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国際交流・協力部会第2回会議議事録

ページ番号25283

2008年2月7日

1 日  時   平成19年9月3日(月)午後3時~5時

2 場  所   ザ・パレスサイドホテル 2階 会議室「モデラート」

3 議  事 

(1) 開会

(2) 報告

    京都市内学校・民間団体姉妹都市提携等アンケート調査について

    (○顧問・委員 ●事務局)

○ 本日は,まず,「京都市内学校・民間団体姉妹都市提携等アンケート調査」の報告をしていただいたのち,審議に移りまして,「大学,教育における国際化の推進」,「今後の国際交流・国際協力の取組」について議論を進めていきたいと思います。

 その後,時間の許す限り,前回の「京都の魅力向上,情報発信」といった内容も含め,追加,補足しておくべきご意見がありましたら伺っていきたいと思います。ではまず,「⑵ 姉妹提携等アンケート調査」について事務局より報告してください。 

● それではまず,「京都市内学校・民間団体姉妹都市提携等アンケート調査」について説明致します。

 この調査は,今年の6月から8月にかけて,京都市内の小・中・高校,大学・短期大学をはじめ,商工会議所などの経済団体,ライオンズクラブなどの社会奉仕・福祉団体を対象に,海外の同種の団体との姉妹提携状況,姉妹交流やその他の交流事業の内容及び課題・問題点等について文書による照会回答形式で調査し集計したものです。

 まず,「姉妹提携校一覧」という分厚い方の冊子ですが,これは各団体の姉妹提携の相手先,国・地域,提携年月日を,大学,高校,中学,小学校,経済団体,社会奉仕団体の順に,総覧的に掲載したものです。大学は学部ごとの提携状況も掲載しております。

 ただ,一部回答がまだのところにつきましては空欄となっております。

 なお,この資料は本年8月30日現在のもので,今後,変更等あれば随時反映していき,しかるべき時点で基本の数値とさせて頂きたいと存じます。

 

 次に,「総括」と書かれている薄い冊子ですが,これは,今回の調査の総括として,現時点での回収率・提携率や,記入された事業内容,課題等の文章を別冊にまとめたものです。

 最初のページに,先ほどの提携一覧を元にした数値が記載されております。

 1には調査対象団体の総数,うち回答のあった団体数が記載されております。

 2は大学・短大における提携状況で,回答のあった大学のうち何校が提携を行っているか,そしてその大学ごとの内訳を示したものです。

 やはり京都大学などの総合大学や外国との関係の深い大学が提携数が多いことがわかります。

 以下,高校,中学と続き,同じように提携数について記載しております。

 全体的に提携数は少ないですが,アンケートのなかには提携のノウハウを知りたいなどの希望も見受けられました。

 また比較的,高校の提携率が高く,そのなかでも私立は積極的に海外との交流を行っているところが多いようです。

 その他,経済団体,社会奉仕団体とも,提携数としては少ないことが分かります。ただ一般的には,ビジネス交流や例会・総会の出席など個別具体的な目的のために活発に交流される例が見受けられます。

 つづいてのページからが姉妹交流を除いたその他の様々な形式の国際交流事業を掲げたものです。

 小学校の交流では,絵画などの交換や先生方の研修目的も見受けられますが,中学,高校へ行くほど生徒同士の交流,実習参加,ホームステイなど,生徒主体の交流になっています。

 大学は,一般に制度として姉妹提携が充実しており,事例はそれほど多くありません。

 さらに,そこから最後までが,各団体の課題や問題点を列挙したものです。

 小学校では,言葉の問題や,事業として軌道に乗るまでに担当の先生の異動やお世話をして頂いた保護者が引越し等でいなくなってしまうといった意見が見られます。

 中学,高校では交流事業をしたいという希望は強い一方で,ノウハウがない,サポートしてくれるところがない,あるいは経費の問題,ホームステイ家庭への協力の確保が難しいなどの問題点が見られました。

 大学では,より充実した交流の種類,方法や,派遣学生のバランスの問題,さらには事業充実に比例して危機管理対応が問題であるという意見があります。

 以上,簡単ではございますが,今回行いましたアンケート調査につきましてご報告させて頂きました。

○ どうもありがとうございました。大変大急ぎで説明をしていただいたのですが,今からこのアンケート結果をこの委員会として,そこから何を受け止めるか,どういうメッセージを拾うかということですが,後ほど教育分野,交流分野でも議論がありますけれども,とりあえずこのアンケートを基本とします。今回,学校の交流が主になっておりますがそれにお詳しい委員は如何でしょうか。

○ やはり大学が多いということは思いましたが,公立の小学校の始めのページ,ネパールとの交流という,上から2つ目,ないしは3つ目のあたりは,私と直接的な関係があって,洛中,朱雀第六もたしか行われていたと思います。朱雀第一,広沢小学校,朱雀第四小学校,中学校では,中京中学校,烏丸,陶化,大原,このへんはネパールと協力をしてもらっています。ただ,ネパールというのは,姉妹校提携というのができませんので,まだここには書かれていませんが,友好親善とかボランティアというような形で交流している学校があるということです。でも,私自身は,小学校でこんなにたくさんの学校がいろんな国と連携しているということは,ちょっと驚きでありました。

 ただ,中学校のほうも読みましたが,継続ということが大きな問題になろうかと思います。一時的にぱっと来られたので,その日1日だけ引き受けて一緒に過ごして帰るとか,修学旅行で来られたのを引き受けるとか,それも交流には違いないとは思いますが,できれば総合学習などのひとつの中に入れて,継続的に一緒に勉強するということがすごくいいような気がします。だから,例えば,ここにあります洛中や朱雀や朱雀第六というところは,物資を集めてくれましたら私が必ず報告に行って,世界を知るということで,総合学習の中でスライドを見せるというのが,ひとつの年間の計画の中に入っています。そういう形が,何も1年に1回しなくても,2年に1回でもいいと思うのですが,継続をしたほうがいいと思います。ゼロよりはあるほうがいいかもしれませんが。それが1点です。  

 それから,もうひとつは,言葉の問題だと思います。特に小学校,今,京都の小学校は小学校英語というのを頑張っていて,あちこちの学校で取り上げていまして,地域住民の中の外国人をたくさん学校に呼んで,お手伝いしてもらっているところがあります。ですから,あまりしゃべられないというのではなくて,地域にいろんな人がおられるので,言葉は悪いですがそんな人を利用する,お役に立ってもらえれば,もっともっと広くいろんなことができるのではないかと思います。ただ,学校はカリキュラムがものすごく忙しいのです。だから,やはりどこかで位置付けるということ,私は小学校のカリキュラムは詳しく述べられませんが,中学校だったら総合の中に国際とか福祉とか世界の貧しい国を知ろうとか,そういうことを少しカリキュラムの中に入れるということをしていかないと,突発的なのはどうかと思います。無いよりはマシと言われれば,おしまいですが。 

 

○ これから議論の幅を広げるためには,経済界はどうでしょうか。財界は,実際は相当強力に提携なり協力なりしていると見受けられますが,なぜこんな数字になるのでしょうか。

 

○ この提携とか交流とかは,内容というか質の問題が大きいと思います。私は京都商工会議所で国際交流委員長をしておりますが,フィレンツェだけでも大変なのです。昨年のようにフィレンツェが来られた時に,私は実行委員長をやっていましたが,会議所と同友会と府,市と4つが共同でやりまして(※),あのようにまとめてやりますと1回で4つが済むということになります。逆に今度,我々が向こうに行く場合,4つの団体のどこかが行ってくれれば,1団体は4年に1度行けばいいということになります。今年,そういうような答申書を書いているところです。フィレンツェに毎年行くことは,事実上,不可能なのです。でも,続けないと意義がない。途切れるということは問題がありますので,やった以上は続ける,無理なく続けるという意味では,向こうがこちらに来ることを考えれば,8年に1回行けばいいということになります。そういうことで,提携先がだぶっているところがたくさんありますので,それを一緒に情報交換しながら,あなたのところのことを今年はこちらでやっておきますなどと協力しないと,事実上無理だと思います。

