スマートフォン表示用の情報をスキップ

共同記者会見(2011年3月8日)

ページ番号97948

2011年12月26日

京都産業育成コンソーシアム設立に係る共同記者

(山田京都府知事)

 京都産業育成コンソーシアムを設立し,ステアリングコミッティを開催しました。
 この趣旨というのは,今,産業をめぐる環境が大きく変化をしております。市場の面でも高齢化時代を見通した形であるとか,環境,医療・健康というものを見通した新しい産業が起こっておりますし,中国を中心とした東アジアの大きな市場が出現しているというように,企業・事業所を取り巻く環境というのは大変急速な変化を遂げております。
 こうした変化に対しまして各中小企業が的確に対応し,商品開発から流通までを一貫してしっかりとイノベーションをしていくためには,今まで私たちが持っている組織が縦割りになっていてはいけない。この京都が持っている力をこうした中小企業がそれぞれオンリーワンの企業としてしっかり成長を描ける発展を描ける,未来を描けるように一体となって協力をしていく体制を作ろうではないかというのが,今回の京都産業育成コンソーシアム設立の一番の目的であります。
 具体的には,それぞれ組織もありますし,形もありますので,それをどうやって統合的に運用できるかということで,統合的な運用を指導する,また,指揮をする育成コンソーシアムを作りまして,そこに専任の事務局を置いて,ステアリングコミッティを作って,そこでプロジェクトごとに,共同の体験を作っていきたいというふうに思っております。
 そのためにいくつかプロジェクトを,例えば「知恵産業」ですとか,「人材育成」とか「環境,医療・健康,コンテンツ等」や「地域ブランド」とかそうしたプロジェクトごとに,それぞれが何ができるかということを調整して,しっかりと力を結集していくという形を作って参りますのが産業育成コンソーシアムであります。
 当面三年間を目途にこの事業を実践して参りまして,それによって,また,次の在り方を考えていきたいというふうに思っております。
 これから,外部の意見も取り入れながら,まさに,京都産業が,京都の強みを生かして,発展できる大きな基礎になるように努力をして参りたい。そのための今回プラットフォーム,京都産業育成コンソーシアムができたことを大変うれしく思っております。私からは以上です。

(門川京都市長)

 今,山田知事からお話がありましたが,全くそのとおりです。
 京都府,京都商工会議所,京都工業会とともに,この場で発表できることを嬉しく思います。
 中小企業は「ものづくり都市・京都」の最大,最高の宝です。そんな中小企業を元気にするための人材を育成し,新産業や知恵産業の創造とブランド力の向上を推進していくことは極めて重要です。
 そのためにも,府,市,商工会議所,工業会が一緒になって,徹底的に縦割り,二重行政を打破し,中小企業を顧客とする視点に立った体制を確立することが必要です。
 この間,京都市では,23年の歴史のある財団法人京都高度技術研究所と財団法人京都市中小企業支援センターを平成21年10月に統合し,154名の体制で中小企業支援を総合的に実施してきました。
 また,平成22年10月には,90年を超える歴史のある繊維技術センターと工業技術センターを立地的かつ組織的に統合し,47億円を投資して京都リサーチパーク地区内に新たな産業技術研究所を開所しました。現在,研究員・スタッフ76名の体制で,年間11,000件に及ぶ技術指導,試験分析等を通じて,中小企業をサポートしています。
 この統合を契機に,より効果をあげるべく,商工会議所とも相談をさせていただき,平成22年11月に「知恵産業融合センター」を立ち上げました。
 これらを京都市関連の組織が有機的に連携し,総合力を発揮するとともに,京都府の政策と融合し,商工会議所や工業会と一体となって,京都の中小企業を元気に,ものづくりの世界にイノベーションを起こしていく取組を強力に推進していきたいと思っています。
 また,京都地域の産学公連携で取り組んでおります「京都環境ナノクラスター」事業では,お陰さまで目標の2倍を超える36億円の売上高を既に達成しています。
 今後も,京都大学や京都工芸繊維大学をはじめとする様々な大学と連携しながら,府・商工会議所・工業会との協働により,京都から日本を元気にしていくような取組を力強く推進していきたいと思います。
 私からは以上です。よろしくお願いします。

(立石商工会議所会頭)

