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門川市長記者会見(2010年2月2日)

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2023年4月12日

平成22年度当初予算(案)について~生活安心・未来へのトライ予算~

はじめに

 本日は,予算の編成作業が最終段階になりました。予算案の規模・特徴と予算編成に当たりまして,私が特に重点をおいたところにつきましてご説明させていただきたいと思います。
 来年度予算は「京都未来まちづくりプラン」を着実に推進する中で,不況の下での厳しい状況にある市民生活,中小企業,地場産業をしっかりと支える,守ると同時に,京都の明るい未来への展望を力強く切り拓いていくという決意を込めて,また徹底した議論の上で「生活安心・未来へのトライ予算」として編成致しました。

平成22年度当初予算案の概要

 まず予算規模でございますが,全会計の当初予算の総額は,0.2%の増とほぼ前年度並みの1兆6,554億円であります。
 一般会計の予算総額は,7,687億円で,前年度予算6,940億円と比較して,10.8%,747億円の増でありますが,これは先程申しました中小企業をしっかりと支えるということで,中小企業金融対策の充実に500億円,子ども手当の新設,これは国の制度でありますが,それによって新たに162億円,さらに生活保護扶助費の増,今厳しい市民生活の下で,80億円の増になります。これらによる影響額がトータルで742億円となりますので,これらの要素を除けば,実質的には前年度並みの予算規模でございます。
 巨額の財源不足の中での予算編成となり,非常に難渋致しました。しかし,「生活安心・未来へのトライ予算」として財源確保対策についても知恵を絞って取り組んで参りました。厳しい社会経済状況の中で,景気の悪化と急激な円高による市民税法人分の減などにより,市税収入は,実質的に史上最大の減収幅となり,それらを受けて,一般財源等の収入の総額は,122億円の減少となり,3,767億円でございます。
 こうした市税収入の減と府税交付金の減,また生活保護扶助費などの義務的経費が増加したことによりまして,昨年12月時点での財源不足額が320億円にも達する状況となりました。そうしたことを公にし,全庁的に議論をし,予算編成を進めてきました。
 このために,未来まちづくりプランに掲げた,行財政改革・創造の取組をより一層強力に推進し,278人の職員削減や私自身の給与の20%カットをはじめとして全職員の給与カットの継続や,事務事業の見直し,保有資産の売却などの内部努力を徹底致しました。
 その上で,プラン策定時には想定していなかった急激な景気の悪化による市税収入の減に対応するため,改めて全庁を挙げた徹底した事務事業の見直しを行うとともに,下水道事業における雨水処理負担金の平準化の継続や国の補助金・交付金の最大限の活用などにより財源の捻出に努めました。なお不足する財源への対応として,公債償還基金の支障のない範囲での一部取崩しにより,市民の暮らしに影響を及ぼさないように,財源確保の見通しを立てることができました。
 予算編成に当たりましては,「市民のいのちと暮らし,安心安全を支える」,これが1つ,もう1つは「京都の未来を切り拓く」という2点を大きな柱としております。
 まず1点目の,「市民のいのちと暮らし,安心安全を支える」取組でありますが,厳しい経済状況にあって,このことを第一に考え,また厳しさを増す中小企業,地場産業への支援対策に最優先に取り組むことと致しております。
 投資的経費につきましても,道路や下水道整備などの大型公共事業を抑制する一方で,福祉や教育,医療など市民生活に密着した整備予算は倍増致しました。(21年度の)103億円から195億円と致しました。
 後ほど具体的に説明しますが,例えば,保育所10箇所,児童館6箇所をはじめ特別養護老人ホーム,学校耐震化,あるいは鉛製給水管の取替を大幅に増やすなど,こうした市民生活に密着した,また京都の中小の建設,土木工事の関係者に仕事が回るような事業に重点をおきました。
 まず子育て支援についてでありますが,今予算において最も重視したものであります。待機児童解消のため,保育所10箇所の整備などで定員増を345人と致しました。前年度は30人でしたので,前年度当初予算に比べて, 11.5倍と大幅に増やしました。例年に比べて飛躍的に受入体制の整備を致します。
 また新たに午後6時から8時までの2時間の延長保育を5箇所でモデル実施致します。
 さらに放課後の子どもたちの居場所づくりとして,児童館を6箇所整備するとともに,「放課後まなび教室」と「学童クラブ」を融合した新たな事業として「放課後ほっと広場」を4箇所で実施致します。
 次に高齢者への支援策としては,特別養護老人ホーム8箇所や認知症高齢者グループホーム2箇所の施設整備に対して助成するなど,前年度当初予算に比べて2倍を超える施設整備,6箇所から13箇所に拡充して行います。
 次に学校の耐震化では,京都市独自で平成15年からの8カ年計画を策定し,全国で初めてPFI手法も導入するなど,着実に耐震強化に努めております。8ヵ年計画の最終年度であります22年度中に,全棟の耐震化に着手致します。そのために,18億円であった予算を31億円に大幅に増やしております。
