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門川市長記者会見(2014年7月16日)

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2023年4月12日

門川市長記者会見(2014年7月16日)

京都駅南口駅前広場におけるショットガン方式の導入及び運用実験について

 本日は,私から2点御報告申し上げます。

 はじめに,京都駅南口駅前広場の整備に伴うタクシーと観光バスのショットガン方式の導入及び運用実験についてであります。

 京都市が,世界で最も影響力のある観光雑誌「トラベル・アンド・レジャー」の読者投票において,世界で1番の観光都市であるという高い評価をいただきました。また,昨年の観光客数が過去最高を達成しました(5,162万人)。

 京都観光は,多くの方々の御尽力により順調でございます。京都は147万人の市民がいきいきと生活し,空港も港もなにもないにも関わらず,年間5千万人の観光にお越しいただいている世界でも稀有な都市と言われています。京都駅こそが玄関口であり,駅であり,港であり,空港の役割も果たしていると言っても過言ではありません。そこで,京都を訪れる方々の玄関口をより良くするため,平成23年に,駅前広場を,使いやすく,おもてなしの心を備えたものに整備する整備計画を策定し,公共交通機関の乗継ぎを良くし,使いやすさや京都らしさを感じていただくような場にする取組を行っています。詳細の内容につきましては,現在,詳細設計を進めるとともに,工事期間中はバス停,タクシー乗降場等の移設も伴いますので,関係者と細かな調整を積み重ねております。10月頃には発表させていただきます。

 駅前広場の整備で特に課題となりますのが,スペースの活用方法であります。限られたスペースを運用方法の工夫によって最大限有効活用して,駅利用者等の利便性の向上を図りたいと考えています。そのために,有識者や地元関係者等で構成する京都駅南口駅前広場エリアマネジメント会議で議論を重ねてまいりました。

 そして,乗り場から離れた場所にバスやタクシーの待機場を設け,乗車時間までの時間調整,駅前への流入を調整するショットガン方式を導入することが決定しました。

 導入に当たりましては,フロー図のとおり,今年度の閑散期と繁忙期に,運用実験を行い,効果や課題について検証し,駅前広場の整備に合わせて,供用開始までに運用システムを構築していきたいと考えています。

 それでは,タクシーのショットガン方式から御説明申し上げます。

 現在,京都駅南口では,タクシー待機場に進入待ちをするタクシーが路上に溢れ出し,八条通の1車線を塞いでいるという状況が見られます。

 このような状況を改善するために,イメージ図に示しておりますとおり,駅の乗り場から離れた場所に待機プールを設け,駅前のタクシー待機場の空き状況に応じて,タクシーを送り出す仕組みを作ります。

 運用実験につきましては,タクシー業界と連携しまして,8月24日から26日の3日間,御協力いただく近くの民間駐車場と本市の鴨川西ランプ高架下の用地を待機プールとして,マンパワーで実施し,待機プールの収容台数や駅前までの所要時間などを検証してまいります。

 次に,観光バスショットガン方式ですが,春や秋の観光シーズンには,多くの観光バスが京都駅南口で乗降されます。現在の観光バス乗降場は,6台の容量しかございません。駐車できないバスが路上に溢れ出して,路上でバスを乗降される状況も見られます。

 このような状況を改善するために,観光バス乗降場を現在の2倍となる12台の規模に拡大するとともに,乗車目的のバスに対しましては,予約制を導入し,予約時間に合わせまして乗降場に進入する方式を導入します。観光バスショットガン方式につきましては,関西では初めての導入となります。

 運用実験につきましては,バス協会と連携しまして,9月5日と6日の2日間,鴨川西ランプ高架下駐車場を待機場として,マンパワーで実施し,円滑な運用ができるかどうかなどの課題の確認,検証を行ってまいります。

 京都市では,2020年の東京オリンピック・パラリンピック,その前年のラグビーワールドカップ,オリンピック翌年の関西マスターズゲームズを見据えながら,外国人を含めた観光客のおもてなしに取り組んでまいります。

 観光客の皆さんに快適に京都観光を楽しんでいただく。また,観光客にとって良い取組は,京都市民にとっても良い取組ですので,そうした取組を進めてまいります。

 

歴史的景観の保全に関する検証事業について

次に,世界に誇る京都の景観を更に向上させ,将来に渡って守り,発展させていくための取組「歴史的景観の保全に関する検証事業」について御報告いたします。

 観光客の皆様にとっても景観というのは非常に重要な要素でして,このことについても高い評価をいただいております。京都市では,昭和47年に全国に先駆けて美観地区等を活用した市街地景観条例を制定するなど,様々な制度を駆使しまして,景観の保全・再生に努めてまいりました。

