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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第8回 教育・人づくり部会

ページ番号35865

2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第8回 教育・人づくり部会

日 時 : 平成12年4月28日(金) 午後3時30分~5時30分

 

場 所 : 都ホテル「比叡」

 

議 事 :

(1) 基本計画策定作業の進め方等について     

(2) テーマ別討論「子育て支援」について     

(3) その他

 

出席者 : 

梶田 真章(法然院貫主)

◎金井 秀子(京都教育大学名誉教授,京都文教短期大学児童教育学科教授) 

川阪 宏子(市民公募委員) 

北川 龍市(京都市日本保育協会会長,京都市社会福祉協議会会長) 

佐々木博邦(市民公募委員)

○シュペネマン・クラウス(同志社大学文学部教授) 

永田  萠(イラストレーター) 

西川 國代(京都市保育園連盟副理事長) 

八田 英二(大学コンソーシアム京都理事長) 

韓  銀順(京都市生涯学習総合センター講師) 

福田 義明(京都市私立幼稚園協会会長) 

水谷 幸正(佛教大学理事長) 

山本 壮太(NHK京都放送局長)                               

 

以上13名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長     

 

 

1 開 会

金井部会長

  第8回「教育・人づくり」部会を開催させていただく。

  当部会は昨年9月以来の開催となるが,その間,12月に基本構想が市会に提出され,全会一致で議決された。本日から基本構想に示されたくらしに安らぎ,まちに華やぎのある21世紀の京都を市民とともにつくっていくため,今後10年間に取り組むべき政策についてご議論いただくことになる。

  最初に新任委員を紹介したい。今年3月に薦田副市長が退任されたため,今後当部会には増田副市長に委員として加わっていただくことになった。

  続いて,事務局である総合企画局の人事異動について紹介していただきたい。

 

  ――(事務局自己紹介)――

 

 

2 議事

(1) 基本計画策定作業の進め方等について

金井部会長

  それでは議事に入りたい。資料1については事前に送付させていただいているので,詳しい説明はせず私のほうから2点だけ説明したい。

  1点目は「想定される策定作業の流れ」ということで,4月から6月にかけ各部会で京都市の作成する資料を参考に計画に盛り込むべき事項をテーマ別に議論していただき,その後各部会での検討結果を持ち寄り京都市の考え方等を踏まえ,調整委員会で素案を作成する。また,調整委員会では併行して特定の部会に属さないテーマである「市民のあり方,行政のあり方」や財政問題等について検討するが,当部会には素案の段階で改めてご意見をお聴きすることになるのでよろしくお願いしたい。

  また,第1回調整委員会では複数部会に関連するテーマの取扱いが議論されたが,部会としての専門的テーマ別討論の後,素案を審議する段階で関連の深い部会を中心に他部会に任意でご参加いただくことを考えている。具体的な参加方法については他の部会長とも相談し,改めてご報告したい。

  2点目は基本計画の構成についてで,大きく「前文」「政策」「推進」の3部構成とし,「政策」部分を「安らぎ」「華やぎ」「市民のあり方,行政のあり方」の3項目に分けて10年間に取り組む主要政策を掲げることとしている。

  なお,京都市長から当審議会の委員に対して,次の3点について特にお願いしていただきたいとうかがっており,ここでご報告させていただく。1点目は「市民感覚からの議論の積み重ねによる審議会の意思形成」,2点目は「行政が責任を持って実施できるものであることとの接点を見出すことによる計画の実効性の確保」,3点目は「既存の枠組みを超えた大胆な発想に基づく京都ならではの政策の立案」ということだ。

  ただいまの説明について,特にご意見,ご質問がないようであれば,テーマ別討論に移りたい。

 

(2) テーマ別討論「子育て支援」について

金井部会長

  テーマ別討論に入る前に,検討資料の構成について説明したい。最初の「基本構想における関連記述」は,各テーマに特に関連した基本構想の記述の抜粋であり,基本構想の冊子と合わせ適宜ご参照いただきたい。次に「政策の検討項目(例示)」は,今後10年間の京都市の政策の方向についてご議論いただく柱となる検討項目を例示してある。審議会の自主性を尊重するということで,行政の案を示すのではなく議論の素材として出していただいている。最後に「これまで行政が取り組んできた主な施策・事業」を参考として示している。こうした構成でテーマ別に検討資料をまとめていただいているので,よろしくお願いしたい。

  それでは,資料の内容を説明いただきたい。

 

保健福祉局(堀岡福祉部長)

  ――(資料2「基本計画検討資料「子育て支援」」に基づき説明)――

 

