スマートフォン表示用の情報をスキップ

京都市消防局

言語選択を表示する

検索を表示する

スマートフォン表示用の情報をスキップ

現在位置:

平成27年10月号 わが社の防火防災自慢

ページ番号188298

2015年10月1日



 本願寺は,親鸞聖人を宗祖とする浄土真宗本願寺派の本山です。その歴史は,文永9(1272)年に京都・東山に親鸞聖人の影像を安置し,遺骨を移した大谷廟堂から始まります。南北朝の動乱や織田信長との11年にわたる石山合戦など,時代の情勢や火災などによる境内建物の焼失,寺基の山科や大阪,和歌山などへの移転もありました。そして,天正19(1591)年に,当時の宗主 顕如上人(けんにょしょうにん)が寺基を移すことを定め,豊臣秀吉の寺地寄進によって,現在の堀川花屋町に寺基を定めました。さらには,慶長7(1602)年に東本願寺(真宗大谷派)が別立し,その位置関係により,当寺は「西本願寺」と通称されています。

 その後も,慶長元(1596)年の大地震による御影堂(ごえいどう)と諸堂舎の倒壊,元和3(1617)年の失火による両堂,その他の焼失がありましたが,寛永13(1636)年には御影堂,宝暦10(1760)年には阿弥陀堂が再建され,現在に至っています。

 本願寺は,信仰の中心として,国内外の僧侶や門信徒によって支えられ,その都度,建物は再建され,浄土真宗の教えと寺は懸命に守られてきました。境内には阿弥陀堂,御影堂のほか,唐門や書院,飛雲閣,さらには典籍類など,国宝や重要文化財を数多く所蔵し,平成6(1994)年には「古都京都の文化財」として「世界遺産」にも登録されました。


 私たちの防火・防災への取組は,ここ,本願寺が親鸞聖人の「み教え」「お念仏」を喜ぶ人々のこころのよりどころであり,浄土真宗の教えと本山本願寺を護り伝える「愛山護法」の精神を脈々と受け継ぎ,次の世代へつなぐ役割を担っています。

 歴史の中には,そのことを今に伝える伝承や文書があります。

 天明8(1788)年に京都に大火が起こり,本願寺にも迫りましたが,被害は最小限に抑えられました。御影堂の前に立つ「逆さイチョウ」といわれる大きなイチョウの木が勢いよく水を噴いて,両堂を火の手から護ったと伝えられており,このイチョウは別名「水噴きのイチョウ」と呼ばれています。実際には,勢いよく水を噴き出すことはなかったと思いますが,本願寺を護ろうとされた先人の苦労や使命,責任が,燃焼性の低いイチョウを通して,今の私たちへの防火に対する戒め・教訓として伝えられてきたのでしょう。


 また,元治元(1864)年の大火に関する文書も保管されています。本願寺の僧侶による状況報告ですが,人々が「抛身命(しんめいをなげうって),消防相働候」と記されています。火災から本願寺を護ったのは,多くの人々の,生命を掛けた消火活動にあったことを今に伝えています。

 そのような精神を受け継ぐとともに,御影堂の平成大修復工事に合わせて消防設備の拡充を行い,平成18(2006)年度から平成21(2009)年度に掛けて,機器の刷新を行いました。その内容は,警報設備としての自動火災報知・防犯設備を,そして,その警報設備に連動した消火設備を,境内各所に配置したものです。

 総貯水量2,580トン,2機の大型ポンプと連結された放水銃54機,並びに屋内消火栓66機を境内各所に配置し,また,従来からの小型動力ポンプも3台保有しています。これらを扱うには,職員の意識高揚と技術習得が不可欠であるため,有事に備えて,日々,訓練等を行っています。



~消防訓練の実施~

 平成24(2012)年11月から,本願寺では夜間消防訓練を定期的に実施しています。これは,夜間勤務者のみで対応する訓練で,暗闇のなかで通報や消火作業に当たるものです。この夜間消防訓練を重ねることで,暗闇での消火活動や照明,無線などの機器,連絡網の徹底など,毎回課題や問題点を抽出し,改善を図っています。また,文化財防火運動に合わせ,下京消防署の指導の下,総合消防訓練も実施しています。

 共に職員による初期消火,消火設備を使用しての消火・延焼防止,また,法宝物搬出や避難誘導など,保有設備を活用し,迅速な消火活動を行うための実践的な訓練で,参加した職員は使命と責任を新たに訓練を通じ,一つ一つの動きを確認し,適切な行動ができるよう心掛けています。

~自衛消防隊訓練大会への参加~

 本願寺では,毎年9月に開催される「下京自衛消防隊訓練大会」に参加し,職員の消防技術の習得と防火意識の向上に努めています。大会では,すべての訓練種目に出場しています。また,飛地境内である東山区・大谷本廟(西大谷)も「東山自衛消防隊訓練大会」に参加しています。出場隊員は,概ね,各大会の2箇月前から練習を重ねます。昨年は,「京都市自衛消防隊訓練大会」に出場し,優秀な成績を納めることができました。


~本願寺における警防~

 平成17(2005)年9月2日に不審者が阿弥陀堂に乱入し,持ち込んだ灯油を散布して火を付けようとした事件がありました。火災にこそなりませんでしたが,各所に被害があり,本願寺を揺るがす大事件でした。

 今年は,この事件からちょうど10年になります。

 事件の記憶・教訓を風化させないためにも,これまで以上に警防の強化を進めています。

 また,来年10月から再来年5月まで,第25代 専如門主の伝灯奉告法要80日間を修行いたします。国内外から来られる参拝の方々に安心・安全でお参りいただけるよう,より一層,精励してまいります。


 観光都市である京都市では,大規模災害時に多数の観光客等が帰宅困難となることを想定し,災害時に帰宅困難者が一時的に利用できる施設の設定を進められています。本願寺では,その取組に賛同し,北境内地駐車場を「緊急避難広場」として,同地に建つ聞法会館(研修・宿泊施設)を「一時滞在施設」として提供する協定を平成26(2014)年3月に京都市と結び,地域における防災施設としての役割も担っています。

  • 目次

お問い合わせ先

京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195