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門川市長記者会見(2014年6月18日)

ページ番号168525

2023年4月12日

「平成25年 京都観光総合調査」について

 私から,3点御報告いたします。

 はじめに,昨年の京都観光総合調査についてであります。

 京都市では,従前から,入洛観光客をきめ細かく厳密に把握してきました。昭和33年から,鉄道の駅や高速道路等において,継続的に同じ基準でしっかりと調査してきました。

 一方,全国では,各地域の基準で観光客数を発表してこられましたが,基準がバラバラだということで,平成22年に,観光庁において統一基準が定められました。その基準は,1年に1万人以上がお越しになる観光地点の人数を足していくというものでした。ところが,その基準を適用すると,京都市内には1万人以上来られる観光地点がたくさんございますので,正確な数値を出すことができません。また,京都のまちを散策して食事をしたり,お祭りを観られたりといったお客さまもおられますが,1年に1万人以上お越しになる観光地点に必ずしも行かれるわけではなく,そうした方は観光客数に入らないので,京都の観光特性が反映できないと観光庁にも申し上げてきました。そこで,協議を行いまして,京都市が従前から行ってきた調査は非常に精度が高いことを御理解いただき,京都を一つの観光地点として取扱うことで観光庁と合意しました。したがいまして,厳格な調査方法で実施しましたので,調査結果の信頼性はしっかりと維持できたと思います。

 また,平成23年度と平成24年度につきましては,宿泊観光客数は発表しましたが,京都にお越しになった観光客数は発表できませんでした。今回3年ぶりの発表ということになりますが,非常にいい数字が出てきております。これは,多くの観光事業者の皆さん,お寺,神社,文化団体など,市民ぐるみで観光振興に取り組んできた成果が表れていると感じております。感謝しております。

 昨年9月の台風18号では,嵐山をはじめ,多くの地域で大きな被害が発生しました。観光シーズンに入る一番大事な時でもございました。しかし,関係者の懸命な努力,また全国から多くの御支援も賜りました。おかげ様で,見事に早期に復旧を果たし,観光客数,宿泊者数も大きく増加しました。感謝の念に堪えません。ありがとうございました。

 それでは調査結果について御報告いたします。

 まず,観光客数ですが,5,162万人と過去最高を記録した平成20年度の数字を上回りました。特に,4月,11月に観光客が集中するといった,閑散期と繁忙期の格差が大きな課題でありました。これが,10年前と比較しまして,1月,2月,12月の各月の平均観光客数と11月の平均観光客数の差が3.3倍から1.2倍になりました。例えば,1月は206万人が439万人に,2月は186万人が359万人に,12月は,210万人から475万人と約2倍の増加になっております。これは,嵐山花灯路や京の七夕など,オール京都で閑散期対策に取り組み,更に,2月に飲食店が連携しておもてなしをする京都レストランウインタースペシャルを開催するなど,京都の奥深い文化を感じてもらおうと,観光資源を発掘し,発信する取組が功を奏したと考えております。

 次に,外国人の宿泊客数であります。これは,昨年度から大きく増加して,初めて100万人を超え,113万人となりました。前年度から,35%増の29万人増であります。我が国の訪日外国人客の伸び率が24%ですので,それを大きく上回る数値となっております。観光立国日本,ビジットジャパンの取組を京都が牽引していく。こうした責務も京都にはあると思いますし,前進してきていると思います。

 今後とも,観光と伝統文化や伝統産業を融合していく。また,大学や先端企業も含めまして,あらゆる京都の深みのある魅力,京都の真髄をしっかりと発信していくことが大事だと思っております。更には,ハラール対応や多言語対応,免税店の拡大などの買い物環境を充実させる取組を,民間と京都市が一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。

 何よりも都市格,都市のブランド力の向上と情報発信が大事であります。海外発信については,ウェブサイトを13箇国語対応とし,ドバイ,香港を含めまして世界10拠点で海外発信する取組も進めてまいります。

 次に,観光消費額です。これまでの最高額は,平成20年の6561億円でしたが,昨年度は,6.7%増,441億円増の7002億円となり,リーマンショック以前の数値を上回りました。

