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京都市防災対策総点検 最終報告

ページ番号117102

2012年3月16日

防災対策総点検について

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東日本大震災は,東北地方を中心に未曾有の被害をもたらし,その影響は日本のみならず全世界に影響を及ぼすこととなりました。

京都市では,東日本大震災で浮き彫りとなった課題を精査し,これまでの京都市の防災対策を見直し,京都市で大地震が発生した際の対策に活かすべく,京都市防災会議の元に「京都市防災対策総点検委員会」を設置し,学識経験者,市民,防災関係機関,そして本市実務担当者を交えて議論を行ってまいりました。

京都市防災対策総点検委員会の枠組み
審議の経過

実 施 日

会 議 名 称

主 な 審 議 事 項

平成23年
 5月13日

第1回京都市防災会議

・ 京都市の防災対策の総点検

 6月22日

第1回防災対策総点検委員会

・ 防災対策事業に係る各局の取組状況

・ 防災対策に関する検討事項及び今後の進め方

合同検討部会

・ 各部会の主要課題
・ 今後の検討日程及び進め方

 7月 5日

被災者支援第二検討部会

・ 物資調達 ・ 輸送

 7月11日

被災者支援第一検討部会

・ 避難所対策1

 7月13日

京都市防災会議専門委員会

・ 京都市第3次地震被害想定内容の点検
・ 原子力発電所事故等に伴う京都市としての対応

 7月19日

都市基盤検討部会

・ ライフライン

 7月22日

被災者支援第二検討部会

・ 情報通信手段

 7月29日

被災者支援第一検討部会

・ 観光客対策1

 8月 2日

都市基盤検討部会

・ 住宅・建築物 ・ 道路・橋りょう・公園
・ 本市施設

 8月 5日

被災者支援第二検討部会

・ 産業・就労対策

 8月 8日

被災者支援第一検討部会

・ 避難所対策2

 8月29日

第2回防災対策総点検委員会

・ 防災対策総点検中間報告(案)とりまとめ

 9月 9日

被災者支援第一検討部会

・ 防災訓練 ・ コミュニティ

 9月12日

都市基盤検討部会

・ 公園 ・ 道路・橋りょう

 9月14日

被災者支援第一検討部会

・ 要援護者対策 ・ プライバシー

 9月16日

都市基盤検討部会

・ 文化財 ・ 密集市街地・細街路対策

 9月16日

被災者支援第二検討部会

・ 災害廃棄物

11月 2日

被災者支援第二検討部会

・ 防災教育,就労支援

11月 4日

被災者支援第一・第二合同検討部会

・ 要援護者対策 ・ 医療・救護・衛生

11月 7日

都市基盤検討部会

・ 液状化等地盤災害対策

11月 9日

都市基盤検討部会

・ 橋りょう ・ 復旧・復興対策

11月10日

被災者支援第一検討部会

・ 観光客対策2 ・ 総括

11月16日

京都市防災会議専門委員会

・ 原子力発電所事故に係る防災対策
・ 水災害に関する今後の対応

12月14日

第3回防災対策総点検委員会

・ 防災対策総点検最終報告書(案)とりまとめ

12月14日

第2回京都市防災会議

・ 防災対策総点検最終報告書提出

最終報告

半年間にわたって防災対策に関する様々な議論を重ねてきた結果,12月14日第3回防災対策総点検委員会において,今後京都市が行うべき事項として約130項目の提言からなる最終報告を取りまとめていただきました。

この最終報告に基づき,より「災害に強いまち・京都」の実現を目指して,具体的な防災対策の推進に市民の皆様とともに取り組んでまいりますので,御理解と御協力をよろしくお願いします。

現在の進捗状況については,以下のページを御覧ください。

京都市防災対策総点検の進捗状況について(https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000211067.html

 

京都市防災対策総点検 最終報告(全文)

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防災対策総点検最終報告所及び概要版表紙

京都市防災対策総点検 最終報告(概要版パンフレット)

