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京都市消防局

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平成28年11月号 わが社の防火防災自慢

ページ番号206762

2016年11月1日



 仁和寺は,888年に第59代宇多天皇が亡き先帝の遺志を継ぎ開かれた真言宗御室派の総本山です。宇多天皇は897年に出家し,御自ら仁和寺第1世 寛平法皇となり,以後,1000年以上にわたり仁和寺は皇室出身者が住職を務めました。このことより,仁和寺は日本最古の門跡寺院となります。

 また,1994年には古都京都の文化財の一つとして「世界文化遺産」に登録されました。


 かつては,門跡寺院として最高の格式を保っていた仁和寺ですが,1467年に始まった応仁の乱により一山の大半を兵火で焼失してしまいました。

 幸い,本尊の阿弥陀三尊をはじめ什物や聖教などは,仁和寺の院家であった真光院に移されていたため,平安期から伝わる文化財も今に残されております。

 その後,1634年に仁和寺第21世 覚深法親王が幕府に仁和寺再興を申し入れたことから,1646年に伽藍の再建が叶いました。また,境内の裏山には,成就山88箇所が整備されました。

 その際,御所から紫宸殿(現国宝金堂)や清涼殿(現重要文化財御影堂)など多くの建造物が下賜されました。現在境内には,観音堂や二王門をはじめ15棟の国宝及び重要文化財建築物が建ち並んでおります。

  時は流れ,1887年には御所から賜った御常御殿が火災に見舞われ大半が焼失し,大正時代には再建するものの,近年では過激派の犯行とされている時限発火装置による主要建造物(御影堂,金堂,霊明殿)の火災など,災害が後を絶ちません。

 火災以外では,1830年の京都大地震に成就山88箇所の諸堂が倒壊し,院家にも被害が出ました。また,記憶に新しい1995年の阪神・淡路大震災では,重要文化財の飛濤亭の屋根などにも被害がでました。

 このように仁和寺は歴史上,幾度となく火災をはじめとした様々な災害の被害に遭い,多くの文化財,建造物,人が犠牲となりました。

 しかし,仁和寺は多くの土地と建造物・文化財を様々な災害から防ぎ,未来へ残してゆかねばなりません。

 室町や明治に比べると,現在では消防設備・器具は飛躍的に向上充実しており,消防行政による適切な配置,配備により効率のよい消防活動が可能な状態にあります。

 よって,仮に過去のような災害に見舞われても今の設備があれば,多くの文化財や歴史的建造物などを火災や災害から守れるでしょう。

 しかし,現代の優れた設備や機能を有していても,消火活動に携わり運用するのはあくまで人であり,この一点においては平安から現代に至るまで変わりません。

 応仁の乱や明治の大火など,過去の災害に見舞われた際も当時の方々が消火と文化財の搬出に尽力したからこそ,仁和寺は57件にものぼる国宝・重要文化財を現在に残せているのでしょう。

 このことを踏まえ,消防活動に従事する者は設備や機能の充実に頼り切ることなく,その設備や機能を充分に活かせるよう日々の訓練を行い,災害時には適切に判断し対応できる組織を維持して行くことが肝要でしょう。



 仁和寺では,定期的な消防設備点検や日常点検により,設置されている設備を常に正常に維持管理しており,特に自動火災報知設備が作動すると消防指令センターへ自動的に通報される自動火災通報装置を設置しております。

 また,仁和寺職員は地域の消防団活動に積極的に参加し,消防署員に協力いただいた消防訓練も行っております。

 さらに,訓練の一環として毎年9月に開催される「右京自衛消防隊訓練大会」に毎回参加しております。

 本大会には,勤続年数の浅い者から順番に出場隊員を選抜することで,勤続年数に関わらず全職員が消火設備の操法を覚えることを目的としております。

 筆者も5年前と今年の自衛消防隊訓練大会に出場しました。5年前は目の前の操法で手一杯になっていましたが,今年は訓練計画を立てる側となったことから,段取りをしてゆく中で訓練自体の精度を上げることも重要ですが,訓練する隊員とよくコミニュケーションをとり連携することや,消防署・消防団の方々などに協力してもらう中で,お互いによい関係を築き信頼を得ておくことなどが,防火防災活動を広く見た際に重要だと感じました。

 今年は,消火器操法に2隊,小型動力ポンプ操法に1隊の計3隊が出場し,消火器操法隊のうち1隊が見事,優良賞を取ることができました。

 日頃の訓練が存分に発揮された結果であり,非常に喜ばしいことではあります。

 しかし,今回の結果に満足するのではなく,職員の防火防災意識を高い水準で維持し,全職員が本山を災害から守れる組織であり続けるよう尽力して行きたいと考えております。


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京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195