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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本計画第2次案/第2次案 第2章3

ページ番号35904

2001年2月1日

第3節 市民のくらしとまちを支える基盤づくり

1 個性と魅力あるまちづくり

基本的方向
 まちづくりの方向を「保全・再生・創造」の3つの大きな概念で捉え,永い歴史のなかで受け継いできた自然的・歴史的資源に恵まれた地域の個性を保全・再生し,都市の活力を創造・継続させつつ,それぞれの地域において,市民が快適に安心して生活でき,かつ,多彩で個性的な機能をもつような魅力あふれるまちづくりを進める。
 このため,広く情報を公開し,市民と共有しつつ,各種都市計画制度を活用しながら,きめ細かな京都独自のまちづくりのしくみを整え,地域に根ざした市民と行政との協働の取組を進める。

 

(1) 保全・再生・創造を基調とするまちづくり

ア 自然と居住環境の保全

 (ア) 周辺の山々と自然環境の保全[P58「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)エ(イ),P63「1 美しいまちをつくる」(2)アに再掲]

 永い歴史に支えられた自然的風土である三方の山々,文化財や史跡の点在する山麓(ろく)部,鴨川など都市における自然環境の骨格となる河川沿い等の地域について,その豊かな自然を保全する。

 (イ) 居住環境の向上

 市街地周囲の山麓(ろく)部から平地部にかけての自然的・歴史的環境の豊かな住宅地の一帯は,その居住環境を保全し,向上に努める。また,点在する緑地,田園,耕作地については,それらが有する多面的機能を生かし,その保全,活用を進める。

 北部等の山間集落地域においては,簡易水道施設の整備により,地域住民が安心してくらし続けられる生活基盤の整備を進める。また,農林業の振興を軸としながら,自然環境との調和に十分留意しつつ,市民が自然とふれあうなかで心の豊かさを味わえる場として整備するとともに,都心地域等との交流・連携を強め,地域の活性化を進める。

 また,野外焼却行為等の違法行為の誘因ともなった乱雑な土地利用形態が依然存在する大岩街道周辺地域については,周囲の緑豊かな環境と調和した良好な土地利用へ誘導し,違法行為を許さず,良好な地域環境を育(はぐく)む。

 (ウ) 文化・学術・国際交流機能の集積

 豊かな自然環境にある大学をはじめとした文化,学術,国際交流施設は,本市の優れた都市特性を生み出している。市街化調整区域や用途地域等の都市計画の決定,変更や大学等の新増設を規制している工場等制限法などの弾力的な運用を行い,文化,学術,国際交流機能の充実を支援・誘導し,魅力と活力に満ちたまちづくりを進める。

 「総合地球環境学研究所」や京都大学「桂キャンパス」の整備を支援し,地域と調和した大学施設等の整備を進める。

イ 調和を基調としたまちの再生

 (ア) 歴史的な市街地空間の継承・再生[P58「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)エ(ア)に再掲]

 都心を中心とする市街地においては,永い歴史のなかで培ってきた職・住・文・遊が織り重なるまちの魅力を新しい時代にあったかたちで継承し,再生する。

 職住共存地区においては,地域ごとの豊かな個性に応じた地域協働型地区計画の策定を進めるとともに,文化財の周辺や京都らしい町並みなどの歴史的な景観を可能な限り保全・再生しつつ,新たな建築活動においても,既存の町並みと共生できる方策についての検討を進め,必要な措置を講じていく。

 また,地域と共生したマンションの建設,京町家の保全・再生,袋路における協調建替え,共同建替え等を促進し,受け継いできた地域の個性を生かした土地利用を進めるとともに,市民主体のまちづくり活動を促進し,地域コミュニティの再生を図る。住工が混在する地域については,産業と居住の共存する土地利用モデルを確立するなど,居住環境とともに,工場環境の向上をめざし,魅力ある定住環境と特徴ある産業環境を支える都市空間を維持・形成する。

 (イ) 職住共存地区における回遊都市空間の整備促進[P57「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)ウに再掲]

 職住共存地区において,歴史的な町並み,にぎわいのある商店街,碁盤目状の歩きやすい街区形態等,地域がもっている資源を生かし,歩くことが楽しくなるような回遊都市空間の整備を促進する。

