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ガソリン誤給による出火のメカニズム

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2012年12月17日

ガソリン供給のイメージ画像
 はじめに

 

 カートリッジタンク式石油ストーブにガソリンを誤って給油しても,点火後すぐには出火せず,しばらく時間が経過した時点や燃焼中断後の再点火時に出火する場合があります。
 今回はどのようなメカニズムで火災が発生するかについて説明します。

 

カートリッジタンク内の燃料が油受タンクに供給される仕組み

 

カートリッジタンク内の燃料が油受タンクに供給されるイメージ画像

1 カートリッジタンクは,タンクの上方が密閉されており,燃料の液面が自重により降下することによって,気相部が大気圧に対して,わすかに負圧になることで,カートリッジタンク内からの燃料の流出が停止します。


カートリッジタンク内の燃料が油受タンクに供給されるイメージ画像

2 灯油が消費され,油受タンクの液面が低下し,カートリッジタンクの口の部分が空気中にさらされると,この部分から灯油消費量とみあうだけの空気量がカートリッジタンク内に流入し,カートリッジタンク内の圧力が大気圧に釣り合うまで燃料が供給されます。このとき,石油ストーブから「ゴボゴボ」という音が発生します。


カートリッジタンク内の燃料が油受タンクに供給されるイメージ画像

これは,小鳥の水飲み器の原理と同じです。容器の水を小鳥が飲むとその飲んだ量だけ,器内に空気が流入して,小鳥の飲む水面は,常に一定に保たれます。

 

 

 

ガソリンの誤給油による出火機構

 

 出火に至るのは,高い蒸気圧とカートリッジタンクに密封されている燃料供給系とが鍵になります。
 ガソリンと灯油との蒸気圧の差は,図1に示すようにかなり大きなものがあります。
 例えば,図1の50℃のところを見るとガソリンが約50mmHgから760mmHgの蒸気圧を示すのに対して,灯油ではほとんど0mmHgに近い値を示しているに過ぎません。
 同一温度で蒸気圧に幅があるのは,ガソリンや灯油が炭化水素の混合物で構成されているからです。

 

ガソリンと灯油の蒸気圧曲線図

図1 ガソリンと灯油の蒸気圧曲線図

 

 灯油のように蒸気圧が低い(揮発性が低い)燃料の場合には,一定の周期で油受タンクへカートリッジタンク内の燃料が供給されていきます。
 ところが,ガソリンのように蒸気圧が高い(揮発性が高い) 場合には,カートリッジタンク内の液面が降下し,気相部の体積が増加しても,ガソリンから蒸気が供給されるためカートリッジタンク内の圧力が低下しません。このため,油受タンクが一杯になってもガソリンの供給を停止しないので,受口部分からガソリンがあふれだします。
 このあふれだしたガソリンは,容易に燃焼火により引火します。あふれだしたガソリンに引火すると,その火熱によりカートリッジタンクがさらに加熱されるので, ガソリン蒸気がますます供給されます。それに伴い,カートリッジタンクの内圧が上昇し,ガソリンがますますあふれだします。
 カートリッジタンク内は,ガソリンと空気との混合気体ですので,カートリッジタンク内に混入されている空気の量が多いと,ガソリンが蒸発するスペースが大きくなるので,タンク内の圧力の上昇率も高くなります。
 その結果,ある程度燃料が消費されて,カートリッジタンク内の気相部が増えた時点,すなわち点火してからしばらく時間が経過してから出火する場合や燃焼中断後の再点火後に出火する場合などが生じます。なお,ガソリンやガソリン蒸気が漏洩する部分は,図2のとおりです。

 

ガソリンやガソリン蒸気が漏洩する部分

図2

 

蒸気圧

 

蒸気圧のイメージ画像

 

 ある液体を密閉した容器に入れて放置すると,空間にその液体の一部が気体となります。そしてその気体の圧力がある値に達すると,蒸発と凝縮の速度が釣り合います。このときの圧力を蒸気圧といいます。
 温度が高くなるほど蒸気圧は高くなります。蒸気圧が760mmHgに達するときの温度が,その液体の沸点となります。

 

 

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