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京都市教育委員会

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最終答申 2

ページ番号6410

2012年12月25日

 

2 21世紀を展望した魅力ある新しい京都市立高等学校の在り方

 

 社会の変化,とりわけ少子化の進行は,高等学校の存立自体に大きな影響を与えている。しかし,本構想委員会は,このことを教育改革の好機としてとらえ,生徒一人ひとりの個性を尊重すること,変化と多様化に対応し主体的に選択する力を育むこと,未来を切り拓くたくましい創造性や豊かな人間性を育成することを基本理念とし,21世紀を展望した魅力ある新しい京都市立高等学校像について検討を重ねてきた。
 本構想委員会は,これまでの審議の過程において,高等学校教育の在り方を中心に,さまざまな教育課題についての論議を行ったが,提示した基本理念 が今日の教育において,そしておそらく21世紀の教育においても,極めて重要な観点を示したものであるという確信を深めている。
 21世紀を展望した高等学校教育について言うとき,ともすれば,新奇なるものや目新しいことがらに関心の動くことは否めない。しかし,本構想委員会は,さまざまな名を冠せられる21世紀がどのような時代になろうとも,教育の基本に変わりはないと考える。むしろ,変わることのない基盤の上にこそ教育の理想が開花するのである。教育のもつべき機能とめざすべき目標を示した基本理念を根幹として,若々しい枝が伸び,緑の葉が重なることを望む。
 高等学校を卒業した後,進学する者にとっても,社会に出る者にとっても,社会の一員として欠くことのできないものがある。それは,人間としての自 由や権利の行使とそれに伴う責任,生命の尊さに対する認識である。それらを育成するためには,高等学校教育において,主体性と社会性,また倫理観が涵養されなければならない。
 次代の担い手を育成するという観点に立つとき,本構想委員会の掲げる基本理念の具体化が,重要な課題として求められよう。京都市教育委員会並び に各高等学校の積極的かつ建設的な論議と具体的な取組を期待するものである。

(1) 学校の多様化と個性化
 高等学校教育は,基礎基本の徹底を基盤として,生徒の興味・関心,適性,能力,進路希望に応じた主体的な学習活動の展開を保障することにより成立する。各高等学校においては,授業内容の精選に努めるとともに,授業改善をはじめとする教育活動の一層の改善を積極的に行い,生徒一人 ひとりが,豊かな学習体験と生活体験を通して,目的をもって学び,自己を追求することが可能となる多面的な教育システムの構築をめざさなければならない。
 本構想委員会は,すでに「個を生かす教育システム」の構築を求めている。これは,多様・多彩な学習内容・学習方法・学習形態を導入して,生徒の個性に対応し,主体的な学習活動を支援するとともに,進路希望の実現を図る教育活動の体系化を意図するものであり,授業はもとより,ホームルーム活動・クラブ(部)活動等においても,生徒自身の活動を軸とすることを想定している。
 教科・科目に関する学習活動においては,基礎基本の習熟を基に,ガイダンスを徹底し,生徒自身が自らのカリキュラムを編成することができるように配慮するなどの思い切った工夫を行い,生徒の主体的な学習意欲を引き出すことが求められる。特別活動に関しても,生徒の主体性の育成を目標とし,生徒自身が自ら成長しようとする取組を支援することが必要である。これらの活動を通して生徒が自己実現を図る過程で,生徒相互,生徒・教職員の人間的な交流が深まり,それらによって生徒が相互に支え合うことが重要である。
 多様な教育活動を展開することにより後期中等教育の充実を図ることは,市民によって設立され,市民に対して直接の責任を有する京都市立高等学校の重要な責務である。すべての京都市立高等学校が,よりよい教育活動を追求するため,常に厳しく自己点検し,改善に向けてのたゆみない努力を続けるよう求める。
 その上において,本構想委員会は,多彩な教育活動の伝統を継承する京都市立高等学校が,生徒の多様化に,より一層対応しつつ,各高等学校の教育目標や教育課題に応じ,従来以上に独自の個性的な教育活動を展開することが重要な課題であると考える。 学校の個性化は,生徒がそれぞれの個性に応じてより一層主体的な学習活動を進めることのできる高等学校の創造を意味する。先に示したとおり,
 学校の個性化を進めるにあたっては,高等学校教育の現状と課題についての慎重な分析と検討を行うことが欠かせない。また,各高等学校においては,教育活動の内容を生徒に具体的に提示することにより,生徒の学習意欲を喚起し,生徒が自主的・計画的に学習できるよう,最善の手だてを講じるとともに,それらの情報を事前に提供することによって,入学後の学校生活を円滑に進めるための万全の方策が求められる。

