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門川市長記者会見(2009年8月5日)

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2023年4月12日

平成21年8月5日門川市長記者会見

水を利用した地球温暖化防止の取組

 梅雨も明けまして,本格的な夏になってきました。
 この度,京都市では,ヒートアイランド現象の緩和,地球温暖化防止対策,厳しい夏の京都の暑さを越えていく対策にもなる2つの取組を紹介させていただきます。
 一つは,「ミスト装置の設置実験」であります。市民の皆様のくらしをしっかりと支える京都の水道水の新たな利用方法にもなります。広く紹介していきたいと思います。
 この装置は,水道水に高い圧力をかけ,特殊なノズルで超微細な霧を噴出することにより,水を効果的に気化させまして,その気化熱が周囲の熱を奪う現象を利用したものであり,気温を平均で3度程度下げる効果がございます。
 環境負荷の少ない冷却装置として,平成17年の「愛・地球博」で採用されて以降,注目を集めております。
 例えば,66㎡,学校の普通の教室が8メートル四方で64㎡ですので,それより少し広いと思っていただいたらいいかと思います。40畳程度であります。その広さの部屋を冷却するのに,ミスト装置を部屋の間口,入口のところに約10メートル配管して,室外で冷やした空気を室内に取り入れる。
 このことによりまして,エアコンでこれと同程度の冷却効果を得るためには,20畳用エアコンを2台設置する必要があります。これらの場合のCO2排出量を比較しますと,ミスト装置はエアコンの約8分の1で済みます。その効率性は,(設置する)規模が大きくなる程,効果的に表れます。
 今回の実験では,市役所本庁舎東側に約16メートルの配管を2.5メートルから3メートルの高さに設置して,25センチ間隔で65個のノズルを取り付け,霧を噴出します。本日から8月末まで,まずリースで,(この事業に)取り組んでいきたいと思っております。平日午前8時30分から午後4時まで,そして期間中,散布前後の温度・湿度の移り変わりを測定するとともに,体験していただいた市民の方々の感想等を聞いていきたいと思っております。
 今後は,今回収集したデータやアンケートをもとに,市民の皆様のニーズを的確に分析・把握し,例えば,保育園,商店街等への普及促進を図るための方策や,市民や事業者の皆様がミスト装置の導入に関心を持ってもらえるような施策を展開していけたらと考えております。
 なお,既に実験の準備が整っておりますので,この記者会見終了後,報道機関の皆様にも,いち早くミストの涼しさを体験していただきたいと考えております。
 2つ目は,これも京都の伝統であります「打ち水」の取組でございます。京都の夏の涼を呼ぶ知恵として,江戸時代から行われてきたものであります。私たちの生活の中で少し前まで脈々と受け継がれてきましたが,最近少し減ってきている中,再びこれを活かしていこうという取組です。
 昨年京都市では,この知恵を生かした市民ぐるみの温暖化対策の取組として,京都学生祭典実行委員会の皆さん,あるいは市内の様々な団体と京都市役所が協力しまして,市役所前広場をはじめ,市内約50箇所で,雨水や上下水道局が窒素の除去,オゾン処理により消毒,脱色を行った下水の高度処理水を利用した打ち水を大々的に行いました。
 非常に盛り上がったのですが,今年は,新たに京都の商店連盟に全面的に協力をしていただき,参画いただきます。数多くの団体や事業者の参画を得て,昨年の約3倍,161箇所に規模を拡大して,市民ぐるみで行います。「DO YOU KYOTOデー」は16日ですが,日曜日になること,また,五山送り火の日にも重なりますので,8月14日の金曜日に実施したいと思います。
 地球温暖化防止対策,環境問題,やはり市民ぐるみで様々な取組をしていく。それを生活の中に根付かせていく。そういうことが大事ではないかと思いますので,こうした取組を進めて参りたいと思っております。
 そして家庭や学校,職場,様々なところで,この取組が広がっていくことを願っております。現に昨年50箇所から今年161箇所に広がっていることについて,非常に心強く思っています。
 私からは以上であります。

質疑応答(要旨)

(ミスト装置の設置費用,今後の取組について)