 次に,観光客の満足度調査であります。日本人観光客の満足度につきましては,自然風景,あるいはまちの景観などが満足度の上位に挙がっております。あらためて京都の景観は,京都の魅力の大きな要素を占めると実感しています。この優れた自然的・歴史的景観をかけがえのないものとして大切にしていくため,平成19年にスタートした新景観政策についてもしっかりと進めていきたいと考えています。

 また,海外からのお客様の満足度は,「まちが綺麗,清潔」という項目が,最も満足した項目となっております。京都には,朝起きて自分の家の前を掃く門掃きという伝統がございます。これをもう一度甦らせ,企業の方々にも実行していただく取組が大きく前進してきました。京都市役所においても,学校を含めた500から600の事業所におきまして,職員が朝早く来て,ボランティアで門掃きをすることが定着してきました。更に,平成10年度から,市民や企業の皆さんと一緒に,「世界の京都まち美化市民総行動」において,年間20万人にも及ぶ方々が,まちの美化活動を進めていただいています。こうした取組が,「まちが清潔,ごみが少ない」といった,外国からのお客さまが感動していただける要素になっており,大変ありがたいことであります。

 また,日本人観光客の感動度についてであります。特徴といたしまして,電車やバスなどの公共交通機関について感動された割合が,0.5%から4.7%に大きく上がっております。「市バスの一日乗車券が非常に便利だった。」,「公共交通が便利でどの観光地にもいくことができる。」といった御意見もいただいております。市バス,地下鉄の利便性の向上,増収増客の取組も観光の面で満足度,感動度を高めることにつながっていますので,より一層努力してまいりたいと思います。

 外国人観光客の感動度につきましては,「京都人のおもてなし」という項目が最上位になりました。昨年,東京オリンピック・パラリンピックの招致に際しまして,日本人の精神文化であります「おもてなし」という言葉に大きな注目が集まりましたが,京都市においては,3年前の平成23年度から,「京都観光おもてなし大使制度」を発足させ,市民ぐるみで「おもてなし」に取り組んでまいりました。さらに,市役所では,平成24年度から,観光おもてなし課長を設けました。そうした取組によって京都人のおもてなし力に磨きをかけようと市民ぐるみで推進してきました。そうした取組も含めて,「京都人のおもてなし」という項目が外国人観光客の皆さんに感動いただきました。

 このように,市民の皆さん,事業者の皆さんとともに進めてきた取組が,観光客の方にも評価いただいています。引き続き,観光都市としての質の向上に焦点を絞って取り組んでまいります。

 「満足度の向上」,「不満の解消」に到達点はございません。現状に満足することなく,更に多くの方に満足・感動していただけるまち京都を目指してまいりたいと思います。

 平成22年に策定しました,「未来京都観光振興計画2010+5」におきまして,7つのプロジェクトのもとに,116の事業を推進しております。また,2020年の東京オリンピック・パラリンピックに視点を当てまして,半年前倒しで次期観光振興計画を策定するため,いち早く取組を始めました。社寺関係者,宿泊関係者,旅行会社,観光事業者,文化関係団体,大学,観光庁,多くの方々の英知を結集して観光都市京都の更なる発展に全力を挙げてまいりたいと思います。

 調査結果についてはいい数字が出ておりますが,まだまだ課題はございます。例えば,言葉のバリアフリー化の問題,また,京都市民が京都の魅力を再認識し,発信するということが非常に大事であります。そうした,おもてなし力を更に向上していく取組を進めてまいります。

 「満足」は想定通りであった場合に起こるものであります。「感動」というのは想定以上のことが起こった場合に,心から感じるものであります。想定した以上の感動を感じていただく,京都ならではの深みある,人々の魂を揺さぶるような観光都市としての向上を,市民の皆さんと共に進めてまいりたい。そして,世界から尊敬される日本になるために,京都が役割を果たす必要があると思います。

京都信用金庫からの京都市動物園に対する御支援について

 次に,先日発表いたしました「京都市動物園サポーター制度」についてでございます。

 提案型サポーターの第1号として,京都信用金庫から,「京都市動物園におけるゾウの繁殖プロジェクト」への多大な御支援の申し出をいただきました。増田理事長をはじめ,関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいであります。

 なお,参考として,京都市動物園サポーター制度に関する資料をお配りさせていただいております。

 まず,京都信用金庫からの支援の経緯について御説明します。新聞報道等により「京都市動物園におけるラオス政府と連携したゾウの繁殖プロジェクト」を京都信用金庫がお知りになり,内部で支援方法等を御検討いただいていることは,従前よりお聞きしておりました。

