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第4章 障害保健福祉施策を推進するための具体的事項 ‐ 1 みとめあう(人権の尊重と理解・協働の促進)

ページ番号51387

2021年5月25日

1 みとめあう (人権の尊重と理解・協働の促進)

障害のある市民もない市民も共に同じように社会で生活していく共生社会の実現のためには,お互いに多様な個性,価値観や生活のスタイルを認め合い,支え合って生活する気持ちを持つことが必要です。そのためには,すべての市民が障害や障害のある市民に対する正しい理解と認識を深め,お互いに人権を尊重し合う市民意識の高揚(「人権文化の構築」)を図る必要があります。

判断能力が不十分な障害のある市民にあっては,社会で生活していく上での支援を必要とすることから,権利擁護システムの推進や市民に対する権利擁護の啓発を図る必要があります。

また,すべての人が社会に等しく参加・参画し,支え合って生きていくノーマライゼーション社会の実現のためには,「ソーシャルインクルージョン(社会的に疎外,排除されやすい人々を社会の構成員として内包する考え方)」の理念が極めて重要であり,障害について理解や認識を深める学習機会の充実を図るとともに,障害についての幅広い教育・啓発活動を行っていく必要があります。

そして,行政をはじめ,地域における様々な団体などが,相互に協働し,障害のある市民もない市民も誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現を目指します。

【施策体系】
(計画前半期のプランから新規に追加した項目のうち,今後新たに実施する項目又は新たに実施する内容を含む項目については「新規」,計画前半期のプラン策定後新たに実施し平成20年3月現在推進中の項目については「新規・推進中」と記載しています。また,計画前半期のプランから充実した項目には「充実」と記載しています。)

1-1 啓発・広報
1 「障害者週間」を中心とする啓発活動
2 「心の輪を広げる障害者理解促進事業」の実施
3 障害のある市民の雇用に関する企業啓発
4 差別禁止の理念の普及・啓発<新規>
5 障害に関するシンボルマークの普及<新規>
6 こころの健康づくりに関する知識の普及
7 身体障害者補助犬法の啓発

1-2 権利擁護
8 高齢者・障害者権利擁護ネットワークの推進
9 成年後見制度・地域福祉権利擁護事業の利用促進
10 サービス評価の活用の促進<充実>
11 権利擁護のための相談事業

1-3 福祉教育・社会教育
12 公開講座・セミナーの実施
13 障害のある人の人権を尊重する教育の推進
14 福祉教育の推進
15 ボランティア体験活動の推進
16 障害のある市民の自立と社会参加を支援する社会教育の推進

1-4 協働と交流
17 地域交流への参加促進<充実>
18 「ふくふくフェスタ」の開催
19 障害のある市民の交流の促進
20 こころの健康支援パートナーの活動の推進
21 こころのふれあいネットワークの推進
22 こころのふれあい交流サロンの推進
23 ボランティア活動の推進
24 京都市福祉ボランティアセンターの運営
25 障害のある子どもたちを支援する総合育成支援教育ボランティア事業の推進<新規・推進中>
26 国際交流の促進
27 障害者団体との協働と支援<新規>

 

(1) 啓発・広報

【現状と課題】

平成18年12月,国連総会本会議において,すべての方に保障される人権が障害のある人にも等しく保障され,障害のある人の社会参加を進めるよう努めることを目指した「障害者権利条約」が採択され,日本は,平成19年9月に署名をしました。

本市においては,これまでから「障害者週間」,「障害者雇用支援月間」,「人権月間」などの機会を利用して,各種の行事を開催するなど,ノーマライゼーションの理念の普及のため,様々な啓発及び広報活動を実施しています。

しかしながら,「障害者生活状況調査」においては,「障害のある人に理解と関心を持つ」,「精神障害やてんかんへの理解」に対する要望が,前回調査よりは低下しているものの,依然として高い比率を占めています。また,平成17年4月に,発達障害のある人に対する生活全般にわたる支援の促進等を図るための「発達障害者支援法」が施行され,発達障害の概念が普及しつつありますが,十分に理解が進んでいるとは言えない状況にあります。

このため,障害の有無にかかわらず,相互に人格と個性を尊重し,支え合う共生社会の理念の普及を図るとともに,障害及び障害のある市民に関する理解を促進するため,幅広い市民参加による啓発活動を強力に推進する必要があります。

 

【施策の方向】
1 「障害者週間」を中心とする啓発活動

障害のある市民もない市民も,すべての市民が日々の暮らしの中で,いきいきとした人生を築くことのできる社会を目指し,「障害者週間(12月3日~9日)」,「障害者雇用支援月間(9月)」,「人権月間(12月)」において,より多くの市民が関心を持ち,多彩な交流を図ることができる各種行事や啓発・広報活動を実施し,障害や障害のある市民に対する正しい理解と認識を一段と深める取組を進めます。

