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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.9(平成30年12月号)(HTML版)

ページ番号244281

2018年11月15日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.9(平成30年12月号)

輝きピープル タレント・エッセイスト 小島慶子さん

時代の空気が変わってきた今こそ,学び直すチャンスです。

  アナウンサーとしてテレビ局に勤務し,数多くのテレビやラジオに出演,独立してからはエッセイストとしても活躍中の小島慶子さん。その鋭い考察は多くの人からの共感を呼んでいます。昨今,改めて世界的に注目されている「セクシュアル・ハラスメント」の問題についてお伺いしました。

――ソーシャルメディアを通じて世界中に拡大した「♯MeToo運動」をはじめ,日本でもセクハラ被害の告発が大きく報道されましたが,ここ数年のこうした動きをどう見ておられますか?

    「セクハラ」という言葉が流行語大賞の新語部門・金賞に選ばれたのは1989年(平成元年)。私がテレビ局に入社したのは1995 年ですが,当時はまだ被害に遭っても自分が気にし過ぎなのではないかと泣き寝入りすることがほとんどでした。
    ようやく2017年になって,「♯MeToo運動」が世界的に広がり,日本でも女性記者がセクハラ被害を告発するといった動きが出てきました。これまで我慢していた人,見逃していた人や笑って済ませていた人の間でも「『こんなことはやめよう』と言ってもいいかな」という空気が生まれ,明らかに以前とは感覚が変わってきたと思います。

――ただ,セクハラを受けた人が被害を訴えることで逆に責められるという二次被害も見られます。セクハラに潜む問題とは何だとお考えでしょうか?
   まずセクハラというのは,セクハラを受けたと感じた人がいることから始まる問題です。
   どんなハラスメントでも同じことが言えますが,この原則を忘れてはなりません。権力を持っている人が自分の立場に無自覚な場合,「そんなつもりじゃなかった」と言い訳することがありますが,ハラスメントかどうかは両者のパワーバランスを考慮して客観的に判断されるべきものです。弱い立場の人は,権力のある人から言われたら対応せざるを得ないことが多々ありますので,自分の立場をよく意識することが大切ですね。
   また,セクハラを受けたかどうかは相手の好き嫌いで変わるのか,快・不快で変わるのか,結局何を言ってもセクハラ扱いされるのではないかと言われることもありますが,そういうことではありません。
   ハラスメントは個人の尊厳を傷付ける言動を起こすこと,そしてセクハラはまさしく性的な言動によって相手の人権を侵すことです。
  セクハラ被害を告発した人が「売名行為」,「言った者勝ち」と非難を受けることがありますが,被害者が被害を告発して得することなど何もありません。それでも告発に踏み切るのは,人権が侵されたことに対して憤りを感じているからなのです。自分の被害体験の背後に,これまで封印されてきた無数の被害者が存在することを思い,「ここで黙っていてはいけない」と勇気を出して奮い立ったのです。
   こうして怒ることは何も恥ずかしいことではありません。かつて女性は男性社会の中で働かざるを得なかったため,セクハラ込みのコミュニケーションを受け入れてきました。そして過剰適応した女性は「女が怒ることはみっともない,恥ずかしい」,「うまくかわすのが女の賢さ」だと男性の都合を内面化してきました。そうでないと職場で生き残れなかったからです。
   こうした状況は今もなお続いていると言えますが,先述のとおり,時代の空気が変わってきました。今こそ古い価値観をアンインストール(削除)して,学び直すチャンスです。

――「学び直す」とは具体的にどういうことでしょうか?