梶田委員

  「こどもみらい館」の利用者数に対して相談の割合が425件というのは少ないように思うが,利用者は何をしに来られているのか。カウンセラーは足りているのか。

 

教育委員会(矢作教育長)

  ホールや図書館の利用が多い。相談については,カウンセラーを窓口に健康相談や子育て相談,家庭のあり方相談などの分類をして応じている。予約制で一つ一つ十分な時間をとって相談に応じており,それを考えるとこの数字は少なくはない。今のところカウンセラーの数も足りている。

 

永田委員

  資料2の5ページにある「(2)イ(ア)虐待防止ネットワークモデル事業」は具体的にどういうことをやっているのか。

 

保健福祉局(堀岡福祉部長)

  現在は全市的実施に先駆けて西京区と南区でモデル的にやっていただいており,そういう意味で「モデル事業」という名称になっている。内容としては福祉事務所,児童相談所,保健所,地域の民生・児童委員の方々など関係の皆さんにお集まりいただき,虐待防止をテーマに情報交換していただいている。

 

永田委員

  児童虐待は表に現れないので早期発見が重要だと思うが,すばやくキャッチできる体制をつくろうとしていると考えていいのか。

 

保健福祉局(竹中児童福祉センター院長)

  虐待防止ネットワーク事業は西京区で最初に実施され,昨年からは南区でも始めた。保健婦を中心に福祉事務所,児童相談所,地域の民生・児童委員,社会福祉協議会,医師会等も含めいろいろな人に呼びかけ,討議を進めてきた。虐待児童の60~70%は低年齢児童であり,ここでは家庭に入る保健婦を中心に事例報告等をしていただき,関係機関の連携を深めることで虐待の防止に努めている。今まで水面下に隠されていた部分だが,子どもたちから見て有害かどうかという視点に立って市民に通報を呼びかけ,虐待防止のための早期発見につなげたい。

 

シュペネマン副部会長

  京都市全体の保育園,幼稚園の数と通園児童数,また,そのうち市立と私立の割合はどうなっているのか。

 

保健福祉局(堀岡福祉部長)

  現在保育所は市内に251箇所あり,そのうち民間219園,公立32園という構成になっており,入所児童は約2万2千人である。

  公営と民営の割合については,保育所数では公営12.7%,民営82.3%,定員数では公営10.7%,民営89.3%で,およそ1対9の割合である。全国平均は公営57.7%,民営42.3%であり,京都市の場合は民間の比率が高い。

 

教育委員会(門川教育次長)

  京都市立幼稚園は17園で児童数は約千3百人,私立幼稚園は休園分を除くと104園で児童数は約1万7千人である。

 

福田委員

  資料2の4ページにある「(1)エ(ア)地域子育て支援ステーション」は幼稚園も対象となっているのか。

 

保健福祉局(堀岡福祉部長)

  今年度から幼稚園の指定も含めて検討中である。

 

福田委員

  幼稚園が指定を受けたい場合,同じ地域ですでに指定を受けた保育所があっても指定を受けられるのか。

 

保健福祉局(堀岡福祉部長)

  地域子育て支援ステーションは地域の核として小学校区単位での適正な配置を考えており,希望される園をすべて指定することはできない。

 

山本委員

  全体の議論の進め方について提案がある。いきなりディテールに入って個別の施設や制度について議論する前に,「基本構想の関連記述」にある「地域社会のもっていた住民の相互支援のしくみ」など,原点にもどって少し幅広いところから議論を始めたほうがいいのではないか。例えば地蔵盆に市が支援できるのかどうか,企業が子育てにどう参加できるかといったところから議論してはどうか。

 

北川龍市委員

  子どもの虐待防止ネットワーク事業にしても,実際は形式的な団体の役員が集まって意見を交換するだけで終わりということになりがちだ。特に京都市の場合,就学前の子どもの約90%を保育園が預かっており,現場の保母さんがいちばん子どもの状況を知っている。できれば指定を受けていない園や児童館や小学校なども含め,お母さんたちが気軽に子どもについて相談できる地域の窓口となるようなきめ細かな体制をつくってほしい。行政区ごとの取組だけでは実質的に進んでいないと感じるので,現場に携わる職員の意見も反映できるような組織体を充実していただきたい。

 

保健福祉局(井尻局長)

  身近なところで相談できるシステムが必要という北川委員のご指摘については,当面は小学校区につき1箇所,全体で約180箇所を目標としている。今後それをどの幼稚園や保育所,小学校でもというように広げていくというご指摘は大切だと思う。

 