(※編集注)京都市とフィレンツェ市の“姉妹都市提携40周年”にあたった2005年,京都府とトスカーナ州,京都市とフィレンツェ市,さらに京都商工会議所とフィレンツェ商工会議所,京都経済同友会とフィレンツェ老舗協会が新たに姉妹関係を締結。同年10月イタリアからの公式訪問団の入洛時に京都迎賓館にて調印式を挙行。時代祭り行列の参列や,京都とイタリアにゆかりの深い地元市民による合同歓迎レセプションに加え,この年は訪問団の入洛を中心として,地元京都で「フィレンツェ/トスカーナプロジェクト2004-2005」と題し,市立美術館での展覧会をはじめ,シンポジウム・セミナー・学術講演会,ギャラリートーク,クラシックコンサート,写真展,映画,狂言,日伊の工芸作品展,宝飾職人の展示会,サッカーの展示会,京都経済同友会記念ミッション,高台寺ライトアップとファッションショー,サンタ・マリア・ノヴェッラ社の京都展オープンなどイタリア・フィレンツェに関する様々なイベントが開催された。

○ 一応,ギブアンドテイクというか,双方向でバランスが取れるのですか。

○ 町の規模にもよります。例えば,商工会議所の場合,パリと結んでいるのですが,相手が大きすぎて京都では相手にしてくれないという現状があります。京都の場合は任意で入っているわけですが,海外の場合は,企業を起こせば必ず入らなければいけないというところが多いので,ヨーロッパをまわっていても,とても小さい町なのに1万社いることなどがあります。なんでそんなに入っているのですかと聞くと,会社は絶対に入らないといけないということなのです。ですから,規模的にいうと人口は少ないのに,会議所レベルでいうと,パリなどは何十万と桁違いに大きくて財政力もまったく違いますから,そういう国の状況もちょっと違います。

○ このアンケートをご覧になっていて,提携の数だけ挙がるという調査ですけれども,もう少しこういうところを見て欲しいとかどういう点がポイントであるとかありますか。

○ 私は立命出身なのでその欄を見ていたのですが,例えば立命などはこんなに全部提携して実施されていることは現実にはないと思います。切れないので,切るほうは放任されているのかなと思います。

○ 最近,整理を始めている大学もありますけれども,たしかにいろいろです。

○ ですので,これだけ見ているとちょっと判断を迷うかなというところはあると思います。

○ 京大とか立命とかはあまり比較の対象にならないと思うのですが,私は,小・中・高が割合多いなという印象を受けました。それで,他はあまりやっていないと思うのですが,京都市がこういう調査をしているということで,日本の中の各都道府県で,もし同じような統計があれば日本の中での京都の位置付けというのがわかると思います。私は京都が多少先行しているということが言えると思うし,また京都の土地柄,あるいはいろいろなバックグラウンドからいってそうであって欲しいと思うのですが,そういう統計はあるのでしょうか。

● 実は,この調査結果が出てきた時に,そういうことを聞いて若干取り寄せているところです。またまとめて皆さんにお知らせしたいと思います。

○ このような他の県との比較など聞いておられる委員はおられますか。

○ 現職の時ですのでちょっと前になりますが,割と先行していろんなことをやりましたので文部省に呼ばれまして,他の学校の方もおみえになりました。その時のデータを持っているかどうか自信がありませんが,かなり先行していました。 

 ただ,それはごく自分の知っている範囲だけで,京都市全体のデータを持って行ったわけではありません。それは,ホームステイを引き受けるだけでなくて,向こうに送ったりしていましたから,本当にものすごく先行していました。

○ やはりちょっと進んでいるほうだということですか。

○ そうですね。それは京都市が進んでいると言っていいのかわかりませんが,来られたひとつひとつの学校の形で進んでいるということは事実でした。その時は,非常に進んでいました。でも,全体のデータを持って行ったわけではありません。

○ 小学校・中学校・高等学校で,それぞれについての国際化テストをおこなってはどうでしょうか。例えば,交流はどれぐらいあるかとか外国人の先生がどれぐらいいるかとか,あるいは,外国人の人が来た,そういうようなものをちょっと京都が少しイニシアティブを取っていて,せっかくかなりベースがあるのですから利用すればよいと思います。たしかにこれ全部がものすごく進んでいるとは思いませんが。

 私が知っていることをひとつ申し上げますと,洛北に北稜高校がありますが,マレーシアと本当に手作りの交流を毎年やっているので,私はすごくいいなと思っています。国際会館でその会合をやってくれたりしまして,私も少しお手伝いしました。そんなようなことからいつも一般論に広げていってしまうのですが,それぞれの国際化教育あるいは国際理解協力というものをこれから小・中・高でやるとして,学校自身の活動とかカリキュラムの国際化テストみたいな視点は文科省でも飛び付くのではないかと思いますので,考えてみたら面白いのではないかと思います。

○ 最近,またちょっと国際化という取組が廃れてきたような気がしています。新しい学習指導要領が出た時は,それが大きく取り上げられていました。だから,福祉教育だとか国際であるとかボランティアであるとかいうものを総合でやろうという,いろんな学校からの話とかいろんな違った国のというのがありましたけれど,最近は時間が圧縮されて,そういうところに手が届かないというご意見を聞きます。現場では別のことをやっていてそれなりに忙しいのですが。

○ 単純なことで数字のことを教えて欲しいのですが,例えば,総括の最初で,  回答数と提携数と提携率があって,この提携数の例えば大学・短期大学の回答数の32の中の16というのは,下の内訳に書いてあるのと数字が関係ないのですけれども,提携数の16というのは,どういう数字なのですか。

● これは提携をしている学校の数という意味です。ですから,32校のうち16校が提携しているということです。すいません。間違っています。提携校は20校です。

○ 有提携校数ということですか。

● はい。

○ では,提携校数は20校ということですね。同じように小学校なども間違えていませんか。

○ まだまだ出来たて途上の表らしいですけれども,こうやって率を出すことの意味がどうかということは,別に考えなければいけないですね。

● 小学校・中学校は,提携している学校というのは少なくて,紹介したアクティビティーが出ている部分につきましては,単発とか継続的にやっている事例ではありません。しっかり提携を結んでいるという数字はこれで合っていると思います。

○ それでは,こうやって提携率を出すのであれば,そういうことがわかるようにしてもらったほうがいいですね。この事業内容のページは,国際交流の事業内容として挙がっているのですね。

● もともとの大きいほうの冊子に提携校一覧というものがありますが,ここの提携校と載っている係数を挙げています。

○ では,大学だけが間違っているのですね。

● 大学は,調べ直した時に訂正するのを忘れておりました。申し訳ございません。

○ 継続する形というのは,学校のほうからも財界のほうからも少しご発言がありましたけれども,例えば,ホームステイとかいうことになると,またぱっとイベントだけをやるのとは違った意味を持ってくると思います。学生の国際交流の方面では長いことご尽力されている委員の先生はアンケートの総括からいろいろと見ていまして,いかがですか。

○ いろんな形で,小学校のレベルでもいろいろとご苦労されてやられているということで,とても感動しました。中でも中学校になるとホームステイなどをしているところも多くて,悩みながらもいろいろとご立派にやっていらっしゃるなというのが私の印象ですが,実際には本当に大変だと思います。

○ ホームステイは,二度としたくないという結果に終わる場合もありますね。

○ 初めてという方でとてもがんばってやってくださる方がありましても,やった後は,次からはやらないと言われる方がほとんどです。なぜそうなのかということは,日本の生活のやり方とか家屋の大きさとか家族のメンバーとかいろいろなことによるのでしょう。けれども,本当に1番交流ができるのは一緒に住むことだと,これは間違いのない事実だと思って,私も何かありましたらあちこち走り回って探しているほうなのですが,実際にはなかなか難しいです。ここに表がでていましたが,最後に問題点というところに数が少ないとでています。なかなか難しいと思います。

○ 日本から,どこか交換でホームステイに行った時に,行儀の悪い子供が多くてかえってトラブルを起こすケースが増えています。ちょっと昔までは,日本から来る子供さんはみんなOKで泊めていたけれども,これから日本のお客さんは困るという意見を時々聞きます。見ていたら,たしかに行儀が悪い子が増えていますので,そのまま行ったらトラブルを起こしているだろうなと思います。逆にいえば,こういう機会をもう少し教育の過程として前後にちゃんとフォローして,行くからには総合的な教育を仕組んでいくというような必要があるのかもしれません。

○ 性格の問題がありまして,私の子供もロンドンにずっと行っていましたけれども,自己主張が出来なければ生活ができないのです。要するに,そのホームステイ先が嫌であればチェンジが出来るわけですが,それを日本人は相手のことを気遣って,嫌でもなかなか変えない。ゆかしいということなのですが,そうなると我慢しているのがだんだんストレスになって,最終的にはバーストしてしまうというのはあります。向こうから来られた人は,嫌だったらすぐに嫌と言います。