提言項目

課題領域Ⅰ「ひと」

この領域では,避難所の開設・運営,防災訓練,要援護者対策,ボランティア,コミュニティ,観光客・帰宅困難者対策といった課題について検討されました。

避難所の開設・運営

 避難所は,災害発生後に情報の拠点や救援物資の集約地となり,在宅被災者も含めすべての住民にとっての生活拠点となる。この運営に関しては,原則として地域住民による迅速な開設や自主的運営を目指し,行政がそのサポートをする方向で検討すべきである。

【今後取り組むべき事業】

  • 避難所開設,運営時に必要な物品,書類等の配備,備蓄
  • 各地域の実情に応じた「避難所運営マニュアル」の作成に向けた取組の推進
  • 避難所運営や復旧・復興施策の検討等における男女共同参画の推進
  • 在宅の要援護者の支援方法の検討
  • 災害時に集客施設,企業,学校等から多くの市民等が最寄りの避難所へ移動してくる事態への対応検討
  • 避難所運営に関するボランティア組織との連携の強化
  • 避難者名簿の作成に関する具体的手法の検討
  • 各地域における専門知識・技術を持った人材の把握及び体制づくり
  • 外国籍市民等への対応のための関係団体等との連携推進
  • 避難所内の安全を守るための警察機関との連携強化
  • 避難所(指定数,所在地,機能等)に関する検討
  • 避難所生活が長期化する場合のホテル,旅館,空き家等の利用の検討
  • 福祉避難所,救護所,遺体安置所等の検討
  • 避難所の非常用電源の確保(情報機器用,携帯電話の充電,夜間照明の確保等)
  • 避難所のプライバシーの確保
  • 避難所施設のバリアフリー化の推進
  • 公共下水道を利用した災害用マンホールトイレの整備
  • 災害時協力井戸及び防災スクールウェル(学校井戸)の拡充,公衆浴場等との連携強化による生活用水の確保

防災訓練

 避難所の開設・運営が地域住民主体でスムーズに行えるようになるため,避難所の解錠時点から避難者名簿の作成,避難所内の区割り振り,避難所での宿泊等も含めた具体的な訓練を実施していく必要がある。

【今後取り組むべき事業】

  • 課題や問題点を抽出するとともに,関係住民の教育・啓発の機会として行う防災訓練の継続実施,参加者に「わがこと意識」を高めてもらえるような訓練内容の工夫
  • 避難所の開設・運営に係る具体的な訓練の実施
  • 観光客・帰宅困難者を対象とした訓練の実施
  • 訓練の実施により避難がうまくいった事例等の情報発信の推進
  • 市民防災センター,消防活動総合センター等の施設の一層の活用促進

要援護者対策

 要援護者に関しては,今後,各福祉施設等との協定の締結等,福祉避難所の指定に向けた取組を進めるとともに,物的・人的資源の確保に加え,どれくらいの要援護者を,どれだけの期間福祉避難所で受け入れることが可能か,また,福祉避難所から出た後にどういった場所で対処するかなどについて検討しておく必要がある。

【今後取り組むべき事業】

  • ケアマネジャーや医師,保健師等の専門職と地域との連携強化,医療・福祉等関係施設が相互に連携した対応の充実
  • 福祉避難所の指定に向けた取組の推進
  • 学校等の避難所への福祉避難所機能の併設に関する検討
  • 在宅の要援護者に対する支援方法の検討
  • 災害時要援護者名簿を平常時から各種地域団体と共有するための具体的検討
  • 要援護者支援に関する地域と行政の役割分担の明確化,誰が各要援護者を支援できるかの検討等

 

ボランティア

 ボランティア活動は,被災地のニーズとボランティアとをつなぐコーディネーターの存在が不可欠であり,東日本大震災では,京都府と京都市が共同して京都災害ボランティア支援センターが設けられ,被災地の応急復旧等に重要な役割を果たしている。

