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京都市消防局

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平成27年10月号 ザ☆消防

ページ番号188299

2015年10月1日



 「ザ☆消防」の投稿依頼を引き受けることになり,新配置から現在までで印象に残っていることを書こうと思います。


 消防士として最初に配置になった消防署では,熱心な隊長の指揮の下,木造の建物をはじめ,様々な火災を想定した訓練を一日中行っていました。また,職場の上司や先輩の皆さんから,新人の私に厳しくいろいろなことを教えていただきました。

 当務が明けた非番の日には,すぐに家に帰るのではなく,先輩たちと一緒に喫茶店でモーニングコーヒーを飲んだり,ボーリング大会やソフトボール大会などのスポーツや懇親会もたくさんあって,活気に満ちた職場でした。

 今,思い返すと,和気あいあいとした中にもしっかりと消防士としての基礎作りができた時期でした。


 新人の頃の消防活動についてお話しします。

 ある年の正月に出動した火災のことです。現場に到着すると,民家が全面燃焼し,2階の窓からは数メートルの炎が噴出していました。隊長の指示で,背面の南側民家から進入すると,まさに,燃焼建物から南側民家の軒先へ火炎が迫っている状況でした。すぐさま,当該民家への延焼を阻止するべく,無我夢中で,燃焼建物に向けて放水活動を開始しました。延焼建物にお住まいの方は,台所でボールに水を入れて建物に掛けたり,水道にホースをつないで,何とか我が家を守ろうと,必死に活動されていました。私たちの隊は,この方を避難させ,約半時間,放水活動を継続して,何とか延焼を阻止することができました。しかし,結果として出火建物は全焼してしまい,残念ながら,おばあさんがお亡くなりになってしまいました。

 後で聞いた話では,出火建物はもともとおばあさんの一人暮らしで,お孫さんが泊まりに来られた翌日,火災が発生したようです。火災現場にはそのお孫さんが駆け付けられ,涙ながらに大声でおばあさんのことを叫んでいたとのことでした。

 新人の私には,自分が目撃した必死で何とか火事を消そうとする市民の姿,そして,後日聞いたお孫さんの話が深く印象に残り,「災害で悲しむ人を1人でも減らす!」ことを,改めて心に刻む現場となりました。


 今,私は大徳寺消防隊の副隊長として勤務するなかで,現場活動だけでなく,学区の防災指導責任者としてのやりがいを感じ,日々の業務に当たっています。私の担当は紫野学区です。この学区は,京都市地域連携型空き家流通促進事業のモデル地域となっていて,空き家の状況調査と空き家の流通促進事業に取り組まれるなど,様々なことに熱心に取り組まれている地域です。

 そんな中,紫野学区自主防災会の皆さんが中心となり,当該事業と「防火・防災」を絡めて,「防災まちあるき」を計画,実施し,次の事項を確認して回り,得られた情報を基に,町内単位で防火・防災地図を作成されました。

 1.細街路の状況(路地の幅員,避難経路の有無)

 2.沿道建築物等の状況(空き家,老朽家屋,危険なブロック壁)

 3.地域の集合場所の確認

 その後,紫野学区自主防災会長から,防火・防災地図を活用してDIG(防災図上訓練)を近々実施したいとの電話がありました。私は今までDIGを実施したことがなかったため,どのように進めていけばいいのかわからず,正直,不安を感じました。それを察してか,会長や副会長が何度も出張所に来てくださり,また,分からないことがあればこちらからも積極的に出向くなどして,打合せの機会を十分に持ち,自分でも自信を持って,本番当日に臨むことができました。地域の方々にも,約2時間という長い時間,熱心に取り組んでいただき,無事に終えることが出来ました。

 この出来事により,自分の取組姿勢だけでなく,関係する地域の方々との連携がいかに大切かを学びました。「防災指導責任者」という肩書が付いているものの,いろいろな面で教えていただくことがあり,自主防災会長や副会長,また,一緒に取り組んだ出張所の同僚に感謝しています。


 消防学校に入校してから十数年が経ち,一定の経験を積んではきましたが,「私自身あらゆる視点で現場を見ているか。」と「最大限の努力をしているか。」を,日々,自問自答しながら業務を進めています。今後も,災害現場における対応能力の向上と共に,地域の方々のニーズを踏まえた防火・防災力の向上のため,「災害で悲しむ人を1人でも減らす!」ことを胸に活動していきます。


  • 目次

お問い合わせ先

京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195