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京都市消防局

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平成28年5月号 あの日あの頃

ページ番号196909

2016年5月2日


 皆さん,京都市消防職員待機宿舎「元町寮」を御存知ですか? といっても,現在ある家族用の寮ではなく,以前は独身者用の寮でした。私はその独身寮で昭和61年から6年間,管理員をしていました。今回はそのときの思い出を書かせてもらいます。


 昭和60年に結婚した私は,最初,民間のアパートに住んでいたのですが,家賃の安い家族用の待機宿舎に入居したくて,募集がある度に応募していました。しかし,抽選は毎回落選!そんなとき,消防局が元町寮の管理員を募集しているという話を聞きました。私は,すぐに施設課に問い合わせたところ,「説明するので来てほしい。」と言われました。

 当時,施設課のある局庁舎は寺町消防出張所の上階にあって,事務室がロッカーで各課ごとに区切られており,迷路を抜けてやっと施設課にたどり着いたように記憶しています。すぐに管理員の業務について説明を受け,悩む暇もないうちに管理員として入寮することになりました。独身者用待機宿舎「元町寮」は鉄筋コンクリート造り5階建てで,6畳押入れ付の部屋が50室あり,トイレは共同で風呂はありませんでした。昭和40年代には1部屋2名の計100名が入居していたそうですが,私が管理員になったときは20名程度が入寮していました。


 管理員の業務は,町内会等とのあらゆる調整,入居者に掛かってきた電話の取次ぎ,寮内の清掃等で,私の当務日には妻が行っていました。その中で一番大変だったのが電話の取次ぎです。現在のように携帯電話など全くない時代,連絡は全て玄関に設置してある消防電話かピンクの公衆電話に掛かってきました。

 ある朝,消防電話で「〇〇消防出張所ですが,××君がまだ出勤していません。大丈夫でしょうか?」との問合せがありました。急いで部屋を見に行くと,××君は高熱で意識もうろう状態。急いで出張所に連絡するとともに,何とか起こして病院へ……。注射と薬で元気を取り戻してもらい,ひと安心といったことがありました。

 また,「△△消防署ですが,現在,山火事が発生し,非常招集が発令されたので□□君と▲▲君に伝えてください。」と緊急の呼出し電話が掛かってきたこともありました。入寮職員が緊張した面持ちで応召していく姿を,今でもはっきりと覚えています。

 そして,私はそのとき,小学校のPTA会長や体育振興会の本部員もやらせていただき,町内会との絆を深めることができました。


 現在,貸衣装店で保管・管理されている消防礼服は,以前は元町寮で管理しており,礼服を利用する職員は寮でサイズ合わせをして,貸出しをしていました。そして,ほとんどの職員は婚約者と一緒にサイズ合わせに来ることから,私にとってその二人を見るのが密かな楽しみになり,貸出依頼がある度にハッピーな気分になったことを懐かしく思い出します。


 そんな元町寮も時代の変革と共にその役目を終え,平成4年に取り壊されました。今では,当時の元町寮を知る職員も少なくなり,誠に寂しい限りですが,消防局を陰で支えていたのは紛れもない事実だと思います。その元町寮に携われたことが私の誇りであるとともに,良き思い出がいっぱい詰まった元町寮を,私と家族はいつまでも忘れないことでしょう。



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