 私はかねてより,地域が主体となるこれからの時代では,地域でビジョンを共有し,その“あるべき姿”に向かってベクトルを合わせていくべきであると主張して参っております。
 京都産業育成コンソーシアムを設立しようという今回の試みは,府市協調を一段と推し進め,オール京都体制で,京都の次代を担う産業育成を力強く推進しようとするのもので,京都全体でビジョンを共有する,大変意義深い第一歩を踏み出したと,大いに期待をいたしております。特に知事,市長の今回の御英断に心から敬意を払います。
 京商としても積極的に参画し,中小企業の活性化に向けて取り組んで参りたいと思っております。
 率直に言って,京都府・京都市の産業振興施策を見ますと,府市それぞれが自前で全てのことを実施しようとしており,類似の支援機関が同じような施策を打ち出し,企業でいえば顧客となる地域の事業者にとって,非常にわかりにくい,極めて非効率なものに見えております。
 行財政改革が強く求められている中でもございまして,顧客視点で考えれば,産業振興の支援機関はひとつに集約されている方が良いと考えております。
 私は,このコンソーシアムを足がかりに,京都産業21とASTEM(京都高度技術研究所)の一本化を視野に入れ,強力な産業支援体制を確立させ,地域経済に貢献する企業の経営基盤の確立強化に取り組み,そこから成長戦略に至るまで,途切れることなく支援が繋がるダイナミックな仕組みを構築すべきであるというふうに考えております。一朝一夕には進まないと思いますが,そう遠くない将来の目指すべき方向としてコンソーシアムの中で議論して参りたいと思います。
 このコンソーシアムが,単なる情報共有や議論の場にとどまることなく,より効果的な施策の在り方を検討し,合意を通じて具体的な共同プロジェクトを実施し,成果を生み出していくことが,まずは求められております。
  この度,会議所が打ち出しました「ニュー京商ビジョン セカンドステージ」では,2013年には,数多くの知恵産業群の集積が始まる時期として,その誘発のための施策を展開することと致しております。私は,コンソーシアムの当初の共同プロジェクトのひとつとして,この「知恵産業の振興」をテーマに掲げ,推進していきたいと考えております。
 とりあえず,事務局は会議所ビルの中に置き,当初は小さな体制でのスタートとなりますが,大きく育てていくことが重要と考えております。今,地域主権をめぐって様々な動きがありますが,産業振興の面において,他の都市に先んじて「京都モデル」ともいうべき先駆的な体制を確立し,力強い支援が展開していけるよう,京商としても力を尽くしていきたいと考えております。以上でございます。

(服部工業会会長)

 ものづくりをベースとした工業会の立場から少し申し上げると,御承知のようにものづくり企業がどんどん新興国に移転する中で,京都の中小企業も大変厳しい状況にあります。その中で工業会も必死になってサポート事業を行っておりますが,資金面含めて限界があります。今回,府・市・商工会議所そして工業会が一丸となったサポート事業として,産業競争力強化,中小企業支援のために新しい組織を立ち上げるという御提案と理解しており,日ごろから実現を望んでいた立場から賛成させていただいた次第でございます。
 お客様,中小企業側からみれば一本化されたサービスを望んでおられます。もちろん府,市が今までそれぞれの独自性を生かして取り組んでこられたわけですが,それに商工会議所,工業会の施策を一本化することにより,使い勝手の良い,中小企業側からみて,本当に支援を受けられる体制が出来上がると期待しています。このコンソーシアムを通じて成果を出せるように尽力させていただきたいと思います。

質疑応答(要旨)

記者 財団法人京都高度技術研究所と財団法人京都産業21の一本化が明言されたが,それぞれ知事,市長はどのように考えているか。現在経済4団体の再編の検討も視野に入れているのか。
山田知事 当然中小企業からすれば,ワンストップで総合的な支援を受ける体制というのが間違いなく一番であると思います。そこに中小企業から見て,府だ市だというのは関係がないと思います。そうした観点から私たちはまず一本化を目指すべきです。歴史的な問題,財政的な問題から法的な問題まで,クリアしなければならない課題がありますし,検討していかねばならないことが必ずあると思います。まず,検討を待つのではなく,まず今回コンソーシアムを作ってステアリングコミッティをやって,実践を積み重ねて,その中でしっかりとした方向性を見出して行こうと考えていただければ良いと思っています。
門川市長 これまでから,財団法人京都高度技術研究所や財団法人京都産業21はそれぞれきちっと棲み分けをして中小企業支援に取り組んでいます。京都市が伝統的に取り組んできた強みの部分があり,カバーできないところを京都府にお願いしています。必ずしも全てが重なって無駄になっている訳ではなく,府市で協調して取組を進めています。今後は,更に徹底的に連携していきます。例えば,京都市の施策においても,繊維技術センターと工業技術センターは,これまでそれぞれ独自の機能を有していましたが,立地的,組織的に統合し,新たな産業を創造できる体制となりました。京都府と京都市の取組を徹底的に融合し,その先に立石会頭のおっしゃった一体化ということも視野に入れながら,しかし,法的な課題も含めてしっかりと検討し,中小企業の立場に立った施策を推進していきたいと思います。
立石会頭 経済4団体の再編については,必ずしもそれ(コンソーシアム)が目指している流れでの位置づけではありません。4団体の共同事業の範疇に入るとは理解はしていませんが,共同事業の対象となるか,中小企業・顧客に対する利便性を一層高める視点で今回のコンソーシアム事業を捉えています。
服部会長 経済4団体の再編についてコメントさせていただくと,今回の案件がそれにつながるということではありません。市長が言われたようにそれぞれ棲み分けした特徴を持ちつつユーザーから見たら一本化した組織クラウドに似た様な組織であると理解しています。要するに,それぞれの特徴を最大限伸ばしながらユーザーから見れば一本化されているのが望ましく,今回共同事業化により一層協力関係を深めていきたいと考えています。