福田委員

  10年ほど前にエンゼルプランの中で「駅前保育所」がクローズアップされたことがあるが,子育て支援というとどうしても就労している女性を中心に考えられているところがある。京都府の出生率は1.26だが,昨年子どもが幼稚園に行っている保護者2万人を対象にアンケート調査を行ったところ,女性1人当たりの子どもの数が2.3という数が出てきた。専業主婦に多くの子どもが育てられている事実を無視して,就労している女性のために24時間保育や早朝から夜遅くまで預かる保育所を増やしていくことが本当に望ましいのか。専業主婦として子どもを育て幼稚園に通わせている保護者に対する支援も考えないと,本当の子育て支援にはならない。

 

韓委員

  仕事をしながら子どもを幼稚園に通わせている母親の一人として,二重の苦しみを味わっている。福田委員のご指摘はたいへん重要で,周囲の母親たちと話していても,国や市の子育て支援のあり方は,働いている母親の子どもを預かることに焦点が当たっているように思う。働かないで子どもを育てている親はどのような支援を受ければいいのか。子どもの数に応じてお金を支給するというような支援のあり方で,本当に子育て支援になっているのか疑問だ。トータルするとたいへんな額になると思うが,それだけのお金を使うのであれば,もっと違う支援の仕方はできないのか。

  本日の資料を見ても,結局物質的支援にとどまっているように思う。組織づくりはきめ細かいところまで着々と進行しているが,本当に実践されるべき内容が求められている。子育て中の親はこんな子育てでいいのかという不安や苛立ちを感じている。幼稚園や保育所に任せておけば何とか育ってくれるだろうというように,親に子育ての明確な方針がない。最近の児童虐待や学級崩壊などの問題は,子育て支援が充分できていないことに起因している。育てた親に問題があるため子どもに悪い芽が出て,それを摘むために大量のお金をつぎ込まなければならないという悪循環が起こっている。親が子育ての明確な方針を持てるような援助が求められている。例えば,子育ての素晴らしさが親に分かるような講座を増やしたり,保健所の健診では身体だけでなく心の発達にも対応したりとか,子どもが幼稚園に行っている時間を利用して親が講座を受けられるような場を設けたり,そういった幼稚園等の取組に対して市が援助したりとか,子ども一人当たりいくらという援助でなく,そういう援助が大切ではないか。

 

西川委員

  新年度を迎えて,若い親の子育ての力が弱っていること,保育園が子育て支援センターとして地域で果たす役割がますます重要になっていることを実感している。地域子育て支援ステーションは,現在保育園や幼稚園を利用していない親に対する支援策であり,私の園も指定を受けているが,現在100件を超える登録がある。土曜の園庭開放の際にはわれわれ職員が母親同士をつないでいくパイプ役を果たし,そこで日々悩んでいることを話し合ったり,2歳児の健康診断を提供したりしている。ほかにも母親を対象にした講座や子育てサロン,出前講演の実施等,指定を受けた園では地道な努力を積み重ねている。これがどんどん増えていけば,地域の中で効力を発揮してくるのではないか。目に見えないかもしれないが,地域でそういう地道な努力がされていることを報告しておきたい。

  昨年の機構改革で設けられた子ども支援センター機能をもっと強化して,机上の活動でなく実働できる支援センターにできればいい。こどもみらい館は多くの方に利用されているが,2010年に向けて,駆け込み寺的な地域版のそうしたセンターが空き教室などを利用してできればいい。

  将来に向けた新しい基本計画づくりという点では,少子化対策の観点が必要だ。昨年国が少子化対策基本方針を策定したが,少子化対策には総合的取組が大事であり,その中の一つとして子育て支援があると理解している。今後の子どもの人口をどう想定するのかが示されれば,子育て支援の拠点としての保育園や幼稚園が具体的なあり方を模索していけるのではないか。

  最後に,今年度に入ってから児童虐待の報告を4例受けているが,京都市ではそういった現場での事例についてどの程度把握されているのか。

 

保健福祉局(堀岡福祉部長)

  児童虐待については平成10年度は57件,11年度は162件の相談が児童福祉センターに寄せられている。今年度は児童虐待の実態調査の実施を予定しており,一般市民や子ども自身が児童虐待をどう考えているか,関連機関の児童虐待に対する認識や意識を調査し,児童相談所での過去5年間の取組も合わせて京都市の現況を分析したい。

 