○ システムと情報を吸収しながら,新しい方向を考えていけるような仲立ちをする組織なり人なりがちゃんとしていたら,いろいろ経験はたまっていきます。こういうタイプは,あの家に向いているとかあるかもしれません。そうでなくて,毎回白紙で始まると,これはもの凄くエネルギーがかかってしまいます。

○ 私の子供も言っていましたが,ほんとに小さい家なのに4人ぐらいホームステイしているそうです。泊めるほうも,どうかと思うようなことをするのですけれども,それでも納得いくだけの世話をしてくれるということがある。日本だったら4人も泊めるところなどは皆無だと思うのです。

○ そういったことはすべて無料ですか。

○ 協会みたいなものがあって,そこから一律に出るようなシステムがあります。ですから,その予算内でやって,予算オーバーはその個人の自由です。

○ 京都市教育委員会がやっている交換留学生は,基本的には無料ですね。

○ ホームステイ先の家に補助金が出るシステムです。

○ その協会は,民間ですか。

○ 民間かどうかはわからないのですが,まとめている協会みたいなものがあります。それで,いくらか浮かそうと思えば粗末な食事を出したらいいのですけれども,そうすると人気がなくてチェンジになってしまう。だから,それを商売にされている方もいます。

○ 学生間の交流にお詳しい委員にお伺いしたいのですが,これからホームステイの問題というのは,すごく大事な問題だと思います。それで,京都は,他の都市に比べるとそれが多いかどうかというのはいろんな考え方があると思うのですが,ホームステイを受け入れる家庭の数が,年々確保されているという統計をみると,7,80家庭ぐらいです。それでちょっと気になったのは,割合に一度泊めますと,これだけ喜んでいるのだからまた続けましょう,というところもかなりあるのかと私は思っていたのですが,今のお話ですと,一度するともうコリゴリだということで,そのへんのところはどうなのでしょうか。

○ もちろん,20年に亘ってずっと同じ大学とか学部の学生さんとかを毎年受けてくださっている方もたくさんいらっしゃいます。けれども,やっぱり今お話しのありましたように,お互いの思いは大変違います。その違う中で学んでいくのですから,それを乗り越えないといけないということは周りの者はわかっていても,当事者にはそれがなかなかわからなくて,ごめんということもたくさんあります。また,先生が言われたように,日本の子供も行儀がもうひとつになっていますけれども,よその国から来る人ももうひとつになっていることも同じことなのです。全体的にそうなっていますので,そういうこともあって,なかなか新しい方が進んで受け入れてくれません。それともうひとつ,日本の受験の問題があります。受験生,あるいはもう少しで受験という子供がいる家庭は,絶対に預かってくださらない。それは,大学受験の問題と大きく関わっているのではないかと思います。

○ 今,お話しを伺いまして,これはやはり日本全部に当てはまる問題なのですけれども,ホームステイ,ホームビジットというのがあって,私はホームビジットというものを,例えば週末に泊まるのは大変だけれどもご飯を食べにいらっしゃいと,それをもっともっと地域のコミユニティーとかあるいは学校とかそういう単位でお互いに助け合いながら,ホームステイでもホームビジットでも増やしていくといいと思います。それぞれの個々の家庭の大変さは,もちろん今お話があったようにあると思います。それを何か仕組みとして,あるいはひとつ共同で,そういうものをなんとか改善していき,それを増やしていくというための施策があればと思います。これを考えてやっていくというのが,この国際交流の中のポイントのひとつになるのではないかと私は思います。私などは,大学になってからもホスピタリティコミュニティとか,外国ではずいぶんいろいろなプログラムがありました。私は大学生よりは,むしろ高校生・中学生ぐらいでのそういう交換プログラムというものが,日本の中で,京都の中でもう少し定着するといいと思います。せっかく京都はそういう面で恵まれていると思いますので,ひとつのワーキンググループの検討事項のひとつとして取り上げてもいいことだと思っています。

○ 実は,23年前にホームビジットの会を京都でつくりました。ホストファミリー協会といいまして,大学に留学している学生たちに,自分の家に泊まってはもらいませんが,一緒にご飯を食べて一緒にテレビを観て,一緒におしゃべりをして,そして夜遅くなったら泊っていきなさいよみたいな,日本における,京都におけるお父さん・お母さんの家庭というのをやっておりまして,今までに400軒ぐらいのメンバーがいます。学生さんは2千人ぐらいお世話をしたと思います。それで1989年に京都市国際交流協会ができました時にも,同じプログラムをやっていただいていまして,細々とはやっております。ただ,それは大学に来た人,先生が今おっしゃったように中学校・高等学校の人はできていないのと,1年ぐらいいる人を対象としていますので,今日行くから,明日行くからというような人は,申し込みはいつもあるのですが,それは全然手当てできていません。それでも,かなりないい効果はあったのではないかと思っています。

○ この分野は,実はかなり混沌としていて,あちこちでやっておられるけれども,全体としてノウハウのシステムをもっとうまくやったら,いろんな意味でものすごくいいと思います。でも,下手をしたらほんとに大変でして,うまく情報を集めて,いろいろノウハウをためては人に言って,こういう場はああしてこうしてというためには,ちょっと何か一工夫あったほうがいいかもしれません。そういうことは,いずれこの提言の時に入れたらと思います。

  今のこのテーマで,ホームステイに偏ったかもしれません。それ以外でも何かありますか。

○ 国際交流基金は海外における日本語普及ということで,大学とか高校レベルでも日本語教育を支援するということをやっています。それでちょっと思いましたのが,この日本から見た姉妹提携の相手先として,潜在的に候補となりうるのは,やはり日本語を教えているような大学とか高校ではないでしょうか。やはり接点作りをするためにはそういうところにアプローチするのが効果的ではないかと思います。私はカナダに3年間いたのですが,カナダで,特に高校で日本語教育を始めるところがかなり増えていまして,10年間で3倍ぐらいになっています。そして,日本語を選択科目として教えている学校が100校ぐらいありまして,日本語を学んでいる生徒の総数は1万人近くです。ただ,そのほとんどが日本に行ったことがないのです。そして,日本語を学習するきっかけというのは,やはりアニメとかマンガ,ここから興味・関心のきっかけとなっています。それで,ゆくゆくは日本に行って日本文化に触れてみたいと,そして,同世代の日本の高校生と交流してホームステイもしたいという希望を持っている人がかなりおります。ただ,それが実現せずに至っているということですので,この辺のところが狙い目かと思います。やはり日本語教育をやっている高校は,こういうインセンティブが強いのです。もし,京都の側からアプローチをかけるとした場合,高校で日本語を教えているところをターゲットにすることも一つの方向かと思います。

○ 今,カナダといわれましたが,他にそういう傾向が目立って強くなっている国はありますか。オーストラリアとか。

○ 中国,韓国もそうですし,オーストラリアですとかアメリカですとか,日本語というのはかなりの広範囲に世界に広がりつつありますので,そういうところとの接点を広げていくということで,何かお考えになるといいかと思います。

○ なるほど。そういう繋がりはなかったので,国際交流基金さんの知恵を使ってみるのもいいですね。

○ 中国でも,日本語をすごく熱心に教えています。北京に月壇中学という学校がありまして,日本語を教える人は,国の費用で日本に必ず1年間勉強に来ます。1年間は,絶対に帰ったらだめだそうです。文科省のあれみたいに。そういう人ばかりが教えている学校と,在職中だけですが姉妹提携をしていました。それはものすごく熱心です。けれど,なかなか難しいのは,こちらからは行こうと思ったら行けるのですが,向こうから来るための費用を持たなくては交流ができないということがあります。私が行った学校が貧しかったのかもしれませんが。そのへんで先生たちの交流は出来ましたけれども,ひっかかってしまいました。ですから,日本語を熱心に教えている学校は,すごく交流しやすいと思います。

○ どうもありがとうございます。ちょっと時間の配分を考えなければいけなくなっていまして,とりあえず以上は,アンケート調査報告のコメントをいただいたということで,まだ議論は尽きませんけれども,大変貴重なご示唆をいただいたかと思います。  