記者 事業の財源はどうやって確保するのか。新しい組織は第三セクターということか。どのような組織体なのか具体的に教えて欲しい。
山田知事 今の段階では任意の協議会的なものであると考えており,法人格を持って行動するのではなく,法人格はそれぞれの団体が持っており,その調整団体と考えています。 
 ただ,調整機能を超えて専任の事務局を置いており,その点から言うともっと上の協議会的なもの,任意というよりは,もっと強めになります。そうしたものを想定しており,それぞれの費用はそれぞれの団体が持っており,執行も調整します。やっている事業の棲み分けはありますが,全く違う事をしている訳ではないので,ステアリングコミッティで精査,調整し,うまく重複しないように配分し,実行していきます。例えば,お願いしている予算では,中小企業の応援隊を作って,それで今年だけで3万社を回ろうとしています。こうしたところにチームを作ろうとしている訳なので,府・市・商工会議所など皆入っていけば,より強力に回ることができます。そうした点では力を合わせることができます。それぞれの施策のブランドについてだと,ブランドを統合的にやっていくということになると思います。まずは共同提案プロジェクトを固めて,そして,その運営をしていくということです。

記者 予算はどのように確保するのか。共同プロジェクトを決めて,その内容を来年度予算案や補正予算案に盛り込むということか。
山田知事 私どもの予算の執行内容が中小企業支援であり,商品開発であり,市場開拓となっている訳ですから,その点では新たに補正予算を組む必要がないと思っています。当面はお互いの予算を持ちより調整し,執行する形になります。
門川市長 京都市では,京都市産業技術研究所と財団法人京都高度技術研究所の関連組織だけでも230人の態勢で必要な予算を確保しながら中小企業の技術支援,経営支援を行っています。この京都市の取組と京都府・京都商工会議所・京都工業会の取組とを融合し,新たな予算を確保するということではなく,今の予算をより効果的に執行していくことになると思います。次の段階として,コンソーシアムにおいて,これまでの実績を踏まえて,課題が明らかになった段階で,共同事業など新たな展開に結び付けたいと考えています。

記者 将来的には,共通したプランを策定してコンソーシアムで一本化し,決定した方針を府・市で実行することを目指すのか。議会との兼ね合いはどのようになるのか。財団法人京都産業21と財団法人京都高度技術研究所を統合しなければいけないのか。環境,医療,健康,映画,コンテンツについて,具体的なプロジェクトは考えているのか。
山田知事 例えば,観光案内所という面では,かつては府・市が別々にあり,それぞれに運営していました。それを統合し,それぞれ持ち寄って今のJR京都駅にある観光案内所ができている訳ですので,議会はその点御理解いただけるものと考えています。
 今年に関しては,出来ていない段階では,それぞれが予算を持ち寄って行います。「育成コンソーシアム」の仮称であった「育成機構」では予算を組んでいるため,ある程度説明して,理解はいただいています。将来的には,ステアリングコミッティーを中心に育成方針が出されて,それを府市持ち帰ってそれぞれのところで説明し,調整をした形で,議会にお諮りすることになると思います。そうして段々と一体化も視野に入れたものに変わるのであろうと理解しています。
門川市長 マンガのキャラクターの衣装を商品化して新たなブランドを創造しようという事業を来年度予算に計上し,現在市会で審議をしていただいています。こうした事業を京都市とマンガミュージアムだけでなく,オール京都で取り組むことにより,力強いものづくりができ,更なるブランド力の向上に繋がります。京都には,新たなブランドに繋がる芽があり,それらとあらゆる京都の強みとを融合させ,開花する仕組みを作ります。
服部会長 人材教育を例にとれば,工業会では,色々な研究会や,機械設計,電気設計などの大学並み授業がプログラムにあります。商工会議所でも,府・市もそれぞれ人材教育のプログラムがあります。それを入り口で一本化しWEBに載せれば,応募者からはホームページを見ればいろいろな選択が出来たりと大変便利になります。そんなイメージと考えていただければと思います。
立石会頭 京都のポテンシャルを特に有し,更なる発展が期待される分野に,環境・医療・健康・コンテンツ等がありますが,中小企業が参画できるように分野ごとのプラットフォーム事業を強化して,大企業が主体的・主導的に取り組むとしても,中小企業が参画できる支援を分野ごとにやっていきたいと考えています。

