1 日 時:平成15年10月9日(木) 18:00~20:00
2 場 所:総合教育センター
3 出席委員
堀内 孜委員長,土井廣明委員,田井三智子委員,長者善高委員,北村裕二委員,濱中直志委員
※ 欠席 藤村法子委員
4 進 行
(1)傍聴の許可について
7名の傍聴希望者を受付け,定員(10名)内であったので,受け付けた7名全員の傍聴を認めた。
(2)第2回会議議事要旨について
7月10日の第2回会議の議事要旨を確認
(3)民間企業における評価システムについて(講師:堀場製作所 野崎治子人事教育部長)
(4)野崎部長のレクチャーを受けての質疑応答
(5)討議
5 民間企業における評価システムについて 堀場製作所 野崎治子人事教育部長
(1)堀場製作所の概要
【社員構成】
本社は1000人規模,男性:女性=8:2 大半がホワイトカラー
グループ全体で3,700人,半数以上が海外
(海外最多はフランス,研究開発などに従事)
【会社体制】
製品組立は 協力会社,会社本体で調整
創業者利益中心に事業展開
主な製品は 環境測定機器など
(2)人事の基本方針 ~ 社是「おもしろおかしく」を実現するために
20代から60代という人生の約半分を会社で過ごす従業員にとって,会社生活が充実し楽しいものでなければならない。
① オープン&フェア(公明正大)
オープン:
人事というと密室で幹部が勝手に決めるイメージがあるが そうではない。
フェア :
やれば やっただけ報われるのがフェア。「結果」よりも「機会の平等」。本人の努力で変えようのない学歴・性別・年齢・年功等にとらわれない。頑張っている人に報いるのがフェア。
② 加点主義
・ 失敗を恐れて何もしないのが最悪。
・ 常に100点を求めてもビジネスは先に進まない。
・ 仮に三振するなら見逃しではなく空振りをせよ。
・ チャレンジする姿勢を評価したい。
・ 不得意分野を見て減点するのではなく,その人の得意分野を伸ばすことをみんなで考える。「金太郎あめ」は要らない。
・ 学校みたいな5段階評価ではなく,「5」と評価されるところが,本当は「10」かも「100」かもしれない。
③ ツーウェイ・コミュニケーション
自分ひとりでできることは限られており,ビジネススピードがますます加速する中,新卒者であれ,中途採用者であれ,いかにコミュニケーションを図り,ビジネスにつなげていくか,シナジー効果が大切である。目指すところは,チャンスを与えられる企業。
(3)人事の諸制度
評価のみで報酬が決まっているのではなく,さまざまな要因が連動している。
(4)目標設定と評価システムの概要
① 目標設定
○目的(自己啓発・処遇・経営計画)
・ 低成長時代にあって「処遇を決定するための手段としての目標管理」導入があいついだが,それよりも「経営計画の達成」の目標という考え方をしている。
・ 目標の設定にあたっては公正性・納得度を高める必要がある。
・ 管理職が会社の経営目標を理解したうえで「仕事の優先順位をどうするか,できないと思うならどう支援すればできるのか」などコミュニケーションを図り,一人一人社員が 目標を決定(約束)する。
・ みんな違う仕事をしているから一律の評価はできない。社員の仕事がどれだけ経営にインパクトを与えているかという点を重視する。
○目標設定会議とLAN登録
・ 目標設定にあたっては,管理職と社員との1対1での面談ではなく,会議形式で決めていく。お互いの仕事や悩みが理解できるしアドバイスも可能。
・ 「今期はどのレベルまで達成する。」などの対話をするための制度。
・ 社内LANで各々の目標を誰でも見ることができる。
・ 関係ありそうな内容の目標については社員どうしですぐにコンタクトが取れる。
・ それぞれが何を達成しようとしているのかということを共有できる。
② 評価
○評価の目的と尺度(絶対評価と相対評価,分析評価と総合評価,減点主義と加点主義)
・ 現在は,「相対評価・総合評価・加点主義」でやっている。
・ 以前に分析評価をしていた時期,たとえ話として「福笑い」の話がでた。福笑いはパーツパーツが同じ形をしていても並べ方次第で結果が全く違ってくる。分析評価は全体像が見えにくくなる。