【今後取り組むべき事業】

  • 京都市及び各区の災害ボランティアセンターの活動拠点となる場所,資器材等の確保,人材の育成等一層の充実
  • 各区と災害ボランティアセンターの連携が図れるよう,平常時から社会福祉協議会等の団体との協力,連携の推進

 

コミュニティ

 平成24年4月から施行される「京都市地域コミュニティ活性化推進条例」により,地域コミュニティの活性化が図られるとともに,防災活動の一層の日常化が進み,各地域の総合的なまちづくり活動と連携して広がっていくことを期待したい。

【今後取り組むべき事業】

  • 「京都市地域コミュニティ活性化推進条例」に基づく住宅関連事業者との協働の取組の推進
  • 地域コミュニティの活性化に関する相談に対する情報提供・助言,専門家の派遣,広報・啓発等による地域コミュニティの活性化及び防災活動の日常化の促進

 

観光客・帰宅困難者対策

 観光都市・京都としては,災害時にも観光客を大切にし,温かく受け入れるまちであるという姿勢を明確にするとともに,特に発災直後における具体的な取組等を検討し,推進していく必要がある。

【今後取り組むべき事業】

  • 京都市内の観光客の所在データに関する把握方法の検討
  • エリアメール,ツイッター等多様な情報提供手法の検討
  • 「京都どこでもインターネット(仮称)」整備による災害関係情報の提供
  • 京都の観光地図やパンフレット等への災害関係情報の記載
  • ホテル,旅館や観光業界,商店街等との情報連絡体制の整備
  • 商店街,タクシー業界,宿泊施設等との協定締結による情報提供の拡充及び情報収集体制の整備
  • 修学旅行生の安否確認等に関する検討(修学旅行生用ホームページの活用を含む)
  • 観光客向けの情報提供,一時的滞在等のサポートを行う防災中継拠点の設置検討
  • 観光客の移動の際のコンビニエンスストア,ガソリンスタンド,ホテル等への協力要請
  • 近隣都市から京都市へ住民が避難する場合や広域交通手段が利用できない場合等を想定した対応方法の検討
  • 帰宅困難者の対応として,ホテル・百貨店・事務所・工場・大学等のネットワーク会議設置による業態ごとの指針策定と実践の支援,他の事業者への普及
  • 神社・寺院等への一時的退避場所に関する協力要請,交通事業者との連携などの実施
  • ターミナル,駅周辺施設が一体となった防災対策の強化
  • 観光客・帰宅困難者を対象とした訓練の実施(再掲)

課題領域Ⅱ「情報・手段」

 この領域では,情報,医療・救護・衛生,廃棄物処理,オープンスペース,物資調達・輸送,防災教育,産業・就労といった課題について検討されました。

情報収集・伝達

 災害発生時には,行政による迅速かつ的確な情報提供が市民の命や暮らしを守るために不可欠であり,避難所や避難場所に関する情報や各種被害に関する情報等の発表も必要である。

【今後取り組むべき事業】

  • 携帯電話のデータ通信を利用した情報提供拡充手法の検討
  • マスメディアとの一層の連携の促進
  • 商店街,タクシー業界,宿泊施設等との協定締結による情報提供の拡充及び情報収集体制の整備(再掲)
  • 障害者,高齢者等への情報伝達手法に関する一層の検討
  • 外国籍市民等へ情報が迅速・的確に届く仕組みの充実
  • 防災ポータルサイトの開設による情報提供の促進
  • 防災ポータルサイトの活用による市民,関係機関等との情報の相互共有のための手法等の検討

医療・救護・衛生

 災害発生時において,医療チームの派遣調整体制を迅速に立ち上げ,地域の医療ニーズに応じて的確に運用していくためには,様々な医療関係団体等との密接な連携が不可欠であり,平常時から,情報連絡手法や広域応援体制等について,検討を進めていくことが重要である。