また,人権情報誌「あい・ゆーKYOTO」等において,障害のある市民の人権に関する記事等を掲載し,啓発に努めます。

 

2 「心の輪を広げる障害者理解促進事業」の実施

障害のある市民とない市民との学校や職場,地域活動などの中での心のふれあいの体験をつづった「心の輪を広げる体験作文」や「障害者週間のポスター」を募集し,発表する場を設けるなど,障害のある市民とない市民の相互理解を促進するための取組を推進します。

 

3 障害のある市民の雇用に関する企業啓発

障害のある市民の雇用を促進するため,毎年9月の障害者雇用支援月間に京都障害者ワークフェアを実施するほか,11月に障害のある市民の雇用フォーラムを実施するなど,今後も国や京都府,京都府高齢・障害者雇用支援協会と協力しながら,障害のある市民の雇用の促進に関する啓発に取り組みます。

また,企業向け人権問題情報誌「ベーシック」においても,障害のある市民の雇用の促進に関する記事等を掲載し,啓発に努めます。

 

4 差別禁止の理念の普及・啓発<新規>
改正障害者基本法に差別禁止の条文が盛り込まれたこと,また,国連における障害者権利条約の採択及び日本の署名を踏まえ,市民や市職員に対して法律や条約に関する啓発を行い,理念の普及・啓発に努めます。

 

5 障害に関するシンボルマークの普及<新規>

日常生活の様々な場面において,障害や障害のある市民に対する正しい理解と認識に基づく配慮や協力が得られるよう,とりわけ,聴覚障害や内部障害のある市民については,外見からは分かりにくいため,周囲の理解等が得られにくい状況があることを踏まえ,障害に関するシンボルマークの普及に努めます。

 

6 こころの健康づくりに関する知識の普及

市民がこころの健康に関心を持ち,精神疾患の初期段階において早期に医療に結び付けられるよう,地域で講演会や交流会を実施するとともに,普及や啓発を目的としたパンフレット等を発行します。

 

7 身体障害者補助犬法の啓発

身体障害のある市民の日常生活を支援し,社会参加を促進するため,身体障害者補助犬法で規定されるデパートやレストラン等の不特定かつ多数の人が利用する施設等や,平成20年10月から新たに義務付けられる一定規模以上の民間事業所をはじめ,必要な場所で身体障害者補助犬を同伴して利用することができるよう,法律の趣旨を積極的に啓発していきます。

また,身体障害のある市民や施設の管理者等からの苦情や相談を受け付ける窓口を設置し,相談体制の整備を図ります。

 

 

(2) 権利擁護

【現状と課題】

障害のある市民の権利擁護については,関係する各機関・団体が共通の認識に立って連携し,活動していく体制を構築するため,平成13年1月に関係20団体,学識経験者と本市関係部局で構成する「京都市高齢者・障害者権利擁護ネットワーク連絡会議」を発足し,講演会やシンポジウムの開催,権利擁護施策の重要な柱となる成年後見制度や地域福祉権利擁護事業を分かりやすく紹介したパンフレットを発行するなど,権利擁護を推進する体制整備に努めてきました。また,成年後見制度については,本人又は親族による申立てが困難な場合における市長による申立ての迅速化を図る事務手続を整備するなどの取組を積極的に推進してきました。

「障害者生活状況調査」においては,知的障害児者,精神障害者(通院患者,家族)の3割が,福祉施策への要望として,「障害のある人の権利を守る施策」と回答しているものの,成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の利用されている比率はまだまだ低い状況にあります。今後も引き続き,これら事業の利用促進に向けた啓発活動を行うとともに,障害のある市民の地域生活への移行を促進することにより,更に重要となる権利擁護施策がより利用しやすくなり,権利擁護を実質的に推進していけるよう問題点を検証することが必要です。

 

【施策の方向】

8 高齢者・障害者権利擁護ネットワークの推進

障害のある市民や認知症高齢者が権利を守られ,住み慣れた地域で安心して生活できる社会を築くために,「京都市高齢者・障害者権利擁護ネットワーク連絡会議」において,関係団体の連携の在り方などについて検討を行うとともに,市民や福祉関係職員への啓発を推進するなど,権利擁護に関する関係施策の総合調整及び情報交換等を行い,全市的な権利擁護対策の推進を図っていきます。

 

