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門川市長記者会見(2014年12月18日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2014年12月18日)

京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想について

 本日は,私から「京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想」について,御説明申し上げます。

 近年,福祉,教育,子育て支援,環境問題,農業,林業など社会的な課題をビジネスの手法をもって解決していこうとする取組が広がっており,志の高い人や企業が様々な挑戦を繰り広げられております。例えば,農業を志す若者の就農支援や収穫物の販売,また,障がいのある方も楽しく旅行できるユニバーサル観光,子どもたちが楽しめる伝統産業品の開発・販売などが,様々な人の御尽力によって広がりつつあります。こうした素晴らしい動きに対し,京都市では,いち早く,平成23年度から支援に取り組んでまいりました。

 支援開始当時は,ソーシャルビジネスに関する認知度は高くありませんでした。そこで,ソーシャルビジネスへの理解・認知度を広げるための取組を実施してまいりました。平成23年度からの約3年間で,セミナーや相談会,先進的な企業への訪問を累計120回以上開催し,6,000人を超える方に御参加いただきました。その結果,我が国が直面する課題に対応する社会的企業家の方々が,京都にどんどん集まってこられ,様々なミーティングを開催されています。ソーシャルビジネスに対する気運が高まっていることを実感いたします。この数箇月間で,私が出席しただけでも3回のミーティングがございました。来年度からは,これまでの成果を踏まえ,次なるステージとして,ソーシャルビジネスの立ち上げを支援する全国初の取組を本格的に展開するため,「京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想」を推進してまいります。

 この構想は,市民,企業,NPO,大学などの多種多様な組織や個人に,1200年を超える悠久の歴史の中で培われてきた京都を舞台に,社会的課題の解決に挑戦していただきます。何よりも人のつながり,志,そして,過度の効率性や競争原理とは異なる多様な価値観を大事にする。これは京都が大切にしてきた価値観であります。その価値観を大切にしながら全国に,更には世界に広めていこうという取組でございます。

 それでは,本構想における6つの取組について,具体的に御説明申し上げます。

 1つ目の取組は,「ソーシャルビジネス企業認定制度の創設」であります。社会的課題の解決に取り組まれる企業を認定することは,企業にとって最も大切な後押しとなります。社会的信用を付与することによって,その成長と発展・持続を支援します。

 認定企業は,京都市内外を問わず,様々な支援者から低利の融資制度や活動拠点の提供,家賃の優遇などの支援が受けられます。認定制度の審査員には,日本を代表するソーシャルビジネス企業の経営者や,大学の先生,ソーシャルビジネスに理解のある第一人者に集まっていただきたいと考えております。

 京都市では,これまでから様々な認定制度を実施しています。例えば,ベンチャー企業については,平成9年に,全国初の取組として,ベンチャー企業目利き委員会を立ち上げ,すでに110社を認定しています。また,企業の第二創業について認定する,オスカー認定制度については,伝統技術を持つ伝統ある企業などが,新たに第二創業されるのを行政が認定して支援する。そうすることによって企業が信用を得て,融資を受け,販路を開拓されることにつながっていきます。

 2つ目の取組は,「社会的企業をトータルで育成する経営支援」でございます。起業前の若者から中堅企業まで,社会的課題の解決に挑戦したい全ての人々を対象に,ソーシャルビジネス企業の支援者による,ビジネスプランコンテストや連続講座,異業種交流会など様々な経営支援を展開してまいります。

 3つ目の取組は,新しいコンサルタント,即ち「キュレーターの育成」でございます。企業経営における社会的な意義をともに考え,社会的活動がビジネスとして継続できるように,中長期的な観点から助言する「キュレーター」を育成することによって,ますます多くの方々がソーシャルビジネスに挑戦する。そんな気風を作っていきたいと思います。

 4つ目の取組は,「ビジネスアイデア学習プログラム『RELEASE(リリース); 』」の充実であります。「RELEASE(リリース);」は,2年前から行っておりました。学生が就活で同じ色のスーツを着て,企業回りすることは否定しません。しかし,学習会をやり,社会的課題を知り,それに挑戦していこうとする動きが現に起こっています。大学生や若者,新たな手法を模索する行政,社会的貢献という視点で新たな展開を図りたい企業,この3者が集い,意見交換会や現地調査等を経てビジネスアイデアを練り上げていく取組であります。