記者 これまでに二重行政の弊害と感じていたことはあるか。
山田知事 よくあるのは,指導体制の問題で,棲み分けはしてきましたが,そうは言っても,これだけ環境は変わってきており,それぞれの指導体制が重なることもあるし,商工会議所の経営相談も含めた関係をもう少し整理したほうが良いのではということです。二重行政というよりは,効果的にそれぞれがどういう仕事をしているか持ち寄って,統合して,データベースを作った方がより効果的であるところまで,問題が複雑化していると感じていましたので,今回,具体的にどこがどう弊害という形のものではなく,調整をする中でこちらの方が,より上手くいきそうだというところまできたということです。
 強いて言えば,事業者の皆さんにとってはどちらに行けば良いかわかりにくい,窓口を行政の都合で棲み分けするのではなく,今の時代は中小企業の皆様の都合でワンストップでできるようにしなければなりません。
門川市長 事業の棲み分けは随分きちっとできてきています。例えば,京都市の強みは,織物,染物,陶器,釉薬,お酒,バイオ,ICTです。京都府も様々なことをされていますが,決して同じことをしているわけではありません。一方で,例えば,炭素繊維と西陣織を融合させ,新たなものをつくるというような時代になっています。だからこそ,行政や産業支援機関が縦割りにならず,民間とも一緒になって新たな知恵産業の創造を目指していきます。
服部会長 世の中成熟社会と成長社会では取り組む方向も異なります。成長社会ではそれぞれが特長を活かし攻めの体制でどんどん進めてきました。残念ながら今は成熟社会であり,無駄を省いて,効率よくやるのが重要です。そういう意味では,コンソーシアムでやっていくのは良いのではないでしょうか。
会頭 工業社会は,未解決の社会的課題が山積しています。環境,安心・安全とか健康などの課題解決には,両者を超えたコラボレーション体制で,こういうニーズに応えていく必要があります。その意味でも一本化することで,様々な対応が可能となるのではないかと理解しています。

(資料)京都産業育成コンソーシアムの設立について

京都府 京都市 京都商工会議所 社団法人 京 都 工 業 会

産業観光局産業振興室    電話:222-3324

 本日、京都府,京都市,京都商工会議所,(社団法人)京都工業会は、京都産業を担う中小企業の育成を推進する「オール京都」の体制として、「京都産業育成コンソーシアム」を設立することに関し合意しました。
 4月に事務局を立ち上げ、プロジェクトを進めていきますので、お知らせします。

1 設立趣旨 

 「京都産業育成コンソーシアム」について4団体で協議を進め,中小企業を顧客とする視点に立ち,思い切った産業育成策を展開するために,府・市・経済界の枠組を超え,伝統産業から先端産業まで,京都産業を担う中小企業の育成を強力に推進するオール京都による体制の構築を目指すことを目的とする。

2 構成

主要構成団体 京都府,京都市,京都商工会議所,社団法人京都工業会
 ※必要に応じ,他の経済支援関係団体の参画を求める。

3 目的

⑴ オール京都体制で「多様な中小企業」や「次代を支える産業分野」の成長を図る支援プラットフォームを形成

⑵ 施策の結集による戦略的プロジェクトの実施と体系的な人材育成の推進

⑶ 地域ブランドを発展させる戦略の強化

4 共同プロジェクト

⑴ 「知恵産業集積地域」創りの中核となる「多彩な中小企業群の育成」

⑵ 産業発展の基盤を支える「人材育成」

⑶ 次代を担う産業分野別戦略プロジェクト「環境,医療・健康,映画・コンテンツ」等

⑷ 「地域ブランド向上」プロジェクト 

5 運営体制

⑴     知事・市長・会頭・会長でステアリングコミッティを構成し,組織の基本的運営方針を決定

⑵ 各団体の部局長,専務理事で,幹事会を構成

※京都商工会議所ビル内に事務局を設置

6 今後の予定

  平成23年4月~ 事務局設置

           幹事会開催・施策の在り方検討開始

           戦略的プロジェクトの運営

  平成23年9月~ 幹事会開催,戦略的プロジェクトの実施経過検証

  平成24年2月~ 幹事会・ステアリングコミッティ開催 

参考資料:プロジェクトイメージは別添「京都産業支援の全体イメージ」のとおり

(参考資料)

Adobe Reader の入手
PDFファイルの閲覧には Adobe Reader が必要です。同ソフトがインストールされていない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Reader をダウンロード(無償)してください。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

フッターナビゲーション