 本市の耐震化率は,平成21年4月1日現在既に全国平均67.5%を大きく上回る81.4%と,東海地震の想定地域を除いて,全国でもトップクラスになっているわけですが,学校統合の計画がされている特別な事情のある学校以外は,全て来年度に着手していきます。
 これまでと同様に,比較的地元の企業の仕事になる工事については配慮しました。
 次に,中小企業対策であります。市内企業の99%を占めまして,京都経済を支える中小企業をこの厳しい状況の中で支援していく。中小企業融資制度の新規融資枠を前年度当初予算比の1.5倍,2,200億円に拡大し,金融支援に万全を期して参りたいと思います。
 また販路開拓支援などを行う「中小企業パワーアッププロジェクト」として,企業アドバイザーを増員するなど,市内のみならず,他都市の企業との事業連携や海外進出へのサポートなど支援メニューを充実させたいと考えています。
 また,厳しい雇用情勢を踏まえまして,雇用創出の事業として,例えば自転車マナー啓発事業や非常に厳しい状況にある芸術系大学で学ぶ学生の就職に対する支援事業など,40事業を新たに実施するために13億2千万円の予算を計上しております。
 これによりまして,直接雇用だけでも662人を見込んでおります。先程の中小企業の融資なども含めて,更なる相乗効果を生み出していきたいと思っております。
 2つ目の柱は,「京都の未来を切り拓く」取組であります。「環境」,「公共交通優先の歩くまち」,「未来のまちづくり」の3点に重点を置きました。
 1点目は,「環境モデル都市として,我が国・世界を牽引する地球温暖化対策,低炭素社会の構築」でありますが,これらにつきましては,全国で初めて制定した現在の地球温暖化対策条例を来年度新たに改正していく,より充実していくということを計画しております。
 また環境問題と京都の景観問題を両立させた,「平成の京町家」の普及促進を図るために,新たに伝統構法による建設への京都市独自の助成制度を創設致します。更に,モデル住宅の展示場も開設して参ります。
 あわせて,市民や企業の皆様に,結婚や出産などの人生の節目,あるいは企業の創立記念日などに植樹をしていただくための制度を創りますとともに,環境モデル都市として,中央分離帯の街路樹を増やしていく「道路の森づくり」を進めて参ります。
 2点目は,「人と公共交通優先の『歩いて楽しいまち』の実現と地下鉄・市バスの利便性の向上並びに利用の促進」であります。
 四条通のトランジットモール化につきましては,平成19年10月に我が国の100万都市では初めて大規模な社会実験を実施しました。その後,地元と実現に向けて協議を進めてきました。また,先月策定致しました「歩くまち・京都」総合交通戦略のシンボルプロジェクトにも位置付けております。いよいよ来年度は,実際の実施形態に近い形で,社会実験とその効果の検証を行って参ります。
 3点目は,「未来の京都への先行投資と京都創生」でございます。
 まずは,次期京都市基本計画の策定,現在,審議会で非常に活発な議論をしていただいていますが,これを着実に進めて参ります。また,京都が誇る岡崎地域の活性化,更に山ノ内浄水場の跡地活用について方針を策定致します。
 岡崎地域は,民間事業者への参画を積極的に働きかけ,4月に開館50周年を迎えます京都会館の再整備と併せ,行政と市民・事業者と共に夢を持って,推進していきたいと思っています。
 山ノ内浄水場の跡地活用は,京都市西部地域の更なる発展や地下鉄の増収増客につながるよう,用途廃止される平成24年度末に向け,方針の策定を進めます。
 更に,「世界遺産・二条城一口城主」の募集であります。これは,世界遺産であります二条城の本格修理に必要な財源。二条城の本格修理は戦後ほとんど行われておりませんでした。事業費は100億円を越えるというようにも見込まれております。もちろん国にも補助制度等の拡充を力強く要望して参ります。二条城は,世界の財産であります。同時に,財源を確保するために,市民の皆さんや観光客等,個人,法人を問わず国内外の皆様に城主になっていただき,広く寄付金を募るものでありまして,寄付をいただいた方には,無料入城などの特典がある「城主手形」の発行やオリジナル記念品の贈呈等を行って,京都市民はもとより,世界の皆さんと一緒にこれを残していく,守っていく,また活用していく。そういう取組を進めたいと思っております。
 このほか,首都圏において京都創生をPRする取組として,首都圏に進出されております京都の企業,大学,あるいは料理屋さんなどいろんなものがありますが,それらと協力しまして,京都ウィークを設定し,様々なイベントを「京あるきin東京」と名付けて集中的に実施したい,展開していきたいと思っています。
 また,伝統的な町並みを有する地域を中心とする無電柱化事業に,6億円強を計上します。来年度は,上七軒,あるいは清水坂とともに,新たに上賀茂神社周辺地域においても取組を進めて参ります。
 なお,市債発行額であります。地下鉄の経営健全化に対する支援として,一般会計で起債して,地下鉄へ支援するなど,いろんな要素がある訳ですけれども,公営企業を含めた全会計の市債の発行額については,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除くと,前年度を123億円下回る1,990億円であります。また,臨時財政対策債を除く市債残高は前年度から88億円の減の1兆9,640億円となり,将来負担にも十分留意した予算編成と致しました。