9 成年後見制度・地域福祉権利擁護事業の利用促進
障害のある市民や認知症高齢者の権利擁護施策の重要な柱となっている成年後見制度と福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理を行う地域福祉権利擁護事業の円滑な利用を促進するために,啓発・広報活動を行うとともに,制度利用上の課題について検討を進め,費用軽減などについて国に対して要望していきます。

また,親族がいないなどの理由により成年後見制度の申し立てが困難な場合,市長が申し立てを行います。

 

10 サービス評価の活用の促進<充実>

事業者が,自らの運営上の課題を的確に把握し継続的に改善を図ることにより,利用者本位の質の高い福祉サービスの提供を実現し,適切な事業運営が行えるよう,サービス事業者における自己評価の実施や,平成17年10月に設立された「京都介護・福祉サービス第三者評価等支援機構」の活用による第三者評価の実施を促進します。

 

11 権利擁護のための相談事業

在宅の知的障害のある市民とその家族を対象として,法律,人権擁護,療育などの専門相談を行う知的障害者専門相談事業を実施します。また,精神障害のある市民を対象として,京都市こころの健康増進センターにおいて財産上の権利侵害などに対応するための法律相談や,各保健所等で精神保健福祉相談を実施するとともに,権利擁護の相談にかかわる各機関が,共通の認識をもって事業の推進を図れるように,緊密な連絡と情報交換を促進します。

 

 

(3) 福祉教育・社会教育

【現状と課題】

子どもたちにとって,「家庭」や「地域」が果たす役割は大きいものがありますが,同時に,「学校」の果たす役割もまた大きいものがあります。家庭・地域・学校がそれぞれの役割に応じた教育責任を果たすとともに,三者が一体となった取組を進める中で,生命や人権,社会的規範を尊重し,お互いを認め,支え合い,共に生きることの大切さを学ぶなど,人権という普遍的な文化の担い手として,子どもたちを育くんでいく必要があります。

また,市民向け公開講座等の実施を通じて,障害や障害のある市民に対する理解を一層促進していくことが重要です。 

 

【施策の方向】

12 公開講座・セミナーの実施

障害のある市民に対する理解を促進するため,地域リハビリテーション交流セミナー等市民向け講座を開催するとともに,京都府をはじめとする関係機関と連携して,手話通訳者,音訳奉仕員,点訳奉仕員,手話奉仕員,要約筆記者,盲ろう者通訳・介助者,障害者スポーツ指導者の養成講座を開催します。

 

13 障害のある人の人権を尊重する教育の推進

学校での人権教育の指針である「《学校における》人権教育をすすめるにあたって」に基づき,各学校で障害についての理解や認識を深める学習を進めるとともに,互いの人権を尊重し合いながら,共に成長し合える態度の育成に努めます。

 

14 福祉教育の推進

小・中学校並びに高等学校の児童・生徒の社会福祉への理解と関心を高めるため,活動の場を学校から地域に広げ,小・中・高・総合支援学校など区域内の学校及び学区社会福祉協議会・福祉施設・ボランティア団体・機関等と連携し,地域を基盤とした福祉教育・ボランティア体験学習にかかわる取組を推進します。

また,中学生がそれぞれの興味や関心に応じて多彩な職場体験活動を行う「生き方探究・チャレンジ体験」推進事業においても,受入事業所の一つとして障害保健福祉施設等の協力を得ており,生徒の社会福祉への理解と関心を高める取組を推進します。

 

15 ボランティア体験活動の推進

平成15年度までに,全小・中学校で「学童・生徒のボランティア活動普及事業」に取り組んでおり,その成果を踏まえ,関係団体との協働による「福祉教育・ボランティア学習協働実施モデル校事業」を毎年20校程度で展開するとともに,平成17年度まで取り組んでいた小・中学生が主体的に地域活動への参加を図る「ふれあいキッズ」の成果を生かし,児童・生徒がより幅広い分野・事業で活動できるよう各学校で取組を進めます。

 

16 障害のある市民の自立と社会参加を支援する社会教育の推進

すべての人が等しく参加し,支え合って生きていくノーマライゼーション社会を目指し,障害のある市民が参加できる生涯学習講座の開催等,学習機会を充実します。また,生涯学習講座等における手話通訳者,要約筆記者の配置,図書館での録音図書等の貸出,対面朗読等の実施など,参加できる条件の整備を推進します。

 


 

(4) 協働と交流

【現状と課題】

障害のある市民もない市民も誰もが誇りを持って,いきいきと満足度の高い生活を送るためには,地域の人々との協働やボランティア活動等により,住み慣れた地域社会の中で積極的に社会参加できる場や機会が得られ,幅広く交流が図られることが大切です。

