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市長記者会見(2005年7月20日)

ページ番号13842

2023年4月12日

平成17年7月20日 桝本市長定例記者会見資料

はじめに

 

 本日は,「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の設置について皆様にお知らせいたします。

 

「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の設置

 

 京都は,1200年を超える悠久の歴史に育まれ,今日もなお,日本の伝統・文化が生き続ける世界でも稀有の歴史都市であります。
 とりわけ,世界文化遺産に登録された社寺をはじめとする優れた文化財,情緒あふれる伝統的な町並み,それらを取り巻く山紫水明の自然が織り成す京都の景観は,市民のみならず,訪れる方々に「癒しや潤い,安らぎ」を与えてくれる,日本の財産,世界の宝でございます。
 京都市は,昭和5年の風致地区の指定以来,70年以上の永きにわたり,我が国の貴重な財産である,この京都の景観を守ることに全力を傾注してまいりました。自然・歴史的景観については,風致地区制度の活用とあわせて,いわゆる古都保存法に基づき,風趣に富んだ景観の保全に努め,約200ヘクタール・60万坪にも及ぶ土地の買い取りも実施してまいりました。また,昭和47年には,全国に先駆けて市街地景観条例を制定し,伝統的なまちなみ景観を守るため,美観地区制度の活用を開始いたしました。この美観地区は,現在では,全国の8割という圧倒的な指定面積を誇り,この制度をこれ程までに駆使している自治体は,京都の他にはないものと自負いたしております。さらに,昭和50年の文化財保護法の改正により創設された,伝統的建造物群保存地区制度は,京都市の市街地景観条例に基づく「特別保全修景地区」制度が基になったものでございます。昨年制定された景観法を含め,まさに,京都市の先見的・先導的な取組が,全国を対象とする国の制度として結実した事例は多く,京都市が全国の景観行政のトップランナーとして,果敢に景観対策に挑んできた証であります。
 本年5月には,(財)京都市景観・まちづくりセンターを,全国に先駆けて景観整備機構に指定しました。また,秋には,「京町家まちづくりファンド」を設立し,市民,企業などから寄せられた資金を,京町家の保全・再生のために活用していく予定であります。  
 私は,このように,全国の景観行政の模範となるような先見的・先導的な政策に取り組むことは,歴史都市京都の市長の重要な使命であり,また,責務であると認識しており,京都の発展を支える人々の知恵を結集し,国家戦略として,この京都の景観を守り,生かす「京都創生」の取組を更に今後も強力に進めていく所存でございます。
 一方,こうした懸命な努力にもかかわらず,バブルと言われた時代には,押し寄せる経済至上主義の波に圧倒され,古きもの・伝統的なものが,効率性の名の下に,次々と淘汰されました。しかし,私が,さらに問題と考えますのは,伝統的な生活文化を育み,京都らしい景観を形成する,京町家や三山の眺望のような貴重な財産が,「いつの間にかなくなる」ことだと考えております。例えば,一軒の京町家の消失が,また一軒,また一軒と広がるうちに,元に戻らないほどの大きな町並み景観の破壊へとつながる,ということであります。また,視界をさえぎる看板や放置された自転車がいくつも連なるうちに,街を歩く人々から優しさやゆとりを奪い取ります。私は,この「クリーピング・ディストラクション」(しのびよる破壊)ともいうべき社会現象に,ぜひ一石を投じていきたいと考えております。