記者

ミスト装置設置にはどの位の費用がかかるのか。

市長

66㎡40畳の空間に設置する場合,その導入にかかる費用は,エアコンで約120万円かかるところが,ミスト装置では約50万円,2分の1程度で済みます。電気・水道料金でも,1日6時間,年間80日運転させた場合に,エアコンで約4万円かかるのに対して,ミスト装置では約7千8百円と5分の1程度で済みます。

記者

京都市内で既にミスト装置を設置しているところはあるのか。

市長

藤井大丸の入口に付けておられます。

記者

今後,ミスト装置の普及を図っていくにあたりどの様な取組を行うのか。

市長

  今回の実験の結果を踏まえてこれから研究していきます。まずは,保育所や商店街と一緒にどの様な取組ができるのかということを考えたいと思います。
 クーラーは室内を涼しくしますが,暑い空気は全部外へ放出されます。それに比べてミスト装置は,中も外も涼しくします。ミスト装置で使用する水の量はほんの僅かで,水道代も非常に安く済みますので,水道水の需要を大きく喚起するものではありませんが,水を使った生活の知恵で涼しくなるということは,地球にも負荷をかけず,大変素晴らしいと思います。

(ミスト装置の設置位置)

記者

ミスト装置は本来どこに設置するものなのか。

市長

 屋外です。本来は,玄関口等に設置し,室内に冷たい空気を呼び込むのがより効果的なのですが,今回の実験ではPRもひとつの目的ですので,市民の皆様にも実際に体感していただきやすい位置に設置することとしました。
 夏休みに入り,最近この界隈で多くの子供達や親子連れが遊んでいらっしゃいます。私は,長年市役所で仕事をしていますが,市役所前広場で子供たちが元気に遊んでいるのを大変嬉しく思っています。このような皆様にも是非ともミストを体感していただきたいです。

(打ち水の参加者数)

記者

打ち水では市役所前広場に何人位集まるのか。

市長

 マスコミの皆様の報道次第とも思いますが,約3百人程度集まっていただけるのではないでしょうか。去年も,学生祭典実行委員会の方をはじめ多くの皆様にお越しいただきました。
 市役所前広場はシンボル的な場所として開催しますが,それぞれがお近くの会場で参加していただけたらと思います。現在,161箇所での実施を予定していますが,もう少し増えるのではないかと思っています。

(旧右京区役所解体工事に伴う調停の申し立て)