 平成25年度,26年度の2年間で,累計40回以上にわたって意見交換会等を実施しました。トータルで3,000人,19団体に,京都はもとより全国から御参加いただきました。それをきっかけに,京都で店を展開するといったことにもつながっております。今後は,参加者や企業をさらに増加させ,ビジネスアイデアの実現可能性を高める,また,新しいアイデアが湧いてくる,そのような場にしていきたいと思います。

 5つ目の取組は,「京都市ソーシャル・イノベーション・センター(仮称)の設置」であります。京都市ソーシャル・イノベーション・クラスター構想の推進拠点といたしまして,これまで,京都市とともに,ソーシャルビジネスの支援に取り組んでまいりました公益財団法人京都高度技術研究所内に「京都市ソーシャル・イノベーション・センター(仮称)」を設置します。当センターでは,構想全体のコーディネート機能を果たすとともに,行政・企業・NPO・大学・中間支援団体などを巻き込んだネットワークの形成や,企業と公的機関とのマッチングを行うパブリックコーディネートに取り組みます。

 6つ目の取組は,「ソーシャル・イノベーション・サミット」の開催であります。ソーシャルビジネスに関心を持つ自治体や社会的企業が京都に一堂に会しまして,京都からソーシャル・イノベーション・クラスター構想の考え方や取組内容を全国に波及させ,行動の輪を広げるために,サミットを開催したいと思います。そこで,様々な実践事例を共有し,行動につながっていくことを願っております。

 2001年からスタートしました「京都市基本構想」にこのような文言がございます。過度の競争や効率性を回避し,調和した社会を構築することで,人々が互いに信頼しあえる未来。京都市基本構想の実現に,ソーシャルビジネスが大きな役割を果たします。ソーシャルビジネスによる社会的課題の解決を京都から実践し,全国,ひいては世界に発信していきたいと考えております。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(認知度向上の取組について)

記者 23年度から支援に取り組まれているが,実際にビジネスに結びつかないということはあったか。

市長 模索している時間はありました。しかし,地道に支援を続けた結果,今では,新規就農者の農産物を販売される企業などが生まれたり,ソーシャルビジネスで作った環境にいい製品が,東京よりも京都でよく売れるといった声も聞いています。

 現在,新たな展開として,京町家を利用した店舗展開の相談があり,京都市の空き家対策とソーシャルビジネスをマッチングする取組も進んでおります。ユニバーサル観光も着実な実績を挙げておられ,構想から3年経った今,起業という新しいステージに進みつつあります。そういったソーシャルビジネスの芽が様々なところで芽生えつつあります。

(京都市が認定することの意義について)

記者 京都市が企業に信用を付与することが,この取組の中で重要なポイントになっているのか。

市長 そのとおりです。現在,地域の金融機関や信頼資本財団など,ソーシャルビジネスを応援したいという方々が名乗りを挙げられています。金融機関の社会的使命として新たな挑戦を応援しようとされていても,どの企業を応援していいのかがわからないこともあると思います。そのときに,ソーシャルビジネスの第一人者や学識者が十分吟味し,京都市と一緒になって認定することにより,融資や,販路開拓,拠点開設につながる取組にしていきたいと思います。

 ソーシャルビジネスは,「ヒトノミクス」であり,「人と人をつなぐ」,「人とモノをつなぐ」と言われております。その場を京都で作っていきたいと思います。

(融資や家賃優遇の制度について)

記者 低利融資や家賃優遇は,新たに制度をつくるのか。

市長 融資をしてソーシャルビジネスを応援したいという金融機関がありますので,まずは,そのネットワークを使っていただく,マッチングをしていくことが一番大事だと思っています。それでも支援が不足しているときには,京都市として新たな制度設計を考えたいと思います。応援しようとされている方々を差しおいて支援するという段階ではありません。

(地方創生との関係性について)

記者 今回の事業と地方創生とはどういう関係にあるのか。

市長 石破大臣が来られたときに,「厳しい条件があるところを支援するのも地方創生の取組のひとつ。」とおっしゃられました。

 例えば,木の文化を大事にすることによって,全国津々浦々の林業労働者の励みになります。福島県の川俣で採れる国内で一番いい繭が危機的状況にありますが,繭の文化,絹の文化に着目して取り組むと,絹の産地や織物の産地までも元気になります。こういった視点で地方創生に取り組むことが大事であり,提案していきたいと思っています。また,そのモデルを作っていきたいと思っています。

 京都でも,有機栽培や風力発電などの自然の力でできた今治タオルがよく売れることで地方の生産地が元気になっています。したがって,京都の活性化のためにソーシャルビジネスを支援するということではなく,そういったモデルを多くつくっていくことで,京都を地方と地方がつながって頑張る地方創生の拠点にしようということであります。

