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企業向け人権情報誌「ベーシック」59号(HTML版)

ページ番号127235

2012年8月27日

企業向け人権情報誌「ベーシック」59号

目次

特集1  

育児支援・就業支援 … P2

京都市ひとり親家庭支援センター ゆめあす

京都市ファミリーサポートセンター

 

特集2

各区の「災害ボランティアセンター」の設置場所が決まりました … P4

「災害ボランティアセンター」の役割を紹介します

西京区災害ボランティアセンター設置場所 ホテル京都エミナース

 

 

我ら,企業市民

 

34 生田産機工業株式会社 … P6

ものづくりはひとづくり

響き合い,活かし合い,良く働き合うことで,

より良い未来を創る

 

35 株式会社千總 … P8

革新を重ねて450年

一つの品を中心に関わる

人々の「つながり」をプロデュース

 

 

お知らせ … P10

● ヒューマンステージ・イン・キョウト2012 

● 京都障害者ワークフェア

● 企業向け人権啓発講座(第4回から第8回)

 

特集1 育児支援・就業支援

京都市ひとり親家庭支援センター ゆめあす

名称が変わりました

 

 これまで「京都市母子福祉センター」として親しまれてまいりましたが,父子家庭を含むひとり親家庭全体の支援を総合的に実施する施設としての役割を明確にするため,平成24年4月1日から「京都市ひとり親家庭支援センター」と名称が改められました。

 ひとり親家庭の自立にとって,仕事と子育ての両立は不可欠です。当センターでは,ひとり親家庭の仕事,生活,子育て,法律問題等の相談や就職支援のための「セミナー&パソコン講座」(母子家庭のみ),親子のレクリエーション事業等を実施しています。ひとり親家庭への就業・自立に向けた総合的支援センターとしての機能を備えています。

 

京都市ひとり親家庭支援センターゆめあすのご案内

 

一般相談

ひとり親家庭の生活,子育て,経済問題など日常生活についてのご相談に応じています。

 

就業・自立支援センター事業

ひとり親家庭の母や父の就業相談・支援・情報提供・法律相談・ハローワークとの連携を通じた個別就労支援,就職に役立つパソコン講座&セミナー(母子家庭のみ)などを行っています。

 

就業相談

就職,転職,資格取得などについてお気軽にご相談ください。

電話相談と面接相談(要予約)があります。

 

自立支援プログラム

キャリア・能力・適性・生活状況に応じた経済的自立・就業支援のためのプログラムを個別に策定し,ハローワークと連携しながら就労支援を行います。児童扶養手当受給者が対象です。

 

特別相談(女性弁護士による無料法律相談)

離婚・養育費・親権・財産・住宅・慰謝料など,法律問題に関わることなら,何でもご相談ください。相談日は,毎月2回 第1・第3月曜日,13時から17時までです。1月・5月・12月は変更があります。相談時間は,お一人30分です。お電話にてご予約ください。

 

就業支援パソコン講座(母子家庭のみ)

「はじめて講座3日間コース」と「初級講座6日間コース」を年3回実施しています。別々に受講することも可能です。託児有・要予約。開催日は,6月,9月,2月の土日のいずれかです。

 

就職準備セミナー(母子家庭のみ)

年14回実施。「介護の資格と訪問介護」,「ハローワークの窓口から」,「仕事と食生活管理の両立」,「パソコン初級おさらいセミナー」など様々なテーマで開催します。参加は無料です。託児は原則あり。要予約。センターでパソコンの個人利用ができます。要予約。

 

ひとり親家庭生活支援事業

ファミリーネットワーク事業として,親子でレクリエーション及び交流会を年7回実施

生活支援講習会等事業として,子育て・生活・養育費・クッキング教室などの講習会を年9回開催。要予約

 

きもの貸出事業

対象は,母子家庭の母と子ども,父子家庭の子ども,養育者の養育する子ども,児童福祉施設に入所中の子ども(未婚の子に限る)です。振袖,留袖,友禅,七五三,十三詣りなどに着用いただけます。大人5,000円,子ども1,500円。小物付

 

京都市ひとり親家庭支援センターゆめあすは,

住所 〒606-0846 京都市左京区下鴨北野々神町26番地 北山ふれあいセンター内

開館時間 10時から18時まで 

休館日 毎週火曜,祝日,12/28~1/4

交通機関 地下鉄烏丸線「北山駅」又は「松ケ崎駅」から徒歩5分 

市バス 4又は北8号系統「野々神町」下車すぐ

京都バス 45又は46号系統「野々神町」下車すぐ

 

電話 075-708-7750  ファックス 075-708-7833

メールアドレス k.boshi@sirius.ocn.ne.jp

就業相談のメールアドレス k.boshishien@vesta.ocn.ne.jp

 

京都市ファミリーサポートセンター

カンガルーのポケットのように優しく温かく子育てをサポートします。

 

ファミリーサポートって?

