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市長記者会見(2007年1月18日)

ページ番号14009

2023年4月12日

平成19年1月18日桝本市長定例記者会見資料

はじめに

 

 本日は,皆様にお知らせしたいことが2点ございます。
 1点目は,「京町家耐震診断・改修支援制度」の創設について,2点目は,修学旅行生用ホームページ「きょうと修学旅行ナビ」の開設についてでございます。

1 京町家耐震診断・改修支援制度の創設

 

 はじめに,「京町家耐震診断・改修支援制度」の創設についてでございます。
 京都が世界に誇る優れた景観をもつ歴史都市として輝き続けるためには,平成のみやこづくり,大事業と位置づけてご提案をさせていただいている建築物の高さ規制やデザイン基準,屋外広告物規制等の抜本的な見直しに加えて,京都市の貴重な景観資源である京町家に代表される伝統的・歴史的な建築物を将来にわたって良好に保全・再生していく必要がございます。
 そのため,京都市では,景観行政のトップランナーとして,昭和47年に特別保全修景地区における伝統的建造物の修理助成を開始して以来,伝統的なデザインを生かした京町家の新築や改築を可能とする京都市独自の防火条例の制定や,京町家を賃貸住宅として利用できるように再生する助成制度の創設など,32に及ぶ京町家保全・再生事業を推進しております。
 今回,これらの事業に加えて,京町家を地震から守り,より安心してお住まいいただけるよう,耐震診断及び助成の2つの制度を創設することとし,必要経費を平成19年度予算案に盛り込みたいと考えております。
 まず,耐震診断制度の概要でございます。
 お手元の資料の3枚目に,京町家と一般の木造住宅・在来工法の構造を示した図面をお付けしておりますが,その違いを端的に申し上げますと,在来工法は,合板の壁や筋かいで建物の変形を防ごうとするものであります。
 一方,京町家には,筋かいはなく,ある程度の変形を許容し,千年以上にわたりその姿をとどめる五重塔と同様,やわらかさと粘り強さで外からの力に耐える構造となっております。
 これまでの耐震診断は,在来工法型の建築物の基本となる,地震などの外からの力に耐えるかたさや強さを検証していましたが,京町家は,元々変形することを想定しているため,地震時においても変形が許容される範囲内にあるかどうかを検証し,その結果に基づき,必要に応じた対策を講じることがより適切な京町家の耐震対策となります。
 京都市ではこうした町家に特化した耐震診断方法の開発に平成15年度から着手し,構築を進めてまいりました。
一級建築士の中でも特に水準の高い建築構造士の専門集団である社団法人日本建築構造技術者協会の検証を経て,このたび,高層ビルの構造計算で用いられる「限界耐力計算法」を応用したより使いやすい普及版の「京町家向け耐震診断手法」を開発し,これに習熟した「京町家耐震診断士(仮称)」の育成・派遣を全国で初めて行うことといたしました。
 来年度の上半期には,派遣する診断士の育成を行い,下半期から派遣を行えるように準備を進めてまいります。更に,派遣を要請される市民の皆様の負担を軽減するため,自己負担は,診断に必要な耐震診断士2名分の交通費相当の5000円にとどめ,診断費用,1戸当たり120㎡と想定すると16万円,については京都市が負担してまいります。
 また,こうした診断を通して,改修が必要となった場合にご活用いただける「京町家耐震改修助成制度」を併せて新設いたします。この助成制度は,通常の木造住宅よりも手厚く,一戸当たりの助成限度額を90万円とし,対象建築物が景観重要建造物の場合には,更に上乗せしてまいります。 
 今後とも,日本人の心のふるさとである京都の町家をはじめとする美しい町並みと市民の皆様の安心安全な暮らしをしっかり守りながら,50年後・100年後においても光り輝く歴史都市・京都の創生に全力を傾注してまいります。

 

2 「きょうと修学旅行ナビ」の開設

 

