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共同記者会見(2007年11月7日)

ページ番号25132

2023年4月12日

平成19年11月7日共同記者会見資料

はじめに

 京都市は,11月7日,来年迎えるパリ市との姉妹都市盟約締結50周年記念事業として,相國寺承天閣美術館並びに(財)京都国際文化交流財団と共同で,パリ市のプチパレ美術館で「相國寺・金閣・銀閣名宝展―京都における禅と美術―」の開催を発表しました。
 当日は,桝本市長,有馬頼底相國寺承天閣美術館長,可児達志京都国際文化交流財団理事長とともに,相國寺派を代表されて宗務総長 江上泰山様,出展作品の選定作業などをいただいた監修者のお立場から京都国立博物館長 佐々木丞平様からも御挨拶をいただきました。
 以下,桝本市長の発表内容と併せまして,主催者である相國寺承天閣美術館長 有馬頼底様並びに京都国際文化交流財団理事長 可児達志様からの御挨拶の概要につきましても掲載させていただきます。

京都パリ姉妹都市盟約締結50周年・日仏交流150周年記念 「相國寺・金閣・銀閣名宝展」の開催について

桝本頼兼京都市長

 それでは,まず最初に,この名宝展開催に至る経過と趣旨について,御説明申し上げます。
  「芸術の都」と称されるパリは,皆様御承知のとおり,京都市と同様,まち全体に数多くの歴史的建造物を有しており,その歴史的まち並みをはじめ,文化,芸術など,世界の人々を魅了する都市であります。京都市では,そのパリ市と両市の歴史的な性格と伝統的な文化の上に立ち,相互の友好的交流により,世界平和の基礎を確立することを念願し,1958年・昭和33年に本市初となる姉妹都市盟約を締結いたしました。
 以来,文化やスポーツ等の幅広い分野での交流を通じて友好と信頼の絆を深めて参りました。なかでも,平成10年の40周年記念事業では約550人が参加して,動く歴史絵巻「京都時代祭行列」をパリのメインストリートで実現させることができました。沿道を埋め尽くしたおよそ20万人のパリ市民を魅了し,日本文化のピーアールと友好を深めることができたことが,つい昨日のことのように思い出されます。そして,来年は,50周年を迎えると同時に,日仏交流150周年という節目の年を迎えます。
 この記念すべき年に,両市並びに両国の更なる友好親善と文化交流の発展に寄与するため,今なお日本人の生活や美意識に深い影響を与え続けている禅文化並びに禅芸術を本格的にパリ市民に紹介する展覧会を来年10月から2箇月間にわたり開催する運びとなりました。会場は,第5回パリ万国博覧会の開催のため1900年に建てられた深い歴史のあるパリ市立プチパレ美術館でございます。
 これは,平成16年11月にドラノエ パリ市長が京都市を訪問されたときに,平成20年の50周年記念事業として,京都の文化や芸術に深い影響を与え続けている禅文化の真髄をパリ市民に御紹介することを,私から御提案し,御快諾をいただいたことに端を発するものでございます。
 御承知のとおり,「禅」は,茶道,華道,能など様々な日本の伝統文化の精神的支柱であり,現在でもなお日本人の生活や美意識に大きな影響を与えております。我が国を代表する禅宗の本山寺院や,その末寺が多く点在する京都には,こうした禅文化が豊かに息づくとともに,数多くの文化財が現存しており,とりわけ室町時代に足利義満公によって創建されました相國寺,禅の精神を背景に開花した北山文化,東山文化をそれぞれ代表する金閣・鹿苑寺,銀閣・慈照寺には,禅文化の極みともいえる墨蹟や絵画,茶道具等をはじめとする文化財が今なお当時の文化の薫りそのままに大切に受け継がれております。
 このたび開催する展覧会は,全国に100を超える寺院を擁する大本山である相國寺,並びにその山外塔頭である鹿苑寺,慈照寺が所有する名宝を一同にそろえ,国外で初めて公開するという画期的な内容となっております。
 このかつてない,一大事業がまとまりましたのも,相國寺承天閣美術館の館長であられ,さらに臨済宗相國寺派管長でもあられる有馬賴底猊下,相國寺派宗務本所 宗務総長の江上泰山様の全面的な御協力と御尽力の賜でございます。
 また,企画当初から携わっていただきました京都国際文化交流財団 理事長の可児達志様はもとより,文化財に関する専門的なお立場から出展作品の監修をいただく京都国立博物館館長の佐々木丞平先生をはじめ,禅文化研究所,京都仏教会,茶道三千家御家元など,多くの方々の御理解と御支援のおかげでございます。この場をお借りいたしまして,改めまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 私が市長に就任した当時は,仏教会関係者の皆様と京都市との間には残念ながら大きな隙間風が吹いている状況にございました。しかし,有馬賴底猊下とお互いに心を開いて話し合いを重ね,平成11年5月に心を一つとすることができました。それ以来,揺るぎない信頼関係のもと「京都・花灯路」や「二条城を舞台とした音楽祭」の開催などの取組を進めて参ることができました。
 そして,このたび,この記念すべき大事業を,有馬賴底猊下をはじめとする関係者の皆様と,手に手を携え実現できる運びとなったことは,誠に意義深いことであると存じております。
 今年は,京都市が「平和都市宣言」を行ってから50年という節目の年でもあります。
 本展覧会は,全世界のひとびとが,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流を行うという京都市の「世界文化自由都市宣言」の精神を具体化するものであります。また,このような豊穣な文化交流は,異文化への理解と多文化共生社会の構築を推進し,ひいては世界平和へも大きく貢献するものと確信いたしております。
 京都市といたしましても,相國寺 承天閣美術館,京都国際文化交流財団をはじめ関係者の皆様とともに十分な連携をとり,本事業の成功に万全を期して参りたいと考えております。