(3) 審議

  ア 大学,教育における国際化の推進について

○ 冒頭ご紹介がありましたように,総合企画局プロジェクト推進室,教育委員会学校指導課から各々課長級の方々に来て頂いています。今の説明に補足とか,特にこれが目玉であるとかここに注目して欲しいとかありましたら,お話し下さい。

● プロジェクト推進室からは,特にゲストスカラー制度の創設ということで,3年前には素調査を致しまして,昨年度は研究会を立ち上げて検討してきています。  

 これにつきましては,研究会のほうから提案を頂きまして,アメリカのウッドローウィルソンインターナショナルセンターで取組まれていますフォーラム型のシンクタンクの設置ですとか,東京お台場の国際研究交流大学村と同様の施設を京都に敷設することも考えられるという提案をいただいています。

 これにつきましては,今年度動いているということではないのですが,これらの施設を京都に敷設するために,例えば,「大学のまち・わくわく京都推進計画」これは来年度が中間見直しになっていますが,そういったところへの反映ですとか,京都市の基本計画ですとか,京都の創生事業等への連携,また,是非この国際化推進プランの新しいプランの中でもご検討いただき,反映できるような形で考えていただければと思っております。

○ これは要するに,産学連携を進めるような研究者を招いてきて,そこに何かシンクタンク的な機能を育てていくというようなことですか。

● ここでは大学発の産業活動ということを書いているのですが,必ずしも,そこまでこの分野でということではありません。計画のほうからそのまま読み上げますと,「各大学における客員教授制度等と連携し,京都を訪れる研究者情報の共有化と,来訪した人材と市民が交流できる仕組み作りを進める。また,産学公地域等が連携して,海外から優秀な研究者を選考し,一定の滞在費を提供することにより,その研究者を中心として,研究や教育,シンポジウム等の活動が幅広く展開される招聘制度の創設を検討する」ということです。ただ,招聘制度については,研究会の中で検討していただくことではありません。研究者情報の共有化ということで,データベースの試行実施をしたりですとか,来訪した人材と市民との交流としてひとつモデル的なケースとして「Meet in Kyoto」という交流の企画をしたり,研究者の方に京都迎賓館を訪れていただく催し計画をしたりということを大学コンソーシアム京都と一緒にやっています。

○ どうもありがとうございました。少し見えてきましたね。教育委員会からは,いかがですか。

● 目玉としましては,ここにでております「国際マンガサミット」の開催なのですが,これは,実は平成8年,1996年に初めて「東アジアマンガサミット」として福島県で開催されたのが始まりとなっています。その後は,日本には戻ってきておりません。中国,韓国,台湾,香港といったアジア諸国を中心に開催されて,来年度2008年秋には京都開催となっています。世界各国の漫画家同士の親善・交流をベースにしまして,マンガ文化の振興ということを目的としています。中身的には,当然,マンガ活用等に関するフォーラムでありますとか,各国の漫画家による原画展ですとか,アニメとかマンガとかについては,日本の文化としてファンの方には受けるかと思います。あるいは展示販売,あるいは市民参加のイベントなどが行われる予定であります。当然ですけれども,こういったイベントでありますので,コンベンション機能も充実しました京都市ならではの事業として国際文化交流,観光振興等,大きな成果を期待しているところであります。

 次に,伝統文化体験活動に関しましては,平成10年,11年度あたりからそれぞれの授業をしております。学校茶道の推進に関しましては,平成18年度から始めているようなところであります。中身的には,「京の雅探検隊事業」「京都の『匠』ふれあい事業」とありますけれども,基本的には市内の小学校・中学校に伝統文化・工芸関係の職人の方を派遣して,授業の一環として制作体験教室などを行っています。茶道の関係でいいましたら,茶道部というかその施設備品的なものが十分ないとできないことになっていますので,そのための経費配分をしています。

○ これは,国際的に行うということですか。

● 国際的にといいますと難しいのですが,まずそこから知ってもらうということです。

○ その教室の中に日本語がよくわからない人がいた場合に,ちゃんと対応できるのですか。

● その場合は特別に,例えば,ALT(※)とか,英語なり話せる方に解説いただかないと難しいかとは思います。伝統文化関係はそんなところであります。

(※編集注)ALTとは日本の学校における外国語授業を補助する外国語指導助手(Assistant Language Teacher)の略語。外国語青年招致事業(JETプログラム。地方公共団体が総務省,外務省,文部科学省及び財団法人自治体国際化協会の協力の下に実施する事業。)の参加者の職種の一つ。他にCIR(国際交流員),SEA(スポーツ国際交流員)がある。

 

 次に英語の話ですけれども,元々,ALTにつきましては,高校に関しましては1校に1名ないし2名,中学校に関しましては,数が80校ぐらいあるのですが,だいたい5,6校に1名ぐらい,それぐらいの配置でやっていたのですけれども,そこからかなり充実させてきました。

 まず大きな転機としては,先程でた小学校の英語教育という観点です。平成  12年に全国初の小学校専任のALTを配置し,先進的に英語教育の取組を進めてきています。その後,平成17年度からは,それまでの成果も踏まえて,中学校卒業段階での目標でありますが「京(みやこ)英語スタンダード」と命名した,例えば,ここにでていますような英語でコミュニケーションしようとする意欲を持つとか,あるいは外国人に英語で話しかけ,必要な情報を教えることができるというような具体的な目標を設定して,英語教育に取組でいるところであります。

○ どうもありがとうございました。他にご意見のある方どうぞ。

○ 私は,京都が国際的に開かれた大学のまちという位置付けが非常に大事なことだと思います。大学が独立行政法人化になった時も,私は京都大学にも是非2つのことに特色を出したらいいと考えました。ひとつは,京都にある京都大学,それから国際的に開かれた京都大学,これは東大ではできないことで,是非ひとつ京大で率先してということを言い続けたのですが,なかなか難しいようであります。ただ,これは各大学の問題で,教授制度からビジティングプロフェッサーとか,そういう大学のシステムそのものに関わる問題なのですけれども,私はあまりにも日本が遅れているのでこれをなんとか早急にしないと,日本は日本だけの象牙の塔で閉じこもると,これはものすごく危機感を持っています。各大学が相当,外国人の先生を採用し留学生をたくさん受け入れているということですが,それを京都市としてどういうふうにうまく,国際的に開かれた大学のまち・京都というものを実現するかというのが非常に関心事項です。

 ただ,大学コンソーシアムというのを京都市がやっているのは,これはすばらしいことだと思います。今までは,大学コンソーシアム京都というのは,京都にある30,40の大学間の連携だったのですが,第2フェーズとして,京都に所在する大学が国際的に開かれ,あるいは国際的な関係を非常に合理的に発展させるという仕組みを是非やったらいいと言い続けています。それで,それは個々の大学にそれを働きかけるということがひとつと,それから,人口の1割も大学生がいる町で,外国人の留学生というのも増える,あるいは研究者も増えるということで,それぞれの大学がバラバラに何かやっていることを,少し共通で,例えばカウンセリングでも外国人の留学の募集でも姉妹提携すらも,そういうようなことがもう少し合理的に,且つ効率的に大学コンソーシアム京都というものを通すことによって出来るのではないかなと思います。このワーキングパーティーがどの程度この核論に入られることが可能なのか私はわかりません。もう少し地道なというか身近な問題について,深く突っ込むという位置付けだという感じもしますけれども,ただ,私が申し上げた点はこれからの京都にとって非常に大事であると思います。議題が「大学教育における国際化の推進について」ということでありますので,正面から時間を区切って発言をさせていただきました。

○ ここにあります「今後の取組等」についてのとこで,今,中村先生が言われたことと関係があるのですが,3行目にある「世界中から一流の研究者と学生が集い,交流し,活躍するまちを目指すために,海外からの来訪者向け住宅の充実や研究者等の家族への必要なサービスを充実する。」というのは,数年前に「大学のまち・わくわく京都推進計画」というところで,私がたってとお願いして書いてもらったことです。その後,どういうふうになっているのかと思っていたのですが,今,言われたように理想は高くて,実際にこういうことをするのは非常に難しいと思います。ホームステイでもそうです。また,立派な家があちこちでたくさん空き家になっていても,その提供をお願いするのは非常に難しいことだと思っています。

