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京都市消防局

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平成28年5月号 予防タイムズ・リターンズ

ページ番号196917

2016年5月2日



後輩

 先輩,最近「民泊」という言葉をよく聞きますが,そもそも民泊って何ですか?

先輩

 うーん,そうだなあ。民泊という言葉には定義がないものの,インターネットの仲介サイト等を介して空き家や集合住宅の空き室などを宿泊客に提供するものを,「民泊」と呼んでいるな。

後輩

 そうなんですね。最近,民泊が増えているようですが…。

先輩

 そのとおり。民泊は,業者に一定の手数料を支払うことにより簡単に宣伝し,集客することができることから,短期間で急増している。今後も増え続ける見込みだ。

後輩

 宿泊施設が増えることはいいことですよね。京都市でも宿泊施設が不足していますから…。

先輩

 でも,手軽に運営できるからか,消防法,旅館業法,建築基準法に適合させる必要があるということがあまり認知されていない。特に平成27年4月1日からは,5項イ用途は面積に関係なく自動火災報知設備を設置しなければならなくなったことは知っているよね? とりわけ,旅館業法第3条による許可を取得していない施設は消防法令違反である可能性が高く,火災予防上,危険であると考えられるため,民泊の指導が今年度の運営方針に取り上げられたのだ。

後輩

 そういう理由だったのですね。


後輩

 民泊が運営方針に取り上げられた理由はわかりました。でも,なぜ旅館業法の許可を取得していない施設に対しての指導を消防がするのですか? 旅館業法について,我々消防吏員は知識がありませんよ。所管する消防法の違反に対してのみ指導していけばいいのではないですか?

先輩

 そのとおり。消防局は消防法令について,保健福祉局保健センターは旅館業法について,また,都市計画局は建築基準法についてというように,それぞれの所管法令により,3局が連携して指導をしていくんだ。消防局の今年度の運営方針で,旅館業法の許可を取得していない施設を対象としている理由については,許可を取得するときには保健センターに消防法令適合通知書を提出することになっているからなんだよ。

後輩

 消防法令適合通知書?

先輩

 そう。消防法令適合通知書とは,申請のあった宿泊施設において,消防法令に違反がない場合に発行することができるんだ。

後輩

 なるほど。旅館業の許可を取得しているということは,消防法令に適合しているかどうかのチェックが済んでいるということですね。

先輩

 そのとおり。さらに,検査の際に,建物構造違反や竪穴区画違反について発見したときは,都市計画局に違反通報することになっている。

後輩

 それじゃあ,旅館業法の許可を取得しているかどうかが,安全であるかどうかの一つの目安となるわけですね。

先輩

 そのとおり。だから,旅館業法の許可を取得していない施設を指導の対象としているんだ。


後輩

 それでは,消防法令適合通知書を発行していない施設は,旅館業法の許可を取得していないだろうから,これを選定して指導していけばいいのですね。

先輩

 待て待て,消防行政単独での指導は望ましくない。

後輩

 えっ,どういうことですか?

先輩

 さっきも言ったように,宿泊客が防火上も衛生面でも安心して利用できる施設になるよう,3局が連携して指導していくことが大切なんだ。

後輩

 うーん,確かに。でも先輩。宿泊施設って,地域によっては営業できないですよね。無許可営業を続ける施設はどのように指導していくのですか?

先輩

 君の言うとおり,施設によっては違法な営業を続けていくことも考えられる。この場合については,関係局と情報を共有したうえで,相手方に対し旅館業として営業してくことは認められないが,少なくとも宿泊施設としての実態がある間,宿泊客の安全確保のために自動火災報知設備の設置等,消防法令上の規定に合わせる必要があることをしっかり説明し,指導していくことになる。


先輩

 この他にも,民泊は大きな問題を抱えている。

後輩

 法令違反以外にも,ということですか?

先輩

 そうだ。民泊には,防火に気を配る役目の施設関係者が常駐していない場合が多く,施設関係者が常駐する施設に比べ,火災が発生するリスクが高いと考えられる。また,利用者に外国人が多く,火災時における消防機関への通報や初期消火の対応が不慣れであることも問題だ。

後輩

 日々入れ替わる外国人宿泊客に対し,どのように防火指導すればよいのでしょうか?

先輩

 これについては,その問題に対応するため当局が作成した,4箇国語対応の「防火や火災時の対応について記載したリーフレット」を施設に備え付けてもらうことが重要だ。

後輩

 これで少しでも火災時の対応が早くなるといいですね。

先輩

 そうだな。関係局と連携し,施設そのものの安全性を高めるとともに,宿泊者に対し,リーフレットにより,直接,火災時の対応について訴える。こういった取組を積み重ねることにより,市民や観光客の方が安心して過ごせる街を築いていかないとな。

後輩

 はい,観光都市・京都を火災から守る者として,頑張ります!



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電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195