 派手な事業ではありませんので,この取組によって何万人の雇用を生み出して,経済がV字回復するといったこととは別の概念であります。多様なことに取り組み,新たに展開していこうとするものです。

(構想の目的について)

記者 この構想の目的は,京都に多くの起業家を集めたいということか。

市長 ソーシャルビジネスを起業しようと京都に来られますが,京都の活性化のためという雰囲気ではありません。環境問題や福祉・子育てなど幅広い視点で取り組もうとされています。ただ,全国の中でも京都は,自然と創造力が湧いてくる,「人と人」,「人とモノ」のつながりができてくるといった不思議な土地であります。例えば,伝統産業の分野で,6歳までの子どもを対象にしたお茶碗やお椀づくりに取り組んでおられる若い方がいらっしゃいます。それは,京都の伝統産業品の振興を目的に始められたわけではありませんが,伝統産業品を作るのに京都が適していて,よく売れそうだということで京都からスタートされています。

 都市間競争とは違う概念であり,京都から,全国,世界をつなぐという視点が大事だと思います。

(様々な条例と起業の兼ね合いについて)

記者 産寧坂の針金細工店が条例違反により強制代執行になった例もあるが,外から京都に入ってくる起業家にとっては,難しい条例や決まり事があって,起業しようとする場合,兼ね合いが難しい部分があるかと思うがどうか。

市長 産寧坂という場所は,京都市の面積の1%もなく,その場所以外ではかなり自由に活動できます。産寧坂の周辺地域では太陽光発電も禁止されており,地域を宝のように凍結的保存をしようと法令で決めたところであります。そのことを御承知のうえで,その場所に店を構えられたのですから,ルールは守っていただきたい。

 京都はおもてなしの文化です。相手の立場に立って,おもてなしをする。また,茶道に代表されるように,そのルールに従わなければならないという凛とした姿勢があります。これが京都の魅力でもあります。

 ルールをきちっと説明をする責任は我々にあります。何度も何度も説明をさせていただきましたが,それでも私の考えでやりたいという場合は,法令に基づいてきちっとしなければ京都の大切な宝は守れません。起業する場所は選べるわけですから,決して難しいことではないと思います。

(ソーシャルビジネス企業認定制度について)

記者 来年度開始する「ソーシャルビジネス企業認定制度」では,何社くらいを認定する予定か。

市長 ソーシャルビジネスに関する裾野があっての話ですが,来年度は,最低5企業は認定していきたいと思っています。

(ソーシャルビジネスを京都市が重視する理由について)

記者 ソーシャルビジネスは,すぐに雇用や税収の増加につながる訳でもなく,この他にも様々な産業的な課題がある中で,京都市はなぜ今これを重視するのか。

市長 先日,京都大学で,シンポジウムが開催されましたが,京都を含めて,日本中から270人くらいの学生さんが集まりました。今どきの学生さんは,いろんなことに挑戦したいという機運があります。そういう新しい,若い人の潮流や意欲をしっかりと支援して,小さな成功事例を多く作りたいと考えています。

 大きな企業に勤め,一生安定した生活をしたい。こういう傾向も確かにあります。しかし,混迷する失われた20年を経て,現在,少し勢いが出てきているようです。こういうときに,社会的な課題に生涯取り組んでいこうという動きに対して支援するのが,私は,京都のまちの最大の特性ではないかと思います。

 先ほどお伝えした基本構想は,1999年に京都市会で満場一致で議決された極めて珍しい構想ですが,冒頭の第1章は「京都市民の生き方」であり,その中に,次のように書かれています。

 「停滞する産業や観光,空洞化する都心部,文化の創造力や発信力の低下,市外に流出する大学や工場,風情ある町並みの消失など,京都は様々の深刻な問題を抱えている。しかし,京都市民は,1000年を超えて,本物を見る「目利き」,「匠」,「試み」,物事をとことん極めていく「極め」,もったいないの「始末」,そして,「おもてなし」という得意技を練り上げてきた。これらを京都市民の特性として,未来を拓いていくことが大事である」と。

 バブルがはじけて,日本中が,規制緩和を進めているときに,京都は,小さな東京にならないために,逆に規制を強化して,徹底した景観政策を行い,独自の価値観に基づくまちづくりを進めました。それが今,世界一の観光都市の御評価をいただくなど,様々な展開につながっている。

 私は,この京都市基本構想にある「京都市民の生き方」の考え方を大事にしてきたいと考えています。その生き方を実践するひとつが,ビジネスの世界における「ソーシャルビジネス」であり,これを市民のみんなで挑戦しようということであります。  

