制定記念の集い 報告2/市民憲章への思い
ページ番号5442
2022年12月26日
平成19年2月24日 子どもを共に育む「市民憲章」制定記念の集い 報告2
市民憲章への思い
藤原氏
まずパネリストの皆様から市民憲章への思いなどをお話し願います。
久保田氏 大人の行動の見直しを
昨年、人づくり21世紀委員会から京都市へ、子どもの命にかかわる緊急課題からの「提言」を提出した同じ会場で、ここに市民憲章として生まれ変わったことをご報告でき感無量です。
緊急課題へのアプローチは、「なぜ子どもたちの中でこのようなことが進行しているのか」、その中で、私たちは法さえ犯さなければ何をやってもいいという社会風潮と、それを是認している大人たちの姿に直面し、子どもたちの現状は、そうした社会・大人への警告だと受け止めました。その現状に対して、法・システム整備は重要ですが、何より、私たちはどうしていくのか、そのことが大切だという結論に至り、その思いは、憲章に引き継がれたと思います。この憲章は、正に、私たち市民のそうした思いの積み上げの中で生まれ、だからこそ重みもあると思います。
中川氏 子どもの遊びや交流を取り戻す
児童館・学童保育の現場で子どもと接してきて、子どもにとって大事な「遊び」、特に集団での年齢を越えた遊びが地域で少なくなっていると実感しています。また、子どもたちが地域で様々な人と出会い、体験を共有する「交流」が、核家族化、地域社会のつながりの希薄化の中で少なくなっています。
子どもの世界にいじめや引きこもりが起こる背景として、子どもが成長して社会へ出ていくために大切な遊びや交流の経験が減ったことが関係していると危惧(きぐ)しています。市民憲章を契機に、大人が責任を持って子どもの生活に大事なものを取り戻していくべきです。
西岡氏 生涯学習で子どもを育む社会に
生涯学習を研究している観点から言うと、京都には正に生涯学習の実践があります。
生涯学習社会は、人間が成長する能力を最大限に達成する社会であり、学歴や財産など何かを持つ関係から、人と人が互いに成長する関係へと変わらなければなりません。そういう社会をつくるためには、それぞれの地域の市民や様々な団体の学習が必要なのです。
人づくり21世紀委員会が、大人の学びと行動によって子どもたちや社会を変えようとし、このたびの市民憲章は、家庭、地域、企業、行政などすべての団体が共に成長して変わろうとするものであり、世界が目指す生涯学習を実践しようとしていると思います。
奥野氏 子どもに本物を、大人が手本に
私はシンクロナイズドスイミングでオリンピックに出たわけですが、子どもの頃に通っていた水泳教室で世界チャンピオンの泳ぎや雰囲気を五感で感じたことが、オリンピックを目指すきっかけになりました。「本物」に触れることが夢や目標につながります。
京都に生まれ育ち、家から学校へ行く途中で近所の大人に声を掛けてもらいましたが、最近はそんなことも減り、核家族が多い中、この市民憲章ができて、市民全体で子どもを見守り育てる気運が高まればよいと思います。憲章に書かれている当たり前のことを私たちが実行し、大人が子どもの手本となる社会にしていくべきです。
井村氏 人間の心を社会全体で育てる
科学者として、医学部の教師として、未来を生きる人を育てられたかと自問しています。
日本は戦後の荒廃から昭和30年代以降に経済や科学を発展させて生活が楽になった陰で、人をどう育てるか、日本人の道徳はどうあるべきかをあまり考えてこなかったと思います。
そして、科学技術は重要ですが、今後は型にはめる教育よりも多様性を生かす教育が大切であり、科学技術を使う人間の心を育てること、思いやりや礼儀を社会全体で教育し直すことが必要です。天然資源の少ない日本で未来の人材を育てるために、この憲章の実現を皆で考えましょう。
藤原氏
パネリストの皆様のご発言への感想等も含めて柳田先生に一言お願いします。
柳田氏 身近な行動から、隗(かい)より始めよ
作家活動で「命」の問題をテーマにしてきて、近年の核家族化による家族文化の断絶、最近の携帯電話やインターネットへの依存に危機感を持ってきましたが、このたび京都市での子どもを育む市民憲章による取組は、身近な行動から改めていく感銘深いものです。
子どもの遊びを推奨し、テレビやゲームではなく、絵本とスキンシップで心を育てるなど、憲章をもとに、隗かいより始めることが大切でしょう。
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