【今後取り組むべき事業】

  • 医療チームの派遣調整体制の迅速・的確な運用に向け,京都府及び医療関係団体等との連携方法等に関する協議,情報連絡手法・広域応援体制等の検討・推進
  • 災害発生後に受診可能な医療機関に関する市民への情報伝達手法の検討
  • 医薬品,医療用材料,衛生用品の確保
  • 重篤患者等の移送や,患者の医療に関する情報の伝達手法等の検討

廃棄物処理

 京都市内では,市内のオープンスペース自体の少なさ等もあり,災害廃棄物の仮置場や集積場所,さらに最終処分場をいかに確保するかなどの課題がある。

【今後取り組むべき事業】

  • 災害廃棄物の仮置場,集積場所,最終処分場の確保に向けた検討
  • 京都市災害廃棄物処理計画及び災害廃棄物処理実践行動マニュアルの改訂の検討
  • 処理施設の機能停止等の最悪の事態を想定した対応の検討
  • 仮置場の想定・整備・運用,避難所のごみ収集等,東日本大震災の発生直後に京都市職員が仙台市で活動した経験を生かした災害廃棄物処理対策等の検討

オープンスペース

 京都市内には,オープンスペースが非常に少ないのが現状であり,災害発生時に多目的に使用できる用地はかなり限られている。

【今後取り組むべき事業】

  • 国有地や民有地の活用等も含め,オープンスペース確保のための方策に関する検討の推進

物資調達・輸送

 物資に関しては,平常時に備蓄しておくべきものに関する課題と,災害発生時に必要な物資をどのように調達し,いかに迅速に物資を必要とする住民等に輸送・配分するかという二つの面での課題がある。

【今後取り組むべき事業】

  • 行政の備蓄のあり方(備蓄品目,備蓄量,保管場所,管理,配送方法等)に関する検討
  • 職員用・スタッフ用の食料,飲料水等の確保
  • 災害対応のためのガソリン,バックアップ電源,各種緊急用機材の確保
  • 関西圏の各政令市と分担しての食料,飲料水等の備蓄方法の検討
  • 企業,各種団体等への備蓄促進の要請
  • 全国レベルの輸送事業者に加え,京都市内の交通事情に精通した事業者との協力関係の構築推進

防災教育

 防災教育・防災訓練は,子どもだけを対象にしたものではなく,家族,さらには地域コミュニティも含めて,生涯学習の観点から取り組むべきものである。

【今後取り組むべき事業】

  • 地震だけでなく水災害等も含めた防災に関する教育の一層の充実
  • 児童・生徒の発達段階に応じた防災教育の充実
  • 各地域の災害上のリスクを高齢者等から聴取し,知識の共有化を図る取組の推進
  • 防災担当部局等との連携による学校現場への防災関係情報の提供,防災訓練等の実施
  • 市民防災センターの利用促進と多様な教育機会の拡充

産業・就労

 今回の大震災では,京都市が被災していなくても,経済面でかなりの影響を受けることが明らかになったことから,京都市としては,国・府や経済団体等と連携して,中小企業等に対して災害発生後の経済活動の動向等に関する情報提供を進めることが必要である。

【今後取り組むべき事業】

  • 中小企業のBCP(事業継続計画)の普及,策定支援
  • 経済団体や産業支援機関と連携したワンストップ相談窓口や企業に対する災害発生後の経済活動の動向等に関する効果的な情報提供のあり方検討,推進
  • 被災の影響を受けた中小企業に対する金融支援をはじめとした経営支援の速やかな実施
  • 各種組合等による地域間協定締結の支援に関する検討
  • 「キャッシュ・フォー・ワーク」として,経済活動に依存しない迅速な被災者雇用の場の創出・確保に関する検討,推進
  • 国内外への京都は安全という情報発信,各種観光イベント・キャンペーンの推進
  • 近隣地域が被災した場合の京都市域の宿泊施設の活用方策等の検討
  • 市内農地のオープンスペースとしての活用方法検討