記者

旧右京区役所の解体工事に伴い,隣接する広隆寺が調停を申し立てたことについてコメントは。

市長

 広隆寺さんとは今日まで丁寧な話し合いをしてきました。私自身も12月29日にお伺いし,広隆寺さんの門を後にしたのは夜の9時を過ぎていましたかね。4月にも話し合いをさせていただきました。
 右京区役所の跡地において,広隆寺さんの景観や静謐(せいひつ)さ,歴史と伝統,そうした価値を大切にしつつ,国際都市・京都として,留学生が学んでいただける基盤整備のために,大学と連携して留学生寮をつくりたいということで,何度も何度も丁寧にそうした趣旨をお話させていただきました。
 あそこは,敷地の40%しか建物を建てません。更に,敷地境界から1.5m離せば建物が立てられるわけですが,北側では8m離して,間を緑地緩衝地帯とする予定です。例えば留学生が住むと,ダクトからいろんな匂いが出てくるとか,異文化によりお寺の雰囲気を壊すのではとか,いろいろ御心配をされていました。そのような御心配の無いよう8mの緑地緩衝地帯をつくりましょうとお話させていただきました。また更に,ご心配されていた現在の塀はそのまま置きましょう。留学生寮の運営についても御心配でしたので,運営に広隆寺の代表の方にご参画いただきましょうといったことも提案し,話し合いました。
 そもそも京都は国際都市であり,またあの地域は渡来人が開いてこられたまちでもあります。だから,そこに新たに留学生寮をつくり,外国の方々が学ばれるということは非常に素晴らしいことだと今も私は確信しておりますし,またそのように説明してきました。担当者も含めて何度も話し合いをしてきました。話し合えば御理解いただけると思い,年末に,私自身も話し合いをさせていただきました。その中で,留学生寮そのものについて様々な懸念を表明され,留学生寮を建てること自体を断念して欲しいというご意見でございました。私たちは,留学生寮と広隆寺の円滑な関係をつくっていくために,条件設定をさせていただきましょうと,いろんなことを申し上げましたけれども,留学生寮そのものに対して御理解がいただけない状態でした。
 一方で,多くの方々の御理解を賜っており,いつまでも解体工事を延ばしておくわけにもいきませんので,粛々と工事に入らせていただきました。解体工事も基本的に可能な限りの低騒音・低振動の工事を進めてきました。ただ,埃が出たり,振動するという申し出がありましたので,家屋調査もさせていただきました。いくつかの壁にヒビがいっているという御指摘がございました。築500年ぐらいで文化財の指定を受けている建物ではありません。また,解体工事の現場と建物とは約10m離れております。振動によるものなのか,建物の経年変化によるものなのか,それらについて,これから専門家の調査を経た上で,振動によるものだと判明すれば,京都市の責任において補償をさせていただくことになります。補償の仕方等についてはお寺と京都市とで協議していくことになります。
 現在,広隆寺さんの申し出によって解体工事を中断しております。京都市の担当者は毎日お電話や,訪問をさせていただいておりますが,なかなか話し合いが成立しないという状況でございます。工事を一時停止させていただいていますけれども,いつまでも停止していますと,建物の外側だけが残っているという状態でございますので,地震等が起きましたときに,お寺によりご迷惑を掛けることになりますので,早期の解決を私たちは強く望んできました。
 この度,調停となって弁護士さんもついていただけるので,第三者が入って客観的にかつ幅広い人のご理解を得て解決していくものと私は思っていますし,そう念願いたしております。調停の場で,私たちも誠意をもって説明し,広隆寺さんのご理解を賜りたいと思っています。
 ただし,基本的に留学生寮が広隆寺の横にあることについてふさわしくないと仰っています。そのことについて我々は,あの場所は留学生寮が非常にふさわしいと考えておりますので,その辺りで根本の一致がなかなかできないのが残念であります。粘り強く説明して参りたいと思っています。

記者

これまで市長が実際に話し合われたのは,12月と4月の2回か。

市長

そうですね。担当者は度々話し合いをさせていただいていますけれども,私も直接趣旨をお話させていただきたいと思って,御会いさせていただきました。

記者

ひびが工事による振動によるものか,専門家による調査の状況は。

市長

 現在行っております。これから引き続き基礎を解体する工事にとりかかります。どちらかと言えば地上部分に比べて振動が大きい工事でございます。振動が伝わるのを軽減するために,まず周りの土を除いてから,基礎をできるだけ揺らさずに,挟み砕いて解体する工法を使おうとしています。最大限に振動による周辺への影響を少なくするのが,京都市の工事の進め方であります。その点についても引き続き説明していきたいと思っています。

(各党のマニフェストへの評価)

記者

衆院選に向けた各党のマニフェストについて,市長の感想は。

市長

  地方分権,地域主権をどの党もマニフェストで強調していただいているのは,心強いと思っています。
 ただ,我々が要望する大都市制度の創設により,政令指定都市が都道府県の仕事,責任を引き受けながら,それに見合った税源が保障されていないことは重大な問題です。5月と6月には,私が副会長を務めさせていただいています指定都市市長会として,3党に大都市制度の創設等にポイントを絞った要望を行い,それをマニフェストに活かしていただくように話をしてきました。その点については踏み込みが弱いと感じています。
 昨日も東京で,指定都市市長会の会議がありまして,事前に政令指定都市ならではの採点をしようということになりました。政党のマニフェストは外交から防衛から農林業から,あらゆる分野がございます。それらを全て評価するのは僭越でございますので,我々が政令指定都市として要望した項目に焦点を当てて採点をし,そしてそれらを10日までに集約したうえで,できれば11日に発表したいと取り組んでいるところです。

