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京都市国際化推進大綱(平成9年(1997年)11月策定)の概要

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2007年11月19日

1 京都市が目指す国際化への基本的な考え方~「共楽」のまちを目指して

 

 京都市は,将来に向けて,日本人市民にとっても,外国籍市民にとっても,さらには外国からの訪問者にとっても,いきいきと生活でき,訪れて楽しく,活発で自由な交流ができるまち,すなわち「『共楽』のまち」を目指します。

 京都に住む外国人を同じ市民として受け入れ,すべての人々の人権を尊重し,「共に生きる社会」を築きます。

 地球市民として世界の人々との共生を図るため,世界と広く交流し,対等な パートナーシップに基づく協力を進め,「世界の平和と繁栄」に貢献します。

 共生・交流・協力を通じて,「文化首都・京都の再生と創造」を図ります。

 

(1) 「共に生きる社会」の構築

 

 京都市には,現在,京都市の人口の3%に当たる約4万4千人の外国籍の人々が居住しています。これらの人々は,地域に生活し,教育を受け,仕事を持ち,かつ,納税の義務を果たしています。
 しかし,従来,これらの人々について,日本人市民と同じ「市民」であるとの認識が十分なされませんでした。また,日本人市民と同様に,行政も「市民」でなく,「外国人」として扱ってきたことは否めません。地方自治法に「住民及び滞在者の安全,健康及び福祉を保持すること」とあるように,京都市に居住する外国籍の人々を国籍の異なる市民であるという意味で「外国籍市民」と位置付け,同じ市民として遇することが求められます。
 さらに,自治体行政及び日本人市民は,これらの外国籍市民の人権を擁護する責任の一端を担っていることを認識する必要があります。戦後の日本では,外国籍市民については,その人権を守らなくてはならないという意識は稀薄であり,ともすれば「分担の任務」が強調され,「地方公共団体の役務の提供を等しく受ける権利」は見過ごされてきた面がありました。
 京都市では,平成5年(1993年)3月に策定した「新京都市基本計画」において,「京都在住の外国人が国籍や民族の違いを超え,共に京都に住む市民として,それぞれの文化を認め合い,交流できる条件整備を進める」こととしました。
 しかしながら,今日,外国籍市民の人権状況は改善されてきているものの,依然としてその保障は十分とはいえません。
 したがって,今後は,日本人市民と外国籍市民が共に生きる社会,すなわち「『共生』のまち」を目指し,すべての外国籍市民の人権を擁護するための施策と市民への啓発を一層推進しなければなりません。
 とりわけ,京都市の外国籍市民の多数を占める在日韓国・朝鮮人については,戦前の「韓国併合」以来,日本への渡航を余儀なくされた人々とその子孫であり,「特別永住」の資格を持っていること等の歴史的経緯に十分配慮する必要があります。
 このような基本的視点に立って,外国籍市民施策の未来像を打ち立てる必要があります。そして,地方分権の推進のため市民の市政参画が強く求められているなか,外国籍市民の声も行政施策に反映するシステムを作ることも視野に入れながら,外国籍市民施策を着実に具体化していく必要があります。

(2) 世界の平和と繁栄への貢献

 

