最近,「ユニバーサルデザイン」という言葉を耳にするようになり,その考え方を採り入れた製品やサービスが増えてきています。そこで,今回の特集では,ユニバーサルデザインの必要性やその取組等について考えます。
ユニバーサルデザインとは,アメリカの建築家ロン・メイス氏らによって提唱された考え方で,製品や設備,施設などをすべての人にとってできる限り利用しやすいデザインにすることを目指す考え方のことです。今日では,年齢,性別,国籍,文化,心身の能力や状態といった人の様々な特性や違いを超えて,すべての人に配慮したまちづくりやものづくり,情報やサービスの提供を進め,だれもが生活しやすい社会環境をつくっていくという非常に幅広い意味で使われています。わが国でも,この考え方が企業理念や製品開発に導入されるとともに,国や自治体の施策にも積極的に採り入れられ,活発な取組が進められています。
ユニバーサルデザイン7つの原則
1. だれでも公平に使える
2. 自由度が高い
3. 使い方がわかりやすい
4. 必要な情報がすぐに理解できる
5. ミスや危険につながらない
6. 楽に使える
7. 使いやすい大きさと広さ

1. だれもが利用しやすい自動ドア

2. 身体状況等に応じて選べる階段,エレベータ,エスカレータの併設

3. だれもが利用しやすい自動ドア

4. わかりやすいサイン(案内表示)

5. 線路への転落を防ぐホームドア

6. 車いすや背の低い人でも利用しやすい自動販売機

7. 出入口や室内が広い多目的トイレ
では,なぜ最近になって,ユニバーサルデザインが注目されだしたのでしょうか。その社会的背景として,下のような事由が挙げられます。
| 長寿化 | 平成26年には,65歳以上の人口が4人に1人 |
| 少子化 | 出生率1.25 人口減少社会へ |
| 障害のある人の社会参加 | あらゆる社会活動に参画できる社会環境づくり |
| 国際化 | 言葉,習慣,文化の違い |
| 情報化 | 情報受発信の発展,情報利用の格差 |
| 経済活性化 | 新たなニーズへの対応 |
中でも,長寿化については,わが国の65歳以上の人口は,平成6年では7人に1人であったのが,平成26年には4人に1人,平成52年には3人に1人と推計されています。加齢により身体機能が低下し,自力で思うように行動しづらい人が増えていく中で,日常生活に不便や不自由を感じない社会づくりが求められています。
また,少子化についても,平成17年のわが国の合計特殊出生率は,1.25となっており,子どもを安心して生み育てることができるよう,まちづくりやものづくりなどに,妊産婦や子ども連れ,子どもの立場からの取組が求められています。
さらに,経済の活性化の視点です。今日,ユニバーサルデザインの考え方が,ものづくりやサービスの分野で急速に浸透してきています。これは,社会的責任や顧客満足度の向上を掲げる企業にとって,ユニバーサルデザインの推進が企業価値を高めていくための有効な手段として捉えられているためと考えられます。ユニバーサルデザインの考え方を採り入れたものづくりやサービスを進めることによって,既存産業の活性化や新事業創出の可能性が大きく広がることが期待されます。
このような社会状況にあって,多様な考え方や生き方が尊重される社会であり続けるためには,これまで以上に,様々な状況にある一人一人の個性や価値観が尊重されるようにしなければなりません。そこで,今,ユニバーサルデザインが求められているのです。

―みやこユニバーサルデザインの推進―
京都市では,これまでから,多様な考え方や生き方が尊重される社会の実現に向けた歩みを進めてきましたが,その歩みをより強く確実なものにするためには,今まで蓄積してきたものにユニバーサルデザインの考え方を採り入れて,年齢,性別,言語,習慣,心身の状態等にかかわらず,すべての人にとってできる限り生活しやすい社会環境の整備に取り組む必要があります。
そのため,京都市では,すべての人が個人として尊重され,その能力を最大限に発揮できる社会を実現するために,平成17年4月1日に,「京都市みやこユニバーサルデザイン推進条例」を施行しました。
また,条例の理念を具体的行動に移すために,平成17年12月に,「京都市みやこユニバーサルデザイン推進指針」を策定しました。指針には,「普及推進」,「まちづくり」,「ものづくり」,「情報づくり」,「サービスづくり」の5つの分野ごとに,京都市,事業者,市民,観光旅行者その他の滞在者の具体的な取組事例等を掲げ,大学や研究機関等とも連携しながら,それぞれが「交流と協働」を図ることにより,「みやこユニバーサルデザイン」を推進することとしています。
指針では,事業者に対して,
などが求められています。
参考文献: 社団法人人間生活工学研究センター制作「みんなにやさしいは実現できる」

本会議は,産・学・公の垣根や言語,文化の違いを超えて,多様な人々が一堂に会し,情報の共有化と人的交流を行うことで,より質の高いユニバーサルデザイン社会の実現を目指すもので,今年は京都で開催されます。5日間にわたって,ものづくりやまちづくりの展示やセミナーの開催など様々な催しが行われますので,是非,のぞいてみてください。
○主催 国際ユニヴァーサルデザイン協議会
○共催 京都府,京都市
○日時 平成18年10月22日(日)~26日(木)
○場所 国立京都国際会館
○ホームページ http://www.ud2006.net/
京都市では,建築物や住宅などのまちづくり,製品開発などのものづくり,情報やサービスの提供等の分野で,ユニバーサルデザインに取り組もうとする企業や団体に対して,ユニバーサルデザインの有識者や実践者を派遣する「ユニバーサルデザインアドバイザー派遣」を今年度から実施しています。
だれにでも利用しやすいものやサービスの提供など,ユニバーサルデザインの導入に関心のある企業の皆様からの申込みをお待ちしております。

●「条例」,「指針」,「国際会議」,「アドバイザー派遣」などのお問い合わせ先
京都市保健福祉局保健福祉総務課 電話 075-222-3366 FAX075-222-3386
Eメール hofukusoumu@city.kyoto.jp
ホームページ http://www.city.kyoto.jp/hokenfukushi/hofukusoumu/ud
文化市民局
市民生活部
人権文化推進課
電話: 075-366-0322 ファックス: 075-366-0139