 

  

① 生徒一人ひとりに対応した教育を推進するため,各高等学校の教育目標・教育課題に応じて「個を生かす教育システム」の構築を図る。生徒にとっては,毎日の授業がわかる授業であり,成就感の味わえる授業であることが欠かせない。習熟度別講座編成等のきめ細かな取組により,基礎基本の徹底を図るための必修科目の厳選や授業内容の精選・充実を図るとともに,適切なガイダンスに裏付けられた多様な選択科目の設置等,選択の拡大を進めることが求められる。画一から多様への転換を図る次のような教育の在り方が必要である。

 

ア 教育内容の多様化
 基礎基本の徹底を基盤に,教育課程の多様化・柔軟化を図り,生徒の主体的な学習意欲をひきだす。
1) 従来の教科・科目の枠を超えた総合的な科目の設置
2) 多様な科目の設置と選択幅の拡大
3) 的確なガイダンスを前提とした,生徒自身による個人カリキュラムの編成
4) 単位認定の弾力化

 

イ 教育形態の多様化
 多面的な施設設備の充実・整備を行い,ソフト・ハード両面から生徒一人ひとりの学習活動を支える。
1) 従来の教室の枠を超えた少人数演習形式の講座や多人数講座の開設
2) 学年の枠を超えた複数学年参加型講座の開設
3) 他校(普通科・専門学科の交流も含む)や大学・研究機関等での学習の実施
4) 学校施設から出て,調査・研究を行う学習(フィールドワーク等)の実施 

  

ウ 教育方法の多様化
 生徒が興味をもって学習し,学習内容を定着させることができるよう,従来の講義形式に加えて,生徒自身が経験を通して学ぶ啓発的経験学習や,一定の課題に対して試行錯誤を伴いながら学んでいく課題解決学習等の要素を取り入れた多様な教育方法を導入する。
1) 演習形式の授業の積極的導入
2) 主体的な学習を促す課題研究の導入
3) 最新の情報機器を活用した授業の導入
4) 大学関係者,社会人,他の高等学校等,学校の枠を超えた講師の招聘

 

② 多様で具体的な内容を通して,情報収集や分析の能力を培うとともに,社会との関わりをもって学習活動を展開できるよう,テレビ,コンピュータネットワーク,新聞等の媒体を教育活動に生かし,多角的な学習の場を創出する。
  

③ 現状と課題についての分析と検討を組織的に進め,どのような教育をめざし,どのように生徒を育てるのかを明確に追求するとともに,その展望が明らかになるよう,教育目標・教育内容・教育計画等についての情報を,生徒・中学校に対し積極的に提供する。

④ 生徒の成長に資する豊かな高校生活を創出する観点から,経験的学習や体験的学習を重視し,ホームルーム・クラブ・生徒会等の特別活動とともに学校行事を充実して,主体性の涵養,コミュニケーション能力の育成に努める。

⑤ 学び舎と呼ぶにふさわしい,生徒相互や教職員と生徒とのふれあいの機会を充実させるとともに,カウンセリング機能の向上など人間的な教育の展開を図る。

⑥ 国際社会・情報・環境・福祉・ボランティア活動等,社会的課題を踏まえ,生徒の個性や幅広いニーズに応じた教育活動を行う。

 

 

