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多文化共生部会第3回会議議事録

ページ番号25287

2008年2月7日

 

1 日 時  平成19年10月5日(金曜日) 午前10時~午後12時

2 場 所 「京都市国際交流会館」3階 研修室

3 出席者

   座 長  仲尾 宏(京都造形芸術大学客員教授)

   委 員  安藤 いづみ(京都YWCA・APT運営委員)

         ウラディーミル・ミグダリスキー(市民公募委員)

         周 瑋生(立命館孔子学院学院長・立命館大学政策科学部教授)

           髙木 壽一(財団法人京都市国際交流協会専務理事)

           高田 光治(財団法人京都ユースホステル協会ユースホステル部長)

          鄭 禧淳(特定非営利活動法人京都コリアン生活センターエルファ理事長)

          浜田 麻里(京都教育大学国文学科准教授)

   顧 問    中村 順一(財団法人国立京都国際会館館長)

オブザーバー 伊佐 久次(財団法人京都市国際交流協会事務局長)

          井上 八三郎(財団法人京都市国際交流協会事業課長)

   事務局    京都市総務局国際化推進室

 

4 議 事(○委員・顧問,●事務局)

(1) 開会

 

(2) 「京都市外国籍市民意識・実態調査」速報版について(報告)

~事務局から,「京都市外国籍市民意識・実態調査」速報版のポイントを説明~

 

○  回収率が26.5%ということで,回答することに色々な抵抗を感じた方もおられたのではないかと想像されます。アンケートを郵送した方と回答された方で,この国の人は回答数が少ないとか,そういったずれはなかったのでしょうか。

●  現時点でそこまでの分析はできておりません。母数と回答者の比較は,最終的な報告に向けて進めていく必要があると思っております。

○  非常に膨大な質問ですから,答えるにしても相当な時間がかかると思います。そういうことを考えると26.5%という数字はそんなに低い数字ではないと思います。

○  全部で900ぐらいの回答数というのは,アンケートとしてはかなり有効だと思います。このようなデータは外国人の状況を分析するのに非常に貴重だと思います。京都市だけではなくて,研究機関,国の政策にもかなりの示唆を与える可能性があると思うので,データの活かし方についても京都市を超えて考えてもらいたいと思います。

  ニューカマーとオールドカマーについて,かなり時代の変化も見られると思います。京都市にいらっしゃる韓国・朝鮮の方々の構造は,おそらくかなり日本人社会と一致しています。年齢構造も,他の差異もだんだん小さくなっていると思います。逆にニューカマーは中国が大部分を占めていますが,年齢構造も京都の方々の年齢構造と違います。このあたりの状況の把握もひとつのポイントになると思います。

  今回のアンケートは外国人を対象としていますが,一部の現象には両面の原因があると思います。たとえば,アルバイトの雇用の際に中国人はダメだと言われたりとか,バスに乗るときに注意されたりとか,差別を受けるのは,外国人だからというよりも,おそらく原因は外国人自身にもあると思います。留学生自身が日本の慣習を尊重し見習うということが必要だと思います。日本人が差別意識があるというよりも,外国人が注意して行動することが大事だと思います。

  アンケートを見ると,町内会の活動に参加する比率は非常に低いです。私は伏見区で町内会会長をしたことがありますが,住民とのつきあいは非常に頻繁で引越ししても仲良くしています。そういう面が特にニューカマーのみなさんに不足していると思うので,もう少し積極的に地域住民と交流できればお互いに相互理解できると思います。

○  中国から帰国した日本国籍の家族に,不就学者がかなりいると聞いています。それは日本国籍ですので学校基本調査では把握できないのですが,たとえば中国から帰国した日本国籍の方で家族ともども中国語しかできない方が多いと思いますので,南区,醍醐支所,伏見区あたりの不就学者がどのくらいいるのか,他の地域と少し違うのであれば,そういう方々の不就学者が含まれていると思います。この委員会でも「外国につながる人」ということで対象にしているわけですし,そういうデータを事務局からいただければ,不就学問題の解決に向かってもう少し効率が上がるし,もっと深刻な問題であるということも浮かびあがるのではないかと思います。

○  今の残留孤児の話ですが,京都の数はわかりませんが,大阪にはかなりの数いらっしゃいます。彼らは中国で受けた教育も低く,生活水準も低く,おそらく外国人の中で一番弱い層だと思います。