 千年以上の長きにわたり首都であった京都の歴史は,国際交流と協力から始まった歴史でもありました。5世紀前後に朝鮮半島から渡来した秦氏は,山背(山城)の地を開拓し,農業技術等を伝えました。その後も,平安建都に際し,中国の長安を模した計画的な都市づくりが行われ,建都後には遣唐使により中国文化を積極的に導入してきました。また,朝鮮半島を経由して外国の文化や技術を受け入れてきたほか,江戸時代には,朝鮮の使節を積極的に招聘してきました。さらに,東京遷都後の試練の際にも,西欧文明をいち早く取り入れることで対応してきました。
 平安建都1200年の記念の年に出された「平安宣言」にもあるように,「千年の都」「京都は,遠近の人びとの惜しみなき支援のもとに,絶えず海外の文明を取り入れながら」今日の姿へと発展してきました。
 わが国の国際的地位や経済力が向上するに伴い,国際協力に対する期待が高まっていますが,戦後復興をはじめわが国の発展には,長い歴史を通じて海外諸国からの多大な協力が大きな要素を占めていることからすれば,わが国がその国力に見合った国際協力を行う義務はなおさら大きいと言えます。
 地球環境問題等,地球規模で解決を図るべき問題が数多く生じている今日,私たちは「地球市民」として世界の人々と同じ運命の下にあります。
 近年,いわゆる「顔の見える国際協力」を目指して,国レベルで行われるODAのみならず,NGO等が経済・技術協力を中心として行われるようになってきています。
 地方自治体においても地域に密着した豊富な人材とノウハウの蓄積を有しており,実践的な国際協力を推進するうえで大きな潜在力を持っています。
 京都市は,地球環境問題等の解決に向け,行政と市民が手をたずさえて,世界の人々と対等なパートナーシップに基づく国際協力を進めていく必要があります。そして,それは互いの地域社会の健全な発展に寄与するものであり,ひいては世界の平和と繁栄に貢献していくことになります。

(3) 文化首都・京都の再生と創造


 京都の文化的・経済的活力の源は,長い歴史の中で育まれた伝統を大切に継承しながらも,異質なものを受け入れていく中で,新旧双方を対峙させながら共存させ,そこから新しいものを生み出してきたところにあります。
 京都市は,昭和53年(1978年)に「世界文化自由都市宣言」を行い,「全世界のひとびとが,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流」を行い,「広く世界と文化的に交わることによって,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市」を都市の理想像として掲げました。
 人・もの・情報の交流がこれまでにも増して盛んとなってきている現在こそ,京都の伝統を守り,新しい文化と相交えながら,京都を発展させていかなければなりません。
 しかしながら,最近では新旧の文化が交流する機会が少なくなり,京都の創造する力が低下し,発信する力も弱まってきていることも否定できません。また,それと相まって,地域経済の活性化も大きな課題となっています。
 京都の伝統と文化を守り育てながら,国際交流・協力を通じて世界と広く交わり,京都の創造力を活性化させるとともに,京都の発信力を高め,地域経済を発展させていかなければなりません。

2 京都市の国際化の目標

(1) 共生のまち・京都~「内なる国際化」の推進

 

 京都市では,近年,外国籍市民の定住化と多様化に伴って,「多文化社会」が進展しています。しかし,外国籍市民の人権は,世界的な人権意識の向上により改善の方向に進んでいるものの,日常生活における差別や偏見は依然として解消されていません。
 こうした状況の中で,外国人と日本人が国籍や文化の違いを超えて,お互いが理解し合えるまち,すなわち「共生のまち」の実現が強く求められています。外国人を同じ市民と位置付け,その人権を十分に保障することが必要です。とりわけ,基本的人権に関わる福祉,教育,啓発に重点を置くことが重要です。また,地域に密着している定住外国人については,地方参政権や地方公務員採用の問題も含めて,市政参画のための方策の検討が必要となってきています。
 さらに,市民一人ひとりが高い人権意識を持ち,日常生活の中で人権の擁護を実践していくことも不可欠です。

(2) 世界に開かれたまち・京都~市民レベルの国際交流の推進

 

 国際交流は,かつての行政主体のものから,市民一人ひとりが主役であるべき時代に移ってきており,こうした市民レベルの国際交流を推進するに当たっては,姉妹都市交流や留学生交流,文化・スポーツ交流等において,市民・民間団体が中心になって交流する機会が増えるように支援していくことが必要となります。
 また,アジアの一員として,アジアの諸国との理解促進のための交流・協力の拡大と深化を図ることが重要となってきています。

(3) 世界の平和と繁栄へ貢献するまち・京都~国際協力の推進

 

 経済活動から市民生活に至るまで幅広い分野で国際的な相互依存関係が強まり,地球環境問題や食料問題をはじめとする地球規模の問題が地域の住民一人ひとりの生活に密接に関わっているという認識が高まっています。
 京都市も環境保全,文化財修復,産業振興,交通対策,上下水道整備等,まちづくりに関して自治体として持つ豊富なノウハウと人材及び歴史文化都市としての特質を生かし,国等の公的機関や企業,市民・民間団体等とも協力しながら,国際社会の一員として対等なパートナーシップに基づく国際協力を進めていく必要があります。
 国際協力を推進するに当たっては,地球規模の問題や歴史都市としての共通の課題の解決のため,多都市間の協力関係を築いていくことが重要となってきています。