 

課題領域Ⅲ「もの」

 この領域では,住宅・建築物等,道路・橋りょう・公園・河川・排水機場,文化財,液状化対策,ライフライン,復旧・復興といった課題について検討されました。

住宅・建築物等

 今後,公民一体のネットワークと地域の主体的なまちづくりの活動を基盤として,特に密集市街地や細街路における木造住宅の耐震性能と地域の防災性能を向上させる住宅改修を促進させる必要がある。

【今後取り組むべき事業】

[住宅・建築物]

  • 公民一体となった耐震ネットワークによる実質的に耐震改修が行われるような促進策の実施
  • 耐震性を確実に向上させる工事をメニュー化し,簡便な手続きで助成申請ができる「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業」(仮称)の実施
  • 地域におけるローラー作戦等による市民等への普及啓発の実施
  • 密集市街地や細街路における地域のまちづくりの取組と連携した,避難経路の確保や地域の防災性能を向上させる住宅改修の促進
  • 緊急輸送道路沿道の特定建築物に対する耐震改修支援制度の創設
  • 特定建築物の所有者・管理者への普及啓発の実施
  • 防災活動拠点施設,要配慮者利用施設,不特定多数利用施設における計画的な耐震化の実施

[市建築物]

  • 京都市の各種施設に係る防災面からの役割,機能等の再検討
  • 危機管理センター(仮称)の設置に向けた検討
  • 市役所庁舎の早急な耐震改修等の推進
  • 大地震等で市庁舎が使用できなくなった場合に庁舎機能を移転する場所等に関する具体的検討
  • 災害時における京都市の各業務の優先度整理,業務継続体制及び職員配置等を定めた業務継続計画(BCP)の策定

[密集市街地・細街路対策等]

  • 細街路の実態調査の推進とデータベース化の推進
  • 住民・事業者等のニーズを踏まえた実効性のある施策を進めるための基本方針の策定
  • 密集市街地や細街路の特性に応じた建築物の耐震・防火改修等ハード施策と継続的なまちづくり活動の推進等ソフト施策の実施・充実
  • 新重点密集市街地において,地域のまちづくりの取組と連携して,地域の防災機能向上のための重点的かつ特別な対策の実施
  • 細街路の特性に応じて,避難経路の確保,沿道建築物の防災性強化,3項道路の活用など,歴史都市に相応しい総合的な細街路対策を推進

[宅地対策]

  • 盛土造成地のうち宅地造成等規制法に基づく土地の抽出調査及び結果の情報提供
  • 地図に関する共通のプラットホーム等の整備,市民への情報提供の促進

[急傾斜地崩壊対策]

  • 災害時要援護者関連施設に近在する急傾斜地崩壊危険個所の対策を京都府と連携して実施
  • 古都保存法に基づく買入地等の急傾斜地で崩壊の危険がある箇所に係る基礎調査や斜面地防災対策の実施

道路・橋りょう・公園・河川・排水機場

 道路,橋りょう,公園等は,災害時の避難・救援,その後の復旧・支援活動の要となる都市基盤施設であり,その役割は極めて重要である。厳しい財政状況等の課題はあるが,計画的・効率的な防災対策の推進に向けて,より一層の取組強化を図らなければならない。

【今後取り組むべき事業】

[道路]

  • 通行止をできるだけ短時間で解除するなど道路機能の早期回復の視点を取り入れた防災カルテの見直しや,緊急性を考慮した優先路線の設定など重点化した山間部の道路における防災対策の一層の取組強化
  • 京都市公共物GISを活用した防災点検パトロールの効率化

[橋りょう]

  • 「いのちを守る 橋りょう健全化プログラム」に基づく耐震補強,老朽化修繕のスピードアップ

[公園]