○  せっかくの979票もの有効回答の分析ですので,有効活用していただきたいと思います。オールドカマーとニューカマーの構成で分析するのは,とてもわかりやすくてよいと思います。オールドカマーは戦前から植民地支配など歴史的背景があって日本に来ている,コリアンが大多数だと思います。2世,3世,4世と分けて別にデータを出すと,またちがった結果がわかってよいと思います。ニューカマーもヨーロッパ,アジアなど,地域別に括ったデータを比較してみるのもよいのではないかと思いました。

○  オールドカマーとニューカマーとをわけた設問がありますが,わける必要はなかったのではないかと思います。むしろ結果から見て,やはりオールドカマーにはこういう結果が多い,などと判断するべきではないでしょうか。オールドカマー用の質問を見ていてもニューカマーでも考えられるのではないか,反対にニューカマー用の質問を見ていてもオールドカマーでも回答するべきではないか,と思う質問があるように思います。

  さきほどの中国帰国者の件ですが,日本に帰国した時に,ボランティアの人達や手続きをしてくださる人達が,好意で,日本語名を名乗った方がいいということを勧めて,日本語名を使用している子ども達が私達のまわりにもいます。本名を名乗るかどうかという設問に,新しく来た残留孤児の家族も対象となってもいいのではないかと思います。中学・高校に行っている子ども達であれば,中国籍を持っていたりしますし,そういうことも含めて,アンケートを分けずにしてもよかったのではないかと思いました。

○  私がショッキングだったのは,41ページ,「区役所を利用したときに困ったこと」,です。ニューカマーの方は「職員の対応が不親切だった」というのは5.9%で比較的少ない。これは外国語から来られた方は日本語が不自由だということで,英語なり中国語なりで親切に応対されているのだろうと思います。オールドカマーの場合は,逆に15.8%が不親切だということになっています。これは,オールドカマー,つまり在日コリアンの方が大多数だと思います。これは,職員の方が,なぜオールドカマーの,大体お年寄りと考えていいと思いますが,日本語が不十分なのか,読み書きができないのか,どうして来られて,どうして住んでおられるのか,という歴史をよく知らないまま日本人と同じように対応されているので,こういう不満が出ているのではないかと思います。そういう点で職員啓発のあり方,ニューカマーに対する対応はもちろんのこと,オールドカマーの歴史や言葉の問題,識字の問題についての啓発がまだ非常に不十分だと,改めて私なりに感じました。

○  先ほど言われたように,このアンケートは大変示唆に富む貴重な資料だと思います。さらに質問事項を改善し,日本国籍,日本人の帰国者に対象を広げられたら,さらに一般的な多文化共生の問題にひとつの大きなヒントを与えることになるのではないかと思いました。

  つぎに質問と気づきの点をいくつか申し上げます。1,000近い回答がありましたが,ニューカマーも含めて結婚している方が半数以上のようですが,配偶者や子どもがいる場合,ひとつの家庭の中で複数の回答があるという形のアンケートなのでしょうか。それから,9ページのお子さん方の国籍についてですが,出生地主義で日本で生まれた方は日本国籍を持っておられる方が多いと思うのですが,ニューカマーでも,両親が外国籍であってもお子さん方は日本国籍の方が42%もおられるというのは,ひとつの発見でありました。11ページでは,働いておられるニューカマーの配偶者の方が多いという感じがしました。それから20ページで,ニューカマーで,日本語が不自由なくできる,大体問題ない,という人のパーセンテージが,特に「話す」「聞く」について,かなり高いと感じました。おそらく世界各地で,英語やフランス語ではなく,その土地の言葉を話す外国籍の人という視点で見ると,この数字はかなり高いのではないかという感じがします。

  それから,先ほど出た意見に関係があるのですが,様々な不自由・不便があるということで調査結果が出ているのですが,外国人側の方で,日本社会に適応する,あるいは日本人と交流する努力がどの程度されているか,どの程度その意思があるか,ということです。特に中・長期のニューカマーについて,「郷に入れば郷に従え」は多文化共生と対になる言葉だと思うのですが,多文化共生は非常に大事だという一般的な流れの中でも,住んでいる国の文化や生活習慣に自分自身から接近するという視点も,非常に必要で,考えるべきことだと思います。たとえば,私も外国に住んでいるときは,町内会的な集まりやマンションの管理理事会などに率先して参加した経験がありますけれども,特に中・長期のニューカマーには,言葉の問題が難しくないのであれば,町内会に出るですとか,近所づきあいを積極的にしてほしいと思います。