川阪委員

  子育て支援の大前提は,生まれた子どもを健やかに育てるということと,それに付随した少子化対策に尽きる。母親が子どもを育てることがいいのは分かっているが,他方で男女共同参画社会ということで,母親は子どもを育て,父親は会社で働くという家庭内役割分担ではなく,必要に応じて女性も社会に出て働くことが増えている。あくまでも子ども中心に考えなければならないが,親がのびのび仕事ができるような環境づくりも忘れてはならない。また,社会の変化や価値観の多様化にともないシングルマザーや夫婦別姓の事実婚,国際婚外子などが増え,いろいろな形で働いている女性が多くなり,子どもを預かってもらうことが必要になっている。

  具体的提案としては,育児介護休業法の中で子ども一人に対して何日休みを給付というような法改正を検討してほしい。石川県には子育て支援課があるが,京都市では地域相談課に相談しても結局要領を得ないのが実情で,そこへ行けば即相談にのってもらえるような場を設けてほしい。また,行政だけに押しつけず,市民自らが取り組む必要があるという意味で,ボランティア活動も大切だ。宝塚市には「女性ボート」という子育て支援グループがあり,児童相談員とともに児童虐待等の問題に取り組んでいるが,こうした他の自治体の事例に学ぶ姿勢が必要ではないか。

  京都市がいろいろな取組をされていることは分かるが,知らない事業も多く,あまりにも分散していて効果がないように思うので,事業のPRと整理をお願いしたい。育児休暇・介護休暇の見直しやサポートについては市としても法改正など国へ働きかけていただきたい。また,大企業ではいろんな取組が進んでいるが,対応が遅れている中小企業に対しては,行政から啓発活動をしていただきたい。

 

八田委員

  これらの取組を進めていけば,これだけ子育て支援をしているということで若い世帯が京都市に入ってくるし,既存の夫婦が子どもの数を増やすということになり,少子化対策になるのではないか。ただ,基本的に公立と私立の役割がどうあるべきか,補完的なものであるべきか,競合的なものであるべきかということを考えなければならない。大学の場合は私立と公立が競合関係にあるが,保育園や幼稚園の場合はどうなのか。補完的であるならば,民間のできないところを市が重点的にやり,民間と競合する部分は民間に任せ,補助金を出してはどうか。子育て支援総合センターなどは公立でしかできないものだと思うが,公立と私立の役割分担をはっきりさせ,特徴を出すほうが京都市の子育て支援策としてメリハリのきいたものになる。

 

保健福祉局(井尻局長)

  保育の原点は,保育に欠ける子どもを施設で預かり面倒をみるということであり,基本的に公立も私立も役割は同じと考える。京都市の場合,歴史的に保育所はお寺で始まり,子どもを預かり育てていこうという宗教家の熱意が強く,多くを民間にお任せして,公立保育所は民間の保育所ができない地域につくってきたという経緯がある。民間で進んでいるところもあれば,休日保育のように公立のほうが取組が進んでいるところもあり,内容的には公立と民間に基本的な違いはないと考える。

 

シュペネマン副部会長

  若い母親の子育ての力が弱くなり,それが社会的に大きな問題だというのは確かだが,市が若い母親や将来の母親を教育すべきだというのは危険な考え方だ。子育ては技術の問題ではなく,宗教や価値観と関係するので,それに関して行政は中立の立場をとるべきだ。行政には母親たちに子どもをこう育てるべきということを教えることもできないし,その資格もない。保護者には自分の価値観に基づき子どもを育て,保育園や幼稚園を選ぶ権利がある。行政には子育てに対する限界があるということを認識すべきだ。一方で,京都市の民間と公立の比率からすると,行政の民間に対する財政的支援が少ないように思う。宗教団体が保育園,幼稚園を経営している場合が多いが,そこに対する財政的支援をもう少し増やしてもいいのではないか。ドイツでは市が幼稚園の建物を建てて,使用権を教会に委ね,維持費や人件費を教会が負担して幼児教育を行っている。行政は中立の立場をとり,ハード面でのサービス提供を行うべきであり,すでにある民間や地域の施設をもっとサポートすべきではないか。

 

韓委員

  行政が子育てはこうあるべきだという価値観を押しつけてはならないというご意見はよく分かるが,先ほど私が申し上げたのは,子育てにはこういう素晴らしいところがあるということを親が知る機会を設けてほしいということである。

  相談する人は自分自身の答えが見つかるまでずっと相談し続ける。大多数の,特に相談したいことがない人たちに対して,子育ての素晴らしさや喜びが感じられるような支援の仕方をしてほしい。こどもみらい館は使い方次第ですばらしいものになると思う。今でも使用者が多く入り切れないくらいだが,それだけ需要が多く,アイデア次第で子育てを喜びに変えるようなものが生まれる素地がある。