   性別に関わらず,セクハラ込みのコミュニケーションを見直すことです。私も以前,中高年の男性に対して「おじさん,昔はモテていたのにね」とうっかり口走ったことがありましたが,これが逆だったら即刻セクハラだと言われますね。このように誰もが加害者・被害者・傍観者になる可能性があるわけです。だから,セクハラ絡みのネタで笑いをとろうとする人がいても笑わない,盛り上げないこと。それがウケることだという空気を作らないこと。一方的に相手を糾弾するのではなく,「もうそういうのはやめませんか」,「お互い気を付けましょうね」と対話型で呼び掛け合うこと。とは言え,これまでの言動が習慣化しているため,自分も無自覚に口走ってしまうこともあるかと思います。そんな時はあれこれ言い訳せずに「迂闊(うかつ)だった,ごめんなさい」と素直に謝りましょう。そうすれば,かえって株が上がるのではないでしょうか。
   それから,勇気を出して声を上げた人をバッシングしないこと。そこで改善の芽を断ち切ってしまっては,いつまでもセクハラ問題は改善されませんし,自分もいつ,被害者・加害者になるかもしれないからです。
   そして,もし実際に自分が被害に遭ってしまったらどうすべきか,対策方法を知っておくことも大切です。

――小島さんは一家の大黒柱として日本とオーストラリアを往復するライフスタイルも注目されていますが,それぞれの生き方を認め合う社会に向けて,最後にメッセージをお願いします。

   夫が47歳で仕事を辞めたことを機に,生まれ故郷のオーストラリアに家族で移住しました。私が一家の大黒柱として日本に出稼ぎにやってくる生活を始めて4年になりますが,この生活は家族の状況や人生のステージに合わせてベストな選択をした結果でした。
   仕事と家庭を担うことは男女双方の課題であり,(性別での役割分担ではなく)これをユニットとして捉えれば,柔軟に組み替えられます。
   大黒柱か,共働きか,専業主婦(夫)か。自分の生き方を肯定したいばかりに,自分とは違う生き方を否定する人もいますが,ライフスタイルというのは状況によって変わってくるものです。私もまさか自分が大黒柱になるとは想像もしませんでした。今では自分のライフスタイルを通じて,「こんな生き方もありますよ」と伝えていけたらと思っています。
   異なる生き方を認めることで,人生の選択肢が増える。誰もが自分らしく豊かな人生を送れる社会を目指したいですね。

Profile
小島 慶子(こじま けいこ) さん
   1972年オーストラリア生まれ。学習院大学法学部を卒業後,1995年にアナウンサーとしてTBSに入社。テレビ,ラジオに出演し,1999年ギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティ賞受賞。2010年に退社後は,タレント,エッセイストとして活動している。『気の持ちようの幸福論』『解縛』『大黒柱マザー』『不自由な男たち』(田中俊之氏との共著)など著作多数。『わたしの神様』『ホライズン』『幸せな結婚』など小説も手掛ける。


こんな時どうする?!
Q職場内でのいじめやパワー・ハラスメント,セクハラやマタ二ティ・ハラスメントで悩んでいる…
Aお勤め先の相談部署に御相談いただくか,京都労働局の以下の担当部署に御相談ください。
   いじめやパワハラの場合
   各総合労働相談コーナーに御相談ください。
   セクハラやマタハラの場合
   京都駅前総合労働相談コーナー
   京都府内限定フリーダイヤル
   0120-829-100
   京都労働局総合労働相談コーナー
   075-241-3221
   京都上総合労働相談コーナー
   (京都上労働基準監督署内)
   075-280-1320
   京都下総合労働相談コーナー
   (京都下労働基準監督署内)
   075-279-2340
   京都南総合労働相談コーナー
   (京都南労働基準監督署内)
   075-280-2560
   雇用環境・均等室
   075-241-3221

プレゼント
サイン入り色紙を差し上げます!
小島慶子さんのサイン入り色紙を3名様にプレゼントします。どしどし御応募ください!
〔応募方法〕
ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号・「きょう☆COLOR」への御感想・御意見を必ず記入のうえ,以下の宛先へお送りください。
(御応募はお一人につき一口までとさせていただきます。)
★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。
宛先 〒604-8571(住所不要)京都市人権文化推進課
「きょう☆COLOR」Vol.9プレゼント係
締切  平成31年2月28日(木曜日)(当日消印有効)

部落差別解消推進法を御存じですか?