 これまで,青蓮院前や船岡山のマンションなど必要があれば,あえて制度の枠組を越えてでも,景観上の指導を行ってまいりましたが,個々の対応には限界があることも事実であります。私の一石を単なる「波紋」に終わらせないために,町並みは一旦破壊されると容易に元には戻らないことを改めて認識した上で,京都らしい景観の保全・再生こそが,必ずや京都の将来の発展,更には,日本文化,日本人の心の拠り所を守る上で,なくてはならないという強い信念を持って,そして,規制には痛みを伴うことも十分理解しつつ,これまで以上に大胆な政策を講じていく覚悟でございます。
 その際,単に外観を美しく飾るだけではなく,「ホンモノ」を追及した「真の京都らしさ」を重視することも大切であると考えております。また,新しいものを積極的に取り入れ,新たな文化として開花させてきた京都の伝統の上に立って,京都らしい「新たな景観の創造」の観点も忘れてはならないことと考えております。
 そうした観点の上に立って,市街地と自然の両景観を視野に入れながら,
(1)「建築物の高さやデザインの更なる規制・誘導」,
(2)「眺望景観や借景の保全」,
(3)「京町家など歴史的建造物の保全とそれを活用した都市景観の形成」,
(4)「看板など屋外広告物や駐輪・駐車対策」,
以上4つを特に景観形成上の重要な視点として,過去の取組を総点検しながら,必要があれば現行法令の枠組みを越えた積極的な景観政策も展開したい考えであります。例えば,職住共存地区では,各地区の特色に応じて現行の高さ規制の思い切った引き下げやデザインの誘導を強め,統一感のある町並み創出を図るといった取組を展開しながら,これからも,全国をリードする景観行政のトップランナーとして走り続けてまいる決意でございます。
 そして,私は,こうした私の強い想いを市民の皆様にお示しし,それに対する忌憚なき御意見を頂戴するために,この度,「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の設置を決定いたしました。
 本審議会は,50年後,100年後の京都の将来を見据え,世界に冠たる歴史都市・京都にふさわしい景観の保全と創造を目指し,実効ある具体的政策を早急に確立するために設置するものであります。
 このため,景観や建築デザインに関する学識者はもちろんのこと,「規制と活力の両立」といったテーマについて,今日的な観点から十分論議いただけるよう,美感都市・京都の実現に御尽力をいただいている京都商工会議所の村田純一会頭にも御参画いただくとともに,芸術文化の分野の英知も結集させ,先に掲げた4つの視点に立って,今まさに京都市が取り組むべき景観政策上の重要課題について御審議いただくこととしております。
 また,景観行政の新たな展開に当たりましては,市民の皆様の理解が不可欠であります。このため,市会での幅広い議論はもちろんのこと,「市民フォーラム」など,市民との対話を通じ,できるだけ多くの市民の方々のご意見を直接伺う機会を設けると同時に,住民や事業者が京都の景観をつくりあげていこう,率先してルールを守って行こうという気運を醸成してまいりたいと考えております。
 京都の景観問題は,時間との勝負,「待ったなし」であります。私は,この審議会での議論を踏まえつつ,景観重要建造物の指定や景観重要公共施設の整備など,景観法に基づく施策を早急に実施してまいります。そして,18年度中のできるだけ早い時期に,地域の特色に応じた新たな規制・誘導方針等を盛り込んだ「時を超え光り輝く京都の景観づくり構想」を取りまとめて,速やかに政策の実施に移し,「京都創生」の実現に邁進していく決意でございます。
 都市にふさわしい景観の創出とそれへの規制・誘導は,都市の「格」を上げ,「活力」を生み出します。7月25日に開かれる第1回の審議会が「クリーピング・ディストラクション」(しのびよる破壊)を阻止し,他の都市にはない,オンリーワンの京都の更なる発展への第1歩であると確信いたしております。