 

 ファミリーサポート事業は,子育ての援助を受けたい人(おねがいさん)と子育ての援助をしたい人(おまかせさん)が会員となり,子育てを助け合う事業です。平成14年10月に京都市から京都市児童館学童連盟が委託を受けて京都市ファミリーサポートセンターを開設し,今年度は開設10周年を迎えます。

 平成19年10月には,市内で14箇所(各区・支所に1箇所)に支部を開設し,より地域に密着した活動を目指しています。

 平成24年5月末現在の会員数は,「おねがいさん」4634人,「おまかせさん」833人,両方を兼ねる会員213人,合計5680人です。平成23年度は1箇月に平均995件程度の活動が行われ,その中でも「保育施設へのお迎えとその後の預かり」が最も多い活動で,全体の約37%を占めています。

 

おねがいさんとは?

 

京都市内在住,又は京都市内に勤務先のある人で,満12歳までの子どもがいる方,又は妊婦の方が登録できます。

 保育施設への送迎,出掛ける際の預かり,子どもの習い事の送迎などの援助が受けられます。

 

おねがいさんに登録するには?

登録会(1回)に参加していただきます。

 今年度後半は,平成24年10月から平成25年3月までの間に25回開催予定。所要時間は約1時間です。

 

おまかせさんとは?

京都市内在住の18歳以上(高校生除く)で心身共に健康で,援助活動に理解と熱意のある方が登録できます。有償のボランティアです。

 

おまかせさんに登録するには?

センター又は各支部にて申込手続きの後,講習会(1回)に参加していただきます。

 今年度後半は,平成24年10月から平成25年3月までの間に3回開催予定。講習は

終日行われ,所要時間は7時間半です。

 

おまかせさんは有償ボランティア!

おまかせさんの登録料は無料,年会費も無料です。

報酬額は,月曜~金曜 7:00~19:00 1時間 700円

土曜・日曜・祝日と上記以外の時間帯 1時間 900円

※ 活動時間に応じた報酬を,おねがいさんからおまかせさんへ直接渡していただきます。

 

〒604-8101 京都市中京区柳馬場通御池下る柳八幡町65 

朝日ビル5階 公益社団法人 京都市児童館学童連盟内

受付時間 月曜~土曜 10:00~17:00(日曜,祝日,12/29~1/3を除く)

電話075-255-2234   ファックス075-256-5688 

メールアドレス [email protected]

ホームページhttp://www.kyo-yancha.ne.jp/famisapo/外部サイトへリンクします

 

特集2 各区の災害ボランティアセンターの設置場所が決まりました

災害時のボランティア活動は,平成7年の阪神・淡路大震災を契機に全国に広がり,平成23年3月11日に発生した東日本大震災により改めて関心が高まり,被災住民の避難生活の支援など,生活再建を図るうえで不可欠なものとなっています。

 京都市では,市内で大規模災害が発生した際にボランティア活動が効果的に行えるよう,被災地域に近い各区にボランティア活動の拠点となる「区災害ボランティアセンター」を設置し,「市災害ボランティアセンター」と連携を取りながら,被災者や避難所のニーズの把握,ボランティアの受入れ及びコーディネート等を行い,被災住民の支援を行うこととなっています。

 平成23年12月末までに,全区において区災害ボランティアセンターの設置場所の選定を完了するとともに,設置・運営マニュアルについても全区で作成を完了しました。設置・運営マニュアルについては,作成後も訓練等を通じて検証,改善に努めていきます。

 

「災害ボランティアセンター」の役割を紹介します

~災害発生時におけるボランティア募集,ボランティアの受入れの仕組み~

 

1  市内で発生する災害への備え

 

 災害発生時には各区において,市・区の社会福祉協議会が区役所の要請に応じて「区災害ボランティアセンター」を設置し,被災住民,避難所のニーズ等の把握,ボランティアの受入れやコーディネートなどを行います。

 また,「市災害ボランティアセンター」では,「区災害ボランティアセンター」が把握したニーズを基に,ボランティアの募集,他都市のボランティア団体への協力要請及び連携などを行います。

 いざという時に備え,市・区両センターの運営に関わる行政や関係団体において,地域団体等の皆様と平常時から連携・協働し,災害ボランティアセンターの設置・運営訓練や人材育成の取組,地域における災害ボランティア活動の普及啓発,地域コミュニティの活性化に取り組んでいます。

