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京都市教育委員会

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諮問文

ページ番号6422

2012年12月25日

教指学第160号

平成7年8月8日

 

京都市立高等学校21世紀構想委員会 様

 

京都市教育委員会

教育長 桝本 賴兼


 
次の事項について,理由を添えて諮問します。


21世紀を展望した魅力ある新しい京都市立高等学校の在り方について


(理由)

 科学技術の高度化や情報化,国際化,高齢化,少子化など社会の急激な変化のもとで,高等学校生徒の興味,関心,適性,能力,進路等の多様化が一層進んでいる。
 いま高等学校はこれらの状況に対応し市民の期待と要請に応えて,魅力ある新しい高等学校教育を創造することが強く求められている。
  そのため,たくましく思いやりのある人間の育成と個性の伸長,進路保障を目指す教育内容等について研究を進めるとともに,その教育内容等にふさわしい校舎新築をはじめとする施設等教育条件を含めた構想の検討を行い,それぞれの特色を最大限に発揮して,21世紀を展望した魅力ある新しい京都市立高等学校の在り方を明らかにする必要がある。

 

 

 諮 問 理 由 説 明

 

はじめに
 現代は,科学技術の高度化,情報化,国際化,高齢化,少子化など,極めて変化の激しい社会である。目前に迫った21世紀においては,その傾向が顕著となることが予測され,高等学校教育についても的確な対応が求められている。とりわけ生徒の興味,関心,適性,能力,進路等の多様化の進展や少子化傾向による急激な生徒数の減少は,高等学校の在り方にも大きな影響を与えるものである。
 この状況を,高等学校教育の一層の充実を図る契機としてとらえ,魅力ある新しい高等学校教育の創造に結び付ける必要がある。

1 京都府公立高等学校教育制度の改善
 公・私立高等学校は,生徒や保護者の高等学校進学への強い希望を受け,昭和30年代後半から50年代における生徒急増期に,学校の新設や定員増など,生徒の教育の場の拡大に努力し,高等学校進学率は大幅に上昇した。
 その結果,公立高等学校には,多様な生徒が入学することとなり,生徒の幅広いニーズのすべてに対応することが強く求められることとなったが,それに十分応えられない状況が生まれてきた。
 そのため,京都府教育委員会と本市教育委員会とは協議を重ね,昭和59年度に,京都府公立高等学校教育制度の改善についての大綱(以下「制度改善の大綱」という。)を策定し,それに基づき昭和60年度に公立高等学校教育制度の改善を実施した。その主なものは,普通科では,京都市地区4通学圏の設定,類・類型制の導入,希望校入学の一部導入などであり,商業科では,京都府立高等学校における併置制商業科の統合,京都市立西京商業高等学校における学科改編などである。

2 昭和60年度以降の「制度改善の大綱」に基づく取組
 昭和60年度から現在に至るまで,「制度改善の大綱」に基づき,京都府・京都市両教育委員会において公立高等学校教育制度の改善を進め,推薦入学の導入,普通科希望校入学枠の拡大をはじめ,次のような取組を実施してきた。
 京都府教育委員会においては,平成3年5月に高校教育検討委員会を設置し,同年11月の中間答申で「新しいタイプの高等学校」の設置が提言され,平成8年度には,京都府立嵯峨野高等学校に,専門学科として「京都こすもす科」が開設される予定である。平成4年11月の答申では,「普通科における類・類型の充実」や「入学者選抜方法の改善・充実」などが提言されている。
 京都市教育委員会においても,京都府教育委員会の認可を得て,平成2年度に京都市立洛陽・伏見両工業高等学校の学科改編を行った。また,平成5年度に京都市立紫野高等学校普通科第Ⅲ類の府内初の英文系への改編,平成7年度に京都市立日吉ヶ丘高等学校に府内で初の専門学科としての「英語科」の設置など,一層の改善を進めた結果,両校には多くの中学生の志願があり,全国的にも注目されている。
 各市立高等学校においても,日常の授業改善はもとより,家庭学習の徹底や学習合宿の実施,各種資格取得の取組など進路保障の充実をはじめ,教育活動全体の向上に努めている。
 なお,工業科・商業科,定時制の教育について多くの課題があるが,現在それぞれの高等学校で協議が続けられており,それらをふまえて次の検討課題としたい。

3 私立高等学校における取組
 京都の各私立高等学校においては,建学の精神に基づいた特色ある教育活動の一層の充実が図られるとともに,「大学進学特別コース」など多様なコ-スの設置をはじめ,中高一貫教育や系列大学への内部進学など,生徒の特性やニーズに対応した取組が積極的に推進されている。

