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京都市消防局

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京都消防OBによる職員研修会【第3回】を開催しました。

ページ番号193959

2016年2月18日

   京都消防OB職員をお招きしての研修会は,今回が最終となりました。

 第3回の研修は,平成21年3月に消防学校長を最後に定年退職された,西村常男氏をお招きし『文化財防火に熱き想いを!』と題して京都の文化財防火の取組について御講演をしていただきました。

 西村氏は,昭和43年に京都市消防局に採用され,その後,本部の予防部予防課文化財係,総務省への派遣,国際協力事業団の事業に基づき,中国への出向等,国内外で予防業務に御尽力されてきました。

 冒頭に「消防(人命救助)には国境はない!」と語られ,多くの御経験を基にお話ししていただきました。

 


◇ 自身の仕事に対する姿勢

・ 真摯であれ!

・ 感謝を忘れるな!

・ 誠意を持て!

 

◇ 文化財の持つ意味とは?

 文化財防火・防災を進める上で,文化財の価値を理解できないと文化財防火を語れません。文化財は人類の遺産,文化的,学術的価値の高い,国民的財産です。全国の国宝の5分の1が京都にあり,それらは文化観光資源です。京都市は,国際文化観光都市として,全国そして世界から来ていただけるように,文化財が大切な財産であるということを忘れてはいけません。

 

◇ 防火・防災面から見た文化財は?

 日本の文化財は紙と木と土でできており火災に弱いという特性をもっています。しかし,西洋の文化財は,レンガと石でできており火災に強いのです。一方で,外国の文化財は地震には弱く,形が無くなるほど壊れます。(地震の規模にもよりますが。)ところが日本の文化財は地震には強く,五重塔等は1本の芯柱で作っている免震構造です。


◇ ノーモア・金閣寺

 昭和25年7月2日に鹿苑寺国宝金閣が炎上しました。また,この前年の昭和24年奈良法隆寺の金堂の壁画が焼損しました。このように貴重な国宝を失ったことは,国民に大きな影響を与え文化財防火運動に繋がりました。昭和24年の法隆寺壁画の火災を踏まえて,文化財保護法が制定され,その後,昭和30年1月11日には1月26日を「文化財防火デー」と制定されました。ところが京都市はそれに留まらず,その前後1週間を文化財防火運動と位置付け,文化財に特化して防火運動を実施しています。

 

◇ 制札

 昭和32年に,文化財防火の取組として,文化財のたき火又は喫煙制限をする「制札」を作りました。文化財の景観を崩さないように駒札のような形で,檜で作られています。制札は「たき火 たばこ 禁止」と墨で書かれ,加えてその下には「NO SMOKING」と英語表示もされ,京都に来られた外国の方たちにも分かりやすく,という発想は当時から京都消防は持っていました。


◇ 警備計画の樹立

 昭和33年,特別消防対象物警備計画を樹立し,消防隊の活動要領を作りました。この,特別消防対象物警備計画は,大きな百貨店や旅館・ホテル等の計画と同様に文化財も対象としたことです。文化財対象物には,搬出計画も盛り込みました。ところが文化財の搬出物品については,重量や,破損等を考えると,そのままでの搬出は無理ですので,文化財を修理する専門家を招いて,仏像の解体の仕方や,ふすま絵の外し方や取り出し方の研修を当時からやっていたのです。現在運用されている文化財セーフティカードの原点と言ってもいいかと思います。

 

◇ 防災設備の拡充

 昭和37年に文化財防災対策連絡会を立ち上げ,関係行政機関が協力し,文化財保護,防火,防災,防犯を推し進め,消防局では京都府・市と協調して防災施設の設置指導を行いました。当時,文化財には防災設備の設置が少ない状況でしたが,国・府・市の補助金制度を有効に活用し,飛躍的に防災設備の整備拡充と文化財防火が進展しました。


◇ 指導体制の構築

 昭和48年に,消防局本部の予防部に文化財係という文化財専門の係を設け,係長以下3人態勢で,各消防署にも文化財担当者を置くという指導体制としたことは,京都消防の大きな成果だと思います。


◇ コミュニティづくりの重要性

 京都には,地域コミュニティに溶け込んだ神社仏閣があり,国・府・市の文化財の指定を受けていなくても京都を構成する文化財,ということで指導対象物を見直しました。また,町並みも文化財対象となりました。文化財を守っていくためには,地域のコミュニティづくり,そして行政と対象物との関係が非常に重要かと思います。町並みをしっかりと火災から守るということが京都の文化財を守ることだと私は考えています。京都の大切な文化財を皆さんの力で「文化財に熱い想いを!」持っていただきながら,市民の皆様と共に,京都の貴重な文化財を後世に守り継いでいただきたいと思います。

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お問い合わせ先

京都市 消防局西京消防署

電話:075-392-6071

ファックス:075-381-1999