 そして,今年4月のラオス訪問により年内に,ゾウ4頭が京都市動物園に寄贈されることが具体化してきたこと,そして,サポーター制度が立ち上がったことを報道で知っていただき,この度「提案型サポーター」としての御支援を申し出ていただきました。

 「京都市動物園におけるゾウの繁殖プロジェクト」は,京都市動物園,京都大学野生動物研究センターが連携し,繁殖等についてのプロジェクトを進めております。始まりは2年前,私からケントン在日ラオス特命全権大使にゾウの寄贈をお願いしたことからです。ラオスと日本の首脳会談にまで持ち上げていただき,10年間にわたる繁殖プロジェクトを実施してくことになり,お陰様で12月中に4頭のゾウが京都に来てくれることになりました。

 メス2頭については,個体が既に決まっておりますが,オス1頭,メス1頭については,まだ個体が決まっておりません。現在,京都市動物園から2人の職員がラオスに行き,早期確定を目指し取り組んでおります。

 ちなみに,日本動物園水族館加盟の動物園が87園ございます。そのうち,アジアゾウがいるのは36園,アフリカゾウがいるのは15園,全体では46園でゾウが飼育されています。逆に言いますと,41園ではゾウがいないということになります。ワシントン条約で,ゾウは群れで飼わなければならない,繁殖・学術研究のためでなければ輸出できない等厳しい制約がございますが, 京都市の動物園で繁殖を成功させて,いずれ京都で生まれたゾウが全国の動物園に貢献できる,そんなことも目指していきたいと考えております。

 京都信用金庫からは,このゾウの繁殖プロジェクトを推進するため,初年度となる平成26年度はゾウの輸送費用を中心に5千万円,平成27年度から平成36年度までの10年間は,エサ代,調査,研究などへの支援として各年5百万円提供していただき,計11年間で総額1億円の御支援の申し出をいただきました。

 今後,速やかに覚書を締結し,しっかりと京都市動物園としての役割を果たしていきたいと思います。

 なお,京都信用金庫と京都市動物園とは,「ゾウ」がつなぐ深い御縁がございます。

 昭和53年当時,京都市民に愛されていた「ルパヒ」というゾウが亡くなりました。その報せを,マレーシアに滞在されていた当時の榊田喜四夫理事長が聞かれ,直ちにクアラルンプール市長にゾウの寄贈を働きかけてくださいました。その結果,現在,京都市動物園の人気者である「美都」が京都市動物園にやってくることになりました。

  その後も,平成15年には,京都信用金庫創立80周年事業として「ゾウ舎日陰テント」や「案内表示」を御寄贈いただいております。このような御縁も踏まえ,今回のプロジェクトに関心を持っていただき,10年を超える御支援のお申し出をいただきました。

 これからも,多くの市民の皆様,事業者の皆様の御支援を賜りながら取り組んでまいりたいと思います。

 ゴリラのラーメンも,非常に人気でたくさん売れております。売上の一部が飼育動物の施設整備など飼育環境の向上に繋がる仕組みでありますので,また,召し上がっていただければと思います。

Kotochika(コトチカ)御池(地下鉄烏丸御池駅構内)及び地下鉄今出川駅構内店舗への出店事業者の募集について

3点目は,地下鉄の駅ナカビジネスについてです。コトチカ御池と地下鉄今出川駅の出店事業者を募集いたします。

 京都市が進める駅ナカビジネスは,地下空間を心弾むワクワク空間にしていこうというコンセプトのもと,地下鉄のお客様の利便性を向上させ,同時に,地下鉄の経営健全化にも貢献していこうという取組であります。

 平成19年度の事業開始時点の駅ナカビジネスによる収入は,年間5,600万円でしたが,平成24年決算では,5億円を大きく超えまして,平成25年度は7億円を超える見込みでございます。

 今後は,平成30年度に10億円を超えることを目標に,交通局のスタッフが全力を挙げて取り組んでいます。

 地下鉄の増収客の中でもコトチカが大きな役割を果たしております。

 現在,コトチカ御池は,2店舗が入っておりますが,これを更に4店舗増やします。職員が自分たちの仕事をしているスペースを見直し,あらゆる努力をした結果,出店スペースを確保することができました。第一線の現場の職員の創意工夫の賜物だと思います。