最後に

 こうした取組を,「市民力」や「地域力」,あらゆる市民の皆さんのお力を引き出していただき,そして市民の皆さんと行政が共に汗する「共汗」と,徹底して市民の目線で行政の縦割りを排した政策・施策の「融合」をキーワードに,市民目線に立った経営感覚を活かして,コスト意識を持ってこの厳しい難局を切り拓いていきたい。そのように決意いたしております。
 私からは,以上であります。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>(財源確保についての感想)

記者

厳しい財政状況の中,財源確保の見通しを立てられたことについて,感想は。

市長

 全庁を挙げて,徹底した議論を重ねました。未来まちづくりプランを策定した時の議論や,現地現場主義で市民の目線に立った仕事をしていこうという取組を進めてきた積み重ねが,功を奏したと思っています。
 同時に,有識者会議でも,長期的な観点から,財政構造の在り方を抜本的に改革していかなければならない,景気の変動に大きく左右される財政ではいけないといったことを議論していただいています。当面の緊急措置として,公債償還基金を41億円取り崩さざるをえませんでしたが,長期的に見ても大丈夫な範囲にとどめることができました。
 国の地方交付税,臨時財政対策債がトータルで3兆6千億円の増額となり,今回76億円の増を見込みました。これから各地方自治体への配分が決まりますが,前年度から増えたことを評価しており,良かったと思っています。同時に,なかなか厳しいという感も致します。

(来年度以降の財源不足対策)