   人を「生まれ」や住んでいる地域を理由として差別することは,その人の人格や尊厳を傷付けることにつながります。
   こうした差別を解消することを目的として,平成28年12月16日に部落差別解消推進法(部落差別の解消の推進に関する法律)が施行されました。
   この法律が成立した背景には,例えば,インターネット上で,人の生まれや住んでいる地域を捉えて,差別を助長するような内容の書込みが一方的に繰り返し行われ,こうした中傷により多くの人が傷付いている状況などがあります。
   誰もが傷付くことのないよう,自分の人権を守り,相手の人権を尊重することは,社会生活を営むうえでの基本です。
   今一度,一人一人が人権尊重に対する理解を深め,差別や偏見に基づく人権侵害を許さない「ひとがつながり みんなでつくる やさしさあふれる 人権文化の息づくまち・京都」の実現を目指しましょう!

   詳しくはこちら。   URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000224462.html

人権擁護委員による人権相談窓口を拡大しました! 〜1人で悩まずに御相談ください。〜

面談による無料相談
   いじめ,差別,虐待,セクハラ,配偶者やパートナーからの暴力,インターネット上での誹謗中傷の書込み,LGBT等の性的少数者であることを理由とした偏見など,人権に関するお困りのことはありませんか?
   そんなときは,人権相談窓口を御利用いただけます。
   この度,これまでの京都市消費生活総合センターに加えて,4つの区役所(左京区,下京区,右京区,伏見区)に新たに相談窓口を開設しましたので,ぜひ御利用ください。

相談日程(平成30年度)
右京区役所   12月20日(木曜日) 3月28日(木曜日)
左京区役所   1月17日(木曜日)
下京区役所   1月17日(木曜日)
伏見区役所   2月21日(木曜日)
消費生活総合センター   毎月1回開設,第4木曜日
※相談時間は,午後1時15分〜午後4時15分(消費生活総合センターは,午後1時〜午後4時)
※相談日前日の正午までに電話又はFAXにて御予約ください。事前予約がない場合は,窓口は開設しません。
申込み・お問合せは : 京都市人権文化推進課 TEL 075-366-0322(FAX 075-366-0139)

「京都市人権相談マップ」を配布しています。

   人権に関することでお困りの際に,適切な機関・窓口に相談ができるように,「京都市人権相談マップ」を配布しています。(無料)
 相談機関・窓口の地図に加えて,具体的な相談例を掲載していますので,適切な相談先が探しやすくなっています。
 市役所案内所,区役所・支所(地域力推進室),市立図書館や文化会館等で配布しているほか,ホームページでも御覧いただけますので,御活用ください。

詳しくはこちら。   URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000224462.html

毎年12月10日から16日までは「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」です。北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めましょう。

我ら,企業市民

オムロン株式会社

課長 上村 千絵(うえむら ちえ)さん
主査 森 督子(もり まさこ)さん



多様な人材の活躍で新たな価値を創造
社員一人一人の成長を会社の成長につなげる


オムロン株式会社は「人間性の尊重」という企業理念に基づいて,ダイバーシティの推進に先進的に取り組んできました。多様な人材が活躍することで新たな価値・イノベーションを創造し,社員一人一人の成長を会社の成長につなげる狙いです。LGBTというテーマも,その柱の一つになっています。ダイバーシティ推進課の上村千絵課長と森督子主査に取組の経緯や成果,課題などについてお伺いしました。