(ソーシャルビジネスを通じたまちづくりについて)

記者 京都のまちで,どのような人たちが,どのような分野のソーシャルビジネスに取り組むことを期待するか。また,ソーシャルビジネスを通じて,最終的に,どのようなまちにしていきたいか。

市長 農業や林業,伝統産業が,福祉や教育,子育て支援の分野につながっていくことに期待したいと思います。

 伝統をいかしながら,常に新たな物づくりや物語づくり,仕組づくりに挑戦し,人が育つ京都と同時にソーシャルビジネスも育つ京都を目指してまいりたい。そして,みんなで,社会的課題に取り組み解決していける京都でありたいと思います。そういうことが,全国に,そして,世界に影響を与えるものと考えます。

(ソーシャル・イノベーション・サミットについて)

記者 ソーシャル・イノベーション・サミットについて具体的に何か決まっていることはあるか。また,他の自治体や関係機関などからとか,ある程度賛同を得ている部分はあるのか。

市長 下相談はしていますが,具体的にお話しできる段階ではありません。改めてお知らせいたします。

(京都府との連携について)

記者 京都府もソーシャルビジネス支援を行っているが,連携や棲み分けはあるか。

市長 もちろん,連携はしっかりしていきます。棲み分けの必要はないと思います。京都市のシンポジウム等にも京都府の職員の方々が参加しておられます。

(ソーシャルビジネスの立ち上げの支援について)

記者 ソーシャルビジネスの立ち上げを支援する全国初の取組ということだが,具体的に,どの取組が全国初になるのか。

市長 ソーシャル・イノベーション・クラスター構想を明確に掲げて,人の育成から,創業支援,マッチング,認定とトータルで推進していこうというのは全国で初めてです。また,シンポジウムという形はありましたが,「ソーシャル・イノベーション・サミット」という形で開催するのも初めてだと思います。

報告案件以外の質疑

<衆議院議員選挙について>

(伏見区開票所における開票ミスについて)

記者 先日の衆院選の伏見区開票所において,比例選挙の1500票が誤って集計されたことに対する市長の考えは。

市長 厳正であるべき開票事務において,起こり得ないミスが起こったということで,極めて残念であり,また,お詫びしたいと思っています。

 再びこういうことがないように,ダブルチェック体制の仕組みについて,もう一度,点検し直すように,選挙管理委員会にも,行動していただいています。私の方からも区役所にそのことを申しています。

記者 関係者の処分は検討しているか。

市長 これからですが,もちろん検討していきます。

<衆議院議員選挙について>

(選挙結果について)

記者 衆議院議員選挙の結果について,改めてどのように考えているか。

市長 経済の活性化,安定した雇用の創出,また,安心安全社会,そうしたことに国民が大きな期待を寄せて,政権の安定を望まれたのだと思います。とりわけ,地方が厳しい状況にあります。政府におかれては,国民の期待に,しっかりと対応した施策を,スピード感を持って展開してほしいと思います。

記者 京都では共産党が,比例代表の中では第二党と得票を伸ばしたが,この状況を市長はどのように考えるか。

市長 京都は,共産党が元々強いところです。民主党が躍進するときに共産党は目立たず,民主党が有権者にしっかりと訴えきれてないときに,こういう状況が今までもありました。そのように感じます。

(統一地方選について)

記者 統一地方選について,どのようにお考えか。

市長 自民党,公明党,そして,民主党の健闘を祈念したいと思っています。

(衆議院議員選挙における伏見区の集計誤りについて)

記者 来春には統一地方選挙があるが,いつまでに原因を究明するのか。

市長 原因の究明はもう終わっています。得票計算係で確認した票数と得票台に置かれた票数を確認して得票数の報告を行うべきところ,得票台の票数だけ確認して報告してしまったという普通では考えられないミスが発生しました。きちっとしたマニュアルを作り,ダブルチェックができる体制があるにもかかわらず,そういうことがなされている。

 基本的には完璧と思われているチェック機能であったわけですが,起こり得ないことが起こったわけですから,この機会にもう一度,チェック体制が万全であるかどうか,なぜ,このようなことになったのかを含めてチェックをするようにしていきたい。

(平成26年を振り返って)

記者 本日,年内最後の市長記者会見だが,本年を振り返ってみて,市長はどのような1年だったか。

市長 夏は,台風,局地的豪雨等を経験しました。一方で,秋の紅葉はことのほか美しかったと多くの方に感動していただいています。自然の厳しさとその素晴らしさ,その両方を感じた1年でした。

