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門川市長記者会見(2009年12月24日)

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2023年4月12日

平成21年12月24日門川市長記者会見

海外出張の報告

 まずはじめに,海外出張の報告をしたあと,1年を振り返りまして所感と来年度予算編成に向けた現時点での見通しについて,お話させていただきたいと思います。
 今月11日から19日まで,コペンハーゲンをはじめ,コンヤ,フランクフルトへ行ってまいりました。
 COP15が開催されたコペンハーゲンでは,ロンドン,ニューヨーク,メキシコシティー,あるいは香港やソウルなど世界の自治体の市長が集まりまして,「市長気候サミット」や京都市が主催しました「気候ラウンジ」などで様々な対話をしてきました。
 現在,世界の人口の5割が都市に住んでいる。20年経てば,都市の人口は7割になる。COP15の首脳会議は,非常に難しい結果になりましたけれども,私たちは,都市に住む人間のライフスタイル,あるいは都市の経営のあり方,それを市民とともに改革していくことが,地球環境の保全へ大きな力を発揮できると意見が一致しました。
 1つは,ごみの減量の問題,あるいは公共交通を大切にして,脱クルマ社会にしていく。また,太陽光発電等々,エネルギーの問題,これらは各都市の市長を先頭に住人が目標を掲げて実行していく。市民参加で実行していく。そして,成功事例を交流していく。そのことによって大きく前進するのではないか。そんなことを語り合ってきました。
 桝本前市長が名誉議長を務める「気候変動に関する世界市長・首長協議会」,これも大きな役割を果たしていると感じましたし,アメリカ市長会が非常に元気でして,独自に会議を持たれている。私も参加してきましたけれど,来年は京都に来ます。またCOP3の時と比べ,COP15では,自治体の取組が大きく前進し,交流もできている。これが大きな違いです。イクレイ等々,私も理事等を務めておりますが,より一層そうした取組を進めていきたい。そんなことを感じました。

1年を振り返って

 さて,今年1年を振り返ってですが,大変厳しい社会経済状況の中でありましたけれども,市民の皆さんの安心安全を守る,中小企業,零細企業の経営を守るために,何としてもこの難局を乗り切り,未来への展望につなげていこうと懸命に努力してきた1年であったと感じております。
 昨年秋からの世界的な不況,最近の円高もありまして,京都経済も厳しい状況にございます。
 更に,新型インフルエンザによりまして,小中学校などの学級閉鎖等が相次ぎました。5月,6月には修学旅行生が激減するという大変な事態もございました。風評被害で観光が大きなダメージを受けました。
 しかし,オール京都でがんばった結果,修学旅行生は,ほぼ戻ってきていただいた。またこの秋につきましては,観光客も徐々にではありますけれど回復してきている。そんなことも実感しております。やはり,オール京都で全力を挙げて取り組んでいくことの重要性を実感しております。
 景気,雇用が,非常に厳しい状況の中で,さらには京都市も未曾有の財政危機の中,京都市では52年振りとなる経済対策に絞った臨時市会を開き,5月,6月,9月,11月と経済を,景気を下支えするための4回にわたる補正予算を組むなど,全力を投入してきた1年でありました。
 9月には,地域主権,地方分権を掲げる民主党政権が,新たに発足しました。国と地方は対等の関係である。このことから,京都で実践していること,京都の目指すものについて,国に伝えて,国の政策を誘導していきたい。政権発足後,4回にわたって東京へ出向き,京都の実情を訴え,丁寧に話をし,それなりの感触も掴む事ができたと思っております。
 現在国において,来年度予算の編成作業が行われております。それらの状況もしっかりと踏まえながら,本年1月に策定いたしました「京都未来まちづくりプラン」の着実な実行を基本に据えまして,京都の現在を守ると同時に未来を展望していく本市の予算編成に今全力を務めているところであります。
 そこで現時点での予算編成の状況について御説明したいと思います。

