第4章 障害保健福祉施策を推進するための具体的事項 ‐ 7 ととのえる (生活環境の整備と生活の質の向上)
ページ番号51414
2021年5月25日
障害のある市民が自己選択と自己決定の下に,社会のあらゆる活動に参画できる社会環境づくりが求められており,障害の種別にかかわらず,障害のある市民の活動を制限し,社会への参加を制約することのないよう,バリアのない生活環境を整えるとともに,自らの能力を最大限発揮し,自己実現できるよう支援するための諸施策の推進が求められています。
また,障害のある市民が安心して日常生活を送るためには,防災対策や災害発生時の安全を確保する支援体制を整備する必要があります。
さらに,障害のある市民が豊かな日常生活を送るためには,社会参加を促進する施策の充実を図るとともに,スポーツや文化活動を通じて地域の人々と交流し,お互いに生活の質を高めていくことが望まれます。
【施策体系】
7-1 人にやさしいまちづくり
141 人にやさしい福祉のまちづくりの推進
142 公共交通機関の整備の促進<充実>
143 ユニバーサルデザインの理念の普及と採用の促進<充実>
144 住宅のバリアフリー化の普及
145 観光・文化施設等のバリアフリー情報の提供
7-2 災害対策
146 安心して生活できる環境整備
147 災害時要援護者名簿の整備<新規>
148 地域ぐるみの防災体制の確立<充実>
149 被災後のこころのケアの体制整備
7-3 社会参加・スポーツ・芸術
150 情報機器の利用の促進
151 自動車運転免許取得助成,自動車改造助成
152 福祉乗車証・重度障害者タクシー料金助成事業
153 移動に制約のある方への支援<新規>
154 各種公共施設利用料の減免
155 JR運賃など公共料金減免の要望
156 障害者スポーツの振興
157 全国車いす駅伝競走大会の実施
158 全国障害者スポーツ大会等への選手派遣
159 文化芸術活動の振興
160「ふくふくフェスタ」の実施(再掲)
161 障害者社会参加推進センター事業
(1) 人にやさしいまちづくり
【現状と課題】
障害のある市民が自立して生活し,積極的に社会参加していく上で,すべての人が利用しやすいまちづくりを進めていくことは非常に重要です。
本市においても,これまでから「障害者のためのモデル街づくり推進懇談会」を設置するとともに,「京都市人にやさしいまちづくり要綱」や「京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例」を制定し,障害のある市民もない市民も誰もが安心して快適に暮らすことができるように,バリアフリー社会の実現を図ってきました。また,平成17年4月には,すべての人の利用を前提に計画,実施することで,はじめからバリアを作らない,バリアを限りなく少なくしていこうという考え方に基づく「京都市みやこユニバーサルデザイン推進条例」を施行し,市民や事業者への周知に取り組んできました。
しかしながら,「障害者生活状況調査」においては,身体障害児・者のうち,「外出の際の問題点」として,「道路や駅に階段や段差が多い」と回答した人の比率は約5割,「道路に自転車などの障害物が多い」と回答した人の比率は約3割ありました。
今後は,これまでの施策を引き続き実施するとともに,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」の趣旨やユニバーサルデザインの考え方を踏まえ,より人にやさしいまちづくりに資する事業展開を図っていく必要があります。
【施策の方向】
141 人にやさしい福祉のまちづくりの推進
障害のある市民もない市民も誰もがくらしやすい,人にやさしい福祉のまちづくりの推進を図るため,「京都市人にやさしいまちづくり要綱」,「京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例」等に基づき,建築物,公共交通機関,道路,公園等の整備・改善を促進するとともに,基準に適合した建築物の維持管理の状態を調査する福祉パトロールを実施します。
交通バリアフリーについては,平成14年度に策定した「京都市交通バリアフリー全体構想」に基づき,順次,「重点整備地区」ごとに「移動等円滑化基本構想」を策定し,旅客施設,車両,周辺の道路などのバリアフリー化を重点的,一体的に推進します。
また,ハード整備に併せ,市民一人一人が障害のある市民等に対する理解を深め,積極的に手助けなどを行う「こころのバリアフリー」を推進します。
142 公共交通機関の整備の促進<充実>
市バスについて,障害のある市民が利用しやすいように,ノンステップバスの導入を拡充するとともに,音声による行先案内装置やバス内の停留所名表示器の設置を拡充します。