 私からは,以上でございます。どうぞ,よろしくお願いを申し上げます。

有馬頼底相國寺承天閣美術館長

  • この禅文化のお話を桝本市長から承りましたときに思い出しましたことは,フランス国民は「禅」に非常に深い関心を持っているということでした。過去,フランス人の参禅者が何人もお見えになり,参禅され「足が痛い」と訴えられました。「それだけ辛ければ,やめられたらよろしい。」と言うと,「これからの時代は,禅の思想が主流になると考えているので,辛くとも我慢します。」と言うのです。これには驚きとともに,感嘆の思いがいたしました。
  • また,プチパレ美術館のシャザール館長が平成18年5月に来日され,桝本市長と一緒に歓談をした際に,シャザール館長の教養の高さ,文化に対する真摯な態度に深く感銘し,この方だったら御信頼申し上げることができると思い,桝本市長に本展覧会の取組に協力させていただく旨を即答させていただきました。
  • 先日,プチパレ美術館に行った際に実感いたしましたのは,パリは市全体が芸術・文化の都であるということでした。パリのたたずまいは実にすばらしい。パリもほぼ京都と同じような歴史都市であり,すばらしい景観であります。先般,新景観政策を,桝本市長は勇気をもって実現されました。大変な敬意をもって,この政策を迎えております。少し遅かったんじゃないかと思ったぐらいです。
  • プチパレ美術館に行き,館内すべてを見学してきましたが,立派な美術館でありました。その際に伺った話ですが,来年・2008年には,パリでは様々な日本文化のイベントが行われるようで日本ブームに沸き返るだろうとのことでした。その目玉中の目玉事業が「相國寺・金閣・銀閣名宝展」の開催であると伺い,腹を据えてこの事業に取りかからなければならないという思いを新たにしました。
  • そのようなすばらしい場所で本展覧会を開催することは,日仏のますますの文化交流を進めるとともに,京都市とパリ市の絆をより深く結びつけることになると確信しております。やがてそれが世界に通じ,ひいては世界平和につながるものであると考えております。私といたしましても,禅文化,禅芸術を通して,世界の人々がこれらの慈悲の心に触れていただければ本望であると思っております。京都・パリ姉妹都市盟約締結50周年・日仏交流150周年が実りあるものとなるよう,大成功を収めたいと思っている次第であります。

可児達志京都国際文化交流財団理事長

  • 平成16年に時機よく京都を訪問されたドラノエ パリ市長に,桝本市長がお話しをされたことは先ほどの市長の御発言のとおりでございます。丁度,私どもの財団では同じ時期にルーブル美術館の地下にございます,フランス国立修復研究所に大型スキャナーを寄贈する予定があり,桝本市長の親書を携えて,パリ市役所とプチパレ美術館を訪問し,禅の展覧会の計画を話し合いました。
  • お会いしたパリ市の副市長によりますと,ドラノエ市長は,京都からパリにお帰りになるとすぐに市役所の幹部を集めて,「京都からすばらしい贈り物がくる」と小躍りして皆さんにお話になったそうであります。また,文化担当の幹部の皆様も「本当にこの様な素晴しい禅の展覧会をパリで見ることができるのですか。今から興奮します。」と言われ,この計画がはじまったのでございます。
  • 有馬猊下のお考えは,「この展覧会は,禅をフランスに紹介するだけでなく,茶道・華道など日本文化の精神的支柱でもある禅文化も共に広く紹介するべきである。そのことがパリ市民の方々に京都を理解してもらうことに通じ,そこから真の相互理解や文化交流が深まるのではないか。」とのことでございました。桝本市長もこの御意見には全面的に賛意を示されており,まさに,京都市が掲げます「世界文化自由都市宣言」の精神そのものと言っても過言ではないと存じます。
  • このことから,出陳作品の素晴しさはもちろんのこと,座禅の体感やお茶・お花のセレモニーも行い,特に裏千家大宗匠 千 玄室 様からも,御協力の御快諾を頂いております。また,本展覧会の監修をいただいている佐々木館長の御提案によります,3Dバーチャル・リアリティーの金閣・銀閣の立体映像も上映する予定でございます。
  • プチパレ美術館 シャザール館長も「京都で最も有名な寺院から大変貴重な文化財を出陳していただき,心から有馬猊下と京都市民の皆様に御礼を申し上げたい。意義ある年を飾るにふさわしい立派な展覧会になるよう共に協力しましょう。」と感激されておりました。この様に何度も意見交換を積み重ねまして,今日を迎えたわけでございます。
  • この展覧会が,京都市とパリ市,日仏両国の友情と信頼の絆を一層深め,更なる文化交流の一歩となりますことを祈りまして,甚だ簡単ですが御挨拶とさせていただきます。

