市民税は伸びておりますが,大きな割合を占める個人市民税はそれほど伸びておりません。このような現実を受けて,粘り強く,市民生活の豊かさにつなげていきたいと思います。そのことが,市税収入の向上につながります。そのための政策をぶれずに推進していくことが大事だと思っています。
  

(京都市独自の税の新設の可能性について)

記者
 観光に関係した京都市独自の税を新設する考えはあるか。

市長
 20年前に4,000億円であった観光消費額が,現在7,600億円を超えるまでに増加し,2020年までに1兆円を目標として,全力を挙げて取り組んでいます。そのためには,宿泊施設の拡充や買い物環境の拡充を進めるとともに,京都の奥深い魅力に触れていただく体験観光につなげることで,京都の伝統産業や伝統文化,そこに働く,観光に働く人々の収入を増やしていきたいと考えています。これが王道であります。
 一方で,例えば,宿泊税の検討を求める御意見をいただいております。現在,京都市でも勉強しております。ただ,それが歳入にどれだけ跳ね返るのか,あるいは,そのことによるマイナス面を総合的に判断しなければならないと考えています。
 東京都では宿泊税をやっておられますが,東京は泊まらざるをえないお客様です。京都には,観光に来られた方が宿泊されるということを十分に考えて,識者の意見を聞きながら検討を続けたいと思っています。
 その他,今,京都市の場合,木造住宅が5割を占めていますが,木造住宅の固定資産税の評価は非常に低いものになっています。ちなみに,大阪市は2割です。また,地価高騰を反映した平成6年度から200平方メートル以下の住宅の敷地につきましては,固定資産税の税負担が6分の1と軽減されました。京都市が持つ特性ですが,この200平方メートル以下の住宅が,全国の政令市の中でも京都は極めて高くなっていいます。このように,あらゆる国の制度で,京都の税収には不利になっています。
 また,京都市内では,多くの高級マンションが建設されていますが,建設される土地の面積は大きくありませんから,京都市に入ってくる土地の税収は少なく,住民票を置かれない場合は住民税も入ってきません。これらについても,今,税制の改革を,また,京都市独自の取組ができるかどうかを研究しています。
 新しい税金を考えることもできますが,徴収コストと実質収入も,研究の対象ですので,そう簡単なことではないと考えています。

報告案件以外に関する質疑

(地方創生に向けた新型交付金について)

記者
 来年度の新型交付金額1,080億円という政府方針を受けて,市長の考えと資金獲得に向けた方針はあるか。

市長
 日本の都市の半分がこのままでは消滅するのではないかと言われております。東京一極集中を是正する地方創生を,覚悟を決めて取り組んでいかなければならないと考えています。
 国からは,国のお金に頼らないという考え方も必要であると言われていますが,やはり,地方の疲弊している財政のもと,気力だけで政策を進めることはできないというのが,地方の叫びであります。京都市も同じであります。また,例えば,政令指定都市20都市と言いましても,それぞれ財政力が違います。
 その中でも,1,080億円という数字は,あまりに少ない金額であると思います。引き続き,国に対して要望するとともに,京都ならではの歴史力,文化力,地域力を生かした提案をして,予算の確保に努めて参りたいと思います。

(二条城の駐車場の新設について)

記者
 二条城の駐車場計画について,世界遺産における駐車場新設に反対する意見もあるが,市長はどのように考えるか。

市長
 駐車場予定地は,現在,森のようになっていますが,本来は,苗を育てるための苗圃です。かつて,二条城には,樹木の管理等をする職員がおり,樹木が枯れたり,新たな植樹を行う必要がある時に,苗圃で育てた苗を植樹していた経緯があります。
 今回の計画については,文化庁にもきちっと説明して,理解も得ています。もっとも緑は大事でありますので,できるだけ,緑と周辺環境の調和をとっていくのと同時に,移植できる樹木は,生かしていきたいと思います。
 また,京都会館の横の公園でも,樹木を少なくしました。その結果,東山や平安神宮も見渡せて,眺望も開け,美しくなっています。緑を切ってはならないと仰る方もおられますが,例えば,緑がどんどん大きくなって,かえって景観を害している。眺望景観を台無しにしているという事例もあります。木を適切に管理することも大事であります。そして,全体として,景観をしっかりと守っていく取組を進めてまいりたいと思っています。

記者
 二条城敷地内での駐車場新設は,京都市が進めるパークアンドライドの理念に反すると思うが,その点はどう考えるか。

市長
 団体観光では,やはり観光バスが大きな要素となります。修学旅行でも,観光バス内で説明を行い,施設の中に入られます。
 あるいは,欧米諸国の旅行者は個人客が多い傾向がありますが,アジア諸国では,団体で,観光バスで動かれることが非常に多いです。それらの方々に対する受入も非常に大事ですので,すべてのお客様を地下鉄で移動していただくという政策をとるべきことではないと思っています。
 例えば,清水寺,平安神宮,あるいは,西陣織会館等,バスの駐車場を確保するということも,京都の魅力を多くの方に幅広く知っていただく意味で,非常に大事なことであると思います。
 マイカーについてはできる限り御遠慮いただこうと思います。ただし,身体が不自由な方もおられますので,必要最小限に確保しなければならないと思います。
  

(京都市独自の中小企業の賃上げ施策について)

記者
 京都市独自で中小企業の賃上げを促す取組を行う予定はあるか。

市長
 国の政策として,まず,企業の利益を上げて,それを社員の給料に還元していくための取組が行われており,多くが前進しています。また,京都府内の有効求人倍率は,この40年間で最も良い状態にきていることも事実です。こうしたことが,将来的に,非正規雇用が正規雇用に転換されたり,従業員の給料が改善されていくことにつながると確信しております。
 全国で唯一の取組となりますが,京都市と京都府,国,労働局,経営者協会,連合京都。そのような体制で,給料の増額,また,正規雇用を3万人増やし,非正規雇用から正規雇用への転換を経済団体等に呼び掛けています。そうした取組を着実に進めていきたいと思います。

記者会見資料

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