 20年前の平成6年に「古都京都の文化財」が世界遺産に登録され,バッファゾーンを設定したことを契機とし,平成8年には美観地区,風致地区等の指定地域を大幅に拡大しております。

 平成19年からは,50年後,100年後も京都が京都であり続けるために建築物の高さの大胆な規制強化やデザインの先進的な規制,眺望景観や借景の保全,更に,屋外広告物,看板の規制対策の強化など6つの柱からなる「新景観政策」を市民の皆様の御理解のもと,強力に推進しているところです。

 こうした取組により,近年,京都のまちがより美しくなってきたという高い評価を得ているところです。また,観光客の増加や世界のあこがれの都市として発展していくことにつながると確信しております。

 しかし,近年,市内の歴史的景観を構成する重要な寺社やその周辺の一部で,美しい京都の景観を脅かしかねない事例が2,3発生しております。

 まずは,京都御所東側の梨木神社敷地におけるマンション計画であります。神社の境内の中に地上4階,地下1階のマンションが建設されるという計画は,我々の想定を超える事態でありました。この計画は,御所の清和院御門に近接する景観に大きな影響を与えるもので,危機感を持って対処いたしました。

 法的には建設が可能でありましたが,京都市では事業者と徹底した話し合いを重ね,景観保全の重要性をねばり強く説明した結果,事業者の方も御理解をされまして,当初の規模を大幅に縮小した,地上2階,地下1階の計画となり,また,周辺の緑を最大限守られることとなりました。さらに,梨木神社の境内地から南側の京都御所隣接区域においては,優れた歴史的景観を将来にわたって保全継承するため,建築物の高さ規制や緑地の保全などを定める地区計画を策定する手続を現在,強力に推進しております。

 なお,マンション用地については,定期借地の期限が終了する60年後には,梨木神社が再び境内地にふさわしい土地利用を図られる意向であると聞いております。事業者と梨木神社の意向もあって景観は何とか守られたと言えます。

 また,哲学の道・法然院前の民間企業の保養所跡地における宅地開発計画では,世界遺産・銀閣寺のバッファゾーンにおける景観のあり方が問題となりました。

 事業者と協議を重ねた結果,地域の皆様の様々な声が反映されまして,当初の宅地開発計画は大幅に変更され,現在は樹木や池を残した形で,一つの宅地のまま利用することが検討され始めていると聞いております。

 こうした問題は,京都市がこれまで以上に実効性のある基準で,きめ細かく地域を再点検し,景観を守っていかなければならないことを示す顕著な事例であります。

 このようなことから京都市では,寺社等の保全を図るための試みのひとつとして,今年度から,京町家等を重点的に指定してきた景観重要建造物の指定対象を,国宝や重要文化財に指定されていない寺社や近代建築物にも拡大し,併せて,指定された建造物の修理修景に対する京都市独自の補助事業の上限金額を600万円から1千万円に増額しています。

 さらに,世界遺産に代表される京都の景観上重要な要素とその周辺において,現状をしっかりと調査し,現行の景観規制や,景観上重要な建造物への支援制度などの総点検を行い,良好な景観を保全するために必要な措置を具体化するための検証事業に着手いたします。

 今年度は,まず,銀閣寺等の世界遺産のほか,京都御所や修学院離宮,桂離宮などの眺望景観創生条例で定められた重要な38の視点場,さらには,建仁寺,東福寺,南禅寺, 伏見稲荷大社などの市内の大規模な寺社とその周辺など61に及ぶエリアで,景観に関する詳細調査を実施いたします。

 調査では,このような寺社などから周辺を眺めたとき,あるいは,逆に,周辺から寺社等を眺めたときの景観の現状を確認し,現行の景観規制,支援制度などと照らし合わせることで,将来にわたって良好な景観が維持されるかどうかを判断し,必要な取組を検討します。

 さらに,寺社及び近代建築物など,合計約1,000箇所を調査しまして,景観重要建造物などへの指定候補リストを作成します。この指定候補リストに基づきまして,来年度以降,建造物の所有者へ指定の働きかけを行う際に活用する予定です。また,国に対して,支援制度も長期的視点に立って要望していきたいと考えています。