ウ 21世紀の新たな活力を創造する新都市の形成

 (ア) 南部の創造のまちづくり

 南部地域は,21世紀の本市の新たな活力を担う地域として位置付け,地域住民の生活の場であることを十分に認識したうえで,総合的に政策を展開する。そして,高い防災性をもち,環境と調和した持続可能なまちをめざし,地域の自然・歴史・産業環境を生かしつつ,都心部の歴史・文化に裏打ちされた知識・技術・情報と結びついた創造のまちづくりを進める。

 また,南部の創造のまちづくりは,市域を越えて乙訓,宇治など京都府南部地域との連携,さらには,整備が進む第二京阪道路等の広域交通網を介した国内外との広範なつながりを視野に入れて進める。

 このため,油小路通や京都高速道路油小路線・新十条通等の整備を促進するほか,地下鉄烏丸線の南伸を含む公共交通機関の整備についての検討を進め,南部地域の交通体系を明らかにするとともに,新しい住宅市街地の整備など都市基盤の整備を進める。また,高度情報通信社会に対応できる情報通信基盤の整備を支援する。

 (イ) 高度集積地区の創造

 民間の本社機能の進出などにより新しい活力が芽生えている高度集積地区は,21世紀の新しい都市活力を担う中心的な地区として,周辺地域,とくに歴史的な町並みの残る伏見旧市街地との調和を図りつつ,交通・情報分野を含む都市基盤の整備を進め,新しい都市機能の集積を促進する。

 (ウ) 「水垂地区土地利用基本計画」の策定・推進

 本市南部地域における大規模な市有地で,南部地域の新しい拠点として期待される水垂地区については,土地利用の基本計画を地域の意見を十分に配慮して定め,新しいまちづくりに取り組む。

 (エ) 良好な市街地の創造

 伏見西部第四地区,伏見西部第五地区,久我・羽束師地区,深草南部地区等,市域の郊外部において土地区画整理事業による質の高い新市街地の形成を進める。

 

ちょっと注目!

京町家の保全・再生の促進

  • 約600名の市民ボランティアや市民団体の参加を得て,「(財)京都市景観・まちづくりセンター」が事務局となり,取りまとめた調査を基礎に,本市が策定した「京町家再生プラン」の実現
  • 京町家街区の形成や規制誘導策の検討などを市民と一体となって推進

高度集積地区における新しい都市機能の集積促進

  • 南部創造の先導的地区として,高度な都市機能が集積されるよう民間活力を誘導していくため,市民・企業・行政の協働による都市づくりを展開する推進協議会を中心に,良質なプロジェクト等に対する立地支援,都市計画制限の見直しの検討等を推進

 

(2) 多彩で個性的な機能をもつ地域のまちづくり

ア 駅周辺のにぎわいと潤いを創出するまちづくり[P89「2 多様な都市活動を支える交通基盤づくり」(2)イに再掲]

 京都駅南口,二条駅,西大路駅,三条京阪駅,阪急西院駅,天神川駅などの鉄道駅周辺の交通の利便性が高い地域においては,周辺居住環境との調和に配慮した都市機能の配置と市街地環境の整備を行い,民間活力を活用しながら,にぎわいと潤いのあるまちづくりを進める。

イ 商店街の活性化と連携したまちづくり[P76「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(3)イに再掲]

 地域に密着している商店街の活性化は,まちににぎわいを与えると同時に,地域コミュニティの活気にもつながっていく。商業などの活性化と地域の基盤整備を一体的に取り組む中心市街地活性化法を活用した伏見桃山・中書島地区におけるまちづくりなど,商店街の活性化と連携したまちづくりを進める。

 

(3) まちづくりを支えるしくみづくり

ア 持続的な都市の成長を支える都市計画

 成熟社会に対応し,持続的な都市の成長を管理制御する総合的なシステムとしての都市計画をめざし,本市における都市計画に関する基本的な方針となる「都市計画マスタープラン」を策定する。

 その方針に基づき,特別用途地区制度や地区計画制度を積極的に活用していくとともに,地域特性に応じた開発許可制度の検討等を進め,地域社会の身近な都市空間を重視したきめ細かなまちづくりを進める。

イ 市民と行政との協働によるまちづくり活動を支えるしくみづくり

 地域に根ざしたまちづくりを市民と行政とが協働で取り組むために,市民,行政それぞれがまちづくりの主体として力量の向上に努めるとともに,まちづくりに関する情報の共有を深め,都市計画の立案や決定プロセスにおける市民参画機会の拡大や透明性の確保を図る。