○  最初のご質問に対する答えですが,今回のアンケートはランダム・サンプリングですので,家族の構成・人数とは関係ありません。

●  個人宛にアンケート調査票を送って,個人としてお答えいただいています。

○  先ほどショッキングだったというご指摘や,近所や地域との関わりについてのご意見も,他の一般市民を対象としたアンケートと比較して分析してほしいと思います。職員の応対に対する不満についても,さきほどおっしゃったようなこともあるのかもしれませんが,ずっと京都に住んでいる人であれば,職員の応対に対する不満は一般市民はもっと高いと思うのです。そういったことについて,一般的なものとの比較の上で何か顕著なことがあるか,ということを調べていただけたらと思います。地域や近所との関わりについても,日本人でもそうそう町内会に出る人はいませんし,私の感覚では日本人も同じくらいの数字ではないかと思います。

○  行政として,窓口対応や地域のことについての市民を対象とした何らかの調査はあるのでしょうか。

●  何か参考になるものはあると思います。

○  それでは次回以降提示していただいて,今おっしゃられた疑問がその通りであるかどうか検討したいと思います。

  それから,子どもの国籍の問題ですが,さきほど生地主義と言われましたが,日本は血統主義をとっています。父親または母親が日本人,つまり国際結婚をした人で,その子どもの国籍は20歳まで日本国籍でいくことが可能で,20歳から22歳までの間に本人が国籍を選択するようになっていますから,これはどちらかが日本国籍の場合の結果だと思います。

○  今回の対象は20歳以上ですが,高校・中学校・小学校に在籍している外国人がいます。小学生はあまり外国人という意識はありません。中学校や高校に行くと言葉や名前から差別が出てきます。私の子どもも今高校生ですが,中学校に入ると自分の名前を名乗りたくないと言いました。親としても学校でいじめられないかと心配します。伏見の殺人事件の際も,友人に中国人だということで色々言われました。この層についても問題・課題があると思います。

○  アンケートに回答しなかった人達のことが気になります。日本人でもこれだけの量のアンケートですから,時間的なゆとり,たくさんの字を読む気力がなければ,また,簡単に読める人でなければ回答はできないと思います。また,言葉の問題についても特に不自由がないと回答が多いのですが,アンケートに答えられる人は言葉に不自由がないだろうということがあります。もしアンケートに回答しなかった人を対象にアンケート,あるいは面接をすると果たして同じ傾向が出るでしょうか。そういうことが心配だったので,在留資格についての結果を見たのですが,京都市の在留資格とそれほど変わりません。ただ永住者の割合とが前回いただいた資料と比較すると多く,教授も多いです。けれども全体的にはそれほど違いがないので,少し安心しました。ただやはり回答しなかった人が非常に気になります。

○  自分自身ニューカマーとして,ビザの問題以外で特に問題と感じるのは,住まいの関係で,礼金・敷金が高くて保証人が見つからないことです。特に最近,バブル以降15年間の間で保証人になってもらう人を探すのは大変なことです。

  それ以外に言いたいことはひとつだけです。逆のアンケートをしてもらえればいいと思います。外国人が多く住んでいる地域で,町内会に,外国人に対してまわりの日本人は何を思っているか,アンケートしてみればいいと思います。日本人のほほえみは,本音かどうかわからない,ということがあります。これは言語の問題ではありません。現に40%以上は日本語ができる,ほぼできると回答しています。言語の問題は解決の方向に1歩前進しています。近くに外国人が住んで近所の人は本当に嬉しいかどうか,どう思っているか,表ではあいさつしてくれるけど裏話をする,それはどこでも一緒だけれど,一度調査する必要があると思います。それから個人的な問題を言うようだけれども,「ごみは正しく捨てないと」と言われることがありますが,外国人だからごみの処理はできないと思い込んでいるふしがあります。

○ 日本人の外国人意識に対する調査,というひとつの課題が出てきたと思います。

  本日は審議することが他にもかなりありますので,これだけは言っておきたいということがあればまた次回発言していただきたいと思います。続いて前回時間の関係上できなかった留学生の生活支援について,審議していきたいと思います。

 

(3) 審議

     ~国際交流協会から,留学生の生活支援について説明~

 

●  事務局から1点補足の説明をさせていただきます。留学生のための就職支援事業について,就職ガイダンス&ジョブフェア,つまり留学生に対する就職説明会なのですが,春5月に1回行っておりましたが,今年2007年度から12月に2回目を実施します。その経緯をご説明しますと,昨年の春,髙木館長から留学生に対する取組の充実・強化をという指示を受け,検討している中で,外国籍市民施策懇話会の留学生委員から,日本人の学生に対しては非常に数多くの就職説明会があるのに比べて,留学生は年1回というのはあまりに少ないのではないか,複数回の開催をという強い声を受けて,経済同友会をはじめとする市内の経済団体に働きかけを行い,各大学が集う京都地域留学生交流推進協議会にご協力を要請し,この12月に年2回目の就職説明会を開催することとなった次第です。

