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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第7回 教育・人づくり部会

ページ番号35859

2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第7回 教育・人づくり部会

日 時 : 平成11年9月2日(木) 午後3時~5時

 

場 所 : 都ホテル「愛宕の間」

 

議 事 :

(1) 京都市基本構想(第2次案)について     

(2) 次期基本計画策定に向けた論点整理について     

(3) その他

 

出席者 :

◎金井 秀子(京都教育大学名誉教授,京都文教短期大学児童教育学科教授) 

佐々 満郎(京都府私立中・高等学校長会事務局長)

○シュペネマン・クラウス(同志社大学文学部教授) 

庄村 正男(京都市PTA連絡協議会前会長) 

永田  萠(イラストレーター) 

西川 國代(京都市保育園連盟副理事長) 

韓  銀順(京都市生涯学習総合センター講師) 

福田 義明(京都市私立幼稚園協会副会長) 

山本 壮太(NHK京都放送局長)                               

 

以上9名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長     

 

 

1 開会

金井部会長

  第7回「教育・人づくり」部会を開催させていただく。

  高月委員に替わって審議会委員に就任された山本委員が本日ご出席なので,自己紹介をお願いしたい。

 

山本委員

  学生時代は京都で過ごし,30年ぶりでもどってきた。NHKでは20年間ドラマのディレクターとプロデューサーをしてきたが,その後衛星放送に移り,衛星第1,第2,ハイビジョンの番組の全体を見てきた。あまり教育の分野に専門的知識はないが,テレビも人づくりにとってたいへん重要であり,できるかぎり発言させていただきたいと思う。

 

 

2 議事

(1) 京都市基本構想(第2次案)について

金井部会長

  本日の議題は2件ある。1件目は「京都市基本構想(第2次案)」で,各部会での議論の内容及びパブリックコメントの内容等を踏まえ,起草委員会で取りまとめたものである。2件目は,「次期基本計画策定に向けた論点整理」で,これまでのテーマ別討論で出た意見のポイントを資料5に整理しているので,その内容についてご議論いただきたい。

  第2次案については事前に送付した資料にあらかじめ目を通していただいていると思うが,最初に前回の起草委員会に私の代理でご出席いただいたシュペネマン副部会長からこの内容について説明いただき,その後委員の皆様からご意見をいただきたい。

 

シュペネマン副部会長

  それでは,簡単に第2次案を紹介したい。

  資料2をご覧いただくと,第2次案作成にあたっての基本的考え方には,3本の柱がある。各部会での意見やパブリックコメントをもとに加筆・修正するとともに,分量を抑えたこと,主語を「わたしたち京都市民」として市政の基本方針のみならず市民のまちづくりの指針として位置付けたこと,できるだけ平易な言葉で書くよう努めたことである。また,流れも内容も分かりやすくなっている。

  資料1の目次をご覧いただきたい。まず,第1章ではタイトルが「京都市民の生き方」に変更されている。第2章は構成が大幅に変更されており,身近なテーマである「くらし」に始まり,産業・文化という都市機能,最後に「市民の活動を支えるまち」ということで市民にもどる構成になっている。第2次案では「信頼」ということが中心概念となっている。なお,第2章の構成変更については,資料2の別添資料を参考にしていただきたい。第3章では市民と行政の信頼を基本に,市民の市政参加やそのためのしくみと形について書かれている。以上が全体の構成である。

  前文ではこの構想が21世紀の最初の四半世紀における京都のグランドビジョンであることを宣言し,平和の概念として世界文化自由都市宣言の一文を挿入している。また,最後の段落で行政の責任を明記しており,起草委員長によればこの一文があることで「市民」を主語にして信頼関係や市民参加を語ることが可能になるということだ。

  第1章については,第1節では「持続可能な社会」という表現が付け加えられ,第3段落で「信頼」についての問題提起がされている。第2節には大きな変更はない。第3節では「得意わざ」という言葉に議論があり,タイトルを「得意とするところ」,本文では「特性」と変更されている。また,最終段落は京都の問題点を踏まえたうえで,こうした特性を生かしていくべきという考え方により書き加えられた。第4節は「新しい次元を切り開く」というだけでは分かりにくいとの意見を踏まえ,タイトルが変わっている。このまちに実現したいのは「信頼」であるとして,ここで再度中心的概念が提示されている。