 

2  市外で発生した災害への支援

 

 市外・他地域で発生した災害に対しては,「市災害ボランティアセンター」として,被災地の災害ボランティアセンターからの要請を基に,市・区両センターの関係機関と連絡を取りながら,現地センターの運営スタッフやボランティアの募集,関連情報の発信を行います。

 東日本大震災でも,府災害ボランティアセンター等をはじめ,関係団体と連携しボランティアの募集,派遣,また京都への「県外避難者」の支援などに当たりました。

 今後は,東日本大震災でのボランティア支援のノウハウと経験を十分に活かし,被災地や被災者の支援活動をしっかりと行える体制強化に取り組んでいきます。

 

 

「区災害ボランティアセンター」の設置場所

 

行政区,設置場所,所在地の順で紹介します。

 

北区,国立大学法人京都教育大学附属京都中学校 ランチルーム内,北区小山南大野町1

上京区,同志社大学寒梅館及びグラウンド内,上京区今出川通烏丸東入玄武町601

左京区,国立大学法人京都工芸繊維大学(大規模),左京区松ケ崎橋上町1

左京区,左京区役所1階ロビー(中規模),左京区松ケ崎堂ノ上町7-2

左京区,山村都市「交流の森」(北部山間地域),左京区花脊八桝町250

中京区,京都御池創生館地下研修室,中京区御池通柳馬場東入東八幡町579

中京区,花園大学,中京区西ノ京壺ノ内町8-1

中京区,佛教大学二条キャンパス,中京区西ノ京栂尾町2-7

東山区,東山区役所ホール(地下1階),東山区清水五丁目130-6

東山区,東山開睛館,東山区六波羅裏門通東入多門町155

山科区,山科青少年活動センター,山科区竹鼻四丁野町42

下京区,京都リサーチパーク東地区1号館(会議室),下京区中堂寺南町134

南区,南区役所ホール(ヘルスピア21内),南区西九条南田町1-2

右京区,サンサ右京1階区民ロビー(中規模),右京区太秦下刑部町12

右京区,右京ふれあい文化会館及び太秦安井公園(大規模),右京区太秦安井西裏町11-6

右京区,京北合同庁舎,右京区京北周山町上寺田1-1

西京区,京都市西文化会館ウエスティ,西京区上桂森下町31-1

西京区,ホテル京都エミナース アニバーサリーホール2階及び駐車場内,西京区大原野東境谷町2-4

伏見区,株式会社京都科学 京都本社,伏見区北寝小屋町15

伏見区,龍谷大学 深草学舎,伏見区深草塚本町67

伏見区,パセオ・ダイゴロー西館,伏見区醍醐高畑町 30-1

 

京都市災害ボランティアセンター(常設),ひと・まち交流館 京都,電話075―354―8728

 

西京区災害ボランティアセンター設置場所 

ホテル京都エミナース(アニバーサリーホール2階及び駐車場内)

 

ホテル京都エミナース(以下,エミナース)営業支配人の大西 章さんと,社会福祉法人京都市西京区社会福祉協議会西京区ボランティアセンター主任の永松 学さんにお話を伺いました。

 

エミナースが民間の収益施設として初めて,区災害ボランティアセンター(以下,センター)として施設の一部を提供なさった経緯を聞かせてください。

 

大西支配人 

エミナース内の学校法人明治東洋医学院の施設である洛西キャンパスの部分を提供しています。エミナースは,元「国民年金京都会館ホテル京都エミナース」であるため,地域とのつながりが強いです。センター設置の契機になったのは,平成23年6月の水道管の破裂事故に伴うガス管の損傷事故。約1万5千世帯に影響が出て,多くの地域の方々が当ホテルの温泉施設を利用するために来館されました。

また,一般家庭用のカセットコンロの配布などガスの災害復旧に協力した際に,エミナースが非常時の地域の拠点になるのだと気が付きました。

 

災害時のセンターの役割を教えてください。

 

永松主任 

センターは,大規模な自然災害時におけるボランティア活動の拠点として,被災住民に対する支援活動の推進に取り組みます。具体的には,地域の方々と連携して被災住民の困りごとを集約し,ボランティアに来られた方々とつなぐことで,その解決を図ります。区役所は,被災情報や支援情報を随時把握して提供するとともに,公的な制度の活用によりセンターと連携してサポートを行います。

「全ては被災者のために」と考え,センター・地域・行政が一体となって活動することが大切です。

 

お二人から市民の皆様にメッセージをお願いします。

 