(4) 活力と魅力あふれるまち・京都~文化首都・京都の再生と創造

 

 日本固有の文化を世界に発信する資格と責任を持つ京都市が,21世紀においても文化首都・京都として発展していくためには,伝統や文化を守りながら,世界との自由な交流により新たな創造を続け,文化首都としての発信力を一層高めるとともに,魅力あるまちづくりを進め,地域経済の活性化につなげていく必要があります。

 

3 推進施策

(1) 共生のまち・京都~「内なる国際化」の推進

[情報提供・相談体制の充実]

  • 多言語による情報提供体制の整備
  • 専門的な相談に対応できる相談機能の整備

[社会保障の充実]

  • 無年金の高齢外国籍市民に対する市独自の給付金の創設の検討

[医療・救急体制の整備]

  • 医療通訳ボランティアの養成の方策の検討

[教育の充実]

  • 民族学校の卒業生に対する市立看護短期大学の受験資格の認定
  • 民族学校への財政的支援の一層の充実についての検討
  • 小学校跡地利用等を通じた外国人学校への支援

[人権意識の高揚のための啓発・教育の推進]

  • 様々な広報媒体を通じて,人権尊重意識の普及や啓発活動の充実

[住宅問題への対策の強化]

  • 宅地建物取引業者や家主に対する啓発

[地域社会への参画の拡充]

  • 外国籍市民を含む委員で構成する「外国籍市民施策懇話会」(仮称)の創設

 

(2) 世界に開かれたまち・京都~市民レベルの国際交流の推進

[従来型の姉妹都市提携による交流の一層の充実]

  • 各姉妹都市における「姉妹都市・京都ファンクラブ」(仮称)や京都市との窓口機能を担う「姉妹都市友好大使」(仮称)の創設の検討
  • 京都市側の受け皿となる組織を各姉妹都市ごとに結成

[新しい形態による都市提携の創設]

  • 世界の諸都市と一層幅広く交流を広げ,また,深めていくため,歴史遺産・景観保全,環境保全,経済等の特定分野に限定した新たな都市提携「パートナーシティ」を創設

[アジアの諸都市との交流の推進]

  • アジアの文化・経済に関するシンポジウム,映画,音楽,絵画,食文化等を一堂に集めた「アジア・フェスティバル」の開催
  • 国際交流会館における「アジア・ライブラリー」の設置やアジアの諸都市における最新の文化・経済活動等を網羅した「アジア・ニュースレター」(仮称)の創刊の検討

[地域住民と留学生との交流促進]

  • 留学生のニーズに応じた交流事業の実施

 

(3) 世界の平和と繁栄へ貢献するまち・京都~国際協力の推進

[歴史都市としての国際協力の推進]

  • 「世界歴史都市会議」の継続開催
  • 「世界歴史都市連盟」会員都市との共同研究や会員都市が必要としている分野の情報提供,技術協力等を通じた国際協力

[京都市の特性を生かした国際協力の推進]

  • 文化財修復分野での国際協力として,アジアからの研修生受入等,世界の文化財の保存と整備の推進に貢献
  • 産業・経済分野での国際協力として,世界工芸協議会本部の設置を契機に,工芸関係者の交流を通じた世界の伝統工芸の発展に向けた協力の推進
  • 地球温暖化防止会議成功に向けた支援・協力や「環境学習・エコロジーセンター」(仮称)の整備,地球環境保全行動指針,温暖化防止計画の策定等を通じた環境保全に対する啓発,市民レベルの取組への支援等,環境分野での国際協力の推進

[市民・民間団体等との連携による国際協力の推進]

  • 「京都国際交流団体連絡協議会」の活性化を通じた国際協力団体等との連絡体制の充実や国際協力人材バンクの創設の検討

[留学生への生活支援協力の推進]

