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ベーシック41/特集 ユニバーサルデザイン―ものづくりの視点から見たユニバーサルデザイン―

[2011年4月8日]

京都工芸繊維大学 久保雅義教授に聞く

 

ものづくりの視点から見たユニバーサルデザイン

 

久保雅義教授


 ものづくりの視点からユニバーサルデザインに取り組むための意義やポイントについて,京都工芸繊維大学繊維学部デザイン経営工学科の久保雅義教授からお話をいただきました。

ユニバーサルデザインの推進は「企業」「行政」「学校」のトライアングルで

 

 今日のユニバーサルデザインの推進は,企業を中心とした「ものづくり」と,行政機関が中心になって取り組む「仕組みづくり」,学校等教育機関やNPOが取り組んでいる「人づくり」があり,それぞれの立場でユニバーサルデザインに取り組んでいます。

 特に,昨今,顕著な活動が見られるのは,企業の製品開発や建物における積極的なユニバーサルデザインの概念の導入であり,製品や空間づくりにおいて大きな成果を生むようになりました。このことは,平成11年に「ユニバーサルデザインフォーラム(UDF)」が実施した調査と,平成17年に私が実施した調査とを比較すると明らかです。すべての品目で使いやすくなったとの結果がでており,特に,DVD・ビデオや家庭用電話・FAXなどは大変改善されています。
 また,行政機関も,国土交通省の「ユニバーサルデザイン政策大綱」の策定をはじめ,多くの地方自治体で取組が盛んになってきています。
 一方,大学などの教育機関は,ユニバーサルデザインの研究をはじめ,専門家の輩出や市民の意識改革,啓発教育活動の役割を担っていますが,まだまだ具体的な成果があまり見えていないのが現状です。

 

消費者の意識と企業の取組

 

 「日経デザイン2004年の消費者意識調査」 によると,なんと98%の人が,メーカーがユニバーサルデザインに取り組むことについて,重要なこと,意味のあることと回答しています。また,ユニバーサルデザインを採り入れた製品の購入意向については,69%の人が,ユニバーサルデザインを採り入れた製品を積極的に購入するとしています。
 一方,企業の経営者がユニバーサルデザインをどのように捉えているかというと,「日経デザイン2004年の企業ユニバーサルデザイン度診断調査」によると,61% の経営者が,ユニバーサルデザインの導入・実践を経営目標においているという結果が得られています。また,ユニバーサルデザインを採り入れた製品を市場に既に投入している企業は89%という調査結果もあり,ユニバーサルデザインを採り入れた製品の開発と市場への導入は,もはや当たり前になっているといっても過言ではないと思います。

 


身近なユニバーサルデザインの例

 

シャンプーボトルのギザギザ
 目の不自由な人のために付けられたシャンプー容器のギザギザは,目を閉じて洗髪する人にとっても,さわるだけでリンスと区別できます。
 これは,あるメーカーが考案したものですが,社会的な意義を考え,特許をとらず,今では,多くのメーカーが,ギザギザをつけた容器でシャンプーを販売しています。     

シャンプーボトル

今後のユニバーサルデザインに望まれること

 

 平成17年に私が実施した調査によると,今後のユニバーサルデザイン推進に必要な取組として,「安心・安全に対する意識改革」「簡単で使いやすい製品・設備供給」「安全な公共施設・交通設備等」などが挙げられています。
 これは,超高齢社会の到来が目前に迫る中,「安心」,「安全」について,市民の強い意識があることが伺えます。引き続き,「企業」,「行政」,「学校」の三者がスクラムを組んで,それぞれの立場からユニバーサルデザインの推進に取り組んでいくことが望まれます。

 

結びに

 

 長い歴史の中で受け継がれてきた京都の美意識は,二律背反・無理難題を美しく上品に解決してきました。国際ユニヴァーサルデザイン協議会評議員会の戸田議長が,国際会議の場で,扇子や風呂敷を例に,「日本の伝統文化の中にユニバーサルデザインの真髄があり,京都は,その思想を脈々と持ち続けてきた。」と話されたところ,多くの人の共感をよんだと聞いています。私は,この扇子などにみられる「京都のこころ」,具体的には,「ふるまい」「もてなし」「たくみ」の3つのこころに,次代のユニバーサルデザインの目指すべき方向性があると思っております。

 「ふるまいのこころ」とは,一人ひとりが全体への責任感を持ち,その中で個を磨き,気品と気概ある資質をつくることです。「もてなしのこころ」とは,自らと異なる文化を受容し,他人への気遣いと優しさを大切にした調和の価値をつくることです。「たくみのこころ」とは,引き継がれてきた技や美に安住せず,先端技術を取り入れて新しい生活様式や文化の価値をつくることです。
 暮らしのユニバーサルデザインの視点に立ち,私たちの生活環境をさらに豊かなものにするためには,この「京都のこころ」を具体的に満たすことに取り組んでいくことだと考えています。

 

 

 

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