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京都市立学校外国人教育方針

ページ番号8961

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2008年1月29日

~主として在日韓国・朝鮮人に対する民族差別をなくす教育の推進について~

 

 国際化が進展する中,日本人児童・生徒はもちろん,すべての児童・生徒に自らにかかわる民族や国に対する自覚と誇りを高め,国際的な広い視野のもとに,他の民族や国の主体性と尊厳に対する認識を深め,国際協調の精神を養う教育は極めて重要である。

 しかし,日本の社会には,今なお,近隣アジア諸国等の人々を軽視したり,蔑視したり,忌避したりする等の意識が存在している。とりわけ,在日韓国・朝鮮人については,日本の植民地政策等の歴史的・社会的背景から民族的偏見や差別が根強く存在しており,その解消に向けての取組は本市教育の重要な課題である。このような認識の下,京都市立学校においては,これまでから在日韓国・朝鮮人に対する民族差別をなくす教育を推進してきたところであるが,今後ともこの教育の一層の拡充が必要である。

 

外国人教育推進の経過と現状(略)

外国人教育推進の視点

 こうした現存する在日韓国・朝鮮人に対する民族的偏見や差別の実態については,その歴史的・社会的背景から日本社会の人権問題としてとらえなければならない。したがって,その解決は日本の社会における人権の確立と民主主義社会の形成に欠くことのできないものであり,在日韓国・朝鮮人に対する民族的偏見や差別をなくす教育は,人権教育における重要な課題として,他の人権問題にかかわる教育とともに,一層推進しなければならない。

 更に,外国人教育は,国際理解を深め,国際協調の精神を養う教育の一貫である。すなわち,それぞれの民族・国の文化や伝統を価値あるものとして互いに認め合い,社会をより豊かにするものとして尊重する教育の取組である。これは,とりもなおさず国際人権規約等の理念を具現化する営みでもあり,日本に存在するすべての外国人の主体性や民族性を尊重し,その人権を確立することにつながるものである。

 今日,国際化が著しく進展し,様々な国の子供たちが本市立学校に在籍するようになりつつある一方,外国人と日本人との婚姻や外国人の日本国籍の取得が進行するなどの状況においては,国際的な広い視野のもとに,自らにかかわる民族や国に対する自覚と誇りを高め,かつ,共に生き,共に発展していくことの大切さを理解させる教育は極めて重要である。

 外国人教育は,こうした認識に立って京都市立学校に在籍するすべての児童・生徒を対象とし,すべての学校で組織的,計画的かつ継続的に推進しなければならない。

1 目標

 外国人教育を推進するため,次に掲げる目標を設定する。

○すべての児童・生徒に,民族や国籍の違いを認め,相互の主体性を尊重し,共に生きる国際協調の精神を養う。

○日本人児童・生徒の民族的偏見を払拭する。

○在日韓国・朝鮮人児童・生徒の学力向上を図り,進路展望を高め,民族的自覚の基礎を培う。

 外国人教育は,人権普遍の原理である人権を確立し,すべての人々が民族や国籍の違いを認め,共に生き,共に発展していく社会を創造することを目指すものであり,とりわけ,在日韓国・朝鮮人に対する民族差別をなくすことを目指す教育である。

 すべての児童・生徒に,民族や国籍の違いを認め,その相互を超えて互いに理解し合い,共に生きる国際協調の精神を養うことは極めて重要である。そのことが,互いの民族や国の文化・伝統の多様性や異質性をそれぞれ価値あるものとして認め合い,社会をより豊かにするものとして尊重し,共に生きる社会の形成者を育成していくものである。

 日本人児童・生徒に,今なお日本の社会に存在する近隣アジア諸国等の人々を軽視したり,蔑視したり,忌避する等の意識を払拭させることが重要である。

 とりわけ,在日韓国・朝鮮人に対する民族的偏見や差別を払拭させることが重要な課題である。そのためには,社会の中にある差別の実態に着目させ,韓国・朝鮮人の在日及び民族差別の歴史的政治的背景を中心とする日朝関係史を正しく理解させるとともに,朝鮮民族の文化や伝統について学習させることが必要である。そのことが,民族差別の不当性について気付かせ,相互理解の必要性及び朝鮮民族の主体性と尊厳を認識させることにつながるものである。