(2) 縦と横の連携・接続
 かねてより京都市立高等学校は,それぞれに特色ある教育活動を展開してきた。生徒の多様化が進行する現在,必要に応じて補完しあうシステムとして,また,生徒の希望に対応する取組として,各高等学校の教育機能を他の高等学校に在籍する生徒にも開放することが求められる。当然それぞれの高等学校に在籍する生徒に対する教育活動の充実が第一義であるが, 生徒の多様な学習ニーズへの対応や相互交流を重視するという観点から, 地理的条件のよい京都市立高等学校間のさまざまな形態の連携を進めることは,今後の重要な課題である。具体化にあたっては,施設設備はもと より,その他の諸条件の整備が必要である。教育委員会や各高等学校の積極的な対応を期待したい。
 各高等学校が教育機能を開放することは,生徒の選択の拡大に寄与するのみならず,高等学校間における相互の刺激となって,よい意味の競争と連携を生み,京都市立高等学校全体の活性化につながると考える。さらに, 特色ある教育活動を行う各高等学校の情報を,中学生や市民に提供することにもなる。
 また,各高等学校が教育活動の一層の充実を図るためには,高等学校間だけでなく,中学校・大学等研究機関・企業等との連携を進めることが重要である。この点については,第2次答申において堀川高等学校に教育センター機能を付帯することを提言したが,その具体化にあたっては,「個を生かす教育システム」の観点から,単位の認定やその互換等の柔軟な対応を検討することが肝要である。
 さらに,京都市立高等学校の教育活動を充実・発展させるためには,京都府内はもとより,わが国全体を視野に入れ,設置者の異なる高等学校との交流・連携についても検討を進めることが重要である。

 

① 各高等学校がそれぞれの個性を生かして,教育活動の充実・発展を図るため,生徒の主体的な学習を促すさまざまな形態のネットワークを構築する。必要に応じ,単位の認定・互換等について柔軟な対応を図る。また,そのために必要な施設設備の整備を図る。

② 中学校との連携を密にし,相互の情報提供を進め,生徒の学習活動に活用する。また,中等教育全体の活性化と効率化を図る。

③ 大学等高等教育機関・研究機関・企業等との連携により,教育活動の一層の充実を図る。必要に応じ,それらの場における学習を単位認定する。

 

 なお,中央教育審議会において提言された中高一貫教育・6年制中等学校については,中等教育の充実・活性化策の多様な選択肢の一つであると考えるが,その導入にあたっては,さまざまな観点からの慎重な研究が必要である。


 

(3) 開かれた学校への転換
 高等学校は,生徒の学習活動を支援する場である。各高等学校においては,生徒が主体的・意欲的に学ぶことのできる環境づくりを進めなければならない。この観点から,生徒に対する教育活動の充実をめざす開かれた学校への転換を求めるものである。
 生涯学習社会においては,高等学校のもつ人的・物的教育機能を社会に開放するとともに,市民や地域の教育機能を高等学校に導入するという双方向の連携が重要であり,学校は生徒,教職員,市民のそれぞれに開かれていることが必要である。これこそが,本構想委員会が提言している「開かれた学校」であり,その具体化として,
 コミュニティカレッジ構想 を提言しているものである。コミュニティカレッジに関しては,第2次答申でパイロット校に位置づけた堀川高等学校において検討が進められているが,あるテーマについて学習する意思をもつという点で結ばれた生徒・教職員・市民が,相互に刺激を与えながら共に学ぶことで学習効果が高まると考えられる。生徒には柔軟な教育課程の観点から,単位認定を行うことが必要である。その際には,在籍生徒のみならず,他校生徒に対しても開放することを求めたい。特色ある教育機能の開放と,市民や地域の教育力の活用を進めることが,各高等学校の教育力の一層の向上につながるような運営を期待する。なお, コミュニティカレッジの開設に伴う諸条件の整備については,関係機関の 積極的な対応が必要である。
 高等学校の開放を進めることは,市民の生涯学習に対する熱意と関心に応えることであると同時に,市民の高等学校に対する理解を深め,建設的な意見や感想を直截に受け取る機会を得ることである。学校の在り方に対する市民の声を傾聴することによって,教育活動の活性化を図り,市民から信頼され愛される高等学校となるよう望むものである。
 高等学校教育を充実するうえにおいては,生徒に対して大きな教育力をもつ保護者の理解と協力が欠かせない。高等学校は,家庭・保護者にとっても一層開かれた存在となることが求められる。家庭との連携を深め,生徒を多面的に理解するとともに,保護者のさまざまな思いや願いを教育活動に生かすことにより,教育機能の充実を図ることが重要である。