大西支配人 

センターの設置については,多くの方々に知っていただくために,西京区役所洛西支所や社会福祉協議会と連携を図る中で地道な努力を続けていきたいです。

 

永松主任 

ボランティアの皆さんの力を最大限に発揮するためには,地域の方々との連携が必須です。災害が発生したときには,センターを活用するとともに,自身の困りごとが解決した後は,支援者としてもご協力いただきたいと思います。

 

我ら企業市民

34 生田産機工業株式会社の場合

ものづくりはひとづくり

響き合い,活かし合い,

良く働き合うことで,

より良い未来を創る

 

黒い外壁の社屋に赤や青の羽根が回る風力発電機が印象的な,伸銅業界のリーディングカンパニー,生田産機工業株式会社。生田鉄工所として産声を上げてから90年余り。初代,二代目が情熱を注いだ「ものづくり」の伝統を受け継ぎ,ますます発展させてきた三代目・生田 泰宏 社長と,営業部環境グループリーダーの渡辺 千裕さん,顧客ソリューション推進部技術営業担当のマニッシュ・ミラニさんにお話を伺いました。

 

「人間力を高める」職場

 

 創業は1919年。生田産機工業株式会社(以下,「生田産機」)としてのスタートは1953年。「生田のものづくり」はどのような変遷をたどったのでしょうか。

 「私の祖父が創業した生田鉄工所時代は,伏見という土地柄,主な顧客は酒造工場で,その機械化・合理化に尽くしました。機械化技術開発を進める途上,伸銅設備機械の製造に着手,実用新案特許も取りまして伸銅が主要な事業となりました」と話す生田社長。伸銅とは銅に圧を掛け延ばす加工技術です。10円玉をはじめとする硬貨や,家電製品のコード,電線。銅合金の用途が広がるほど,ますます優れた伸銅設備が求められます。生田産機は常に洗練された加工技術でその需要に応え続けてきました。「伸銅なら生田産機」は,今や業界の常識。面削,研磨,脱脂洗浄いずれの工程においても,技術の高さで他の追随を許していません。

 製造業である以上,技術力がものを言うのは当然のことですが,生田産機には今日までの発展を支えた根幹となる理念や指針があるのです。

 「何より大切なものは人間力だと考えています。我々日本人には長い歴史の中で培われた美徳があり,それは「思いやりの心」,「感謝の心」,「自立の心」という「三つの心」で表すことができます。業務に追われてなおざりになりがちなこれらの「心」を育てることが人間力を高めます。高い技術も優れた設備も,駆使するのは人間ですから」。

こうした考えを社員全員に浸透させるため,以前は社長が朝礼で訓示していましたが,今は社員が交替で「三つの心」からテーマを選びスピーチをしています。これについて渡辺さんは,「始めた当初は皆ぎこちなかったんですが,今では業務に良いリズムを作っています。スピーチを通して,意外な一面が見えることもあり,人となりが分かるので,社員の相互理解も進みます」とにっこり。「私も先日,「自立の心」をテーマに,「私の使命」についてスピーチしました」。

 「「三つの心」をテーマにスピーチすることで,社員全員がその大切さを再確認できます。また,続けることで「心」が身に着き,今では社長が何も言わなくても,自然と社員が社員同士,取引先様など関わる人々に対して「心」のこもった行動が取れています」と,生田社長は言います。

 

人との出会いがアイデアを生み,新しい展開につながる

 

 外国人の雇用も盛んな生田産機。中国には現地法人を設立しています。

 「生田産機には,代々引き継いできた技術力があり,それに改良を重ね,時代に適応したものを作ることに奮闘している社員がいますので,どこに進出したとしてもうまくいく自信があります」と,生田社長は話します。生田社長自身,海外滞在経験が豊富で異文化交流にも積極的です。「ただ,外国に進出するには,現地の方の力が必要ですし,運もあります。中国に進出したから中国人の社員がいるのではないんですよ。たまたま優秀な中国人を採用し,彼と仕事をするうちに中国には可能性の芽がたくさんあることが見えてきたわけです」。

 外国人の社員の一人,マニッシュ・ミラニさんは現在経済成長著しいインドの出身。「生田産機が大切にしている人間力を高める「三つの心」は,社員から最大の能力,最高の技術を引き出す役割を果たしています。それぞれ考え方の違う人々が異なるアプローチで一つのものづくりへ向かうための,大きな力になっていると思います」と言います。いずれはインドに生田産機の現地法人を設立し,インドと日本の架け橋の役目を果たしたいそうです。