 それから,長期滞在の外国の先生方や留学生の方はそれなりにケアができていると思いますが,短期滞在の方,1ヶ月なり半年なりの方にはなかなか手が届いていないと思います。そういう方に,例えばちょっとした日本語の教育などがぱっとできるということがとても大切なことだと思うのですけれども,そういうことを京都市や大学コンソーシアムでもいいのですが,そこがまとめ役をしてくれて,汗をかいてくれるという方,というか誰が汗をかいたらいいのかわかりませんが,そういう気持ちというのも大切ではないかと思っています。

○ 短期の研究者をいかに京都がおもてなしするかというか,遇するかというのは,私は非常に大事な問題だと思います。

○ 京都大学の中も日本語が出来ない教授,准教授といった方たちがちょっとずつやっと増え始めました。それでも,教授会で資料をどういうふうにして準備するかなどというとなかなか大変ですが,なんとかでき始めています。ただ,言われる意味ではまだまだです。そして,コンソーシアムのほうで,そういうこの京都にある大学の国際交流と仕組みを合体させて,両方とも共有してうまくできないかということが始まっているということも聞いているのですが,事務局で把握しているようでしたらお話し願います。空き家の提供だとか短期滞在者に最低限のサービスから始まって,いろいろな便宜・協力をされていることが何かありますでしょうか。

● コンソーシアムとしてまとまった事業としては,京都地域の留学生の保証機構の取組が1番大きな取組でありまして,なかなか短期の方の取組は進んでいないという状況です。

○ さきほど空き家のお話しがでましたけれども,ゲーテ・インスティトゥートのやっている活動を参考までにお話しします。サマーコースを行っているのですが,何千人もの学生さんたちが8月,9月にドイツに押し寄せてきまして,それを2つのグループ,12歳から14歳組と15歳から17歳組に分け,どちらのグループも完璧に監督下に置かれます。そこで,夏の間使っていない大学の施設を借りまして,寮と一緒にゲーテのサマースクールとして使っています。このサマースクールという活動が,ゲーテの収入が赤字でなく黒字になっている唯一の活動です。これと似たようなことを日本でされてはどうでしょうか。このサマースクールというのは非常に人気が高くて,70%の人がまた参加したいと言います。場所も足りないような状態で,特に親御さんは子供が2週間も行ってくれて嬉しいわという感じで,どんどん送ってくださいます。生徒たちは完璧に監視されていますし,政府の機関がちゃんと教育をしてくれるということでカリキュラムも先に出ますし,朝から1時まで勉強したら,午後はいろんな活動をさせて,夜は寮で寝せるのですが,11時にはちゃんと就寝させるようにしてお酒もあまり飲ませないようにしています。私も4週間ほどみたことがあるのですが,先生にとってはほんとに悪夢のような体験でした。

 やはり,こういった活動を行うために肝要なことは,政府の補助があるということです。学校・大学だけでやろうとしてもとても資金が賄えませんので,補助金は不可欠であると思います。私の家はそんなに裕福な家庭ではなかったのですけれども,私の3人の兄弟と私は学生の頃にすべて,1セメスタか2セメスタ,アメリカですとか他の国の大学で勉強することができました。これもやはり,政府がバックアップしたプログラムがありまして,学費がちゃんと普通の家庭でも賄えるような仕組みがあったからです。

 2つ目なのですが,ドイツで2002年か3年ぐらいから始めた変革があるのですが,これは大学のカリキュラムの変革です。これを英語のシステムに変えていくということで,学部レベル,マスターレベルで行いました。ドイツ方式が悪かったわけではないのですが,周りをみていますと,知識ですとかビジネスリーダーや,例えば物理学者だとか,そういった人材への要求が非常に国際的に高まってきておりまして,さらに人口面,日本のような少子化社会ということもありますので,それに対応するということで始まったものです。ドイツが今やっている英語での大学教育というのは,初めは全くドイツ語をしゃべらなくてもよくて,2回ぐらいセメスタを経てから英語にスイッチしたりとか逆にドイツ語にスイッチしたりとかが出来る仕組みになっています。

○ どうもありがとうございました。いろいろご意見がでました。日本の大学で,夏休みに学生寮が全部空になっているというシステムがあれば使えるのですが,いろいろ学生が残っていますね。特に大学院の重点科になりますと,実験室絡みで動いていますので,生物を飼っているところなどでは夏休みはありませんが,うまく工夫したら,京都市内にそういうスペースがあるのかもしれません。

 もうひとつは,短期の留学生や客員の方を大事にという発言があちこちからありましたけれども,それは今の時代はかなり重要でして,鎌倉時代に宋に留学していた実相のお坊さんは日本に帰ってくるまでだいたい20年ぐらいいましたが,今は段々短くなってきて,先ほど言っていたような本当に優れた有能な人は,よその国に長いこと行かせてもらえなくなった時代というのが現実であって,用事があるとぱっと来て,用事を済ますと帰るというようなことです。しかし,もう少しいてもいいかなということが分かったら,もう一度,改めて来るということで,短期に来ている人たちの中に,将来,もっと太いパイプになってくれる人もいるわけです。ですから,そういう部分で,今の空き家を探すとか居住状況を考える。また,京都だから来ましたという人も結構あるのです。会議を開いた時に,お金もあんまりなくて申し訳ないけれども,と言ったら,京都だから行きますという人もいます。それも大事なことでして,それぞれ生かそうと思えば,ちょっとした仕組みがあればいいのかもしれません。

○ 京都の夏は少し暑いですけれども,夏休みとかあるいは春休み,イースターでもクリスマスでもいいのですが,ホテルではなくて,数週間滞在のための住居を用意できればと思います。そこで,京都市はものすごく旧小学校の活用の仕方が,すばらしいと思うのです。私はすべて非常にいい形で使われていると思うのですが,例えば,短期の宿泊の設備というのは,旧小学校になじむのか,本当にちょっとしたシャワーぐらいで,もしかしたらバスタブが無くてもいいのかもしれない。あとは,これは仏教会の協力を得ないといけないのですが,お寺の塔頭を外国人なんかはちょっと手洗いとかを工夫をすれば,もうみんないいのではないかと。夏季,春季や冬季だけでも何かそういう短期の宿泊がうまくできればと思います。それこそ,日本のことを勉強するための京都における外国人のためのサマーコースですとか。そういうようなことが,もし実現できれば大変いいし,そうでない若い研究者のための短期滞在施設としても需要は十分あると思います。何か利用の工夫をしたらいいのではないかと思います。

○ プラス補助金ですね。

○ ちょっと視点を変えてもよろしいでしょうか。京都の魅力をどうやって海外に発信するかということで私からの提案なのですが,京都には大学が多くて留学生の方たちも毎年たくさんの人が勉強しにやってきています。そして,本国に帰って,日本での経験を踏まえて活躍されているのですが,その元留学生といわれる人たちを帰国後,関係が途切れないように繋ぎ止めて活用していくということが非常に大事なことではないとか私は思います。そういうことに対して,国際化推進室で,どのような対応がなされているかということ知りたいと思います。京都に一定期間,腰を据えて生活した元留学生は,京都の良さというのを知っています。それで,母国に帰ってもそれぞれの分野で活躍して,それなりの影響力や戦力を持っているという人たちにうまく登場いただいて,京都での留学体験・生活体験が,今の自分の仕事にどう生きているかということを発信する場を京都市のイニシアティブによって作れないかと思います。元留学生の中でも政財・官界・各界で活躍している方がかなりでてきていると思いますので,例えば,京都市,あるいはその関連団体が発行するニュースレターなどにシリーズで書いてもらうとか,講演会を組織するとか,またはOB会を立ち上げてネットワークを作るとかに対して日本側から支援できればすばらしいことだと思います。そういう人たちはかなり京都の魅力を発信する切り札的な存在といいますか,応援団としてのポテンシャルを持っている方たちなので,そういう人たちをどう活用していくかということがひとつポイント,可能性なのかなと思います。 

○ 今,諸大学ともに元留学生の繋がりを作り直そうとしていまして,例えばタイは,京都大学の留学生だけの集まりではなくて,京都の大学にいる人たちで団結していて,活動がちょっと盛んになり始めています。東京大学の場合はちょっとハンデが,役割がありまして,財界関係者が東大出身が多いので,そちらで声をかけるとすぐに揃いますが,京都はあまりそういうものがなかったもので,ほんとに自発的にでてきています。この間もインドネシアでちょっとしたことがあって,韓国はかなりあります。ですから,言われる通り,こういうアンケートを取られた時にそういうデータがでてきたら,次の機会にでもやるといいと思います。本当に大変貴重な繋がりで資源でもあると思います。