○  就学生について,健康保険については1年未満の者は加入できないことになっているので問題は先送りでも仕方ないと思うのですが,住宅の斡旋については就学生に対象を広げるというような計画はないのでしょうか。

●  協会でHOUSE NAVIというWebサイトでの住宅検索・紹介のサービスをしているのですが,そういうものを就学生の方が利用していただいたり,住宅フェアに就学生が来ていただいて色々な交流をしていただくことは可能です。ただ,保証制度の方で就学生を対象にするかどうかという問題については,保証制度の機構の方でも課題としては認識していますが,今すぐどうこうしようという話にはなっておりません。

○  私は就学生の方が不安定で,日本語もまだ十分ではない,その上健康保険は入れない,住宅も斡旋する団体が少なくて,日本語学校もまだそれだけの力がない,ということで一番困っているのではないか,と思っています。そういうところに手を差し伸べるということも今後必要な課題ではないかと思います。

●  今の住宅斡旋の保証の問題ですが,就学生の方々のほとんどが通っているという日本語学校について現在状況調査している状況です。財団法人日本語教育振興協会というものがあり,京都市だと今現在11校あるのですが,そこで話を聞きましたところ,日本語教育振興協会として機関保証するという制度ができたということでした。日本語学校すべてで行っているかはわかりませんが,きちんと日本語学校を運営されているところは,今までは先生方が個人的に保証していたのが,機関保証ができたのでそちらの方を利用されているようです。

○  先の質問にも共通することですが,たとえばホストファミリーに就学生が応募するということはできるようになっているのでしょうか。

●  今現時点では対象となってはいません。今後の課題として考えていく必要性もあるのかとは思います。

○  住宅保証制度については,機関保証していただけるということで非常にありがたい制度ができたと思います。8,000円の,保証金でしたでしょうか,その額が来日当初の学生にとっては負担になるということがあると思うのですが。

●  保証金ではなく,住宅に関わる保険に加入することが前提になっています。

○  保険であれば仕方がないですね。

  私は国際理解プログラム(PICNIK)にワーキンググループの一員として関わらせていただいています。さきほど,留学生が普段大学で体験できること以外に,日本の普通の子ども達と触れ合うことができるという点が非常によい,とご紹介があったのですが,もう1点付け加えさせていただきたいと思います。留学生というのは授業も大変で,日本語もまだまだ勉強しなければならないということで,日頃色々な人から助けてもらうことが多いのです。何をやるにしても人から助けてもらわなければできない,ということで,自分は非常にダメな人間ではないのかと思い萎縮してしまうのですが,PICNIKに参加して,学校に行くと,自分が社会のために役に立つことができるのだということをもう一度思い出して,やる気が戻ってくる,と言っている学生がいます。

  それはすごく大事なことで,留学生のことだけではなくて,在留外国人すべてに言えることだと思います。在住外国人に対しては,実際色々な支援も必要なのですが,支援だけではなくて,在住外国人の方が持っているものを社会に役立てることができる機会を積極的につくっていくということがすごく求められているのではないかと感じています。実際そういうことをされている自治体もたくさんあって,たとえば日本語教室の先生を,日本人の方だけではなくて,在住外国人の方で長く日本に住まれて日本語が上手な方にしていただく,あるいは相談業務などはすでに京都市でもされていると思いますが,できるだけそういう場を増やしていくことができれば,と思っています。 

○  前回も意見が出ていました,在留外国人の地域参加・社会参加を,留学生・就学生の場合でも拡大していくべきである,というご意見ですね。

○  留学生の支援の中で,留学生の入学前から卒業までの将来を見据えたキャリアデザインと書かれていますが,こういう取組をしようと思うと,留学生を集める大学とのかなりの連携が必要ですし,留学生を受け入れる前からどういうサポートをしていくのかというコンセンサスが必要だと思うのですが,私が見ていると,現実にたくさんの留学生を受け入れて,専門のセクションや人のいる大学もあれば,まだ留学生の数が少なくて,色んな先生が兼任している大学もあり,大学間でかなり格差があるのではないかと思います。だから,大学コンソーシアムや国際交流協会など,大学の格差に関わらず対応していこうとする部分で役割が大きいと思うのですが,現実問題として大学が本当にそこまで意識として持てる状況にあるのか,という疑問があります。実際,受け入れていこうとする大学の意識はどうなのでしょうか。