記者

採点は具体的にどのように行うのか。

市長

  18市それぞれ意見が違うと思いますので,採点は,全市が提出した場合,足して18で割るやり方で行います。議論しましたが,それ以外に方法はなく,特記事項を列記することなどを考えています。
  なお,7日に知事会が3党との討論会を開催されます。指定都市市長会の会長に麻生全国知事会会長と何度も議論していただきましたが,今回は知事会の主催なので,政令指定都市は会場からの発言にして欲しいと,必ず会場からの発言の時間は担保するということでした。知事会において地方分権,地域主権をもっと理解していただき,知事会が地方を全て代表するものではないでしょうから,共催でもいいのではないですかという議論もあり,何度も何度も話をしていただいた結果,市長会の代表が討論会へ行って,確実に議論をする時間を保障するということでした。したがって,その場での回答も踏まえて,10日までに採点をしようと,マニフェストそのものは非常に簡略ですので,政策集や補足資料等も踏まえて採点しようということになっています。

記者

道州制について,自民党のマニフェストでは具体的にどう進めていくのかわかりづらく,民主党はそもそも盛り込んでいない点はいかがか。

市長

  道州制も大きなテーマの一つであります。どういう道州制をイメージしておられるのか,同時に,道州制のなかで大都市制度はどう扱うのか。我々は大都市制度,あるいは政令指定都市に権限と税財源の移譲することを採点のポイントにおこうとしています。そのことを6月に3政党に要望しました。
  したがって,政令指定都市へ税財源を移譲しますと明確にしていただく必要がある。地方分権,地域主権,さらには地域の自立が一番大事であります。その自立のモデルを実現できるのは基礎自治体であり,基礎自治体の中でも政令指定都市が一番自立した地方自治体づくりのモデルになる。そこに着目しなくて地方分権も地域主権もない。そのことをしっかりと訴えてきましたし,採点基準にしたいと考えています。

記者

踏み込みが弱いとは,政令市への税財源の移譲などの点においてか。

市長

マニフェストや政策集を含めて,どこまで読み込むかはあります。差はありますが,踏み込みが弱いと思います。政令指定都市のことを書いておられるところも付属文書ではありますけど,その点をよりわかりやすくしてもらいたいと思っております。

(京都水族館のまちづくり条例に基づく住民説明会)

記者

 京都水族館について,先日初めて行われた説明会で,出席者の方からは反対意見が多く,説明会を再度開いて欲しいとの声も挙がっていた。市長はどのように受け止めているか。

市長

 説明会には事業者と京都市も出席させていただきました。結果的に私は良い説明会だったと考えています。随分誤解されている方もおられる。あの雰囲気の中で,きっちり賛成だという意見も頑張っておっしゃっている方もおられる。声の大きさが民主主義ではありませんので,あのような場もあって良いのではと思います。説明会としては,トータルとしてうまくいったのではと思っています。
  京都の街は,かつて申し上げましたが,建都1100年につくられた動物園,平安神宮の前に何故ゴリラやゾウ,カバがいるのか,平安神宮の鳥居をくぐれば動物園とは一体どういうことだ,と物凄い反対があったと聞きます。つい最近では京都御苑の中にある京都迎賓館に対しても大変な反対運動がありました。環境破壊だと。少し遡れば,京都国際会館も宝ヶ池というあの素晴らしい景観を潰すのか,自然破壊だ,環境破壊だ,と大反対運動がありました。今,京都迎賓館は多くの市民の方が私も見に行きたいとおっしゃられ,京都の誇りにされています。また,京都国際会館は環境を象徴する京都議定書誕生の地になりました。岡崎に動物園があることを誰も疑問に思っておられない。
  私は反対の声があることは,それはそれとして大事であると思います。その声にしっかりと耳を傾け,そして政策を研ぎ澄まして,事業者にもその声を十分に聞いていただく。同時に,やはり京都の未来のために,多くの市民のご意見を組み込んだ実施方針に基づき,粛々と法令に基づく手続きを踏んだうえで進めていきたいと思っています。

記者

もう一度説明会を開いて欲しいという声にどう対応するのか。

市長

 今後は個別の事業計画が出てきます。それに対して必要な方に必要な説明を丁寧にしていくことは大事であります。同時に,京都市としても広報活動を通じて京都に水族館や鉄道博物館が何故今必要かということを丁寧に説明して参りたいと思っております。
 説明会については,法令に基づいて必要な方を対象にした説明をその都度行って参ります。

記者会見資料

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