 発表案件につきましては,以上でございます。
 なお,今週末の土曜日,23日から開始する「小型バス・ジャンボタクシー運行モデル実験」で使用するバスとジャンボタクシーをこのあと市役所前広場で公開展示いたしますので,是非ともご覧いただきたいと存じます。

 私からは,以上でございます。

 

(市長記者会見資料)

 

平成17年7月20日
京都市
都市計画局都市景観部景観企画課
222-3397

 

「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の設置について
~歴史都市・京都にふさわしい景観の保全・創出を目指して~

 

 京都市は,1200年を超える悠久の歴史に育まれ,今日もなお,日本の伝統・文化が生き続ける歴史都市です。優れた自然・歴史的景観等を守るため,風致地区制度の活用と併せ,全国に先駆けて市街地景観条例を制定し,美観地区制度を駆使して美しい景観の維持を図ってきているほか,景観法の制定を受け,全国初となる景観整備機構の指定を行うなど,景観行政のトップランナーとして果敢に景観対策に挑んできました。
 しかし,我が国の社会経済情勢の変化等により,伝統的な生活文化を育み,形成してきた京町家や三山の眺望をはじめとする貴重な景観資源が消失するなど,京都らしい景観が失われつつあります。
 そのため,50年後,100年後の京都の将来を見据えると同時に,世界に冠たる「京都創生」にふさわしい景観の保全と創造を目指し,実効ある具体的政策を早急に確立することを目的として,「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」を設置することとしました。

 

 

1 諮問趣旨
 『時を超え光り輝く京都の景観づくりについて ~歴史都市・京都にふさわしい京都の景観のあり方について~』
 京都の将来を見据え,「規制と活力の両立」を図る中で,景観を重視した建築物等の規制・誘導の手法や,良好な眺望等を次の世代に引き継ぐための方策等を検討いただく。

 

2 諮問に当たっての4つの視点

○建築物の高さやデザインの更なる規制・誘導
 幹線道路沿いなど規制の緩やかな地域では,マンション等の中高層建築物が建設され,京町家などの周辺建築物と不釣合いな景観を生み出している。また,高さや容積が規制されている地域でも,周辺と調和しないデザインの低層建築物が建設されており,「高さ」と「デザイン」の両面から規制・誘導を考える必要がある。
○眺望景観や借景の保全
 中高層建築物等の建設により,市街地から見た三山や鴨川等の河川の眺めが阻害されたり,寺院等の庭園の借景が失われる状況が生じており,これまでの対策では守れない遠景についても対策を講じる必要がある。
○京町家など歴史的建造物の保全とそれを活用した都市景観の形成
 生活様式の変化や町家の老朽化,相続時の処分等を背景とした,都心部の京町家の急激な減少(7年間で13%の京町家が減少)など,「京都らしい町並み」が失われつつある。京町家など歴史的建造物を保全し,優れた都市景観の形成に活用していく方策を早急に検討する必要がある。
○看板など屋外広告物や駐輪・駐車対策の強化
看板等の屋外広告物は,その大きさやデザインによっては市街地景観を大きく損ねる。また,特に幹線道路での違法駐輪・駐車の増加は安全上はもちろん,景観の観点からも深刻な問題となっており,対策を強化する必要がある。

 

3 委員の構成

 学識経験者(景観,デザイン,建築,法律,経済,歴史の各分野),経済界,芸術文化,報道機関,市民公募委員からなる20名の委員で構成する(別紙一覧参照)。

 

4 スケジュール

平成17年7月25日  第1回審議会の開催
平成17年~18年   審議
市民フォーラム等の開催(※審議会で論点が整理された段階で実施) 
パブリックコメントの実施(※審議会で論点が整理された段階で実施)
平成18年度      最終取りまとめ・答申
答申を受け「時を超え光り輝く京都の景観づくり構想(仮称)」(※)を策定
(※)「時を超え光り輝く京都の景観づくり構想(仮称)」
京都市の景観形成上重要な4つの視点を踏まえ,地域の特色に応じた景観基準の策定,既存の規制地区の見直しと拡大などの方向性を盛り込んだ,景観政策の新たな基本方針となるもの。
<4つの視点>

(1)建築物の高さやデザインの規制・誘導
(2)眺望景観や借景の保全
(3)京町家など歴史的建造物の保全とそれを活用した都市景観の形成
(4)看板など屋外広告物や駐輪・駐車対策      

 

5 第1回審議会の開催

(1)開催日時
平成17年7月25日(月)午前9時30分~午前12時
(2)開催場所  
京都市勧業館「みやこめっせ」大会議室(京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 Tel 075-762-2630)
(3)議題等
ア 京都市における景観に関する制度の現状,課題等について
イ 今後の審議会における審議事項及び今後のスケジュール等について
(4)会議の傍聴
ア 傍聴定数(予定)
20人(報道機関向け座席は別途用意) ※会場の都合により変動することがあります。
イ 傍聴の受付方法
当日の午前9時から午前9時15分まで受付にて行う(定員を超えた場合は,抽選により決定)。

 

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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