ダイバーシティは発展の原動力
「LGBT」が活動目標の一つに

  
オムロンは2012年4月,グローバル人財総務本部の中に初の専門部署であるダイバーシティ推進グループを設置。女性,障害者,キャリア入社,高齢者,外国人の5つのテーマにおいて多様な人材が活躍できる取組をスタートさせました。スタートアップメンバーの上村さんは,マネージャーと2人,手探りで仕事を始めました。
   ダイバーシティの推進は,国内外36000人の社員がそれぞれの個性を発揮して活躍することによって,「人が育ち,仕事を楽
しみ,高いパフォーマンスを上げ続けることができる誠実で強い会社を創る」という目標を掲げています。山田義仁社長自身も同社ホームページで「ダイバーシティ(多様性)はオムロン発展の原動力である」と社内外に情報発信しています。
   2015年にはスタッフも4人に増えて,新たにLGBTと介護がテーマに加わりました。
   2015年はまた,有力ビジネス誌が「究極のダイバーシティ LGBT あなたの会社も無視できない」という特集を組んだのを
機に,日本企業の間にLGBTに対する理解と関心が生まれ,少しずつ広がり始めた年でもありました。
   LGBTは、「Lesbian」(レズビアン/女性同性愛者),「Gay 」( ゲイ/ 男性同性愛者)、「Bisexual」( バイセクシュアル/ 両性愛者),「Transgender」(トランスジェンダー/「心の性」と「身体の性」が一致しないため,「身体の性」に違和感を持つ人)の頭文字を取ったセクシュアルマイノリティ(性的少数者)を表す言葉の一つとして使われることがあり,民間会社の調査によると,日本におけるセクシュアルマイノリティの方は全人口の6%~8%,すなわち13人に1人程度いるとされています。オムロンでは,LGBTメンバーの就労や活躍機会を拡大することで,個性を活かした人と組織が同時成長するという目標を掲げ,「LGBT」をダイバーシティ推進の主要な活動目標の一つに位置付けました。
   オムロンの取組は,LGBTに対する認識を全社に広げることから始まりました。2015年4月にはまず,相談窓口を開設。当事者の声を聴いて今後どう取組を進めていくかを考える手掛かりにするとともに,オムロンがLGBTメンバーも一緒に働くパートナーとして重視しているという全社員に向けたメッセージでもありました。
   また,2016年3月にLGBTへの理解と支援に取り組むNPO法人「虹色ダイバーシティ」の村木真紀代表を講師に招き,LGBTの人たちが抱える問題や悩み,様々な疑問について理解を深めるセミナーが開かれました。
  
国内全社員対象に人権研修
社員が知ることから始める


   さらに実践的な取組として行われたのが,国内12000人の社員を対象としたLGBTをテーマに加えた人権研修でした。2016年に初めて開催され,既にLGBTを認知している人事・総務メンバーから全社的に理解の輪が広がるきっかけになりました。2年目には,「性自認」や「性的指向」は多様であり,全員が当事者であることについての理解を全社員に求め,当事者から相談を受けた時の対応方法など,より具体的な内容を学んでもらいました。
   そして2017年3月に,虹色ダイバーシティと共同で「LGBTフレンドリーな職場づくりのための意見交換会」を開催。京セラやワコールなどの京都の企業8社の人事・採用担当者とLGBTサークルなどに所属する関西圏の8大学の学生20人が参加して,働きやすい職場づくりや就職活動・採用の在り方について意見交換しました。参加した学生たちからは,各社のLGBTの受入れ態勢や採用に対する基本的な考え方などについて熱心な質問がありました。

PRIDE指標でゴールド受賞
社内に広がる理解の輪


   また,これまで男女別のデザインが採用されていた製造部門の社員が着用するファクトリーユニホーム(制服)を,2018年1月からブルーを基調とした統一デザインのものに一新しました。新制服の作成には総務や広報から製造現場まで10数人のメンバーが2年間議論を重ね,ダイバーシティ推進や「LGBT」の観点から全社の一体感を高めるデザインを採用しました。
   NPOや国際人権団体,外資系企業で作る任意団体「work with Pride」が職場におけるLGBTなどの性的少数者への取組を評価する「PRIDE指標」にも応募。2016年はシルバーを受賞しましたが,2017年から2年連続で(1)行動宣言(2)当事者コミュニティ(3)啓発活動(4)人事制度・プログラム(5)社会貢献・渉外活動といった5項目全てをクリアしてゴールドの受賞に輝きました。
   社外からの評価とともに社内の認知も広がっています。LGBTをテーマにした人権研修に一社員として参加した森さんは「初年度はLGBTという言葉も知らない社員が多かった」と振り返ります。2年目には「職場のメンバーにLGBTがいたら」というテーマでグループ討論をしたところ,「職場の仲間であるということと性の在り様とは関係がない」という意見が大半だったといいます。
   「LGBT」の取組に対して,社内には様々な意見がありますが,現在は人権尊重の観点からLGBTに対する理解が広がりつつあります。「何事にも当然賛否はある。大切なのはこのタイミングで,今できることをどう発信するかだと信じてこの活動を進めていきたい」という上村さんの言葉は明快です。