  第2章については,第1節では各項で「わたしたち京都市民はこのようなまちをめざす」としたうえで,それはどのようなまちで,その実現のために何をしていくか,最後に「わたしたち京都市民はこのようなまちをつくっていく」として締めくくる構成になっている。具体的には外国籍市民,人権,男女共同参画,防災対策の充実などの記述が強化されている。

  第2節は「産業経済や文化がこのような形で展開されているまち」という構成になっている。(1)では企業が相互に信頼して支え合う「産業連関都市」の形成を打ち出し,環境や福祉の分野での新しい産業の展開や観光都市づくりについても書かれている。最後の段落は,世界の人々が集まりそこを舞台に能力を発揮できる場所にしていくということで結ばれている。(2)では市民文化の成熟を中心に,美術・音楽や教育についての記述や,「しまつの文化」「公共心」などが付け加えられている。また,「品格のある華やぎ」ということも書かれている。

  第3節は,第1次案では基盤整備の記述が産業振興の項に入っていたが,市民のくらしと産業経済の両方を支えるものという位置付けが明らかにされている。情報関係もここで触れられており,「保全・再生・創造」のまちづくりについては南部についての記述が強化されている。

  第3章については,第1次案が市民参加を脅迫的に強制し,行政が市民をあやつる文章が多いという批判を踏まえ,前文では「市民と行政がそれぞれの役割を果たしながら,相互に協力しあってひとつひとつの課題の解決に向けて努力すること」や「外国籍のひとを含め」「市民が主体的に市政に参加する」といったことが強調されている。第1節では分かりにくいというご批判のあった文章の表現をいくつか改めている。第2節では,議会制民主主義についての記述を変更し,NPOを都市の一員と位置付けた。最後の段落では市民と行政が協力し合う仕組みについて具体的に記述し,「多様な参加の手法が編み出されなければならない」と結んでいる。第3節は,タイトルを信頼に基づく市民と行政の協力を前提とした「市民と行政との厚い信頼関係の構築」と変更し,構想の最後は呼びかける形で締めくくり,ここで再度基本的考え方を提示する形で終わっている。

 

金井部会長

  資料3としてパブリックコメントを事務局で整理した資料をお配りしている。第2次案はパブリックコメントでいただいた意見も取り入れてつくられており,本日の議論の際に参考にしていただきたい。

  資料4の今後のスケジュールをご覧いただきたい。第2次案については本日までに各部会で一斉に議論されている。各部会から出された意見を踏まえて起草委員会で第3次案を作成し,10月1日の審議会総会に諮りたいというのが起草委員会の意向である。今回が基本構想についてこの部会でご議論いただく最後の機会となるので,もれなくご意見をお出しいただきたい。なお,起草委員会で議論が必要と判断したご意見については部会長である私にご一任いただきたい。

 

庄村委員

  前回と読み比べて,まちづくりや人づくりということで,21世紀を担う子供たちや教育について多く書かれていて,非常に良くなったと思う。

 

山本委員

  過去の経緯は分からないが,第1次案と比べ読みやすくなっている点は評価したい。もう少しストーリー展開をこうすれば分かりやすくなるのではないかという意見を申し上げたい。

  第2次案のいちばんのポイントは「信頼」という概念で全体が集約されていることだが,信頼とは結果であって,運動を展開するときのキーワードになり得るのか疑問だ。あくまでも信頼はあるプロセスや動きの結果出てくるものであり,構想のテーマや最終的な結論は信頼でいいと思うが,運動論として展開するときのキーワードにはなりにくいのではないか。

  この構想の中に「市民」という言葉が何度も出てくる。京都というまちが伝統の中で築き上げてきた日本の中でも珍しい自尊心,独立した個は,京都市民の素晴らしいところだと思う。それについては歴史的経緯も含めて縷縷(るる)書かれているが,この基本構想を崩さないで,信頼と結びつけるサブテーマとして「ありうべき市民」,「素晴らしい市民であったしこれからもそうであり続けよう」ということが全体を通してあって,最後の信頼に結びついていくようにしてはどうか。すべて書かれていることであり,整理の仕方だと思う。サブテーマとして市民をもう一度見つめ直して,文章全体を構成し直せばより分かりやすくなる。最後のプレゼンテーションの仕方も,「問うことからはじめよう」というよりもっと前向きの力強いものにする必要があるのではないか。