 これらの調査で判明した課題を整理し,それぞれの地域に根差した景観規制の見直しなど,課題に応じたきめ細かな対応策を検討します。

 また,今回の検証事業による調査と,検討を進めるに当たり,景観,建築,あるいは土木等を専門とする有識者で構成する「京都市歴史的景観の保全に関する検討会」を開催し,多様な視点から御意見をいただき,実効性のある対応策をまとめていきます。8月には第1回検討会を開催し,今年度中に6回程度の開催を予定し,集中的に御議論いただきたいと考えております。

 今年度中に課題の抽出と各課題に対する対応策や保全措置(案)を取りまとめます。平成27年度には,検討会での調査結果を踏まえた保全措置の実現に向けて制度を具体化し,平成28年度には風致地区,美観地区等の見直しなど,制度実施に必要な諸手続を進めてまいります。

 京都の景観は,日本の宝であります。この優れた景観を守るため,京都市としても,市民の皆様の御理解と御支援をいただきながら,取り組んでまいる決意を新たにしております。併せまして,例えば,帰宅困難者対策を推進する,あるいは,エコ・コンパクトな都市の実現に向けた,駅周辺の用途地域や容積率の見直し等に取り組みまして,景観の保全,活力あるまち,安心・安全なまち,それらを両立していく取組を併せて推進してまいります。

 

質疑応答(要旨)

本件に関する質疑

(歴史的景観の保全に関する検証事業ついて)

記者

 景観保全について,梨木神社や銀閣寺のバッファゾーンでの事案のほか,問題になっているところはあるか。今後の景観保全に関する規制の在り方について市長の考えは。

市長

 梨木神社と銀閣寺のバッファゾーンの問題のいずれも,突然出てきました。民間事業者がどのような計画を進めておられるか,行政サイドでは,手続として申請されるまではわかりません。したがって,今現在,大きな問題が起こっているかどうか,把握しておりません。

 今回の検証事業では,先の二つの事例を教訓として,京都市の歴史的景観を最大限,きめ細かな調査をすることで,将来に禍根を残さないようにしていこうという趣旨で,取り組みたいと考えています。

記者

 今後,景観保全に関する規制や指導を行う予定はあるか。

市長

 現在,平成19年から始まった,京都のまち全体を大切にしていこうという「新景観政策」は,効果を上げていると考えていましたが,それでは十分ではなかったということが,今回の二つの事例でわかりました。したがって,よりきめ細やかに,専門家による調査や議論を求めまして,その御意見の集約に基づき,現在の規制の運用で対応できるのか,新たに規制を強化することが必要なのか,あるいは,そのために国の支援を含めた新たな制度が必要なのかを判断します。また,すぐにできること,時間をかけてやらなければならないことを含めて,あらゆる課題を出していただき,急ぐべきことはスピード感を持って実施していきたいと思います。

 

(景観保全に関する取組(国とのかかわり,経済的な発展との折り合い)について)

記者

 景観保全に関する取組について,国に対する要望や制度の変更等を考えているということだが,今回の検証事業では,具体的にどのような点で,国の法律や制度と関わってくるか。また,平成19年からの「新景観政策」では,経済界の支持があったかと思うが,市内の1千箇所で調査を行うとなると,経済的な発展との折り合いをどう考えるか。

市長

 守るべき景観や歴史的な建造物等をしっかりと守らなければ,京都の都市としての価値が失われます。この都市としての価値こそが,京都の最大の財産であると言っても過言ではありません。

  同時に,駅周辺でエココンパクトなまちを実現するために,用途変更や,容積率の緩和等を両立させていきます。平成19年の「新景観政策」の時も,「それだけ規制を強化したら,京都の土地の価格は下落するのではないか」という議論があり,この間ずっと検証してきましたが,京阪神3都市でみても,景観規制を実施した京都の土地の価値が高まるという結果も出ております。さらに,量だけを求める時代ではない現在,景観保全に関する取組と創造的な活力ある京都のまちづくりは両立すると考えています。

  もう一点の建物のことにつきましては,1,000にも及ぶ寺社,近代建築を,景観上重要な建造物の指定に向けて調査していきます。今回の梨木神社は,京都のまちでは比較的新しい建物ですが,これを本市の重要建造物として指定することによって,支援していきたいと考えています。

  景観とは直接は関係ないですが,出世稲荷神社が突然売られてマンションになるという事例がありました。歴史的な由緒ある建物,神社でしたが,国の重要文化財でも京都市の指定している文化財でもありませんでした。しかし,それがいきなり売られてマンションになるのは残念なことでした。