  • 公的留学生寮に対する支援拡充や留学生と日本人市民・学生との混在型宿舎の整備を進めるための市民に対する宿舎提供の呼び掛け

 

(4) 活力と魅力あふれるまち・京都~文化首都・京都の再生と創造

[京都の文化・情報の受発信の活性化]

  • 「京都アートセンター」(仮称)の整備や文化事業奨励金制度の創設の検討,公立音楽学校の開設等を通じた京都の芸術文化の世界への発信

[京都経済の国際化への支援充実]

  • アジアをはじめ海外での見本市の開催やミッションの派遣の促進
  • 京都リサーチパークを中心とした研究開発拠点の整備
  • パリやリヨン等のファッション先進都市との連携による技術・人材等の織物産地交流,西陣織の国際競争力の強化

[国際観光の振興・コンベンションの誘致促進]

  • 世界の観光革命をリードし,世界の人々から選ばれる第一級の観光地づくりを目指す「京都市観光振興基本計画」(仮称)を策定
  • 「宇多野ユースホステル」等の滞在施設の整備や長期滞在型観光の受入システムづくり
  • 空き町家を利用した回遊空間の創出や袋小路等の歴史都市としての多様な資源を活用した観光開発
  • 国際旅行見本市への出展・参加や海外への観光誘致団の派遣等,観光誘致の活動促進
  • 京都コンベンション・ビューローの強化と京都の特性を生かしたコンベンションの誘致
  • コンベンション誘致の専門家等の人材の養成やコンベンション主催者に対する貸付資金枠の拡大の検討,コンベンション参加者への市バス・地下鉄の利用料金の軽減の検討
  • ホテル等の宿泊料金の一層の減額,レストラン等の利用料金の割引制度の創設について関係機関と協議

 

(5) 国際化へのまちづくり・人づくり

[国際化を促進する施設・機能の整備促進]

  • 国に対する「京都迎賓館」の早期建設着手や国立京都国際会館の整備促進,リニア新幹線の京都経由についての要望
  • 「大学のまち交流センター」(仮称)の建設と「京都アートセンター」(仮称)の設立の検討

[わかりやすいまちの表示の促進]

  • 地下鉄の入口・のりば案内について,日本語,英語,中国語,ハングルの4か国語を基本に外国語表示を計画的に推進
  • 主要公共施設,道路,観光地,鉄道・ターミナル等を中心とした前記4か国語による案内表示の計画的整備

[防災対策の強化]

  • 避難場所,防災関連標識等の多言語化による避難場所の周知
  • 防災マニュアル等を通じた外国籍市民・滞在者に対する防災指導の充実
  • 通訳ボランティアや民間団体等の協力体制の確立や災害時における外国籍市民・滞在者に対する情報収集・提供等の充実

[国際理解の促進]

  • 学校教育における国際理解教育を促進するため,諸外国の文化や歴史を尊重し,他の民族や国の主体性と尊厳に対する認識を深め,国際協調の実践的態度を育てる活動を積極的に推進
  • 生涯学習としての国際理解を促進するため,外国人の人権について理解を深める講座の開催や姉妹都市等との交流事業の充実,外国文化センター等と連携した事業を充実

[国際化推進の担い手の養成促進]

  • 国際化ボランティア登録による活動機会の提供や国際交流会館の講座を通じたボランティアの実践的能力の向上
  • 市職員を対象とした外国語研修,国際理解研修の開催や国際関係機関の研修会への参加を通じた市職員全般の資質向上

 

(6) 国際化への支援・推進体制

 

[国際化への推進体制]

  • 「京都国際交流団体連絡協議会」の活性化等による市民・民間団体等との連携の強化
  • 京都府,京都府国際センターや大使館,領事館,外国文化センター等の公的機関との連携
  • 「京都市国際化推進会議」(仮称)の設置による庁内体制の強化と京都市国際交流協会の活動の一層の促進

 

冊子「京都市国際化推進大綱」をご希望の方は、京都市総務局国際化推進室(京都市中京区寺町通御池上本能寺前町488番地 TEL:075-222-3072)まで御連絡ください。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局国際化推進室

電話:075-222-3072

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