  具体的には,最初にうたっているようにこれからの25年を視野に入れて書かれているわけで,25年というのは一世代ということであり,人づくり,人をつくっていく教育,やはり人がいちばん大事なのだということを,タイトルとしてどこかに生かして1つの柱にならないかと思う。それが市民につなげるためにも必要ではないか。第1次案では第2章第3節が「市民文化の成熟」となっていたが,これなどは「人をつくる」というニュアンスに近い。第2次案の第2章第2節(2)は「華やぐまち」となっているが,この中に人づくりについての内容が集約して書かれているように思う。「華やぐまち」というタイトルは少し抽象的で漠然としている。思い切って人をつくること,教育こそが市民をつくるキーであり,それが人と人の信頼であるということも含めて,タイトルを再考していただき,内容的には市民に誇りを持った京都市であり,そのための人,そのための教育を生涯教育も含め維持していく,より市民意識が大事だというニュアンスで整理してはどうか。

 

韓委員

  非常に文章も内容もすばらしいと思う。この部会のテーマである教育・人づくりの内容も充実している。

  第2章第1節(1)の部分は,まとまりはいいが,抜けているところがある。例えば,第1次案では「わたしたち京都市民は」という言葉がなく,「子どもも高齢者も…」で始まっていた。これからは国際化の時代であり,国際化を視野に入れてほしいという意見を踏まえて,第2次案で「外国籍市民」という言葉が挿入されているが,「わたしたち京都市民」という言葉があるのにさらに「外国籍市民」と入れると少しくどい。どうしても入れたいのであれば,外国から訪れる人々を対象とした「外国人」でいいのではないか。「外国籍市民」は国際化推進大綱でも京都市民として位置付けられており,ここにあえて「外国籍市民」という言葉を入れる必要はない。

  そういう理念を書きたいのであれば,「性別・年齢を問わずだれもが等しく就労の機会をもつ豊かなまちである」のところに,「性別・年齢・国籍」と入れたほうが分かりやすく,まとまりがいいように思う。すばらしい京都を目指すという志は分かるが,就労のチャンスに恵まれない人がたくさんいるということがここでは書かれていない。この問題については今までも議論されているが,制度的な問題以前に,人間の基本的生き方にかかわる問題だと思う。能力と資質があっても希望する職業への夢を持つことができないというのはきわめて理不尽だ。21世紀の四半世紀を描く構想で,このような人権に基づいた理念を表明することが大事ではないか。

 

西川委員

  第1次案に比べて第2次案はスリム化されて分かりやすくなり,またぬくもりがある感じがする。

  第2章第1節(2)では学童と高齢者の姿が具体的に書かれているが,乳幼児の姿が書かれていない。第3段落で「子供を安心して産める環境づくり…」と書かれているが,この部分を「子供を安心して産み,育てられる環境づくり」としてはどうか。「産み,育てられる」ことが大事だ。

 

永田委員

  第2次案はよくなったと思うが,文章としてつぎはぎで完成度が低いことが気になる。書かれている理念は素晴らしいが,それを伝える手段としての文章や言葉は洗練されたものでなければならない。一人の文章家がまとめたという印象になるようにしてほしい。気になる表現がいくつかあるが,言葉は生き物であり,25年先を想定してつくられるものの中で今の流行語の域を出ていないと思われる表現や,情緒的表現は避けるべきだ。

  具体的には,全体を通して「目指していきたい」ということが書かれている部分は格調も高いが,「わたしたち京都市民は」という現状を語る部分になると自己満足で情緒過多な表現が目立つ。非常に魅力的な節ではあるが,第2章第2節のまちの魅力や京都市民を語る部分にそれを感じる。感覚の相違であれば気にしていただかなくてもいいが,このように感じる者もいるということだ。

  例えば,第2章第2節(1)に「京都ブランド」という耳障りのいい言葉があるが,「京都」と「ブランド」を一緒にした言葉が私たちが漠然と共通意識として持っているのと同じイメージを25年後に伝えることができるのか。片仮名と漢字を組み合わせた言葉については,もっと慎重であってもいいのではないか。