見て・知って人権 京の学生が行く

 このコーナーでは、京都で学ばれている学生の皆さんなどに、取材や誌面作りに参加いただき、毎号、京都市の人権関連施設を1箇所ずつ紹介していきます。

第9回 京都市こころの健康増進センター

佛教大学2 回生 中村 晋太郎(なかむら しんたろう)さん
京都大学2 回生 細川 千夏(ほそかわ ちなつ)さん
京都大学3 回生 中村 友香(なかむら ゆか)さん


お話を伺った方
所長 波床 将材(はとこ まさき)さん

この施設の成り立ちを教えてください。

   当センターは,平成7年に精神保健法が改正され,それまで都道府県単位で設置されていた精神保健福祉センターが政令指定都市にも設置されるようになったことに伴い,平成9年4月に開設しました。当初は京都市中京区の京都市立病院の北側にあったのですが,平成27年に現在地に移転し,昨年,開設20周年を迎えました。相談援助課とデイ・ケア課に医師,看護師や作業療法士などの専門職を含む23人の常勤の職員が,こころの健康について市民の皆さんに情報提供を行うほか,精神保健福祉に関わる様々な仕事に取り組んでいます。

相談援助課とデイ・ケア課の主な仕事は何ですか。

   相談援助課では,ひきこもりや,アルコール,薬物,ギャンブルへの依存など,こころの健康に関する電話相談や面接相談を受け付けています。電話相談は,年間約6千件に上ります。また,機関紙「こころここ」の発行,講演会,研修の開催や講師派遣を通じて,こころの病気に関する知識,医療や福祉制度の普及・啓発にも取り組んでいます。このほか,精神障害者保健福祉手帳や通院医療費助成などに関わる自立支援医療の判定など,業務は多岐にわたります。
   デイ・ケア課では,認知行動療法や心理教育等の医学的手法を用いたリハビリテーション・プログラムを実施しており,患者の職場や社会への復帰を支援しています。昨年度はこのプログラムを終えられた25人のうち10人が就労,4人が復職しました。ハ
ローワークとも連携し,精神障害のある方の雇用の場も増えつつあります。

ほかに力を入れている取組はありますか。

   自殺対策に力を入れています。平成10年に自殺者が全国で3万人を超え,平成18年に自殺対策基本法が成立しました。京
都市の自殺者は年間200人に上っており,1人でも減らすため,臨床心理士や精神保健福祉士による電話相談を行っています。また,京都府や民間団体と連携した講演会や街頭イベントといった啓発活動のほか,医療,法律,教育などの関係機関,民間団体などにより構成される自殺総合対策連絡会で情報交換を行っています。今回,このページで当センターを紹介している学生団体SMILEのメンバーにも自殺対策に協力してもらっています。

読者の皆さんにメッセージをお願いします。

   まず強調したいのは,こころの病気に偏見を持たないでほしいということです。誰もがメンタル面でしんどくなることはあるので,こころの病気を特殊な問題と考えないでほしいと思います。また,こころの病気の背景には,しばしば社会的,経済的,法的な問題など,様々な要因が複雑に絡み合っています。その回復のためには,医療や行政だけでなく,専門家や市民団体などとの連携
が大切です。皆さんの理解と協力で当センターの活動をより充実させていきたいと思っています。


診察室
   こころの病気の診察は,医師と患者の対話が中心になります。思春期外来(月2回),アルコール外来(週1回)や薬物・ギャンブル等依存症外来(月1回)も行っています。

   診察室は,患者さんが自分の病気と向き合い,克服するための第一歩を踏み出す大切な場所だと思います。

デイルーム
   就労支援の一環として,「壬生(みぶ)工房」と「みやこ商店」という架空の事業所でビーズの袋詰めや販売・仕入れ・卸などを体験します。実際に伝票や納品書を使い,出勤時はタイムカードも記入します。

   コミュニケーション力など,組織の中で働く力を実践的に身に付けられるところがすごいですね。

相談室
   中央に応接セットを置いた8畳ほどの相談室と4畳半ほどの相談室の2室があります。
   広い相談室では,医師,臨床心理士や弁護士などの専門家に対し,患者とその家族が症状や課題に沿った相談ができます。  
   小さい部屋は個人面談に使っています。