記者

依然として恒常的な財源不足は続く状況であるが,来年度以降の対策は。

市長

 有識者会議で,徹底した議論をしていただきます。
 1つは,財源の確保についてであり,財源が景気の変動で大きく左右されないことが必要であると思います。また,歳出構造の改革について,オープンな場で議論していただきます。  
 同時に,国との関係ですが,地域主権が1丁目1番地といわれていますが,現状のままでは,比較的豊かな自治体もあるものの,生活保護が増える一方である自治体には,大変厳しい状況といえます。これらについて,京都市が,また厳しい状況にある多くの自治体と連帯して,国に政策提言していく必要があると思います。

(目玉事業)

記者

個別の事業の中で,目玉事業は。

市長

 待機児童解消に向けた保育所の定員の大幅増,特別養護老人ホームなどの施設整備に手厚く予算を措置しました。
 同時に,未来の京都を切り拓くため,例えば,京都でも全国でも初めてとなる伝統的な京町家を建てる方への補助にチャレンジします。
 更に,四条通のトランジットモール化を含む「歩くまち・京都」の取組は,具体化に向けて大きく前進させていきたいと思います。
 これからの京都は,「環境問題」が大きなキーワードになると思います。

(予算の硬直化に対する懸念) 

記者

一般財源が前年度に比べて100億円くらいマイナスになる一方で,暮らしを守るということで福祉関連に手厚く予算を割り振っておられる。今後,義務的な経費の伸びが収まる気配も見えてこない。

予算が硬直化していく懸念があると思うが,どうお考えか。

市長

 そのとおりです。
 現状の継続では,あらゆる努力を重ねても予算が硬直化していくと思います。京都市の交付税額は,国において,大都市にとって極めて厳しい算定が行われたため,平成16年から20年の間に,1300億円から800億円に減少しました。この間,京都市は,2万人を超えていた職員数を10年余りで1万5,500人まで削減するといった全国トップクラスの行財政改革を実行してきたにもかかわらず,予算は硬直化しています。
 保育所の定員を増やせば,その運営費は後年度負担に掛かってきます。しかし,重要な取組であります。
 こういったことをどうしていくのかを今,有識者会議で議論していただいています。国の形を変えていく,地域主権時代といわれていますが,そうした国レベルの議論も含めて,京都市でも市民ぐるみでの議論をしていきたいと考えています。

(予算の硬直化への対策) 

記者

市としてかなり努力しているが,現状では,国の在り方や地域主権の在り方をもう少し考え直さないことには限界が来るという考えか。

市長

 2つありますね。
 1つは,京都市として更にできることはないかということで,徹底した議論をします。あらゆる政策を融合する。二重行政の解消について,京都府,国との関係を考えていく。
 もう1つは,(実質的に)地域主権になっていないということです。税財源は国と地方が5対5といった議論がされている今,京都から政府に対して政策提言していきたい。同時に,税財源は偏在しております。所得税が地方に一部付け替えられると,比較的豊かな方が住んでおられる東京は財政が潤う。生活保護の方が多い京都はますます厳しくなる。こういうことになりかねません。
 地域間格差を是正する制度を国に政策提言していくことについて,行政だけではなく有識者も含めた市民ぐるみの議論をした上で,取り組んでまいりたい。

(未来まちづくり推進枠の削減) 

記者

未来まちづくり推進枠で6億円を削減されているが,来年度に着手したかったが,見送らざるを得なかったものはあるか。

市長

 一つは,長期的な展望の下,昨年,戸籍事務の電算化への着手を決め,年次計画で行っていくこととしていました。総額30億円,来年度だけでも5億円ほど掛かり,市民生活に直ちに影響するものではないため,凍結し,当面断念せざるを得ませんでした。
 もう一つは,市バスのICカード化をしたいと考えていましたが,国の補助制度がなくなり,自治体単独で行うには限界があるため,見送りました。
 大きくは,そんなところです。