 生田社長は,「外国進出などという大きな計画ありきではなく,まずあるのは人との出会いです。結局,中国法人も,2009年に設立した京ウィンドも,原点は人なのです」。

 京ウィンドとは,自然エネルギー発電機を製造開発する生田産機の関連会社です。「COP3が京都で開催されたのを機に生田産機のものづくりの技術で環境保護に寄与できないかなと考えたのが最初です。たまたま社内にジェット気流を専門に研究してきた中国人技術者がいたので,彼の研究内容で風力発電機を開発したんです。2006年3月に京丹後市に最初の1機を設置したのを皮切りに,地元の学校,企業など様々な施設でご利用いただいています。これをきっかけに学校や行政と深く関わり合うことになり,社会とのつながりが一気に増えました。今では,渡辺が先生となって環境出前授業も行っています」。こういった取組により,生田産機は2011年,京都環境賞特別賞を受賞しました。

 

「天命に従い人事を尽くす」

 

 生田産機では,定年を迎えた社員の再雇用はごく自然なことです。「父の代から会社に尽くしてくださり,子どもだった私の面倒も見てくださった方々です。今も現役で働いてくださることが,生田産機の「宝」です。まだまだその知見や技術を活かし,ものづくりや後進の指導に当たってもらいたいと思うのです」と,生田社長は話します。

 また,本社社屋の最上階,広々とした社員食堂「風のとき」。テーブルやカウンターがゆったりとレイアウトされ,天気の良い日はテラスでの食事が気持ち良さそうです。「何と言っても体が資本ですから。健康を維持し,気持ち良く働いてもらうためにも社員食堂にはこだわりました」。運営は,「若者の中間的就労支援事業」(平成23年度京都府委託事業)に係る飲食店プロデュース会社に一任。厨房スタッフは色々な事情で社会体験が少ない若者たちですが,自立を目指しスキルを身に着けながら頑張っています。「若者支援などという大それたことではないんです。知人の息子さんが長年の引きこもりから飲食の仕事を通じて社会復帰を果たされたと聞きまして,及ばずながら場所の提供ならできると」と説明する生田社長の言葉に続いて,渡辺さんは「皆さん,大変真面目にお務めくださって,サービスも良く,何より美味しい。京都・美山産の米や野菜をふんだんに使っています。社員にも大好評ですよ」と,満面の笑み。

 「祖父が掲げた創業の精神「天命に従い人事を尽くす」とは,人は皆,個性・役割を持って生まれており,それに従い最善を尽くすということです。これからも,大きな可能性を秘めた社員の能力や個性が,社員同士,取引先様,お客様との「響働」によって遺憾なく発揮される場を作り続けていきたい。それには,まず,互いの個性を認め合い,尊重することが必要ではないでしょうか」。

 

35 株式会社千總の場合

革新を重ねて450年

一つの品を中心に関わる

人々の「つながり」を

プロデュース

 

株式会社千總(以下,「千總」)の歴史は,弘治元年(1555年)に始まります。創業以来,製造卸として揺るぎない地位を誇る老舗。時代を先取りしながら,ためらうことなく変革を続け,今なお新しい美の文化を創造する企業として世界にその名を知られます。450年を超える継続の秘訣はどこにあるのでしょう。仲田 保司 社長と総務本部の八里 厚夫 課長,製作本部の加藤 結理子さんにお尋ねしました。

 

450余年の歴史を支えた力と秘訣

 

 千總は,現在も本社を構える三条通で初代・千切屋与三右衛門が織物業を創業して以来,時代の要請と共に変革を重ね,十五代の現当主である西村總左衛門代表取締役会長まで,457年もの長い歴史をつないできました。

 「掛け軸に書かれた家訓といったものが我が社にはなかったのです」と言うのは仲田社長。そこで千總では創業450年を迎えた平成17年,企業理念として「開物成務」,「美・ひとすじ」,「三方よし」という三つの柱を立てました。「「開物成務」は未知の分野を開発し努力してそれを成功させること,「美・ひとすじ」は美しいものを作ることを基本とする美意識の追求,「三方よし」は売り手,買い手,世間の三方の幸せを求めるものです。西村家は,応仁の乱を逃れて近江の西村の里に疎開したご縁で西村を姓とし,近江商人に学びました。「三方よし」は現在よく言われるウィン・ウィンの考え方などにも通じるものです」。売り手と買い手の二者だけでなく,世間つまり社会にも有益であるような商行為でなければ企業は存続できない,と言う仲田社長がもう一つ千總の継続の秘訣として付け加えるのは「着物づくりにおいて革新を重ねてきたこと」。