 在日韓国・朝鮮人児童・生徒に,学習への意欲を高め,目的意識をもって主体的に学習する能力や態度を育てること,更に,民族の歴史や文化の価値について認識を高め,民族としての誇りをもたせることが必要である。そのことが,学力向上を図り,進路展望を高め,民族としての自覚の基礎を培うことにつながり,日本の社会に存在する民族差別に打ち克ち,自己実現を図る大きな力となる。

 日本の植民地政策等に起因する民族差別の歴史的・社会的背景の中で,今日,日本に韓国・朝鮮人が多数在住しており,また,そうした状況の中で日本の社会には,二つの名前に象徴されるような民族の主体性にかかわる矛盾が存在している。

 これは,止むを得ず多数の韓国・朝鮮人が日本に在住し日本人らしく生活しなくてはならないという実態を示しており,また,そのことは,客観的な事実として日本人が在日韓国・朝鮮人の民族としての主体性を認知していないということである。そして,在日韓国・朝鮮人にとっては,民族としての主体性を主張し得ない状況に置かれているということである。

 一般に,民族とは,歴史的運命,言語・習慣などの文化的伝統を共有する集団であり,民族的自覚や民族意識の形成は,その言語・習慣などの文化的伝統を通してなし得るものといわれる。したがって,民族の手による民族教育の場は十分尊重されなければならない。

 しかし,在日韓国・朝鮮人の多数の子供たちが日本の公立学校に在籍している現実を踏まえるとき,日本の公立学校として,これらの子供たちに民族的自覚の基礎を培うことは,日本人児童・生徒に日本人としての自覚を育てることと同じく重要な教育課題である。

 

2 内容

 学校の教育活動全体を通じて,次の内容にかかわる指導を推進するとともに,保護者啓発を進める。

(1) 人権にかかわる学習を中心に,人間の尊重についての考え方を深めさせるとともに,国際的な広い視野から,他の民族や国の文化や伝統を尊重することの大切さについての学習を通して,その違いと主体性を認め,互いに理解し尊重し合い,共に生きることが大切であることを認識させる。

(2) 日本とアジアの近隣諸国との近現代史を正しく理解させ,明治以降太平洋戦争に至る日本の侵略がこれらの国々に多大な損害を与えたことを踏まえ,今日の日本がこれらの諸国との友好親善を一層進めることが大切であることを認識させる。

(3) 日本が行った植民地政策等の歴史的事実について学習させるとともに,固有の文化をもち独自の発展を遂げた朝鮮の歴史と,古くから日本と政治,経済,文化等の面で深い交流があった朝鮮の歴史が日本の歴史に大きな影響を与えたことを学習させ,日本との歴史的な関係について正しく認識させる。

(4) 日本の社会に存在する在日韓国・朝鮮人に対する民族差別の実態に着目させ,民族的偏見や差別は人権尊重の立場から許されないことを認識させて,在日韓国・朝鮮人児童・生徒と日本人児童・生徒が相互の主体性を尊重し,高め合い,共に生きる態度を育てる。

(5) 各教科,特別活動等において,朝鮮の文化・芸術,生活等に触れる学習の機会を計画的に設け,豊かな朝鮮文化について正しく認識させる。

(6) 民族学校等の児童・生徒や在日するその他の外国人との交流の機会を拡充し,相互理解を深めさせる。

(7) 在日韓国・朝鮮人児童・生徒には,教育活動全体を通じて指導の焦点化を図る中で,

1.基礎的・基本的な内容の指導を徹底し,自己実現を図るため主体的に課題を解決していく能力と態度を育てる。

2.日朝関係史や朝鮮文化の学習を通して,民族の歴史や文化の価値について認識を深め,民族としての自覚と誇りを高める。

(8) 民族差別の不当性と社会の中からすべての差別をなくすことに関し,保護者の認識を高める。

 