平成22年度予算の編成に向けて

 まず,12月現在の一般財源収入の総額の見込みでございますが,先程申し上げましたような厳しい経済状況が続いております。加えて,昨今の急激な円高の影響を受けまして,業績の悪化している企業が増加していることから,市民税法人分の落ち込みが非常に大きく,来年度の市税収入は,本年10月にお示しした見込額2,479億円から,更に30億円程度の減少が見込まれます。ちなみに,21年度の予算は,2,624億円ですから,175億円の市税収入の減が,現時点で見込まれております。
 また,地方譲与税・府税交付金についても,更なる景気の悪化の影響を受けまして,例えば自動車取得税交付金の減などにより10月時点の見込みからさらに10億円程度の減少が見込まれます。
 よって,まだ地方交付税等,国の地方財政対策の詳細が明らかになっていない前提ではございますが,一般財源収入総額については,10月の見込み3,813億円から3,770億円程度へと40億円程度減少し,これによりまして,財源不足見込額は10月時点の278億円から320億円までさらに拡大する事態に至っております。
 この巨額の財源不足解消のために,未来まちづくりプランにおける改革・創造の取組を着実に進めてきました。職員の徹底した削減,さらに全職員の給与カットの継続,事務事業の見直しなどにより,すでに予定していた約150億円の財源は確保できる見通しを立てましたが,それでもなお170億円もの財源が不足する事態であります。
 そのために,10月の予算編成通知に併せまして各局に通知しました「財源不足への対応方針」を踏まえまして,更なる事業の見直しを行う。局裁量枠の削減はもとより,聖域を設けずに,改革の取組を徹底して進めております。
 現在のところ,下水道事業における雨水処理負担金の平準化を来年度も継続することによって約30億円,そして,様々な見直しを行ってきましたが,それに追加して秋以降,各局に予算の縮減,徹底した事務事業の見直し,事業の効率化,政策の融合等を指示しまして,何とか現時点で30億円については見通しが立ちつつある。確定ではございませんが,合わせまして60億円の捻出の見通しが立ちつつある。こういう状況であります。
 しかしなお,残る110億円の財源不足は,現時点でも大きくのしかかっております。全ての予算・事業について,経費の縮減,事業の融合や見直しを強力に推進して,厳しい財政状況のもとであっても未来まちづくりプランを着実に推進していく。そして市民生活を守り,未来への展望を開く。こうしたことに,今全力を挙げております。
 併せて,本市の財政危機の最大の要因であります地方交付税につきましては,総額の確保,1.1兆円の増額ということが今見込まれておりますけれど,同時にこれがどのように配分されるかということが極めて大きな問題であります。三位一体改革以降,京都市を含む大都市が大きな打撃を受けてきました。地域間格差を是正するための財政調整機能の確保が極めて重要であります。そのために,先だって9日に,原口総務大臣に特別に時間を取っていただいて,お会いすることができました。丁寧に京都市の実情を訴えて,一定の理解をしていただきました。さらに22日には,指定都市市長会として緊急の意見書を提出したところであります。交付税の増額とともに,都市の特性を踏まえた,地域の実情を十分に踏まえた配分となるよう,粘り強く国に対して求めていきたいと思っています。
 さらに,本市財政の構造的な課題につきまして,どうしていくのか,将来にわたってしっかりとした方針を立てるために,「京都市財政改革有識者会議」を立ち上げたところでありますけれど,この議論を踏まえまして,抜本的な構造改革に取り組んでいきたいと思っております。福祉の充実,雇用の確保,中小企業対策,地場産業,そして市民生活をしっかりと支える。これが極めて大事であります。同時に未来に向けて,しっかりとした展望を開いていく財政構造にしていかなければならない。市民の皆さんのご理解,ご協力をいただきながら知恵を絞って,まずは最小の経費で最大の効果を生み出す,同時に将来の税収増にも繋がるような,まちを活力あるものにしていく。そんな取組も,引き続き努力して参りたいと思っております。
 私からは以上であります。

質疑応答(要旨)

(財源不足解消策について)

記者

平成22年度の予算編成に向けて,財源確保のため,新たに職員給与の見直しなどを行うのか。

市長

 昨年,全体として人件費の削減額を計画した際に,大幅なボーナスの削減は見込んでいませんでした。
 今年,ボーナスを大幅に削減するとともに,極めて一部ですが,人事院勧告を無視した一時給与カットについては問題があるという,人事委員会からの厳しい意見を踏まえ,是正を行いました。全体として京都市職員の給与総額は大幅に落ちています。それが来年度予算にも大きく貢献しているのは事実です。
 現状においても,法制度の下に行われていることをある意味で無視して緊急避難的に実施し,全国大都市トップレベルの給与カットを継続しています。

(民主党政権への評価について)