  • 防災施設としての位置付けを明確化した公園の新設及び再整備の推進
  • 公園内の防災ベンチやかまどベンチ,マンホールトイレ等の積極的整備
  • 防火水槽の不足している地域には,公園内設置の推進

[河川]

  • 下水道施設整備と連携した効率的・効果的な河川改修の一層の推進
  • 雨水調整池など雨水流出抑制対策の推進

[排水機場]

  • 排水機場の長寿命化計画策定等による円滑な整備・更新の推進
  • 道路のアンダーパス部の排水施設の維持管理,機能向上の推進

文化財

 防災の取組で重要なのは,人の命を守ることであるが,京都市においては,文化財を守ることも非常に重要であり,文化財の存在を抜きにして京都のまちは考えられないと言っても過言ではない。

【今後取り組むべき事業】

  • 文化財の自動火災報知設備,避雷設備,防災水利等の整備
  • 文化財建造物の耐震診断・耐震性能向上のための取組の推進
  • 美術工芸品の展示物や収蔵品の転倒防止対策の推進
  • 災害発生時の文化財関係の行政機関相互の情報共有の一層の推進

液状化対策

 東日本大震災では,東北地方みのならず,関東地方の各都県においても,広範囲の地域で液状化現象が発生しており,京都市域でも,過去の地震等による被害状況も検証しながら,液状化の危険性について考えていくことが重要である。

【今後取り組むべき事業】

  • 京都市域で液状化の危険度の高い地域等の調査,分析等の推進
  • 東日本大震災の経験を踏まえたライフライン対策などの効果的施策の検討,推進

ライフライン

 ライフラインとしての電気,ガス,電話・通信,上下水道等は,市民の命を守るためにいずれも非常に大切なものであり,施設の耐震化とともに,災害発生時においては特にその機能の早急な復旧や、復旧までの間の代替手段の確保等も求められている。

【今後取り組むべき事業】

  • 京都市及びライフライン各事業者間の情報共有,連絡手法の具体的検討
  • 的確な復旧要請をするためのライフライン復旧の優先順位の考え方の整理
  • 上水道:老朽化した施設・配水管路の更新等による耐震化の促進
  • 下水道:緊急輸送路下や避難所からの排水を受ける重要管路の耐震化の促進
  • 避難場所等への公共下水道を利用した災害用マンホールトイレの整備推進
  • 防災関係機関や病院,避難所等における通信手段及び電源,熱源の確保対策の推進
  • 東南海・南海地震等広域災害時に他からの応援が期待できない事態への対応
  • 孤立対策事業と連動した北部山間地域の備蓄及び通信対策の推進
  • 家庭,事業所,地域,京都市のそれぞれの役割に基づく命の水を確保する施策の推進
  • 駅での帰宅困難者対策の検討,避難訓練の実施推進

復旧・復興

 仮に京都市域が大規模地震等に見舞われた場合,その後の京都のまちの復旧・復興に向けたプランニングを,幅広い観点から検討していく必要がある。

【今後取り組むべき事業】

  • 復興計画策定の際に必要な京都の目指すべき都市像等に関する議論,検討

原子力発電所事故対策

  • 若狭地域で大規模地震などの事態が発生した場合でも的確に対応できるように準備しておくということを前提に,京都市の原子力発電所事故対策を進めていくことを基本認識とする。
  • 現在,京都市は原子力発電所事故を想定した地域防災計画は策定していない。一方,国においては,防災指針の見直し作業が進められており,UPZを概ね30キロメートルする概念が示されている。
  • このUPZが導入されれば,左京区北部の山間部の一部が大飯原子力発電所の30キロメートル圏内に入ることから,京都市も原子力災害対策特別措置法に基づき,地域防災計画原子力災害対策編の策定が義務付けられこととなる。
  • 防災指針見直しの結論が出される時期は来年度以降になる見込みであるが,147万市民の安心・安全の確保を使命とする京都市としては,国や府の見直し結果を待つことなく,導入が検討されているUPZ,概ね30キロメートルを想定して,緊急的に取り組むべき対策を,京都市原子力発電所事故対応暫定計画として取りまとめる。