 

① 特色ある教育機能を可能な範囲で市民に提供することを通して,市民の学習意欲に応えるとともに,高等学校として生涯学習社会への対応・参加を図り,生徒が生涯にわたって学習意欲をもつよう育成する。

② 各高等学校において現在取り組まれている生涯学習事業について,コミュニティカレッジ構想の観点からの一層の充実を図る。具体的な運営にあたっては,校内体制の整備とともに,企画段階からの市民の参加や他の生涯学習機関等からの積極的かつ効率的な支援が求められる。

③ 家庭・保護者との連携を深め,高等学校と家庭が生徒の成長を育むために一層の協力・協同を進める。その一環として,高等学校の行う生涯学習事業への保護者の協力と参加を求め,それらを通して学校と家庭の交流及び信頼の強化を図る。

 

 

(4) 京都の地域的特性の活用
 京都は世界の古都として誇り得る歴史を刻んできた。過去の遺産都市としてではなく,現在も生きる都市としてその歴史を連綿と支えてきたものは,京都が常に文化を創造し発信し続けてきたことによる。この進取の精神を継承するとともに,それにふさわしい教育内容や校風などが求められる。さまざまな角度から京都の文化や産業を学ぶ多面的な学習活動を通して,新世紀の京都を担う人材の育成を図ることが必要である。
 国際社会で生きる人間を育成する第一歩は,自らの生活する地域や社会について学ぶことである。京都はその歴史と伝統から,世界につながるさまざまな学習資源を有している。それらを生かした京都市立高等学校にふさわしい教育活動が望まれる。

 

① 京都の歴史遺産はもとより,伝統産業・先端産業,また大学・研究機関等に生徒の学習活動の場を発展することにより,経験的な学習・実践的な学習を充実させる。

② 日常の授業や,集中講義形式の場に,科学・文化・観光・福祉・ベンチャービジネス等,京都ならではの多彩な場面で活躍する人材を講師として招くことにより,生徒の視野と関心の拡大,個性の伸長を図る。
 
③ 歴史や文化,伝統,産業,自然等,京都を対象とする学習活動を構築し,生徒の京都に対する理解を深め,将来の京都の担い手を育成する。

 

 

(5) 教職員の指導力の向上
 教育は人によってなされる活動である。教育の手段・方法は多岐にわたるが,教職員の指導力が,教育条件総体を支えるうえで最も重要な条件であることは言うまでもない。すべての教職員は,生徒の自己実現への取組を支援することにより,未来の社会の形成者を育むという崇高ないとなみに携わる者としての責務をもつ。
 教育が人を育むものである以上,教職員には指導力はもとより,教育者としての姿勢が問われてしかるべきである。すべての教職員が生徒に対し, 極めて大きな影響を与える存在であることをいま一度厳しく自覚し,誇り と愛情をもって教育活動にあたることが求められる。
 教科・科目に関わる学習活動においては,高い専門性と真摯な研究精神が必要である。また,生徒と日常的に接する点からは,豊かな包容力と優れたリーダーシップが求められる。さらに,学校組織の一員としての見識と協調性が不可欠であり,各高等学校の教育課題についての認識を深め,教育目標達成に向けて連携を図ることが重要である。教職員個々の指導力を高め,学校組織としての力量を向上することが求められる。
 そのために,教職員一人ひとりが常に厳しく自己点検や相互評価を行い, 個人・教科・学年・学校等の各段階において,指導力の向上に向け,たゆ まぬ努力を続けるよう求める。
 なお,教職員の指導力の向上については,教職員個々の自覚を当然の前提として,教育委員会において今後一層必要な条件整備を進めることが不可欠である。

 