   臨床心理士を目指して勉強していますが,将来はこうした相談室で患者さんに本音で話してもらえるようになりたいです。

■所在地〒604-8854
   京都市中京区壬生仙念町30番地
   TEL:075-314-0355 FAX:075-314-0504
■ ホームページ   http://kyoto-kokoro.org/外部サイトへリンクします
■開所時間   午前8時30分~午後5時
■休所日   土・日曜日、祝日、年末年始
■交通案内
   【バス】 市バス3・8・11・13・26~29・67・69・71・91・203系統 「四条御前通」下車すぐ
   【電車】阪急京都線「西院」駅下車 徒歩5分
          京福電鉄嵐山線「西院」駅下車 徒歩3分

相談専用電話 ☎075-314-0874
月~金曜日 午前9~12時/午後1~4時(祝日及び年末年始を除く)

きょう・こころ・ほっとでんわ(自死遺族・自殺予防こころの相談電話)
月・火・水曜日 午前9~12時 木・金曜日 午後1~4時(祝日及び年末年始を除く)
☎075-321-5560

特集 世界人権宣言70周年を迎えて

 今年は,1948年12月10日の国連総会で世界人権宣言が採択されてから70年目を迎えます。第二次世界大戦は日本・ドイツ・イタリアの枢軸国と米国・英国等の連合国とが対峙(たいじ)する形で戦われましたが,米英は戦中から大戦後の世界の平和維持を目的とする国際組織の構想に取り組んでいました。
   米国政府がサンフランシスコ会議(1945年)に招聘(しょうへい)した42の非政府団体の力によって,国連憲章の中に人権規定が盛り込まれ,国連の「目的」の中に平和,開発と並んで「人権」が明記されました。
   国際連合憲章(1945年成立)によって大戦後すぐに国連人権委員会が発足し(1946年),国際人権章典の最初のものとして
「世界人権宣言」が採択されました。当初,この宣言は「国際(international)人権宣言」として構想され,国家が人権を擁護するための宣言と考えられていました。しかし,採択されたものは「普遍的な(universal)人権宣言」であり,国家だけではなく,すべての個人があまねく守るべき普遍的な宣言となり,前文も「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準としてこの世界人権宣言を公布する」と述べています。
   日本はサンフランシスコ(対日平和)条約を批准することで,1956年に念願の国連加盟を果たすことができました。そしてそのサンフランシスコ条約前文には日本国が「世界人権宣言の目的を実現するために努力」する,と書かれています。これが戦後日本の国際社会への復帰の大前提であったことを忘れてはなりません。世界人権宣言には法的拘束力がないというのが伝統的な国際法の見解ですが,1960年代に独立を果たしたアフリカ諸国には世界人権宣言をそのまま憲法に採り入れた国も多く,宣言は新しい国際秩序に大きな影響を与えました。
   国連人権委員会は,世界的な人権章典は「宣言」「規約」「実施措置」という3つの段階に分けて完成されると考えていました。「宣言」の採択後は,その内容に法的拘束力を持たせるための「規約」(法的拘束力のある条約)づくりが始まります。冷戦の開始によりそれには長い時間がかかりましたが,1966年に2つの国際人権規約(自由権規約と社会権規約)として結実しました。そして最後の「実施措置」の役割を果たしているのが,国連の主要な人権条約(人種差別撤廃条約,女性差別撤廃条約,子どもの権利条約等)の下で設立されている条約機関(委員会)です。私は2008年から女性差別撤廃委員会の委員を務めていますが,2015年から2年間は同委員会の委員長として,多くの締約国の条約実施報告書の審査に関わってきました。
   女性差別撤廃条約は1979年の国連総会で採択され,来年,2019年に成立40周年を迎えます。世界の189の国が批准しており,1999年に付加された選択議定書(人権侵害を受けた個人が被害救済を条約機関に申し立てできる個人通報制度を内容として含んでいます。)も既に109か国が批准を終えています。日本は1985年に女性差別撤廃条約を批准しましたが,選択議定書の批准をしておらず,一日も早い批准が望まれます。また,日本の数ある裁判の中で裁判官が判決の根拠として女性差別撤廃条約を引用したものは皆無です(同条約は国内適用されない,として排斥するために引用した例はあります。)。
   これは締結された国際条約は公布により国内法化し,公務員に遵守を義務づけている日本国憲法体制の下で,甚だ残念な現象です。私は弁護士として,婚外子差別裁判の代理人や性暴力被害者のための活動を支援してきました。
   日本での女性の人権確立へ向けた歩みはあまりにも遅々として進んでいません。最近でも,相撲の土俵に女性は上れない,といった慣習・慣行による差別,東京医科大学の例で明らかになった入試における差別等,女性差別に関するニュースには事欠き
ません。しかし,そのような風潮の中にあって,希望の光も見えます。旧優生保護法下で強制不妊手術を受けた人々が名乗り出て各地で訴訟が始まったこと,在日コリアンの女性に対するヘイトスピーチを「複合差別」だと認める判決が出てきたことなど,立ち上がる当事者とそれを支援する人々がいることに励まされます。世界人権宣言は差別に負けないこれらの人々の行く手を照らす道しるべであり,当事者の後に続く私たちすべての人々の人権を守る礎となっています。