地震被害想定の見直し

  • 京都市は,東南海・南海地震等の震源域から離れていることもあり,こうした海溝型地震よりも都市直下型地震の方が危険である。
  •  京都市第3次地震被害想定は,平成15年に策定されたもので京都盆地の地下構造の3次元モデルによる被害予測を行い,・花折断層,・桃山~鹿ケ谷断層,・宇治川断層,・樫原~水尾断層,・光明寺~金ヶ原断層,・有馬・高槻断層系,・黄檗断層,・琵琶湖西岸断層系の各内陸直下型地震と南海・東南海地震を想定している。
  • この被害想定は,時系列の被害予測等も織り込んだ発災後のシナリオを各断層の地震別に取り入れるなど,きわめて先進的な内容であり,今日においてもその内容は概ね妥当なものである。京都市もこの想定に基づいて地震への各種対策を進めてきており,東海・東南海・南海地震の同時発生を想定した被害想定については,国等の検討状況に即して見直していく必要があろうが,直下型地震の被害想定に関する大きな見直しは必要ないと判断できる。

【今後取り組むべき事業】

  • 東海・東南海・南海地震の同時発生を想定した被害想定の見直し検討

 

京都市民に期待すること

~防災の取組は,人としてお互いに助け合うことから始まる~

 防災の取組は,市民一人一人が地震や水害等に関する意識を高め,知識を得て,こうした被害を少しでも軽減できるよう平常時から訓練などの各種の対策を進めておくことが必要であるが,もう一つの大切な取組がある。それは,人として,お互いの存在を認め合い,災害発生時には,各地域や組織等さまざまなかたちで,相互に助け合えるつながりを持つということである。

 災害で被害を受けた人がいる時,その人の悲しみ,つらさなどに思いを致し,その中から,何かその人の役に立ちたい,支援の手を差し伸べたいと考え,行動することは,人としてごく当たり前の対応であろう。こうした支援の輪が着実に広がり,地域間,学区間,行政区間,自治体間など多様なレベルで広がっていけば,それは非常に大きな力となる。

 京都市においても,仮に花折断層を震源とする地震が発生すれば,甚大な被害が発生する可能性のある京都市東部や北部の市民に対して,被害が比較的少ないとみられる京都市西部の市民が支援することが可能であろうし,樫原~水尾断層を震源とする地震発生の場合は,京都市東部の市民からの支援が期待される。

 これは,京都市域外で災害が発生した場合に,その被災地,被災者を京都市や京都市民が支援することと同じであり,こうした互いの助け合いを広げていくことが,防災関係の取組には欠かせない。

 阪神淡路大震災では,家屋の倒壊により自力で脱出できなかった約3万5千人の市民のうち,消防・警察・自衛隊など公的機関で救助できたのは7,900人だったのに対し,全体の8割近い2万7千人を近隣の住民が助け出している。災害においてバイスタンダーの力,いわゆる「御近所の底力」は,人命救助を専門とする機関よりも,強力であることが証明されている。

 また,東日本大震災においても,互助ということの意味,役割等を改めて深く知らされることとなった。「釜石の奇跡」として,同市の小中学生が互いに協力し合いながら高台へ避難し,被害を最小限にとどめたことは,今後に光明と展望を抱くことのできる出来事であった。防災関係施策の一層の充実と併せ,人としてお互いに助け合うことの意味,意義について今一度考えたい。京都市の関係部局が実施している防災に関する講座や各種事業に参加するのも一つのきっかけとなろう。こうしたことから,広がりと奥行きを持った防災の取組が着実に進むものと確信する。

お問い合わせ先

京都市 行財政局防災危機管理室

電話:075-222-3210

ファックス:075-212-6790

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