  この問題は,今の制度で守ることができません。現時点では,国宝や国の重要文化財を保護する制度がありますが,十分なものではありません。下鴨神社さんが,今回,式年遷宮されるのに,寄付が十分に集まらず,四苦八苦されていました。世界遺産でもそれが現状です。京都に2,000ある寺社を将来にわたってどのように守っていくかと考えたとき,非常に難しい問題に直面します。

  例えば,南座のように,松竹さんのような特定の企業や団体が所有される近代建築物は保存されますが,そうでない建築物もたくさんあります。そうしたところを京都市が景観重要建築物として指定して,まずは,1千万円を上限とした補助制度を作り,そうした寺社や近代建築物を支援し,また,これらの重要建築物を守るための新たな国の制度を創設していただくということも考えていかなければならないと思います。その芽としては,「歴史まちづくり法」という法律が,平成20年にでき,補助制度が動き出しましたが,この間,縮小されてしまっていますので,実質的な補助制度を国に対して要望していかなければならないと考えております。

 

(駅前建造物容積率見直しについて)

記者

 帰宅困難者対策の関係で,駅前の建物の容積率を見直すのか。

市長

 すでに審議会でも議論いただいていますが,高さ規制は現状を維持します。しかし,帰宅困難者対策として,避難場所として提供していただく部分や備蓄物資を備蓄する部分については,容積率を緩和する制度であります。

  現代の制度では,例えば,マンションを建てる場合,国の制度により,階段などの共有部分は容積率から除外されますが,オフィスビルや旅館・ホテルは除外されないのが現状です。マンションだけ国の制度で容積率を緩和できる制度になっているわけですが,駅周辺の利便性の高い施設やいざという時のための安心・安全のための施設については,容積率を緩和する制度を設けております。

 

(京都駅南口駅前広場におけるショットガン方式の導入及び運用実験(効果とメリット)について)

記者

 京都駅南口の整備によってどのような効果を期待しているのか。また,市民にとってのメリットは。

市長

 観光バスやタクシーの渋滞により,身動きできない状況を解消するためにショットガン方式を導入します。ソフト面が非常に大事ですので,単にバス乗降場やタクシーの待機プールを整備するということではなく,先にソフト面の研究開発をするために運用実験をします。

  ICT等の技術も進歩しておりますので,バスの乗車時間に乗降場に来て,乗車したらすぐに出ていただく。また,乗降場の収容台数も6台から12台に増やしますので,バスの流れは非常にスムーズになると思っています。

  タクシーについても,無線で連絡を取り駅前に呼び寄せることで,よりスムーズになると思いますし,待機場がいっぱいになったらそれ以上は待機させない仕組みを作ります。タクシー業界もバス業界も前向きに取り組んでいただいていますので,素晴らしいモデルを作りたいと思っています。

  また,路線バスについて,八条通は渋滞等によってほとんど機能していません。そこで,ショットガン方式の導入により渋滞を減少させ,路線バスを機能させることによって,観光客にとっても,通勤・通学される方にとっても便利になるといった効果を期待しています。

 

(歴史的景観の保全に関する検証事業(事業開始時期)について)

記者

 景観保全に関する検証事業について,事業開始が8月になった理由は。

市長

 梨木神社の問題については,全力で取り組み,地上4階建ての建物を地下1階地上2階に変更し,周辺地域の地区計画の準備を進め,近い時期に出来上がると考えております。また,銀閣寺のバッファゾーンの問題については,最近ようやく計画を変更されて安堵しているところです。

  このような問題が昨年から起こっていますので,直ちに市役所の中で検討委員会を立ち上げて検討し,個別対応ではなく,新たに問題が起こる可能性のある場所や課題を総点検してまいります。さらに,今年度は,景観重要建造物については,修理修景に対する補助金を600万円から1000万円に引き上げるという取組も進めております。

  近代建築や町家について,相続税の特例にしてもらえるよう国へ要望していきたいと思っています。そうしたことも含めて総合的に取組を進め,抜本的な議論をするため,昨年から準備をし,8月に委員会を立ち上げることになりました。

  検証するエリアについては,まずは61エリアとしていますが,あくまで案ですので,他にも大事な所があるという御意見やまとめた方がいいという御意見があればその都度対応する方向で考えてまいります。