・ 民間において限られたファンドを配分しようとすると絶対評価は無理。1人1人のランク付けは難しいが,だいたい,これはAクラス集団,これはBクラス集団など全体で齟齬なく認識が一致する。
・ 過去の清算のための評価,処遇を決めるための評価では全くない。評価の目的は次の期に頑張ってもらうこと。
○評価者会議とフィードバック
・ 評価の妥当性,納得度を高めるため,評価者訓練の実施と評価者会議での調整をしている。最終評価は,直属上司の評価をもとに評価者会議(副社長以下17名の事業部長で構成)で論議し,良し悪しの突出している部分を調整する。
・ フィードバック面談では,評価結果は部長から1対1の場で知らせる。1人30分程度の時間をとり,次の評価を高めるためのアドバイスを行うことも多い。
・ 自己申告制を併用して,将来の進路など 普段できないコミュニケーションができる。今は年1回。部下が50人というようなところもある。場合により,チームリーダーが一緒に入ることもある。
③ 処遇との連動
・ 電気連合の要求が昇給などの労働条件から雇用確保,雇用確保から能力開発への支援へと変わってきている。
○標準賞与と加点賞与
・ 標準賞与は基本給×標準月数。評価により加点賞与に差がつき,資格の低い方の賞与が資格の高い方より大きいこともある。
・ 処遇で,評価により大きく差がつくのは ボーナス。
・ 加点賞与は,種々の着眼点から加算している。成果をあげた社員に対して感謝の気持ちを伝えたい。
(5)今後のキーワード
① 成果とミッション
・ 年齢・年功などの属人的部分,あるいは労働時間偏重に対するアンチテーゼが今の成果主義。
・ 「今の仕事」を見るのが 成果主義の本質。
・ もっとも大事なのはミッション(使命)。何のために働くのか。何に貢献するのか。目標管理を目先の仕事に置くのではなく,何に人生をかけるのか。
② エンパワーメントとコーチング
・ フェアに誰にでもチャンスを与えるには,バックアップ体制が必要。
・ エデュケーション(教育)の語源エデュース(引き出す)が課題。
・ 上司が部下の誰よりも仕事を知っているような組織に未来はない。上司は仕事の中身の知識よりも部下の考え方を整理したり,元気付ける役目をすることが重要である。
・ 権限を与え,自律性を高める。他人のせいにしない,ポジティブな考え方が不可欠。
③ 人在・人材・人財・人罪
会社は社員の「時間」や「苦労」が欲しいのではなく,その人の知恵を求めている。 ジンザイには 4つ あると 教えられた。
・ 人在-いるだけの人
・ 人材―材料になるだけの人
・ 人財-宝の人
・ 人罪―いてもらっては困る人
④ まとめにかえて
・ 企業として学校教育に求めることは,「自分は何が好きであるのか」をはっきりさせること。知識より,勉強の仕方をしっかり身につけて欲しい。
・ 企業・家庭(地域)・学校が補完しあえるといいと思う。
(6)野崎部長のレクチャーを受けての質疑応答
Q 昇任について
A 「主任」とか「係長」という名称を職位ではなく資格等級(クラス)の名前として使っている。
採用して数年は処遇に差をつけない。「主任」で差がつく。26~27歳が早い人で,29歳を一つの目処にしている。
Q 「人罪」への手当ては? 若い人の抜擢での問題点は?
A たまたまその職場が向かないとか,向かない職務をさせているのかもしれないので,まずは話をきちっと聞いてローテーション(転任)。それでもだめなら降格も。厳しいけれども,のびのびと働くことができる会社にしたい。若くて年上の部下を持つと本人もしんどい場合があるが,「最終ゴールと思うとしんどいが,次へのステップと思いなさい。」と言っている。裁量権が増えれば仕事は面白くなる。
Q 「アンチ労働時間」と言われましたが,個人の能力によって,作業を行う時間が違った場合に評価の対象にしないのか。
A 同じ仕事をやるのに,7時間かかかるか10時間かかるか。10時間かかった方の給料が高いのはおかしいと思う。仕事の効率をあげるためにどうするかをバックアップしたい。
Q 評価トレーニングの具体的方法は?
A 評価者会議での意見交換が中心。制度変更時は ケーススタディーを使った。
Q 評価に関する不服申立は?