(積極策を判断した経緯) 

記者

 今回の予算を見ていますと,市民生活に必要な部分を切らずに,子育て支援,地元企業への支援などにより,雇用を創出して将来的には税収増を目指そうという狙いかと思う。
 こういった積極策について,どのような判断がされたのか。また逆に,消極的な意見はなかったのか。

市長

 例えば,水道の鉛管ですが,一昨年に約4億円だった予算を今年度は22.5億円にし,更に来年度は30億円にする。これは,安全安心の取組であると同時に,零細企業の当面の救済策にもなるものです。そういった施策には重きを置きました。
 国の政策により,大規模な公共事業は抑制されます。今後,箇所付けの段階で,必要な部分は国に要望していきますが,一定の抑制はやむをえないと考えており,それによって仕事が減る分は発生します。この厳しい不況下で,地域の零細企業を守ることは重要であり,できるかぎりの様々な取組を進めました。
 下水も含めて大型公共投資を抑制せざるをえなかったが,担当部署では地権者との調整もしながら,苦渋の選択もありながら決断してきたということです。

(今回の予算編成のイメージ)

記者

京都府の予算の記者会見では,山田知事が「乾いた雑巾を絞るような編成作業だった」と仰っていた。市を見ているともっと乾いた雑巾のイメージがあるが,いかかか。

市長

 昨年私が使った言葉ですので,今回は言わなかったのですが,昨年以上の感があります。きめ細かい,予算案に端数が出てくるような査定を行いました。各局各課が1つ1つの事業を総点検し,予算を編成しました。市民の税金を1円たりとも無駄にしない,国の政策や府の政策,あるいは市の他の政策や民間の事業と融合させ,より効果的にお金を使っていくことに意を用いました。
 先ほど申し上げた伝統建築への助成は,民間の力,京都の強みを活かす取組です。
 観光分野では,東京をはじめ全国の方々や世界中の方々が京都を認識し,京都へ来ていただき,そして京都の「ほんまもん」を感じていただいて,お金も落としていただくことが重要です。京都は,基本的には宮廷文化であり,お金を落としていただく取組をすることにより,伝統産業・伝統文化が次世代につながり,世界に発信されると考え,そこに意を用いました。

(来年度へ向けた決意) 

記者

来年度に入っても急激な景気の回復というのはなかなか見込めない中,更に厳しい状況も予想されるが,この予算も含めて来年度への決意を。

市長

 やはり今,この厳しい状況の中で,命を,生活を,中小零細企業を守り切る。
 米国発の不況の嵐の中で,京都の伝統ある中小企業が耐えきれず倒産していくことになってはならない。そして市民生活もしっかり守る。
 同時に,未来への展望を開く。人材を育成し,京都で子育てしてよかったというまちにしていく。更には,伝統産業や大学など京都のあらゆる強みを活かして,未来を力強く切り開く。そのための予算が編成できたと考えています。 
 未来へのトライです。

(山ノ内浄水場の跡地活用方針策定の進め方)

記者

山ノ内浄水場の跡地活用ですが,京都市側から方向性とかテーマを決めて公募するのか,白紙から公募するのか,どのような方針か。

市長

 まず,学識者・市民の代表・経済界などに入っていただき,それを議論していただこうと思っています。京都市の中心部に新たに生まれるかけがえのない広大な土地です。しかも,地下鉄から降りてすぐという土地です。これを最大限有効に使うために,市民参加の議論で,どういう方策があるのか知恵を集めたいと考えています。
 その上で,広くお知らせして公募するということになります。同時に,来年度は,京都市基本計画の策定,右京区基本計画の策定もありますから,市民参加の下,早めに活用の構想をまとめたいと思っています。

記者

旧右京区総合庁舎跡地では,留学生の居住施設という方針が先にあったように思うのですが。

市長

 広さが全く違います。南側・北側合わせて6万㎡くらいある土地です。一部,ポンプ場は残しますので,どれだけ活用できるかは別ですが,規模の違う話であります。

記者

現時点では,民間業者から案は出ていないのか。

市長

公式には一切ございません。

(予算編成の自己採点) 