また,市営地下鉄については,すべての駅にエレベーターや点字ブロックを設置しており,さらに,東西線においてはホームドアを設置しています。今後も,引き続き,多目的トイレへの改修を進めるなど,更なるバリアフリー化の推進を図ります。
なお,鉄道事業者等が行う鉄道駅におけるバリアフリー化設備の整備に対しても,国及び京都府と協調して助成を行います。
143 ユニバーサルデザインの理念の普及と採用の促進<充実>
「京都市みやこユニバーサルデザイン推進条例」に基づき,ユニバーサルデザインの考え方を踏まえて,「いつでも」「どこでも」「だれでも」利用しやすく分かりやすい,まちづくりやものづくり,情報やサービスの提供を,事業者や市民等との協働により推進するため,ユニバーサルデザインの考え方の普及推進に取り組むとともに,ユニバーサルデザインの考え方に基づくまちづくりのための全国統一の基準づくりの更なる推進を国に対して要望するなど,事業者や市民の主体的な取組へのきっかけづくりを進めます。
また,多くの市民が利用する建築物などが新たに整備される際には,「京都市人にやさしいまちづくり要綱」や「京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例」に基づく協議を行うほか,新築の鉄道駅舎,バスターミナルの整備に際し,障害のある市民や高齢者などの様々な利用者からの意見を聴く「京都市みやこユニバーサルデザイン審議会 利用しやすい施設づくり部会」を開催するなど,多くの人にとって利用しやすい施設となるよう努めます。
144 住宅のバリアフリー化の普及
障害の状況等に応じた住宅改修を行うに当たり,専門的助言を行うとともに,費用の一部を助成する「いきいきハウジングリフォーム(京都市重度障害者住宅環境整備費助成事業)」や「京都市あんぜん住宅改善資金融資」の活用及び他の公的融資制度等についての適切な情報提供により,住まいのバリアフリー化に向けた改善を積極的に支援していきます。また,市営住宅の整備に当たってもバリアフリー化に努めます。
145 観光・文化施設等のバリアフリー情報の提供
観光・文化施設等のバリアフリー情報を冊子及びホームページによって提供することにより,障害のある市民の外出の機会を増やし,社会参加を促進するとともに,市外に居住する障害のある人の観光を振興します。
(2) 災害対策
【現状と課題】
平成16年に京都府北部を襲った台風23号や新潟県中越地震をはじめとする自然災害の経験から,障害のある市民等の災害時要援護者に対する情報伝達の在り方や効果的な避難・救助活動といった対策の重要性が指摘されています。
「障害者生活状況調査」においては,災害時の不安として「自分で避難ができない」と答えた方が,身体障害者で4割を超えました。火災や地震等の災害が発生したとき,障害のある市民が安全に避難し,また一人で避難できない市民を救出,救護することは,安全で安心して暮らせるまちづくりを進める上で重要な課題です。そのため,平常時から地域での交流が図られ,災害対応力を高めていくことが重要であり,京都の自治の伝統をいかした地域の互助機能と連動した防災体制の強化が求められています。
また,災害により精神的に大きな負担を受けた精神障害のある市民の症状悪化の防止や,強いストレスを受けた市民のこころのケアを行うことも大きな課題です。
【施策の方向】
146 安心して生活できる環境整備
障害のある市民が居住する住宅を対象として,重点的に防火安全指導を実施し,火災予防を進めるとともに,住宅用防災機器等の設置を促進します。また,「あんしんネット119(緊急通報システム)」,「消防ファクシミリ」等による緊急時の通報手段の確保のほか,聴覚・音声言語機能障害のある市民のための災害受信体制の充実を図ります。
147 災害時要援護者名簿の整備<新規>
地震等大規模災害発生時において,障害のある市民や高齢者のうち自力で避難が困難な方(災害時要援護者)の避難支援を行うため,災害時要援護者名簿を作成し,関係機関で共有して迅速な対応を図ります。
148 地域ぐるみの防災体制の確立<充実>
自主防災組織,事業所,消防団と障害者関係団体等が平常時から防災に関するネットワークを構築し,定期的に訓練,交流会などを実施することにより,協力体制を確立するとともに,日常から障害のある市民の地域における防災訓練等への参加を促進します。
また,大地震等の大規模災害発生時における初期消火や救出,応急手当などの防災体制,とりわけ障害のある市民等の避難などの安全対策などについて,市民自らが地域事情に応じた「市民防災行動計画」を策定する取組を促進します。
149 被災後のこころのケアの体制整備
火災や震災等の災害発生時及びその後において,精神障害のある市民の症状の悪化を防止する継続的な医療や災害により強いストレスを受けた被災者等のこころのケア対策について,精神科医療機関等との連携体制の強化を図ります。
(3) 社会参加・スポーツ・芸術
【現状と課題】