4 京都市立高等学校が果たしてきた役割と特色
 本市においては先人の努力により,明治5年の学制施行以前の明治2年に番組小学校が創設されるなど,「人づくり」が都市の活性化に重要な役割を果たしてきた。
 中等教育については,明治13年に我が国で最初の画学校が開設され,現在の京都市立銅駝美術工芸高等学校に引き継がれている。明治19年に我が国初の公立工業学校として染工講習所(後の京都市立第一工業学校)が設置され,さらに大正9年に1校(後の京都市立第二工業学校)増設された。それぞれ現在の京都市立洛陽工業高等学校,同伏見工業高等学校に引き継がれている。また,明治19年に,全国に先駆けて商業学校(後の京都市立第一商業学校)が,明治41年には高等女学校が設置され,現在の京都市立西京商業高等学校,同堀川高等学校に引き継がれている。
 戦後においても,昭和23年,堀川高等学校に我が国初の音楽科を設け,現在堀川高等学校音楽科分校として発展してきている。また,昭和24年に京都市立日吉ケ丘高等学校,昭和27年に京都市立紫野高等学校,昭和38年に京都市立塔南高等学校をそれぞれ設置してきた。
 このように,明治期から美術・工業・商業・女子教育など先駆的な取組を推進し,戦後においては,普通科教育の充実を図るとともに専門学科のさらなる発展を図るなど,その時代や市民の要請に的確に応え,特色ある教育を進めてきた。
 なお,昭和38年度には,普通科と商業科,普通科と工業科の総合制高等学校を京都府教育委員会の認可を得て,京都市独自に単独制高等学校へ改編した。
 さらに平成7年度,日吉ヶ丘高等学校に府内で初の専門学科としての「英語科」を設置した。この「英語科」は,全般的に普通科教育志向が強い中で,専門学科の新たな可能性を示したものであり,市立高等学校が,専門学科によって市民の要請に的確に応えてきたという歴史と伝統を受け継いだものといえる。

5 今後の京都市立高等学校の在り方を検討する視点
 科学技術の高度化や情報化,国際化,高齢化,少子化など社会の急激な変化のもとで,高等学校生徒の興味,関心,適性,能力,進路等の多様化が一層進んでいる。
 また近年,若者の理科・数学離れや活字離れが進んでおり,教育上の重要な課題となっている。一方,市民の生涯学習を進めていく上で,高等学校の果たすべき役割もますます高まっている。
京都市立高等学校においては,こうした急激な社会の変化に対応しつつ,これまで果たしてきた役割と現状の課題をふまえるとともに,第15期中央教育審議会や国の動向を見守りつつ,特色ある教育活動を一層積極的に推進することが求められている。そのため,たくましく思いやりのある人間の育成と個性の伸長,進路保障を目指す教育内容等について研究する必要がある。
 同時に,京都市立高等学校は,その沿革を明治期にさかのぼるものが半数以上あり,その校舎の多くは昭和の初期に建設され60年を経過しており,新築しなければならない時期に達している。早期建設に向け,魅力ある新しい京都市立高等学校の教育にふさわしい校舎新築をはじめとする施設等教育条件を含めた構想の検討を行う必要がある。

 このように,市民の教育に対する熱い期待のもとに創設され,時代の要請に応えて特色ある教育に取り組んできた京都市立高等学校の伝統をふまえ,21世紀を切り拓き,社会の発展に貢献しうる新しい高等学校の在り方を検討していくことが必要である。


検討事項

(1) 社会の変化や生徒の多様な実態に対応した魅力ある新しい京都市立高等学校の教育の在り方について

① 専門教育の新たな展開を中心にした特色ある学校づくりの推進についての方策
② 理科・数学離れや活字離れなどの今日的課題を克服するための方策
③ 学力の伸長と個性の伸長の調和をめざした特色ある学校づくりの推進についての方策

(2) 特色ある京都市立高等学校の教育にふさわしい施設等教育条件の基本構想について

① 建替期を迎えている高等学校の校舎新築整備計画等の在り方
② 高度情報化にも対応し,特色ある多様な教育が可能となる施設等の在り方
③ 生涯学習時代にふさわしい魅力ある新しい施設等の在り方
④ 耐震性など防災機能を備えた防災拠点としての活用も可能な新しい施設設備の在り方



検討期間

概ね2年程度とする。

 

 

 

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お問い合わせ先

教育委員会事務局 指導部 学校指導課
電話: 075-222-3811 ファックス: 075-222-3759