  もうひとつは,留学生の人達は,せっかく京都に来たのですから,学ぶだけではなくて,非常に能力を持った方々が多いので,様々な活動に参加できるのがいいと思います。国際センターや国際交流会館の役割でもあるのですが,たとえばユースの会で子どもの事業をするときに留学生の力も借りようと思うと,結構声が挙がってくるのです。なぜかというと,留学生達は京都にいる間にせっかくだから自分も何か関わってやっていきたいと思っているのですが,国際交流会館や国際センターでの活動だけではなく,地域の様々な活動に留学生やニューカマーがうまく入っていくつなぎの部分があれば,一般市民の国際理解も深められるし,留学生たちが自分の能力を生かす場がつながっていくのではないかと思います。そういう取組というのも,双方に理解を深めるためには必要になってきているのではないかと思います。

●  大学に関しては,私学の中でも,経営的に留学生を多く取り入れていこうと考えているところとそうでないところで,事務局サイドの対応というのは,やはり違ってきます。それは違いがあっても当たり前です。ただ入ってしまえば感じるのは,留学生であっても日本人であっても,一学生であると,学生が有意義に生活をしていくことに対してサポートしようとされていることに間違いはないのです。やはり大学によって違いはあると思います,人数を見ても違いますし,それを一概に並列に述べてしまうのは難しいと思います。

●  私自身,各大学と関わってきた中で感じることは,日本の大学は少子高齢化の中で大学を運営していくために絶対数の学生を確保しなければならず,その部分を留学生が担っているということです。私学はもちろん,国立大学や公立大学においても,優秀な学生を世界から広く集めるということで,中国に大学の事務所を置いたりして,留学生に対する働きかけは各大学とも非常に強いです。留学生の総数は京都市域で確実に増えてきていますが,それは少子高齢化と表裏一体ではないかという感じがしています。

○  昨日入管当局の年報を見ていますと,卒業して日本の社会で働いている留学生は増えているのです。全国で8,000人くらい,その内の7割が人文知識・国際業務,残り3割が技術という結果が出ていました。少子高齢化の中で,母国に帰るということも大切ですが,日本社会で役に立ちたいという意欲はもっと買うべきで,大学と同時に企業に対して,留学生の雇用を働きかけていくこともまた必要ではないかと思いました。

○  働きかけているのですが,企業が一番難儀ですね。学生数では今話にありましたように,日本での絶対的な数が少なくなってきている,労働人口ももうすぐにそうなるのですが,まだそうなっていないから,とにかく厄介なことをするのは嫌だ,企業の本音はそういうところにあります。もう少ししっかりと先を見つめてやってもらいたいということで,ジョブ・フェアでもたくさん来てもらうように企業側に働きかけています。

○  PICNIKの件ですけれども,派遣する留学生の国籍に関する資料はありますか。私もYWCAのAPTで出張事業を10年ほどしていますので,どのようなことをされているのか伺いたいと思うのです。

●  今は手元にないのですが,一覧表はあります。 

○  ご参考までに次回にでも配布していただきたいと思います。

○  ニューカマーの中で,就労よりも,学ぶために来ている留学生の割合が,大阪など他都市と比べると京都は高いと感じました。就労したい人もいれば,博士論文を書きたいがために来ている人もおり,留学生でも色んな区分ができるのではないかと思います。住宅の面などでも,もっと先を見た対策が,今後10年を見据えたプランの中では必要だと思います。住宅機関保証制度については,昨年度の実績が,2002年度に比較して3倍近く増加ということで,受け皿としてはこの制度は非常にいいものだと思いますが,これだけで足りるとは思いません。独居の世帯が増えている中で,ホームステイのように色々な手配をすることも必要ではないかということを感じました。普段生活している中で,中国語で部屋の貸出を求める広告などを頻繁に目にしますので,そういうことに対する制度的な対策も必要ではないかと感じます。

○  時間も押していますので,この辺りで留学生の問題は終わらせていただいて,今後の委員会の進め方も含めて事務局から資料4と5の説明をしていただきたいと思います。

 

     ~事務局から,プランの推進体制及び素案の取りまとめについて説明~

 

○  日本の留学政策あるいは留学生に対する認識が変わってきていると思います。昔は,留学している期間,留学生の面倒を見てあげる,終わったら国に帰れという考えを持っている教官も多く,政策的にもそうでした。現在は,留学中面倒を見て教育してあげる存在であると同時に,留学終了後は日本の人材でもあるということが,国や地方の施策として反映されつつあると思います。留学生に留学が終了した後も,京都と母国,そして世界とのつながりとして,役割を果たしてもらうということはプランの中に入れてほしいと思います。

