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市長記者会見(2001年1月16日)

ページ番号13424

2023年4月12日

平成14年1月16日 桝本市長定例記者会見資料

はじめに

 

 本日は,皆さんにお知らせしたいことが2つございます。
 1つは,京都がわが国のインターネットにおける一大拠点となるための取組についてであります。
 今1つは,木の文化の象徴とも言える檜皮葺を守るため,全国で初めての拠点施設として設置いたします京都市文化財保存技術研修センターについてでございます。

 

1  「京都ONE構想」の具体的取組内容

 

 まず,快適で魅力あふれる「情報新都」の構築を目指す京都市が,インターネットの一大拠点となるための取組についてでございます。
 京都市では,高度情報通信社会に対応できる基盤づくりのため,「新・高度情報化推進のための京都市行動計画~e‐京都21~」を策定し,様々な取組を進めてきております。
 このたび,全国に先駆けた,高速大容量で低料金の「京都情報通信ネットワーク」を構築するための,「京都ONE構想」の取組内容を確定いたしましたので皆さんにご報告いたします。
 なお,詳細につきましては,後ほど,担当部局からレクチャーさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 この構想には,京都商工会議所や京都高度技術研究所,50の大学・短期大学が加盟する大学コンソーシアム京都など京都の諸機関,さらには,NTT,NEC,富士通,IBM,ソニーなど日本を代表するIT関連企業など,38もの企業,団体にご参画いただけることとなりました。このように産学公が一体となり,情報通信ネットワークを構築する体制を整備するのはわが国では初めての先駆的な取組でございます。
 それでは具体的な取組内容についてご説明いたします。
 1つ目は,地域インターネット・エクスチェンジ(IX)の構築・運営でございます。
 IXとは,ご承知のとおり,インターネットに接続する際の拠点で,現在のシステムは,東京にございますIXを経由しなければインターネットに接続できないものとなっております。
 このIXを京都市に設置することにより,東京の全国IXを経由することなく,地域内の通信については,地域内でできる環境を構築し運営してまいります。
 構築いたしますIXは,世界に通用するIT関連企業や団体に多数ご参画いただく,全国でも例のないものでございます。
こうしたIXを構築できますのは,「大学のまち」を初めとする京都の知的集積が魅力となって,全国的に認知されたものであろうと存じております。
 これにより,第1に「インターネットによる地域内の強固な連携の促進」第2に「通信の安定化」第3に「障害に強いネットワークの構築」第4に「通信の効率化」など,魅力的な通信環境ができることとなります。
 IXは,京都リサーチパーク内に設置し,本年の2月1日に運営を開始いたします。当面2年間は,京都市と,高度情報化に取り組んでいる企業・団体からなる「京都情報基盤協議会」が運営してまいります。そして,平成16年度からは,独立採算で運営できる体制づくりを目指してまいります。
 2つ目は,中小企業などの産業,商業のIT化をより一層推進するとともに,電子自治体への円滑な移行を図るための「インターネット・データ・センター」を活用した「アプリケーション・サービス・プロバイダー」の研究・実施でございます。
 これは,「IT導入コストの低減」「情報システムの安定化」「情報セキュリティの飛躍的向上」「情報システムの容易な拡大」などを可能にするものでありますが,大企業においては浸透してきているものの,中小企業や地方自治体においては,その活用が進んでいないことから,民間企業との連携のもと研究・実施することといたしました。
以上が「京都ONE構想」の主な具体的な取組内容でございます。
 これらにより,京都がインターネットの全国的な大拠点として重要な役割を担い,IT関連産業の集積など,様々な経済波及効果が生まれ,京都の活性化に大きく寄与するものと確信しております。

 

2 京都市文化財保存技術研修センターの設置

 