 「「開物成務」を追求し,代々受け継がれてきた小袖からモダンアートに至るまで,あらゆるテーマを着物製作の基礎としてたくわえ,どの時代のどのような流行・嗜好にも対応できるよう,弛まぬ努力を積み重ねてきました。職人と売り手の間に立ち,お客様のニーズをしっかり反映したものづくりをプロデュースすることが,我々製造問屋の使命であり,このプロデュース力の高さが,千總の歴史を支えた秘訣の一つです」。さらに仲田社長は,「千總の友禅は約20の工程を経て作られます。それぞれに匠の技を持つ職人が,自分の工程のみならず,絹糸の原料を生産する養蚕農家から着物をお召しになるお客様のことにまで思いを馳せながら作業しているのです。まるでオーケストラのように,一人一人が1枚の着物を中心に多くの人々とつながっていることを意識しながら技を発揮する。千總の強みはここにあります。今後も職人たちと共に,伝統技法を保ちつつ新しい友禅染を開発していきますよ」と胸を張ります。

 

社会への貢献と,社員の福利のために

 

 千總では,製作した着物を社会貢献にも活用しています。一例は,昭和62年の株式会社設立50周年を記念して始めた京都市母子福祉センター(平成24年4月に「京都市ひとり親家庭支援センター」に改称)への着物の寄贈。世間様あっての千總である,との思いで始めたこの活動も今年で25回を数え,多くの母子に「美と喜び」を与えてきました。

 「着物で装うと,心が安らかに,また豊かになるものです。お母さんとお子さんが楽しめるように帯や小物,草履などをセットにして贈っています。地域に支えられて発展した企業として,当然の行いです」と事もなげに話す一方,「以前,母子福祉センターの記念大会で,その着物を皆様がお召しになって舞台に登場されたときは,実に感動しました」と感慨深げに回想する仲田社長です。

 社会貢献の考え方は社内の福利厚生にも反映され,子育て中の社員が安心して働ける環境が整備されました。その取組が評価され,平成20年,千總は京都府から「京の子育て応援企業」として認証を受けました。「出産や育児で休職した社員が安心して復帰できるよう綿密に連絡を取り合って情報提供を行い,復帰への不安を軽減するよう心掛けています。また,家庭での育児時間を確保できるよう勤務時間の短縮をするなどのバックアップをしています」と説明する八里課長の横で,加藤さんが「この環境は女性にとって大きな安心です」と補足します。

 「15年ほど前までは寿退職が多かったものですが,現在は優秀な女性社員が結婚・出産後もキャリアを積めるようになり,会社としても非常に良いことです」と仲田社長。社員の福利は商品の品質向上につながり,会社の業績もアップするというわけで,ここでもまさしく「三方よし」です。

 

京都で,東北で,感動を分かち合う

 

 「世間よし」の考え方は多方面に現れています。「祇園祭の還幸祭(後祭あとまつり)では,三条通を通る神輿の担ぎ手たちに冷茶の接待をしています。また,丹波八坂太鼓の演奏披露に,京都文化博物館と隔年交替で,千總本社1階の伊右衛門サロン前を提供しています」と,八里課長は話します。また,千總本社2階の「千總ギャラリー」では,千總で保存している古い小袖をはじめ,染織関係の貴重な資料などを無料で一般公開。

 「ただ資料を並べるのではなく,時流に乗ったテーマ設定と分かりやすい解説を目指し展示に工夫をしています。ウエディング・オブ・チソウと題し,歴代当主夫人の婚礼衣装展も行いました。このギャラリーを日本の伝統美をより広く知っていただくための発信地としたいのです」と話す加藤さんが担当するギャラリー運営は,三つの理念の一つ「美・ひとすじ」を体現した取組です。

 さらに千總は,東日本大震災後の復興にも力を注いでいます。青森,岩手,宮城など東北地方の養蚕農家との古くからの強いつながりに触れ仲田社長は,「震災後も変わることなく商いを持続することを確認しました。昔からつながりのある養蚕農家の方々を我々も失うわけにはいきませんから。震災直後はお米など物資の支援をしましたが,コンスタントに仕事を提供できることが一番です」ときっぱり。また,「出荷後の絹糸がどのような道をたどるのか,見たことのない養蚕農家の方々もおられたので,先日京都にお招きし,千總

の友禅をお見せしました。とても感激されまして,我々も嬉しく思いました。こうした交流によってお互いに励まされ,力となります。大事に続けていきたいものですね」。

 顧客だけでなく,取引先の養蚕農家,職人,社員そして地元地域など会社を取り巻くあらゆる人々とのつながりを大切にする千總の商哲学。そこに貫流するのは,人を尊ぶ精神です。