  (2)の第2段落「成熟した市民社会とは」の文章はすばらしいと思うが,「奥行きのある宗教文化」とはどういうことかが分からない。また,「粋を極めた美術,音楽などの芸術文化」は,美術と音楽のみで芸術文化とひとくくりにすることも乱暴だし,「粋を極めた」という表現は伝統工芸などにはふさわしいが,音楽や絵画や彫刻には適当ではない。感覚的なものに流れがちなところで表現に注意を払っていただきたい。目にも耳にも快いが内容のないうわべだけの表現は,こういった趣旨の文章の中ではできるだけ排除すべきだ。

 

山本委員

  第2章第3節は全面的に書き替えられているが,この基本構想に続いて基本計画ができるわけで,基本構想とは理念的なもの,根幹になる精神的なものだと思う。この節の中段以降で京都を3つのエリアに分けて,「保全・再生・創造」という概念が打ち出されているが,ここだけ急に計画で議論すべきようなことが書かれている。このくくり方そのものにも無理があるように感じるが,このあたりは基本計画で書き込まれ議論されるべき内容ではないか。ここだけ具体的で,異質な感じがする。

 

佐々委員

  今山本委員のご指摘になった部分は,私も気になる。北のほうに住んでいるが,北部の住宅地は自然・歴史的環境保全地域ということで,いいところなのだなという受け止め方をしてしまう。地域で清掃工場が問題になったとき,伏見区には3つの清掃工場があるのに,左京区に清掃工場を建ててもらっては困るという理屈が通用するのかという議論をしたことがある。我々は環境のいいところに住んでいるのにそんなものができては困るというように,自分さえよければいいという考え方を持つ人がいる。北のほうには街路樹が多いが南区には少ない。人が住んでいる以上,南区や下京区にも当然大きな公園や快適な住環境がなければならない。確かに京都は南西に進まなければまちは発展しないが,南部に計画されていたサイエンスタウンの構想も進んでいない。こういう地域のイメージを打ち出してしまっていいのか。パリでも旧市街と新市街ははっきり役割分担されており,そういうことはしていかなければならないが,人が住んでいる以上快適な住環境がなければならないのではないか。そういうまちでないと信頼というキーワードが生きてこない。

  第1章第1節の第2段落で,「とりわけ高度消費社会がもたらした大量の廃棄物の発生や環境破壊の実態は深刻であり」とくれば,次は「…である」と続くかと思って読んでいると,間に「細心の注意を持って…見失うことで」が入っていて読みづらい。「とりわけ…深刻であり,人類は結果として…立ちいたっている」として,理由は他の部分に持っていくことはできないのか。また,第2節で小学校の設置,市電の敷設,琵琶湖疏水という順になっているが,これでいいのか。琵琶湖疏水で電力を供給することで市電が走ったのだと今まで学校で教えてきたので,気になった。

 

シュペネマン副部会長

  「信頼」という言葉を導入したことで文章がまとまってきたが,信頼とは何か。起草委員会では英語でどう訳すかとか,信用との違いは何かとかいろいろ議論があったが,信頼には例えば真実性とか,互いに利用しないとか,互いの弱い点と強い点を認めるとか,条件が必要だ。どこかで信頼とは何かを説明しないと,信頼という言葉に説得力がない。辞書の引用をするということではなく,基本的に市民同士のつきあいや行政と市民の関係など,非常に政治的背景があり,それを説明しないと信頼が単なるアピールやスローガンで終わってしまう恐れがある。

 

金井部会長

  ほかにご意見がなければ,次の議題に移りたい。

 

(2) 次期基本計画策定に向けた論点整理について

金井部会長

  続いて次期基本計画策定に向けての論点整理についてご議論いただきたい。お手元の資料5は各部会のテーマ別議論の中で,具体的施策にかかわる意見について事務局で取りまとめたものであり,テーマ別討論で言い切れなかったご意見,新たに付け加えるべきご意見,書きもれているご意見についてご議論いただきたい。本日の議論をもとに計画論点整理メモの加筆・修正を行い,10月1日開催の審議会総会に資料として提出することになる。

  それではご意見をいただきたい。まず,「学校教育」についてお気づきの点があればご発言いただきたい。

 

佐々委員

  「基本認識」の「(5)主要施策・プロジェクト」のところに「私立高校に対する行政の支援」とあるが,学校教育の中で私立中学・高等学校にかかわる内容はここだけだ。「(1)あるべき教育内容」の「(1)現状の評価,問題点」のところに「京都の市立高校は…非常に頑張っている」とあるが,私立高校にも特徴ある学校があり,それぞれの子供の能力や特技を生かすべくいろいろなメニューやコースを設けて努力している。私立高校でも特色ある教育を進めていることをぜひ盛り込んでほしい。