 次に,(仮称)京都市文化財保存技術研修センターの設置についてでございます。
 檜の樹皮を剥いで屋根材料にする檜皮葺(ひわだぶき)は,わが国の伝統的な木造建造物に多く用いられており,これらの貴重な財産を本来の姿で後世に伝えるためには,概ね35年周期で檜皮を葺き替える必要がございます。関係団体のアンケートによりますと,ここ数年のうちに,下鴨神社や上賀茂神社,清水寺が 2,000~3,000㎡の大規模な葺き替えを希望されております。 しかし近年,檜皮の採取に適している樹齢80年以上の檜林の減少や,檜の樹皮を剥ぐ職人である原皮師(もとかわし)の高齢化や後継者不足により,檜皮は慢性的に不足している状況にあります。
 こうしたことから,国では,平成11年度から原皮師の研修事業を,13年度には檜皮をはじめ文化財建造物の維持・修理に必要な原材料の確保について,補助制度を整備されたところでございます。
 こうした動きを受け,檜皮葺の建造物が全国一多い京都市におきまして,国の補助制度を活用して,原皮師の育成や檜皮葺をはじめとする伝統的屋根葺技術の伝承を行う拠点施設を全国で初めて設置することといたしました。
 それでは,センターの概要についてご説明いたします。
 センターで行う事業は大きく分けて3つございます。
 1つ目は,原皮師の育成でございます。調査によりますと,原皮師は全国に15~16人しかおられず,また,皆さんご高齢で,後継者の育成が喫緊の課題となっております。
 そこで,本センターでは,檜皮葺をはじめとする伝統的技術の保存に携わっておられる保存会である全国社寺等屋根工事技術保存会との連携により,原皮師養成のための研修を行います。
 2つ目は,檜皮葺についての伝承でございます。
 檜皮葺という伝統技術を専門家だけでなく子供たちにも,そして,京都市民はもちろんのこと,観光客の皆様にも広く知っていただけるよう,檜皮の剥ぎ取りや剥ぎ取った檜皮の加工,屋根に葺く実演などを行います。
 3つ目は,木造文化財と森林についての普及啓発事業でございます。
 檜皮葺を通じて,わが国の木造文化財や森林についての理解を深めていただくための講演会や文献の収集・展示を予定しております。
 これらの事業につきましては,林野庁近畿中国森林管理局が,森林と文化財の関わり等を普及するための拠点として設定されております「世界文化遺産貢献の森林」,京都市内では,鞍馬山や貴船山,大日山など520haが設定されておりますが,これを活用し,文化庁及び林野庁との連携により進めてまいりたいと考えております。
 なお将来的には,檜皮葺だけでなく,柿葺(こけらぶき)や茅葺(かやぶき)などについても対象とすることを検討しております。
 センターの場所は,平成9年度末に閉鎖しました東山乳児保育所跡の敷地でございます。ここは,先ほど申し上げました「世界文化遺産貢献の森林」の大日山に近く,また,清水寺や高台寺,知恩院など,檜皮葺の文化財にも近接しており,実習や見学にも適した場所であります。
 総事業は3億2千万円を見込んでおり,今後,今年度と来年度の2ヵ年で整備を進め,平成15年度の早い時期のオープンを目指してまいります。
 「日本の心のふるさと」,「日本文化の中心」である京都に設置いたします本センターが檜皮葺をはじめとする,わが国の「木の文化」の継承・発展に大きく寄与するものと確信しているところでございます。
 以上でございます。

 

(市長記者会見資料)

 

平成14年1月16日
京都市
総合企画局情報化推進室情報政策課
222-3257

 

~情報通信ネットワーク「京都ONE構想」~
地域IX(インターネット・エクスチェンジ)及びiDC(インターネット・データ・センター)の整備等について

 

 このたび,「新・高度情報化推進のための京都市行動計画~e‐京都21~」に掲げている「京都ONE構想」を具体化する取組内容が決まりましたのでお知らせします。
 同構想の具体化により,中小企業のIT化,大学間の高速大容量な情報通信ネットワークの構築,国のIT関連の各種プロジェクトの誘致などの取組を行い,IT関連産業を集積させ,京都をインターネットにおける一大拠点にし,様々な経済波及効果から京都の更なる活性化を目指しています。
 その主な事業内容は「地域IX」の構築と「京都ONE推進ワーキンググループ」による「iDC」を活用した「ASP」の研究,実施です。
 この事業には,京都商工会議所,財団法人京都高度技術研究所など京都の諸機関や日本を代表するIT関連企業など,38もの企業,団体が参画します。
 このように産学公が一体となり,地域IX,iDCの研究,実施を推進する体制を整備するのは全国でも先駆的な取組です。

 

 

1 地域IXの構築運営
京都市に地域IXを設置し,地域内の通信については,地域から出ることなく,地域内で通信できる環境を構築運営する。
 地域IXは,既に山梨県等が設置しているが,今回構築する京都におけるIXは,これらの地域IXとは規模が違い,日本を代表するIT関連企業・団体が多数参画する全国でも例のないものとする。これは「大学のまち」を初めとする京都の知的集積としての魅力が全国的に認知されたものと考えている。

※地域IX(インターネット・エクスチェンジ)とはある一定の地域を単位として複数のインターネット接続事業者(プロバイダー)がひとつの拠点(地域IX)に接続することにより,より安全で,高速,効率的な地域内でのインターネット利用環境を実現するもの。現在のインターネットは,全てが一旦,東京の全国IXを経由して接続されるシステムとなっている。