 また,行政は,市民の自主的なまちづくり活動に対して,情報提供や専門家の派遣,学習活動に対する支援等さまざまなかたちで支えるしくみを充実する。

 そのため,市民が主体的にまちづくりに参画できるよう,現行の土地利用の調整に係るまちづくり条例を市民参加のプロセス等の規定を盛り込んだ総合的なまちづく条例へと展開する。

 さらに,今後のまちづくりを考える際には,行政と民間企業等との役割分担を明確にしたうえで,望ましい都市空間のあり方を共有することが必要であり,民間企業等と幅広い情報や知恵を交換・共有するためのしくみをつくる。

ウ 「(財)京都市景観・まちづくりセンター」と連携したまちづくりの促進

 住民,企業,行政のパートナーシップで取り組むまちづくりの橋渡し役として設立された「(財)京都市景観・まちづくりセンター」が取り組んでいるまちづくりにかかわる人材の育成や積極的な情報発信・相談事業やまちづくり活動支援事業等により,地域まちづくりを促進する。

 

ちょっと注目!

「(財)京都市景観・まちづくりセンター」が取り組むまちづくりの促進

  • 住民・企業・行政のパートナーシップによるまちづくりの推進を図る「(財)京都市景観・まちづくりセンター」の取組である「地域まちづくりセミナー」,「まちづくり専門家派遣」,「まちづくり活動助成」など地域まちづくり活動を促進

 

 

2 多様な都市活動を支える交通基盤づくり

基本的方向
 ひとやものの円滑な流れを支える安全・快適で環境に配慮した総合交通体系を構築し,市民生活の向上,都市活動の活性化を促す。
 このため,公共交通の優先を基本に,「歩くまち・京都」の考え方を踏まえつつ,地下鉄や道路等の施設整備を進めるとともに,交通需要管理施策(TDM施策)の推進など,新たな交通政策に取り組む。

 

(1) 都市内の交通網の整備

ア 歩くまちの交通網の整備[P59「4 歩いて楽しいまちをつくる」(3)アに再掲]

 「歩くまち・京都」を実現するため,地域ごとの特性に応じた鉄道,バス,タクシーなどの公共交通機関の活用促進,安全快適な歩行空間整備と歩行者の安全に配慮した自転車利用の促進に努め,自動車交通に過度に依存しない公共交通優先型の交通体系確立を目的として交通基盤を整備する。

 自動車交通については,自動車公害対策等を念頭に置きながら,企業を含む市民と警察を含む行政が一体となって検討し,円滑な流れが実現できるように努める。また,自動車だけでなく歩行者や自転車,バスなど公共交通機関のための道路として,街区形成の視点に配慮しながら,必要に応じ,都市計画道路の計画見直しを行い,環状道路や都市計画道路網など,効果的な道路整備を推進する。

イ 歩行空間の形成と自転車利用の促進[P58「4 歩いて楽しいまちをつくる」(2)に再掲]

 道路網の形成に当たっては,地域ごとの生活・商業・観光などの視点において,歩く機能,自転車利用機能の充実に努める。また,交通結節ターミナルにおいては,自転車駐車場整備やバリアフリー化など公共交通が利用しやすい施設整備に努める。

ウ 自動車交通需要の管理等[P59「4 歩いて楽しいまちをつくる」(3)イに再掲]

 既存の道路空間を有効に活用するため,特定地域への自動車流入抑制など道路の利用の仕方に工夫を求める交通需要管理施策(TDM施策)を推進しつつ,安定性があり信頼性が高い道路機能の整備や維持管理に努める。

エ 公共交通サービスの充実[P60「4 歩いて楽しいまちをつくる」(4)に再掲]

 定時性が高く環境への負担が少ない鉄道輸送サービス,身近な市民の足であるバス輸送サービスなど公共交通機関は,市民の支持を得られるよう,路線網や乗車券制度,サービス施設について常に調査研究しながら改善し,利用しやすい有機的な公共交通輸送サービス網を整備する。

ア 鉄道網の充実[P60「4 歩いて楽しいまちをつくる」(4)ウに再掲]

 (ア) 地下鉄線鉄道網の充実

 地下鉄線鉄道網は,高速かつ安全確実に市内を連絡する本市の交通施設の基幹である。一方,その整備及び維持管理には巨額の資金が投入されており,市民生活やまちづくりに一層効果的なものとなるように努める必要がある。

 そのような認識の下,地下鉄が多くの市民にとってより利用しやすく快適便利なものとなり,まちの活性化,京都都市圏の交通網の充実に資するため,東西線の延伸については,六地蔵~醍醐間の建設事業,二条~天神川間の事業化を推進するとともに,他の鉄道駅との結節を推進する。