  2点目は,グローバル化時代において,人材もグローバル化しており,これは京都・日本だけの課題だけではなくて,世界共通の課題です。この面では一般の市民が十分に理解できていないところがあります。すなわち,外部から留学生や

  観光客が来るのはいいけれども,色々なトラブルがあって受け入れを拒否するような面があります。市民の国際化・意識の向上ということが重要です。国際化するということは,ある程度のリスクを覚悟する必要があるということです。

  もうひとつは,留学生側のことです。留学生は研究や勉強はよくできますが,日本の慣習・文化を意識的に勉強する人は少ないです。日本の方とぶつかって差別されるというようなことがよくありますが,これは日本側ではなく留学生側に問題があります。自分の経験から,留学生に対する教育も非常に重要であると思います。「郷に入れば郷に従え」という言葉よりももっと,留学先の文化を理解し,その中に飛び込んで一緒に行動することは,国際化のひとつの重要な様相ではないかと思います。

  今,留学生の7割は中国からの留学生です。望めないかもしれませんが,留学生の多様化が必要です。一国集中はあまりよくありません。他の国の留学生をいかに取り入れるかは政策的にもっと工夫する必要があると思います。

○  一般的なコメントということで申し上げます。国際化推進プランには2つの柱があるわけですが,交流部会,共生部会に共通することとして,一番最初に京都の位置づけというのを述べるべきではないかと思います。京都にはたくさんの外国系の方々,外国との結びつきのある方々がおられるし,国籍的には韓国・朝鮮の方々が多いわけですが,その他の国もバラエティに富むという点では東京の次ですし,色々なジャンルの研究者等もおられて,そういう多彩性という点で京都はひとつのモデルケースになるのではないかということを,スタートポイントで書くべきではないかと思います。したがって,施策も非常に多岐にわたることになると思います。

  共生部会については,多文化共生というのは,色々なバックグランドを持った方々が,それを生かしながら共生するということだと思うのですが,外国の方々に対する支援も重要ですが,それぞれの文化的背景を持った方たちがそのまま京都という場所で非常によい形で共生をする,という視点が一番基本的な考えになると思います。ですから,外国人に対して日本語を勉強してもらうとか,外国人に対する差別をなくすとか,そういう支援も非常に大事で,これはこれでスペースをとる必要がありますが,基本的な考えとして,日本の中でもそして世界でも,色んな文化というものが同化政策ではなくて共生政策になっていくという視点を踏まえた上で,具体的な施策を考えられたらどうかと思います。具体的なポイントについては,この部会の委員の方は非常に今までのご見識・ご経験のある方が多いのですが,私もまた気づいたときに意見を申し上げたいと思います。

  先ほど申し上げた視点で考えると,一番最後の学校における多文化共生教育の充実について,京都の人に多文化共生というものの必要性を認識してもらうこと,たとえば副読本などで,日本の人に対して,多文化共生についての理解を深めてもらうことも大事だと思います。

○ 今までに挙げられなかった課題がひとつあります。留学生や来日する外国人が増

えていますが,警察からイコール犯罪者が増えると思われます。今までも情報交換・情報提供ということが挙げられていましたが,京都であれば,京都府警と連携する必要があると思います。つまり,入管と警察と国際化推進室から入国する人に情報を同時に与える,ということです。あるいは,法律相談が国際交流会館で行われていますが,これはもう法律の問題にぶつかった段階なので,ぶつかる前に簡単な知識を増やすために簡単な説明会を行い,情報を渡さなければならないと思います。

  外国人にとって,日本は安全な国でわりと豊かな国という印象が強いです。それは表と裏があります。表として,いい国で,勉強できるし,運がよければ仕事を見つけて仕事を続けることができる,逆に見れば,甘い国で,犯罪を起こしても,極端な話,何も問題にはならないという印象もあります。

  警察は警察なりにその問題を検討してアンケート調査を行っていますが,今ある他の活動と同時にすればいいと思います。警察の講習会がありまして,こういう課題は今後ともますます増えるかもしれない,と言われています。犯罪の中には,それが許されていなかったことを知らなかった,勘違いしたことによって起こったことが多いですが,それも情報の流れが不十分であったからではないかという気がします。個人的に通訳をしていて,交通に関することでそういうケースに出くわしたことがわりと多くありました。犯罪に関する情報については警察だけで教えるべきなのかもしれないが,生活支援の中でもこういう情報があればいいと思います。