一般質疑

(京都市屋外広告物等に関する条例(是正期限)について

記者

 京都市屋外広告物等に関する条例について,是正期限が来月末に切れるが期限までにすべて是正することは可能か。

市長

 是正は画期的に進んでおります。先日,観光客の方が,「二条城北東,堀川丸太町北東角のパチンコ屋が,看板を全部付け替えるために休業している。」とおっしゃっていました。何度も京都に来られる方はよく御存知で,感心していただいています。先日,私も地域の方や京都府警と木屋町のパトロールを行いましたが,違法な看板等はすべて無くなっておりました。

  引き続き,工事中の所や撤去等を約束していただいている所に是正いただくよう全力を挙げて取り組んでまいります。さらに,まだ御理解を得られていない方には丁寧な話し合いをするとともに,御理解いただけない場合は措置命令を出し,公表,戒告し,最後には代執行するという取組を進めてまいります。

  世界で例のない取組であるという評価もいただいております。これだけ大きな都市で,看板を設置している4万5千もの建物をすべて点検し,決めたことを最後までやり切るということについても高い評価をいただいております。

  様々な新しい制度がありますが,なかなか実行されずに有名無実になっている制度が多くある中,民間の事業者や市民の皆さん,行政が真剣に取り組んでいるという評価もいただいております。

  工事中や是正に向けて検討しているなど様々な事情はありますので,期日に100%是正が完了するというわけではありません。したがいまして,8月末の期限までに全力投球し,それ以後についても,より一層力を入れて景観政策の趣旨に沿った取組を進めてまいります。

記者

 8月中にやり切るのは難しいということか。

市長

 工事中などで一部看板が残ることはあると思います。

記者

 是正対象の看板が残ってもやっていくのか。

市長

 引き続き取り組んでいくことが我々の使命であると思っていますので,全力を挙げてまいります。国内はもとより,世界でも例がない取組であります。様々な形・色の看板が4万5千あり,その7割が既存不適格の状態でした。これを7年間で是正するという世界に例のないことを京都市民が全力を挙げて取り組んでおり,その取組によって京都の景観が大きく向上してきました。市民の皆さんに感謝しています。

 

(屋外広告物是正の取組(行政代執行の予定)について)

記者

 伏見区の違反事業者の氏名公表をされたが,その後,行政代執行の予定はあるか。

市長

 5月に措置命令を出しました。そして,6月に戒告し,公表いたしました。撤去の期限を7月9日に定めており,その直前に上申書が提出され,「ただちに自主的に撤去する」という申し出がありましたが,いまだに撤去されていません。違反状態にありますので,法令に基づき,代執行令書を本日出しております。

 行政代執行令書というのは,代執行する期日と代執行責任者,代執行の経費を通知するものであります。代執行する日は,7月30日から8月1日の3日間としております。

記者

 事業者は是正する意思を示しているが,行為としてやっていないというところを判断されたのか。

市長

 もちろんです。当該事業者は,「7月9日までに撤去します。しかし,工事業者の関係で少し遅れるかもしれません」とおっしゃったこともありました。この間,何度も何度も話し合いを繰り返してまいりましたが,期限を過ぎても撤去されず,違法状態でありますので,我々行政は事実に基づいて,代執行令書を送達しました。

記者

 イメージ戦略として大企業は看板を変えることができると思うが,零細企業は費用負担等の負担が大きく,思うように是正が進んでいないのではないか。

市長

 私は必ずしも,そうではないと思っています。京都は99%が中小企業,零細企業のまちであります。多くの事業者の皆さんには,「みんなで頑張っていこう,そのために努力しよう」,ということでこの7年間努力を続けて来ていただきました。零細企業,中小企業の是正が進んでいないということは全くありません。

  京都のまちに誇りを持っておられる方,京都のまちをもっと良くしていこう,という思いの方が,この間率先して取り組んでいただいているように思っています。

記者

 是正期限が残り1箇月半となるが,改善の意思が見られない,条例の趣旨が浸透していないと思われる事業者には,どのように理解を得るのか。

市長

 8月31日が法律上の期限ではあります。もちろん,110人体制で1件1件働きかけ,是正に向けての努力をしております。是正されていない方にも自主撤去いただく良い流れができてきていると思っています。

 一方,何度も何度も説明しているにもかかわらず,対応されていない方に対しては,毅然とした対応をしていきます。同時に,色々と事情を説明されながら,「急いでやるけれども,少し待ってほしい」,このような事情がある場合は,丁寧に対応しております。

 いずれにしても,期日は8月31日ですので,それに向けて全力を投入してまいります。

 

(リニア中央新幹線京都駅誘致(大阪が京都に与える影響)について)