記者

民主党政権誕生から100日が過ぎ,予算などのシステムが大きく変わったことについての市長の評価は。

市長

 私が市長に就任して1年10ヶ月,民主党政権ができて100日です。この時期,誰が政権を担っても大変厳しい状況です。いろいろ批判がありますけれども,私は全体として評価できるのではと考えております。
 地方交付税の増額については,来年度は緊急に行うということですので,今後,継続されることを粘り強く求めていかなければならないと思います。
 同時に,世論の動向も十分に見据えるとともに,地方からの声を反映しての暫定税率の維持などについては,トータルとして賢明なご判断をされていると思います。暫定税率が維持されないと地方財政は大打撃を受けるわけですから。
 一方で,政策の目玉である「子ども手当」については,全額国の予算で措置して欲しかったという思いがございます。
 こうしたことについては,指定都市の市長会として,引き続き国に強く求めていきたいと思っています。

(この一年の評価について)

記者

厳しい社会経済情勢の中で,どのぐらいやりたいことができたか。

市長

 コペンハーゲンに行って実感したことですが,この間,多くの市民会議を立ち上げ,市民参画の下に環境問題に取り組もう,あるいは,まちづくりに取り組もう,と進めてきました。多くの世界の都市から,これらの京都の取組が評価されている。同時に,同じ目標に向かって頑張っていると感じました。
 公共交通優先の「歩くまち・京都」を強力に推進していくため,本日,審議会の答申をいただきました。また,ごみ減量について更に一歩,二歩踏み込んだ取組をしていこうということで,現在議論を進めていだたいています。あるいは,ライフスタイルの転換に向けた取組を京都ならではのものとして,市民の皆さんの参画の下にさらに深めていきたい。
 同時に,京都の都市格を向上させていく。新・景観政策から始まり,観光客5000万人構想が2年前倒しで実現し,フランスの総領事館が京都に移転しました。
 オール京都の体制で,京都の都市格を向上していく取組が着実に実を結びつつあります。世界の方々から「世界の京都」として注目度を高めていることを実感しました。
 より一層,あらゆる政策を融合して,観光にも景観にも環境にも子育てにもよい,住んでよし,訪れてよし,子育てしてよし,そんな京都を強力に推進していく。それだけのことができる京都だということを改めて実感し,今後とも強力に推進していきます。

(財源不足解消の方策について)

記者

未来まちづくり推進枠を圧縮する中で,市長の目指す方向性を打ち出す方策とは。

市長

 「京都未来まちづくりプラン」は可能な限り推進していきます。もちろん,一旦立てた計画について,是が非でも最優先するのではなく,最適のことをその都度,判断していかなければならないと思っています。ただし経費のあり方,それだけお金を遣う必要があるのかということについては,より一層磨きをかけていきたい。同時に,例えばごみを減らすことにより,あるいは「歩くまち・京都」をつくることにより,経済効果や財政効果がありますので,そうした取組をより一層推進していく。
 いつも言っていますが,政策の融合と共汗により,市民の皆さんにも質的に豊かな生活をしていただいて,そして経済もよくなり,財政もよくなる。こういう取組に知恵を出していく。今はその仕掛けを一所懸命作っている時だと思います。
 同時に,お金が無いのは本当に辛いです。優良な輸出企業等がここにきて円高で大打撃を受け,非常に厳しい財政にあります。世界の方々も,日本中の方々も,京都は勝ち組だと思っておられます。都市格が上っている,観光客が増えている,素晴らしい大学がある,先端企業がある。一方で,この財政の厳しさについては,あまりご存知ない。由木副市長も細見副市長も,副市長になって,この財政の厳しさを実感され,貧乏なところに来たなとおっしゃっていました。市民の方々とも,まだまだ共有できていない。財政の厳しさをきちんと知ってもらい,その上で,どうするのかということを,市民ぐるみで知恵を出していく。そんな取組を強力に進めていきたいと思っています。

(来年度予算の重点分野について)

記者

来年度予算の編成に向けて,財源不足の中でもこれはだけは実行すべしという施策は。

市長

 様々な制度の転換期にありますけど,今後とも引き続き,福祉についてはどんなことがあっても後退させない。市民生活を守っていく。そして,地場産業,中小企業対策として,しっかりとセーフティーネットを強化する。
 同時に,京都のもつ強みを最大限に活かして政策を融合する。そして環境対策やごみ減量,「歩くまち・京都」,観光振興,教育などに引き続き力を入れていきたいと思っています。

(国家予算に係る影響について)