 次に,修学旅行生用ホームページ「きょうと修学旅行ナビ」の開設についてでございます。
 平成17年の入洛観光客は,4727万人と,5年連続で過去最高を更新し,昨年,平成18年につきましても引き続く京都ブームに加え,東山・嵐山の「京都・花灯路」や「京都おこしやす大学」などオール京都で推進するオフシーズン対策,体験型・滞在型事業の展開などにより観光客数は更に増加していると考えております。
 こうした中,京都観光の原点といえる修学旅行につきましては,「修学旅行生ハンドブック」の作成や全国の学校への訪問など,積極的な誘致活動を展開した結果,年間100万人を超える修学旅行生にお越しいただいております。
 しかし,少子化による児童・生徒数の減少や修学旅行に航空機を使うことが一部で認められてきていることなどを背景に,昨今,修学旅行生誘致について自治体間の競争が激しさを増しており,「新おこしやすプラン21」におきましても「修学旅行生の維持拡大」を戦略的施策に位置付け,現在精力的に取り組んでいるところでございます。
 京都市ではこのたび,この戦略的施策を更に推進する取組として,修学旅行に必要な京都の歴史・文化・観光・交通に関する情報を一元的に発信するとともに,安心安全な修学旅行をサポートする仕組みを盛り込んだ修学旅行用のホームページを全国で初めて開設することといたしました。
 このホームページの開設の狙いは大きく3点ございます。
 1点目は,織り成す歴史の中で培われた京都の魅力を一人でも多くの皆さんに知っていただき,「修学旅行は京都に行ってみたい」という児童や生徒,学校関係者を掘り起こそうとすることであります。京都の歴史や文化,産業などの情報に加え,京ことばや京のご利益といった豆知識などを満載した「知るほどおもしろい京都情報」を発信いたします。こうした京都情報は,京都に関心をもつ児童,生徒たちの好奇心を満足させるだけでなく,京都の児童や生徒たちの学習活動にも十分に活用できるように幅が広く内容も深いものといたしてまいります。
 2点目は,京都における修学旅行の形態が「団体行動」から数名の生徒による「班別行動」へと変化していることに着目し,修学旅行生が事前に自ら行う「コースづくり」を積極的にサポートしようとするものであります。「コースづくりお役立ち情報」として,有名寺院・神社はもとより,昨今の修学旅行生のニーズに沿った体験学習施設,優待を受けられる施設情報など,延べ約740の施設を紹介し,合わせてモデルコースや公共交通機関情報なども掲載してまいります。
 3点目は,安心・安全な修学旅行をサポートすることでございます。修学旅行中の出来事や到着情報を引率の先生方に携帯端末などを通して書き込んでいただき,保護者の皆さんがホームページ上でご覧になれる「京都修学旅行日記機能」を備え付けるほか,車椅子で拝観できる観光施設や宿泊施設などユニバーサルデザイン情報も提供いたします。
 この「きょうと修学旅行ナビ」は,今年の修学旅行シーズンの到来にあわせまして来る3月15日から発信してまいりますが,児童・生徒だけでなく,これから修学旅行を検討・企画される学校関係者や旅行代理店の方々にもご活用いただけるものとして準備を進めてまいります。
 今後とも,次代を担う全国の児童・生徒の皆さんに,「京都に来てよかった」,「また京都を訪れたい」と言っていただけるよう,オール京都で全国トップレベルの修学旅行サポート体制の整備を推進してまいります。

 私からは,以上でございます。

 

(市長記者会見資料)

 

平成19年1月18日
京都市
都市計画局指導課
222-3620
都市計画局住宅室住宅政策課
222-3666


京町家耐震診断・改修支援制度の創設について
~京町家を良好な形で保全・再生するための耐震診断と耐震改修助成~

 京都が優れた景観をもつ歴史都市でありつづけるためには,建築物の高さ規制やデザイン基準,屋外広告物規制等の見直しに加え,京町家に代表される伝統的・歴史的な建造物を将来にわたり良好に保全・再生していく必要があります。
 京都市では,昭和47年に特別保全修景地区における伝統的建造物の修理助成を開始して以来,京町家の新築や改築を可能とする防火条例の制定や,京町家再生賃貸住宅制度の創設など従来の32の京町家保全・再生事業に取り組んでいますが,今回,新たに京町家を地震から守る「京町家耐震診断」及び「京町家耐震改修助成」の二つの制度を創設します。


1 京町家耐震診断の概要

 建築基準法の適用を受けた在来工法の木造建築物は,合板の壁や筋かいによる「剛性(硬さ)」と「耐力(強さ)」で地震などの外力に耐える構造であるが,京町家は振動を建物自体の変形(しなり)により吸収する「やわらかさ」と「粘り強さ」をもつ構造である。この京町家ならではの特徴を生かした耐震対策を進めるため,高層ビルの構造計算で用いられる「限界耐力計算法」を応用した「京町家向け耐震診断手法」を開発し,これを用いた耐震診断士の育成・派遣を全国で初めて行う。

(1)京町家向け耐震診断手法の構築
 社団法人日本建築構造技術者協会の検証を経て,建物が地震等のゆれをどの程度まで吸収できるかという観点から調査・計算する手法(限界耐力計算法)を応用し,一般の建築士等にも活用可能な京町家向け耐震診断手法として整備した。