 それでは忙しいですけれども,とりあえず「大学・教育における国際化の推進について」につきましては,いろいろとご意見をいただいたのでこれで終わります。また事務局のほうで整理くださればいいのですが,最終的に全体の提言をつくるときには,追加あるいは強調ということもあろうかと思います。

 

  イ 今後の国際交流・国際協力の取組について

〔資料(抜粋〕〕京都市の国際交流について

① 京都市交響楽団とプラハ交響楽団による姉妹オーケストラ盟約を締結(平成15年度)。

② 蘇州市と観光交流・学校交流,青少年交流で相互協力を進める「覚書」を締結(平成18年度)

③ 文化・スポーツ交流の一環として京都・パリ姉妹都市交流柔道大会を実施している。

④ フィレンツェとの姉妹都市提携40周年を契機に,府・会議所・同友会が経済友好交流協定を締結

(平成17年度)。その後,錦市場商店街がフィレンツェ中央市場と友好協定を締結。

⑤ 京都市立紫野高校では,オーストラリア等海外の語学学校や小学校を訪問するなどの研修を行う。

○ ではまず資料に5つ挙がっております国際交流についてご意見はありますか。

○ 京都は,地理的にも均衡のとれた非常にすばらしい姉妹都市を持っていると思います。そこで,私がひとつ発言したかったのは,姉妹都市というのは大変結構なのですけれども,あまり京都市のお金を毎年,毎年使うというようなことは,そろそろなるべく抑えると,むしろ民間交流といいますか,すでにいろんな合唱団が行ったり舞踊団が行ったりしているように,民主導の姉妹都市交流というものに段々シフトしていくということが大事だし,且つ長続きするひとつのポイントだと思います。もうだいぶ実績ができていますから,ある程度目鼻がついたら市のミッションが退去していくとかして,さらに盛り上がる姉妹都市交流というふうに方向付けていったらいいと思います。50周年ぐらいならいいのかもしれませんが,他にも京都市はたくさんの貴重なことにお金を使わなければいけないと思いますので。

○ 方向としてはその通りだと思います。でも,最初は,姉妹都市をパリで,その次はボストンでということで締結していた時は,民間,民間のところには大学の先生なども含めて,それぞれ是非ボストンと姉妹都市になろうとか,是非キエフとなろうとかいう市民の方々の多くの意見が結構あって,市長もそれを取り上げていこうということで結んでいきました。今もあるのですが,もう9つもあってとても無理ということで増やしていません。そういう形で全部,委員会ができたのです。京都ボストン委員会とか京都ケルン委員会とか京都フィレンツェ委員会とか全部委員会があって,その委員会を中心にいろんな活動をしていました。ところが,年が経ってきますと,その時にやろうといってやった人が残念ながらどんどんお亡くなりになる。お亡くなりになると,個人的にやっていたので全然後継者がいないようになって,どんどん無くなってしまいました。今はほとんどありません。一部ボストン等はありますが,あまり大げさな活動はされていません。

 ですから,今の状況から率直に言いますと,京都市が5年刻みでやっている周年事業を止めたら,もう何にも関わりが無くなってしまうところがかなりあるのが現実です。たまたまフィレンツェは,40周年の時に経済交流推進について新たに協定を締結したので盛り上がっています。その今の時点で何とか京都フィレンツェ委員会をつくれませんかと,私もかなり働きかけてフィレンツェファンの方たちに言っていて,経済界の人も大学の先生方も芸術家も,それぞれそこと交流したいという人たちに集まっていただいて,何か自分たちが出来ることからやっていこうかというような,そういう組織作りをしていかないことには,言われるような方向にはなかなか進んでいかないと思いますので,そういうところからやり直したほうがいいように私は思います。そして,さっきから姉妹校などいろんな話があったのですが,せっかくある姉妹都市なのですから,他ともいろいろやったらもちろんいいですけれども,その姉妹都市のいろんな関係機関とは少なくともみんなが関係を持ったほうがいいと思います。その分野でのいろんな民間団体も含めて交流を深めて寄与するということにみんなが集中してこないと,なかなか市民のほうに向かっていかないという感じはします。

○ これは錦市場も含めてのことですね。

○ このフィレンツェは,商工会議所をやる前に経済同友会でスタートしまして,それをじわじわと商工会議所に移されまして,それを私たちが引き継いで,また民間にいっているという具合でして,実は先ほど言われた京都フィレンツェ委員会みたいなものが先に東京にできています。応援団みたいな組織です。そして,京都に出来るのはわかっているから先に東京で作ってみたという感じになっていまして,あちらは遊びで作ったのですけれど,京都に早く作ってくれと急き立てられているような状況です。そして,早く京都でできれば,それに合流するとか,もしくは応援すると,応援したいということなのです。現実,くっつくようなところは,イタリアのレストランとか,「サンタマリアノヴェッラ」が1番良い例ですけれども,もう出来てしまっているのです。ですから,これ以上追求しても出来ないものは出来ないし,出来るものは出来るので,もうある程度は民間に任せて,先に言われた通り,周年で何か行事をやっていくと,そして,また民間でいろいろな行事が生まれたら,それはそれでいいというようにしないと続かないと思います。

○ フィレンツェは似たような古い背景がありますから,いろいろとでてきますからね。 

○ ただ実は,この錦市場との提携も,最初はいろいろありましたけれども,今はちょっと厳しいところがあります。実は日本食をフィレンツェに持って行って,それをそこで売るというのはとても難しいことだそうです。毎日食べているものが,日本みたいに和洋折衷というふうにしないのです。イタリア料理だったらイタリア料理をずっと食べているので,日本の素材を持って行ってもそれが売れるのは,なかなか難しいようです。

○ 料理のスピリットとかコンセプトとかはいくのでしょうけれども食材までは難しいのでしょう。

○ レストランだと回転寿司も流行っているし,とんかつも流行るのですが,家で作るものは,やはりずっとイタリアンなのです。だから,なかなか食材が売れないということがあとから分かってきて,なかなか続かないということになっています。

○ 期待しています。面白そうです。

○ こういうものは,直接お金儲けにはつながらなくても遊び心でいいのではないかと思います。

○ 400年続いている市場同士は,やはり面白いと思います。

○ そうですね。それで,京都は素材を持ってくると,ある程度は売れます。ですので,大丸は毎年やっています。だから,大丸がイタリア展やる時は,隣ですから錦もやれば盛り上がると思いますし,そういう情報を渡してあげるというのが大事で,やるやらないは,その当事者に任せるという形がいいのではないかと思います。

○ ありがとうございます。他にこの国際交流というグループの話題で如何でしょうか。 

○ ちょっと戻るのですが,ひとつだけお話ししたいと思います。先ほどある委員が教育の伝統文化体験活動のところで,外国人が入っている場合というご質問をなさっていて,ここのあたりは,そういう意味合いでのいわゆる国際教育ではなくて,むしろ子供たちがこれから将来,国際社会に出て行く時に,やはり日本文化,特に京都における日本文化について,それなりのきちっとしたものを身につけていないと国際人としてよくないということで,こういう国際分野での重要性が特に強調されてでてきているのだと思います。同じレベルの子からいいますと,これは何の勉強ということではないのですが,私がいつもみていて体験的に思うのは,日本人が外国人と付き合う時にもう少し,極端に言いますとディベート能力がないといけないのではないかと考えます。英語が上手な高校生もいっぱいいます。先ほど紹介がありましたこの間の子供たちの環境会議でもすごく英語が上手なのですが,どうもレポートが終わってディスカッションになると,今,そこで問題になっているテーマに応じてなかなか話しができないところがあります。ですから,日常的に字を習う教育法があるのはいいのですが,もう少し,授業でやっているテーマについて,意見をぶつけ合って自分の考えを発言するということがないと,語学だけの問題では解決できないところがかなりあるということをすごく感じました。   