 出店スペースの4区画の総面積は,約400㎡で,現在の店舗と合せますと合計560㎡で,地下鉄四条駅のコトチカ四条を上回る規模になります。今回募集する出店が実現すれば,ますます活気あふれるワクワク空間になり,経営健全化にも貢献できると考えています。

 また,地下鉄今出川駅においても,北改札口に1区画を募集します。昨年,同志社大学文系学部の1,2回生の皆様が京都の今出川キャンパスに戻ってこられました。非常ににぎわっております。同志社大学とも相談しまして,今出川駅に,学生の皆様も利用できる便利な店舗を整備したいと思っています。

 何より,お客様にとっても便利であると同時に,地下鉄の経営健全化にも資する取組を今後も進めていきたいと思います。

質疑応答(要旨)

本件案件に関する質疑

(観光客数増加の要因及び今後の課題について)

記者 

 台風18号など不安材料がある中で,観光客数が増加した主な要因は。また,宿泊施設を増やすなど今後の課題についてどうお考えか。

市長 

 昨年は,台風18号による被害もあり,また,関東で大きな観光施設等が開業し連日報道されるなど,観光面で懸念されるような状況でした。

 しかし,観光振興は一つや二つの取組で成せるものではありません。京都市では,100を超える観光関連事業を2010年から推進してきました。その中で,京都の魅力を一つ一つ再発見,発掘して,その魅力を観光資源として発信する取組や閑散期対策をきめ細かく進めてまいりました。以前の12月頃の嵐山は人影がほとんどない状態でしたが,昨年12月には,嵐山花灯路に100万人を大きく超えるお客様にお越しいただいています。

 4月,11月の繁忙期には,宿泊施設が不足し,日帰りや他のまちに宿泊される方が多いのが現状です。泊まってこその京都ですので,閑散期に魅力を創出して,宿泊していただくという取組が一つ一つ実を結んできていると思います。外国人観光客についても,国の政策等もありますが,東京一極集中を打破して,京都の魅力を積極的に直接世界に発信する取組が大事だと思っております。

 また,おもてなし力を向上することも重要であると考えています。前市長が就任していた平成12年から,オール京都で観光振興に取り組んでいただきましたが,「市民ぐるみの振興策になっていたかどうか」ということが反省点として挙げられます。その反省点を踏まえ,市民の皆さんが京都の魅力を感じて取組を実践し,発信していこうとするおもてなし力の向上に向けた取組が功を奏してきていると思います。

 宿泊施設については,稼働率が90%を超えている施設もありますが,未だに宿泊施設が不足しており,京都では泊まれないというイメージが定着しています。したがって,繁忙期を避けて閑散期に来ていただくことも大事ですが,宿泊施設についても取組を進める必要があります。最近では,3千円から5千円で泊まれる宿泊施設も増えてきましたが,富裕層向けの宿泊施設がまだまだ不足しています。これは多くの国際的な観光事業者からも指摘されている点であります。この数年の間に,いわゆる5つ星の宿泊施設が京都に進出しています。これを更に加速させるとともに,現在の宿泊施設についてもグレードアップしていただく取組も始まっており,京都市としても可能な限り支援していきたいと思っています。

 

(宿泊施設の高さ規制及び総合型リゾート(IR)について)

記者 

 宿泊施設をリニューアルする際,「高さ規制」が問題となり,改修費用や,部屋数の確保等の問題が生じ,どうしても高級ホテル路線にならざるを得ないという京都独自の問題を抱えているかと思うが,例えば,宿泊施設を確保するために高さ規制を一部の地域で緩和するなどはお考えか。

 もう一点は,今月末発表された政府の成長戦略の中で,統合型リゾート(IR)が明記されることになっており,大阪府や大阪市が誘致を目指しているが,仮にカジノが大阪にできたとすれば,京都にどんな影響があるとお考えか。