記者

来年度の児童手当を暫定的に継続し,地方が負担することや,地方交付税を増額するという,国家予算の方針について,どう受け止めているか。

市長

 子ども手当は非常に素晴らしい政策だと思っています。子どもは社会の宝として全ての国民で育てていこう,そして世のため,人のために尽くす子どもに育って欲しいという理念にあると思っています。それは,もちろん国民一人ひとりの努力ですが,国家として,子ども手当てを責任もって支給しようということだと思います。児童手当の範囲内とはいえ,地方に負担を求めることについては,適切な判断ではないと思います。引き続き,国に対して全額国で措置すべきだということを指定都市市長会としても要求していきたいと思っています。
 次に,厳しい地方財政のもとで地域主権を掲げる政権が,臨時的措置といわれていますけれども,地方交付税を1.1兆円増額することについては評価したいと思っています。ただし,地方の大幅な税収減に対応する措置でもあります。京都市において実質どのくらい確保できるかについて,税財源の地域間格差が非常に大きい状況にありますので,地方交付税の大きな役割であります財政の調整機能を発揮していただくように,引き続き,国に京都の実情,大都市の実情を説明して強く要求していきたいと思っています。

(市民負担について)

記者

財源不足解消に力を注ぐなか,これ以上の職員の給与カットは行わないというお考えと福祉は何としてでも守るとお聞きしたが,市民負担についてはどのようにお考えか。

市長

 全体としてあらゆることを検討しております。厳しい社会経済状況の中で,市民生活を守るということを大方針にしながら,予算編成をしていきたいと思っています。
 市役所の職員の給与は,京都市長が勝手に決められる制度ではございません。その中で,昨年全職員の大幅な給与カットを行い,それを継続している。その上にボーナスの大幅カットを,人事委員会の勧告に基づいて新たに実施したものです。

記者

市民負担として新税などについて,今の段階でどのようにお考えか。

市長

今の段階で,来年度に新税を創ることは考えておりません。

(資料)

平成22年度予算の編成に向けて

1 一般財源収入総額見込(12月22日現在)

企業業績の悪化に伴う市税収入の減収などにより,一般財源収入総額は,「一般会計における中期財政収支見直し試算(平成21年10月)」に比べ40億円程度減少

     [減少の主な要因]

 ◇急激な円高等に伴う企業業績の悪化に伴う市民税法人分の減

 ◇自動車販売数量の低迷に伴う自動車取得税の減等による府税交付金の減

一般財源収入総額見込
  22見込A(10月時点) 22見込B(12月時点) B-A
市税  2,479 2450程度 △30億円程度
 うち市民税法人分

 (284)

 (260程度) (△25億円程)
 地方譲与税・府税交付金 272 260程度 △10億円程度
 地方交付税・臨時財政対策債 979 980程度 0
 地方特例交付金その他 83 80程度 0
 一般財源収入総額 3,813 3,770程度 △40億円程度

2 財源不足見込額

21年10月試算        21年12月現在
    278億円   →   320億円程度(10月比+40億円程度)

3 財源不足の解消に向けて

京都未来まちづくりプランの改革・創造の取組を着実に推進することにより,約150億円の財源を確保できる見通しであるが,なお,不足する約170億円については,更なる改革・創造の取組を進め,財源不足の解消に向け,予算編成作業を進めており,60億円に目途が立ちつつある。また,国に対しては,地方交付税の確保及び都市特性など地域の実情を十二分に踏まえた配分となるよう強く求めている。なお,本市財政の構造的な課題による財源不足の解消のため,「京都市財政改革有識者会議」の議論を踏まえ,抜本的な構造改革に取り組んでいく。

財源不足の解消状況

現時点での財源不足見込額 約320億円の解消策

 →改革・創造の取組  約150億円
  職員削減,事務事業の見直し,緊急の人件費抑制策,行政改革推進債の活用などまちづりプランで想定していた取組

 →新たな取組     約 60億円に目途 
   →下水道事業における雨水処理負担金の平準化の継続 約30億円
   →全庁を挙げた徹底した事務事業の見直し       約30億円

 →なお残る財源不足額 約110億円
          ↓
    →全ての予算・事業について聖域を設けず改革・創造の取組を更に推進 
    →公営企業会計・特別会計への繰出金も含めた,義務費等枠の縮減
    →更なる事務事業見直しによる局裁量枠の削減
    →未来まちづくり推進枠(36億円)の圧縮の検討
    →地方交付税の確保など歳入確保の取組        

記者会見資料

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京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

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