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京都市消防局

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平成29年1月号 あの日あの頃

ページ番号212806

2017年1月8日



 今から15年前,新宿の歌舞伎町の雑居ビルが火災となり,44名が死亡しました。

 一つしかない階段に火が入ると,逃げ場を失う建物で,防火戸が閉まらなかったことが,被害を大きくしました。

 この火災をきっかけに,防火対象物定期点検報告制度が始まったのですが,それ以前から,京都市では,事業所に自主点検票を配布し,点検後,返送してもらっていました。


 伏見消防署で,予防係の査察担当になったとき,事業所の防火対策の精度を上げるには,消防署員が気付かないような火災危険を,関係者自身で洗い出し,点検項目に入れる必要があることや,消防署員が立ち入り検査をするまで,防火点検をしていないような事業所があるので,「査察の効率を上げるには,自主点検に力を入れるべき」と提案したところ,予防係長がとても感動してくれて,「何とかこれを,実現しよう」と言うのです。私は,半年で建築担当に部署が変わったため,その件は,係長に任せ切りとなりました。しばらくして「全市で実施する予算を取ったので,各事業所に点検票を配布する」とその係長から聞き,一瞬,点検票を消防が作ったのでは,消防が予見できない部分が点検できないし,一律の点検票では,効果に疑問があるような気がしたのですが,まず第一歩として,自主点検を制度化とすることに意義があると思っていました。


 歌舞伎町の火災があった年,私は,東山消防署で,危険物実験セットを作る研究発表の準備をしていました。

 実験セットは,手際よく実験ができることから,とても評判が良く,各署に配布になり,東京にある日本消防会館で発表することになったのですが,実は,実験器具もマニュアルも元々消防署にあったもので,私がしたことは,ただ,箱に詰めるだけだったので,褒められるたびに,気恥ずかしい気がしていました。

 ですから,東京で発表が決まったときは,研究発表のことより,歌舞伎町の火災現場へ行くことの方を考えていました。火災から1箇月以上たっていたのですが,歌舞伎町に着くと,火事の匂いがするので,すぐに現場を見つけることができました。

 自主点検を,実施していたとしても,この火災を防げたとは言えませんが,被害を小さくすることはできたと思います。


 この火災をきっかけに,防火対象物定期点検報告制度が始まったほか,特定1階段の指定や点検報告特例認定制度も始まり適マークは廃止になります。また,研究発表をした,日本消防会館内には,違反是正支援センターが開設され,京都では,祇園地区の夜間査察が始まりました。

 今年からは,さらに,新たな建築物の定期報告制度が始まり,防火戸(防火設備)の点検も強化されることになりました。私は,京都が独自でやっていた,自主点検制度が,防火対象物定期点検報告制度に影響を与えたのは間違いないと確信しています。  

 ということは,まだまだ,改良の余地があるのではとも思っています。


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ファックス:075-671-1195