○ いつも言われていながらなかなか施策として難しいですね。

○ 日本の高校ぐらいになるとはっきり言えませんが,小学校・中学校ではとにかく書いたものを読む授業なので,書くのはうまいのですが,書いたものを自分の言葉として発表できないのです。ですので,私は生徒に「読むな」としょっちゅう言っていました。生徒会で発表する時でも,委員長は書いたものを読んでおしまいです。それではダメということで,目を見て話しをしようと言っていました。読むのは上手に読めるのですけれども,書いたものがなかなか自分のものになっていないのです。だから,それを口で言いなさい,説明をしなさいということを言っていました。例えば,私は物を読むということは,どんな時もしませんでした。そして,それが見本になって欲しいと思っていました。そこは,国際化のものすごく大きな問題です。だから,書いたものを原稿にするのはいいとして,それを発表する時に自分の意見にしてしまって発表しなければいけません。向こうから何か言われても,自分は何も見ずに言わないといけないわけですから。やはり,そういう訓練が足りないのでしょうか。これも国際化のベースなのでしょうか。

○ 全く委員の言われる通りで,日本の大きな問題だと思うのですが,国際会館で国連の高校生の「モデル・ユナイテッドネーションズ」というのを毎年やっています。そこには,京都の高校生が3分の2以上いて,日本人同士だけれども日本語を全く使わないで,決議案の提出をし,その修正案を出して,それに対する反対,質問があって,まさにディベートが3日間ずっと続きます。それで結構,京都市の市立の英語専攻科がある高校生が割合頼もしいと思いました。ですので,最初は,外国にホームステイに行った人とか帰国子女の人とかが中心になるのはやむを得ないと思いますが,外国人の先生のジェットプログラムも増えましたから,その層が広がっていけばいいと思います。それが非常に大事だということは,私はものすごく大賛成ですので,それに向かって少しずつ進めばいいと思います。  

 ただ,京都市は割合,そういうことを心がけているような気がしています。今日の報告でもありましたし,ALTですとか授業の中でのディスカッションみたいなものも是非,大いに強化して欲しいと思います。

○ 今,英語教育の底上げという話でしたけれども,外国に行くと大学を出ていたら英語を話せるのは当たり前で(中国はダメという話あり)韓国の大学生とかはみんな話すことができます。ここにおられる方は話せる方ばかりだと思いますが,日本では大学を卒業しても話すことができません。私には国際会館で同時通訳をしている叔母がいるのですが,彼女は何十年もホームステイの受け入れをやっています。もちろん,言葉に支障がないのでハードルが低いのですが,普通の60歳ぐらいの女性というのは,部屋が空いていても言葉がしゃべれないということで躊躇します。最近の高校生・大学生の方は英語能力の底上げということが非常にあるのかもしれませんけれども,一般の人が英語を習おうと思うと,何万,何十万とお金が掛かってしまいますから,そういうところを無料,もしくは安価で一般の方が勉強できる機会などがあれば,裾野が広がっていくのではないかと思います。例えば,商店街の交流などにしても,世話役の人が,語学ができるかどうか,FAX一枚送るのでも通訳の人にお願いするとなるとなかなか交流が進まないと思うので,そういうところでもう少し,学生以外でも英語を学べる機会などがあればいいのではないかとは思います。

○ 60歳以上の方というのは,やる気満々でとても元気です。私は,これまでに3度,英語のレッスンという形ではありませんが,動機付けみたいなことをやっています。そこで,勇気を持って,こういうふうに話しをしたらできるということを皆さんにお伝えしているつもりです。そして,10回終わりますと,ボランティア登録をしてくれる人がかなりいまして,ホームステイを受けてみようかとか,せめてホームビジットぐらいから受けてみようかとか,そんな思いを持ってくれます。また,国際交流会館に来ているアメリカ人とかオーストラリアの人とかが,ロビーを使ってプライベートに,空き時間にわずかなお金で教えてくれている人もいて,続けて英会話の勉強をしている人もいます。点ぐらいですけれども,そういう人たちから多少広がりがあったらいいなと思っています。特に女性の60歳以上の方たちは,男性よりも大変頼もしくすばらしいです。恥ずかしがってなかなかしゃべらないということがありますが,恥ずかしがらなければ,ある程度のことはなんとか無理やりにでも通じますし,最悪,電子辞書を見せたらいいと言っています。それでもコミュニケーションは成り立ちます。ですので,時々はやってみましょうというところからお話ししています。そういう人たちも,それぞれで楽しいようですし,そう捨てたものではないと思います。

○ 今,点と言われましたが,そういうことがうまくいって広がっていけばいいわけですね。

○ 働いている時と違って,時間がある人たちですから。

○ 例えば,この国際交流の2番目で蘇州市と観光交流ということで,「観光交流」という言葉が目に飛び込んでくるのですが,これは,今の京都市の施策の中でも重要な部分になっていくはずだと思います。まずは蘇州ということでやられているのでしょうけれども,もっと他のところともと思います。別に,歴史都市単位という大きな枠組みがあって,これは京都市が多大な尽力をして,言ってみたらパトロンみたいなものです,そういうのをこういうことに生かせるような素地というのがだいぶ整っているのではないかと期待しているのですが,なにか事務局で報告していただけるようなものがありましたら,お願いします。高木委員のほうが詳しいのかもしれませんが。

○ 観光のほうは,観光情報のやり取りとかノウハウの上での連携とかが特に多いのだと思います。もちろん,それも含んではいますが,そことだけ観光客をやり取りしようとか,特別な形で提携していますとかいうことがメインではないと思います。

 歴史都市会議のほうは,早く言えば手間はかなりかかりますが,お金はあまり要りません。京都市が会長をしているというだけで,会議はそれぞれのところが負担してやってくれますから,あまりお金をかけずに,今,70都市を越えたところまで順調に増えています。この前も新聞に書いたのですが,来年はトルコでやります。その時に,できたらそういう町づくりについての意見交換をしているところをみたいという市民にちょっとでも参加してもらって,何をやっているのかということを知って欲しいというのがひとつと,もうひとつは,行政関係者ばかりだけで議論をやっているだけではつまらないですので,若い人,できれば大学生・大学院生に議論そのものに直接参加をして欲しいということです。それは,京都だけではなくて,歴史都市会議全体として,そのようにやっていこうと考えていまして,来年は会長として,京都から行ってもらおうと思っています。すまいまちづくりセンターが設立10周年で,手作りでの大学生を対象のコンペをやってくれまして,その優勝の副賞にトルコでの歴史都市会議に参加としようということで,だんだん市民の皆さん方にこういうものがあって良かったと思ってもらえるようにしたいと考えています。

○ 姉妹都市にある学校と学校の交流を進めて欲しいと思います。学校といったら教育委員会ですが,教育委員会だけでやったらお金がないし無理だという話になってしまうように思うのです。実際は,お金がなくてもしようと思ったらできますけれど。だから,姉妹都市でも歴史都市でも学校を見つけていただいて,京都市の枠の中で学校の連携,学校交流を入れてもらえたらいいのではないかと思います。

○ ある程度お金がかかっても,そういうところに行きたいという人はいます。今の歴史都市会議でも募ればあると思いますし,小学生の交流でもお金は要るけれども,普通の観光ではなくて交流でないと体験できないことが組み込まれていればと思います。

○ 学校が連れて行ってくれれば連れて行ってほしいと思っている保護者もたくさんいます。選考するのに困るぐらいです。ですので,学校という組織の中で計画したら,いけると思うのです。

○ 姉妹都市ですので,受け入れをこういう形でして欲しいと向こうにお願いできますしね。

● たしかに経費的な面でいうと,はっきりいって予算保持がありません。小学校の交流にご熱心な委員が先生としていらっしゃった頃には率先して先生のほうで,地域の方と一緒になって中学生の交流をしていただいたと聞いています。ただ,やはり,個人負担の部分と公費,先生の出張旅費等が,当然必要となってきますので,制度となるとやはり予算保持が必要かなと思っています。

○ 制度化するちょっと前ぐらいで,いろいろな試みがあっていい時代なのでしょうか。

● そうですね。来られる分に関しましては,ホームステイを受けるところはなかなか難しいところもあるとは思うのですが,積極的に受けてみようというような学校がでてきていますし,文部旧来からここにでていますようにたくさん受け入れていると思います。行くほうに関しては,新たにルートをつくっていくなり制度をつくっていくなりしないと,学校が独力でやるのはなかなか難しいかなという気がします。

○ 難しいですね。さきほど市民に英語を教えておられる委員が言われたように,PTAの方に家庭でできるような簡単な自己紹介みたいなものを教えますからというと,40人ぐらいが集まります。そして,お金を作るために,その時にカンパ袋を置いておいて,子供を向こうに行かすためにここにちょっとだけお金を入れてとお願いしたところ,結構集まりました。もちろん,やるほうはボランティアです。ですから,いちいち一委員会がお金を出さないからできないと言っていると何もできないので,そういう協力体制を作ってしまうといいと思います。そして,面白いのですが,そうして集まったら絶対に当てないという約束をして,そういうグループを作るのです。英語などをやっていても当てたら嫌と言われるので,当てないのが条件です。