 

お知らせ 

ヒューマンステージ・イン・キョウト2012 を開催します

「ヒューマンステージインキョウト」は,市民や企業の皆様に楽しく気軽に人権問題について考えていただく機会として,例年,様々な人権に関するテーマのもと,開催しています。

 今年度は,歌手の今井絵理子さんを迎え,「親子の絆.子育てを通じて学んだ家族の大切さ」をテーマに実施いたします。

 たくさんの方のご応募をお待ちしています。

 

日時

平成24年10月20日(土曜)14時から16時まで(13時開場)

 

場所

同志社大学寒梅館 ハーディーホール(上京区今出川通烏丸上ル)

 

内容

SPEEDのメンバーとして,またソロ歌手としても活躍し,自身の長男の聴覚障がいをきっかけに障がいや人権に関する講演,執筆活動等に取り組んでいる,今井絵理子さんによるトーク&ライブその他,市民公募作品「人権“ほっと”.写真」,「四字熟語人権マンガ」の入賞作品紹介や,犯罪被害者支援の取組「生命(いのち)のメッセージ展」など

 

定員

850名

 

申込

9月1日(土曜)から30日(日曜)までに京都いつでもコール(電話 075―661―3755,ファックス 075ー661―5855)へ申込み。申込多数の場合は抽選。10月上旬に当選者のみに入場券を発送します。

  

当日会場にペットボトルのキャップをご持参ください。集めたキャップで発展途上国の子どもたちにワクチンを寄贈する取組を実施します。

 

主催

京都市,ヒューマンステージ・イン・キョウト実行委員会(京都市地域女性連合会,京都商工会議所,社会福祉法人京都市社会福祉協議会),京都人権啓発活動ネットワーク協議会

 

後援

朝日新聞京都総局,NHK京都放送局,エフエム京都,京都新聞社,京都リビング新聞社,KBS京都,産経新聞社京都総局,日本経済新聞社京都支社,毎日新聞京都支局,読売新聞京都総局

 

京都障害者ワークフェア を開催します

 

障害者雇用優良事業所,優良勤労者,永年勤続障害者の表彰式,雇用促進セミナー等

 

日時

平成24年9月14日(金曜)13時30分から16時30分まで

 

会場

京都ホテルオークラ 3階 翠雲の間

 

主催

京都労働局・ハローワーク,京都府,京都市,(独)京都障害者職業センター,京都府高齢・障害者雇用支援協会

 

セミナー概要

好事例発表(2社)予定

 

問合せ先

京都府高齢・障害者雇用支援協会, 電話075―681―5255

 

企業向け人権啓発講座の御案内

京都市主催 平成24年度企業向け人権啓発講座

(第4回から第8回を実施します)

 

第4回 シンポジウム

.公益財団法人移行記念 人権問題シンポジウム

 

同和問題にかかわる市民意識のいま

― 自治体の調査を踏まえて―

(第4回企業向け人権啓発講座に位置付け開催します。)

 

講師

●コーディネーター 

野口 道彦((公財)世界人権問題研究センター研究員・大阪市立大学人権問題研究センター特任教授)

●パネリスト

神原 文子(神戸学院大学人文学部教授)

伊藤 悦子((公財)世界人権問題研究センター研究員・京都教育大学教育学部教授)

阿久澤 麻理子((公財)世界人権問題研究センター研究員・大阪市立大学大学院創造都市研究科教授)

 

日時

平成24年9月14日(金曜)13時30分から16時30分まで

 

場所

ウィングス京都 イベントホール

(東洞院通六角下る東側)

 

内容

京都府・大阪府・姫路市で実施した最新の「人権意識調査」の結果から,住民意識の動向を横断的に探り,今なにが問題なのか? 調査に関わったパネリストのそれぞれの問題意識をもとに明らかにし,共に考える機会とします。

 

定員

280名(先着順)

 

主催

公益財団法人世界人権問題研究センター

 

共催

京都府,京都市,京都商工会議所

 

申込期間

平成24年8月20日(月曜)から9月13日(木曜)まで

 

 

第5回 研修会

 

京都市も構成機関である「京都人権啓発行政連絡協議会」主催 平成24年度人権研修会

 

京都人権啓発行政連絡協議会の構成機関

京都地方法務局・近畿財務局京都財務事務所・京都労働局・近畿農政局・近畿経済産業局・近畿運輸局・近畿地方整備局・京都府・京都市

 

講演1

えせ同和行為への対処法

 