  同じく仕事の関係で,留学生・就学生として来日する人は,すぐアルバイトできると思っていて,何も手続せずに仕事を探しに行きます。情報が足りなかったから,仕事を探しに行った後で税金の問題や在留資格違反の問題にぶつかるのです。知らなくて,きちんとした資格を入管にもらわなかったということが結構あります。あるいは,在留資格によってしてはいけない活動があることを知らなかったということも珍しくありません。市役所だけでは不十分なので,入管と警察と同時に情報提供するべきだと思います。

○  日本社会の決まり,法に触れないということはどういうことか,情報を伝えることは大切なことだと思います。

  それから,医療・福祉のところでは,外国人相談員について私もこの組織に関わっております。1年間の成果から言えば,もう生活がぎりぎりできなくなっている,あるいは認知症が始まっている,あるいはどこの病院であればどの言語ができるか全然わからない,介護が必要だけどもどこに相談していいかわからない,そういう人が非常に多いということに気づきました。この相談員の人たちが,役所の部局や施設につなげて,なんとか対応できたのは3割なのです。7割が相談を聞いたけれども,色々な行政の縦割り組織の壁に阻まれたり,たとえば個人情報の関係で教えられないなどで,あるいはケースワーカーの人がモアの活動を知らなかったりで,それ以上手が伸びない,というケースが少なくないのです。ネットワーク・モアの活動はとても大事だと思うので,そこへの行政上の支援,市民からの理解ということが,あらゆる場で必要ではないかと思いました。

  無年金高齢者については,京都市としても施策として月額17,000円,障害者は41,300円給付金を出していただいていますが,生活の困窮には引き続き非常に厳しいものがありますので,基本的には国の施策ですけれども,これについての引き続きの改善をお願いしたいと思います。

○  今の外国人福祉相談員の話に関連することですが,アンケートを見ると,ニューカマーは一番,母国出身の友人・知人からケアを受けていて,区役所の窓口という回答については,オールドカマーもニューカマーも19%前後でほとんど同じなのです。そうすると,行政的には縦割りになっているのなら,外国人の相談員,特に来日して色々な社会的状況がわかっていない人達がその状況を把握して,警察や行政機関をつないでいって,問題解決につないでいく組織があると,日本語学校,大学によってそのケアの密度の違う部分なども補っていけるだろうし,そういう比較的整った機関だけではなくて,生活する人達にとってもうまく情報が伝わったり救われていったり,ということがあると思います。また,町内会につないでいったりすることも考えられます。これは実際その活動をするときに,それを担う人の役割と,その人たちがどういった行政的,社会的サポートを受けるのかという課題がありますが,そういったことについてプランの推進体制の中で触れていただいて,実現の道を探っていけないかと思います。たとえば国際交流会館では来てもらった人に対するサービスを行っていますが,国際交流会館という組織を持ちながら,相談員的な人を置いて,会館をベースにして,市内の色々な地域に出て課題に対応していくという仕組もありえるのではないかという気がします。

○  色々なところで様々な活動をしているのを,縦割りの中で横のつながりをつくって面にしていくことが,受け皿になっていくと思います。活動していることが反映されていないということがありましたが,縦割りの行政にもかなりのネットワークがありますし,区役所や民生委員に知らせればかなり広まると思うのです。

  さきほど入管の話がありましたが,外国人は密入国でない限り入管を通して入ってくるわけですから,どこに住むかということが入管でわかれば,その外国人をケアするものを行政的に与えることができると思うのです。モアでも,対応言語別の病院マップをつくろうとしているのですが,そういうものを入管の事務所に置いておき,配布することを,今後10年を見据えたプランの中で掲げるべきではないでしょうか。ネットワークにして,縦の行政と横の面がひとつになれば,相乗効果でもっとうまくいくと思うのです。

  あと,国際化の目標の「京都の魅力向上」のところですが,「魅力にあふれ,世界の人々が集うまち・京都」は「世界の人々が集うまち・京都」でいいのではないかと思います。魅力というのは同じ人間でも感じる人と感じない人がいると思いますので、決めつけて書かないほうが奥ゆかしくていいのではないかと思いました。