市長 

 京都の観光が世界的に,また,国内的にも評価されている大きな要素は,「景観が素晴らしい」,「自然環境が素晴らしい」,このような魅力であります。例えば,二条城から二条城以外の人工的なものはほとんど見られません。先だって,舛添東京都知事に「東京で和風の迎賓館を造られるのはよいが,京都の迎賓館を一度見に来てください。迎賓館以外の人工的なものは一切見えないですよ。周りの借景,眺望景観も含めて日本の魅力なんですよ」ということを申し上げましたが,これは,何よりも京都の宝であります。高さ規制を見直すことは一切しません。50年後,100年後,千年後,京都が京都であり続けるために,満場一致で議会で決めていただいた制度であり,しっかりと守っていきます。例えば,鴨川沿いの5つ星のホテルでは,地上4階,地下3階の工夫を施し,立派に開業されました。このように,京都のまち,京都の景観に調和してこそ,京都の宿泊施設であり,京都の観光であると考えております。

 ずいぶん前は,「何とか高さ規制を緩和していただけませんか。」とおっしゃる方がおられましたが,今では多くの方に御理解をいただいております。その一方で,駅の近く等について,地下空間を活かし,容積率は緩和しようという政策もあり,既に発表しているところであります。容積率を緩和する際には,京都市と協定を結んでいただき,帰宅困難者のためにロビーを解放したり,緊急避難物資の貯蔵をしていただくものです。

 IRについては,京都は京都の魅力,京都の強みを活かす,これが一番大事だと思います。

 したがって,京都でもIRを考えたらどうですかとおっしゃられる方もおりますが,京都にIRはふさわしくないのではないかと考えております。京都会館が生まれ変わり,京都水族館ができ,京都鉄道博物館ができる予定です。単に新しい施設ができるということではなく,京都の景観に合い,命を感じさせる,歴史を感じさせる,そうした京都の魅力にさらに磨きをかけるものでなければならないと思っています。

 もっとも大阪に来られた方が,京都にお越しいただける,そのことについては,歓迎申し上げたいと思っています。それぞれの都市が,都市の特性を活かした取組を進めればよいと,このように考えます。

 

(京都市動物園サポーター制度について)

記者 

 京都信用金庫から,11年間という長期にわたる支援をいただけることについて,御感想を教えてほしい。

市長 

 ゾウそのものは,ラオス政府の好意により,御寄贈いただく,ありがたいことであります。しかし,飛行機で運びますので,相当の費用がかかることなど,これまでの御経験を踏まえての御支援であります。また,京都市動物園が明治天皇の皇太子の結婚を記念して創立された,日本では,上野動物園に次ぐ2番目に古い動物園であり,京都市民や京都の経済界が多くの寄付を集めて創設された動物園である,このような歴史も知っていただき,今回の申し出につながったと聞いております。ありがたいことであります。

 これまでも,子ども達から中小企業までたくさんの寄付をいただいています。例えば,キリンと目線が合うように高い観覧席を造りましたが,京都の私立幼稚園の保護者や園児たちが一生懸命寄付を集めていただいたものです。税金だけで運営するのではなく,小さな善意を集め,自分たちの動物園だと実感してほしいと考えております。

 

(観光消費額について)

記者 

 観光消費額を更に増やしていくために考えていることはあるか。

市長 

 一つは,泊まっていただくということが大きな要素であります。日帰りと宿泊者の方と消費額が大きく違うことからもこのように言えます。

 もう一点は,買い物環境を良くしていくことです。買い物も含めて京都で満足していただくことが観光消費額の向上につながります。大阪に泊まられて,そして大阪の家電量販店でたくさん買い物をして帰られる。こういう方が多いようですが,京都にお泊まりいただき,京都で買い物もしていただきたいと思います。

 一方で,手軽に安価で旅ができる仕組みが整ってきました。このことも大事ですが,同時に,世界には,観光で年間1億円使われる方が10万人おられるにもかかわらず,このような方々がほとんど日本に来こられていないと言われています。

 私も5年前上海で開催されたILTM(インターナショナルラグジュアリートラベルマーケット)に行ってきました。そのときに,「ラグジュアリー層が満足される観光というのは,京都でしょう。日本でしょう」ということを申し上げましたら,「5つ星ホテルはいくつあるんですか」,「自家用ジェット機は何機とめられますか」。というような質問を受け,回答に窮しました。向島にできたヘリポートと空港とのアクセスを良くしていくとか,一つひとつできることを改善していくことが大事だと思っています。

