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京都市消防局

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平成27年4月号 ザ☆救急

ページ番号179589

2015年4月1日



 ついに私のもとに「ザ・救急」の依頼が来ました。まだ早いと思いきや,同じ隊の自分より若い隊員がすでに投稿したということもあり,引き受けることとなりました。

 私は,南,東山,下京の各消防署に配置され消防人生7年になりますが,東山消防署以後4年間は救急隊員として勤務しています。その4年間の救急活動から得た私の大切にしていることをお話しします。


 東山消防署では,私の救急人生で一番印象に残っている救急事案がありました。それは,救急隊員となって数箇月後のある心肺停止事案でした。

 「家族からの通報で若い女性が室内で倒れているもよう。その他詳細不明」との無線情報で出動し,Y隊長とベテランB士長と共に現場に到着すると,トイレ前で倒れている傷病者がいました。隊長から「梅村!妊娠2箇月で現在心肺停止,胸骨圧迫開始,既往症はくも膜下出血」,あっけにとられた瞬間でした。やることはまず母体を救うこと,そしてそれが胎児を救うことにもつながり,他の心肺停止傷病者の活動と変わらないはずなのに,何かを考え,頭の中が一瞬真っ白になったことを今でも覚えています。

 懸命の救命処置と搬送。しかし,結果は2名の尊い命を同時に失いました。病院搬送後,自分たちの活動を思い返しつつ,救急車に戻ると,窓の外にはうなだれ悲壮感を漂わせている旦那さんの姿が目に入りました。これが現実。これが救急。私は本当に大変な仕事をしていることを体全身で感じました。

 私たちは現場で活動し,その教訓を基に訓練して次の現場に備えます。私たちは残された家族に何ができるのか,また何をすべきなのかは分かりませんが,家族を亡くされた方の気持ちを大切に思わなければならないのは確かです。

 今後も救急現場では心肺停止傷病者と遭遇することは必然です。例えば,その場で死亡していると判断をしなければならない傷病者,心肺蘇生処置を行うも助けられない傷病者,社会復帰され以前のような生活に戻られている傷病者。いずれも共通して言えることは生死の間であること,そして一人一人の尊い命と向き合いながら覚悟と使命感を持ってこれからも活動していく必要があるということです。


 今,私が現場活動において一番大切にしていることは判断です。そして,そのために実践していることは根拠のある活動です。

 救急救命士制度が平成3年に発足し,現在に至るまでに様々な変革がなされ,特定行為と言われる救命処置も増えてきました。しかし,それを使いこなせなければ意味はなく,臨機応変に活動するためには「判断力」,これが今の救急隊員に求められるものであると私は考えています。

 現在,京都市内には30隊×3交替,計90の救急隊があります。決められたルールの下で,隊長や地理状況などにより各救急隊で様々な活動方針が必要となります。各々の条件下で何を根拠に活動し,傷病者にとって常に最良の活動ができるかが大切だと思います。

 そのためには,バイタル測定においても,なぜ心電図をとるのか,なぜ頭痛の種類を聴取するのか,なぜ皮膚の色を確認するのか,また搬送を優先するのか,あえて現場に留まって処置を行うのかなどを根拠と判断力を持って活動しなければなりません。傷病者の状態,傷病者の置かれている状況,それに対応できる知識,経験,自らの技量などによって総合的に判断しなければならないのです。


 この原稿がホームページにアップされるときには,新たな部隊として4月がスタートしています。今までの現場で得た経験,諸先輩方だけでなく後輩からも得た知識,技術を無駄にせず,それを最大限に生かし,傷病者にとってのより良い活動を実践していきたいと思います。

 



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