 

山本委員

  京都に来てまだ3ヵ月だが,地蔵盆で町内ごとにお地蔵さんがあって子供が集まっているのを見て素晴らしいと思った。基本構想に書かれている京都市民のバックグラウンドには,今も年中行事や催事をきちんと生活に根ざした形で受け継いでいる地域がある。それは子供にとってもたいへん大事なことであり,そういうものがなくならないようにしたい。社会運動論であって教育論ではないのかもしれないが,とても素晴らしいと思うので,どこかに盛り込んでほしい。

 

韓委員

  日本では夏休みになぜあんなにたくさんの宿題を出すのか。長い休みに時間をかけてしかできないことがほかにあるはずで,夏休みの間ぐらい本人が好きなことに熱中できる時間を子供たちに与えたほうがいいのではないか。宿題をたくさん出した先生が教育熱心で優秀な先生のように思われているが,そういう先生に限って苦労してやった宿題に丁寧に目を通していなかったりする。そんなことで本当に子供の教育のためにいいのかと思う。宿題があるばかりに家族旅行にも行けず,子供が家で留守番をしている家庭もある。遊びが自分の糧になるのであれば,夢中で遊べばいい。休みのときくらいは子供をのびのびさせてほしい。私の子供はまだ小さいが,親も子供の宿題を手伝うのがたいへんだと聞くと,今から心配になる。

  「国際人」ということがよく言われる。「個性を育てる」という言葉はキーワードとしてはいいが,一般には個性はマイナスのイメージで使われており,そのずれをどう縮めていくのか。個性は本当に大切なものだが,これほど個性を主張できない社会もないと思う。個性イコール国際人ではないが,自分自身のきちんとした個性を持っていないと,外から来たいろんな考え方を持つ多様な人々とつきあう中で,国際人として自分らしさを出せない。日本の子供は,音楽や物語にしても欧米のものはよく知っているが,アジアのものを意外と知らない。学校教育の内容に欧米の文化だけでなくアジアの文化もバランスよく取り入れるようにすれば,アジアに根付いた真の国際人が育つのではないか。

 

金井部会長

  次に,「子育て支援」についてのご意見をいただきたい。

 

西川委員

  今まで発言した内容が盛り込まれており,特に追加することはない。ただ,お寺の開放について第4回の部会で発言させていただいたが,先ほど山本委員からご意見のあった今年の地蔵盆の際も,地域でお寺の開放がされていなかったことを残念に思う。京都の特徴という意味でもお寺の開放をお願いしたい。

 

庄村委員  地域の子育ての場ということでは,お寺だけに限定しないで,「宗教施設」や「境内」という言葉を使って,多くの施設を利用できるようにしたほうがいい。

 

西川委員

  「(2)関連施設の整備」の「(4)21世紀の施策の方向」で「北区,左京区,西京区,右京区に重点的に施設を配置する」とあるが,これはどういうことか。

 

事務局(前葉政策企画室長)

  このときの委員のご発言の趣旨は,子育てをしていく際に地域の魅力を高めていく例として,こういうところに重点的に子育て支援施設をつくり,市内で子育てをしようとする人が住居を選ぶときはこれらの区を選んで住んでもらうようにしてはどうかということで,「きわめて極論を申し上げるが」という前置きのうえでのご発言だった。まとめ方として特定の区名をあげる必要があるかどうかについては事務局で再考したい。

 

シュペネマン副部会長

  「学校教育」に入るか「子育て支援」に入るか分からないが,もう少し京都の企業が開放していただき,小学校の高学年や中学生,高校生が企業を見学できる機会をつくってはどうか。今は家庭に父親が不在で,子供は父親がどういう仕事をしているかを知らない。社会生活の準備のため,社会で働くとはどういうことかを体験する機会があればいいと思う。具体的にどう実現するかは難しいが,将来を考えるうえでの1つのポイントではないか。

 

佐々委員

  下京区の梅逕中学では,中学2年生を対象に進路指導の一環として,校区内の企業での就労体験学習を行っているが,その成果を踏まえて他の中学校でも取り入れるところが出てきた。私立高校ではコースによっては社会施設での実習を行っている学校もある。企業が開放されれば,子供たちが自分の進路を選択するときの参考になり,学校での学習にも目的を持って取り組めるようになるのではないか。