これまでにも,市政への市民参加を促進する仕組みづくりや「京・地域福祉推進プラン」(平成16年3月策定)に基づく福祉ボランティア活動の推進を図るとともに,「京都市福祉ボランティアセンター」において,福祉ボランティア活動やボランティアグループへの支援を積極的に行ってきました。

今後とも,ボランティア等の市政への幅広い参加を推進し,市民活動やボランティア活動とのより一層の協働を図るとともに,これらの活動に対して支援することにより,すべての人の社会参加を通じて,障害や障害のある市民への理解を促進していく必要があります。   

 

【施策の方向】

17 地域交流への参加促進<充実>

地域住民,社会福祉協議会や保健協議会などの保健福祉団体,民生委員・児童委員,ボランティア,医療機関や社会福祉事業者,障害のある市民の団体等との連携を強めることにより,地域社会全体で支援の必要な人の生活を支える地域コミュニティの活性化を図り,障害のある市民の地域交流への参加を促進します。

また,障害のある市民が,地域の学校を訪問し児童・生徒との交流を図ったり,講演会等の講師に登用することで,障害のある市民の自立と社会参加を促進するとともに,障害や障害のある市民への理解と認識を深める取組を促進します。

 

18 「ふくふくフェスタ」の開催

「ふくふくフェスタ」において,ほっとはあと製品の展示・販売,また啓発パネルやポスター,障害のある市民の芸術作品を展示し,障害のある市民に対する理解を深め,市民との交流を促進するとともに,障害のある市民の文化・芸術活動の振興を図ります。

 

19 障害のある市民の交流の促進

地域で生活する障害のある市民の交流を促進するとともに,障害のある市民もない市民も,気軽に談話したり,活動ができる場として,身体障害者リハビリテーションセンターに設置した「ふれあいコーナー」を,地域で生活する障害のある市民の交流促進に活用します。

 

20 こころの健康支援パートナーの活動の推進

地域で生活する精神障害のある市民を支えるとともに,その活動を通じて効果的な啓発を進める「こころの健康支援パートナー」に対して,研修等を実施し,活動の活性化を図ります。

 

21 こころのふれあいネットワークの推進

地域住民団体や関係団体,施設,医療機関,保健所及び福祉事務所などの関係機関等の各行政区ごとのネットワークである「こころのふれあいネットワーク」の更なる充実を図り,情報交換や地域への啓発活動,精神障害のある市民などに対する支援活動を展開します。

 

22 こころのふれあい交流サロンの推進

精神障害のある市民もない市民も,誰もがこころのバリアを取り除き,地域で共に生活し,集い,ふれあう場所として,地域住民やボランティアと共に気軽に交流できる「こころのふれあい交流サロン」の充実を図り,精神障害のある市民の自立と社会参加を一層促進します。

 

23 ボランティア活動の推進

福祉ボランティアに関する情報の収集や提供,ボランティア団体情報の登録や活動情報の発信等ができる情報システムの運用により,充実したボランティア活動を支援するとともに,「京(みやこ)・地域福祉推進プラン」に基づき市民活動・ボランティア活動と協働した取組を推進します。

 

24 京都市福祉ボランティアセンターの運営

市民の福祉ボランティア活動を総合的に支援する中核施設として「京都市福祉ボランティアセンター」を運営するとともに,行政区域における福祉ボランティア活動の拠点である「区ボランティアセンター」の運営を支援します。

 

25 障害のある子どもたちを支援する総合育成支援教育ボランティア事業の推進<新規・推進中>

総合育成支援教育ボランティア事業として,ボランティア養成講座を実施するとともに,講座修了者を対象に学校・園でのボランティア活動を促進し,障害のある子どもたちの学習活動や学校生活を支援しており,今後とも,取組を積極的に推進します。

 

26 国際交流の促進

京都市が文化首都として国際社会において幅広く国際交流を広げていくなかで,障害のある市民が幅広くその交流に参画できるよう,市民・民間団体等による自主的な交流活動を促進します。

 

27 障害者団体との協働と支援<新規>

障害のある市民が,お互いの悩みを相談したり,話し合う場を持つことは,社会参加や自立の促進に非常に大きな効果があり,そうした中で障害者団体や家族会の果たす役割は大変重要です。そのため,障害のある市民やその家族等で構成される団体の活動が活発に行われるよう,障害者団体等との協働をより一層進め活動の場を広げるとともに,障害のある市民等に対して団体等に関する情報提供に努めるなどの自主的な取組への支援を行います。

 


 

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お問い合わせ先

京都市 保健福祉局障害保健福祉推進室

電話:075-222-4161

ファックス:075-251-2940

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