 地下鉄東西線の更なる延伸(天神川~洛西間の事業化検討,洛西~長岡京間の計画)については,周辺のまちづくりの動向や新しい輸送システムの調査研究を進めながら,効果的な整備計画について検討する。

 また,南部地域の鉄道基盤整備は,高度集積地区や水垂地区の整備を視野に入れながら,地下鉄烏丸線南伸を含む公共交通機関の整備について検討する。

 (イ) JR線鉄道網の充実

 JR線は,国内交通網としての役割とともに,市民の都市内の移動手段,市内観光の移動手段として,また,駅を中心としたまちの活性化にも重要な役割を担っている。JR奈良線,山陰本線の輸送力増強のため複線化を促進するとともに,まちの分断解消,交通渋滞解消に効果がある高架化については,山陰本線(花園~嵯峨嵐山間)において,市民生活や景観について十分に検討を加えたうえで,計画を促進する。また,JR新駅(東海道本線西大路~向日町駅間)については,周辺の土地利用と調整を図りながら設置計画を策定し,整備を促進する。

 (ウ) 民鉄線鉄道網の充実

 民鉄線は,近畿圏の交流を支える重要な役割を担う鉄道網である。地下鉄線と共通利用できる「スルッとKANSAI」や企画切符により鉄道網としての利用機能を向上させるなど,輸送サービスの充実促進を図るとともに,まちづくりや交通渋滞解消に効果のある鉄道高架化(京阪本線淀駅付近高架化,阪急京都線(桂駅以南)の高架化)を推進する。また,阪急新駅(阪急京都線桂~東向日駅間)の設置についても,検討を進める。

イ 交通結節点としての駅の機能充実[P87「1 個性と魅力あるまちづくり」(2)アに再掲]

 ひとや公共交通のみならず,自動車交通との連携にも重要な役割を果たす交通結節点としての駅については,すべてのひとの円滑な移動を支える機能を充実させるとともに,ひとが集まる拠点として,地域のまちの活性化に貢献できるような施設整備を促進する。

 とりわけ,周辺地域のまちづくりを活性化させる三条京阪駅前広場や二条駅周辺の整備を推進するとともに,京都駅南口周辺のまちづくりを先導する京都駅南口駅前広場整備計画,地下鉄東西線の当面の始発駅となる天神川駅周辺整備計画については,計画の策定,事業化を推進する。

 また,阪急西院駅周辺については,整備計画の策定,事業化を検討する。

ウ 道路網の充実

 (ア) 広域国道網の充実

 慢性的な渋滞状況にある国道9号の西立体交差事業,国道9号(東御前通~西大路通間)の拡幅整備,国道24号八条坊門立体交差事業,京都第二外環状道路整備等,国の事業を促進する。

 また,都市間交通の円滑化を図るとともに,地域の生活の活性化に資する,国道162号,367号,477号については,拡幅等整備を推進する。

 (イ) 広域国道網へ通じる主要道路の整備

 広域国道網を補完する道路として,また,緊急時の代替道路として,地域間交流や地域の活性化に資するため,京都広河原美山線,幡枝葵森線,沓掛上羽線等の整備を推進する。また,大原花背線については,地域の事情を勘案しながら事業化に向けて検討を推進する。

 (ウ) 市街地中心部を迂回する環状道路の整備

 広域幹線道路である第二京阪道路の東西の分散路として,また,外環状線や地域内道路の混雑緩和,本市南部地域及び乙訓地域・山城中部地域の東西交流促進のため,六地蔵神足線の計画及び整備を推進する。

 (エ) 都市計画道路網などの整備

 南北主要幹線道路である油小路通,鴨川東岸線,葛野大路の整備,地下鉄の西伸計画に整合した御池通西伸事業を推進する。

 また,深草大津線,久世北茶屋線,西小路通の立体交差化,桂川橋梁(久世梅津北野線),第二久世橋(向日町上鳥羽線),久我橋(伏見向日線)の整備を推進する。

 その他,地域の道路交通渋滞・交通安全対策については,市民とともに検討し,適切な道路機能の整備に努める。

 

ちょっと注目!

