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京都市教育委員会

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第2次答申 1

ページ番号6365

2012年12月25日

 

 

1 京都市立高等学校21世紀構想パイロット校として,新たな堀川高等学校を創造するにあたっての基本的な考え方

 

 新たな堀川高等学校の教育活動の理念として,「変化と多様化に対応し主体的に選択する力,未来を切り拓くたくましい創造性と他者を尊重する豊かな人間性」の育成を掲げ,その実現に向けて具体的な取組を展開することが求められる。生徒一人ひとりが,豊かな学習体験と生活体験を通して,かけがえのない自己を深く見つめ,育み,主体的に選択して進路を実現していく過程を,教育活動の場面で確立することが必要である。
 よく学びよく遊ぶという言葉があるが,自己を律し,厳しく学ぶなかにもゆとりをもつこと,自己を実現するために具体的に行動すること,そして静かに思索することが,青年期において重要な意味をもつ。幅広い経験と真摯な学習が,成長過程に大きく作用し,自立して生きる人間を形成する要素となる。新たな堀川高等学校を創造する目的は,ここに存する。変化の激しい社会にあって,普遍の学び舎を築くことが求められている。
 学習活動においては,単なる知識の集積に努めるのではなく,さまざまな形での人とのふれあい等を通した豊かな経験に基づいて,知識を生きた知恵に結晶する教育の在り方が求められる。その具体化のため,生徒が目的をもって学び,自己を追求することが可能となる多面的な教育システムの構築をめざすことが必要である。
 市民の期待と要請に直接応える教育機関として,従来の学校の枠にとらわれない新たな高等学校像を提起したい。

 

(1)生徒一人ひとりの個性を尊重し,興味・関心,適性,能力に対応して,進路希望の実現を図り,生徒の自己実現を支援する教育活動
 本構想委員会は,生徒一人ひとりを尊重する教育の方法として,「個を生かす教育システム」の構築を求めたい。これは,多様・多彩な学習方法と学習形態を導入して,生徒一人ひとりの興味・関心,適性,能力に対応し,主体的な学習活動を支援するとともに,進路希望の実現を図る教育活動の体系化を意味するものである。
 新たな堀川高等学校においては,生徒の個性を尊重する視点から,教育活動を進め,生徒の主体性を涵養することが重要である。授業はもとより,ホームルーム等特別活動においても,生徒自身の活動を軸として展開することが必要である。そのため,ガイダンスを徹底し,生徒自身が自らのカリキュラムを編成することができるなどの思い切った工夫を行うことが求められる。その一方で,生徒が互いにふれあうことのできる場面が求められる。個人としての活動が,生徒相互,生徒・教職員の人間的な交流によって支えられることが不可欠である。
 この教育システムを機能的に展開するため,新たな堀川高等学校に,授業や指導の実践的研究を行う「教育センター機能」を付帯することが必要であると考える。この「教育センター機能」により,中学校との連携を進め中等教育全般の充実を図るとともに,堀川高等学校はもとより京都市立高等学校教育の向上にも資することとする。さらに,生徒・教職員・市民が参加する新しい形態の生涯学習機能「コミュニティカレッジ」としての先導的な取組が行われることを求めたい。これらにより,生徒は多彩な学習経験を積むことができ,また,教職員・市民の能動的・主体的な学習活動からよい刺激を受けることが可能となる。
 生徒一人ひとりが「学ぶ」ことの楽しさと厳しさを体感しつつ,主体的な学習活動を展開して進路実現を図ることができる学びの場として,同時に,学ぶことを通して生徒が相互に交流することはもとより,生徒と教職員・市民がふれあえる豊かな経験の場として,新たな高等学校の在り方を追求したい。

 