(1)地域IXの効果
地域内での情報通信環境は「より早く,より確実」になり,インターネットによる地域内の強固な連携が促進できるほか,次のような効果がある。
ア 通信の安定化
通信遅延や通信途中におけるデータ損失が解消され,安定した通信が可能になる。
イ 障害に強いネットワークの構築
大都市や大都市までの通信経路に障害が発生した場合でも,地域内での通信が確保できる。
ウ 通信の効率化
地域IX内に他地域のアクセス件数の多いサイトのコピーをつくることにより,回線の混雑を防ぐことができる。

(2)地域IXの運営管理等について
ア 設置運営:京都市,京都情報基盤協議会
イ 設置場所:京都リサーチパーク内
ウ 運営開始:平成14年2月1日
エ 活動期間:2年間(京都市及び京都情報基盤協議会が運営を支援する期間)
平成16年度からは,地域IXに接続している事業者から応分の接続料を徴収し,民間主体(独立採算制)で継続運営できる体制づくりを目指す。
※京都情報基盤協議会とは
京都地域の計算機ネットワークとの相互接続を行うことによって,京都における情報の高度利用と情報資源の活用を図るとともに,ネットワーク利用を通じて産業,文化など諸分野の活動支援を行い,京都地域全体の活性化に資するなどを行っている民間主体の協議会。85の団体・企業からなる。<事務局 財団法人 京都高度技術研究所,代表者 池田 克夫 会長>

2 「京都ONE推進ワーキンググループ」によるiDCを活用したASP の研究・実施
iDCとASPを活用し,中小企業をはじめとした産業,商業のIT化をより一層推進し,電子自治体への円滑な移行を図る。
このような取組は大企業においては浸透しているが,京都の中小企業や地方自治体においては,その活用は進んでいない。そこで,このようなシステムを活用した取組を京都で民間企業との緊密な連携のもと研究・実施を行う。

※iDC(インターネット・データ・センター)とは
情報発信などを行う各事業者のコンピュータを信頼性が高く安全な施設で預り,運用・保守管理と情報セキュリティ対策を行うもの。耐震構造を備え,安定した電源供給を確保するとともに自家発電設備を備え,24時間365日の運用監視などを行う。
また,高速なインターネット回線と接続していることが必要条件である。
※ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)とは
このようなiDCを利用し,データを安全に保管するとともに,誰でも使えるような情報システムを高速大容量なインターネット回線を通じて,貸し出すビジネス形態のこと。現在,急速に台頭している。

(1)iDC・ASPの効果
自前で情報システムを購入,構築する必要がなく,導入時の初期コストを大幅に低減できるほか,次のような効果がある。
ア 安定的な情報システムの運用
専門技術者による常時監視体制のもと,情報システムの安定的な運用が可能となる。
イ 情報セキュリティの飛躍的向上
厳重な入退室管理,ハッカー,クラッカーなどのネットワーク上の不正アクセスに対する高度な対策を行っているiDCを活用することにより,情報セキュリティの飛躍的な向上を図ることができる。
ウ 情報システムの拡大が容易
コンピュータなどのハード機器,情報システムなどのソフトウェアを大規模なiDCで調達することにより,需要に対応した情報システムの拡大が可能となる。

(2)研究メンバー
「京都ONE推進ワーキンググループ」が行う(38組織)。
京都情報基盤協議会の中の企業,団体で構成されている。

(3)研究開始日 平成14年2月1日
(第1回「京都ONE推進ワーキンググループ会議」開催予定)

 

(市長記者会見資料)

 

平成14年1月16日
京都市
文化市民局文化部文化財保護課
222-4112

 

~檜皮葺をはじめとする「木の文化」を守る全国初の拠点施設~
京都市文化財保存技術研修センター(仮称)の設置について

 

 我が国の「木の文化」の象徴ともいうべき木造の伝統的建造物には,屋根材料としてひわだ檜皮が多用されていますが,檜林の減少やもとかわし原皮師(檜の樹皮を剥ぐ職人)の高齢化,後継者不足により,檜皮の安定供給が望めなくなってきています。
 文化財の補修は,在来と同じ品種・品質の材料を使用することが文化財の価値担保上極めて重要であり,貴重な国民的財産である文化財を本来の形状で後世に伝えることは,文化財保護行政の根幹をなすものです。
 また,文化庁においても,文化財建造物の維持・修理のために必要な原材料等の確保が重要な課題であるとの認識から「ふるさと文化財の森構想」を整備し,施設整備に係る補助制度を確立されたところです。
 こうした中,檜皮葺建造物が全国一多い京都市では,文化庁の補助制度を活用し,原皮師の育成,檜皮葺をはじめとする伝統的屋根葺技術の伝承と普及啓発を行う全国初の拠点施設として,「京都市文化財保存技術研修センター(仮称)」を設置することとしましたのでお知らせします。