記者

今回の予算編成に点数をつけるとすれば。そしてその心は。昨年は90点だったが。

市長

 85点ですね。
 緊急措置として,基金に手をつけざるをえませんでした。これは,戦後最大の税収の落ち込みが原因ですが。

記者

逆にいうと,もう少し(5点分),行財政改革などで削れたということでしょうか。

市長

 3兆6千億円の地方交付税,臨時財政対策債について,76億円を見込んでいます。これがあったから予算編成ができましたが,良かったと同時に,なかなか厳しかった。したがって,外的要素によるマイナス5点です。

(政権交代の予算編成への影響)

記者

予算編成について,政権交代による影響はあったか。

市長

 地方交付税,臨時財政対策債の大幅な削減が阻止されたことは,評価すべきことであると考えています。大きかったと思います。
 同時に,影響を受けたのは,大型公共工事,道路予算や下水事業について計画的に進めてきたものを抑制せざるを得なかったことで,合わせて90億円の減になっています。逆に,子育て支援や雇用対策など生活関連で92億円の増としました。

<その他の質疑>(府の地下鉄支援策への評価) 

記者

京都府が地下鉄の新たな支援策を打ったが,評価は。

市長

 府市協調により様々な前進がありますが,その前進の一つであると高く評価したい。これが第一歩であると思っています。地下鉄は,京都市民であると同時に京都府民である人々が利用しており,また,東西線は宇治まで走っています。烏丸線は,近鉄との乗り入れで府南部の活性化に大いに役立っています。 
 今回の取組について,私は高く評価したいと同時に,府と市がともに考え,京都市の財政が良くなり,京都府の発展にも貢献するような取組を考えていきたいと思います。

(地下鉄の赤字補填)

記者

 府の地下鉄支援策は,広告の掲示や乗客数アップのための工夫であり,赤字補填に関しては手当てがなかったわけだが,その当たりはどうか。

市長

 都道府県が赤字補填をするのはなかなか難しいという議論がありましたので,新たな知恵を出していきたいと思います。
 烏丸線は,30年経てば新たな設備更新をしなければなりません。これは必ずしも赤字補填ではありませんので,京都府に気持ちよく支援していただく知恵を全庁挙げて考えたいと思っています。

(大阪府・市の議論への所感) 

記者

大阪府・市の関係について,知事と市長がやり取りしている模様が報道されているが,市長は,この大阪府と大阪市の議論をどう見ているか。

市長

 橋下知事,平松市長とも,私はよく存じており,様々な場でお話させていただいていますが,都道府県と政令指定都市は非常に難しい関係にあります。地域主権時代に,基礎自治体を重視しながら国の形をどう変えていくのかということが,政府においても大きな課題になってくると思います。この改革をしていかなければ,日本の都市に未来はない。私はそういっても過言ではないと考えています。したがって,橋下知事と平松市長,大いに議論していただいたらいいのではと思います。
 基礎自治体重視については,誰も異論がございません。橋下知事もかつてそのように仰っておられたと思います。基礎自治体の中でも政令指定都市はフル装備であります。市民生活,経済活動,安心安全の取組など,あらゆる分野の仕事を政令指定都市が行っています。行う力がある。ないのはお金だけです。
 政令指定都市制度は,きちんとした制度設計がなされず発足しました。都道府県が行う仕事の責務だけが政令指定都市に移管され,税財源は政令指定都市に移管されておりません。その額は,京都だけでも100数十億円になります。
 30~40年前は景気が良かったが,京都でいえば,一戸建てを買える方々が京都市域から京都市域外に移っていかれた。
 もう一つは,工場等制限法で,工場・大学は政令指定都市の市域以外に移らざるを得ない政策が,30年にわたって続きました。こうした下で,政令指定都市は非常に厳しい状況にあります。
 そんな中で,地方から国の形をどう変えていくのか,これは大阪府・大阪市においても大いに議論していただいたら良いと思います。私たちも関西4政令指定都市の市長会や指定都市市長会で議論し,提言していきたいと思います。このままでは,財政構造も含めて展望が開けないと考えています。
 強調したいのは,基礎自治体重視の議論をしていただきたいということであります。