○ 実際に,そういうツアーとして組まれる時も,付いていってもらう先生の費用がちょっとくらいかぶっていてもかまわないと思います。その制度でするというのは,もちろん,京都市の予算も要りますが,そういうふうにすると,何かあった時に責任がでてくる。責任があると,教育委員会もなかなか大変なわけです。だから,経費や他のいろいろな問題があっても,それは自己責任でやっていけるような仕組みのほうが,姉妹都市交流事業としてやっていく上で大事だと思います。

○ 委員会に責任を負わせようと思うとダメですね。

○ お金を出したら,責任がつきますしね。行政は,両方がかなわないということになります。

○ あと,事業を実施された後のいいことだけではなくて,失敗とかも含めていろいろ工夫の余地がずいぶん残っているのに,毎年同じようなことが起こっているということもありますので,ちょっとしたコーディネーターとしては,しっかり責任を持てる組織がいるのではないかと思います。私の高校は,受入れをやっていまして,そこの高校はどうやって選ばれたのですかと聞くと,大都市以外で探しましたというぐらいの理由しかありません。そして,家庭によっても違うのですが,言ってみたらそこはかなりラフな文化も残っていて,いろんなことがありました。何もなかったらいいというわけではないので,是非工夫して,何が起こっているか分かった上で展開していく。まだそういう意味では,五里霧中の部分があるなというのが私の思っているところです。

○ 最初に国際交流事業小学校の部についてお話しがあって,とてもいいことだと思うのですが,その一歩手前として,最初に太田先生がカリキュラムとしての位置付けが欲しいと言われたことは,とても大切なことだと思います。現場がとても忙しいということもよく知っていますけれども,私が公募委員選定委員として選ばせて頂いた公募委員が応募なさった論文におけるお気持ちの最初のところに,海外青年協力隊として行って帰ってこられて,行ってこられた派遣地の貧しさをいろいろとお友達に話したら,お友達が「そんなところに生まれなくて,日本に生まれて良かった」と言われて,それをそのままにしてはいけないと思ってここに応募したということを,私は感動して聞いたのですが,出来ればいろんな国と交流して欲しいと思います。小学校の若い,小さい人が,自分より少し恵まれないような国の人のこと,事情を学ぶのはとても大切なことだと思いますので,それを簡単にできる形としてPICNIK,国際交流協会でされている,留学生でちゃんと話のできる人たちを小学校に派遣する仕組みを活用してもらって,是非,位置付けをしてもらえるようお願いしたいと思います。

 

〔資料(抜粋〕〕京都市の国際協力について

① 世界歴史都市会議を継続的に開催(平成18年10月第10回会議をオーストラリア・バララット市で開催)

② 「気候変動に関する世界市長・首長協議会」設立。第2回会議を京都で開催(平成18年度)

③ ㈶太平洋人材交流センターと連携し,アジア諸国の技術者等への研修受入等の協力。

④ 政府円借款事業による陝西省水環境整備事業で西安市技術職員の受入れ(平成18年度)

⑤ 「国際青少年みらい環境会議2007 in KYOTO」の開催(平成19年度)

 

○ 国際協力について,ご発言ありますでしょうか。交流と協力というのは,似たようなところがありますけれども,協力というのは,目的を一緒にして協同してやるというようなことですね。貢献というか。

● これは,どちらから見るかということで,交流とも言えますし協力でもあるということになると思うのですが,例えば,留学生の問題ですとかは,国際協力のひとつの重要な視点と捉えることができます。ただ,もう少し踏み込んだ中で,ここに書いていますように,例えば技術協力であるとかいうようなことは,支援をするという意味でははっきりした形で出てくると思いますので,そのあたりで自治体として,もしくは京都の企業・経済団も含めた何かアイデアができればいいなと思っています。経済的な支援というのは財政的にもなかなか難しいところではありますけれども,国の機関,ODAの機関とかを使いながら進めていけたらいいなと今のところ考えています。

○ 国際交流の話になりますが,この5番目の取組のところに,紫野高校がオーストラリアの小学校を訪問して研修を行っているということで,これはとても有意義な取組だと思います。そこで,せっかくオーストラリアに行かれるので,研修に加えて日本文化を紹介するという要素を組み込んでいってはどうかと思います。例えば,小学校を訪問した時に教室で折り紙を折ったり,書道・習字のデモンストレーションを行ったり,あるいは京都の祭りを映像や写真で紹介するというような双方向性を持たせるような研修にすれば意義が深まると思います。

○ いいですね。それはできますね。

● 詳細は,私も把握していませんので申し訳ごさいませんが,交流ということになりますと,なんらかの形の日本文化の紹介はされているのではないかと思いますが,また学校のほうには伝えるようにいたします。

○ これは,ちゃんと準備をしていくと,また身につくこともあると思います。日本の中だけでやっている時は当たり前みたいに思っていても,もう一度反省すべき機会もあって,本当にこれは価値のある皆さんに広げるものかどうかということを考えますので,そこで,われわれの文化そのものも変わっていくということが期待できると思います。

○ なぜ,高等学校ではなくて小学校なのでしょうか。いわゆる交流ということであれば,オーストラリアの高校に行ってはいかがでしょうか。何か見学みたいになってしまうので。これはプログラムの作り方にも依るでしょうけれども。

● 学習活動ですので,当然,何らかの目的を持ってやっていると思うのですが,また一度話しを聞いておきます。

○ オーストラリアなどは,そういうことは大歓迎だと思います。例えば,今,委員が言われた折り紙を一緒に作って遊ぶとかは,高校生でも大歓迎だし,ちょっとした日本のパフォーマンスでも歓迎すると思います。

○ 国際協力のほうですが,これは国際協力というよりも,ちょっと広い意味での国際貢献ぐらいに変えたほうがわかりやすいと思います。ここに書いてあることもどちらかというと,国際貢献といったほうが項目には合いやすいかと思います。どこが協力かと言われると難しいですが,勝手に思い込みとして貢献しているといえばしてないことはないなという感じになりますし。こういうことから言えば,別に行政がやっていることだけではなくて,例えば,京都賞なども京都として大変な国際貢献をしていますし,ロームがやっている世界の音楽大学の学生さんを日本に呼んでコンサートを行うなどいろんなことをされていますので,そういう民間の人たちが,元々,国際交流をどうしようかという中での話しですので,そういうことがもっと奨励することができるようなことを書き込むことが必要かもしれません。

○ 国際貢献ということを言われましたけれども,私は京都ができる最大の国際貢献は,どこかにお金を寄付するとかではなくて,日本の文化を国際的に知ってもらうと,それが京都の最大の国際貢献だと信じて疑いませんので,どこかにいくらかお金を寄付するなどは他もできることで,京都は京都らしい国際貢献を是非,念頭に置かれたらいいと思います。

○ 貧しいということの考え方も,世界中似たようにお金だけで計るということによく成りがちなのですが,文化をみていますとリッチとケチの境目でたくさんの暮らしぶりがあるわけで,それがまた環境にもプラスになっているとか,見直すべきことがあるかと思います。ですから,ちょっと工夫があれば,予算が少なくてももう少し世の中明るくなるようなことができるかと思います。

  時間がきてしまったのですが,この会はあとまだ2回あります。次ぐらいは,どういう施策なり方針なりを臨めばいいかという,やや具体的な行動計画につながる形の提言を引き出していきたいと思います。どうもありがとうございました。

● どうも皆さんありがとうございました。盛りだくさんのいろいろなご提言をいただいたと思います。特に姉妹都市交流などにつきましては,できるだけ市民レベルでの市民の顔が見えるような事業展開を今後もしてまいりたいと思いますので,また具体的な意見がございましたらよろしくお願い申し上げたいと思っています。財政のことについては,非常に厳しい状況が続いていますけれども,そういうことを置いても,先ほどございました国際貢献なり国際協力につきましてもこういう視点をもう少し考えたらどうだということがございましたら,またご意見をいただけましたら有り難いと存じます。

 

    

お問い合わせ先

京都市 総合企画局国際交流・共生推進室

電話:075-222-3072

ファックス:075-222-3055

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