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京都市消防局

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平成27年6月号 予防タイムズPART4

ページ番号182595

2015年6月1日


 石油類をはじめとした危険物は,日常生活のあらゆる分野に浸透しており,社会生活の向上に大きく貢献しています。ただ,ひとたび取扱いを誤ると,火災又は爆発などの災害を引き起こす潜在的な危険を有しています。このため,危険物は消防法令により厳しく規制されており,毎年6月に実施される危険物安全週間においては全国で様々な啓発活動などが行われています。

 しかし,危険物安全週間が6月に実施されることを疑問に感じたことはありませんか。6月は梅雨の時期で湿度が高いため,火災を起こす原因の一つとなっている静電気は発生しにくい季候です。そこで,危険物安全週間が始まるきっかけとなった災害を紹介します。


 危険物火災の恐ろしさを世に知らしめたのは,今から50年ほど前,昭和39年7月14日午後9時55分頃に発生した株式会社宝組勝島倉庫爆発火災です。

 この火災は,東京都品川区勝島に所在する株式会社宝組勝島倉庫の103号倉庫近くの空地に野積みしてあったドラム缶入りの硝化綿(ニトロセルロース)から出火し,爆発火災となって,同地区内の倉庫及び周辺空地,さらには道路を隔てた空地に無許可で貯蔵されていた硝化綿,アセトン,アルコール類などに次々と引火しました。

 この爆発火災が鎮圧状態となった午後10時55分頃,最初の爆発火災から30メートルほど離れた12号倉庫に貯蔵されていた,メチルエチルケトン・パーオキサイド類(第5類 自己反応性物質)を誘爆させた2回目の大爆発が発生し,夜空に100メートルを超える巨大な火柱が噴き上がり,原子爆弾を思わせるような不気味なキノコ雲が上昇していきました。

 この爆発火災により,消防活動に従事していた消防職員18人,消防団員1人が一瞬にして生命を奪われ,また消防職員・団員など158人が重軽傷を負うという,日本の消防史上まれにみる大惨禍が発生しました。

 <参考>

・ ニトロセルロースは,東京オリンピックの開催を控えた昭和38~39年当時,塗料の原料としての需要が高まっていました。

・ 火災発生の4日前,昭和39年7月10日に東京消防庁 大井消防署が査察に入った際に,危険物貯蔵許可を受けていた屋内貯蔵所以外の敷地内に,危険物第4類を中心に第1類,第3類,第5類の危険物を指定数量の2万倍以上を無許可貯蔵されていたのを確認し,撤去について指導していました。

 しかし,その後も撤去しないばかりか保管量を増やし,火災当時は1,000本を超えるドラム缶が置かれていました。また,消火に当たった消防隊員には,12号倉庫内に大量のニトロセルロースが保管されていることは知らされていませんでした。

・ 発生数日前にサンプル作成のため,ドラム缶の内容物の一部を取り出した際に再密封が不完全で,湿潤させていたアルコールが気化し,ニトロセルロースが乾燥したことが発火の原因と推定されています。


 この災害を教訓に,危険物を取り扱っている事業所などに対して,危険物の自主保安管理の推進を呼び掛け,また,市民に対しては,危険物に関しての意識の高揚・啓発を図るとともに,市民生活の安全を確保することを目的として,平成2年に自治省消防庁(現・総務省消防庁)によって「危険物安全週間」が制定されました。これは,7月に発生した株式会社宝組勝島倉庫爆発火災のように,気温が高くなったことにより,セルロイド類などの危険物の自然発火による火災が多くなる夏季を目前にした6月初旬に啓発活動を行うために設けられたのです。

 この危険物安全週間は,毎年6月の第2週の日曜日から土曜日までの一週間で,京都市消防局においても,危険物を取り扱う事業所における自主保安体制の確立及び防災教育,自衛消防組織による訓練,保安対策の強化を主眼とした査察,消防訓練などを実施しています。


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京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195