記者会見資料


京都市
担当:総務局国際化推進室
電話:222-3072

相國寺承天閣美術館
電話:241-0423

財団法人京都国際文化交流財団
電話:213-0003


京都市・パリ市姉妹都市盟約締結50周年・日仏交流150周年記念
「相國寺・金閣・銀閣名宝展 ―京都における禅と美術―」のパリ開催について
~日本の伝統文化の源流を形成する京都の北山・東山文化をパリ市民の皆様へ!~


 京都市では,1958(昭和33)年,本市の姉妹都市第1号として,フランス共和国パリ市と盟約を締結しました。パリ市は,まち全体に数多くの歴史的建造物を有し,その歴史的まち並みをはじめ文化,芸術など世界の人々を魅了する都市であり,盟約締結後今日に至るまで,幅広い分野での交流を通じて,互いの友情の絆を深めて参りました。
 このたび,2008(平成20)年に本盟約締結50周年を迎えるのを機に,展覧会『相國寺・金閣・銀閣名宝展―京都における禅と美術―』を開催することとなりました。この取組は,京都市・相國寺承天閣美術館・(財)京都国際文化交流財団とパリ市・プチパレ美術館の5者共催により行います。京都から約1万km離れたパリの地で,日本の伝統文化の源流である禅文化が開花した北山文化・東山文化を中心に約80作品,100点の絵画,屏風などの芸術作品を,パリ市民の皆様方にご紹介致します。
 海外初公開となる多数の芸術作品をご紹介する本展覧会において,日本人の生活や美意識に深い影響を与え,かつ,外国の方々にも親しみやすいといわれる「禅文化」・「禅芸術」を肌で感じていただき,これをきっかけとして,両都市間の交流や相互理解を更に進めて参ります。

1 開催期間

2008(平成20)年10月15日(水曜日)から同年12月14日(日曜日)まで

2 開催場所

フランス共和国パリ市立プチパレ美術館

※1900年に開催された第5回パリ万國博覧会の企画展示会場として使用された歴史ある美術館。2005年12月にリニューアルオープンし,自然光の入る明るくて開放的なギャラリーからは,シャンゼリゼ大通りとセーヌ河を眺めることができる。会場予定面積は約1000平方メートル,一日の平均来館者数は約2500人(常設展)。

プチパレ美術館の外観の写真

3 展示内容

相國寺,金閣・鹿苑寺,銀閣・慈照寺所蔵の国宝1点・重要文化財6点を含む美術品約80作品,100点を展示。

【主な作品】

(1)国宝

「無学祖元墨蹟(むがくそげんぼくせき)与長楽寺一翁偈語(ちょうらくじいちおうにあたうるげご)」/無学祖元(むがくそげん)

(2)重要文化財

「春屋妙葩(しゅんおくみょうは) 頂相(ちんそう)」/不詳

「寒山行旅山水図(かんざんこうりょさんすいず) 絶海中津題詩(ぜっかいちゅうしんだいし)」/伝 張遠(でん ちょうえん)

「鳴鶴図(めいかくず)」/文正(ぶんせい)

「羅漢図(らかんず)」/不詳

「牡丹孔雀図」/円山応挙(まるやまおうきょ)

「毘沙門天図」/雪舟等楊(せっしゅうとうよう)

(3)その他

「空谷明応像(くうこくみょうおうぞう)」/不詳

「夢窓疎石像」/不詳

「釈迦三尊像(しゃかさんぞんぞう)」/伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)

「鳳凰(ほうおう)」/不詳

「大瀑布図(だいばくふず)」/円山応挙(まるやまおうきょ)

4 主催

京都市,パリ市,相國寺承天閣美術館,パリ市立プチパレ美術館,財団法人京都国際文化交流財団

5 特別協力

独立行政法人京都国立博物館,財団法人禅文化研究所,京都仏教会,表千家,裏千家,武者小路千家,日本経済新聞社,NHK,毎日放送,日本航空

6 協賛

ダイキン工業株式会社

※ 今後,広く協賛企業を募っていきます。

平成19年11月7日共同記者会見資料

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