障害のある市民が生きがいを持って豊かな日常生活を送るためには,スポーツやレクリエーション,文化芸術活動への参加を推進することが重要です。
本市においては,これまでから,情報通信技術を活用した社会参加を推進するため,障害のある市民のパソコン等の利用を促進することや,障害のある市民の生活の質の向上を図るため,美術館や動物園などの市営施設の利用料の減免や外出支援の各種施策を実施しており,今後も引き続き実施するとともに,精神障害のある市民に適用されていない事業について,その適用を検討するなど,社会参加しやすい環境づくりを促進する必要があります。
また,障害のある市民の健康増進,機能回復と充実感のある生活を送るため,スポーツ・文化活動の機会をもつことは大切なことであり,障害のある市民の生活の質の向上が求められていることからも,スポーツ・文化活動への参加の促進を図る必要があります。
【施策の方向】
150 情報機器の利用の促進
障害のある市民が障害のない市民と同様にパソコン等の情報機器を利用するに当たり,必要となる周辺機器及びソフトウェアの購入に要する費用の一部を助成する,障害者情報バリアフリー化支援事業を実施し,障害のある市民の社会参加の促進を図ります。
また,障害のある市民が情報の収集だけでなく,自ら情報を発信し,多くの人と交流できるよう,インターネットなどの情報通信技術(IT)を生かした社会参加を推進します。
151 自動車運転免許取得助成,自動車改造助成
身体障害のある市民の生活の行動範囲を広げることにより,自立と社会参加を進めるために,自動車運転免許取得費,身体障害者用自動車改造費の一部の助成等を行います。
152 福祉乗車証・重度障害者タクシー料金助成事業
本市独自の制度である障害のある市民を対象とした福祉乗車証の交付や重度障害者タクシー料金助成事業について,引き続き実施するとともに,重度障害者タクシー料金の助成については,精神障害のある市民への適用を検討していきます。
153 移動に制約のある方への支援<新規>
特定非営利活動法人等が実施するボランティア輸送としての有償運送について,その必要性及び実施に伴う安全性の確保,旅客の利便の確保等について協議する場を設置するなど,障害のある市民等の社会参加の促進を図ります。
また,障害のある市民など移動の制約を受ける方が,ワンストップサービスにより安心して移動サービスを利用できる新たな外出支援システムを創設します。
154 各種公共施設利用料の減免
身体障害者手帳,療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている市民を対象とした,公営の美術館,動物園,スポーツ施設等各種公共施設利用料の減免を引き続き実施します。
155 JR運賃など公共料金減免の要望
身体・知的障害のある市民に対して適用されているJR運賃をはじめとする公共料金の減免について,精神障害のある市民も同様に制度化されるよう,国及び各事業者に対して積極的に要望していきます。
156 障害者スポーツの振興
障害のある市民がスポーツを通じて健康の増進と機能回復を図るとともに,充実感のある生活を送ることができるよう,全京都障害者総合スポーツ大会等の事業を実施するとともに,各種スポーツ大会の運営を支援します。
また,障害のある市民のスポーツの拠点として設置した京都市障害者スポーツセンター,京都市障害者教養文化・体育会館において,可能な限り障害のない市民との共同利用を図ることにより,交流の促進を図ります。
157 全国車いす駅伝競走大会の実施
障害者スポーツの一層の振興を図るとともに,障害のある市民に対する理解と認識を深めることを目的とする全国車いす駅伝競走大会の開催を支援するとともに,参加する京都チームの競技力の向上のための助成を行います。
158 全国障害者スポーツ大会等への選手派遣
障害のある人が競技を通じてスポーツの楽しさを体験するとともに,障害のある人に対する国民の理解を深め,障害のある人の社会参加を促進することを目的として開催される「全国障害者スポーツ大会」に選手団を派遣するとともに,精神障害のある選手の参加種目の拡大を働き掛けていきます。
また,パラリンピック等の国際スポーツ大会への選手派遣に必要な支援を行います。
159 文化芸術活動の振興
障害のある市民の生活にうるおいを与えるものとして,また,自己表現の場として,文化芸術活動は欠かせないものであり,芸術・文化活動を促進するとともに,活動の場の確保に努めます。
160 「ふくふくフェスタ」の実施(再掲)
161 障害者社会参加推進センター事業
「京都市障害者社会参加推進センター」において,法律・福祉機器・住宅改造・結婚等の相談事業,生活環境改善事業,スポーツ振興事業などを実施し,障害のある市民の地域における自立生活と社会参加を推進します。
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