3 推進体制

 京都市教育委員会は,以上の目標及び内容を踏まえ,すべての学校の教育課題として,全教職員の共通理解の下に,組織的,計画的かつ継続的に外国人教育を推進する。

(1) 校務分掌

 各学校においては,外国人教育の担当の校務分掌を位置付け,外国人教育に係る指導,研修等の企画・運営に当たる。

(2) 指導計画

 この方針に基づき,各学校においては,地域や学校の実態及び児童・生徒の発達段階を考慮して,指導の効果を高めるよう指導内容を系統的に組織するなど,創意ある指導計画を作成し,実施する。

(3) 進路指導

 在日韓国・朝鮮人児童・生徒の進路指導の充実を図るため,学級担当,進路指導主事,外国人教育の担当,学年主任等との協力体制を強化する。

 更に,進学・就職に関する差別を排除するため,関係機関との連携を密にし,啓発に努める。

(4) 研修・研究

 外国人教育に関する教職員研修を拡充し,朝鮮の歴史,文化・芸術,生活等に直接触れる機会を設ける。

 各学校においては校内研修に外国人教育に関する内容を位置付け,その充実を図り,実践力を高める。

 小・中・高等学校別に,全市的な研究団体を組織し,相互の連携を図りながら研究を推進する。

(5) 保護者教育

 外国人教育の内容を人権啓発の年間計画の中に位置付けるとともに,広報紙による学習資料の提供を行うなど,学校教育との連携を図りながら啓発を推進する。

 

4 指導に当たっての留意事項

 公教育としての使命・理念に立脚し,教育の中立性を堅持するとともに,次の事項に留意し,国際的な広い視野に立って,外国人教育を推進する。

(1) 国際的な広い視野から,それぞれの民族や国の文化や伝統を尊重し,その違いと主体性についての認識を深めることによって,国際協調の実践的態度と世界平和に寄与し真の民主主義社会の形成者としての資質の育成を図ること。

(2) 日朝関係史や朝鮮文化の学習においては,日本との古くからの友好の歴史と密接な関係について理解を深めさせるとともに,朝鮮の歴史が独自の発展を遂げ,固有の豊かな文化を持つことに着目させること。

(3) 民族差別については,その歴史的・社会的背景からだけでなく,日本の社会に現存する人権問題としてとらえ,その解決は人権の確立と民主主義社会の形成に欠くことのできないものであるとの認識のもとに指導に当たること。

(4) 在日韓国・朝鮮人児童・生徒にかかわる生徒指導,進路指導等の教育上の問題については,民族差別の観点からとらえる必要のあることに留意すること。

(5) 在日韓国・朝鮮人児童・生徒が通称名(日本式氏名)を名乗ることについては,当然視することがあってはならない。民族差別がもたらした民族の主体性にかかわる矛盾としてとらえ,在日韓国・朝鮮人児童・生徒が自ら本名を名乗ることができる学級づくり,学校づくり等を推進するとともに,基本的には本名を名乗ることに向けて保護者・本人と十分な話し合いを行うこと。

(6) 在日韓国・朝鮮人児童・生徒の進路指導については,今なお差別のある現実を踏まえつつ,関係機関との連携を図りながら,的確な情報を提供し,相談活動等を重ねるなど,その充実に努めること。

(7) 在日韓国・朝鮮人児童・生徒の個々の指導課題の的確な把握と,その解決に向けての理解と協力を得るため,家庭訪問を緊密に行うなどして保護者との連携を深めること。

(8) すべての指導・生徒への指導をより確かなものとするためにも,保護者の外国人教育に関する理解,認識を深める啓発を推進するよう努めること。その際,児童・生徒が学習する内容である韓国・朝鮮人の在日及び民族差別の歴史的社会的背景を中心とする日朝関係史等を取り上げるなど工夫すること。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局国際化推進室

電話:075-222-3072

ファックス:075-222-3055