 

金井部会長

  今のご意見は「学校教育」のテーマに盛り込むべき課題だと思う。現場で働く大人の姿を子供に見せることは,アイデンティティの確立にも大きな役割を果たすのではないか。

  それでは,続いて「生涯学習」についてご意見を賜りたい。生涯学習は近年いろんなところで活発に行われており,21世紀に向けてさらに拡充されていくことになると思う。

 

山本委員

  NHKには教育テレビがあり,歴史的には学校放送としてカリキュラムに沿った放送をしてきたが,近年のビデオの普及や教育形態の変化にともないカリキュラムでの利用頻度が低くなったため,ここ3年来このチャンネルをどう生涯学習に役立てるものにするかに取り組んできた。この1月がちょうど教育テレビの40周年だったこともあり,特に昨年あたりからは「生涯学習テレビ」というコンセプトのもとに,かなり高度な大人の教養教育に耐えられるものにすべくドラスティックに番組内容が改編されている。「開かれた放送」ということで,ぜひそういった番組も利用していただきたい。

 

佐々委員

  ここにも挙がっているが,京都市の進めている「学校コミュニティプラザ事業」は,地域の人々の主体的活動により学習が行われ,子供たちが大人と一緒にいろんな事業を進めていくという,非常に素晴らしい事業だ。京都市には公民館はないが,その代わりに学校の空き教室を生かして,こういった事業が全市的に行われるようになると素晴らしいと思う。

  もう1点は,キーワードに「開かれた大学」とあるが,リタイアした後大学に行きたいと思っても,外国語の試験などがあって難しいので,せめて聴講生として受講できればいいと思う。

  我々くらいの年齢になると朝早く目が覚めるが,NHKの深夜のラジオ番組はたいへん充実していると思う。また,何といってもテレビの影響は大きく,地域の生涯学習の場でもテレビの番組はたいへん有効に活用されているが,BSの番組なども地域でもっと活用できるようになればいい。海外の都市や人々のくらしの様子を知ることができる番組を地域の生涯学習の教材に活用していただきたい。

 

金井部会長

  最後に,「大学・学術研究機関」についてご意見をいただきたい。

 

シュペネマン副部会長

  京都は全体に留学生が少ないが,東南アジアだけでなく欧米から見ても日本の物価は高く,生活しにくい場所になっている。学生寮に入ることができればいいが,留学生はとても学生マンションに入ることができない。ドイツでは留学生を受け入れる家に1万円程度の補助金を出しているところがある。一人暮らしの老人や子供が独立した後の夫婦などの世帯も多く,部屋は空いているのに下宿として部屋を提供する家が少なくなっていたが,市が市民にアピールするために補助金を出したことでかなり効果があったと聞いている。向島にあるような寮を建てることには相当のお金がかかるが,その手前の段階でいろいろな方法があると思う。ドイツでは大学法にも,「大学は留学生を受け入れる義務がある」と書かれている。ドイツの大学では学生の10%,大きな大学になると20%の留学生を受け入れている。制度や経済,物価の問題もあるが,市もそういう面で協力できないか。

 

金井部会長

  ほかにご意見がなければ,論点整理についての議論はこれで終わりたい。後で何か気がついたことがあれば,9月3日までに事務局にご意見をメモでお寄せいただきたい。

 

(3) その他

金井部会長

  最後になるが,来年1月に発行される予定の京都市発行の『都市研究・京都』で基本構想の特集が組まれる予定になっており,そこに掲載する原稿について,当審議会の委員に執筆をお願いしたいということだ。詳細については事務局から説明いただく。

 

事務局(葛西政策企画室担当部長)

  ――(資料6「「都市研究・京都」第12号の原稿募集について」について説明)――

 

金井部会長

  今後の予定だが,10月1日開催予定の審議会総会で了承が得られれば,基本構想案の答申を行うことになり,その後市会に提案されることになる。次期基本計画については,本日の議論に基づき整理し直したテーマ別の計画論点整理メモを踏まえ,調整委員会で計画の枠組みづくり等を行うため,その間部会は休会となる。部会の再開は来年になる予定である。

  それでは本日はこれで閉会としたい。

 

 

3 閉 会

 

 

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