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京都市消防局

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平成28年8月号 ザ☆消防

ページ番号202846

2016年8月1日



 私の消防人生も7年が過ぎましたが,毎日訓練をしていても「なかなか自分の思い描いたとおりにいかないな~。」と思っている日々です。まだまだ若手職員として先輩方から学ぶことがいっぱいある私ですが,今回このような機会をいただいたので,数少ないですが,経験した現場のことをお話しさせていただきます。


   夜中に,とある屋内急病事案に出動したときの話です。出動指令があり,車両に乗り込んで無線で状況を確認していると,「家族申告。玄関施錠で,屋内にて人が倒れているかもしれない。」という情報でした。このとき,私は車内で「玄関施錠の屋内急病事案か。しかも共同住宅やし,ベランダに回り込んだらいいかな・・・。」と,この災害現場を安易に考えていました。

 現場に到着し,要救助者の身内の方に状況を聞くと,やはり玄関は施錠されていました。隊長に,「隣室から背面に回って,行けるか確認してきて。」と指示されたので,私は,先輩と警察官の3人で隣の家の方に部屋に入らせてもらい,ベランダ伝いに進入しました。進入したベランダから掃出し窓を確認すると鍵が開いていたため,まだ隣室にいた先輩にその状況を知らせ,「玄関で待っていてください。」と伝えました。

 そして,掃出し窓から進入しようとしたとき,真っ暗な部屋から何か声が聞こえてきました。ヘッドライトを当てて確認すると,なんと,部屋の中で要救助者が切腹(?)のようなことをしておられたのです。しかも,その要救助者は意識があり,腹を切ったであろう刃物を手に持って,こちらをにらんでおられました。私は怖くなり,先輩を呼びに行こうとしましたが足がすくみ,凍り付いたような状態になってしまいました。しかし,この状況を解決するには,要救助者のいるこの部屋を通り抜け,玄関を開放するしかないと思い,警察官が要救助者に声掛けをして気を引いてくれている間に一気に部屋を横切り,玄関を開放して救急隊を部屋に呼び入れ,観察してもらうに至ったのです。玄関扉のチェーンロックを開ける手は震えていました。そして,すごく変な汗をかいていたことを今でも覚えています。

 結果的には,無事に活動を終えることができましたが,帰署後,隊長から救助隊員として単独活動を行ったことを,先輩と共にきつく叱られました。

 この現場で私は,「今までの経験だけで安易に物事を考えたら,痛い目に遭う。」ということを痛感しました。最近多くなっている屋内急病事案だけでなく,それは全ての現場でも言えることだと思います。


 私は特別救助強化訓練で引揚救助をしており,今年で5年目になります。毎年全国の舞台に出場しては,勝てていないというのが現状で,「来年こそは・・・。来年こそは・・・。」とつい口癖になっています。今年こそは必ず日本一になって,胸を張って都に帰って来られるよう,頑張ります。


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