 

梶田委員

  子育て支援をこれだけしなければならないという現状に驚いている。昔とは違い,それを必要とする親がいることは分かるが,こういう子育て支援の結果,その子どもが過保護に育って,20年後にさらに多くの支援を必要とするような親になると困る。社会や価値観が変わらない限りこのあり方は変わらない。高度経済成長期に育った人が親になり,子育てをしているところにさまざまな問題が生じているので,このままの社会が続けば子育て支援は増えることはあっても減ることはない。施設や制度などハード面での整備は必要だが,2025年を視野に入れるなら,子育て支援を今のような形でやらなくてすむ理想的な社会にできるかどうかまで含めてこの審議会で議論できればいい。

 

山本委員

  梶田委員のご意見にまったく同感で,次世紀を担う子どものあり方が心配だ。今はバーチャルな世界がパワーを持ち過ぎ,人と人が肌で触れ合うような身体的,情感的なフィールドがどんどん減っている。核家族化が進み,世代を越えて子どもが祖父母と一緒に生活する家族が失われ,それに代わるものとしてバーチャル空間や保育園や幼稚園などを一生懸命つくっているように思う。その結果さらに少子化が進むという状況の中で,われわれは一体どうすればいいのか。京都に即して考えると,ほとんどの大都市で失われてしまった地蔵盆のような世代を越えた地域の結束がかろうじて残っており,それは原始的形態かもしれないが,人が人として育っていくフィールドとして非常に貴重なものであり,そのあたりをもっと大事にすべきだ。行政はすでにあるものに刺激を与えて引き出してくるような,資金面での援助やしくみを考える必要がある。それは安らぎや華やぎといった基本構想のベースと矛盾しないと思う。新たな子育て,人を人として育てていくための,血の通った京都らしいコミュニティを検討してはどうか。そのための核は寺や保育所のほかにもあるかもしれない。

 

水谷委員

  最初は京都市はよくこれだけのことをやっている,これ以上やることがあるのかという感想を持ったが,皆さんのご意見を聞いているとこれでも不十分でまだやらなければならないことがあるということも理解できた。

  祖父母がいて父母がいて子どもがいるという昔ながらの家庭が最高の保育園であり,モデルだと思う。25年先を考えた場合,そうした日本の家庭を基本に教育・人づくりのモデルを考えていくべきだ。

  もう一つは地域社会ということで,以前は地域には青年団があって先輩がいろんなことを教えてくれた。ボランティアというご意見があったが,大学生や高校生が子育て支援にかかわるような組織づくりが地域でできないか。また,老人も自分たちの生活を楽しむだけでなく,老人クラブが地域社会の子育て支援に関与する組織づくりはできないか。 

 

梶田委員

  保育所にはぜひ老人ホームを併設してほしい。核家族化が進む中で,子どもがお年寄りと出会って交流する場をつくっていくことが大事だと思う。

 

佐々木委員

  ここに来る途中地下鉄で,孫を連れた老婦人が席を譲られたとき孫に座らせるのを見た。また,若い男女グループが座席を占拠して大声でしゃべっているのを見た。政策の検討項目に「子どもがのびのびと健やかに成長できる」とあるが,「のびのびと」というのが子どもに対する本当の愛情なのか。行政が親に対して「子育てはこうあるべきだ」と言うことはできないというご意見があったが,「のびのびと」だけで終わるのでなく,子どもを育てる本当の愛情が何かを行政も家庭も考えたうえで,のびのびとさせるべきところはさせ,しかるべきところは厳しくするということが必要な時期なのではないか。

  父親が子どもの子育てに関与している家庭とそうでない家庭では違いがある。人生にはいろいろな出会いがあり,いくらでも補完され得ると思うが,最近の母子癒着に起因するいろいろな事件を見ていると,父親が子育てから離れており,家庭で父権が確立されない状況をカバーするものとして,今は女性が多い保育に携わる職場に男性を増やせないかと思う。時代の変わり目において,これまでの反省と未来への夢を託す意味で子どもを今後どう育てていくべきかを考えたうえで,いろいろな事業のディテールの議論があってしかるべきではないかと思う。

 

(3) その他

金井部会長

  本日いただいたご意見については調整委員会に報告したい。素案づくりの段階で再度議論する機会があるので,本日の議論はこれで終わらせていただきたい。

  今後予定としては,5月に「学校教育」,6月に「生涯学習,大学」をテーマに部会の開催を予定している。日程については事務局で調整の後,改めて連絡したい。

  それでは,本日はこれで閉会としたい。

 

 

3 閉 会

 

 

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