 構築までの経過

構築までの経過
平成15年度~京町家等の伝統的建築物にも適した限界耐力計算法を活用した耐震診断と耐震改修のマニュアル策定に向けた調査研究を実施(国の補助金を活用)
平成17年度調査研究を踏まえ,京町家の耐震診断・補強設計手法(普及型)の開発調査を実施(市単独事業)
平成18年度京町家耐震支援制度の検討

 

 <参考「京町家と在来工法の構造の違い」をご参照ください>

(2)京町家耐震診断士(仮称)の育成
 京町家向け耐震診断手法について講習会を実施し,京町家耐震診断士(仮称)を育成する。
 実施時期:19年度上半期

(3)京町家耐震診断士(仮称)派遣制度
 対象建物:昭和25年以前(建築基準法施行以前)に建築された京町家(伝統的な軸組工法による木造住宅)
 本人負担額:5,000円(診断士2名の交通費相当。本来費用は16万円程度)
 開始時期:19年度下半期


2 京町家耐震改修助成の概要

 京町家耐震診断を実施し改修の必要性が判明した場合に,改修費用の一部を助成し速やかな耐震化を進める。

(1)対象建物
 昭和25年以前(建築基準法施行以前)に建築された京町家(伝統的な軸組工法による木造住宅)  

(2)補助概要
 限度額は90万円/戸(ただし,景観重要建造物については更なる上乗せを行う)  

<参考:限界耐力計算法について>
 限界耐力計算は,平成10年の建築基準法改正(平成12年6月1日施行)によって導入された構造計算法であり,高層ビルの設計等に用いられる。
 限界耐力計算は,地震による振動を受けて,建築物が変形することにより揺れを吸収しようとする現象に着目し,地震と建築物のゆれの相互の影響を考慮して粘り強く耐えるように設計する計算法である。


<既存の耐震診断士派遣制度・耐震改修助成制度の概要>
京都市木造住宅耐震診断士派遣制度(事業開始:平成8年度)
対象:昭和56年5月31日以前着工の木造住宅(在来木造軸組工法)
本人負担額:2,000円(本来費用は3万5千円程度)

京都市耐震改修助成制度(事業開始:平成16年度)
対象:昭和56年5月31日以前着工の木造住宅(在来木造軸組工法)等
補助概要:限度額は60万円/戸)

<参考:京町家と在来工法の構造の違い>

京町家型(伝統的木造軸組工法)
建築年代昭和25年以前建築(建築基準法施行以前)
特徴土台はなし。
壁の多くは土壁である。
基本的に壁に筋かいはない。
基本的に接合部に金物は用いない。
構造特性地震や台風などの外からの力に対して,柱と梁,土壁等である程度変形を許容し,やわらかさと粘り強さで外力に耐える構造

 

軸組図

京町家型(伝統的木造軸組工法)

 

在来工法型(在来木造軸組工法)
建築年代昭和25年以降建築(建築基準法施行以降)
特徴コンクリート造の基礎の上に土台あり。
壁に合板等が使われている。
壁に筋かいが設けられている。
基本的に金物を用いて接合する。
構造特性地震や台風などの外からの力に対して,合板の壁や筋かいで建物の変形を防ぎ,かたさと強さで外力に耐える構造

 

軸組図

在来工法型(在来木造軸組工法)

 

 

 

(市長記者会見資料)

 

平成19年1月18日
京都市
産業観光局観光部観光振興課
222-4133


修学旅行生用ホームページ「きょうと修学旅行ナビ」の開設について
 京都市では,5000万人観光都市・京都を目指して,「新京都市観光振興推進計画 ~ゆとり  うるおい 新おこしやすプラン21~」を策定し,21の戦略的施策と100の推進施策をオール京都の体制で着実に進めています。京都観光の原点といえる修学旅行についても,「修学旅行生ハンドブック」の作成や全国への学校訪問など積極的な誘致活動を展開し,年間100万人を超える修学旅行生にお越しいただいています。
 少子化による生徒数の減少や誘致活動の都市間競争が激しさを増す中,全国でもトップレベルの修学旅行のサポート体制を目指し,修学旅行生用のホームページ「きょうと修学旅行ナビ」を全国で初めて開設しますので,お知らせします。


1 特徴

○修学旅行生にターゲットを絞ったホームページ
○修学旅行に必要な京都の歴史,文化,観光,交通などの幅広い情報を一元的に発信し,修学旅行生の掘り起こしを図るとともに,修学旅行のコースづくりをサポート
○安心・安全な修学旅行をサポートする仕組みを導入