地下鉄東西線(六地蔵~醍醐間)の建設

  • 地下鉄東西線とJR奈良線,京阪宇治線とを結節し,広域的な鉄道ネットワークを形成することにより,鉄道利用の利便性を向上させるため,2004年の開通をめざして整備を推進

地下鉄東西線(二条~天神川間)の事業化推進

  • 京都市西部の都市基盤整備,また,京福電鉄嵐山線との連携による広域的な鉄道ネットワーク形成を目的として2007年度開通に向けて事業化を推進

地下鉄東西線天神川駅周辺のまちづくり

  • 地下鉄東西線の西のターミナルとなる天神川駅周辺について,京福電鉄嵐山線との連携等,住民とともにまちづくりを検討し,京都市西部の活性化を推進

六地蔵神足線の計画及び整備の推進

  • 南北の広域幹線道路である第二京阪道路の分散路,東西の広域幹線道路である京滋バイパスの補助交通路,さらに地域の交通混雑緩和や市域南部における東西交流の幹線道路として,整備を推進

国道162号の整備の推進

  • 162号線における市域で唯一残された未改良区間について,沿道地域の生活,林産業の発展のため,道路改良(川東拡幅)を実施

 

(3) 広域交通網への結節機能の整備

ア 広域高速道路網,広域高速鉄道網構想への対応

 空港(関西国際空港や大阪国際空港など)及び港湾(神戸港,大阪港,舞鶴港など)等へつながる広域鉄道や高規格幹線道路の結節点と接続する交通基盤については,市域全体のまちづくりのあり方を念頭に置きながら,構想,計画や事業を促進する。

 国際的な観光・文化・学術会議など広域交流を支える関西国際空港の整備を支援するとともに,国外への玄関口である空港,港湾へのアクセス強化として,第二京阪道路の整備を促進する。また,さらなる機能の強化を図る京阪連絡道路については,整備効果などを研究する。

 現在事業調査中の「中央新幹線」や「北陸新幹線」など全国的な新幹線網については,本市の交流促進に効果的なものとなるよう,関係機関と協議を進める。

イ 都市圏内外を結ぶ自動車専用道路網の形成

 本市を取り巻く広域幹線道路と市内各地域を円滑に連絡し,市内中心部への通過交通を減少させ交通渋滞を緩和するとともに都市活動の活性化に資する自動車専用道路網の整備を促進する。

 このため,京都高速道路については,新十条通,油小路線の整備を促進するとともに,堀川線,久世橋線,西大路線の計画を促進する。また,京都第二外環状道路についても整備を促進する。

 

ちょっと注目!

京都高速道路の整備・計画の促進

  • 新十条通:京都盆地と山科盆地を結ぶ幹線道路,2003年度完成予定
  • 油小路線:門真市で近畿自動車道に連絡する第二京阪道路と接続する道路,
  • 堀 川 線:五条通から久世橋通へトンネル構造で南下する道路
  • 久世橋線:新十条通とともに東西の幹線道路となる道路
  • 西大路線:久世橋通から五条通へトンネル構造で北上する道路

 

 

3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり

基本的方向
 世界的規模で急速に進展し続ける情報通信技術(IT)革命は,経済をはじめ社会の構造を根底から変革している。このような背景の下,高度情報通信社会への移行を促進し円滑化するとともに,その経済的,社会的及び文化的な利益を,市民,団体,企業があまねく享受できるしくみづくりに取り組む。

 

(1) 高度情報通信社会に対応するための基盤整備

ア 「京都情報通信ネットワーク」の構築

 光ファイバー等の収容空間となる情報BOXや電線共同溝などの情報通信基盤の整備を進めることなどにより,民間活力による高度な情報通信ネットワークの構築を促進し,市民生活における高度情報化の展開を支援する。

イ 都市型CATVの全市域への整備促進

 市内の高度な情報通信基盤のひとつとして,インターネットサービスなどを含む都市型CATVの全市域への一層の整備を促進する。

ウ 情報格差(デジタルデバイド)の解消

 情報通信技術(IT)を使いこなせるかどうかなどの違いにより,生活の質に大きな格差が生まれる問題を解消するため,市民への情報通信技術(IT)に関する講習会の開催等の普及啓発,身近で利便性の高い情報基盤の整備促進などの各種施策を展開する。

 

ちょっと注目!