1 機能
次の機能を備えた全国初の拠点施設として設置する。
(1) 高齢化・後継者不足にある原皮師の育成
(2) 檜皮葺についての伝承(専門家から子供たちまで)
(3) 森林と木造文化財の関わりについての普及啓発
※ 将来的には,檜皮葺だけでなく,こけら柿葺やかや茅葺などの伝統的屋根葺技術等についても対象とすることを検討していく。

2 主な事業
(1) 原皮師の育成事業
(社)全国社寺等屋根工事技術保存会との連携により,「世界文化遺産貢献のもり森林」(※)を活用して,原皮師養成のための研修を行う。
※ 「世界文化遺産貢献のもり森林」とは,林野庁近畿中国森林管理局が檜皮の供給や原皮師の養成のために世界文化遺産の所在する一定の地域の国有林を活用できることとしたもの。
(2) 檜皮葺の伝承に関する事業
剥ぎ取った檜皮を屋根材料に加工したり,檜皮を葺く実演・演習を行う。
(3) 普及啓発事業
檜皮葺屋根・柿葺屋根・茅葺屋根の部分模型や,檜皮等の採取・加工のための道具の常設展示を行う。さらには木造文化財や森林についての講演会を行うとともに,これらに関する資料・文献を収集し展示する。

3 施設概要
(1) 設置場所京都市東山区清水2丁目205-5
(東山乳児保育所跡=平成10年3月末廃止)
敷地面積 877㎡
(2) 構造・規模 鉄筋コンクリート造 地上2階
延床面積 約900㎡
外観は和風修景とする。
(3) 施設・設備 展示室,作業場,研修室,資料室,倉庫 など

4 総事業費
320百万円
※ 「ふるさと文化財の森構想」による国庫補助1/2

5 今後の予定
平成15年度の早い時期の開館を目指し,平成13年度・14年度で整備を行う。

 

<参考資料>

 

1 「世界文化遺産貢献のもり森林」とは
 平成13年8月21日,林野庁近畿中国森林管理局が伝統的木造建造物を後世に 守り伝えていくため,近畿中国地方の世界文化遺産の所在する地域の国有林を「世 界文化遺産貢献の森林」として設定したもので,うち京都市内は,520㌶が「世 界文化遺産貢献の森林(京都市内の国有林)」として設定されている。さらに,京 都市内の国有林については,目的別に4つのゾーンに分かれており,そのひとつで ある「檜皮の森林ゾーン」は,檜皮の供給や原皮師の養成の場として鞍馬山,貴船 山,大日山の各国有林239㌶を活用できることとされたもの。

2 「ふるさと文化財の森構想」とは
 平成13年度,文化庁が創設した事業。森林からとれる檜皮やたいけいぼく大径木など,文化財の保存修理に必要な原材料や技術者が不足している現状を踏まえたもので,文化 庁は,全国に文化財建造物の原材料採取技術の伝承と普及啓発を行う施設を設ける予定。まず始めに,檜皮に関する施設整備を行い,順次,茅,大径木及び漆等の施設整備を行っていく。施設を建設する場合の経費については,文化庁が2分の1以内の補助を行う。

3 (社)全国国宝重要文化財所有者連盟とは
設  立 平成4年5月27日
概  要 国宝重要文化財の所有者等が文化財の保存と活用に係る各種の事業を推進し,文化の発展に寄与している。
所在地 京都市東山区林下町400 知恩院山内源光院
代表者 松浦 國男 理事長

4 (社)全国社寺等屋根工事技術保存会とは
設  立 昭和54年12月22日
概  要 社寺等屋根工事の伝統的技術の保存と社寺屋根工事技能者の養成研修及び文化財修理資材の確保等を行い,文化財の保護事業に寄与している。
所在地 岐阜県岐阜市加納東丸町2-20
代表者 田中 敬二 会長

5 檜皮葺建造物について
<文化庁建造物課(平成12年5月),全文連アンケート(平成8年度)などによる>

 

[国宝・重要文化財の建造物]
建 造 物うち檜皮葺うち今後10年間の葺替希望
全 国3,683棟728棟244棟 約52,000㎡
近 畿1,622棟524棟200棟 約41,000㎡
京都市402棟150棟65棟 約15,000㎡

※国指定の他,府指定6棟,市指定26棟を合わせると,京都市内の推定檜皮屋根面積は33,000㎡に及ぶ。<全国一>
※今後10年間の葺替希望のうち葺替面積の大きなもの
下鴨神社2,800㎡,上賀茂神社2,500㎡,清水寺2,300㎡,厳島神社2,200㎡
 上記以外に,京都御所700㎡

[檜皮葺の葺替え周期]35年
[檜皮の採取周期]8年

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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