① 魅力ある教育活動を担う教職員にとって望ましい多様な新しい研修の在り方についての研究を進める。

② 各高等学校の教育課題に適切に対応するとともに,教職員の意欲・情熱を高めるため,一層効果的な方策を講じ,よりよい学校組織の構築を図る。

③ 外部との交流による刺激などを積極的に活用した実践的な教育研究や専門研究を組織的に実施する。

④ 堀川高等学校における教育センター機能や,コミュニティカレッジを有効に活用した研究及び研修の充実を図る。

⑤ 教科の専門的指導力や生徒理解の向上のため,自己研鑽に取り組む意欲的な教職員への支援を一層充実する。

 


 

(6) 高等学校整備計画の策定
 京都市立高等学校は,今後の社会の担い手である青年を育成するための教育機関として,市民の信託に基づく教育活動を展開する責務を有している。そのためには,充実した教育活動の展開を支えるための条件整備が必要である。
 第1次答申並びに第2次答申において示したとおり,教科・科目に関する教育活動がきめ細かに行えることはもとより,生徒の感性が日常的に磨かれるよう,校舎内外に学び舎としてのあたたかさとゆとりの工夫を凝らすことが必要である。また,学校生活における人と人とのふれあいの機会を創出する場として,さらに市民をも対象とした施設として,その機能を十分に発揮するものでなければならない。
 京都市立高等学校の将来を見通した全体計画を策定し,各高等学校のめざすべき役割にふさわしい整備を計画的に行うことが必要である。

 

① 京都市立高等学校全体の整備計画
 建替・新築計画の策定にあたっては,第1次答申の緊急提言として, 戦前に建築された老朽建物の保有率が高い堀川高等学校,西京商業高等学校,銅駝美術工芸高等学校の順による建替を進めるべきことを 明らかにした。この提言を受け,京都市並びに京都市教育委員会が堀川高等学校新築の具体化に取り組んだことについて,評価するもの である。
 引き続き,西京商業高等学校,銅駝美術工芸高等学校の建替・新築に着手することを求める。あわせて,将来的な展望に立ち,京都市立高等学校全体の建替計画を策定するとともに,安全で快適な環境づくりはもとより,時代の変化に伴う教育内容の進展に対応した施設設備の充実を図るため,大規模改造を計画的に実施することが望ましい。
 京都市立高等学校の整備にあたっては,施設設備内容について画一的である必要はない。むしろ,各高等学校の特色あるいは教育活動に応じた柔軟なものであることが必要である。なお,整備計画策定にあたっては,第1次答申においても述べたとおり,小学校統合跡地の活用を視野に入れておくことが重要である。

②施設設備の在り方
 従来の伝統を生かしながら,新しい時代の要請に応え,21世紀を展望した施設設備の整備を行うことが必要である。第1次答申に示したとおり,学校の施設設備は,そこに学ぶ生徒に対して大きな影響を与える。各高等学校の特色ある教育活動に対応した,「校風創生」の契機ともなり得るグレードの高い施設設備の充実の必要性はここにある。
 また,人と環境に配慮することが重要である。例えば,段差のない設計やエレベーターの設置,ソーラーシステムの導入,ゆとりやふれあいの空間の配置,加えて,学校内外に緑を多く採り入れるなど,堀川高等学校における計画内容が今後のモデルとなろう。これからの学校施設設備には地球環境の保全に資することを考慮するとともに,非常災害時における防災機能の充実を図ることが求められている。

③ 社会の変化,教育活動の変化への柔軟な対応
 高度情報化時代にふさわしい施設設備内容の充実と,多機能な学習空間の整備を図ることが極めて重要である。コンピュータを活用した情報の発信と受信,すなわち,インターネットに代表されるような技術革新とその進展が著しい中で,また高等学校教育の多様化・個性化が一層進む中で,生徒一人ひとりの個性に対応した教育活動の展開に資する施設設備が求められる。あわせて生涯学習時代への対応も忘れてはならない。
 高等学校と市民が相互に情報発信を行うことのできるシステムの構築も求められている。京都市立高等学校が創立以来蓄積した教育財産としての情報や技術をさまざまな形で市民に公開・発信することが必要であり,市民への開放施設としての機能はもとより,そのネットワーク化及びデータベースの整備を進める必要がある。
 これらの点から,施設設備面においては,常に柔軟な対応が不可欠である。さまざまな状況に柔軟に対応できる施設設備の在り方が求められている。

 

 

 

 

 

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