記者

 7月18日に大阪でリニア中央新幹線全線同時開業推進協議会が設立される。大阪側は早期同時開業で奈良を経由するルートを想定しているようだが,大阪の動きが京都に与える影響について,どのようにお考えか。

市長

 私どもは,京都府,京都市,京都商工会議所をはじめ,経済界等幅広い市民の方々と20年を超えて取り組んでまいりました。

  目標は3つであります。1つは,大阪までの同時開業。もう一つは,関西国際空港までの延伸。そして,最も効果的で日本の未来のために役立つコースにすべきであり,そのためには京都駅を通るコースにすること,この3点です。一番早くから取り組んできたのは,京都であります。

  このうちの1つ,同時開業に向けて少し前までは,議論にもならなかったのですが,大きく盛り上がってきたということについては我々も評価しています。残る関空への延伸と京都駅構想についても,粘り強く取り組んでまいります。

記者

 京都駅誘致実現のためには,当然京都だけでなく,周辺の理解も必要になると思うが,大阪や奈良が強く主張していることについて,市長はどのようにお考えか。

市長

 大阪は,閣議決定がされているため,経済効果を考えずに,とりあえず早く,という考えで主張されている。これは,想定されていることでした。従って,それを超えて我々は日本の未来のためにどこに通るのが最も良いのか,これを主張してきました。我々の主張に道理があると思いますので,粘り強く主張していきます。

記者

 「想定されたこと」,ということは,そういう動きになるということは見越していたということか。

市長

 大阪は,「とりあえず早くする,だから京都は静かにしておいてほしい」,ということをかねてから言われておりましたが,我々は関西全体のためにも,日本全体のためにも,京都駅を通るコースが必要であると主張し続けてきました。

記者

 「静かにしてほしい」というのは,大阪府知事,大阪市長が直接言われたことか。

市長

 誰とは言いませんが,いろんな方が,「オール京都」での京都駅コースの誘致に向けた取組をとても気にされているということは,それなりに効果がある,ということです。

記者

 京都駅誘致に向けての戦略をどのようにお考えか。

市長

 全国新幹線鉄道整備法,並びにその施行令において,新しい路線を引くには,その経済効果を検証する,ということが明確にされております。それをしないで,とりあえず急ごう,あるいは,時速250kmの新幹線で実施したコースの経済効果を検証もしないで全く違う乗り物で利用する,これほどおかしなことはないと思います。我々は道理に基づいた主張を幅広い市民の皆さんと一緒に繰り返し,あらゆる機会に主張していく,これが一番だと思います。

記者

 同時開業を求めることと,京都駅誘致を求めることは相反するものだ思うが,そのあたりの整合性はどのようにお考えか。

市長

 私は,相反するものとは思いません。もっとも,現時点で物理的に同時開業というのが現時点で可能なのか。できるだけ早期開業というような言い方をしだしている流れもございますので,同時でなければならない,少しも遅れてはならない,ということに拘る必要はないかもしれません。18年遅れる,ということはもってのほかだと,こういうことが関西全体の流れでもあろうかと思います。

 名古屋まで開通して,期間を置かずに大阪まで開通し,早めるがためにコースはどこでもよい,検証しなくてよい,経済効果についても法令に定められた手続きを略してもよい,ということはないわけです。このことをきっちりと訴えていくつもりです。その時に,法令に基づく手続きをきちっと積み上げていく,このことが大事だということも我々は従前から主張しているところであります。

 

(リニア中央新幹線京都駅誘致(シンポジウム「みんなで考える、京都の未来~リニアを,京都へ。~」)について)

記者

 先週,市長も出席されていた「みんなで考える京都の未来」の会合について,半年前の決起集会では,京都府,京都市,京都商工会議所の3者がタックを組んでいたが,先週の会合は,京都市が主催で,後援に商工会議所,京都府がどこにも入っていいなかった。これは,どういうことか。

市長

 シンポジウムでも説明しましたが,25年前に,京都青年会議所が,京都市においてシンポジウムを開催されました。そのメモリアルでやろう,という趣旨であります。平成元年,青年会議者所の理事長ほか,幹部の皆さんが先頭に立ち開催しています。今回も,可能な限り,同じ形でやろうということで開催されました。

 従って,青年会議所が主催で,京都市も主催団体に入り,商工会議所もバックアップしていただいた,こういう経過になっております。メモリアルでの開催をアピールすることで,今,急に京都駅コースを言い出したという誤った理解を解くことにもなります。

記者会見資料

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