○  「多文化共生の地域づくり」の中でどこに入れたらいいのかわからないのですが,私も京都市が結構がんばっているとは思いますが,市民レベルで浸透していないということはとても感じます。市民に浸透するというのは,色々な広報の中で多文化共生という言葉を浸透させるとか,言語などが至る所で目に見える形にすると,隣人にそういう人たちがいる,ということがわかってくると思うのです。先日,市民しんぶんに行政通訳の広報が出ていたのですが,すべて日本語で,日本人対象の文章でした。こういう市民しんぶんの中でも,大事な情報だけは多言語ですると,そういうものが日常,いつも市民しんぶんが配られるときに目に触れると,外国人にとっても利益だけれども,周りの日本人にとっても,私達と同じ市民として外国の人がいるということが無意識の内に浸透していくのではないかと思うのです。この中でも投書欄があって,在住外国人の方の意見を載せる場所などがあれば,身近に感じられるのではないかと思いますので,そういった市民への浸透というところで何か入れていただきたいと思います。

○  大きいことと具体的なことと申し上げます。大きいこととしては,全体の項目が,いきなりこれまでの取組というようなものを載せるのではなくて,今度つくるプランが何かということについて,市民へのメッセージ性の高いものをぜひはじめに書いてほしいと思います。特に共生分野では,外国人に対する対策のようなものではなくて,京都市民全体がどのようなことを考えなければならないのか,どのように暮らすのが楽しいのか,明るい意味でのメッセージ性の高いものを盛り込んでいくことが大事ではないかと思います。特にまだいろんな差別感を持っておられる方もたくさんおられるわけですから,それは市民全体に対して訴えていかなければならないと思います。そういう差別をどのようにしたら払拭していけるかという問題も中には書いていく必要があると思います。たとえば行政通訳でも,市民しんぶんに書いてあることだけということになってしまいますが,多言語で翻訳したものを載せるにしても,スペース上どうにもならないと思うのです,それなら,そこに書いてあることを日本人が近所に住んでいる外国人に言ってあげればいいのです。本来日本人市民がどのようにふるまうべきかということが,非常に大きな重要性があると思います。

  それから「外国につながる人」というのが,他のところでは「外国人市民」というような使い方もしておられるようなので,全体を含めたとき,「外国人市民」とか「外国市民」とか,少しわかりやすい形のものにして,外国籍市民と言う場合は,特に外国籍市民に限定して必要な施策のときにだけ言葉が出てくるようにしたらいいと思います。メッセージとして市民に訴えるときには,「外国系市民」,「外国市民」とわざわざ挙げたのにはどういう意味があるか,ということをしっかりわかってもらうような段取りをつけた上で,言葉を使っていったらいいのではないかと思います。

  もうひとつ,具体的施策のことですが,情報が十分に伝わっていないのは明らかですので,はじめて外国人登録をしに来られた方に,2週間・3週間以内に必ず国際交流会館に来てもらって,今の会館のような状態ではなくて,専門的にいろんな関連の事柄について全部を知っている人がいて,その人は来た人の国籍やこれからしようとしていることに応じて必要な情報を全部与えることができるようにするのです。そういう人が国際交流会館に1人いたら,多少遠くても一定期間内に一回くらいは足を運ぶようになると思います。とにかく,必要な情報は全部,最初にお渡しするようにした方がいいと思います。

  最後に,ひとつだけ例をとって申し上げますと,消防局に外国人市民を含めた防災訓練の実施を強く申し入れていますで,来年9月の防災の日に実施してくれるはずです。行政区別に行いますが,町内会に呼びかけて全住民に参加してもらい,その中に外国人の方たちがおられたら必ず呼びかけてきてもらうようにする,ということをやってほしいと思っています。われわれも外国人の手助けになることを何かしに行こうと思っています。この訓練には,行かないといけないということで参加し情報を得るということが一方であると同時に,近所づきあいに関する色々な問題がありましたが,近所づきあいしなければならないとか親切にしなければいけないとかではなく,具体的に一緒に行動しなければならないところを始まりとして,次は顔見知りになったから会話をするようになった,質問をしやすくなった,という状況をつくっていく,というモデル的なもので突破口をつくっていく,ということが片方であります。

○  ありがとうございました。もう時間が来てしまったので,ひとつ提案があります。つけ加えたいこと,提案に盛り込むべき事項があれば,箇条書きで結構なので,1週間以内に事務局に提出していただき,それを含めて次回に項目化した方がいいのではないかと思います。

  それから今ご発言のあった新しいプランのメッセージ性については私もとても大事だと思いますので,私も私なりに文章を書いてみて,事務局と一緒になって次回提案させていただこうと思います。

  また,次回,「外国につながる人」にするか,「外国籍市民」「外国市民」にするのか,大変難しい問題ですが,それもきちんと押さえなければならないと思っています。

 

5 閉 会

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