講師

和田 敦史(弁護士)

 

内容

えせ同和行為の実情を紹介し,えせ同和行為への適切な対処法を学びます。

 

講演2

パワーハラスメント

 

講師

中川 恒信(中川総合法務オフィス代表)

 

内容

パワーハラスメントの最前線情報をお伝えするとともに,パワーハラスメントのない職場作りの方法と発生時の対処法を紹介します。

 

日時

平成24年9月24日(月曜)14時から16時20分まで

 

場所

京都テルサ(テルサホール)

(南区東九条下殿田町70番地)

 

定員

400名(先着順)

 

申込期間

平成24年8月20日(月曜)から9月14日(金曜)まで

 

 

第6回 講演・情報交換会

 

会社のチカラは人で決まる! 組織力を高めるために今取り組むべきポイント

~CSRの一環としてのワーク・ライフ・バランス.~

 

講師

石川 聖子(中小企業診断士)

 

内容

企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットや実例,企業が無理をせずにワーク・ライフ・バランスを実現する手法などについての講演の後,講師の進行で,企業間で情報交換してもらいます。

 

日時

平成24年10月26日(金曜)14時から16時30分まで

 

場所

ウィングス京都 セミナー室

(東洞院通六角下る東側)

 

定員

70名(先着順)

 

申込期間

平成24年8月20日(月曜)から10月19日(金曜)まで

 

中小企業庁委託事業

 

 

第7回 フォーラム

 

京都市も構成団体である巣立ちのネットWORK主催

第19回 障害のある市民の雇用フォーラム

 

巣立ちのネットWORKの構成団体

京都労働局京都障害者職業相談室,京都府高齢・障害者雇用支援協会,(社福)京都総合福祉協会,(社)京都手をつなぐ育成会,市内の支援学校,京都市教育委員会,京都市 等

 

日時

平成24年11月13日(火曜)13時30分から17時まで

 

場所

京都市総合教育センター

(下京区河原町通仏光寺西入)

 

内容

全体会 支援学校からの取組報告と就労している卒業生か らの発表等

 

分科会 全体会に続き,以下の3つの分科会に分かれて参加

 

●第1分科会 職域開発と雇用創出をめざす障害者雇用について

講師 秦 政(秦コンサルティングオフィス代表)

 

●第2分科会 雇用継続を支援する相談期間の役割について 

講師 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構京都障害者職業センター

 

●第3分科会 企業・支援学校卒業生・在校生から「就労について」

講師 医療法人洛和会 等

 

定員

50名(先着順)

 

申込期間

平成24年8月20日(月曜)から11月7日(水曜)まで

 

中小企業庁委託事業

 

 

第8回 講演・ディスカッション

 

日本社会における企業文化とメンタルヘルス

~グローバル化時代の価値観の揺らぎ検証~

 

講師

内田 由紀子

(京都大学こころの未来研究センター准教授)

 

日時

平成24年11月27日(火曜) 14 時30分から16時30分まで

 

場所

ウィングス京都 セミナー室

(東洞院通六角下る東側)

 

内容

グローバル化を目指す社会変化の中で生じる職場の人間関係のひずみや,メンタル面での問題などについての講演の後,人事評価や若手社員に対する企業の考え方,人材育成などについて,参加者と講師が共に考えます。

 

定員

100名(先着順)

 

申込期間

平成24年8月20日(月曜)から11月20日(火曜)まで

 

後援

京都大学こころの未来研究センター

 

中小企業庁委託事業

 

 

企業向け人権啓発講座(第4から8回)の申込方法

京都市人権文化推進課もしくはそのホームページ(企業啓発担当)から入手した申込書に必要事項をご記入のうえ,ファックスで申し込んでください。

ファックス  075-366-0139(お問合せは,電話 075-366-0322へ)

 

ご来場の際は,公共交通機関でご利用ください。自家用車での来場を必要とされる方は,京都市人権文化推進課へご連絡をお願いいたします。

 

定員を超えた場合はその旨をホームページに掲載し受付を終了しますので,あらかじめご了承ください。

 

個人情報の取扱いについて

いただいた個人情報は,京都市個人情報保護条例に基づき,他の目的に使用しないとともに厳重に管理します。

 

奥付

企業向け人権情報誌ベーシックvol.59(発行日 平成24年8月20日)

京都市文化市民局市民生活部人権文化推進課(企業啓発担当)

〒604-8006 京都市中京区河原町通御池下る下丸屋町394番地 Y・J・Kビル3階

電話 075-366-0322 ファックス 075-366-0139

ホームページ https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-2-3-0-0_10.html

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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