2 概要

(1)知るほどおもしろい京都情報
 京都の魅力を一人でも多くの皆様に知っていただき,「修学旅行は京都へ」という児童や  生徒,学校関係者の掘り起こしを図る。

ア)京都を学ぼう
 1200年の織り成す歴史やその中で育まれてきた京都ならではの文化,京都の産業から地理,気候まで,修学旅行生はもとより,京都の生徒たちも学習できる幅広く奥深い京都の魅力を発信。

イ)京のあれこれ
 京ことば,京のご利益,京の地名など,京都にまつわるおもしろい豆知識を満載。

(2) コースづくりお役立ち情報 ~修学旅行のニーズに沿った約740施設を紹介~
 京都における修学旅行の形態が「先生の引率による団体行動」から「数名の生徒による班別行動」へと変化していることに着目し,生徒たちがアイデアを出しあい自ら取り組む「コースづくり」を積極的にサポートする。

ア)京都を体験
 京都の体験学習施設約340箇所を網羅し,体験プログラムを写真入りで詳しく解説。

 

<体験プログラムの例>
伝統工芸製作体験西陣織や京友禅,清水焼などの製作体験
寺社体験南禅寺の坐禅体験,平安神宮での合唱の奉納,清水寺の境内やお堂の清掃体験など
能・狂言体験能・狂言を鑑賞後,本物の舞台に上がって立ち座りや歩き方など独特な所作を体験
文化財の発掘体験京都市埋蔵文化財研究所の調査員とともに,発掘現場で土器などの発掘を体験
環境学習京都市の廃食用油燃料化施設で,バイオディーゼル燃料の製造工程を見学するとともに,地球温暖化対策などについて学習
平安装束着付け体験十二単などの宮廷衣装の着付けを体験

 

イ)京都の名所を訪ねる
 京都の優れた魅力である寺院・神社や美術館,博物館等の文化施設,それぞれが個性を放つ地域・界わいの町並みなどの中から,修学旅行生がよく訪れる観光スポット約200箇所をピックアップし,写真入りで掲載。
また,京都ならではのテーマに沿ったモデルコースを紹介。

 

モデルコースの例
京都仏像探訪広隆寺【国宝指定第1号の弥勒菩薩】~六波羅蜜寺【空也上人立像,平清盛像】~三十三間堂【1001体の千手観音像】~東寺【密教美術の宝庫】
京都ご利益よくばりコース北野天満宮【学業上達】~ 白峯神宮【球技上達】~八坂神社【厄除け】~地主神社【縁結び】
京の名庭巡り龍安寺【室町時代の枯山水庭園】~金閣寺【室町時代の池泉式回遊庭園】~二条城【江戸時代の池泉式回遊庭園】~無鄰庵【明治時代の借景庭園】

 

ウ)修学旅行パスポート
修学旅行生が優待を受けられる市内の施設約200箇所を掲載。

エ)きょうとエリアマップ
市内の地図から寺院・神社や体験学習施設を検索。目的地,宿泊場所の周辺スポットを探すときに便利。

オ)交通機関情報
市バス・地下鉄をはじめ,JR,阪急,京阪など京都市内を走る公共交通機関の路線図,時刻表を掲載。また,便利な利用方法や注意点,1日乗車券などのサービスを掲載。

(3)安心・安全情報
全ての修学旅行生,保護者にとって安心・安全な修学旅行をサポートする。

ア)京都修学旅行日記
修学旅行中の楽しい出来事や京都への到着情報等を,先生が携帯電話等からこのホームページに書き込み,保護者の皆様にお知らせ。

イ)ユニバーサルデザイン情報
車椅子で拝観できる寺院・神社や文化施設,宿泊施設など,あらゆる児童・生徒に修学旅行を楽しんでいただくための情報を提供。

3 発信日

平成19年3月15日

4 実施主体

京都市,京都観光推進協議会

(参考)京都観光推進協議会
○観光客や修学旅行生の誘致,受入体制の整備の推進を目的として,昭和59年4月に設立
○構成団体は,京都市を中心に,京都市観光協会,京都商工会議所,京都府旅館生活衛生同業組合など
○主な取組は,京都駅における春・秋の修学旅行到着歓迎式の実施や,全国各地での誘致PR,学校訪問活動など。また,沖縄県から初めて修学旅行で京都を訪れた那覇市・石嶺中の歓迎式典を開催

「きょうと修学旅行ナビ」のトップページ(イメージ)

 

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お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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