「京都情報通信ネットワーク」の構築

  • 民間活力を活用した高速大容量かつ低料金の情報通信基盤を構築
  • 全国に先駆けた「情報新都」をめざす

情報格差(デジタルデバイド)の解消

  • 市民対象のインターネット等の情報通信技術(IT)に関する講習会の開催
  • 高度情報通信社会にすべての市民が対応できるようハードだけでなくソフト施策も重視

 

(2) デジタルアーカイブの推進 [P74「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(1)ア(ウ)に再掲]

 京都の市民文化の発展,産業経済の振興をめざし,京都の豊富な資産をデジタル化し,蓄積・発信・活用できるシステムであるデジタルアーカイブの研究開発を,産学公の緊密な連携の下,「京都デジタルアーカイブ研究センター」で行うとともに,その普及・啓発を行う。

 

ちょっと注目!

デジタルアーカイブの推進

  • 京都のもつ文化・学術・産業などにおいて「財」としての価値をもつ情報をデジタル化して蓄積
  • デジタル化した情報を発信・活用することにより,市民文化の保存・継承や発展,産業経済の振興をめざす

 

(3) 情報基盤を活用した企業活動の支援

ア 情報関連産業の振興 [P75「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(2)イ(イ)に再掲]

 既存施設をベンチャー企業育成施設(VIL)として機能強化するとともに,光ファイバー等の収容空間となる情報BOXや電線共同溝などの情報通信基盤の整備を行うことにより,情報関連企業の入居促進や育成支援を図り,情報通信技術(IT)を通じた産業振興を行う。

イ 研究開発型企業の立地支援 [P74「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(1)イ(ウ)に再掲]

 ベンチャー企業などの研究開発型企業の立地を促進するため,情報通信技術(IT)の活用による企業連携の支援,創業支援工場(VIF)や既存工場のニューファクトリー化を推進するための賃貸工場などの整備を推進する。

 

(4) 観光における高度情報化の推進

ア 情報通信技術(IT)の活用等観光情報の発信・収集機能の強化

 近年急速に発展してきた情報通信技術(IT)の活用等により,京都市観光協会をはじめ,運輸機関,旅行会社,報道機関等との連携の下,多様な手段による的確なきめ細かい情報の受発信を行い,観光客のニーズの把握と誘致活動を展開する。

イ 新たな観光案内システムの構築 [P80「2 魅力ある観光を創造する」(5)アに再掲]

 次世代の高速通信ネットワークや携帯情報端末など情報通信技術(IT)を活用した次世代型の観光案内システムの構築を図る。

 

(5) 高齢者や障害のあるひとへの高度情報化による支援

ア 情報通信技術(IT)を生かした新しい社会参加への支援[P27「2 すべてのひとがいきいきと活動する」(2)カに再掲]

 外出できなくても多くのひとびととの交流ができ,情報の受け手であるだけでなく発信者ともなれる,インターネットなどの情報通信技術(IT)を生かした新しい社会参加について,情報機器の基礎技術の習得をはじめとした支援を行う。

イ 情報通信技術(IT)を生かした就労支援[P28「2 すべてのひとがいきいきと活動する」(3)ウに再掲]

 インターネットなどの情報通信技術(IT)を生かし,高齢者や障害のあるひとが自宅等で仕事に従事できるよう,情報機器の基礎技術の習得や実践的な技能の向上等を図ることのできる事業を実施する。

 

(6) 情報教育の充実[P31「3 子どもたちが心豊かで社会性を身につけみずからの生き方を学ぶ」(2)ウ(ウ)に再掲]

 将来を担う子どもたちが高度情報通信社会に対応し,コンピュータを扱うことができるとともに膨大な情報のなかから必要なものを選択できる力を養う情報教育を充実する。

 

(7) 行政の高度情報化の推進

ア 「電子自治体」の確立

 あらゆる行政活動,行政サービスにおいて高度情報化を推進し,市民が知りたい情報をより早く,より簡単に入手できるしくみや市民の意見・提案等が市政の各部門に確実に伝わるしくみを構築するなど,より利便性の高い行政サービスが展開できる「電子自治体」の確立をめざす。さらに,電子商取引など経済活動のIT化に対して迅速な対応を図る。

イ 情報セキュリティの確保

 高度情報通信ネットワークを安心して利用することができるようにするため,個人情報の保護をはじめとした情報セキュリティに関する指針の策定など,情報セキュリティの確保を図る。

ウ 3次元の地理情報システム(GIS)の整備促進

 今後のあらゆる活動の基盤となり得る3次元のデジタル地図の整備を促進する。

 

ちょっと注目!

「電子自治体」の確立

  • 情報通信技術(IT)により,行政業務や行政サービスの高度情報化を推進
  • 市民が必要とするさまざまな行政サービスや情報をいつでも・どこでも受けられることをめざす

 

 

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