A コミュニケーションシートに上司への不満が記入できるようになっている。労働組合や人事が苦情窓口となっている。
6 意見交換〔○:委員発言〕
【評価の目的】
○ 民間企業では,評価をしないと社員の給料を決められない。当たり前に評価をしている。教員評価との距離感や比較を意識せざるを得ない。企業組織と学校組織の成り立ちが違うし,職員の勤務管理のカテゴリーそのものも違っている。企業は企業でいろいろやり方はあろうし,京都市として独自の方法を考えたい。
○ 何のための評価であるのか原点に還って検討すべきである。
○ 教員にやる気を起こさせる評価でないと意味がない。
○ 教員評価について,我々は,何かしら当たり前すぎて見逃していることがある。評価をすることのメリット・デメリットはなにか,もう一度原点に帰って確認する必要がある。教員の特徴のひとつとして,自他の比較,自他に対する評価をほとんどせずに自分の職務行為というものをしてきており,見直されるべきである。
○ そうした意味で,学校組織の自律化を図れば図るほど,企業の人事評価と共通性が大きくなるし,そういう枠組みで評価を考える必要が出てくる。もちろん教員がやる気を出す評価でなければならないし,組織そのものが発展する評価というものを学校独自のベースで作っていくことが必要である。
【韓国事情】
○ 韓国は1967年から法律に基づき,教員の評価をしており,その点では日本より進んでいるが,韓国のこれまでの歩みとして,大きく5つの課題があると報告されている。まず,評価目的について人事行政への反映に偏りすぎたという反省がある。そのため,次に,評価の内容や基準は,具体的であり,客観的であるべきということ。3つ目は評価者の力量なり公平性あるいは専門性,評価者に対する評価であり,一番大きな問題である。4つ目は評価の結果及び過程を公開すべきこと。5つ目は評価を受けた者の異議申立の制度化である。
【評価者に関する問題】
○ 評価者のトレーニングがかなり必要。評価が子どもにとってプラスにならなければ意味がない。評価結果の公表も大事。これらをきっちりと整理しないと評価者と評価される者との間に不信感が起こる。
○ 東京都で一番問題になっているのが,評価結果の客観性である。今,評価の問題が管理職に重くのしかかろうとしているときに,やはり,本当に「準備」というものを考えていかなければならない。東京は管理職の研修はよくやっている方だが,評価の問題とどこまで連動してやっているのだろう。
○ 管理職と折が合わないというケースだが,民間企業では,いざ本当にその人を評価しようというときに,折が合う合わないということは意外と意識していない。
○ 評価する立場で,どれだけの力を管理職がつけるか。評価される方が,自分は低く見られているのではないかと評価者を疑っていると,評価結果を素直に受け入れることができない。その辺を納得できる形にしていかなくてはならない。
○ お互い納得できるような形をとる必要ある。加点主義の方向性はいいなと思う。
○ 各学校の中で管理職が所属教職員を評価する場合,校長間の横のつながりをどのように保てるか。何らかの形で横につなげて,堀場製作所における評価者会議にあたるような組織ができないか。
○ 東京都は,管理職に対する評価が先行している。所属教職員をきちんと評価できない管理職は自然淘汰されると思う。基準をはっきりさせないとならないし,新任管理職を中心に研修をもう少し考え直す必要があるのではないか。野崎部長の話にヒントがあると思う。その最も対極にあるのが教員ではないか。しかし,教員にとってこういった評価を最初から出来ないといってしまえば,堂々巡りをしてしまう。
○ 30人とか50人の集団の中で,管理職といわれる者が校長と教頭で,それらの者が評価するとなると,評価結果が極端な方にずれてしまう恐れがある。
○ できたらポジション評価を導入したい。
○ 若い人ほど評価して欲しいという声がある。「これだけ違う仕事をしているのだから」という意識が頑張っている若い人たちを中心に上がってきている。そうした声に応える評価制度を作ろうとした場合,本当に納得のいくシステムとはなんだろうかと考えると,どれだけ基準に客観性を持たせられるかということが課題の1つである。
7 今後の進行
(1)第3回会議で予定していた「自己申告制度」に関する意見交換については,次回会議にて取り上げることとした。
(2)これまでの会議内容について事務局で論点整理をしたうえで,下記事項等に関する意見交換を進めていく。
校種別検討
評価のシラバス
教育委員会事務局
総務部
教職員給与課・人事課
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