文:林 陽子(弁護士、国連女性差別撤廃委員会委員)

特集 世界文化自由都市宣言

    京都市は,昭和53 年,文化による世界との交流と平和の実現を,都市理念として追求する「世界文化自由都市宣言」を行い,文化を基軸とした都市経営を進めてきました。平成30 年度は,「宣言」から40 周年を迎える節目の年となることから,今一度,「宣言」の理念を,市民ぐるみで共有するとともに,国内外に発信する世界文化自由都市宣言40 周年事業に取り組んでいます。

世界文化自由都市宣言を紹介するマンガ・映像を発信中!

世界文化自由都市宣言
    都市は,理想を必要とする。その理想が世界の現状の正しい認識と自己の伝統の深い省察の上に立ち,市民がその実現に努
力するならば,その都市は世界史に大きな役割を果たすであろう。われわれは,ここにわが京都を世界文化自由都市と宣言する。
    世界文化自由都市とは,全世界のひとびとが,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流を行う都市をいうのである。
    京都は,古い文化遺産と美しい自然景観を保持してきた千年の都であるが,今日おいては,ただ過去の栄光のみを誇り,孤立して生きるべきではない。広く世界と文化的に交わることによって,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市でなければならない。われわれは,京都を世界文化交流の中心にすえるべきである。
    もとより,理想の宣言はやさしく,その実行はむずかしい。われわれ市民は,ここに高い理想に向かって進み出ることを静かに決意して,これを誓うものである。

昭和53年10月15日 京都市

詳しくは   https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000035716.html
問合せ 京都市総合企画局 市長公室政策企画調整担当
TEL  075-222-3981

《お知らせ》

講座開催の御案内
参加費無料
京都市主催 平成30年度  企業向け人権啓発講座
※ 対象は,京都市内に事業所を持つ企業等の経営者,総務・人事責任者,人権研修推進者等です。

第8回パネルディスカッション及びグループワーク
語ろう! ワーク・ライフ・バランス 〜人が集まり,人が育つ職場とは〜
第1部 パネルディスカッション
コーディネーター 和田 紘子 氏(大原社労士事務所 社会保険労務士)
パネリスト 原田 英美子 氏(小川珈琲株式会社 社長室 室長)
                   小野 雅世 氏(綿善旅館 若女将)
第2部 グループワーク
●日時    平成30年12月20日(木曜日)午後2時30分〜午後4時30分
●場所    京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室(中京区東洞院通六角下る御射山町262)   
●申込期間    平成30年11月15日(木曜日)〜平成30年12月14日(金曜日)
●定員    50名(先着順)


第9回 講演“ 発達障害”って何だろう 〜“自分ごと”として考え,支え合う社会に〜
講演(1) 「発達障害について」板倉 信太郎 氏(そらまめプロジェクト♡KYOTOメンバー,エクスクラメーション・スタイル代表)
 講演(2)当事者からの話(そらまめプロジェクト♡KYOTOメンバー)
●日時    平成31年1月25日(金曜日)午後2時〜午後4時
●場所    京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール
(中京区東洞院通六角下る御射山町262)
●申込期間平成30年11月15日(木曜日)〜平成31年1月18日(金曜日)
●定員    240名(先着順)