(市長記者会見資料)平成22年度当初予算(案)について~生活安心・未来へのトライ予算~

担当:行財政局財政部財政課 電話:222-3291

(来年度以降の財源不足対策)

1 予算の規模

 全会計の当初予算案の総額は,0.2%増とほぼ前年度並みの1兆6,554億円であります。
 一般会計の予算総額は,7,687億円で,平成21年度予算と比べて10.8%増の747億円であり,中小企業金融対策の拡充や子ども手当ての新設,また生活保護扶助費の増による影響を除けば,実質的には前年度並みの規模となります。

予算規模の状況についての表

<一般会計予算額増加の主な要因>
中小企業金融対策預託金 500<一般財源 ->(21年度800→22年度1,300)
子ども手当及び児童手当  162<一般財源 ->(21年度 98→22年度 260)
生活保護扶助費        80<一般財源 20>(21年度638→22年度718)

2 財源不足の解消状況

 市税収入の大幅な減収と府税交付金の減,また生活保護扶助費など義務的経費が増加したことにより,300億円を越える巨額の財源不足が見込まれる極めて厳しい状況下での予算編成となりました。
 このため,徹底した行財政改革・創造の取組を強力に推進し,職員削減や全職員の給与減額措置の継続をはじめとする内部努力の徹底を行い,その上で,下水道事業における雨水処理負担金の平準化の継続や国の補助金・交付金の最大限活用などにより財源捻出に努めました。なお不足する財源への対応として公債償還基金の取崩しにより,財源確保の見通しを立てることができました。

一般財源等収入の状況についての表
22年度予算における財源不足額の解消状況についての表

3 予算案の特徴

 平成22年度予算におきましては,一昨年秋以降の未曾有の景気後退の影響が,市の財政収支に本格的に現われ,市税収入が実質的には史上最大の減収幅となるなど,巨額の財源不足が見込まれる危機的な状況の下での予算編成となりましたが,「京都未来まちづくりプラン」を着実に推進する中で,不況の直撃を受け苦境にあえぐ市民生活,中小企業,地場産業をしっかりと支えますとともに,脱却への道筋と将来への展望を切り拓くため,「生活安心・未来へのトライ予算」として編成しました。
 予算の編成に当たりましては,「市民のいのちと暮らし,安心安全を支える」,「京都の未来を切り拓く」の2点を大きな柱としました。
 「市民のいのちと暮らし,安心安全を支える」取組としましては,厳しい経済状況にあって,「市民のいのちと暮らし,安心安全の確保」を第一に考え,また厳しさを増す「市内中小企業,地場産業への支援対策」に最優先に取り組みます。
 「京都の未来を切り拓く」取組としましては,特に,次の3点に重点をおきました。
 1点目は「環境モデル都市として,我が国・世界を牽引する地球温暖化対策,低炭素社会の構築」であります。「DO YOU KYOTO?」を合言葉に,市民ぐるみで全庁を挙げて低炭素社会を構築します。
 2点目は,京都のシンボルプロジェクトのひとつである「人と公共交通優先の「歩いて楽しいまち」の実現と地下鉄・市バスの利用促進」であります。自動車中心から公共交通への転換を図り,人が主役の魅力あるまちづくりを推進します。
 3点目は,閉塞感が蔓延しかねない社会情勢であるからこそ,京都の未来を支える人づくりや新産業の創出,観光の活性化をはじめとする「未来の京都への先行投資と京都創生」を積極的に推進します。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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