 同時に,祇園祭後祭,大船鉾の復活,ラオスからの4頭のゾウの来園,あるいは,長年の懸案であった四条通の歩道拡幅,公共交通優先化,京都駅八条口の再整備等に合意形成を努力してきたことで着工できました。また,世界で最も権威のある旅行雑誌で観光都市世界一と評価されるなど,多くの実りがあった年でもあります。

 世界遺産20周年の様々な記念事業の一環であったアートアクアリウムも28万5,500人という驚くほどの人にお越しいただきました。目標の20万人は本当に超えられるのかな,と思っていたのですが,1.5倍近くの方々にお越しいただきました。これは,着実に市バス・地下鉄に影響しています。この5年間で地下鉄5万人増客計画を掲げ,1年目は3千人,2年目は4千人,3年目は5千人という実績でした。去年は,9千人でしたが,そのうちの半分は同志社大学が帰ってきたことの影響です。これを除くと乗客数は半分になってしまうので,今年は非常に厳しいなと思っていましたが,現時点で9千人ということであります。ハード面で大きなことはなかったのですが,ありがたいな,と思っていますし,市民,あらゆる企業,事業者等の御尽力の賜物でもあると思っています。

(今年一年の漢字)

記者 今年一年を漢字一文字で表すと何か。

市長 「結」。色んな結果が出た,実を結んだ。あるいは,人と人を結んだ一年でした。

 祇園祭後祭と大船鉾の復活は,あらゆる人の努力が結ばれました。数年前では後祭の復活というのは,なかなか言い出しにくく,「まず不可能だ」という雰囲気でした。いろんな事業が大きく前進した年でした。また,観光都市世界一という報告がニューヨークから飛んできたのは本当に嬉しかったです。

<琵琶湖疏水船下りの試行実施(疏水の魅力,期待)について>

記者 来年春の試行実施ということだが,疏水の魅力,期待されることは何か。

市長 先人のあらゆる知恵と努力,これを再認識することが非常に大事だと思います。同時に,去年は12月に船に乗りましたが,それでも美しい紅葉の名残りを感じることができました。春,あるいは秋の観光シーズン真っ盛りの時期であれば,山科の美しさを一層実感していただけると思います。

 一燈園あたりの周りの桜はものすごくきれいで,かつ人が少ない。一方,哲学の道はいっぱいです。秋には毘沙門堂でいろんな行事があり,私も3回寄せてもらいましたがものすごくきれいでした。しかし,「どうでしたか」と尋ねると「人が少なかった」と。嵐山はあれだけ人が多く,渡月橋が落ちるのではないかと思うくらい人が多かったのに,「さぁ,京都,山科に行こう」という感じではないのです。山科は,1400年の歴史を持つと言われる都市ですが,観光地としての認知度が案外低い。そこにも非常に大きな意味があると思っています。

 越市長が,琵琶湖の方にも来てもらえると期待いただいていることにも応えていきたいと思います。

記者 山科の魅力の再認識ということか。

市長 そうです。

<琵琶湖疏水船下りの試行実施(実行委員会立ち上げ)について>

記者 本日実行委員会を立ち上げられたが,これまで議論してきた課題はある程度解決できたとお考えか。また,本格実施の時期はいつか。

市長 厳密にチェックしていただいて,いろんな課題が克服できるというもとで,来春の試行につなげることができました。20年前にダメだと言われていたのに,上下水道局がよく頑張ってくれたな,と思います。

 これが本格実施できるかどうかは,民間企業次第です。京都市直営ではやりません。民間の事業者が事業の継続性,採算性も含めてやっていけるというときに,実現すると考えており,そのための条件を作るのが京都市の役割だと考えています。

記者 試験運行である程度の採算性も含めて見極めるということか。

市長 そういうことです。

記者 場合によっては,すぐには本格運行にはならないと考えているか。

市長 非常に意欲的な企業があるので,つながっていくと思います。ただ,京都市として何年にやります,ということは言えません。

  京都観光は,先ほど基本構想を申し上げましたが,2001年の段階では停滞する観光でした。流出する企業,大学,都心部の空洞化,これがここまできました。京都は常に観光客でいっぱいだと思われていますが,14年前はそうではありませんでした。今も嵐山花灯路を開催していますが,常に新たな事業を実施し,2001年から考えますと,100を大きく超えるいろんな事業を次々とやってきて,今の観光を維持しているわけですから,あらゆる挑戦が大事だと思います。

記者会見資料

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