 また,「京焼や清水焼など,何十万円,何百万円する作品が,東京のホテルで販売会をやったら売れるのに,京都では売れない。」こういうことをおっしゃる。こうした状況を受けて,京都を訪れた観光客の方に,手間暇,心をこめた,京都の伝統文化や伝統産業の高額な品物を気に入っていただき,購入していただく。このような環境を整えることで,京都の伝統文化や伝統産業をより多くの方にお土産として購入していただきたいと思います。 

 

(免税店の拡充について)

記者 

 国策で,免税店を拡充する動きもありますが,免税店拡充に関する市長のお考えはどうか。

市長 

 免税店の拡充に向けて,まもなく,市内でも研修会を開催しますが,徹底的に取組を拡充していきたいと思っています。例えば,商店街に拠点施設を作り,それを京都市が支援するなど,具体的な取組を進めていきたいと思います。

 

(観光の閑散期対策について)

記者 

 閑散期の対策により,観光客数が平準化してきたとありますが,10月,11月は昨年までと比べて減少しています。この点について市長はどのようにお考えか。

市長 

 昨年は,台風18号の影響で,上半期にいろいろなキャンペーンを行いましたが,その効果があったという方もいました。しかし,それ以上に,紅葉の時期がずれたこと,そのことをきめ細かく発信できたことがよい意味で影響し,観光客数が11月から12月に移ったと思います。また,11月の京都市内の宿泊施設は一杯です。ですから,観光客の方に12月にずれてきていただくことは,京都全体にとってはプラスであると言えます。

 

(観光客数の増加について)

記者 

 調査の仕方は変わっているが,年間観光客数が5,162万人というのは,市としては過去最高ということでよいか。

市長 

 はい。アンケートをして,より厳密に調査した結果となります。観光庁の調査方法は,足し算式になっており,施設の客数を単純に足していったら非常に大きな数字になります。正直言いまして,この方法ですと,観光地が市内に複数ある京都では,実態を感じない数字になります。見える数だけ多いといっても意味がないと考えます。

 非常にありがたいのは,宿泊観光客数が増えているということです。これは非常に厳密な調査をしています。

 

(観光客数が増えた要因について)

記者 

 観光客数が増えた要因は,当然,地元の努力もあると思うが,例えば,制度的な変更など,何か外因として考えられることはあるか。

市長 

 外国人観光客が増えたのは,円安があると考えます。この間の円高で,外国人観光客が減っていましたが,円安に変わったこと,そして,国の政策によって,旅券の緩和等がなされたこと,こういったことも,外国人観光客にとっては大きいと思います。

 国内観光客の方には,やはり,魅力の発信が大切になります。これからも,国内は,人口減少と,東京一極集中が進みます。この問題をどうしていくかということが課題になります。やはり,京都ならではの魅力の発信に,更に努力していかなければならないと思います。

一般質疑

(国の成長戦略について)

記者 

 6月16日に,政府が新しい成長戦略の素案を出した。いろいろな項目があるが,市長としての全体の受け止めと,課題だと思われることは何か。

市長 

 京都,大阪,神戸で,医療・創薬等に視点をあてた,特区制度が認められて,国の最重点項目として,取り組んでいただきます。それらについては,京都市としても,京都大学,あるいは,京都の産業界と全力を挙げて取り組みたいと思います。とりわけ,国から京都大学にベンチャー企業等を創造するための300億円近い資金等もきています。あらゆる,有利な条件をしっかりと活用し,京都で,第二次の操業,あるいは,ベンチャーの発足,そうしたことをさらに強力に進めていきたいと思っています。

 課題につきましては,やはり,規制緩和だけでなく,国の財政支援というものが,より一層必要ではないかと思っています。今回の国家戦略特区とは違いますが,先に,京都市は,観光振興で総合特区に指定されています。そして,旅館や土産物店,観光施設等で,設備投資する場合に,最大で利息の0.7%が補助される,京都市内に限った制度を作っていただいております。ありがたいことです。しかし,申込みが多くて,実質,0.7%が,0.4%くらいにしかならないとか,そういう現状があります。これらを踏まえて,予算枠を増やしていただき,実行力,実効性をより高められるように,国にも要望しているところです。

記者会見資料

「平成25年 京都観光総合調査」について

京都信用金庫からの京都市動物園に対する御支援について

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