(2)普通科教育の充実と,わが国の科学・文化の担い手を育成するための専門的な学習を展開する新しい学科の設置
 京都は,守るべきものを見極め,堅持するとともに,そこに新たな展開を生み出してきた。京都で生まれ育まれた文化は,国内はもとより世界に広がり,京都は,伝統的に,文化・情報を発信する世界の中核であり続けてきた。ノーベル賞を受けた科学者たちが,才能の芽を育成する青年期に京都で学んだことと京都の伝統とは無縁でない。
 堀川高等学校は,京都市の中心部に位置し,伝統を継承しつつ創造を続けてきた京都の市民と地域によって育てられてきた。新たな堀川高等学校においても,古きを守り新しきを生み育ててきた伝統と活力を教育活動に導入し,京都のまちの学校として誇り得る存在として発展することが望まれる。
 本構想委員会は第1次答申において,21世紀が「個」の時代であるとともに,「選択」の時代であることを示した。新たな堀川高等学校においては,「個を生かす教育システム」の構築,「教育センター機能」及び「コミュニティカレッジ」の付帯により,生徒一人ひとりの興味・関心,適性,能力に応じた,「個と選択の時代」にふさわしい高等学校教育を展開することが求められる。
 普通科教育については,生徒の選択を軸としたカリキュラムの編成を行うとともに,教科・科目の学習内容を精選・充実することが求められる。生徒自身が自己の能力を最大限に発揮し,目的意識をもって学習することのできる科目選択やコース選択の在り方を追求しなければならない。新たな堀川高等学校の教育機能を生かした,魅力ある普通科教育の展開が求められる。
 京都は,わが国はもとより世界に誇る大学や研究機関を擁し,文化・情報を発信する中核としての機能をもつ都市である。この特性を教育活動に生かして,活字離れや理科・数学離れなどの今日的課題の克服を図ることが必要である。
 本構想委員会は,学力の伸長と個性の伸長の調和をめざした特色ある学校づくりを推進するため,普通科教育のさらなる充実を図ることと同時に,京都はもとより,わが国の科学・文化の担い手を育成するための専門的な学習を展開する新しい学科の設置を提言する。
 大学は学部・学科等において専門研究を進める場である。新しい専門学科においては,大学における多様な専門分野に接続することを前提に,生徒の興味・関心,適性,能力に対応して,基礎的研究を行なう能力と態度を養うものとする。そのため,新たな堀川高等学校の教育機能を駆使するとともに,大学・研究機関との連携を図り,高度な専門教育にふれる機会を設定する。このことにより,専門研究のための動機づけを行い,主体的な大学進学を実現して後期中等教育から高等教育への円滑な接続を図るものである。
 充実した後期中等教育の保障と,その成果としての進路の実現は,市民によって設立された歴史をもち,市民に対して直接の責任を有する京都市立高等学校の重要な責務である。普通科教育の充実と新しい専門学科の設置により,京都市立高等学校の一層の活性化を図り,市民の期待に応える高等学校教育を展開することが必要であると考える。

 

(3)新たな堀川高等学校の教育活動を支える施設設備の在り方
 堀川高等学校は京都市立高等学校21世紀構想のパイロット校として,市民の誇りとなり得る本市高等学校の典型をめざすことが必要である。
 施設設備面においても,先駆的な学校として,将来を見通したものを建設・設置するとともに,地域の学校として開放型施設を実現すること が求められている。また,環境・防災面への配慮についても,十分考慮されることが必要である。
 それらを踏まえ,魅力ある新しい学校として,高度情報化にも対応し,特色ある多様な教育を可能とする施設設備,また,生涯学習時代に対応 するとともに,人と環境にも配慮した施設・機能,さらに,耐震性などを備えた防災拠点としての機能等が求められる。
 一方,生徒の感性が日常的に磨かれるよう,校舎内外に学び舎としてのあたたかさとゆとりの工夫を凝らすことが必要である。学校生活における,人と人とのふれあいの機会を創出する場,また,静謐さを感じられる場の存在は,生徒の瑞々しい感性を呼び覚まし揺り動かすであろう。

 

 

 

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