第10回活動報告及び公演 第24回ふしみ人権の集い 〜人権文化のまちをひとりひとりの心から〜
第1部活動報告 学習会など今年度の活動や取組について
第2部記念公演 『継承! 越境! そして遊合!』 -垣根を越えて,ともに新たな舞台を-
                             出演 親舊達(チングドゥル)と仲間のみなさん
●日時    平成31年2月9日(土曜日)午後1時〜午後4時
●場  所    京都市呉竹文化センター ホール(伏見区京町南七丁目35番地1)
●申込不要   参加の事前手続は不要です。当日受付で参加票(ホームページで入手)を御提出ください。先着順で入場できますが,満席の際は入場をお断りする場合がありますので,あらかじめ御了承ください。
   手話通訳、託児が必要な方は受付でお申し出ください。

    ホームページ「京都市:トップページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/」から画面上部「暮らしの情報」→画面右下部「人権」→「企業啓発」→「企業向け人権啓発講座」を御覧ください。
申込書(開催案内の一部)に必要事項を記入のうえ,FAX(075-366-0139)でお送りいただくか,電子メール([email protected])に必要事項を記載して送信してください。(第10回は申込不要です。)
   また,手話通訳・要約筆記・ヒアリングループ(事前申込が必要です。)など,詳細については,各講座の開催案内を御覧ください。


ヒューマンステージ・イン・キョウト2019 よしもと芸人 人権トーク&お笑いライブ
日時    平成31年1月26日(土曜日)午後2時〜午後4時(開場は午後1時)
会場    ロームシアター京都サウスホール(左京区岡崎最勝寺町13)
定員    700人
参加無料
申込期間 平成30年11月30日(金曜日)〜12月31日(月曜日)申込多数の場合は抽選
申込方法 京都いつでもコール(年中無休、受付時間:午前8時〜午後9時)
●電話 075-661-3755 お掛け間違いに御注意ください。
●FAX 075-661-5855 
●電子メール(送信フォームによる申込み)
パソコン : https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html
携帯電話 : http://www.city.kyoto.lg.jp/mobile/main/page/0000180068.html
※住所,氏名(フリガナ),電話番号,同伴者数(3名まで)を明記してお申込みください。
※ 託児(1歳以上就学前,人数と年齢も明記),車椅子席,手話通訳,要約筆記,ヒアリングループ席を希望される場合,その旨をお申し出ください。
※御来場は公共交通機関を御利用ください。
※入場券は1月中旬に当選者のみに発送します。

編集後記
 2018年のノーベル賞受賞者が発表され,がんに対する新たな治療薬の開発に多大な貢献をされた,京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょ たすく)さんが医学・生理学賞を受賞されることになりました。そして,ノーベル平和賞の受賞者が,内戦が続くコンゴ民主共和国でレイプ被害に遭った女性たちの治療に尽力する,医師のデニ・ムクウェゲさん,過激派組織「IS」の性暴力被害者という過酷な体験を告白し,国連親善大使として活動するナディア・ムラドさんのお二人となったことが発表されました。
 12月10日は,世界人権宣言の採択から70年を迎えます。今までなかなか表に出てこなかった,被害者の方の勇気ある告発に耳を傾けるとともに,今こそ,私たち一人一人が,日頃の言動を振り返り,誰かを傷付けていないか,改めて考えてみませんか。

<法務省委託事業>
人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.9( 発行 平成30年11月)
発行:京都市 文化市民局 くらし安全推進部 人権文化推進課
TEL075-366-0322 FAX075-366-0139
〒604-8101 京都市中京区柳馬場通御池下る柳八幡町65 京都朝日ビル8階
URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-2-3-0-0.html
この冊子はホームページでも御覧いただけます。また,区役所・支所,市役所案内
所ほかで配布しています。

この印刷物が不要になれば「雑がみ」として古紙回収等へ!

京都市印刷物第303152号

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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